03労基法派遣法改正

( 地 方 自 治 体 での 労 働セ ミ ナ ー の 講演 レ ジ ュ メ か ら)
2 0 0 4 /3 / 11
2 0 0 3 年 改 正 労 基 法 ・派 遣 法 の 解説 と留 意 点
弁
Ⅰ
護
士
永
嶋
里
枝
2003 年 に改 定 さ れ た労 基 法に つ い て
1
労 働 契 約 期 間 の上限延長
(1)
原則 1年 (例外 3年 )の 労 働 契 約 期 間を原 則3 年( 例外5 年) に延長
ア
目
①
的
有期労働契約を 活用
戦 前の 民法
労 働 契 約 期 間の 上限な し。 但し 5年 を超えたら 契約解除可能
1 9 4 7年
労基法制定
労働契約 の上 限は 原則 1年( 一定 の事 業の 完了
に必要 な期 間を定 める 場合 は除く )
1 9 9 5年
日経連
1 9 9 9年
4月施行 の改 定 労 基 法
②
イ
基幹職以外 の労働者は 有 期 労 働 契 約で ま か な う。
上限は 原則 1年、 特例 は3 年
有期労働契約を 更新 した場 合の 解雇法理の 類 推 適 用 回 避
問題点
①
常用雇用 の削 減、 有期雇用 への切 り替 え( メリットは 、雇 用 調 整、 人件
費削減 )
但し、 専 門 職が対 象となる 可 能 性 大
②
上限 5年 の有期雇用契約に つ い て は 、退職 の制 約
③
事 実 上の 若年定年制復活の 恐れ
cf.
国会附帯決議
ⅰ
労働契約期間 の上 限 延 長に 当たっては 常 用 代 替 化を加 速さ せ な い よ う に
配 慮、 有期雇用の 無 限 定な拡 大に つ な が ら な い よ う十分配慮
ⅱ
有期上限 5年 の対 象 労 働 者 の範囲 に つ い て は、 交渉上劣位 に立 つことの
な い労働者 を当 該 専 門 的 な知 識、技 術、 経験 を必 要と す る業 務に 従事 させ
る 場合 に限 定
ウ
留意点
①
有期雇用 を常用雇用 の代替 と し て利 用す る こ と は認め ら れ な い
②
労働者の 合意 なく 常用雇用契約を 有期雇用契約 に変更 することはできな
い
(2)
有期労働契約の 締結 、更 新、雇 止め のル ー ル化
ア
内容
①
契 約 締 結 時の明 示 事 項
②
雇止 めの 予告
③
雇止 め理 由の明 示
④
契約期間長期化 の努力義務
イ
問題点
①
有 期 雇 用 契 約 締 結に 対する 制約 なし
- 1 -
ⅰ
有 期 契 約の 締結 は、 仕事 の性質 や特 別の 必要性等合理的 な理 由がなけ
れば 無効 で あ る こ と を明記 す べ き
ⅱ
有 期 契 約を締 結し 、合 理 的 理 由な く更 新し て 、一 定 期 間を 超えたとき 、
また 繰り 返し 複 数 回 更 新されたときは 、そ の労働契約 は期 間の 定めのな
い労 働 契 約とみなすことを 明記 す べ き
②
一 方 的な 有期雇用契約変更 への 歯止 めなし
③
均等待遇実現の 保障 がない
労基法4 条
cf.
男女同一労働同一賃金
1996 年3月
長野地裁上田支部判決
丸子警報機事件
擬似 パ ー トの ケ ー スで 「同 じ勤続年数 の正社員 の賃金 の8 割を 下回 る場
合は 均等待遇の 理念 に違反 し違 法」
ウ
留意点
裁判所 は、 有 期 雇 用の 雇止め 、有 期 雇 用への 変更 を無 制 限に 認めない。
2
解 雇ルール の 法 制 化
解雇権濫用法理 の明 記
(1)
「解 雇は 、客 観 的に 合 理 的な 理由 を欠き 、社 会 通 念 上 相 当 で あ る と認 められな
い場合 は、 その 権利を 濫用 したものとして 、無効 と す る 。」
国 家 公 務 員 法7 5条 「職 員は 、法律又 は人 事 院 規 則 に定 める 事由 に よ る場
cf.
合 でなければ 、そ の意 に反 して 、降任 され 、休 職さ れ、又 は免 職さ れ る こと
は な い 。」
地 方 公 務 員 法2 7条 「職 員は 、この 法律 で定 める 事由による 場合 でなけれ
ば、 その 意に 反して 、降 任され 、若 し く は免職 されない 。」
韓 国 の 勤 労 基 準 法 ( 労 基 法 )「 使用者 は 労 働 者 に対 し て正 当 な理 由 な く解
雇、 休職 、停 職、転 職、 減俸そ の他懲罰 を加え て は な ら な い」
労働契約締結時 、解雇時 のル ー ル化
(2)
ア
内容
①
労 働 契 約 締 結 時に 書面 の交 付に よ り明 示すべき 労 働 条 件に 解雇 の事 由を
加 える
②
就業規則 に解雇 の事 由を記 載す る
③
解 雇 予 告 後の解雇理由明示義務
→全 て違 反したら3 0万円以下 の罰 金
イ
国会附帯決議
解 雇ルール に つ い て は、 最 高 裁で確 立し た解 雇 権 濫 用 法 理と 、裁 判 実 務に
即 して 作成さ れ た も の で あ る か ら、解 雇 権 濫 用 の評 価の前 提となる 事実 につ
いては 、使用者側 に主 張 立 証 責 任を負 わ せ て い る現 在の裁判上 の実 務を 変更
す る も の で は な い と の立法者の 意思 の周知徹底
3
裁量労働制変更
1 9 8 7年
裁 量 労 働 制 導 入(「 み な し」労 働 時 間)
- 2 -
1 9 9 8年
企画業務型裁量労働制導入
(1)
専 門 業 務 型 裁 量 労 働 制について 改定
(2)
企画業務型裁量労働制導入要件緩和
ア
内容
①
事 業 運 営 上の重 要な 決定が 行われる 事業上 におけるものであること
→ 重要 な決 定が行 わ れ る事 業 上に 限定 しない
②
労 使 委 員 会は、 委 員 全 員 一 致で 法定事項に 関す る決議 を す る こ と
→ 委員 の5 分の4 以上 の多 数 決で 可
③
労 使 委 員 会の労 働 側 委 員は 、過半数労働者 の信 任が必 要→ 要件廃止
④
労 使 委 員 会の設 置を 行 政 官 庁に 届け 出る こ と→ 届 出 義 務 廃 止
⑤
使用者の 行政官庁 への 定 期 報 告 事 項は 、労働者 の労働時間 の状況及 び労
働 者の 健康 ・福祉確保措置の 実施状況 に限る
イ
目
的
労働時間法制 の趣旨 で あ る長 時 間 労 働の 規制緩和 、残 業 手 当 削 減 、
時間 ではなく 実績に よ っ て労 働 者を 評価 ・管理 し生 産 性 向 上
ウ
問題点
労働時間規制 の骨抜 き
cf.
国会附帯決議
ⅰ
裁 量 労 働 制を 導入 した 事 業 場に対 する 労働基準監督官 に よ る臨 検 指 導を
徹 底し 、過労死を 防止 するための 措置 を講ず る
ⅱ
裁 量 労 働 制の 拡大 、手 続 緩 和がサ ー ビ ス残業隠 しに悪 用さ れ る こ と の な
いよう 、適 用 対 象 事 業 場、適 用 業 務に つ い て の基 準を明 確にする
ⅲ
未組織労働者 が多 い中 小 企 業に お い て も、 労使委員会 が適 正に 設置 、運
営 さ れ る よ う十分 な配 慮を行 う
Ⅱ
2003 年 に改 定 さ れ た派 遣 法に つ い て
1
派 遣 期 間 延 長 、対象業務拡大
(1)
派遣労働契約の 種類
ア
禁止業務
①
建設
②
港湾運送
③
警備
④
医師 、歯科医師 な ど の行 う医療行
為に 係る 業務 ・看 護 婦などの行 う診 療 補 助(社会福祉施設 は可 能)
イ
3年限度
1 年を 超え る派 遣 期 間とする 場合に は、 派 遣 先はその事業所 の労働者 の過
半 数で 組織す る労 働 組 合、 もしくは労働者 の過半数 を代表 する 者に 通知 し、
意見 を聴 く。
ウ
1年限度
物 の製 造の 業務( 施 行 後3年 間は 、派遣期間 の上 限1年 )
エ
産前産後・ 育児 ・介 護 休 業、 母 性 保 護・ 子の 養育 の た め の休 業に つ い ては
終了 まで
オ
派遣期間無制限
①
専 門 的2 6業種
- 3 -
②
一 ヶ月間 の派 遣 日 数が 派 遣 先の通 常の 労 働 者の 所 定 労 働 日 数よ り相当程
度 少な い業 務
(2)
③
介 護 休 業 等を す る労働者の 業務
目
的
派遣法 の自 由 化 促 進
派 遣 法の 歯止 めを取 り除 き、正 規 従 業 員 を派 遣 労 働 者に置 き換 える 。
(3)
問題点
派 遣 労 働 の 常態化 、 不 安 定 雇 用 労 働 の 拡大 、 正 規 労 働 者 の労 働 条
件引き 下げ
2
派 遣 元 事 業 主 の通知義務
派遣元事業主は 、派 遣 期 間の 制限 に抵触 す る こ と と な る最初 の日 を派 遣 労 働者
に 明示 する 義務、 期間制限 に抵 触す る日 以 前の 1ヵ 月 以 内に、 派遣 を行 わ な い旨
を 派 遣 先 及び 派遣労働者 に通 知する 義務 。
3
派遣先 の直 用 申 込 義 務
(1)
派 遣 期 間 の 制 限 を 超 え て、 前 項 の 通 知 を 受 け た 派 遣 労 働 者 を 使 用 し よ う と
す る と き は、派遣先 に雇 用されることを 希望 する 当該派遣労働者 に対 し、 雇用
契約の 申し 込みをしなければならない 。
(2)
派 遣 期 間 に 制 限 が な い 業務 に 3 年 を 超 え て 同 一 の派 遣 労 働 者 を 受 け入 れ て
いる 派 遣 先が当 該 同 一の 業務 に労働者を 雇い 入れ よ う と す る と き は、 当該派遣
労働者 に対 し、 雇 用 契 約の 申し込 みをしなければならない。
(3)
4
厚生労働大臣は 違 反 者に 対し、 指導 ・助言 →雇 用 契 約の申 込 勧 告→公 表
紹 介 予 定 派 遣 の導 入
(1)
内容
派遣労働契約終了後に 直用申込の 可 能 性を 予定
(2)
問題点
試 用 期 間は 解雇権留保付雇用契約 との 法的解釈の 脱法
Ⅲ
今回 の法 改 正の 問題点
今 回の改 定は 、労働法制 の規制緩和路線 の延長線上
正 規 労 働 者の 不 安 定 雇 用 労 働 者への 置き 換え 促進
長時間労働促進
- 4 -
専 門 的2 6業 種
1
コ ン ピ ュ ー タ ー の システム の設計若 しくは 保 守 又は プ ロ グ ラ ムの設 計、 作 成 若し
くは 保守
2
機械等の 設計 ・製 図
3
放 送 番 組 等の 映像 ・音声機器 の操作
4
放 送 番 組 等の 演出
5
事 務 用 機 器の 操作
6
通 訳、翻 訳、 速記
7
秘書
8
ファイリング
9
市場調査
10
財務処理
11
対 外 取 引、 国内取引の 文書作成
12
高度の 機械 の性 能、操 作 方 法の紹 介・ 説明
13
添乗、 送迎 サービス
14
建築物 の清 掃
15
建 築 設 備の 運転 、点検 、整 備
16
ビル受 付・ 案 内 等
17
研究開発
18
事業の 実 施 体 制 等の企 画・ 立案
19
書籍等 の制 作 編 集
20
商品・ 広 告 等の デ ザ イ ン
21
インテリアコーディネーター
22
アナウンサー
23
OA インストラクション
24
テレマーケティング
25
セールスエンジニアの 営業
26
放送番組等 における大道具 、小道具等 の制 作・設置等
- 5 -
1
有期雇用 の 雇止 め に関 する 判 例 分 析
【契約関係 の型 】
①
純粋有期契約型
②
実 質 無 期 契 約 型・ ・ ・実質的に 期間 の定 め の な い契 約と異 ならない
③
期 待 保 護(反 復 更 新) 型・・・ 有 期 雇 用で あ る が反復更新 に よ り雇 用 継 続
の 期 待 権が 生じる
④
期待保護 (継続特約 )型 ・・・ 有期雇用 で あ る が継 続する 特約 が あ る
【判断要素 】
ⅰ
業務 の客 観 的 内 容
ⅱ
契約上 の地 位の 性格
ⅳ
更新 の手 続・ 実態
ⅴ
他の労働者 の更新状況
ⅲ
当事者 の主 観 的 態 様
ⅵ
その 他
【判断内容 】
①型
→期 間 満 了に よ り契 約は当 然に 終了
② ∼ ④ 型 → 「解 雇 に 関 す る 法 理の 類 推 適 用 」「信 義 則 上 の 要 請 」「 更 新 拒 絶 権
の濫 用」 などの 法理 により 、契 約の 終了を 制約
2
有期雇用 の 雇止 め に関 する 判 例
・東芝柳町工場事件最高裁判決 (1974 /7 /22 )・・・② の型
基 幹 臨 時 工として 雇われ 、2 ヶ月の 契約期間 が5回 な い し23 回 更 新
当事者 双 方 とも、 当然更新 さ れ る べ き労働契約 を締 結す る意思 であったもの 、期
間 の定 めのない契 約と 実 質 的に 変わらない 状態 、雇 止め の意思表示 は実質的 には
解 雇の意 思 表 示、 信 義 則 上も 許されない →解雇法理類推適用
・平安閣 事 件 最 高 裁 判 決( 1987/ 10 /1 6)
パート と し て採用 され 、1 年 契 約を 12回 、8 回、 更新
定 めは 一応 の も の で、 当然更新 されるべきとの 前提
実質 に お い て は期 間の
雇 止めの 意思表示 ・特 段の
事 情が必 要
→ 主 張 立 証が な い の で契 約は 存続
・龍 神タクシー 事 件 大 阪 高 裁 判 決(1 9 9 1/ 1/1 6)
臨 時 雇 運 転 手と し て1 年 契 約で 採用 さ れ た が、 使 用 者は 契約満了時 に解 雇 予 告手
当 を支 払い 、解雇 の意 思 表 示
雇用契約の 実態 に関 する 諸般の 事情 に照 ら せ ば、
そ の雇 用 期 間に つ い て の実 質は 期間 の定め の な い雇 用 契 約に類 似、 契約期間満了
後 も雇用継続 を期 待す る こ と に合 理 性を 肯認 できる 。
→ 更 新 拒 絶に 特段 の事情 がないので 、信義則 に反し 許されない 。
・丸子警報器雇 い止 め事 件 東 京 高 裁 判 決( 1999/ 3/ 31)
臨時社員 と し て採 用され 、2 ヶ月の 期間 を、 112 回、 94回更新
雇 用が 長 期 間に及 んでいる 場合 には 、労 働 者の 側に 継続雇用へ の期 待が 生じ る。
そ の期待 は、 期間 の定め の な い雇用契約 におけると 同様
使 用 者 側の 一方的都合 で雇 止め を す る こ と は、 権利 の濫 用の法 理ないし 信 義 則に
- 6 -
よ り規制 さ れ る の で、整 理 解 雇の4 要件 に準 じる検 討 必 要
→ 経 営 上の 必要性 が認 められず 、十 分な回 避 措 置、 労 使 間の事 前 協 議を 経ていな
いので 、雇 い止 めは権 利の 濫用に あ た り、 無効
・エ ー ル フ ラ ン ス事件大阪地裁仮処分決定 (2000 /5 /9)
航 空 会 社の 契 約 社 員が 労働条件 の明確化を 求め て疎 まれ 、2度 目の 更 新 時に 雇い
止 め上 司が 「正 社 員に な っ て も ら い た い 」 と発 言し た こ と は、 更新 に対 する 期待
をもたらすもので 、更 新を 予定 した 契約で あ る か ら 、更新拒絶 には 合 理 的 理 由が
必 要。業務量 の減 少はそれほどではない 。
→ 雇い止 め無 効
・瀧 澤 学 館 事 件 盛 岡 地 裁 判 決( 2 0 0 1/ 2/ 2)
1 年の契 約 期 限は 試 用 期 間、 解約権行使 は社会的相当性 がなく 無効
・東 京 国 際 学 園 東 京 地 裁 判 決( 2 0 0 1/ 3/ 15)
専 修 学 校の 英 語 教 員の 雇止 め に つ い て、有 期 契 約で は あ る が、 使 用 者の 発言 ・試
用期間 の存 在・雇 用 期 間の 長さ ・職 務 内 容 等々 から 、労働者の 長期雇用 への 期待
に 合理性 あり 、解雇法理類推適用、 整理解雇 の4要件全 ての充 足が 必要
→ 有 期 契 約 者や非 正 社 員と い う だ け で正 社 員よ り簡 単に 優先し て雇 用 調 整できる
も の で は な い の で、雇 い止 め無効
・三精輸送機事件京都地裁福知山支部判決 (2001 /5 /13 )
常 用と 呼ばれる身 分で 1年 ご と に請 負 協 定 書を 更新 し工 場で働 いた 原告 は、 労働
者 、実 質において 期間 の定 めのない 契約に 類似 し、 契約継続の 期待 に合理性 あり
→ 雇い止 め無 効
・カンタス 航 空 事 件 東 京 高 裁 判 決(2 0 0 1/ 6/2 7)
外国航空会社 の客 室 乗 務 員に 対し 、人事担当者 が「( 5年後 の雇用継続 について )
心 配 し な い で い い 。」「 5 年間 の 契 約 を 何 度 も更 新 す る 」 等期待 を 持 たせる 言 動
をして 契約社員を 採用 、職 務が 専 門 性を有 し臨時色 が薄 い、解 雇の 法理 が類推適
用 される 。
→ 雇い 止め 時点で の会 社の 経営状況 に照らして 、雇 い止 めを信 義 則 上 許 す特 段の
事情も な い の で 、雇い 止め 無効( 逆転判決 )
3
有期雇用 へ の不 利 益 変 更に 関 する 判例
・情 報 技 術 開 発 事 件 大 阪 地 裁 判 決(1 9 9 6/ 1/2 9)
育 児と 仕事を 両立 するため 正 社 員から 有期 パートに変 わ っ た経 過に照 ら せ ば雇 い止
めには「 正 社 員の 解雇に 準ず る」や む を え な い特段 の事 情が必 要
→ 雇い止 め無 効
・紀 伊 高 原 事 件 大 阪 地 裁 判 決( 1 9 9 6/ 6/ 20)
ゴルフ場専属 ゴルファー の雇 い止 め に つ い て、 正社員 から 有期契約 に切 り換え た後 の更
新手続きがされておらず 、黙 示の更 新( 民法 629 条2 項)により 期間 の定めのな
い 契約と な っ た。
- 7 -
→ 解雇無効
・葉山国際 カンツリー倶 楽 部 事 件 横 浜 地 裁 判 決(1 9 9 7/6 /2 7)
パートキャディーの雇 い止め
無 期か ら有 期に 契 約 変 更す る際 も地 位が 不 利 益 不 安 定に
なるこ と は 予定さ れ な か っ た。 更新 は1回 だが 、実質的 に期間 の定 めのない 状態
「解雇 が許 さ れ る場合 と同 等の事 由の 存在 が必要 」
→ 雇い止 め無 効
・飯 田 物 流 事 件 大 阪 地 裁 判 決( 1 9 9 7/ 10 /16 )
期 間の定 め な く雇 われた 常勤 パートが 途中 から 期間を 1年 とする 契 約 書 作 成
→ 有利 な条 件の提 示もなく 、仕事上 のミス も な い の に、 地位を 不 安 定にする 契約
に自 ら変 更するとは 考え ら れ な い 。契 約 書の 期間制限 は格別 の意 味を 持た ず期
間の定 めのない 雇用契約上 の地位 を有 する 。
・駸 々堂事件最高裁判決( 1999/ 4/ 27 )
期 間の 定めのない 契約 だ っ たア ル バ イ トが 会社合併 に際 して、 期間 を6 ヶ月 とし
時間給も 減額 と な る契約締結
→ 新契約 の締 結は 、応じ な け れ ば従業員 としての地 位を 失う と の誤 信に よ る も の 。
要素の 錯誤 で無 効
・ヘ ル ス ケ ア セ ン タ ー事 件 横 浜 地 裁 判 決( 1999/ 9/ 30)
有 期の 薬 剤 師が契 約 期 間を 1年 から 6ヶ月 、3 ヶ月 と次 第に短 縮さ れ、 つ い に打
ち 切ら れ た が、期 間 終 了ごとに 当然更新を 重ね て期 間の 定めのない 契約 と実質的
に 異ならない 状態
→ 正 社 員と 有期契約者 では 自ずから 合理的 な差 異が あ る と し て も、 経営悪化 を理
由に今 直ち に人員削減 の必要性が あ る と は 言えず 、雇 い止め 無効
- 8 -