徹明ハートフルデイ「校長の話」原稿

徹明ハートフルデイ「校長の話」原稿
わたしと小鳥とすずと (金子みすず [1903-1929] の詩)
私が両手を広げても、
お空はちっとも飛べないが、
飛べる小鳥は私のように、
地面(じべた)を速くは走れない。
私が体を揺すっても、
きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のように
たくさんの歌は知らないよ。
鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
「みんなちがって、みんないい」とは、一人一人がそれぞれに光り輝く大切な存在だ
ということです。あなたはあなた、あの子はあの子、私は私、…「みんな、それぞれ違
うんだよ。でも、みんな、それぞれに素晴らしいんだよ。」ということです。
そして、「みんなちがって、みんないい」は、「あなたは、あなたでいい」が最初に
あります。「私は、私でいい」は後です。「私は、私でいい」から始めてしまうと、「好
き勝手してもいい」「人を傷つけてもいいんだ」になってしまいます。これは「私とあ
なた」自分中心の眼差しです。金子みすゞさんの眼差しは「あなたと私」相手が中心で
すから、「あなたは、あなたでいい」が最初にあるのです。「みんなちがって、みんな
いい」は、自分自身に使う前に、まず、相手の方に向かって使う言葉です。
全ての存在が、そのままで素晴らしいと気づいた時、
「私」自分中心だった眼差しが、
「あなた」相手に向かっていくのです。ですから、
「私と小鳥と鈴と」という題で始まっ
て、それぞれの素晴らしさに気づいて眼差しが変わり、「鈴と、小鳥と、それから私」
というように、私が最後にくるのですね。「私と小鳥と鈴と」の詩を、もう一度読んで
みたいと思います。校長先生に続いて、声に出して唱えてみてください。
わたしと小鳥とすずと
私が両手を広げても、
(わたしが 両手を ひろげても、)
お空はちっとも飛べないが、
(お空は ちっとも とべないが、)
飛べる小鳥は私のように、
(とべる 小鳥は わたしのように、)
地面を速くは走れない。
(じべたを はやくは 走れない。)
私が体を揺すっても、
(わたしが からだを ゆすっても、)
きれいな音は出ないけど、
(きれいな音は でないけど、)
あの鳴る鈴は私のように
(あの鳴るすずは わたしのように)
たくさんの歌は知らないよ。
(たくさんの歌は 知らないよ。)
鈴と、小鳥と、それから私、
(すずと、小鳥と、それからわたし、)
みんなちがって、みんないい。
(みんなちがって、みんないい。)