伊勢湾台風を機に、わずか308人の共同出資よってスタートし、 いまや6万4千名の組合員を擁す、南医療生協の笑顔と親切の Club Nagoya おすすめシネマ あふれる50年の活動を追ったドキュメンタリー映画 だんらんにっぽん 愛知・南医療生協の奇跡 6月9日 (土)∼6月29(金) 名演小劇場にてロードショー! お問合せ/名演小劇場 ☎052-931-1701 名古屋市東区東桜 2-23-7 「だんらんにっぽん」 について 映画評論家 佐藤 忠男 この映画は、病院や福祉関係のさまざまな施設を自分たちで作り、 そ こで老人や障害者などの介護に当っている人たち、運営に当っている 人たち、 そして安心してそのお世話になっている人たちの、 それぞれに 豊かな表情によって成り立っていると言っていい。 名古屋方言で 「なも 」 と名づけられたグループホームに入って元気になったという認知症 の老人のなごやかな表情。 そしてそれを自分のことのように喜んでい る施設の関係者たち。 筋萎縮症の患者さんが映画が好きで、 映画館で 映画を見たいと希望する。 すると組合の人たちが映画館に頼んでそれ を実現させる。 これも患者さん本人の僅かに動く表情をはじめ関係者 の皆が上手くやれることでいい表情になる。 その感情の流れがとても 美しい。 なにか生活協同組合自体が、安心して人の世話になれるし、 世話をすることができる、 そういう共同体をつくり出したかのようであ る。 これはただ便利だというだけの結びつきではない。 その実感が全 体にゆったりと流れている。 稀に見る幸福感あふるる映画である。 「みんなちがって みんないい ひとりひとりの いのち輝く まちづくり」 南医療生活協同組合理事長 喜多村 敬 私が医学生のころ、 岩波新書から 「自分たちで生命を守った村」 という 本が出版されました。 当時 「医療の氷河期」 と言われた時代に乳幼児、 老人医療の無料化を成し遂げた岩手の寒村の沢内村の活躍が書かれ ている本です。 当時、 その活動に感動したことを今でも記憶しておりま す。 南医療生活協同組合は昨年創立50年を迎えることができました。 50年前、 全国から伊勢湾台風の救援にやってきた医療関係者の活動 をみて 「自分たちの地域にもこんな医療機関がほしい」 という思いから [ 南医療生協とは ] 伊勢湾台風が猛威をふるった1959年、名古屋市南部一帯 は海の底に沈みました。南医療生協の出発点となった星崎 診療所の若き医師達は、救援活動と医療活動に懸命に取り 組みました。そして、 ともに救援活動をした人々と地域の人々 が集って、 自分たちの手でいのちを守り、安心をつくろうと動 き出します。 この物語から始まった南医療生協は、地域医療、公害医療、 健診などの取り組みを始めとし、様々な活動を行っています。 「みんなちがって、 みんないい。 ひとりひとりの いのち輝くまち づくり。」 をスローガンとして巨大な組織になった今もなお、集 団よりも個人の尊厳を尊重する姿勢を貫いています。 現在ではその活動も名古屋市南部を中心に南は知多半島か ら北は瀬戸市東は岡崎までの広い範囲となりました。組織と しては、11のブロックと40の事業所、900以上の班があり、 約6万4千人の会員が地域で独自の活動をしています。そん な会員のひとりひとりの思いが、誰もが安心して暮らせるま ちづくりを支えています。 「作品解説」 南医療生協には笑いと親切が満ちあふれています。6万4千人を有 、 わずか308名の組合員、 ひとつの診療所からスタートし、 いまや6万 する生活協同組合にもかかわらず、会員たちは自分の言葉で自由に くりなどの40の事業を営むまでに発展してまいりました。表題の基本 で、集団よりも個人の尊厳を尊重し活動しているのです。全く信じら 心と自分を慈しむ心だと思います。 その心構えを組合員・職員がもって が見えるのです。 この摩訶不思議な組織体に驚き、やがて感動し、 くまちづくり」 が出来るかを真剣に模索してまいりました。家庭や地域 の『だんらんにっぽん』は、 『いのちの作法』 『 葦牙』に続く小池監督 護にささえあい、 たすけあいのネットワークを」 「地域の役場になろう」 Discover true Japan」 を標榜し、 日本社会が発展する中で捨て れに続く原発の事故があり私たちは、家族や地域の絆がまだ有ること そうしたものの中から次代に受け渡すべきものを掘り出していく映 4千名の組合員を擁し、 その活動も医療のみならず、 介護福祉・健康づ 理念の 「みんなちがって みんないい」 とは、相手を認めるおおらかな 多くの地域の人々と語りあう中でどうしたら、 「ひとりひとりのいのち輝 発言し自己主張します。個人よりも集団に重きを置く現代社会の中 れないことですが、巨大組織にもかかわらず会員ひとりひとりの顔 小池征人監督にドキュメンタリーで撮ろうと呼びかけました。今回 に 「だんらん」 を取り戻すために 「無縁社会から有縁社会へ」 「医療、介 の いのち の三部作の総集編でもあります。私たちはこの15年、 「 の3つのキーワードのもとに活動しています。昨年、東日本大震災やそ 去ったもの、忘れ去ったもの、地方で辛うじて生き残っているもの、 やその必要性に気がつくことができました。 日々の生活の中で、 支えあ 画作りを行ってきました。明日から踏み出す未来は常に白紙であり、 ていると思います。 「利己的社会から、 支えあい助けあいの協同の社会 ような役目を果たすことができればと思っています。私たちは、その らん まちづくり」 を南医療生協は目指していきます。 の姿を発見できたのだと思います。 い助けあいの協同の輪をコツコツと広げていることがこの映画に現れ への変換を」 「あっちでもこっちでも ささえあいたすけあい 地域だん パンフレットより一部抜粋ー ー 転びそうな時間の連続です。そんなときこの映画も電車の吊り革の 中で現地の人たちと 「だんらん」 を通して本来のあるべき 「にっぽん」 c 2011「だんらんにっぽん」製作委員会 ○
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