一人ひとりの気持ちに寄り添い現場の視点で考える

実践
一人ひとりの気持ちに寄り添い
現場の視点で考える
草の根的な活動を重視
女性活躍推進のプロセスにおいては、段階的に取り組みを拡
げられていったようですね。
本日は日本生命におけるダイバーシティ推進の取り組みにつ
いて、責任者としてプロジェクトを牽引してこられた山内さんに、
最初は女性の育児に関する制度への要望が多かったため、どうし
これまでのご苦労や成功要因などを中心に話を伺いたいと思い
ても両立支援から着手せざるを得なかったのですが、そうすると独
ます。まずは女性の活躍をテーマに平成20年に立ち上げられた
身の女性や男性から自分には関係ないという雰囲気が伝わってきま
「輝き推進室」について、スタートの経緯からお話しいただけま
した。そこで多くの従業員に自分事として受け止めてもらうことを
すか。
目的に、2年目からワーク・ライフ・バランスの推進に取り組みま
した。
日本生命は従業員約7万名のうち約9割が女性という会社です。
すでにリーダー的立場で多くの女性が活躍しているために、あらた
して早く帰るという誤解がありましたが、本来は
「働き方を見直す」
めて女性の活躍推進を打ち出すのは容易ではありませんでした。持
ことがポイントです。つまり誰もが仕事と仕事以外の時間の充実を
てる能力を最大限に発揮することを目的として、今まで以上に質の
はかるためにメリハリのある働き方にすることです。誤解を解くた
高い働き方を目指してもらうために、輝き推進室としてどのような
めに、自分の人生を自分でマネジメントするという趣旨で
「ワーク・
メッセージを社内に発信するかということに悩みました。
ライフ・マネジメント」という表現を使ったりもしました。仕事の質
新しい部署ができると、また何かやらされるのではないかという
を落とさずに時間をつくるには、いかに効率よく仕事をするかが重
雰囲気になりがちです。一人ひとりが
「やらされ感」でなく取り組み
要なので、ワーク・ライフ・バランスというのは、本当は厳しいこ
を前向きに捉えて欲しい、また、多くの事業所では若手層とベテラ
とを要求していることでもあります。
ン層という二極化が進んでいたため、コミュニケーションも良くし
働き方の見直しは本人とその職場や上司の理解が必要であるた
たいと考え、「主体的に考え行動する」・「育成する風土づくり」とい
め、専門家の話を聞き、専門書を熟読し、そこから得た知識をま
うメッセージを発信していきました。全国にある事業所に訪問し、
とめた、ワーク・ライフ・バランスハンドブックを作成しました。そ
メッセージを共有しました。取り組みのコンセプトも男女や年齢な
のハンドブックを元に、昼休みを活用してワーク・ライフ・バラン
どに関係なく、「一人ひとりが輝きイキイキと仕事をすることで会社
スの勉強会を行うなど理解浸透に努めました。そして、推進対象を
も個人も成長し続ける企業へ」
と定めました。
個人から組織単位に引き上げ、課長クラスを対象としワーク・ライ
取り組みを進めていく上で重視したのは、周りを巻き込むことと、
日本生命保険相互会社 執行役員 CSR推進部長 (ダイバーシティ推進担当)
山内 千鶴
Chizuru Yamauchi
当時は、ワーク・ライフ・バランスというと、ほどほどに仕事を
フ・バランス研修や組織生産性向上に向けた課長塾、若手や女性
草の根的なボトムアップ型の活動でした。弊社は北海道から沖縄
など多様な価値観を受け容れる闊達な風土醸成を目的とした管理
まで全国に事業所があり、トップダウンで進めていっても本質の部
職フォーラムなどを実施しました。
分が伝わらないと思ったので、社内の声を吸い上げ、一人ひとり
また、全事業所で輝き推進リーダーを任命し、彼女たちには周
の気持ちに寄り添いながら進めていこうと考えました。個々人の意
りの人たちを元気にする取り組みを何でもいいから自由にやって欲
識や職場風土を変えるには時間をかけ丁寧に取り組む必要があり
しい、ということをお願いしました。現場が提案してくれたことはど
ました。
んどん支援していこうと思い、現場に出向いて対話をする機会を増
まずは輝き推進室ができたことを知ってもらうために社内ホーム
やしました。
ページを開設し、声を拾う仕組みとして
「ご意見箱」を設けました。
すると、九州ブロックのリーダーたちが自発的に集まって、全社
部に配属。支社にて窓口業務に従事したのち、
意外だったのは、両立支援制度に対する要望が多かったことです。
的に開催した輝きフォーラムのミニ版のような輝きセミナーを地元
人事部にて採用・教育研修を担当。1999年総
しかし、その大半はすでに充実しておりました。本人も上司もその
で開いてくれたのです。それまで周りの支社同士が交流する機会は
ことを理解していないことがわかり、そこで、仕事と育児の両立に
少なかったのですが、それによって横とのつながりができるように
を経て、2 0 0 8 年より人 事 部 輝き推 進 室( 室
関するハンドブックを作成しました。工夫したのは、ハンドブック
なり、その後全国の地域でも同じようなセミナーが広がっていきま
長)、2014年よりサービス企画部(担当部長)、
の冒頭に社長のメッセージを顔写真とともに載せたことです。子育
した。熱い想いというのは伝播していくものなのだなと思いました。
1975年日本生命保険相互会社に入社、総務
合職へコースを変更後、営業部にてマネジメン
ト職務・ライフプラザ店長・労働組合執行部等
2015年より現職務。
ての経験は仕事をする上での新しいアイデアや部下育成などに役に
立つという、期待感を込めたトップメッセージです。
私たちも輝き推進リーダーを支援するために、社内ホームペー
ジにモチベーションを上げるワンポイント
「輝き講座」を毎月提供し
ていきました
(40講座)。マズローの法則や教会を造る石積み職人
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しました。取得期間は全員が取得しやすい1週間程度としました。
る調査で当社の男性育児休業取得者数はわずか数名で、他社は2
う冊子を作成しました。
「あ
数名が長期の休暇を取得するよりも1週間程度でも全員が取得する
桁・3桁という数字でしたので、それを見た経営層は認識を改め、
なたの心に響いたひと言は
ことに価値をおきました。その方が意識改革ができるからです。
男性育休取得の重要性を理解してくれました。
何ですか」
というアンケート
平成25年度に男性育休取得率100%を目指して全社運動を始め
により社員から集めた言葉
ましたが、当初は、現場はまったく本気にしてくれなかったですね。
に加えて、言葉の贈り物と
これに関してはトップダウンが有効でした。担当役員に加え、社長・
会長・副会長があらゆる機会を捉えて、「今年は男性の育児休業
輝き推進室の取り組みを通じて大きく変わったことは何でしょ
うか。
を織り混ぜています。
100%を目指す」と発信してくれました。個人から組織単位、そし
て経営レベルへと取り組みをステップすることができました。
また、100%達成できたのは人事部のフォローが大きかったです。
対象者の所属長は本人と話し合って育児休業取得計画を立て、人
事部に提出します。計画通りに育休取得が実行されていないと、
いう本の中から拾った言葉
また、これは、男性管理
1つは女性の配属先が広がったことや女性管理職が増えたことで
職にとっても、どういうタ
す。部門単位で女性の育成を考え、女性の管理職を登用したいと
イミングでどのような言葉
思う部門長が増えています。
をかけたら女性部下のモチ
もう1つは、男性の育児参画に対する違和感が薄れてきたこと。
ベーションがあがるのかと
人事部が所属長に問い合わせをし、取得するまでフォローしてくれ
子どもが生まれたら、「いつ育児休暇を取るの?」という会話が自然
いうことのヒントにもなり
の使命感の話など、考え方や内面を磨くための内容です。現場で
ました。社内一体運営の中で、平成25年度に279名の男性が育休
とできるようになりました。
ます。
彼女たちも話をする際に話材が欲しいと思うんですよね。日々の仕
を取得し100%を達成することができ、平成26年度も318名が取
事で忙しいから、元気を与えたり、プラス思考になるようなちょっ
得し、2年連続100%達成しました。
とした武器が。
現在は1週間程度の育休取得を推奨していますが、いずれは本人
インタビュアー
小串 記代
株式会社富士ゼロックス 総合教育研究所
執行役員研究開発&コンサルティング部長
が希望する期間を取れるようになれば良いと思っています。今後は
山内さんご自身もこれまでに心に響く言葉をかけられたり、
それ以外に工夫したことは、育休を取得した男性社員の育児体
育児だけでなく介護でも同様に気兼ねすることなく、休みを取得で
験記や所属長のメッセージをホームページに掲載し、育休に対す
きるようになれば良い。ライフの部分にも気を配ってくれて自分た
2000名に会うといった内容とし、3年目はワーク・ライフ・バラン
る不安感や抵抗感を取り除くように努めました。体験記には、寝返
ちを応援してくれる会社だということに、そして社会全体に影響を
スの講義を2400名にする、4年目以降はセミナー等の参加者満足
りの瞬間に立ち会えた時の感動や、上の子が下の子の面倒をみて
与えることに、自分たちの会社を誇りに思うという社内の声は嬉し
度90%以上、社内ホームページのアクセス数月平均5000件、な
子どもの成長を実感する、家族の絆が深まり仕事へのやりがいにつ
いですね。
どの目標を立て、PDCAを廻すようにしました。
ながった、育休を取らせてくれた上司や職場に感謝してやる気が高
生でしたし、すでに主任という役職にも就いており、その先は考え
まったなどの感想があり、実体験を通じて気づくことがたくさんあ
ていませんでした。そのとき上司から言われたのが、「自分のことだ
数値目標としては、
当初は輝き推進室の設立趣旨を伝えるために、
り、やってよかったと思いました。
男性の意識改革に取り組む
男性の育児休業取得の取り組みに関しては、現場からの抵抗
もあったのではないかと思います。どのようにして進められたの
きっかけを与えてくれた言葉
働く動機付けに関わってきますね。その辺りはいかがでしょうか。
されたのですか。
でしょうか。
私が総合職へコース変更をしたのは42歳のときでした。上司か
ら打診を受けたのですが、実は迷ったのです。下の子供がまだ高校
確かに会社の価値観にどれだけ共感できるかというのは、
トップ層への働きかけというのは、具体的にどのようなことを
背中を押されたご経験はありますか。
けでなく後輩のことを考えろ。誰かがいばらの道を切り拓いていか
ないと後輩は苦労するばかり、それが今の君の役割だ。」という言葉
でした。また、別の上司からは、
「子供のことと総合職になることは、
話の軸が違う。子供の側を離れられないというのは配属の問題だけ
れど、総合職になるというのはチャレンジの幅を広げて自分が成長
スキルや知識というのは座学で身につけることができます。しか
したいかどうかだ」と。頭が整理できました。夫にも相談し、「声が
経営トップに対しては感謝していることがあります。厚生労働省
し、モチベーションというのは、誰かに語りかけられたり、良い本
かかるということは期待感の表れだから、君がやりたいなら応援す
男性の育児休業取得促進を考えたきっかけは、一般的に女性に
のホームページに掲載されている
「ポジティブアクション宣言」に
に巡り合ったりなど、それが自分の心にどう響いたかに大きく影響
る」と背中を押してくれました。そうした言葉をかけてくれて、応援
比べて男性の取得ができていないという社会的な課題があり、当社
トップメッセージを登載したいと相談に行った際、女性の活躍推進
されると思うのです。女性は背中を押してもらったことがきっかけ
してくれた人を裏切れないと思い、ここまでこられたと思います。
も同様であったことです。当時、ランチタイムを利用した
「パパママ
を
「経営戦略」として位置づけてくれたことです。社長から
「これは
になったとよく言います
総合職になって営業現場に出たときも、女性の上司に言われた言
ランチ交流会」を実施した際に、若手の男性は育児にも参画したい
単なる掛け声じゃない、会社が発展していくためには女性に活躍し
よね。私は人が成長す
葉が心に刺さりました。営業経験もなく、いきなり管理職という立
という要望が強いことがわかりました。会社としてそういう要望を
てもらいたいと思っている。だから経営戦略なのだ。本当に女性に
るのは、「能力の差とい
場に立たされ、不安で悶々としていたら、「管理職は社長と同じ。
かなえてあげることが勤労意欲を高め、働き方の見直しにもつなが
期待しているのだ」と直接言っていただきました。今までやってきた
うよりきっかけの差」で
あなたが社長だったら今の自分を雇うか」と。40歳を過ぎると叱ら
り、結果、仕事の生産性を高めることになるという個人と会社にとっ
ことを評価してもらえたと嬉しく思いましたね。
あると思っています。そ
れることが少なくなっていたので、グサッと来ましたね。おかげで
経営層に話を持っていくときに工夫したのは、データなどを活用
のきっかけを与えるの
自分自身、キャリアの学び直しができたと思っています。言われる
上記の交流会に参加した男性社員を中心とした意見や専門書で
した課題の見える化です。具体的には国(法律)
などから要請されて
は、 心に響いたひと言
立場より言う立場の方がとてもエネルギーが要ることなので、本当
勉強しながら、平成24年度にイクメンハンドブックを作成し、男性
いることができているかや、ランキングなど他社との比較の中で当
だったりするので、「心
にありがたいですね。
の育児休業のイメージをマイナスからプラスに変えるような内容に
社の課題を明確にすることです。当時、育児休業取得者数に関す
に響いたひと言集」とい
て好循環になると考えました。
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現場主体の社会貢献活動へ
富士ゼロックスにおいてもCSRは経営そのものであり、人材
の育成にも寄与するという認識があります。社会の課題を解決
今年度から執行役員に就任するとともに、CSR推進部長とし
したい、世の中の役に立ちたいという思いは一人ひとりの中に
て社会貢献活動にも携わられていますが、どのような取り組み
あって、だから会社の社会貢献活動に共感して一生懸命に取り
を展開していきたいと考えていますか。
組むのでしょうね。
CSR
(Corporate Social Responsibility)とは、企業の社会的
世の中の役に立ちたいという思いは多くの人の心の中にあると思
責任で、持続可能な社会をつくるために企業が果たすべき責任と捉
いますし、役に立ってありがとうと言われることが仕事のやりがいに
えています。少子高齢化や人口減少問題、地球温暖化など様々な
つながるというのはよくある話ですね。
日本生命の社会貢献のあゆみについて
日本生命は、明治22年の創業以来、「共存共栄」「相互扶助」という
セイの森は全国で187か所、130万本を超えました。平成26年度の林
お互いを支え、助け合い、社会と共に発展するという生命保険事業の
野庁の試算によると、年間で約5300名分の年間排出量に相当する
基本精神に基づき、お客様に
「安心・安全」をお届けすることが社会的
CO2の吸収、約20万名分の年間飲料に相当する水の浄化、10tトラッ
使命です。
ク937台分の土砂流失防止など、ニッセイの森の環境保全貢献による
経済価値は約8700万円と評価されました。また、今年度、この取り組
社会的課題の解決に向けて、企業としてどう貢献するかが重要だと
この全役職員でのCSR活動を通じて気づいたことが2つあります。
考えています。
1つ目は、一人ひとりの社員の心に潜在的にある
「善意の心」が顕
る病院として大阪で初めて、日生病院を開院し、生活困難者対象の無料・
在化し、現場の知恵も加わり、心温まる活動につながっているとい
低額診療や、社会福祉施設での無料健診、母子家庭対象の無料公募
うことです。
乳がん検診などを継続して行っています。
今年度から全役職員 7 万人の社会貢献活動として「ACTION
CSR-V」という取り組みを展開しています。弊社はこれまでも地域
地域社会への貢献として、昭和6年に企業が創った誰でもが受診でき
みが評価され、「平成27年度地球温暖化防止活動環境大臣表彰」を受
賞しました。
平成23年度からは、金融・経済環境が激変する今の時代、未来を
社会への貢献活動として全国にある支社が、清掃活動や植樹・育
具体的には、上野のライフプラザでは外国人の観光客に道を尋ね
樹活動など様々なボランティア活動に取り組んできました。今年度
られることが増えてきたようで、聞かれそうな英会話フレーズ集を
また、未来を担う子どもたちに対し、感動を与え、豊かな情操を育み
かな力」との社会要請に応えるために、当社の従業員が講師となって中
は、現場が主体となって地域社会の課題に目を向けてその課題を解
作成し、感心したのは上野支社全員で鶴を折り、その鶴と英語版
たいという願いから、昭和38年に日生劇場を建設し、
「ニッセイ名作劇
学生や高校生に対して保険の役割や将来を考えるライフデザインなどの
決する取り組みに発展していきたいと考えています。
の鶴の折り方をセットにしてプレゼントする取り組みを始めたことで
場」として50年間にわたり小学6年生を無料招待、現在も形を変えて継
授業を実施しています。今年度、この取り組みが評価され、
「第9回キッ
す。東京オリンピックなども視野に入れ、日本のおもてなし文化を
続。昭和54年に設立した日本生命財団は、
児童・少年の健全育成として、
ズデザイン賞(未来を担う消費者デザイン部門)」と、「第6回キャリア教
再考しようと若手が提案したようです。
昭和57年から47都道府県すべてについて助成を行っており、平成27年
育アワード優秀賞」
を受賞しました。
取り組みのヒントとして自治体との連携を投げかけたら、早速福
島支社から反応があり、福島県警が作成した
「振り込め詐欺未然防
担う子どもたちや若者に必要なのは、「現実の社会を生き抜くための確
止ビラ」を営業職員がお客様を訪問する際に配布するという提案で
また、命を尊ぶ生命保険会社としての使命感から、AEDの使い
す。実践すると県警やお客様から大変喜ばれ、地元のメディアにも
方の講習を受けて救命技能認定証を取得した本部の融資部門や、
取り上げられました。また、青森支社や岐阜支社では、県や市と協
それをガイドブックで見たライフプラザ松本が一次救命手当講習を
環境面では、平成4年にニッセイ緑の財団を設立し、かけがえのない
定を結び健康診断等の受診勧奨や、「バースデー検診」と銘打った
受けたり、佐賀支社でも窓口に来られたお客様に佐賀県の生命保
地球環境を次世代へ伝承していくために全国で森づくりを実施し、ニッ
がん検診受診促進に取り組むなど、現場発のアイデアで様々な活動
険協会と警察本部が作成した
「振り込め詐欺未然防止ビラ」を見せ
が拡がってきています。
て説明し、ご自宅の電話の近くに掲示するように促す取り組みを始
度までの実績として、1万2千団体・80億円の助成を実施しています。
上記以外に、今年度、ニッセイ文化振興財団(日生劇場を運営してい
る財団)と、ニッセイ緑の財団それぞれが
「キッズデザイン賞受賞(復興
支援デザイン部門)」
を受賞しました。
めました。
2つ目は、この取り組みを通じて、社会的課題に目を向ける機会
そうした活動に対して、山内さんの方からはどのようなサポー
トをされているのでしょうか。
となり、それを解決するために自ら考え実践する社員が増えてきて
おり、人材育成につながると確信できたことです。社会的課題は、
ビジネスにとってはまさにニーズになります。本業においてもニー
今回も活動を推進していくためにガイドブックを作成し、冒頭にC
SRを推進する意義などを記載して社内にメッセージを発信してい
ます。加えて横展開できるように好取組事例を登載しています。
また、もともと地元で仕事をさせてもらってありがたいという意
ズを的確に把握することで、新たな事業・商品開発・サービス開発・
コンサルティング営業等につなげていくことができます。
最後に、今年度より新3か年経営計画において社長を座長とした
全社運動
「人材価値向上プロジェクト」
がスタートしています。
これは、
識があり、現場にしてみれば、取り立てて言うほどのことではない
自らの職務に高い
「使命感」
と
「誇り」
を持ち、人としての魅力あふれる
と思っているかもしれませんが、私たちはそれを吸い上げて、価値
『人財』
の育成を目指すものです。CSR活動は、人材育成の原点です。
あるものにしたいと考えています。自分たちがやっていることは社
インタビューを終えて
株式会社富士ゼロックス総合教育研究所
執行役員研究開発&コンサルティング部長 小串
記代
今回のインタビューでは、
男性・女性、既婚・未婚の区別なく、誰もがそれぞれの能力を最大限に
発揮し、
イキイキと輝いて働くためには何が必要か、
ダイバーシティ推進の本質と精神に触れさ
せていただいた。
「成熟社会の中で社員一人ひとりが抱える多様な状況で、
いかにイキイキと輝
けるか」
という問いに対する答えは、制度の充実だけではなく、一人ひとりの
「心が喜ぶ」
ことを
探求し語りかけ、
それを会社が支援するという現場に根差した活動の精神にあると感じた。山
内役員のこれまでのお取り組みは、人が輝くために最も大切なことは、
「何かを語りかけられ、
単に本社部門から施策が下りてくるのでは、人は動かない。
心が動く」
という他者との精神的触れ合いを組織活動の原点に置いていらっしゃることであっ
ションが上がりますよね。ですから、現場が考えた提案を吸い上げ、
心の触れあいを大事になさっていることが相手にも伝わるから、
た。
その思いは、社員の皆様が自分の仕事を他者と社会に自発的に結びつけてとらえる意識を
さらに意義あるものにしていくためにはどのようなサポートが必要か
動いてみようという気持ちになるのですね。本日はお話を伺い
ということを一緒になって考えることもあります。
ながら元気をいただきました。どうもありがとうございました。
会的価値があるのだということを再確認できたら、さらにモチベー
10
促し、
自分にとって働く意味をあらためて考えさせるものとなっていることに感銘を受けた。
11