中国語学習のための基礎知識

中国語学習のための基礎知識
ー 社会生活編ー
“新文学运动”xïn wénxué yùndòng
1911 年辛亥革命により数千年続いた君主制が廃止さ
れ、西洋文化と列強の流入によってさまざまな変化が起
こりました。この時代、反封建、反帝国主義を主な内容
とする文学革命がおこり、陳独秀、胡適、魯迅などが
提唱した “新文学运动” が始まりました。それは貴族文
学、古典文学をやめ、“言文一致” yán wén yízhì、“白话文”
báihuàwén(口語文) による平易な国民文学、通俗的社会
文学、写実文学を目指すものでした。統計によると 1919
年下半期から全国の “白话文” 刊行物
は 400 種類以上あったといいます。
代表的作家には魯迅 LŒ Xùn、老舎
Läo Shå、巴金 Bã Jïn、曹禺 Cáo YŒ、
郭 沫 若 Guõ Mòruò、 茅 盾 Máo Dùn な
どがいます。
● “鲁 迅” LŒ Xùn (1881-1936)
魯迅はもともと医学を学ぶため、日本へ留学しました。後に
中国を救うのは医学より国民の精神改造のほうが大切だと気
づき、医学生から文学青年に転身しました。1918 年『新青年』
で発表した『狂人日記』は現代 “白话” 小説の先駆けとなり、
その後の『薬』などは中国現代文学史の基礎を作り上げました。
“伤痕文学”shãnghén wénxué(傷痕文学)
1977 年から 1979 年ごろにかけて “知青” zhïqïng(文革
Topics
中国現代文学
“寻根文学”xún gën wénxué(ルーツ文学)
経済の発展につれ西側の文化が中国に入り、1980 年
代中期、中国文壇では伝統意識、民族文化心理を掘り起
こそうとする若手作家によって創作された一連の文学
作品は “寻根文学” と呼ばれています。阿城の《棋王》
Qíwáng が最も影響力を持つ作品です。“王安忆” の《小
鲍庄》Xiäobàozhuãng が “寻根小説” の優秀作品、韓少功
の《爸爸爸》は“寻根文学”の典型的作品と呼ばれています。
● “莫 言” Mò Yán (1955-)
2012 年ノーベル文学賞を受賞した莫言は中国
現代文学の流派である “寻根文学” の代表者の
一人です。彼は 1980 年代から作品を発表し、
国内外の数多くの賞を受賞しました。彼の初
期作品である《红高粱》Hónggãoliáng は、映
画化され、日本でも上演されました。
“80后文学”Bãlínghòu wénxué
1980 年代生まれの作家による文学です。物資的に
豊かな時代に生まれた彼らはより精神面を重んじてい
ます。その作品は前の世代の文学より開放的で、自由
です。代表的な作家に “韩寒” Hán Hán、“郭敬明” Guõ
Jìngmíng、“张悦然” Zhãng Yuèrán などがいます。
● “韩 寒” Hán Hán (1982-)
2000 年 “韩寒” の初の長編小説《三
時に農村に下放した知識青年)、知識人、幹部、都市と農村
重 门 》Sãnchóngmén が 出 版 さ れ る や
500万部を超え、この 20 年来、最大販
売部数を記録しました。《三重门》は多
くの “80后文学” と同様、愛と現実と
の葛藤に生きる世代を描き、受験勉強と個性的な成長の矛盾に
当時、中学校の教師であった “刘心
武”は、1977 年に《班主任》Bãn zhŒrèn(ク
ラス主任)という短編小説を発表し
ました。この作品は、文化大革命の
階級闘争や政治運動に翻弄された悲
惨 な 人 間 関 係 を 描 写 す る と と も に、
長きに亘って抑圧された人々の感情を喚起しようとしたもので
す。このようなヒューマニズムに満ちた作品は、思想解放と芸
術民主化の代表作になり、“伤痕文学” の発端となった作品と
されています。
悩む子どもの教育問題の現実を反映したものです。
の普通の民衆たちが文化大革命の時代(1966 ~1976) に
受けた悲惨な境遇を描いた一連の文学作品を言います。
廬新華の『傷痕』に基づく名称です。
● “刘 心武” Liú XïnwŒ (1942-)
“网络小说”wängluò xiäoshuõ(ネット小説)
最近の中国では、バスや地下鉄の車内で、携帯、タブ
レットなどを用いてネット小説を読んでいる人を多く見
かけます。その人口数は約 2 億とも言われます。一生懸
命作品を書き、作家を夢見ている人は 100 万人にも上る
と言われ、“起点” Qœdiän はネット小説を自由に投稿で
きる最も大きなサイトのひとつです。
そのほかに魯彦周の『天雲山伝説』、周克芹の『許茂と彼の
娘たち』なども “伤痕文学” の代表作です。
● “王 安忆” Wáng Ãnyì (1954-) 現代女流作家
“王安忆” は現代中国の文壇では最も影響
力のある作家の一人です。彼女は中学卒業後、
上海から安徽省の農村に行きました。早期の
作品である『この列車の終着駅』は、下放か
ら 10 年ぶりに都市に戻った上海青年が、仕
事や恋愛、結婚、住宅などの現実問題に直面
した際の複雑な心情を描写しました。
ある女性の 40 年に亘る恋愛を描いた彼女の長編小説《长恨
“茅盾文学奖”Máo Dùn wénxué jiäng
1981 年茅盾(1896-1981) の生前の希
望 で “ 茅 盾 文 学 奖 ” Máoduàn wénxué
jiäng が創設されました。これは茅盾
の 25 万元の寄付金を元にしたもので、
長編小説の最高賞で四年に一度選出さ
れ、文学者の育成に役立っています。
ほかに “鲁迅文学奖” LŒ Xùn wénxué jiäng、“老舍文学
奖” Läo Shå wénxué jiäng などがあります。
歌》Chánghèngë は茅盾文学賞を受賞しました。
2012© ASAHI e-text 編集委員