1.子宮腺筋症合併不妊症に対する治療成績および妊娠予後について

日エンドメトリオーシス会誌
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〔ワークショップⅠ― /子宮腺筋症合併不妊症の治療と妊娠予後∼妊娠合併症からみた治療方針の決定∼〕
子宮腺筋症合併不妊症に対する治療成績および妊娠予後について
山口大学大学院医学系研究科産科婦人科学
田村
博史,杉野
目的,方法
はなかった.
日本産科婦人科学会生殖内分泌委員会では,
子宮腺筋症合併不妊症の不妊治療および成績,
妊娠の予後について実態の把握を目的としてア
ンケート調査(
.合併不妊症の治療方針, .
合併不妊症の個別症例調査票,
.合併妊娠の
個別症例調査票)を行った.
結
法広
果
.合併妊娠の妊娠予後
症例(
妊娠)では,妊娠経過で異常が
み ら れ た 頻 度 は .%で,内 訳 は 早 期 流 産
.%,後期流産( 週以降)流産 .%,切
迫流産 .%,早産 .%,切迫早産 .%,
FGR .%,妊娠高血圧症候群 .%,子宮感
染 .%,頸管無力症 .%,前期破水 .%,
.合併不妊症の管理方針
前置胎盤 .%,弛緩出血 .%,子宮内胎児死
子宮腺筋症の治療は行わず不妊治療を行うが
亡 .%,子宮破裂 .%,常位胎盤早期 剝 離
.%,決まった方針はなく症例に応じて個別
対応が .%であった.
.合併不妊症の治療成績
症例の合併不妊症例の妊娠率は .%,
流産率 .%であった.腺筋症治療法別の妊娠
率,流産率は,先行治療なし( .%, .%)
,
薬物療法を先行( .%, .%)
,手術療法
.%などであった.病変タイプ別にみると,
びまん型の方が腫瘤形成型よりも妊娠異常の発
症頻度が高く,妊娠高血圧症候群( .% vs
.%)
,子 宮 感 染( .% vs .%)の 合 併
が多かった.
考
察
腫瘤形成型,びまん型いずれも先行治療をせ
を先行( .%, .%)であった.病変タイ
ずに不妊治療を行なうことで %程度の妊娠率
プ別にみると,腫瘤形成型では,先行治療なし
が期待できる.薬物療法や手術療法の先行が妊
( .%, .%)
,薬物療法( .%, .%)
,
娠率を向上させるという事実は示されなかっ
%)であり,手術療法を
た.一方,びまん型の妊娠では妊娠高血圧症候
先行すると流産率の低下を認めた.びまん型で
群,子宮感染の合併が多く注意が必要である.
手術療法( .%,
は,先行治療によって妊娠率,流産率に有意差