当院の人工授精における臨床的考察 第28回日本受精着床学会総会

第28回日本受精着床学会総会・学術講演会
会期:平成22年7月28日(水曜日)~29日(木曜日)
場所:パシフィコ横浜
当院の人工授精における臨床的考察
みむろウィメンズクリニック
目的・対象と方法
当院での人工授精の適用およびARTへの移行時期
検討のため、当院で人工授精を実施した1271周期
を対象にし、以下の項目について検討した。
1.精子処理後の総運動精子数別妊娠率
2.年齢別の妊娠率
3.クルーガーテストの結果及び年齢別妊娠率
4.実施回数別累計妊娠率
平均年齢:35.2歳、平均妊娠率6.9%
本研究での妊娠とは、超音波で子宮内に胎嚢を認めた場合とする。
1.人工授精妊娠率(精子処理後の総運動精子数別)
妊娠率(
%)
9.0 8.0 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 ~100
0/68
100~500
14/181
500~2000
21/374
2000~ 精子数(万個)
53/657 妊娠数/実施数(件)
処理後の運動精子100万個以上であれば、妊娠が可能である。
2.人工授精妊娠率(年齢別)
妊娠率(
%)
16.0 14.0 13.4
12.0 10.0 7.7
8.0 6.0
6.0 3.5
4.0 2.0 0.0 ~29歳
30~34歳
35~39歳
40歳~ 年齢(歳)
29歳以下では30~39歳よりも有意に妊娠率が高い。(P<0.01)
さらに、40歳以上で他の年代よりも有意に妊娠率が低下する。(P<0.05)
3.人工授精妊娠率(クルーガーテスト結果・年齢別)
クルーガーテスト結果(%)
妊娠率(%)
妊娠数/治療周期(件)
<5.0
6.1
33/543
5.0~<15.0
7.3
52/713
≧15.0
20.0
3/15
5.90%
6.90%
88/1271
・クルーガーテストは15%以上で有意に妊娠率が高くなる。(P<0.05)
年齢(歳)/クルーガーテスト結果(%)
29~
30~34
35~39
40~
<5.0
5.0~<15.0
≧15.0
15.9%(10/63)
11.7%(7/60)
0%(0/4)
5.1%(10/198) 6.5%(16/246) 25.0%(1/4)
5.5%(10/183) 8.7%(24/276) 33.3%(2/6)
3.3%(3/99)
3.8%(5/131) 0%(0/1)
・5%未満の群において、20代では他の年代に比べ妊娠率が高い。
(P<0.01)
・40歳以上では結果にかかわらず妊娠率はほぼ一定である。
人工授精妊娠率(クルーガーテストと年齢別)
妊娠率(
%)
33.3 35.0 30.0 25.0 25.0 20.0 15.0 15.9 11.7 10.0 5.1 5.0 6.5 8.7 5.5 3.0 3.8 0.0 0.0 ~29
0.0 30~34
クルーガーテスト結果:
5%未満
5%~15%
35~39(歳)
15%以上
40~
年齢(歳)
人工授精妊娠率(クルーガーテスト結果別)
妊娠率
(
%)
25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 <5.0
5.0~<15.0
≧15.0
クルーガーテスト結果(%)
・クルーガーテスト15%以上の群では他の群よりも妊娠率が有意に高い(P<0.05)
4.人工授精実施回数別累計妊娠数
累計妊娠率(
%)
100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1
2
3
4
5
6
総妊娠数の93%が5回以内に妊娠。
7
8
9
10
(回)
結論
・クルーガーテスト15%以上の群では
他の群よりも妊娠率が有意に高い(P<0.05)
・人工授精は40歳未満で、調整後の総運動精
子数が100万個以上あれば有効である。
・人工授精の回数は5回目までは試す余地が
あり、6回目以降の累積妊娠率は有意に
増加しないため、体外受精などを検討する。