地域資源を活かした観光振興による地域再生~見て

地域再生計画
1
地域再生計画の名称
地域資源を活かした観光振興による地域再生 ~見て、食して、体験して、茶源郷か
らのおもてなし~
2
地域再生計画の作成主体の名称
京都府相楽郡和束町
3
地域再生計画の区域
京都府相楽郡和束町の全域
4
地域再生計画の目標
4-1 地域の概要
和束町は京都府の南部に位置し、総面積は 6,493 ㏊、その内 73.8%を山林が占めている。
南北約 10 キロメートル、東西約 15 キロメートルの山間地で、北に鷲峰山系、南に笠置山
脈の中間丘陵地であり、和束川が東西に流れ木津川にそそいでいる。
和束町は、弥生時代より集落が形成され、安積親王「聖武天皇第 5 皇子」陵墓を始め、
古い時代の遺跡や地名などが随所に残っている、古くから開けた地域である。
昭和 29 年 12 月 15 日に町村合併促進法により、東和束村、中和束村、西和束村が統合
して和束町が誕生し、昭和 31 年 9 月 30 日には湯船村を編入し、現在の和束町となった。
和束町の主産業は茶業であり、茶園面積 591.1 ㏊、荒茶生産量 1,262,877 ㎏、生産金額
2,648,662 千円(平成 25 年京都府統計調査)と、京都府内の茶園面積、荒茶生産量、生産
金額の約 4 割を占める緑豊かな「お茶の郷」である。
また、茶づくりの歴史の中で茶業に力を尽くしてきた先人たちの生業の景観が今も引き
継がれており、「茶源郷」として日本のお茶文化を情報発信している。
4-2 地域の現状
(人口)
和束町の人口は、平成 2 年の国勢調査人口 6,079 人から平成 22 年国勢調査人口 4,482
人となり、平成 22 年 4 月には過疎指定を受けている。そして、平成 27 年の国勢調査人口
の推計が 3,986 人と更に減少が見込まれている。また、将来の人口については平成 72 年に
は、人口が 1,294 人に減少(国立社会保障人口問題研究所推計を準拠して推定)するとさ
れている。
人口減少だけでなく少子化、高齢化も著しく、高齢化率は平成 2 年に 18.5%であったが、
平成 22 年には 32.6%まで増加しており、平成 72 年には高齢化率は 56.1%になるとされて
1
いる(国立社会保障人口問題研究所推計を準拠して推定)。年少人口割合については、平
成 2 年の 17.7%から平成 22 年には 8.7%まで減少しており、平成 72 年には 60 人に減少す
ると見込まれている(国立社会保障人口問題研究所推計を準拠して推定)。
人口の推移について、自然動態をみると、平成 2 年以降自然減少が続き、平成 16 年には
出生者数 30 人に対し死亡者数が 63 人と 2 倍以上となり、平成 26 年には出生数 17 人、死
亡者数 63 人となっている。和束町の現在の 1.18 人程度の合計特殊出生数で推移すると、
平成 27 年の年間約 20 人の出生数が、平成 52 年には、10 人に、平成 72 年には 6 人まで減
少することが予測されており、自然減少に歯止めがかからない状況である。
また、社会動態の推移では、平成 6 年以降転出が転入を上回り、平成 18 年には転入 81
人に対し、転出 172 人となり、社会減少が顕著となっている。平成 26 年の転入が 66 人、
転出が 121 人と社会増減の減少幅が狭まりつつあるが、増加に転じるにはほど遠い状況で
ある。
生存率と純移動率を合計したセンサス変化率(平成 17 年→平成 22 年)を、近隣市町村
と比較すると 15 歳から 34 歳の若者・子育て年齢層の転出が多くなっている、また、平成
21 年経済センサス基礎調査によると、和束町の事業所数は 232 事業所(うち茶製造事業所
が 214 事業所、土木工事事業所が 13 事業所)と、京都府全体 139,574 事業所と比較すると
0.2%に過ぎず、基幹産業の農業以外に雇用の場がないことが 15 歳から 34 歳の若者・子育
て年齢層の転出が多くなっている要因の一つとして、考えられる。
自然増減と社会増減により「日本創成会議」が発表した「消滅可能性都市」にも該当す
るなど、人口減少が深刻な状況となっている。
H27 年からは平成 22 年国勢調査人口を基に
国立社会保障人口問題研究所推計を準拠して推定
2
センサス変化率(2005 年⇒2010 年)
男
和束町
笠置町
南山城村
精華町
木津川市
相楽郡
1.4
センサス変化率(2005 年⇒2010 年) 女
和束町
笠置町
南山城村
精華町
木津川市
相楽郡
転出が多い 1.4
1.2
年齢層
1.2
0.4
0.4
0.2
0.2
~ 29
歳
25
~ 24
歳
20
~ 19
歳
15
~ 89
歳
85
~ 84
歳
80
~ 79
歳
75
~ 74
歳
70
~ 69
歳
65
~ 64
歳
60
~ 59
歳
55
~ 54
歳
50
~ 49
歳
45
~ 44
歳
40
~ 39
歳
35
~ 34
歳
30
~ 29
歳
25
~ 24
歳
20
~ 19
歳
15
~ 14
歳
10
~
5 歳
9
~
0 歳
4
0.6
~ 89
歳
85
~ 84
歳
80
~ 79
歳
75
0.6
~ 74
歳
70
~ 69
歳
65
~ 64
歳
60
0.8
~ 59
歳
55
~ 54
歳
50
~ 49
歳
45
0.8
~ 44
歳
40
~ 39
歳
35
~ 34
歳
30
1.0
~ 14
歳
10
~
5 歳
9
~
0 歳
4
1.0
(地域資源)
地域資源としては、和束川を覗き込むように、川の右岸の巨石に彫られた弥勒麿崖
仏(立像)、樹齢 1,300 年以上ともいわれる八坂の大杉、鎌倉谷とも呼ばれる美しい
渓谷にある御影石の巨岩や、聖武天皇が平城京の鬼門を護るために堂を建て勅願寺と
したと伝えられる鷲峰山金胎寺など多くの観光・歴史資産がある。
また、和束茶は、高級茶で知られる宇治茶の約 45%を占めており、和束ブランドと
して誇れる資源である。
京都府が「海・森・お茶」の 3 つの京都づくりの一つとして「お茶の京都」づくり
に取り組むとともに、「日本茶のふるさと「宇治茶生産の景観」の世界文化遺産登録」
を目指していることもあり、和束町で取り組んでいる茶文化の維持・継承や生業の景
観として京都府景観資産登録第1号指定及び京都府選定の文化的景観に選定された和
束町の茶畑景観は和束町にとって重要な地域資源となっている。
また、湯船森林公園内には、森林を活かしたマウンテンバイクコースがあり、週末
には競技者や愛好家で賑わい、平成 26 年度は 1,517 人が訪れるなどスポーツ観光資源
となっている。
(産業)
和束町を所轄する京都田辺公共職業安定所の平成 26 年の有効求人倍率が 0.62 倍と
京都府平均 1.03 倍を大きく下回り、町内の雇用情勢は厳しい状況である。
産業別就業者の構成比率では、昭和 35 年に第 1 次産業比率が 61.8%、第 2 次産業
比率が 13.8%、第 3 次産業比率が 24.4%であったが、平成 22 年には第 1 次産業比率
が、24.5%、第 2 次産業比率が 23.2%、第 3 次産業比率が 52.3%と第 1 次産業比率
3
が激減している。一方で平成 25 年度京都府統計書によると、京都府茶園面積総数
1624.2 ㏊に対し、和束町の茶園面積は 591.1 ㏊と広大な茶園面積を確保しているよ
うに、和束町の主要産業は、依然として茶業を始めとする第1次産業である。
① 農業
和束町の基幹産業は茶業であり、高級茶として知られる宇治茶の約 45%を占める
和束茶は、日本を代表する茶のブランド商品である。茶価は他産地と比較すると維
持されているものの、平成 16 年に 116,823 トンあった緑茶の国内消費量が平成 26
年には 84,164 トンまで減少(出展先:全国農業協同組合連合会他 22 団体で組織さ
れている全国茶生産団体連合会の緑茶の消費量(供給ベース)の推移より)するな
ど茶の需要が低迷しており、それに伴い和束町の農業所得も、平成 25 年度の約
488,741 千円から平成 27 年度には 224,698 千円まで減少している。この農業所得の
伸び悩みなどは、若年層の農業離れを引き起こし、若年層が流出する要因の一つと
もなっている。
また、専業農家が和束町全体の労働者数に占める割合は、平成 22 年には約 25%
(367 人)であったが、平成 26 年には 20%(293 人)まで低下している。農業就業
人口の平均年齢は、平成 22 年世界農林業センサスによると 60.4 歳まで上昇してお
り、本町の茶畑が、15 度以上の急傾斜地が全体の 30.7%、平坦地(傾斜度 5 度未満)
が、わずか 1.5%(平成 18 年度京都府茶業統計)に過ぎず、重労働を課する茶畑が
多く高齢者にとっては非常に厳しい農業となっていることもあり、今後就業者数が
ますます減少していくことが懸念されており、担い手や後継者不足が深刻となって
いる。
耕作放棄地についても、平成 22 年世界農林業センサスによると、耕作放棄地面積
は 60 ㏊あり、耕作面積の 7.8%となっている。
茶価の長期にわたる低迷が小規模経営の採算性を悪化させ、専業から兼業へと推
移し、山間部等の急傾斜地や不便地においては採算性が悪い等の理由から荒廃し、
これまで培ってきた自然の貴重な財産が失われつつある。
② 商工業
平成 16 年商業統計で 62 事業所があったが、平成 19 年には 58 事業(△6.5%)、
従業者数も 289 人から 267 人に減少(△7.6%)となっている。
町内には、商店が点在しているが、商店街がなく、住民の消費購買の多くは、町外
の大型スーパーなどへ流失している。そうした中、和束町の中心部にあった主要商店
が 5 店舗閉店され、現在 2 店舗のみとなっている。
また、工業についても、平成 21 年工業統計調査では、京都府全体の事業所が 4,490
事業所に対し和束町は 12 事業所であり、京都府内の事業所の 0.3%である。また、
従業者数も、京都府全体の従業者数が 134,315 人に対し、和束町の従業者数は 139
人であり、京都府内の従業者数の 0.1%にすぎない。
4
③ 観光
和束町は、関西学研都市や大都市近郊に位置する立地条件を活かし、近年の自然志
向、農山村生活志向というライフスタイルの需要に応えるべく、近郊都市住民の癒や
しや、やすらぎの場として、余暇を過ごす観光に力を入れている。
平成 25 年観光入込客数及び観光消費額調査結果概要によると、平成 25 年度の和束
町の観光入込客数は 71,315 人であり、平成 24 年度 39,094 人と比較すると 82.4%増
となった。また、観光消費額も平成 25 年度は 84,047 千円であり、平成 24 年度 41,239
千円と比較すると 103.8%と飛躍的に増加している。京都市を除く京都府内市町村の
中では、和束町が観光入込客並びに観光消費額とも伸び率が一番高くなっている。
(これまでの取組)
和束町の観光振興として、観光客に「和束茶」を親しんでもらえるよう、和束茶の
情報発信拠点として「和束茶カフェ」を平成 20 年に開設し、「和束茶」ブランドの周
知と「茶どころ和束」のPR及び「和束茶」の販売促進を進めている。
また、和束町の豊かな自然に囲まれた湯船森林公園をグリーンツーリズムの拠点と
してマウンテンバイクパークの整備、また和束茶カフェ周辺における遊休施設を活用
した水菜やハーブの体験農業、せせらぎの小径や弥勒麿崖仏などの観光ルートの整備、
山の頂に茶畑を見下ろす茶室として天空カフェを整備するなど、体験観光づくりや身
近に親しめる機会づくりを進めている。
茶の直売所である和束茶カフェでは、町内ボランティアグループによる和束茶ブラ
ンド特産品づくりを研究開発され、茶を使った佃煮、シフォンケーキや茶団子等を販
売するなど、町内のボランティアグループも活発化しつつある。
和束茶カフェの利用者は、平成 26 年度に 11,138 人、平成 25 年度に 7,419 人と、宇
治茶の景観・文化・歴史遺産がメディアで取り上げられるようになり利用者が増加し
ている。
4-3
地域の課題
基幹産業である茶業が和束町を支えてきたが、緑茶の消費量の減少や販売価格の下落
により、農業所得が大幅に減少したことで生産意欲が失われ、若年層の農業離れを引き
起こしている。
しかしながら、和束町を支えている基幹産業である茶業の振興は、今後も和束町のま
ちづくりを進めて行くうえで必要不可欠であり、和束町の主産業である茶業を維持する
ために農業振興によるまちづくりを進めていかなければならない。
基幹産業を維持することにより、和束町の観光資源でもある茶畑景観を将来へ継承し
ていくことができる。茶業の振興と併せて茶畑景観を活かした観光振興を実施すること
で観光産業の発展へと繋がり、町の活性化が見込まれるが、観光の核となる施設や、観
光を産業化する人材が不足していることが課題となっている。
また、観光によるまちづくりがメディアで取り上げられるようになり、平成 26 年度の
5
入込観光客数が 71,315 人と増加しているが、和束町の目標である第 4 次総合計画の交流
人口 25 万人までには至っていないことから、今後更に交流人口を拡大し、地域外貨を獲
得し地域経済を活性化させるためには、通過型観光から滞在型観光によるまちづくりへ
とシフトさせる必要がある。
各分野の課題は次のとおりである。
① 農業
和束町の基幹産業は茶産業であり、高品質な茶として知られ市場でも高価格で取引
されている。しかし、和束産の茶は、宇治茶の生産量の約 4 割を占めているが、京都
産の茶は全て「宇治茶」として市場に流通することから、一般消費者には「和束茶」
としての認知度や知名度は低く、「和束茶」としてのブランド力の強化が課題となっ
ている。
また、作業効率を高め高収益の農業を目指すために大規模な土地改良を行い、乗用
式の機械化を図らなければならないが、傾斜度の大きい茶園が多く機械化が進まない
ことが課題である。
さらに高齢化が進む中、生産を維持していくためには、約3ヶ月の間農繁期の人手
不足を補い援農支援対策を講じる必要があるが、援農者を受け入れる滞在施設等の整
備が課題となっている。
また、茶業だけに頼らず、生産から加工・販売に至る新たな農業を目指し、雇用を
創出しなければならないが、六次産業化を志向している人材が少なく、就労の機会を
高めることを目指す人材が不足していることが課題である。
② 商工業
茶どころならではの商品の品揃えなど特長を出していくためには、商工業者と農林
業業者が連携しながらまちの活性化に向けた施策を進め、そして「茶源郷和束」ブラ
ンドを作り上げ、独自の商品を開発していく必要があるが、開発する人材が不足して
いることが課題である。
また、JAPANブランドの「宇治茶の主産地」でありながら、茶の流通形態が単
一化していることから、新たな流通販路を開拓し、茶の需要拡大を目指すうえで、販
路開拓のノウハウを持った人材が不足している。また茶の文化・景観資産等質の高い
地域資源を有しながら、その資源を活かし観光産業へとビジネス化する人材が不足し
ていることが課題である。
③ 観光
これまでは日帰り中心の交流人口の拡大に努めてきたが、平成 26 年度の交流人口は
75,571 人であり、和束町第 4 次総合計計画の目標である 25 万人には至っていない。更
なる交流人口の増加を目指すためには、通過型観光から滞在型に移行する必要がある。
1回限りの観光に終わらず、リピータを呼び込むため農業体験や観光農業による施策
を実施するとともに滞在型の受け皿としての施設の整備等が課題となっている。
6
④ 雇用対策
基幹産業である茶産業を核として、これらに観光産業、伝統産業等を連携させなが
ら6次産業も含めた産業振興を図ることで、地域が自発的に雇用を創出していく施策
を展開していく必要があり、茶の既存ビジネスをテコにした事業の拡大などの取組み
と連動し、これらの取組みを担う人材が不足していることが課題である。
4-4目標
和束町の主要産業は茶業などの農業であるが、茶の需要低迷などにより就農者が減少し
ていることや、農業以外の若年層の雇用の場が和束町に少ないことから、若年層を中心に
町外に人口が流失している。人口の社会減が人口の自然減にも繋がっており、このままで
は日本創生会議が発表した消滅可能性都市に陥ってしまうなど和束町の存続が危ぶまれる
状況にある。
そのため、本地域再生計画では、日本遺産にも指定されている茶畑景観や和束町で維持・
継承してきた茶文化などの地域資源を活用した観光振興により、交流人口の増加やそれに
伴う観光業、農業、商業の活性化による雇用の創出、延いては人口の維持を目指す。
また、これまで和束町を訪れる観光客は、通過型観光が中心であったが、農業体験の充
実などにより滞在型観光へのシフトを図り、宿泊や飲食などによる観光消費額の増加、雇
用の創出を目指すとともに、来訪者に和束町の良さを知ってもらうことにより、直接的に
和束町への移住増加も目指す。
目標 1.観光入込客数 平成 26 年度 75,571 人→平成 29 年度 100,000 人
目標 2.雇用者数
平成 27 年度 38 人→平成 29 年度 66 人
目標 3.直売所売上高 平成 26 年度 1,500 万円→平成 29 年度 3,000 万円
目標 4.新規就農者
平成 27 年度 5 件→平成 29 年度 15 件
目標 5.宿泊者数
平成 26 年度 1,593 人→平成 28 年度 1,832 人、
→平成 29 年度 2,107 人
5
地域再生を図るために行う事業
5-1
全体の概要
移住・定住の促進に向け、これまでの日帰り観光(通過型観光)から地域資源を活用し
た農業体験などの滞在型観光へシフトを図るために滞在型観光の受け皿となる施設整備を
行う。
また、新たな雇用の創出や、交流人口が増加し地域経済の好循環を生み出すための事業
として実践型地域雇用創造事業や子ども農山漁村交流による地域活性化モデル事業、過疎
地域等集落ネットワーク圏形成支援事業などを行う。
7
5-2 特定政策課題に関する事項
該当なし
5-3
法第 5 章の特別の措置を適用して行う事業
該当なし
5-4
その他の事業
5-4-1
地域再生基本方針に基づく支援措置
地域再生戦略交付金(内閣府)【B2003】
① 独自の取組として実施する事業(地域再生戦略交付金を活用して行う事業)
イ 和束山の家施設改修事業
事業概要:
和束町には、健全な青少年の育成を図るための施設として山の家があり、平成
26 年度の利用状況としては、宿泊 1,593 人、日帰り 4,705 人、合計 6,298 人の
利用があり、青少年のみならず、町内外の会合並びに研修場所としても活用され
ている。
しかしながら、昭和 54 年に建てられた青少年用の施設であるため、シロアリ
による建物への被害や、経年劣化による雨漏り等の老朽化が著しい。また青少
年の施設であるため、高齢者向けにはなっておらず、バリアフリーや洋式トイ
レへの改修など生活様式に合わせた整備が必要となっている。
また、山の家は小高い山の上にあり、現在の駐車場からは約 8m坂を登って
利用されているため、大規模改修に併せて玄関付近に駐車場を設け、利用しや
すい環境整備を行う。
和束山の家は、和束町の中心に位置し、観光の拠点である和束茶カフェや町
内外の方がまちづくりについて共に話し合う未来づくりセンターが隣接してい
る。山の家下の和束運動公園には、陸上競技場兼軟式野球場・テニスコート・
フットサルコート・ゲートボールコートがあり、町内外を問わず運動と憩いの
場として利活用されている。さらに周辺には、天空カフェや弥勒麿崖仏への観
光ルートが整備されていることや、体験農業ができる水菜やハーブの施設が備
わっている。こうした立地条件を活かして、都市と農山村の子どもの体験交流
の場として、またマウンテンバイクイベントの参加者の滞在施設として、その
他、水菜やハーブの農業体験時における滞在施設として山の家を利活用する。
8
更に和束山の家において、滞在期間中の食のおもてなしとして、和束茶を使っ
た茶がゆや茶そばなど和束町ならではの「食のおもてなし」と「のどかな和束
時間」を感じてもらう。
また子ども農山漁村交流事業により和束の良さを体験することで、将来移
住・定住へと繋げていく。そして地域経済を活性化させるため農業体験、観光
農業などを行い、通過型観光から滞在型観光へシフトさせ、更なる交流人口の
拡大と観光産業による雇用の拡大を図る。
実施主体: 和束町
実施期間: 平成 27 年 10 月~平成 28 年 3 月
②
独自の取組と密接に関連して実施する事業(連動して実施する他省庁の補助事
業)
イ
過疎地域等集落ネットワーク圏形成支援事業
事業概要:
和束町全域を自転車愛好家のサイクリングコースとして位置づけ、スポーツ観
光による交流人口の拡大を図るために、自転車振興総合実施計画を策定する。
また、住民参画によりレジャーサイクリング愛好家へのおもてなしスポットを
設け、ベンチやサイクリングハンガーなどを設置する。
遠方からのマウンテンバイクイベント時の参加者の滞在施設として和束山の
家を有効活用し、参加者の増加と交流人口の拡大、また地域経済の拡大を図る。
実施主体: 和束町地域力推進協議会、和束地区活性化対策協議会
国の補助制度: 総務省所管の過疎地域等自立活性化推進交付金を活用
事業期間: 平成 27 年 6 月~28 年 3 月
ロ
文化遺産を活用した観光振興・地域活性化事業
事業概要:
和束町の文化遺産を後世へ継承させるため、和束町の子どもに茶源郷和束のガ
イドブック制作を課題として、子どもの目線でコンテンツ収集させ、茶文化の存
在や価値を正しく伝えることができる能力を身につけ、次世代後継者として情報
発信できる人材を育成する。
青少年の研修施設として和束山の家を有効活用し、研修を受けた子どもがお茶
の魅力を感じ取り、将来地元に残りたいと思うことで定住に繋がるなど研修の受
け皿に終わらず、研修成果が将来の定住に寄与される。
実施主体: 和束町観光振興協議会(会長/和束町長)
国の補助制度: 文化庁所管の文化芸術振興補助金を活用
9
事業期間:
平成 27 年 5 月~28 年 3 月
ハ 子ども農山漁村交流による地域活性化モデル事業
事業概要:
都市と農山村の子どもの体験交流を実施するため、受け入れ組織と受け入れ体制
づくり、教育観光体験プログラムの開発やプログラムを実行するインストラクター
の育成を行う。 滞在型の研修の受け皿として、和束山の家を有効活用し、交流人
口の拡大を図る。また滞在期間が延長されることにより地域内外貨が獲得され地域
経済の拡大が図られるとともに将来への移住・定住に繋げる。
実施主体: 和束町
国の補助制度: 総務省所管の子ども農山漁村交流による地域活性化モデル事業補
助金を活用
事業期間: 平成 27 年 8 月~平成 28 年 3 月
ニ
縁側カフェプロジェクト事業
事業概要:
茶産地から生産文化やおもてなし文化を PR するため、農家の縁側提供者の募集
や空き家を利活用して観光客が休憩する居場所をつくる。農家の協力によるおもて
なしに加え、食のおもてなしとして和束山の家を活用し、更に滞在期間の延長によ
り地域内の消費拡大を図る。
実施主体: 和束町地域力推進協議会・和束町
国の補助金制度: 内閣府の地域活性化・地域住民生活緊急支援交付金
(地方創生先行型)
実施期間: 平成 27 年 4 月~平成 28 年 3 月
ホ
実践型地域雇用創造事業(厚生労働省)
事業概要:
観光産業による雇用を創出するため、外国人観光客誘客企画立案研修、観光ビ
ジネス人材養成研修、観光人材接遇・渉外力スキルアップ研修等の人材を育成する
とともに地域に根付いた観光事業のボトムアップを図るため、日帰り観光から滞在
型観光へと研修内容をシフトする。
また、「和束グリーンファーム」での「ハーブ観光農園」を活用して新たな商材
研究と商品開発を行い、自然派商品雑貨等を扱うオーガニックなどへの受注販売と
和束茶カフェでの販売を実施する。
実施主体: 和束町雇用促進協議会
国の補助金制度: 厚生労働省所管の実践型地域雇用創造事業を活用
10
実施期間:
5-4-2
平成 27 年度~平成 29 年度
支援措置によらない独自の取組
① 事業名: 交流ふれあい観光事業
事業概要:
観光産業のボトムアップを図るため、日帰り中心の観光から滞在型観光へのシフ
トを図る。また、ガラスファームについては、生産圃場だけでなく、観光農園とし
ての機能を充実する。
第 4 次総合計画茶源郷交流エリアにおける公共施設の整備事業
1)和束山の家リニューアルのためのソフト事業
2)農村民泊のシステム構築と空き家活用等の企画
3)ガラスファーム企画運営
実施主体:
実施期間:
一財)和束町活性化センター・和束町地域力推進協議会
平成 27 年 4 月~平成 28 年 3 月(1 年更新)
② 事業名: 和束町の景観を活かしたまちづくり推進事業
事業概要:
「世界文化遺産」登録に向け、また「日本遺産認定」の価値を維持するとともに、
観光産業の推進と茶産業の保護を図るために実施する。
茶畑景観保護に向けた町の景観計画策定
1)「日本遺産認定」による景観保護に向けた住民意識の高揚
2)茶畑景観の活用の方向性の検討(世界文化遺産に向けて)
3)景観計画策定委員会の設置
実施主体:
実施期間:
和束町
平成 27 年 4 月~平成 28 年 3 月
③ 事業名: 茶源郷和束交流事業
事業概要:
茶源郷まつり」や湯船森林公園を活用した「マウンテンバイク」等のイベントを
実施し、交流人口の拡大と地域の活性化を図るため実施する。
1)茶源郷まつりの開催
2)マウンテンバイクの国際競技大会の開催
実施主体:
実施期間:
和束町
平成 27 年 4 月~平成 28 年 3 月
11
④ 事業名: 官民連携和束茶フェア
事業概要:
広く一般の消費者に対し、和束茶の広報 PR を行うため、また新たなお茶の魅
力を発掘し、提供するため、企業ブランドを活用したブランディング事業を行う。
ブランドホテル(民間企業)と連携した和束茶の PR イベントで、和束茶の販
売や和束茶を食材にしたスイーツや料理などを提供する。
実施主体:
実施期間:
和束町・和束町商工会
平成 27 年 5 月~平成 27 年 6 月(平成 28 年・29 年実施予定)
⑤ 事業名: 京都府「まちの公共員制度」の配置
事業概要:
京都府が推進する「お茶の京都」の取組みと連動させながら、観光推進の核と
なる農村民泊や空き家再生などの事業推進のため、京都府が和束町に公共員を置
く。
和束町の地域活性化の課題について、京都府が民間から、専門スタッフを派遣
し、地域住民と協働して課題解決に取り組む。
実施主体:
実施期間:
和束町・和束町地域力推進協議会
平成 26 年 11 月~平成 29 年 11 月
⑥ 事業名: 京都モデルフォレスト事業(サントリー天然水の森事業他 2 企業)
事業概要:
森林整備を通した自然環境保全や林産業の再生のため、民間の人材と資金支援
により実施する。その際、参画企業の社員教育や家族の福利厚生として整備森林
の活用を図ることで、和束町のファンづくりに繋げる。
1)官民が連携して、林道や放置山林の間伐などの整備に取組む。
2)参画企業の社員教育の実施。
3)参画企業の社員の家族の自然体験奉仕活動の実施。
実施主体: 和束町・和束町森林組合・サントリー株式会社他 2 企業
実施期間: 平成 24 年度~継続事業
⑦ 事業名: 地域主導型公共事業
事業概要:
京都府が行う河川工事に際し、交流人口拡大を図るため、ウォーキングルートの
整備を行う。和束川の河川工事における観光ルートとしての歩道整備を行う。
12
実施主体:
実施期間:
和束町
平成 24 年度~平成 27 年度
⑧ 事業名: 中山間地域等直接支払交付金事業
事業概要:
中山間地域等における耕作放棄地の発生を防止し、中山間地域等の農業・農村が
有する水源涵養機能、洪水防止機能等多面的機能を確保するため、複数の集落が連
携して行う農業生産活動等の体制づくりを推進する。
1) 機械・農作業の共同化への助成
2) 生産条件の改良(水路・農道等の管理活動)への助成
実施主体: 和束町
実施期間: 平成 27 年度~平成 31 年度
6
計画期間
地域再生計画認定の日から平成 30 年 3 月 31 日まで
7
目標の達成状況に係る評価に関する事項
7-1
目標の達成状況に関わる評価の手法
地域再生計画の目標については、計画の終了後にその数値を明確化し、産業界・経
済団体・行政関係団体で構成される「地域力推進協議会」において、達成状況の評価、
改善すべき事項等の検討を行う。
7-2
目標の達成状況に係る評価の時期及び評価を行う内容
目標 1
主な関連事業
基準年
1 年目
2 年目
3 年目
交流ふれあい観光事業
平成 26 年度
平成 27 年度
平成 28 年度
平成 29 年度
60 品目
70 品目
85 品目
100 品目
1,500 万円
2,000 万円
2,500 万円
3,000 万円
15,000 人
20,000 人
25,000 人
30,000 人
①特産品開発
(直売所数値)
② 売 上 高
(直売所数値)
③来館者数
(直売所数値)
目標 2
子ども農山漁村交流に
よる地域活性化モデル
事業・縁側カフェプロ
ジェクト事業・和束山
の家施設改修事業・文
13
化遺産活用した観光振
興・地域活性化事業・
交流ふれあい観光事業
実践型地域雇用創造事業
80 件
110 件
140 件
170 件
1,600 人
3,200 人
4,800 人
6,400 人
1件
24 件
48 件
60 件
35 人
480 人
1,440 人
3,000 人
1件
10 件
15 件
25 件
75,571 人
80,000 人
90,000 人
100,000 人
1,593 人
664 人
1,832 人
2,107 人
5件
10 件
15 件
450 万円
500 万円
550 万円
5件
5件
5件
38 人
65 人
66 人
常雇用者
11 人
16 人
16 人
常雇用者以外
14 人
32 人
32 人
起業・創業者
13 人
17 人
18 人
④ツアー
受入件数
⑤ツアー
入込件数
⑥民泊
受入れ数
⑦民泊
入込客数
⑧民泊
登録数
⑨観光
入込客数
⑩宿泊者数
目標 3
実践型地域雇用創造事業
⑪新規就農件
数(累計)
300 万円
⑫施設有機野
菜収穫高
/1 反当り
目標 4
縁側カフェプロジェクト
実践型地域雇用創造事業
⑬空き家
再生件数
目標 5
子ども農山漁村交流に
よる地域活性化モデル
事業・和束山の家施設
改修事業・実践型地域雇
用創造事業
⑭雇用者数
目標1 : ①②③について、お茶の直売所である「和束茶カフェ」が対象、運営母体である「和束茶
14
カフェ運営協議会」から「交流ふれあい観光事業」の事業主体となる一財)和束町活性化セ
ンターが報告を受け、管理する。
目標の算定は、開発商品 1 品目当たりの販売高を 40 万円に設定し、一人あたりの客単価
を 1,000 円として算出する。
目標2 : ⑤⑥⑦⑧⑨については、「交流ふれあい観光事業」の事業主体となる一財)和束町活性化
センターが管理し、「地域力推進協議会」に報告する。
目標の算定は、⑤については、基準値より毎年 30%の増、⑥については、ツアー受入数の
増加及び1ツアー当たりの入れ込み客数を 50%増、⑦⑧については平成 27 年度月 2 回の受
入れとし、1 回あたりの受入れ人数を 20 名で算出、平成 28 年度は、月 4 回とし、1 回あた
りの受入れ人数 30 名で算出、平成 29 年度は、月 5 回とし、1 回あたりの受入れ人数 50 名
で算出した。算出根拠は、奈良県明日香村の事例を参考にする。
⑩の目標の算定は、第 4 次総合計画の目標数値平成 32 年度の交流人口 25 万人から逆算
目標3 : ⑪については、「実践型地域雇用創造事業」の事業主体である和束町雇用促進協議会が管
理し、国及び和束町に対して報告する。
目標の算定は、各年新規就農相談会参加者の約30%で算出する。⑫については、ガラス
ファーム運営管理業務を行っている一財)和束町活性化センターの算定基準による。
目標4 : ⑬については、平成26年度和束町空き家調査による「再生可能空き家(空き家オーナー
が売却及び賃貸を希望)」30件のうち50%を目標数値に算出する。
事業の遂行と数値管理は、地域力推進協議会が行う。
目標5 : ⑭については、「和束山の家施設改修事業」と「実践型地域雇用創造事業」の目標数値を
合算した数値であり、事業の進捗状況及び数値管理については、実施主体である和束町と和
束町雇用促進協議会が行う。
7-3
目標の達成状況に係る公表の手法
目標の達成状況を踏まえた地域再生計画の評価等を行う「地域力推進協議会」で目標の達成
状況などについて検討精査し、その結果報告を和束町が、広報を行う。
8
構造改革特別区域計画に関する事項
該当なし
9
中心市街地活性化基本計画に関する事項
該当なし
10
産業集積形成等基本計画に関する事項
該当なし
15