資料3 重症急性呼吸器症候群 (SARS)に関する資料 我が国における「重症急性呼吸器症候群(SARS)」の疑い例等の報告状況(6月20日17時現在)・ P1 重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するQ&A(国立感染症研究所 感染症情報センター)・・・・ P2∼14 感染防御マスクについて(案)(感染症情報センター)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P15∼16 SARSコロナウイルスに対する消毒剤の適用(例)改訂版(感染症情報センター)・・・・・・・・ P17∼19 家庭・職場における消毒(例)3訂版(感染症情報センター)・・・・・・・・・・・・・・・・・ P20∼21 原因不明の「重症急性呼吸器症候群」による院内感染防止対策の徹底について(厚生労働省)・・・ P22 WHOの海外旅行に関する対策(6月13日6訂)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P23∼24 SARSの報告がある地域から到着する旅客に接する機会のある 職員のためのCDC暫定ガイドライン(要約)(6月5日)・・・・・・・・・・・・・・・P25 関西方面を台湾医師が旅行(5/8∼5/13)した件に関するQ&A・・・・・・・・・・・・・P26∼28 医療施設におけるSARS患者に曝露された 医療従事者に対するCDC指針(抄訳)(2003年5月20日発表)・・・・・・・・・・P29∼30 重症急性呼吸器症候群(SARS)管理例(6訂)(感染症情報センター案)・・・・・・・・・・・P31∼35 旅行勧告および地域内伝播の時間的変化(5月・6月)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ P36 戻る 我が国における「 重症急性呼吸器症候群(SARS)」の疑い例等の報告状況 ( 6月20日17時現在) 疑い例 報告日 件数 5月14日報告分まで 46 5月15∼30日報告分 コメント 「 SARS対策専門委員会」 にてSARSは全例否定されている。 5 (うち1例次回審査) 5月17日報告分を除く4例については、6月2日の「 SARS対策専門委員会」にてSARSは4例全例が 否定された。 5月17日報告分については、6月20日の「 SARS対策専門委員会」 にてSARSは否定された。 5月31日報告分 1 6月20日の「 SARS対策専門委員会」 にてSARSは否定された。 6月1日報告分 0 他の疾患の診断にて、取り下げられた。(6月6日) 6月2日∼3日報告分 0 6月4日報告分 0 6月5日∼20日報告分 0 疑い例累計 他の疾患の診断にて、取り下げられた。(6月6日) 52件 ┌ うち、疑いが否定された件数 50件 ┐ | | | | 専門委員会の審査予定件数 2件 └ ┘ 可能性例 報告日 件数 5月14日報告分まで 16 5月15∼6月20日報告分 0 可能性例累計 コメント 「 SARS対策専門委員会」 にてSARSは全例否定されている。 16件 ┌ うち、可能性が否定された件数 16件 ┐ | | | | 専門委員会の審査予定件数 0件 └ ┘ 確定例 なし ( 参考) 疑い例と可能性例について ○ SARS疑い例 ( 1) 平成14年11月1日以降に、38度以上の急な発熱及び咳、呼吸困難等の呼吸器症状を示して受診した者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を 満たす者 1 発症前10日以内にSARSの「 疑い例」・ 「 可能性例」を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた 者 2 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者 3 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者 ( 2) 平成14年11月1日以降に死亡し、病理解剖が行われていない者のうち、次のいずれか1つ以上の条件を満たす者 1 発症前10日以内にSARSの「 疑い例」・ 「 可能性例」を看護若しくは介護していた者、同居していた者又は気道分泌物若しくは体液に直接触れた 者 2 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)へ旅行した者 3 発症前、10日以内に、SARSの発生が報告されている地域(WHOが公表したSARSの伝播確認地域)に居住していた者 ○ SARS可能性例 SARS疑い例のうち、次のいずれかの条件を満たす者 1 胸部レントゲン写真で肺炎、または呼吸窮迫症候群の所見を示す者 2 病理解剖所見が呼吸窮迫症候群の病理所見として矛盾せず、はっきりとした原因がないもの 3 SARSコロナウイルス検査の1つ又はそれ以上で陽性となった者 ○ 除外基準 他の診断によって症状が説明できる場合は除外する IDSC 緊急情報トップ > 5月7日( 最新版) 重症急性呼吸器症候群(SARS)に 関するQ&A (国立感染症研究所 感染症情報センター) *Disclaimer : このQ&Aは、WHO、米国CDC、香港特別行政区政府衛生署、厚生労働省など、世 界でこれまでに得られた知見に基づき、「一例」 として作成したものです。SARSに関する最新の知 見と入手可能な情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 1) 2) 3) 4) 病気の概要 1 SARSとはどんな病気ですか?→ 2 SARSはどのように診断されますか?→ 3 SARSの病原体は何ですか?→ 4 コロナウイルスとはどういうものですか? SARSコロナウイルスはどのように出 現したのですか?→ 5 SARSはどこの国で発生しているのですか?→ 6 SARSはいつから発生し始めたのですか?→ 病気の詳細 7 SARSはどのようにして感染しますか?→ 8 飛沫感染と空気感染とはどう違うのでしょうか?→ 9 マスクは効果がありますか?ふつうのマスクで防げますか?→ 10 潜伏期間中の人、あるいは治った人からもうつりますか?→ 11 年齢や性別に関係なくかかりますか?→ 12 予防接種( ワクチン)はありますか?→ 13 日本でふつうの生活をしていれば、安全ですか?→ 14 感染したら必ず発病しますか?→ 15 患者さんの使ったものや、患者さんがいた部屋は消毒が必要ですか?→ 16 SARSにはどのような治療法がありますか?→ 17 SARSにかかったら治りますか?致死率はどのくらいですか?→ 渡航について 18 いま海外旅行に行っても大丈夫ですか?→ 19 海外から帰ってきた人と会っても大丈夫ですか?→ 20 現在患者さんが報告されている国はどこですか?→ 21 もしも同じ飛行機に患者さんが乗っていたら、うつりますか?→ 行政の対応・日本国内の発生状況・情報の入手 5) 22 国や自治体ではどのような対応がとられていますか?→ 23 日本国内ではSARSの「 疑い例」 、「 可能性例」はどのくらい報告されているので すか?→ 24 SARSに関する最新の情報を知るには、どうすればよいですか?→ SARSにかかっている心配をされている方に 25 SARSにかかるとどんな症状がでるのですか?→ 26 疑わしい症状がでたら、どうすればよいですか?→ 27 感染した可能性のある時から何日たてば、心配はなくなりますか?(潜伏期間 はどのくらいですか?)→ 28 症状が出る前でも、家族にうつりますか?→ 29 感染しても、発病を防ぐ方法はありますか?→ 30 SARSと診断するために、どんな検査が必要ですか?→ 31 発病しても治療を受ければ治りますか? SARSの治療薬( 治療法)はあります か? → 32 致死率はどのくらいで、どんな人が死亡やすいのでしょうか?→ 33 SARSの医療費はどうなりますか? → ---------------------------------------------- IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するQ&A ( 感染症情報センター版) 1) 病気の概要 ---------------------------------------------1 SARSとはどんな病気ですか? SARSはSevere Acute Respiratory Syndromeの略で、日本では「 重症急性呼吸器症候群」 と呼ばれ、中国広東省に端を発し、香港、北京など中国の他の地域にも拡大し、また、台湾、カナ ダ、シンガポール、ベトナムなど世界中のいくつかの国でも大きな問題となっている、新しく発見さ れた感染症です。 主な症状としては、38℃以上の発熱、咳、息切れ、呼吸困難などで、胸部レントゲン写真で肺炎 または呼吸窮迫症候群の所見( スリガラスのような影) が見られます。また、頭痛、悪寒戦慄、食 欲不振、全身倦怠感、下痢、意識混濁などの症状が見られることもあります。 原因となる病原体は世界保健機関 (WHO) により新型のコロナウイルスであると決定され、 「SARSコロナウイルス」と名付けられました。 2 SARSはどのように診断されますか? 新しい感染症であり、まだ完全にその臨床像が明らかになったわけではありませんので、 明確な「 診断」とは言えない状況で、現在、下記の世界保健機関( WHO) による「 疑い例」 と「 可能 性例」との、症状によって定められた報告基準( 症候群サーベイランス)に準じて、世界各国から 報告されています。 現在までに分かっている情報から、症状としては38℃以上の発熱、咳、呼吸困難などで、胸部レ ントゲン写真で肺炎または呼吸窮迫症候群の所見( スリガラスのような影) が見られます。また、 頭痛、悪寒戦慄、食欲不振、全身倦怠感、下痢、意識混濁などの症状が見られることもあります。 しかし、同様の呼吸器症状を示す感染症は他にもあるので、SARSの診断には、病原体検出や血 清検査などのいわゆる実験室的診断を行うことになります。しかし、SARSコロナウイルスの検査 も現状では完全とは言えないことから、基本的には他疾患の除外による診断となります。(→Q30 も参照) − WHOの【 疑い例】 と【 可能性例】の報告基準( 今後変更される可能性があります) − 【 疑い例】 1.2002年11月1日以降に ・ 38℃以上の発熱と、 ・ 咳または呼吸困難の症状があり、 かつ、以下の3つのうちひとつ以上の条件を満たす者 ・ 発症前の10日以内に、SARSの「 疑い例」 か「 可能性例」を看護・介護するか、同居し ているか、患者の気道分泌物、体液に直接触れた ・ 発症前の10日以内に、WHOが公表した「 最近のSARSの地域内伝播が疑われる地 域」へ旅行した ・ 発症前の10日以内に、WHOが公表した「 最近のSARSの地域内伝播が疑われる地 域」に居住していた 2.2002年11月1日以降に ・ 原因不明な急性呼吸器疾患で死亡し、 ・ 病理解剖が行われておらず、 かつ、以下の3つのうちひとつ以上の条件を満たす者 ・ 発症前の10日以内に、SARSの「 疑い例」 か「 可能性例」を看護・介護するか、同居し ているか、患者の気道分泌物、体液に触れた ・ 発症前の10日以内に、WHOが公表した「 最近のSARSの地域内伝播が疑われる地 域」へ旅行した ・ 発症前の10日以内に、WHOが公表した「 最近のSARSの地域内伝播が疑われる地 域」に居住していた 【 可能性例】 1.SARSの「 疑い例」で、胸部レントゲン写真において肺炎の所見または呼吸窮迫症候 群(RDS)の所見たす者 2.SARSの「 疑い例」で、SARSコロナウイルスを検査のひとつ以上で陽性となった者 3.SARSの「 疑い例」で、病理解剖所見がRDSの病理所見として矛盾せず、そのはっき りとした原因がない者 ※ただし、他の診断で罹患した病気が完全に説明されるときはSARSの疑い例、可能 性例からはずす。 ※また、SARSは現在除外診断によって診断されるものなので、報告された症例の分類 は以下のように経過と共に変わる。 ・ 当初SARSの「 疑い例」か「 可能性例」と診断されたが、その他の診断で病気が完全 に説明されるときは、重複感染の可能性を慎重に考慮した上でSARSの症例から除外 する。 ・ 「 疑い例」 であって、検査の結果「 可能性例」の報告基準を満たすようになった症例 は、「可能性例」へ再分類する。 ・ 「 疑い例」 であって、胸部レントゲン写真に異常所見のなかった者は、適切と考えら れる治療を受け、7日間の経過観察を行う。また、これらの疑い例の内で十分な回復が 見られない者は胸部レントゲン写真により再度検討する。 ・ 「 疑い例」 であって十分回復しているが,SARS以外の診断で完全に説明のつかない 者は,引き続き「 疑い例」 とする。 ・ 「 疑い例」 であって死亡し、病理解剖が行われなかった者は、「疑い例」の分類のま ま残す。しかし、もし、SARSの感染伝播鎖に関連した症例であることが判明すれば「 可 能性例」へ再分類する。 ・ 「 疑い例」 であって死亡し、病理解剖が行われた結果RDSの病理所見が認めらなか った者は、SARSの症例から除外する。 3 SARSの病原体は何ですか? WHOがSARSの原因となる病原体を解明するために、9ヵ国13カ所の研究施設からなるネッ トワークを組織し、そこで国際的な共同研究が行われた結果発見された、コロナウイルス科に分 類される新しい型のウイルスです。WHOは2003年4月16日にこれがSARSの病原体であると決定 し、「SARSコロナウイルス」 と命名しました。 4 コロナウイルスとはどういうものですか? SARSコロナウイルスはどのように出現したの ですか? 電子顕微鏡で見た場合に、ウイルス表面から花弁状の突起が出ていて、太陽のコロナの ように見えるウイルスをまとめてコロナウイルスと言っています。今までも、ヒトにかぜ様症状をお こすコロナウイルスがあることは知られていましたが、症状は軽度∼中等度であり、SARSのよう に重症な病気をおこすものは知られていませんでした。また動物では、たとえばブタ、マウス、ニ ワトリ、七面鳥などに呼吸器系、消化管、肝臓、神経系などの病気をおこすコロナウイルスが知ら れていました。 しかし、SARSコロナウイルスは、従来知られているコロナウイルスとは遺伝子的にかなり異なるも のです。SARSコロナウイルス、すなわち新型のコロナウイルスがどのようにして出現したかは、不 明です。しかし、コロナウイルスのなかで、本来ヒト以外の動物にだけ感染するはずのものが、変 異をおこしてヒトに感染するようになることはあり得ます。あるいは、もともとヒトに感染していたコ ロナウイルスがやはり変異をおこして、今までより病原性が強くなる、すなわち重症な病気をおこ すようになる可能性もあります。この新型のコロナウイルスのさらなる解析が進めば、この理由が 明らかになるものと期待されます。 5 SARSはどこの国で発生しているのですか? WHOによって、各国からのSARS「 可能性例」の報告数が取りまとめられています。報告し ている国の詳細は、感染症情報センターホームページ の『 緊急情報:重症急性呼吸器症候群( S ARS)に関する情報』→「 累積患者報告数」でご覧ください。 6 SARSはいつから発生し始めたのですか? 2003年2月に、上海と香港を訪れてベトナム・ ハノイに行った一人の人が呼吸器症状を示 し、そこで入院しましたが、その後に病院スタッフが同様な症状で発症し、その数は3月12日の時 点で40人以上に上りました。また香港の病院でも、おそらく中国本土からの旅行者をきっかけと し、病院のスタッフが同様な症状を示しましたが、その数は3月16日の時点で40人以上に上りまし た。これを元にWHOは全世界に向けて警告を発しました。 一方、中国広東省では、2002年11月16日から2月下旬までに、同様な症例が300人以上発生し ており、肺炎クラミジアによる可能性があると発表されていました。そこで、これがSARSの始まり だったのではないかとの疑いが持たれるようになりました。そのため、WHOの調査チームが広東 省で調査を行い、「SARSは2002年11月から中国広東省で始まった」 との結論を出しました。 Q7へ→ -------------------------------------------------------*Disclaimer : このQ&Aは、WHO、米国CDC、香港特別行政区政府衛生署、厚生労働省など、世 界でこれまでに得られた知見に基づき、「一例」 として作成したものです。SARSに関する最新の知 見と入手可能な情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するQ&A (感染症情報センター) 2)病気の詳細 ---------------------------------------------- 7 SARSはどのようにして感染しますか? SARSウイルスは、SARSにかかっている人から周囲の人へ感染すると考えられ、動物を介して感染す ることを示す証拠はありません。これまでの疫学的検討から、最も感染の危険性が高いと考えられることは、 SARS患者の看護・介護をしたか、それと同居をしたか、またはその体液や気道分泌物に直接触れたなど 「 SARS患者との濃厚な(密接な)接触があったこと」です。 感染経路としては、患者さんに咳や肺炎などの呼吸器症状があることから、気道分泌物の飛沫感染が、最も 重要と考えられますが、種々のSARSの集団発生事例を疫学的に検討すると、それ以外の感染経路もありうる と考えられます。飛沫による感染が主たる経路と考えられるものの、手指や物を介した接触感染、糞便からの 糞口感染、空気感染の可能性なども、完全に否定することはできません。 8 飛沫感染と空気感染とはどう違うのでしょうか? 咳やくしゃみなどをしたときには、鼻やのどから分泌物が飛沫(しぶき) の形で飛散します。これはある 程度の大きさがあるので、どこまでも飛んで行くのでなく、通常1m程度で落下します。これが落下する前に直 接吸い込んで、鼻やのどの粘膜から感染するのが飛沫感染です。飛沫は結膜に感染する場合もあります。イ ンフルエンザや流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)などはこのタイプです。 これに対して、飛沫の水分が蒸発するなどして、非常に小さく軽いエロゾール粒子( 飛沫核)となった場合に は空中に長時間漂い、また空気の流れに乗って長距離まで到達しますが、これが空気感染です。麻疹(はし か) 、水痘(水ぼうそう)、肺結核などはこのタイプです。 9 マスクは効果がありますか?ふつうのマスクで防げますか? SARSの感染経路は完全に解明されてはいませんが、今までの病院内あるいは家族内の集団発生で は飛沫感染がもっとも重要と考えられることから、適切なマスクの使用は有効な予防手段と考えられます。 SARSの予防に関してのデータはありませんが、患者さんと接触する場合や、伝播確認地域で人混みに出る 場合などでは、通常のマスクでも何枚か重ねて使用すれば、飛沫感染に対してある程度の予防効果があるも のと推測されます。もちろん、一つのマスクをいつまでも使っていると、そこに付着しているウイルスによる危険 も考えなくてはならず、状況に応じて頻繁に変えることが必要です。 しかし、空気感染の可能性がある場合、通常のマスクで防ぐことはかなり難しくなります。SARS患者が発生し ている地域の医療の現場では、空気感染に対して効果的なN95あるいはN100マスクが使用され、これが入手 できない場合には外科用マスクが使用されています。N95やN100マスクは目が非常に細かく、空気感染に対し ても効果的ですが、これを確実に装着すると息をしにくく感じ、長時間着用して一般生活をするのは通常困難 です。したがって、通常の屋外などでの活動や歩行に際しては、N95やN100マスクをすることは推奨されませ ん。 10 潜伏期間中の人、あるいは治った人からもうつりますか? 現段階では不明ですが、SARSコロナウイルスの感染を確実に判定できる検査法が確立し、広く使わ れるようになれば、これらの点も解明されることが期待されます。 これまでの疫学調査からは、患者さんの多くは、医療従事者やSARS患者さんの家族などであり、二次感染し たものであることが分かっています。また、そのほとんどは、患者さんが発熱、咳などの症状を呈しているとき にうつっています。潜伏期間や症状がなくなってからうつることはあるとしても、その可能性は極めて少ないと 考えられています。 11 年齢や性別に関係なくかかりますか? これまでにSARSと診断された患者さんの多くは25∼70歳で、また、男女間には明らかな差が見られま せん。現在までの報告では小児の患者さんは少ないのですが、その原因はよく分かってはいません。 12 予防接種(ワクチン)はありますか? ワクチンはまだありません。まもなくワクチンの研究・ 開発が開始されると思われますが、使用される ようになる前には、動物を用いた試験など、その有効性や安全性について種々の検討を重ねる必要がありま す。 13 日本でふつうの生活をしていれば、安全ですか? ある国(あるいは地域)での伝播が確認された場合、その国( あるいは地域)ではSARSにかかる可能 性があると考えられます。WHOの報告による現在の伝播確認地域は、感染症情報センターホームページの 「 緊急情報:症急性呼吸器症候群(SARS)に関する情報」 →『 最近の地域内伝播』が疑われる地域」でご覧くだ さい。 日本は、現在まで国内でのSARSの伝播は確認されていませんので、100%安全とは言い切れませんが、危 険は極めて少ないと考えられます。 14 感染したら必ず発病しますか? 同じ状況にいた人が全て発病しているわけではないことから、感染しても発病しないことがあると考え られます。患者さんの診療に関係した医療従事者での発症率は、感染防御策がどの程度行われたかにもより ますが、初期の感染防御策が余り行われなかった頃には、60%前後とされています。 この点も、SARSコロナウイルス感染を確実に判定できる検査法が確立し、それを使っての研究が進めば、より 明らかになると期待されます。 15 患者さんの使ったものや、患者さんがいた部屋は消毒が必要ですか? 病原体の感染経路が完全には解明されていないので、病原体を含む可能性のある血液や体液の付着 する医療器具は、できる限り使い捨てのものにします。止むを得ず再使用する場合や、誤ってそれらが付着し た床や家具などには、細菌、真菌、ウイルスに有効な広域の消毒剤を用います。患者さんが入院前に使用し たものや、患者さんのいた部屋などでは、血液や体液の付いた物はできるだけ捨てるか、細菌、真菌、ウイル スに有効な広域の消毒剤で消毒します。 SARSコロナウイルスは、一般に用いられている様々な消毒剤で感染性がなくなると考えられています。具 体的な消毒剤としては次亜塩素酸ナトリウムが望ましいですが、人の皮膚や粘膜などに使うことはできず、ま た金属を腐食させます。そのような場合には、70∼80%の消毒用アルコール( エタノール) も有効と考えられて います。 詳しくは、感染症情報センターホームページ の緊急情報: 「重症急性呼吸器症候群(SARS) に関する情報」 →「 家庭・職場における消毒(例)」「 SARSコロナウイルスに対する消毒剤の適用(例)」を参照 してください。 16 SARSにはどのような治療法がありますか? 有効な根治的治療法はまだ確立されていません。とくに初期には、SARSとSARS以外の肺炎との鑑 別が困難なので、一般の細菌性肺炎を対象として、抗生物質を中心とした治療を行うことになります。また、肺 病変が進行する場合には、酸素療法や人工呼吸器での管理が必要なこともあります。 海外、とくに香港では抗ウイルス剤であるリバビリンの静脈内注射とステロイド剤の併用療法を行い、効果が 期待できるとの意見も出ました。しかし、明確な効果が科学的に証明されたと言える段階ではありません。 17 SARSにかかったら治りますか?致死率はどのくらいですか? これまでにSARSの可能性があると判断された人のうち、10∼20%の方が呼吸不全などで重症化して いますが、80∼90%の人は発症後6∼7日で軽快しています。SARSの致死率については、以前は4∼6%と考 えられていましたが、WHOはさらなる検討を行った結果、2003年5月7日に、SARSの致死率は年齢や基礎疾患 などによって、また感染経路や暴露したウイルスの量などによっても異なるとし、全体として14∼15%(24歳以 下1%未満、25∼44歳6%、45∼64歳15%、65歳以上50%)との推定結果を公表しました。 SARSコロナウイルスによる感染を確実に判定できる検査法が普及すれば、SARS患者と診断される人数 が減ることも、逆に軽症のSARSの人も見つかってくることも予想されます。その結果、致死率の数値は今後も 変動する可能性があります。 重症化は糖尿病その他の病気を普段から持っている人に多く見られています。当然のことながら、一般的な 方法であっても早期に治療を開始した場合には、その後の経過が良いと言われています。 Q18へ→ -------------------------------------------------------- *Disclaimer :このQ&Aは、WHO、米国CDC、香港特別行政区政府衛生署、厚生労働省など、世界でこれま でに得られた知見に基づき、「一例」として作成したものです。SARSに関する最新の知見と入手可能な情報に 基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するQ&A ( 感染症情報センター) 3) 渡航について ---------------------------------------------18 いま海外旅行に行っても大丈夫ですか? どこの国についても、絶対的に渡航を制限しているわけではありません。しかし、厚生労働 省は、2003年3月27日、WHOの勧告に従い、香港及び中国広東省への不要不急の旅行は延期す るよう、勧告を出しました。また、その後4月27日には、北京への旅行延期勧告が出されていま す。その他の国や地域でも、WHOが公表している「 『最近の地域内伝播』が疑われる地域」 につい ても、渡航を控えることが望まれます。 なお、これらの状況は、今後も変更されることが予想されます。詳細については、外務省のホー ムページ に出されている情報もご覧ください。 19 海外から帰ってきた人と会っても大丈夫ですか? すべての国でSARS患者が発生しているわけではなく、また、発生している国でもその地域 内での伝播がおきていないところもあります。その地域内でSARSの伝播が確認されている地域 から帰国した者であっても、これまでの知見からは、症状が出ていない状態で周囲に感染させる ことは非常に少ないと考えられています。また、潜伏期間は一部の例外を除き、ほぼ10日以内と 考えられていますので、帰国日あるいは感染を受けたと考えられる時から10日を過ぎても何の症 状もなければ、その人がSARSにかかっている可能性は低いと考えられます。 20 現在患者さんが報告されている国はどこですか? (→Q5参照) 21 もしも同じ飛行機に患者さんが乗っていたら、うつりますか? SARSの患者さんと同じ航空機に乗った人の中で、SARSを発症した人があることが報告 されており、うつる可能性はないとは言えませんが、その場合の多くは近くの座席に座っていた人 です。このように、同じ航空機の同乗者全てに同じような危険があるわけではありませんが、念の ため10日間ほどは健康状態に注意し、異常が認められた場合には、電話連絡の上、医療機関を 受診してください。(→Q26参照) 4) 行政の対応・ 日本国内の発生状況・情報の入手 22 国や自治体ではどのような対応がとられていますか? 国や各自治体では、以下のような取り組みを実施しています。 国( 厚生労働省、国立感染症研究所、検疫所など) ・ 国民への情報提供体制の整備 WHOからの情報、関係国の情報の迅速な収集 国民、医療機関、行政機関からの問い合わせに対する対応体制整備 厚生労働省、国立感染症研究所感染症情報センターなどのホームページによる、 最新情報の迅速な提供 等 ・ WHOの症例定義に基づくSARSの「 疑い例」 、「 可能性例」の発生状況の把握 ・ WHOの勧告に準じて問題の国・地域への渡航延期勧告 ・ 国内発生に備えた体制の整備 医療提供体制の整備( 特定感染症指定医療機関の指定、患者受け入れ体制整備 を各自治体に依頼 等) 検疫所における対応強化( 香港、中国広東省、北京からの帰国者へ問診票を配布 し、健康状態を確認) 医療機関における感染防止の徹底( 流行地域からの帰国者に対して、医療機関を 受診する際には事前連絡するよう検疫所にて周知。医療機関に対しては、受診受 け入れ時の対応を徹底) SARSを新感染症として位置づけ SARS専門委員会による、「疑い例」 及び「 可能性例」についての検討 検査体制の整備( 国立感染症研究所ウイルス第三部が地方衛生研究所と協力 し、SARSウイルスに関する検査を実施) 等 ・ 国際的な協力等の推進 WHOの多施設共同研究ネットワークに参加し、病原体解明ための研究( 国立感染 症研究所ウイルス第三部) 海外への医師派遣(国立国際医療センター) 、WHOチーム及びWPROチームへの 医師派遣(国立感染症研究所) 等 自治体( 都道府県・ 政令指定都市)においては、 ・ 地域住民への情報提供体制の整備 保健所等における住民からの相談窓口の開設 地域医療機関への情報提供 等 ・ SARSの「 疑い例」 、「 可能性例」の国への報告、及び通報基準に基づく国への通報 ・ 地域内発生に備えた体制整備 国の通知に基づき、行動計画を作成 医療提供体制の確保 患者搬送体制の整備 等 23 日本国内ではSARSの「 疑い例」 、「 可能性例」はどのくらい報告されているのですか? 日本国内で報告されているSARSの「 疑い例」 、「 可能性例」については、感染症情報センタ ーホームページの緊急情報: 「重症急性呼吸器症候群( SARS) に関する情報」 →「我が国におけ るSARS疑い例等の報告状況」でご覧ください。 なお、WHOへの報告については、厚生労働省の「SARS対策専門委員会」 で、個々の症例を詳細 に検討し、SARSの「 可能性例」として最終的に残った症例のみが報告されています。 24 SARSに関する最新の情報を知るには、どうすればよいですか? 全般的な情報としては、 WHO (http://www.WHO.int/en/)、厚生労働省 (http://www.mhlw.go.jp/index.html)、国立感染症 研究所感染症情報センター (http://idsc.nih.go.jp/index-j.html)、検疫所 (http://www.forth.go.jp/)、などのホームページがあります。 また、各国における情報としては、 米国CDC (http://www.cdc.gov/default.htm)、香港厚生省 (http://www.info.gov.hk/dh/)、シンガ ポール厚生省 (http://app.moh.gov.sg/)、ヘルスカナダ (http://www.hcsc.gc.ca/english/index.html) などのホームページがあります。 Q25へ→ -------------------------------------------------------*Disclaimer : このQ&Aは、WHO、米国CDC、香港特別行政区政府衛生署、厚生労働省など、世 界でこれまでに得られた知見に基づき、「一例」 として作成したものです。SARSに関する最新の知 見と入手可能な情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 重症急性呼吸器症候群(SARS)に関するQ&A ( 感染症情報センター) 5) SARSにかかっている心配をされている方に 25 SARSにかかるとどんな症状がでるのですか? 主な症状は、38度以上の発熱、痰を伴わない咳、息切れや呼吸困難で、胸部レントゲン写 真で肺炎の所見が見られます。最初に起こり得る症状で最も確実なものは、発熱です。 その他に、頭痛、悪寒戦慄、食欲不振、全身倦怠感、下痢、意識混濁などの症状が見られること もあります。 26 疑わしい症状がでたら、どうすればよいですか? 医療機関にあらかじめ電話等で状況を説明し、受診方法(時間や場所など)を確認した上 で受診してください。病状にもよりますが、感染経路が完全に解明されてはいないので、受診する 際にはマスクを着用し、公共交通機関の使用は避けることが望ましいと考えられます。 なお、連絡した医療機関で受診を受けられない場合には、ご本人( 保護者)やその医療機関から 保健所など( 地域の行政機関)に相談されるとよいでしょう。 27 感染した可能性のある時から何日たてば、心配はなくなりますか?(潜伏期間はどのくら いですか?) 潜伏期間は通常2∼7日間で、一部の例外を除きほぼ10日以内と考えられています。した がって、11日以上経っていて何の症状もなければ、殆ど心配はないものと思われます。 28 症状が出る前でも、家族にうつりますか? (→Q10参照) 29 感染しても、発病を防ぐ方法はありますか? 治療法が確立していない現在、感染してから発病を防ぐのに確実な方法も不明です。しか し、普段から健康状態を保っておく、すなわち、栄養や睡眠を十分にとって健康状態を保つことは 重要と思われます。持病のある方は、その病気の状態を良くしておくことも大切です。 30 SARSと診断するために、どんな検査が必要ですか? SARSは基本的に症状と、渡航歴や、SARS「 疑い例」あるいは「 可能性例」の人との接触の 有無により、SARSかどうかを疑うことから始ります。検査としては、「可能性例」の判定には胸部レ ントゲン検査が必要です。また、血液検査( 血球検査、生化学検査) 、尿検査などの一般的検査を 行い、さらに、喀痰や咽頭ぬぐい液などを用いて通常の肺炎を起こす病原体を調べることも重要 です。 さらに、国立感染症研究所ウイルス第三部において、SARSコロナウイルスに感染しているかど うかの病原体検査が行われます。この病原体検査は大きく3種類に分かれます。ひとつは、血液 中の抗体を調べるもので、これには酵素免疫測定法 (ELISA) と免疫蛍光法 (IFA) の二つの方法 があります。しかし、これらはいずれも発病初期には検出されず、ELISAの場合は発病後20日を 過ぎてから、IFAの場合は発病後10日を過ぎてから検出されます。 あとの2種類はウイルス遺伝子の断片があるかどうかを調べるPCR法と、生きたウイルスを培養 して分離・同定する検査で、いずれも咽頭ぬぐい液、喀痰、血液、便、尿などで検査します。PCR 法は、一般に発病初期に陽性に出ることの多い診断法ですが、SARS コロナウイルスについて は、未だ不完全な段階で、現段階ではSARSウイルスに感染していても検出されないこともあり、 検査方法を改良しつつあるところです。ウイルス培養検査は、生きたウイルスの存在を調べること でき、陽性であれば感染の証明ができますが、培養には時間を要します。いずれの検査方法も、 陰性だからといって感染を否定することはできません。 31 発病しても治療を受ければ治りますか? SARSの治療薬( 治療法)はありますか? (→Q16参照) 32 致死率はどのくらいで、どんな人が死亡やすいのでしょうか? (→Q17参照) 33 SARSの医療費はどうなりますか? 自治体(県知事、政令指定都市は市長)から入院の勧告を受けた場合に限り、勧告を受け た時点から全額公費負担となります。 Q&Aトップに戻る→ -------------------------------------------------------*Disclaimer : このQ&Aは、WHO、米国CDC、香港特別行政区政府衛生署、厚生労働省など、世 界でこれまでに得られた知見に基づき、「一例」 として作成したものです。SARSに関する最新の知 見と入手可能な情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/6 感染防御マスクについて( 案) ( 感染症情報センター) ●医療関係者が着用するマスク SARS「 疑い例」 「可能性例」 の診察に当たる医療関係者の個人感染防御としてWHOが勧めるのは以下のもので ある。 ・適切に呼吸器の防護が行えるマスク ・手袋( 両手) ・眼の防御用具( ゴーグルなど) ・使い捨てガウン ・ エプロン ・汚染除去可能な履物 WHOは、マスクについては米国の規格でN95より高性能であるマスクの着用を推奨している。一方、米国、カナダ など感染者の確認された地域においてはN95規格より上のマスクについて着用を義務付けてはいない。 現在、飛沫感染が主たる感染経路であると考えられており、N95規格のマスクで十分であると考えられ、SARS 患者の診察などに関わる医療関係者の個人的防御策としては、N95規格およびそれと同等のマスクの着用が望 まれる。N95規格のマスクが入手できない場合には、下記の表を参考に工業用の防塵マスクでも対応可能であ る( 下表参照) 。なお、これらすべてが入手できない場合には、サージカルマスクの着用を検討する。サージカル マスクも飛沫による感染を十分防ぐことができ、香港でのSARSでの感染防御に有効であったことが報告されて いる。ただし、鼻の周りなどフィッティングが不十分であると、空気が多く漏れることがあるので注意を要する。す べてのマスクの着用においては確実なフィッティングが非常に大切である。再利用可能なフィルターなどについ ては、説明書の記載をまもり、これらマスクが汚染されないようにする。 また、過去の事例からもマスクの性能よりも、マスクの着用、ガウンなどの着脱などに関連した人のエラーを防止 することが重要であり、特にSARS患者に対応する職員には、十分な教育や、労働条件などの面から十分な配慮 が必要と思われる。 ● 医療関係者以外のマスク着用 WHO西太平洋事務局および米国CDCは公衆の場でのマスクの着用は推奨していない。我が国においても、国 内での感染が確認されておらず、SARSの感染予防としての健常者のマスクの着用は現在のところ必要ないと考 えられる。 表:防塵マスクの規格 (下線の引かれたものは、N95マスクと同等かそれ以上の性能を持つもの。) 項目 日本 米国 欧州 S=塩化ナトリウム N=塩化ナトリウム S=塩化ナトリウム L=フタル酸ジオクチル P, R=フタル酸ジオクチル SL=パラフィンオイル 85LPM 85LPM 95LPM 使い捨て式 DS1:80% N95: 95% N99: 99% 使い捨て式 FFP1S: 80% 試験粒子 試験流量 DS2:95% N100:99.97% DS3:99.9% 規格と捕集効率 FFP2S: 94% FFP3S: 99% DL1: 80% 95% DL2: R95: 95% 99% R99: FFP1SL: 80% 94% FFP2SL: DL3: 99.9% R100:99.97% FFP3SL: 99% 取り替え式 RS1:80% RS2:95% RS3:99.9% P95:95% P99:99% 99.97% P100: 取り替え式 P1S: 80% P2S: 94% P3S: 99% RL1: 80% 95% RL2: P1SL:80% P2SL:94% RL3: 99.9% P3SL:99% 日本 D: 使い捨て式防塵マスク R:取り替え式防塵マスク 米国 N: オイルミスト非対応 R:抗オイルミスト P:オイルミスト対応 欧州 FFR:使い捨て式防塵マスク EFR: 取り替え式防塵マスク ---------------------------------------------- IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 2003/5/22( 改訂) 更新情報 下線は前回から変更 のあった部分です。 SARSコロナウイルスに対する消毒剤の適用(例) 改訂版 感染症情報センター Disclaimer : 推奨する消毒剤の例は、世界でこれまでに得られた知見に基づき、エンベロープ*をもつ ウイルスに対する消毒の「一例」として作成したものです。実際にはこれを参考に、各施設における実情 に合わせてご判断ください。また、適切な消毒剤についての情報は、SARSに関する最新の知見と入手可 能な情報に基づき、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 SARSコロナウイルスはエンベロープ*を有するウイルスである。 *エンベロープ(envelope) ウイルス粒子の一番外側にある膜。脂質2重層に、糖タンパクが挿入された構造をとる。消毒剤を作用 させたときこれを持つウイルスの方が持たないウイルスよりも消毒剤で感染力がなくなりやすい。 1. 加熱滅菌可能なもの (ア) 高圧蒸気( オートクレーブ) 滅菌(121℃、20分) (イ) 乾熱滅菌(180∼200℃、1時間 あるいは 160∼170℃、2時間) (ウ) 煮沸消毒(98℃以上、15分以上) 2. 加熱滅菌不可能なもの (ア) 次亜塩素酸ナトリウム: ・ 有効塩素濃度は0.02-0.05%(200-500ppm) で1時間以上浸漬使用すること が多いが、確実な殺ウイルス作用を期待するためには0.1%(1,000ppm) 以 上30分以上の作用が有効である。 ・ 布、金属に対して腐食性があり、有機物が付着していると効果が低下す る。 ・ 人体には使用できない。 ・ リネンには0.1%(1,000ppm) で30分浸漬後水洗、食器などには水洗後0.010.02%( 100-200ppm)で5分以上浸漬する。 ・ 排泄物の消毒には0.1-1%( 1,000-10,000ppm) 濃度が有効である。 (イ) 消毒用エタノール(約80%): ・ 人体に対する毒性が少なく、手指の消毒などに適している。ただし、密閉し た容器に保存しないとアルコール分が蒸発し、濃度が保たれないため効果 が激減する。 ・ 脱脂効果のため皮膚が荒れることがあるので、スキンケアが重要である。 ・ 粘膜面には使用できない。アルコール系消毒剤として、イソプロバノール (70%) が使用されることもあるが、ウイルスに対する効果はエタノールより 劣っている。 ・ 手指の消毒には速乾性皮膚消毒剤( 例:商品名ウエルパス、ヒビスコール など; 塩化ベンザルコニウム又はグルコン酸クロルヘキシジン、エタノー ル、界面活性剤、湿潤剤含有) の利用頻度が高い。 ・ 血液などが付着している場合などには、内部まで届かないことがあり洗い 落とす必要がある。 ・ 引火性があるので、取り扱いに注意が必要であり、広範囲な噴霧には向い ていない。また、消防法での規制がある。 ( ウ) 過酢酸: ・ 低濃度(0.001-0.2%)で芽胞を含むすべての微生物に対して効果がある。ま た、有機物が存在していても有効である。 ・ 最終的に水、酸素、酢酸に分解し、有害物質が残留しない。 ・ 一部の金属を腐食する。 ・ 刺激臭がある。 (エ) グルタルアルデヒド(2%、pH8) : ・ 化学作用、蛋白変性作用が強く、殺菌力も強いためあらゆる微生物を消毒 することが可能である。 ・ 刺激が強いため人体には使用できない。 ・ 器具の消毒には血液や体液を十分に除去した後、2%グルタラール液に1 時間浸漬の後、十分に水洗する。 ・ 排泄物や体液の消毒には2時間以上浸漬する方が確実である。 ・ 床の消毒には0.2%液で清拭し、30分以上放置の後、水拭きする。 ・ 内視鏡の消毒などには、3%液での15分消毒が過程に組み込まれている ことがある。 ・ 消毒にあたっては保護具の使用、換気が必要である。 (オ) ホルムアルデヒド( 液体:1-5%溶液、ガス: 1m 3あたりホルマリン15ml以上 を水40ml以上と共に噴霧又は蒸発させ、7-24時間): ・ 液体は医療器具の浸漬消毒あるいは清拭に用いる。 ・ 室内の殺菌をする場合にガス状にして使用することができるが、毒性、刺 激性が強い。 (カ) エチレンオキサイドガス: ・ 濃度約500mg/L、55-60℃、3時間以上処理。中央材料室などで非耐熱性 器具等の滅菌に利用する。その後のガス残留がないように注意する。 ・ 吸入すると気道の炎症や吐気、めまい、神経症状を起こし、催奇性、発癌 性のリスクも指摘されているため、十分に換気することが必要である。 (キ) ヨウ素系消毒剤( ヨードホール) : ・ ヨウ素とキャリア( 非イオン系界面活性剤)の複合体を作り、水溶液としたも のである。アルカリ性になると効果がなくなり、有機物の混在によって効果 が減弱する。 ・ 喀痰や血液が付着していると効果は著しく低下する。 ・ 一般の金属には腐食作用があり、皮膚、粘膜、布類への着色がある。 ・ 手術部位の皮膚消毒には10%溶液、10%エタノール液が用いられる。 ・ 手指、皮膚の消毒に7.5%スクラブ液も用いられる。 ・ 創傷部位の消毒には10%ゲルが用いられる。 ・ うがいには7%濃度のものを添付書類の指示に従って希釈し用いられる。 ・ 高濃度のヨウ素系消毒剤には皮膚に対する刺激作用があり、ヨード過敏 症を起こすことがある。 3.塩化ベンザルコニウム、クロルヘキシジン、界面活性剤にも消毒効果があると考えられま すが、効果が十分得られない場合が有ります。 現段階でのSARSコロナウイルスの消毒には、上述の1と2の消毒方法が推奨されます。 ---------------------------------------------日本医師会のウェブから一般的な消毒剤に関する情報が入手可能です。 1類、2類、3類微生物の消毒方法(pdf ) ) 消毒・滅菌の概要(pdf 消毒薬一覧(pdf ) ---------------------------------------------- IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/3( 3訂) 家庭・職場における消毒(例) 3訂版 感染症情報センター この消毒例はSARSの「 疑い例」 あるいは「 可能性例」が確認された場合に、家庭や職場での消 毒について記載したもので、新たな知見の集積などにより変更されることがあります。 また、入手の容易さを考慮して家庭用の漂白剤を使った例を記載しています。消毒用エタノ ール(薬局などで入手可能)など、エンベロープのあるウイルスに効果のあるとされている消毒 薬が入手可能な場合はこれらを使うことも推奨されます。有効性が認められると考えられてい る消毒薬については、「SARSコロナウイルスに対する消毒剤の適用( 例)」 を参照して下さい。 また、消毒薬の種類によっては、有機物を取り除いておかないと効果が薄れるもの、引火性、 粘膜刺激性、あるいは発ガン性を有するものもあるので必ず注意書きをよく読み、それらを守 って使用する必要があります。 「可能性例」の患者に関連した家庭や職場での消毒を行う際には、部屋の換気を十 「 疑い例」 分に行い、最低限、サージカルマスク、手袋、目の保護、ガウンをしたうえで行うことが望まれ ます。 患者がまだ在室している場合は、より厳重な感染防御策が必要となり、SARS患者に対応す る医療関係者と同様の対応が必要になります。「重症急性呼吸器症候群(SARS) 管理例(5 訂) 」を参照してください。 ? また、電化製品などを消毒する場合には細心の注意を払い、機器に水分などが入り込まな いようにします。また、下痢便などではこのウイルスが4日間程度生存することも指摘されてお り、トイレの消毒の際は、飛沫などが飛び散らないように注意が必要と考えられます。ここで使 用している家庭用漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムが成分である塩素系の漂白剤( 5%濃度)のこ とです。(例:ハイター、キッチンキレイキレイ) 1: 家庭や職場 ●居間・食事部屋 【 対象】 ドアノブ・窓の取手・照明のスイッチ・ソファー・テーブル・ 椅子・電話機・ コンピュ ータのキーボードとマウス・小児の玩具・床・ 壁など 【 方法】 ・100倍に希釈された家庭の漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水道水99) で完全に 拭く ( 最終濃度0.05%) ・特に手などが触れる部分は、50倍に希釈した漂白剤( 家庭漂白剤1に対して 水道水49)を使用する。(最終濃度0.1%) その後、「から拭き」をする。 ●台所とトイレ 【 対象】 水道の蛇口・ シャワーヘッド・浴槽・ 洗面器・ ドアノブ・窓の取っ手・照明スイッチ・ 排水溝・ 水洗便器と流水レバー・便座とフタ・汚物入れ・ 壁・床など 【 方法】 ・ 便器 100倍に希釈された家庭の漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水道水99) (最終濃度 0.05%) とトイレブラシを使ってきれいにする。その後、水を流す。 ・ 浴槽や洗面台 100倍に希釈された家庭の漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水道水99) (最終濃度 0.05%) 通常のブラシを使ってきれいにする。その後、水でよくすすぐ。 ・ 排水溝 100倍に希釈された家庭の漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水道水99) (最終濃度 0.05%) を注ぐ。5分間経過したら、水を流して排水する。 ●その他 食器・衣類・ 寝具 【 方法】 「 疑い例」あるいは「 可能性例」の患者が着ていた衣類や寝具については、衣 類・ 布団や枕のカバーは熱湯消毒(80℃、10分以上)してから洗濯機にかける、 熱水洗濯を行う。 または、10-100倍に薄めた家庭の漂白剤( 最終濃度0.5-0.05%)で清拭または30 分間浸漬。 2: 職場や集合住宅の共用部分 現在のところ建物全体や近所の家などに対して特別な消毒は必要ないと考えられます。しか し、以下の共用部分については、清掃・ 消毒を行うことが推奨されます。 【 対象】 ・ エレベーター( 昇降機)あるいはエスカレータ 特にエレベーターの呼出しボタン、停止階ボタン、エスカレータの手摺り部分 ・建物への出入り口 建築の入口にあるドアノブやハンドル、セキュリティ対応のオートロックボタンな ど不特定の人が触れる部分。 ・共用のトイレ、給水場所など 【 方法】 ・100倍に希釈された家庭の漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水道水99) (最終濃 度0.05%) で完全に拭く ・特に手などが触れる部分は、50倍に希釈した漂白剤( 家庭漂白剤1に対して水 道水49) (最終濃度0.1%)を使用する。その後、「から拭き」をする。 ・ トイレについては家庭や職場の例を参照。 ---------------------------------------------- IDSCホームページへ 戻る 医薬安発第0509001号 平成15年5月9日 各 ┌ ┐ 都道府県 | | 政令市 衛生主管部( 局)長 殿 | | 特別区 └ ┘ 厚生労働省医薬局安全対策課長 原因不明の「 重症急性呼吸器症候群」による院内感染防止対策の徹底について 原因不明の「 重症急性呼吸器症候群」による院内感染防止対策については、「ハノイ・香港等における原因不明の重症急性呼吸器症候群の集団発 生に伴う対応について( 第7報) 」 (平成15年4月7日付け健感発第0407001号) 等により、「重症急性呼吸器症候群(SARS) 管理指針」( 以下「SARS 管理指針」 という。)として、SARSの可能性例に対する対応を示し、貴管内の医療機関等へ周知し、適切な対応をお願いしているところです。 今般、各医療機関におけるSARSの感染防御の視点から別紙のとおり「 重症急性呼吸器症候群(SARS)に対する消毒法」 をまとめたので、貴管内 の医療機関に対して周知方お願いします。 別紙 重症急性呼吸器症候群(SARS) に対する消毒法 1.重症急性呼吸器症候群( SARS) の病原体と推定されている新型コロナウイルスは、重篤な症状を引き起こすことや、本ウイルスに関する詳細につ いては未だ明らかにされていないことなどから、本ウイルスに対しては厳重な消毒を行っておく必要があります。 2.コロナウイルスは、エンベロープと呼ばれる膜を有するウイルスで、過酢酸(アセサイドRなど) 、グルタラール(ステリスコープR、サイデックスRな ど) 、次亜塩素酸ナトリウム(ジアノックR、ピューラックスR、ミルトンRなど) 、アルコール( 消毒用エタノール、70v/v%イソプロパノール) 、およびポビ ドンヨード( イソジンR、ネグミンRなど) などが有効です。 3.手指消毒には、速乾性手指消毒薬(ヒビスコールR、ヒビソフトRなど)を用います。 4.患者が退室した病室の消毒は、オーバーテーブル、ベッド柵、椅子、机およびドアノブなどに対するアルコール清拭で対応してください。アルコール の代わりに、0.1%(1,000ppm) 次亜塩素酸ナトリウム( ジアノックR、ピューラックスR、ミルトンRなど) を用いても差し支えありません。なお、天井、 壁、および床などの消毒は、喀痰などの付着がない限り不要です。 5.ベッドマット、毛布、およびシーツなどのリネン類の消毒は、80℃・ 10分間の熱水洗濯が適しています。ただし、80℃・10分間などの熱水洗濯が行え る洗濯機がない場合には、0.1%( 1,000ppm) 次亜塩素酸ナトリウム(ジアノックR、ピューラックスR、ミルトンRなど)への30分間浸漬で対応してくだ さい。 6.患者に関して発生した感染性廃棄物を扱う際には、注射針などによる外傷に注意し、バイオハザードと明記された漏出しない強靱な袋あるいはゴ ミ箱に入れ、安全に廃棄してください。 なお、以上の方法で消毒する場合は、適切な感染予防装備と手順に従って行ってください。 トップへ 戻る IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/17 WHOの海外旅行に関する対策 (6月13日6訂*) 旅行者に対する勧告 SARSを心配している海外旅行者は、SARSの主要な症状である、高熱(38℃以上、華氏100.4℃以 上) 、乾性咳嗽、息切れまたは呼吸困難に十分気をつけることが最も重要である。これらの症状が あり、SARSの「 最近の地域内伝播」が見られている地域に最近10日のあいだに滞在した者は、医 療機関を受診するよう勧める。(「伝播確認地域」 /「 最近の地域内伝播」が疑われる地域を参照) WHOは現在、SARSの予防法のひとつとして、中国の北京、台湾への旅行は、どうしても必要な場 合以外は延期することを勧告している。この勧告は暫定的なものであり、SARSの集団発生の状況 の変化に応じて毎日再検討され(Travel−旅行勧告, 旅行勧告の変更参照) 、またこれらの地域の 国際空港を単に乗り継ぎのために通過するだけの人には適用されない。WHOはこれ以外の地域 への旅行制限は勧奨しない。 SARSの国際的拡大防止のためにWHOが勧奨する対策 SARSに対する有効な薬剤もワクチンも存在しないため、この疾患の制御は症例の迅速な診断と管 理に懸かっている。これには、「疑い例」 と「 可能性例」の隔離とその密接な接触者の管理を含む適 切な管理が含まれる(SARSの管理指針 参照) 。大多数の国々ではこれらの対応により、輸入症例 から他の人々への感染拡大を防いできている。 旅行者がSARSウイルスを新たな地域へ持ち込む危険性をさらに減らすために、地域内伝播の程 度がBあるいはCに分類されている地域(「 最近の地域内伝播」が疑われる地域参照)から出発する 海外旅行者は、出発時にSARSの可能性についてスクリーニング(ふるいわけ)を受けなければな らない。このスクリーニングは2、3の質問に答えることと、体温測定を含むことが考えられる。ひとつ 以上のSARSの症状が有ることに加え、感染の機会があったか、熱があるか、あるいは明らかに具 合が悪そうな旅行者は、医療関係者によって診察されなければならないし、回復するまで旅行を延 期するよう助言される場合もある。 現時点ではWHOは、SARSの集団発生が報告されている地域から到着するいかなる物品、生産 品、動物も、公衆衛生上のリスクを引き起こすとは考えていない。従って、この点に関する制限は 勧告していない。(WHO加盟国へのSARS伝播確認地域から到着する物品および動物に関する情 報を参照) WHOは更に、「最近の地域内伝播」 が疑われる地域から到着する人々も、上述したSARSの主要な 症状に十分注意を払い、もしも感染が広がっている地域を離れてから10日以内に症状が現れた場 合には、まず電話で連絡した上で医師の判断を仰ぐよう勧める。「可能性例」と接触のない健康な 人々については、特別な対策は必要なく、まったく自由に通常の生活を送ってかまわない。「可能 性例」と接触のあった人々は、最後の接触から10日間が経過して健康だとわかるまでは旅行すべ きではない。以上の勧告にもかかわらず、「可能性例」の接触者が他の国へ旅行した場合には、そ の人は到着した国の保健当局によって自発的な隔離と積極的なサーベイランスによる監視下に置 かれるべきである。(SARSの管理指針: 接触者管理参照) 。 各国がWHO勧告を基に、それぞれの国の実状に合わせて変更を加えていると考えられるので、旅 行者には補足情報をかかりつけの医師やその国の保健衛生当局から得ることを勧める。多くの国 の保健当局が、優れた情報の掲載されたウェブサイトを作成している。 入手可能なWHOの情報はすべてWHO SARS web site( 日本語: 感染症情報センター)に掲示され、 定期的に更新されている。 ----------------------------------------- IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/11 SARSの報告がある地域から到着する 旅客に接する機会のある職員のためのCDC暫定ガイドライン( 要 約) ( 6月5日) CDCはSARSの集団発生の状況を常時監視しているが、現時点では主な感染経路はヒト−ヒトの 密接な接触時の飛沫感染である。他の感染経路の存在の可能性も考えられるが、現時点ではま ったく分かっていない。CDCは旅行者に対する情報として、勧告と警報を出しているので、参照して 欲しい。 米国運輸保安局(Transportation Security Administration) 、税関庁・ 国境防護局(Bureau of Customs and Border Protection) 、その他の職員でSARSが報告されている地域からの旅客に接 する者に対して、一般の人に接する際に既に導入されている予防対策以上の特別な対策をCDC は推奨していない。一般的に、すべての感染症に共通の効果的な手洗いを行うことが必要であ る。石けんと水による手洗いが望ましいが、もしそれが難しい状況の場合は、見た目には特に汚れ て( 有機物等の付着が) 無ければ、アルコール入りの速乾性のある消毒剤で代用することもでき る。 もしも、SARSが報告されている地域から到着して、呼吸器症状を呈している乗客を、拘束あるいは 介助しなければならない時は、その患者をできるだけ他の旅客から離れた場所へ置き、直ちに適 切な担当部局に連絡すると共に、空港あるいは港湾を管轄している検疫所と救急医療班 (Emergency Medical Services)の支援を要請する。これらが到着するまでの間は、症状のある乗 客に、手に入る場合は外科用マスクを着用してもらう。これには、空気中への飛沫の拡散を減少さ せる作用がある。外科用マスクが入手できない場合は、ティッシュペーパーを渡し、咳をするときに 口と鼻をそれで覆うように指導する。患者がマスクを着用できないとき( 息苦しい等で)は、職員が その人に近接する場合にマスクを着用する必要がある。CDCは、到着旅客と接する米国運輸保安 局、税関庁・ 国境防護局、その他の職員が、N95等の用具を日常的に使用することは推奨しない。 これらの職員が、SARSに罹患している可能性がある旅客に接した後で、発熱や呼吸器症状を呈 した場合は、受診することを勧めるが、必ず事前に症状を連絡し、仮にSARSに罹患していた場合 でも、医療機関での二次感染の危険を避けるための対策が取れるようにする。 ( 詳細はInterim Guidelines for Personnel Interacting with Passengers Arriving from Areas with SARSを参照) ----------------------------------------- IDSCホームページへ 戻る 関西方面を医師が旅行( 5/8∼5/13)した件に関するQ&A Q 今回の台湾人医師による我が国でのSARS感染の危険性はどの程度なのか。 A 今回の台湾人医師の症状は、来日後の5月9日の夕方から発熱したのであり、(1)発熱以前、発症早期の有熱前駆期は感染性は低いこと、(2)咳 がなかったため、物理的に唾液の飛沫が発生しにくかったこと、(3)Super-spreaderは、これまでの経験上発症後2週間程度で死亡する重症である が、今回の台湾人医師は発症10日目で状態は安定していること、(4)最も感染性が高いのは、肺炎期の数日間( 通常発症後2週間目)であること、 ( 5)最も濃厚な接触があったと考えられるツアー同行者20人からこれまで発症者がいないこと、(6)旅行中の大部分を貸し切りバスで移動していたこ となどから、旅行中に市中の一般の方に感染させるおそれは極めて低いと考えられます。 なお、最大潜伏期間は、10日間であることから、最後の接触したと考えられる日から、10日間すぎて問題がなければ、感染しなかったと考えられま す。 Q 5月の8日から13日頃に関西方面に旅行をしたのだが、SARS感染について心配だがどうすればよいのか。 A SARSの感染については、患者の2m以内での会話で唾液の飛沫を浴びたり、SARS患者の看護・介護、同居、またはその体液や気道分泌物に直 接触れる等の濃厚な接触が必要とされています。 SARSであると確認された台湾人医師の行程について、厚生労働省ホームページに掲載されていますので、同じ日、同じ時間帯に、同じ場所( ホテ ル、レストラン等) に行かれたかご確認ください。 台湾人医師(発症者) の利用したのと同じホテル、レストラン、フェリー及びロープウェイを同じ時間帯に利用された方は、最寄りの保健所にご相談く ださい。 行程表の注2( 濃厚接触の可能性が低い場合) の場所の場合、発症者との濃厚接触の可能性は低いので、感染のおそれは極めて低いと思われま す。もし、発熱、咳や呼吸困難感等の症状がある場合やご心配があれば、念のため最寄りの保健所にご相談ください。 関西新空港の場合、滞在時間が約3時間と長く、立ち寄り先が特定できませんが、濃厚接触の可能性は低いと思われます。5月13日14: 30から1 7: 20の間に関西新空港を利用された方で、もし、発熱、咳や呼吸困難感等の症状がある場合やご心配があれば、最寄りの保健所にご相談くださ い。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SARS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報セン ターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q 台湾人医師の行程表については、間違いないのか。記載されているところ以外に立ち寄っていることはないのか。 A 行程表については、関係府県を通じて旅行会社、ホテル等を調査し、現時点で確認できているものです。現在も、さらに詳細な調査を実施中ですの で、今後さらに、必要に応じ追加修正していきます。 なお、一部に徒歩で移動するなどのことがあっても、濃厚接触の機会は少ないと考えられるため感染の可能性はほとんどないと思われます。 Q 台湾人医師が利用した交通機関・宿泊施設は利用しても大丈夫か。 A いずれの交通機関・ 宿泊施設も感染者が利用して日数がたっております。また、念のため消毒も終えております。現在は安心してご利用ください。 Q バス、列車、船の消毒が実施されているが、消毒実施以前に利用した者はSARSに感染する可能性があるのか。 A 感染するのは、患者の2m以内での会話で唾液の飛沫を浴びたり、SARS患者の看護・ 介護、同居、またはその体液や気道分泌物に直接触れる等 の濃厚な接触をした場合です。 そのような濃厚な接触がない限り、同じバス、列車、船を利用してもSARS感染の心配はありません。しかしながら、発熱、咳または呼吸困難感等の 症状がある場合やご心配の場合には、最寄りの保健所にご相談下さい。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染 症候群( SARS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報センターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q ユニバーサルスタジオジャパンに同時間帯に行ったが、レストラン、トイレ、乗り物等で患者が触れたかもしれない物に多数の人間がさわっている が、感染のおそれはないのか。 A 本来、SARSは症状がない期間にはヒトに感染させることはないと考えられております。台湾人医師が、発熱したのは、5月9日の夕方であり、ユニ バーサルスタジオジャパンにいた時点では症状はありませんでした。 したがって、ユニバーサルスタジオジャパンにおいて、患者、または患者が触れた物品を通じてSARSが人へ感染する危険は極めて小さいと考えら れます。しかしながら、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合やご心配の場合には、最寄りの保健所にご相談下さい。(保健所の電話番号 は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SARS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報センターの「 地域保健」の項 目にて公開しております。) Q ホテルの従業員など感染していないのか A ホテルの従業員など関係者全員の調査を行ったところ全て結果が良好でした。また、健康状況が異常無しと確認された関係者全員についても、接 触があったと考えられる最終日より10日間は引き続き保健所による健康状況の確認を行います。 Q 同じホテル、レストランを使ったが、従業員を通じてSARSに感染することはないのか。 A 現在までのところ、ホテル、レストラン等の従業員の健康状態については異常は確認されていません。また、台湾人医師を含む一行と濃厚な接触が あったと思われるホテル従業員は接触の可能性のあった日から10日間自宅で待機し、引き続き保健所による健康状況の確認を行っています。 したがって、ホテル、レストランの従業員からSARSに感染する心配はないと思われます。しかしながら、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある 場合やご心配の場合には、最寄りの保健所にご相談下さい。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SA RS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報センターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q 同じ時間にホテル、レストラン等に行った人全員に感染の危険があるのか。 (ホテル: 5月8日、9日: 都ホテル大阪、5月10日:宮津ロイヤルホテル、5月11日:小豆島グランドホテル、5月12日:南淡路ロイヤルホテル) (レストラン(昼食) :5月10日:亀岡「 アルプラザ」 の焼き肉「 はやっ子」 、5月11日:姫路「 高田馬場」、5月12日:土庄港「シーパレス」 、5月13日: 大 阪城「 錦秀」 A SARSコロナウイルスは、SARSにかかっている人から周囲の人へ感染すると考えられています。主には、SARS患者が咳やくしゃみをした時のし ぶきを介して感染します。感染の危険性が高いと考えられることは、患者の2m以内での会話で唾液の飛沫を浴びたり、SARS患者の看護・ 介護、同 居、またはその体液や気道分泌物に直接触れる等の濃厚な接触です。 したがって、全員感染の危険があるわけではありません。 上記のような感染の疑いがあるような場合、ホテル、レストラン等に行った後、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合、最寄りの保健所に ご相談下さい。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SARS)関連情報」 または国立感染症研究所感染 症情報センターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q 台湾人医師が宿泊した部屋や食事したホテルやレストランの食器から感染することはないのか。 A 現在のところ患者が触れた物品を通じてSARSが人へ感染する危険は小さいと考えられています。また、通常食器は熱水洗浄がなされており、SA RSコロナウイルスは熱により容易に不活化されますので、食器から感染する危険性は極めて小さいと考えられます。 しかしながら、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合やご心配の場合には、最寄りの保健所にご相談下さい。(保健所の電話番号は、厚 生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SARS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報センターの「 地域保健」の項目にて 公開しております。) Q 同じホテルで大浴場、温泉を利用したが、感染の心配はないのか。脱衣室、ロッカー等は共同利用だが大丈夫か。 A SARS患者が咳やくしゃみをした時のしぶきを介して感染します。感染の危険性が高いと考えられることは、患者の2m以内会話で唾液の飛沫を浴 びたり、SARS患者の看護・介護、同居、またはその体液や気道分泌物に直接触れる等の濃厚な接触です。 同じ浴室を使ったとか、着衣から感染することは無いと考えられます。しかしながら、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合やご心配の場 合には、最寄りの保健所にご相談下さい。 Q 台湾人医師が宿泊していたホテルに同時間帯に宿泊したが、自宅待機の必要はあるのか。あるならいつまでか。 A 台湾人医師との濃厚な接触、患者の2m以内会話で唾液の飛沫を浴びたり、SARS患者の看護・介護、同居、またはその体液や気道分泌物に直接 触れる等の濃厚な接触がなければ、特に心配はないものと思われます。もし、発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合、最寄りの保健所にご 相談下さい。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染症候群(SARS)関連情報」 または国立感染症研究所感染症 情報センターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q 台湾人医師が宿泊していたホテル、利用したレストランは営業を自粛すべきでないか。 A いずれのホテル、レストランも感染者が利用して日数がたっております。また、念のため消毒も終えております。 また、ホテルの従業員については調査を行っており、健康状況に異常がないことを確認しています。特に、台湾人医師を含む一行との接触のリスク の高かったホテル従業員は接触の可能性のあった日から10日間自宅で待機し、引き続き保健所による健康状況の確認を行っています。 これらの対策により、特にホテル、レストランの営業自粛は必要ないものと考えられます。 Q ホテル、レストランで接触していた可能性のある従業員は、自宅待機させるべきではないか。 A ホテル、レストランの従業員については調査を行っており、健康状況に異常がないことを確認しています。本来、SARSは症状がない期間にはヒトに 感染させることはないと考えられておりますが、念のため特に、台湾人医師を含む一行との接触のリスクの高かったホテル従業員は接触の可能性の あった日から10日間自宅で待機し、引き続き保健所による健康状況の確認を行っています。 Q 台湾人医師と同じホテルに泊まった客の中から2人発熱などの症状を呈した人がいると聞いたが、病状はどのようか。 A 1人は、一時発熱していましたが、咳、呼吸困難と言った症状はなく、SARSの症状ではありません。その後熱も下がり病状は落ち着いています。 もう1人は、肺炎症状を呈し入院していますが、5月18日現在、抗生物質が効き解熱しています。 Q バス運転手の入院している病院を教えて欲しい。 A 万が一に備えて感染症指定医療機関に入院していただいております。感染症指定医療機関は、院内感染防止には万全の備えをしておりますので、 既に入院している方、付近の住民の方が感染するおそれはありません。ご安心下さい。公表につきましては、本人のプライバシーに配慮して公表いた しません。ご理解ください。 Q バス運転手の状態はどうか。 A 現在熱が下がっており、病状は安定しています。もともと別の疾患も持っておりますが、入院後の適切な治療により、今のところ心配はありません。 Q 運転手が発病していると聞いたが、運転手と接触した人はSARS感染の心配はないのか。 A 現在、運転手の5月13日以降の行動等について調査中です。 運転手の家族については、健康に異常はありませんでした。 Q 今回、台湾人医師が発熱した9日の夕食までに行った施設を利用しても大丈夫か。 A 台湾人医師が発熱したのは5月9日の夕食後です。SARSは症状が無いときは感染することはありませんから、これ以前に当該医師が行った施設 で感染する心配はありません。また、台湾人医師が立ち寄った施設等については、消毒等の必要な対策が既に取られており感染の心配は不要です。 ご安心下さい。 Q 大阪、京都など台湾人医師が観光した地域へ行くのは危険か。 A 台湾人医師が立ち寄った施設等については、消毒等の必要な対策が既に取られており感染の心配は不要です。 Q 大阪、京都など、台湾人医師が観光した地域へ行くのに、どのような注意が必要か。 A 特に感染予防等の対応は不要ですが、滞在中は外出先から戻ったら、手洗い・うがい等の一般的感染症予防策を行って下さい。通常となんら変わ りはありませんので、これまでと同様にお考えください。 Q 台湾人医師の一行が3時間近く関西新空港内にいたのであれば、その間にトイレ、喫茶店、待合室を利用していると考えられるが、同じ時間帯に多 数の客が利用しているが、感染のおそれはないのか。 A 5月13日14: 30から17:20に、台湾人らしい人とトイレで一緒になった、喫茶店、待合室の座席で近くに座ったといったことのある人で、発熱、咳ま たは呼吸困難感等の症状がある場合、最寄りの保健所にご相談下さい。(保健所の電話番号は、厚生労働省ホームページの「 重症急性呼吸器感染 症候群( SARS)関連情報」または国立感染症研究所感染症情報センターの「 地域保健」の項目にて公開しております。) Q 台湾人医師の一行以外にも中国人と思われる旅行客がいたが、彼らからの感染の心配はないのか。 A 台湾などの患者発生地域からの入国者に対しては、検疫所において質問票の配布、体温測定を含め健康状態の確認を行っています。旅行途中で 発熱、咳または呼吸困難感等の症状がある場合、最寄りの保健所、医療機関等に相談をするように注意喚起をしています。 トップへ 戻る IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/2 医療施設における SARS患者に曝露された 医療従事者に対する CDC指針(抄訳) (2003年5月20日発表) SARS患者を診療する医療施設における医療従事者に対するサーベイランス ・SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者のリストを作成 ・SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者が、患者やその感染性物質へ適切な感 染防御対策なしに曝露した場合、あるいは高熱あるいは呼吸器症状などを訴えた場合の 報告体制を指導 ・SARS患者に曝露される可能性のある医療従事者の欠勤状況の把握と、保健当局への異 常の報告 SARS患者に曝露された医療従事者が無症候の場合 1. SARS患者から適切な予防対策なしのハイリスク曝露(エアゾールを生成する処置をしている 間に、SARS患者と同じ部屋にいて、且つ推奨されている予防対策を取っていなかった場合) を受けた医療従事者は、曝露後10日間は、就業義務から除外されるべきである。就業義務 から除外された医療従事者は、自宅隔離し、公共の場での活動を控えるべきである。 2. SARS患者から上記以外のハイリスク曝露を受けた医療従事者は、就業義務から除外される 必要がないが、曝露後10日間は、体温の測定を少なくとも日に2回、毎日測定したりなど、症 状の積極的サーベイランス下に置かれる必要がある。 3. SARS患者から曝露を受けた時に、推奨された予防対策を遵守していた医療従事者の場合 は、曝露後10日間は少なくとも日に2回の体温の測定を行うなど、熱および呼吸器症状に気 を付けるように指導を受ける必要がある。この10日間に感染対策の担当者は、当該職員に 定期的に状況確認のための連絡を取る。 SARS患者に曝露された医療従事者が発症した場合 1. SARS患者に曝露を受けた医療従事者が、曝露後10日以内に発熱または呼吸器症状を呈 した場合は自宅隔離し、当該部署へその旨を報告しなければならない。就業中に発症した 場合は、直ちに外科用マスクを着用し患者との接触がある施設内の領域を離れる必要があ る。感染拡大を防ぐために必要な防御策をとりつつ、直ちに医療機関を受診しなければなら ないが、必ず受診に先立ちSARSの疑いがある旨受診機関へ連絡し、必要な感染拡大の防 止策をとってもらう必要がある。 2. 上記の医療従事者が自宅隔離中の、発症後72時間以内に症状が改善すれば、地域の感染 対策の責任部署と相談の上、隔離を中断し職場復帰をすることができる。 3. 上記の医療従事者で自宅隔離中に、症状がSARS「 疑い例」 の症例定義(発熱且つ呼吸器 症状) に合致するように進展した場合は、呼吸器症状の改善を伴うことを前提に、解熱後10 日まで感染予防措置、すなわち自宅隔離を続けるべきである。 4. 上記の医療従事者で症状の進展はないものの、自宅隔離後72時間以後も症状が続く場合 は、さらに72時間予防措置を続けた後、状態の如何にかかわらず医療機関で診断を受ける 必要がある。もしこの経過中に病状がSARSの症例定義を満たした場合には、上述のように 予防措置を継続する。症状の進展がなかった場合には、地域の保健当局と相談後、自宅隔 離は中断することができる。 5. SARS患者に曝露を受けた医療従事者で、曝露後10日以内に発熱または呼吸器症状を呈 し、自宅隔離措置下で72時間の観察後、症状が進展しSARS「 疑い例」の症例定義に合致し た場合、または症例定義には合致しないが症状が継続している場合には、SARSコロナウイ ルスの検査を行うべきである。 防御対策無しの曝露の防止対策 ・SARS「 疑い症例」の早期検知と隔離手法の再評価を行う ・SARSの症状・ 徴候と推奨される感染防止法を全医療従事者へ周知させる ・個人防御用具(PPE) の使用法を全医療従事者へ周知させる ・エアロゾルを産生する手法をSARS症例に行う際の対応のCDCガイドラインを遵守する SARS患者から曝露を受け発症している病院訪問者の管理 患者の家族などを含む濃厚接触者で、発熱や呼吸器症状を発症している者は、医療施設に立ち入ら せるべきではない。そのためのスクリーニングの導入や、来訪者教育を行う必要がある。 詳細は“Interim Domestic Guidance for Management of Exposures to Severe Acute Respiratory Syndrome (SARS) for Health-Care Settings”参照 ----------------------------------------- IDSCホームページへ IDSC 緊急情報トップ > 2003/6/10( 最新版) 過去の記事 感染症情報センター SARS管理例( 5) 重症急性呼吸器症候群(SARS) 管理例(6訂) ( 感染症情報センター案) *Disclaimer : この管理例は、WHOの管理指針に準拠し、米国CDC、香港特別行政区政府衛生 署など、世界でこれまでに得られた知見に基づき、SARSの感染拡大に最も有効であると考え られる「 一例」として作成したものです。実際にはこれを参考に、各施設における実情に合わせ てご判断ください。また、本指針例は、現在までのSARSに関する最新の知見と入手可能な疫 学的情報に基づいており、新しい情報が集まるにつれて今後も改定されていきます。 この管理例は、WHOの管理指針に準拠しています。 SARSのサーベイランスの症例定義、院内感染対策指針(WHO) も参照してください。 1.「 要観察例」 への対応 厚生労働省から示されたSARS「 疑い例」 および「 可能性例」の症例定義を満たさないが、症状 の進展に十分注意すべきで、状況に応じそれらに準じた対応が必要と考えられる者を「 要観察 例」と定義し、以下にその対応例を示す。実際にはこれを参考に、個別の症例の状況、各施設 や自治体の実情に合わせてご判断ください。 1. 「 要観察例」には具体的に、以下のようなものが考えられる。 38℃以上 の発熱 発症前10日以内の、SARS患者との接触ある 呼吸器症状 いは地域内感染伝播が生じている国への渡 ( 咳、呼吸困難等) 航歴・居住歴のいずれか 1 ○ × ○ 2 × ○ ○ 1) 上記のいずれかの最終曝露日から10日を 若干超えている場合。 3 ○ ○ 2) 当該地に渡航した時期が、WHOの「 最近の 地域内感染伝播が疑われる地域」の時期に 該当しないが、その前後数日間に渡航した。 3) WHOの「 最近の地域内感染伝播が疑われ る地域」ではないが、外務省から渡航危険情 報が出されている地域に渡航した 2. 「 要観察例」 に該当しないが、渡航歴または、SARS患者との接触歴がある無症状の 者との密接な接触者で、感染症の症状を呈している者は、現時点まで潜伏期の症例 からの感染の報告がないことから、一般の医療機関において、その他の感染症が疑 われる者として通常の診療をうけてかまわないと考える。 3. 受診時: 受診前に事前に医療機関への連絡を行い、マスク着用やトリアージ等の「 疑 い例」への対応に準じた感染予防策を講ずるよう促す。 4. 入院: 基本的に必要とは考えられないが、診断上及び治療上の必要性や、家庭にお ける隔離が可能かどうか等、個々の事例ごとに主治医が総合的に判断する。帰宅さ せる場合には、症状の進展に十分注意を払い、症状が悪化すれば直ちに連絡する よう指示する。また、症状が消失するまでは、家族を含めできるだけ周囲との接触を 控えることが望ましいが現実的に対処するよう指示する。少なくとも発症後3日目に は患者の状態を受診医療機関が確認することが望ましい。本人、家族に対して、 SARSの症状や伝播形式などに関する情報提供を行い、健康状態の観察に関する 指導なども「 疑い例」 の接触者の管理と追跡調査に準じて行う。 (「 疑い例」の外来での管理を参照。) 5. 検査:あくまでその他の除外診断を速やかに行うことが優先される。 6. 72時間の経過観察を行い、この間に症状の進展がない場合には医療機関で再評価 を行う。明らかな他の原因が認められず、症状の改善がない場合には、「疑い例」 に 準じ入院を考慮し、SARSコロナウイルスに関する検査を実施することが望ましい。 2. 「 疑い例(Suspected case) 」の外来での管理 1. SARS(当該地への渡航から10日以内で、38℃以上の発熱、呼吸器症状がある) を 心配している患者には、すみやかに受け付けなどに申し出てもらう( 患者への注意 書き等を掲示しておくことが望ましい) 。患者にはマスクを着用させて、出来るだけ 他の患者と接触しないような隔離室・個室等の場所に誘導する。医療従事者によ るトリアージを行うことが推奨される。 SARS関連の患者の対応をする職員は必ずN95以上の性能のある防御マスク、 手袋をつけ、ゴーグルなどで眼の感染防御をし、患者と接触する前後などにはよく 手を洗う。手袋をした場合には、はずした後も手洗いをする。 2. 診療に当たる医療従事者は飛沫感染、接触感染、空気感染に対する個人予防策 をとり、N95以上のマスクを着用する。使われた手袋、聴診器や他の器具も感染を 起こす可能性のあるものとして取り扱う。 適宜、適切な濃度に薄めた漂白剤や消毒用アルコールでの消毒を行うことが望ま しい。 3. (1) 発熱、(2) 咳又は呼吸困難感、(3) 伝播確認地域への発症前10日以内の旅行 歴又は居住歴、あるいはSARS「 可能性例」との接触があるか確認する。 4. 上記3点をみたす「 疑い例( Suspected case) 」であると考えられた場合には、最寄 りの保健所に届け出ると同時に、SARSウイルスとその他の病原体との重複感染 の可能性も考慮に入れ、肺炎の通常の原因を除外するために、すみやかに胸部 レントゲン撮影、血球検査(CBC) 、生化学検査、インフルエンザ等の可能な迅速 病原診断法を行う。この際、病原体検査用の検体採取等を行う。 (検体と採取方法はSARSに関する検査対応についてを参照する・/p> 5. 胸部レントゲン写真に異常所見が無い場合は、 1) 現時点では本人の経過観察および周囲への感染拡大予防のため、入院 とすることが望ましい。 ・ 入院させる場合には、可能性例に準じ、念のため、空調を他と共有しな い個室とし、医療従事者は接触および空気感染の個人予防策( 手袋、ゴ ーグル、マスク、ガウンその他)をとる。 2) 帰宅させる場合は、 ・ マスク( 外科用又は一般用)着用、手洗いの励行等の個人衛生的な生 活に努め、人ごみや公共交通機関の使用をできるだけ避ける。回復する まで自宅にいるよう指導する。家族との接触も少ない方が望ましいが現 実的に対処する。(これまでの知見では、有熱前駆期での感染の危険性 は、肺炎期に比べて低いと考えられている。) ・ 呼吸器症状が悪化すれば直ちに医療機関に連絡した上で受診するよう 指導する。 注) 帰宅させる際には、患者に以下の通り説明する。 ・ 発熱後3日程度で症状が軽快した場合は、SARSの可能性は少ないと考えられ るが、念のた゚医療機関を再受診し、医師の判断を仰ぐ。 6. 胸部レントゲン写真で、片側、または両側性の肺浸潤影を認めた場合は、「可能 性例」 として最寄りの保健所に届け出るとともに以下のような対応をする。 3. 「 可能性例(Probable case) 」の管理 1. 可能性例は原則個室入院とする 「 可能性例」の隔離あるいは入院のための病室は、次に示す優先順位で選ぶ。 1.ドアが閉鎖された陰圧の個室 2.専用の手洗いなどを完備した個室 3.患者が複数で上記が不可能な場合は、なるべく独立した手洗いと空調シス テムなどを完備し、SARS以外の患者との接触を断つことの出来る場所にある病 室。 2. 空気、飛沫、接触感染に対する予防措置を全て含めた、厳格なバリアナーシング を行う。 ・ SARS患者の検査、治療には可能な限り使い捨て医療器具を用い、適切に 廃棄する。やむを得ず再使用する時は、業者の仕様書に沿って滅菌する。 器具の表面は、ウイルスに有効性が証明されている広域消毒剤で消毒す る。 ・ 患者の隔離ユニット外への移動は避けなければならない。移動する場合に は、患者にN95以上のマスクを着用させる。 ・ ネブライザーの使用、胸部理学療法、気管支鏡、胃内視鏡などのように気 道を侵襲する恐れのある処置を行なう場合には、特に注意が必要である ・ 以下の個人防御策は隔離領域に立ち入る総てのスタッフ及び面会者が着 用しなくてはならない N95マスク( 最低限) 手袋(両手) ゴーグル 使い捨てガウン エプロン 汚染除去可能な履物 マスクについては「 感染防御マスクについて」 を参照に、N95およびそれと同 等以上の性能のマスクを「フィットテストキット」を行って用いるのが望まし い。 3. 以下の臨床検体を「SARSに関する検査対応について」に従って採取し、既知の異 型肺炎の病原体感染を除外すると同時に、最寄りの保健所・ 地研と相談して検体 の検査を依頼する。「可能性例」は原則として国立感染症研究所へ検体を送付し てSARSウイルスの検査を行う。 1) 病原体検索用の検体; 喀痰、鼻咽頭拭い液、咽頭拭い液、血清(ペア血清 ※ を含む) 、便、尿 2) 一般検査項目;CBC, CPK, ALT, AST, BUN、電解質、CRPは必須 3) 血液培養 ※ペア血清は、仮に採取した症例が後にSARS症例から除外された場合も、この 疾患を理解する上で非常に貴重な材料となる 4. 通常の肺炎( 異型肺炎を含む)に対する治療および臨床症状に応じた治療が推奨 される。(患者のケアに当たるものは、すべて飛沫、接触、空気感染予防策をとる。 飛沫を生じる可能性のある治療あるいは処置には特別の注意を払う。) ※飛沫、接触、空気感染予防策とは、隔離施設、手袋、ゴーグル、マスク、ガウン その他の使用を含む 5. SARSにおいては多数の抗菌薬が試用されてきたが、明らかな効果のあるものは なかった。海外では、ステロイド併用あるいは併用なしで静注用リバビリン( 国内未 承認薬) 使用の報告があるが、その明確な効果は証明されていない。 6. 臨床状態の改善をみた場合、WHOの退院基準を参照に退院時期を決定し、退院 後の経過観察を行う。 ( 注)臨床経過、検査その他によりSARS以外の疾患であることが説明できる場合、 標準の抗生剤治療で改善する等、病状の改善を医師が認めるものについては、 SARSの可能性は低下する。また現時点では、重複感染の頻度と意義については 明らかでない。 4. 「 疑い例」 、「 可能性例」との接触者の管理と追跡調査 接触者とは、SARSの「 疑い例」あるいは「 可能性例」の患者が症状を呈している間に、濃厚 な接触をもった者とする。濃厚な接触とは、「疑い例」あるいは「 可能性例」のSARS患者の介 護、同居、又は体液や気道分泌物に直接触れた場合を言う。 1. 「 可能性例」の接触者の管理: 感染拡大防止のため、組織的に追跡調査を行う必要がある − SARSの臨床像、伝播形式その他に関する情報を提供する − 接触日から10日間に何らかの症状があった場合には、直ちに医療機関に連絡 をとる。異常が無かった場合には11日目にその旨前出の医療機関に連絡する 様に指導する − 接触日から10日間は、毎日体温を記録し、38℃以上の発熱時は医療機関を必 ず受診する様に指導する − 接触者は症状がない場合は日常の行動を続けていてよいと考えられている が、上記サーベイランス期間は念のため人ごみへの外出や出勤、登校は控 え、同居人、知人との接触も最小限に留めることが奨められる ( WHOは任意による自宅内での隔離を奨めている) − 2. 発熱、呼吸器症状など、なんらかの症状を発現すれば、予め電話連絡し、直ち に医療機関を受診して検査を受けることを確実に指導する。 「 疑い例」 の接触者の管理: − SARSの臨床像、伝播形式その他に関する情報を提供する − 接触日から10日間以内の注意期間に異常があれば、医療機関に連絡をする 様に指導する − 接触者は症状が無い場合は日常の行動を続けていてよい。状況によっては、 注意期間は、できるだけ人ごみや他者との濃密な接触は避ける様に指導する 方がよい場合もある。 − 発熱、呼吸器症状など、なんらかの症状を発現すれば、予め電話連絡し、直ち に医療機関を受診して検査を受けることを確実に指導する 3. 医療従事者の管理 − SARSの「 疑い例」 あるいは「 可能性例」の患者に適切な個人防御を取らずに接 触した職員は、接触後10日間自宅隔離する。有効な個人防御用具( SARSの院 内感染対策参照) を用いて対策を取った上で診療を行った職員は、通常通り業 務に就いて差し支えないが、患者と接触後10日間は十分健康に注意し、もしこ の間に異常があれば適切な対応をとる。 4. 経過観察対象からの除外 − 調査および検査の結果、接触したSARS「 疑い例」 あるいは「 可能性例」が除外 された場合(もはや「 疑い例」 あるいは「 可能性例」の定義に当てはまらなくなっ た場合)は、接触者は経過観察対象から外される。 *最初に起こりうる最も確実な症状は発熱である。 5. SARSの可能性例に対する院内感染対策、WHOの医療機関における管理等、米国疾病対 策予防センター( CDC) による学校におけるSARS管理 および 家庭・職場における消毒( 例) は、感染症情報センターのウェッブサイト上にあります。 ---------------------------------------------- IDSCホームページへ ? IDSC 緊急情報トップ > 時間的変化トップ 旅行勧告および地域内伝播の時間的変化
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