ダウンロード - 福岡市立病院機構

卒後臨床研修カリキュラム
~福岡市民病院~
【理念】 こころをつくした最高の医療を通じて
すべての人の尊厳を守ります
【基本方針】
1. 患者本位の 医療を実践します。
2. 安全管理を徹底して行います。
3. 高度救急・高度専門医療を提供します。
4. 公的病院としての役割を果たします。
5. 地域医療連携の充実を図ります。
6. 健全経営に努めます。
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目
次
<当院の理念・基本方針>
<院長ご挨拶>
<研修カリキュラム概要>
<年次別研修ローテーション一覧表>
<研修開始時オリエンテーション>
1. オリエンテーション日程
2.オリエンテーション内容
● 医療と法律
● 診療報酬
● 研修オリエンテーリング
● 当直体制
● リスク・マネージメント(MRM)
● 診療録の書き方
● 同意書の取り方
● BLS & AED OSCE
● 死亡診断書の書き方・死亡検案の仕方
● 医療従事者業務実習
● 医学情報の探し方
● 病理検体の取り扱い・CPC(剖検実習)
● 電子カルテの基本操作
● 介助・電話対応・マナー・医療面接
● 紹介状と返事の書き方
● 院内感染予防
● 外傷初期診療
● ALS
<各領域別研修カリキュラム>
1. 内科系研修(必修)
● 内科全般・栄養・糖尿病・代謝系・消化器系疾患
● 画像診断
● 循環器系疾患
● 神経・変性疾患
2. 外科系研修(必修)
● 外科全般・消化器・乳腺・血管・腎不全疾患 ● 運動器(筋・骨格)系疾患
● 脳神経系疾患
3. 救急研修(必修)
● ICU/救急科
● 救急車同乗実習
4. 麻酔・蘇生研修(必修)
5. 地域医療研修(必修)
6. 精神科研修(必修)
7. 小児・周産期研修(必修)
8. 小児科研修(選択コース)
9. 産婦人科研修(選択コース)
<経験すべき項目と必修項目一覧>
<臨床研修評価の手順>
<参考資料:医師臨床研修の到達目標~厚生労働省~>
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院長のご挨拶
院長 竹中賢治
臨床研修医として社会の第一歩を踏み出された皆さん、大いなる期待で胸が高鳴ってい
ることでありましょう。まずはご就任おめでとうございます。また当院を臨床研修病院と
してご選択いただき大変光栄に存じます。
当院は、急性期(一般)病床 200 床・感染症4床の小さな病院ですが、保持する医療機
能はそれぞれに特化した高度医療を提供しています。主な診療内容は、
「がん(消化器、
肝臓等)
」、
「肝臓疾患」
、
「糖尿病・代謝疾患」
、「腎不全・末梢血管」
、「脊椎疾患」等であり
、従来からこれらを提供し地域の医療をリードしてきました。また、最近数年は「救急医
療」に力をいれています。当院の救急は全般的には2次救急をその主体としていますが、
「脳卒中」
、
「心筋梗塞」
、
「外科・整形外科系救急」では特化して3次救急も実施していま
す。特に脳神経・脳卒中センターと循環器内科が当院救急医療の大きな柱となっています。
また、福岡市消防局と連携して救急救命士の気管挿管実習や救急ワークステーションを受
け入れており、地域の中で幅広い活動を指導的に行っています。
当院の理念は、「こころをつくした 最高の医療を通じて すべての人の尊厳を守ります」
としています。
「こころをつくす」とは、こころをこめて患者さんの求められる医療を展開
し、インフォームドコンセントを徹底させ、患者さん本位の医療を提供することにありま
す。「最高の医療」とは、現在考えられる最高の知識・テクノロジーを各人が有し、その結
果を出すことにあります。そのような医療を通じて、市立病院としての役割であるすべて
の人の尊厳を守ろうというものです。
当院にて研修された研修医や教室から派遣された若手医師の諸君から、「当院は各診療
科の垣根が低く機能的に組織づくられており、非常に勉強しやすい」との評価を多く頂い
ております。我々に対する最高の賛辞であると素直に喜んでいるところです。新しい臨床
研修医になられた諸君にとりましても、このたびの臨床研修がすばらしいものとなります
ことを心から祈念しております。
一緒に頑張りましょう。
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研修カリキュラム概要
1.目標
将来の専門性にかかわらず、日常診療で遭遇する疾患や病態に適切に対応できるように、
プライマリ・ケアに関する診療能力を修得します。
2.研修カリキュラムの内容
1) 研修カリキュラムは 1 年次 Basic course、2 年次が Advanced course および選択
コースと段階的に組まれています。
2) 1 年次 Basic course では、内科系 4 ヶ月(内科全般・感染症・消化器・内分泌・
栄養・代謝系疾患、画像診断)
、外科系 3 ヶ月(外科全般・消化器系・乳腺・血管
・腎不全疾患)
、救急 3 ヶ月(救急外来・ICU および救急車同乗実習)
、
麻酔 2 ヶ月
をローテートします。
3) 2 年次 Advanced course には、内科系 2 ヶ月(循環器系、神経・変性疾患)
、外科
系 2 ヶ月(運動器系;骨格・筋、脳神経系疾患)
、地域医療 1 ヶ月(長崎県壱岐病
院)、精神科(福岡県立精神医療センター太宰府病院)1 ヶ月をローテートしま
す。小児科と産婦人科についても、各々、福岡市立こども病院及び関連施設(医
療法人愛生会東野産婦人科医院、医療法人愛和会愛和病院、医療法人養誠堂産婦
人科筑紫クリニック)を計1ヶ月ローテートして必修項目を修得します(小児・
周産期研修)
。さらに選択コースでは、計 5 ヶ月間に小児科・産婦人科および福岡
市民病院の診療科から本人の希望に応じて研修科目を選択します。
4) 地域医療研修は福岡市より高速船で約 1 時間の長崎県壱岐病院で行います。
小児科、精神科、産婦人科の研修は、各々、福岡市立こども病院、福岡県立
精神医療センター太宰府病院、医療法人愛生会東野産婦人科医院、医療法人
愛和会愛和病院、医療法人養誠堂産婦人科筑紫クリニックと連携して行います。
3.研修カリキュラムの特色
1) 研修カリキュラムは 1 年次の Basic course から 2 年次の Advanced course へと進
められ、幅広い診療能力を修得できます。
2) 初期研修では幅広く研修して将来への選択肢を広げることも大切と考えて、内科、
救急、地域医療のほかに外科、麻酔、精神科を必須科目と定めています。小児科、
産婦人科に関しては、小児・周産期研修で診療現場を経験しますが、さらに本人
の希望に応じて選択コースでも研修できます。
3) 内科系研修のなかに一般内科、放射線科、循環器科、神経内科の研修が組み込ま
れています。内科全般および脳血管疾患、心原性疾患等の診療能力を修得でき、
画像診断能力も向上します。
4) 外科系研修のなかに一般外科、整形外科、脳神経外科の研修が組み込まれていま
す。外科系全般にわたる幅広い基本的診療能力を修得できます。
5) 救急医療の研修では、救急外来、ICU での診療のほかに福岡市消防局と連携して行
う救急車同乗実習が組み込まれています。内科系・外科系などの救急医療はもち
ろんのこと、脳卒中センターや循環器内科に関する高度な急性期医療を経験でき、
プライマリ・ケアの原点である救急医療の現場も体験できます。
6) 地域医療研修では、離島での診療を体験することにより、患者が日常生活を営む
地域における社会福祉の状況、生活様式、患者、家族の身体・心理・社会的側面
などを理解し、地域医療の問題点を修得することができます。
7) 精神科研修では、最近増加している精神保健・医療を必要とする患者とその家族
に対して全人的に対応するため、精神症状の捉え方の基本を学習できます。
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8)
2 年間の初期研修を修了した後、福岡市民病院や福岡市立こども病院で
専門的研修を希望される方は、後期研修医として勤務することも可能です。
表. 研修カリキュラムの概要
【1 年次】
Basic course
<必修科目>
計 12 ヶ月
【2 年次】
Advanced course
<必修科目>
計 7 ヶ月
研修内容
<内科系>・・・・・・・・4 ヶ月
内科全般・消化器系・糖尿病・栄養・代
謝系疾患
画像診断・IVR
<外科系>・・・・・・・・3 ヶ月
外科全般・消化器・乳腺・血管・
腎不全疾患
<救急> ・・・・・・・・3 ヶ月
救急外来・ICU
救急車同乗実習
<麻酔・蘇生>・・・・・・・・2 ヶ月
<内科系>・・・・・・・・2 ヶ月
循環器系疾患
神経・変性系疾患
<外科系>・・・・・・・・2 ヶ月
運動器(筋・骨格)系疾患
脳神経系疾患
<地域医療>・・・・・・・1 ヶ月
<精神科>・・・・・・・ 1 ヶ月
担当診療科
内科
放射線科
外科
ICU・救急科
福岡市消防局
麻酔科
循環器内科
神経内科
整形外科
脳神経外科
長崎県壱岐病院
福岡県立精神医療
センター太宰府病院
<小児・周産期研修>・・・1 ヶ月
福岡市立こども病院
東野産婦人科医院、
愛和病院
筑紫クリニック
<選択コース>
計 5 ヶ月
<小児科>
福岡市立こども病院
<産婦人科>
東野産婦人科医院
愛和病院
筑紫クリニック
福岡市民病院
<その他の診療科>
4.研修の理念
プライマリ・ケアを含む幅広い医療人たる能力を習得するため、基本的な疾患とその病
態について理解し、良好な患者・医師関係の構築に努め、基本的診療能力を身につける。
5.到達目標
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I. 基本的診療能力
【一般目標】
プライマリ・ケアに必要な基本的態度、技能、知識を修得する。
【行動目標】
1) 頻度の高い疾患や緊急を要する病態における適切な診断、治療、処置ができる。
2) 患者の身体所見、検査所見に基づいた鑑別診断ができる。
3) 患者の病態の把握を行い、適切な処置や治療の方法を選択できる。
4) 患者や家族に病状・治療方針を説明できる。
5) 守秘義務を果たし、患者のプライバシーへの配慮ができる。
6) 診療を行ううえで必要な文書を適切に作成し、管理できる。
(カルテ記載など)
II. 医療人としての基本姿勢
【一般目標】
幅広い医療人として必要な基本姿勢・態度を身につける
【行動目標】
1) 良好な医師・患者関係を構築し、医療面接で必要な医療情報が得ることができる
(インフォームド・コンセント、セカンド・オピニヨンなど)
2) チーム医療の一員として、他のスタッフやコメディカルと協調し、問題に対処で
きる(救急医療、コミュニケーション、地域医療連携など)
3) 治療方針について指導医と情報亣換を図り、患者の問題点を解決できる(問題対
応能力など)
4) 臨床的な疑問点を解決するために最新の医学情報を収集できる(自己学習能力、
EBM の実践など)
5) 患者および医療従事者に対する安全管理の方策を習得し、危機管理を実践できる
(リスク・マネージメント・院内感染対策など)
6) 症例を呈示し、討論に参加できる(カンファレンス・学術集会など)
7) 保険、医療、福祉などの各側面を配慮した診療を実践できる(生命倫理・保険医
療制度、医師法規など)
6.研修指導体制
研修指導責任者のもと、下記スタッフが指導医として研修プログラムの遂行、総括的
指導および評価を行います。研修医は副主治医として診療に従事し、主治医を含めたスタ
ッフが研修指導にあたります。
【評価方法】
1) 研修ローテーションごとに、指導医が効果的フィードバックを行い、研修医の可
能性を引き出すようにします。各々の研修期間が終了した時点には、経験目標チ
ェックリストに基づいて研修プログラムの自己評価と指導医評価を行います。
2) 年に2~3回、定期的に研修評価・管理委員会を開き、研修医が習得した能力と
経験の程度を判断します。委員会メンバーにより、各研修医の研修態度と提出書
類(経験目標チェックリスト、各診療科別研修プログラム評価、研修症例レポー
ト、臨床病理(CPC)検討会レポート、院外研修参加レポートなど)について協議
します。研修状況が不十分であれば、指導医の間でどのように改善すればよいか
を検討し、研修医の能力の向上を促進します。
3) 2 年目の卒後臨床研修終了時に研修評価・管理委員会を開き、総括的に評価しま
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す。初期臨床研修到達度総合評価チェックリストに沿って自己評価と委員会評価
を行い、2 年間の研修目標に到達していれば、研修認定証を授与します。
【研修指導責任者】
院長
竹中 賢治
【研修管理委員会】
副院長 東
秀史(研修プログラム責任者:委員長)
診療統括部長 吉田 喜策(副研修プログラム責任者)
診療統括部長 平川 勝之
診療統括部長 齊藤 太一
診療統括部長
小柳 年正
診療統括部長 弘永 潔
内科科長
坂井 義之
神経内科科長
長野 祐久
中垣 英明
肝臓外科科長
池田 泰治
消化器外科科長
遠藤 和也
整形外科科長
糸川 高史
入江 努
麻酔科科長 河邉 聡
ICU・救急科長 野田 英一郎
地域医療
向原 茂明(長崎県壱岐病院)
小児科
青木 知信(福岡市立こども病院)
精神科
小嶋 享二(福岡県立精神医療センター太宰府病院)
婦人科
小山 祐之介(医療法人愛和会愛和病院)
福岡市消防局
柿山 聡
薬剤部長
丸野 重信
検査部長
梶原 俊一
看護部長 塚﨑 惠子
事務部長 石田 慶治
外部委員
鮎澤 純子
(九州大学大学院医学研究院医療経営・管理学講座)
【指導医:臨床経験 7 年以上】
(下線:研修プログラム遂行責任者)
<内科系> 内科:小柳年正、坂井義之、上田哲弘、髙橋俊介、田中ゆき
放射線科:吉田喜策、清澤恵理子
循環器内科:弘永潔
神経内科:長野祐久、中垣英明、貞島祥子
<外科系> 外科:竹中賢治、 東秀史 、池田泰治、遠藤和也、江口大彦、
西田康二郎
整形外科:齊藤太一、糸川高史、入江努、田中哲也、中原寛之
脳神経外科:平川勝之、 吉野慎一郎、福島浩
<救急>
平川勝之、野田英一郎
<麻酔> 河邉聡 、早水真理子、藤本鮎美
<地域医療>向原茂明、中田和孝(長崎県壱岐病院)
(福岡市立こども病院)
<小児科> 原寿郎、青木知信
<精神科> 小嶋享二、重松淳哉
(福岡県立精神医療センター・太宰府病院)
<産婦人科>東野純彦(医療法人愛生会東野産婦人科医院)
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小山祐之介、松尾直裕(医療法人愛和会愛和病院)
片瀬 高(医療法人養誠堂産婦人科筑紫クリニック)
【福岡市民病院指導スタッフの資格一覧(指導医・認定医など)】~2016 年度在職者~
<内科>
●日本内科学会
<外科>
●日本外科学会
指導医(4 名)専門医(8名)
認定医(8 名)
●日本消化器外科学会
指導医(4 名)専門医(5 名)
消化器がん外科治療認定医(1 名)
●日本消化器病学会
指導医(1名)専門医(2名)
●日本肝臓学会
指導医(1名) 専門医(1 名)
●日本肝胆膵外科学会
高度技能指導医(2名)
●日本心臓血管外科学会
専門医(1名)
●日本がん治療認定医機構
がん治療認定医(4名)
暫定教育医(1 名)
指導医(1名)総合内科専門医(3名)
認定医(7名)
●日本消化器病学会
指導医(1名)専門医(5名)
●日本肝臓学会
指導医(1名)専門医(3名)
●日本糖尿病学会
指導医(1名)専門医(1名)
●日本内分泌学会
指導医(1名)専門医(1名)
<放射線科>
●日本医学放射線学会
専門医(2名)
●日本インターベンショナルラジオロジー(IVR)学会
専門医(2名)
●検診マンモグラフィー
認定医(3名)
<循環器内科>
●日本内科学会
認定医(4名)
<整形外科>
●日本整形外科学会
専門医(5 名)脊椎脊髄病医(2名)
●日本脊椎脊髄病学会
指導医(2名)
●日本循環器学会
専門医(2名)
●日本心血管インターベンション治療学会
指導医(1名)専門医(1名)
<神経内科>
●日本神経学会
指導医(2名)専門医(4名)
<脳神経外科>
●日本脳神経外科学会
専門医(4名)
●日本脳卒中学会
専門医(3名)
● 日本脊髄外科学会
●日本脳卒中学会
専門医(2名)
認定医(2名)
●日本内科学会
認定医(4名)
●日本脳神経血管内治療学会
専門医(1名)
●日本脳神経血管内治療学会
専門医(1名)
<麻酔科>
●日本麻酔科学会
標榜医(1名)専門医(2名)
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7.研修協力施設
1)長崎県壱岐病院
〒811-5132 長崎県壱岐市郷ノ浦町東触 1626
TEL.0920-47-1131 FAX.0920-47-5607
http://www.city.iki.nagasaki.jp/health/shimin/page.php
2)福岡市消防局(救急課)
〒810-8521 福岡市中央区舞鶴 3 丁目 9 番 7 号
TEL:092-725-6578
http://119.city.fukuoka.lg.jp/
3)福岡市立こども病院
〒813-0017 福岡市東区香椎照葉5 丁目 1番 1 号
TEL:092-682-7000 FAX:092-682-7300
http://www.fcho.jp/childhp/
4)福岡県立精神医療センター太宰府病院
〒818-0125 福岡県太宰府市五条 3 丁目 8 番 1 号
TEL:092-922-3137 FAX:092-924-4060
http://www.dazaifu-hsp.jp/
5)医療法人愛和会愛和病院
〒811-3101 福岡県古賀市天神 5-9-1
TEL:092-943-3288 FAX:092-943-4576
http://www.aiwa-hospital.or.jp/
6) 医療法人養真堂産婦人科筑紫クリニック
〒811-2244 福岡県糟谷郡志免町志免中央 3 丁目 1 番 30 号
TEL:092-936-3939 FAX:092-931-2177
http://www.chikushiclinic.com/
7)医療法人愛成会東野産婦人科医院
〒810-0045 福岡市中央区草香江 2-2-17
TEL:092-731-3871 FAX:092-732-9067
http://www.toono.or.jp/index.html
8.症例検討会・抄読会など
【九州大学連携カンファレンス】
1) 九大病理合同カンファレンス~消化器疾患~(毎月1回)
2) 九大病理合同カンファレンス~肝疾患~(2ヶ月毎)
3) 九大病理 CPC 検討会(随時)
【症例カンファレンス】
1) 内科・外科・放射線科合同カンファレンス~肝疾患~(毎週月曜日)
2) 内科入院症例カンファレンス(毎週水曜日)
3) 外科合併症カンファレンス(毎週月曜日)
4) 外科術前症例カンファレンス(毎週木曜日)
5) 整形外科術前症例カンファレンス(毎週金曜日)
6) 脳卒中センター症例カンファレンス(毎週月~金曜日)
7) 循環器内科症例カンファレンス(毎週金曜日)
8) ICU 症例カンファレンス(毎週月~金曜日)
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【抄読会】
1) 内科抄読会(毎週月曜日)
2) 外科抄読会(毎週金曜日)
3) 脳卒中センター抄読会(毎週火曜日)
4) 整形外科抄読会(毎週木曜日)
5) 循環器内科抄読会(毎週月曜日)
【地域連携カンファレンス】
1) 福岡市民病院地域連携オープンカンファレンス(年4回)
2) 福岡脳神経疾患研究会(年3~4回)
【研修医のための勉強会】
1) 院内救急症例&病理(CPC)検討会(年4回
2) 院内“恥ずかしくて今更聞けない”勉強会(年4回)
3) 研修医 Weekly lecture&基本的手技 OSCE(毎週木曜日)
4) 外科系ビデオカンファレンス(手術・輸液等)(月2回:月曜日)
5) 内科系ビデオカンファレンス(薬物・基本手技等)
(月2回:火曜日)
【研修医の参加が望ましい委員会】
1) MRM 委員会(毎月第2水曜日)
2) TQM 委員会(毎月第3木曜日)
9.認定施設など
臨床研修病院(管理型 平成 17 年度指定)
臨床修練指定病院(外国人医師臨床修練施設)
日本肝臓学会認定施設
日本糖尿病学会認定教育施設
日本内科学会認定制度教育関連病院
日本外科学会外科専門医制度修練施設
日本消化器外科学会専門医制度修練施設
日本消化器病学会専門医制度認定施設
日本神経学会専門医制度教育関連施設
日本脳神経外科学会専門医認定制度指定訓練場所
日本脳卒中学会専門医認定制度研修教育病院
日本循環器学会認定循環器専門医研修関連施設
日本整形外科学会専門医制度研修施設
日本眼科学会専門医制度研修施設
日本麻酔科学会麻酔科認定病院
日本医学放射線学会放射線科専門医修練協力機関
日本肝胆膵外科学会高度技術医修練施設B
日本IVR学会専門医修練施設
日本病態栄養学会認定栄養管理・NST実施施設
日本がん治療認定医機構認定研修施設
日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設
下肢静脈瘤に対する血管内レーザー焼灼術の実施基準による実施施設
三学会構成心臓血管外科専門医認定機構関連施設
救急科専門医指定施設
腹部ステントグラフト実施施設
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10.指定医療機関(福岡県集団検診協議会登録)
1) 肝臓がん検診精密検査実施医療機関
2) 肝臓がん検診再精密検査実施医療機関
3) 胃がん検診精密検査実施医療機関
4) 大腸がん検診精密検査実施医療機関
5) 乳がん検診検査実施医療機関
6) 乳がん検診精密検査実施医療機関
7) 骨粗しょう症検診精密検査実施医療機関
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11.平成 30 年度採用 募集要項
<募集予定人員:5名>
身
分:
勤 務 時 間:
当
休
直
暇:
報
酬:
学 会 参 加:
保
険:
住
宅:
応 募 資 格:
出 願 書 類:
出 願 期 間:
選 考 方 法:
試 験 日:
研 修 開 始:
そ の 他:
常勤(アルバイト不可)
8:30~17:00
※ 必要に応じて時間外勤務あり
月 4~5 回程度(宿直は週1回、日直は月1~2回程度)
原則として、土・日・祝日及び年末年始、
その他、年次有休休暇 20 日を付与、特別有給休暇あり。
1 年次:月額 300,000 円、2 年次:月額 320,000 円、
宿日直手当:1回 5,900 円
時間外勤務手当、通勤手当
住宅手当:月額10,000円(職員宿舎利用の場合は支給なし)
本人が発表する学会・研修会への参加については、病院が旅費・参加費を負担。
※ 研修医発表の実績はホームページをご参照下さい。
( http://www.fcho.jp/shiminhp/ )
共済健康保険、共済年金、地方公務員災害補償、雇用保険
研修医用宿舎あり(戸数制限あり)
※ 当院隣接、1K、家賃不要、光熱費・水道代は入居者負担
平成 30 年 3 月医学部卒業予定者および既卒者
履歴書(当院ホームページよりダウンロードしたもの、学校欄は高校入学から記入)
成績証明書、卒業(見込)証明書
健康診断(証明)書(平成29年度実施分、各大学実施のもので可)
平成 29年 6 月 初旬から 7 月 中旬(決定次第当院ホームページにてお知らせします)
書類審査・論文試験・面接試験
平成 29年 7 月 下旬(決定次第当院ホームページにてお知らせします)
平成30年 4 月(医師国家試験合格後)
定期健康診断あり
勤務医賠償責任保険加入(勤務医包括契約方式、本人負担なし)
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年次別研修ローテーション一覧表(例)
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研修開始時オリエンテーション
【患者の権利と義務】
1. 良 質 で最 高 の医 療 を平 等 に受 け、尊 厳 が守 られる権 利
があります。
2. ご 自 分 の 病 気 に つ いて 十 分 に 説 明 を 受 け 、 納 得 のい く
医 療 を受 ける権 利 があります。
3. 検 査 や 治 療 な どに つ い て 選 択 、 拒 否 する 権 利 が あ りま
す。
4. ご自 分 の医 療 情 報 の開 示 を求 める権 利 があります。
5. セカンドオピニオンを利 用 することができます。
6. 患 者 の 医 療 情 報 や 個 人 情 報 は 守 ら れ る 権 利 が あ り
ます。
7. ご自 分 の病 気 を医 師 や病 院 職 員 と協 力 して自 ら治 して
いく努 力 が必 要 です。
8. 病 院 の 規 則 を 守 り 、 他 の 患 者 の 治 療 や 病 院 生 活 に
支 障 を与 えないよう配 慮 する責 務 があります。
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オリエンテーション日程(例)
午前
午前
午後
午後
午後
(9:00-10:00) (10:00-12:00) (14:00-15:00)(15:00-16:00) (16:00-17:00)
4/1
(金)
研修オリエンテーリング・
当直体制
検査科見学・
<セミナー2>
検査技師業務実習 ~医療保険制度~
&医事科見学
4/2
(土)
当直実習
(当直医)
4/3
(日)
当直実習
(当直医)
4/4 医療面接・マナー・
(月) 電話対応・介助
外来見学・
看護師業務実習
紹介状と返事
の書き方
院内感染予防
辞令亣付→
電子カルテの
基本操作
<セミナー4>
感染症対策関連
BLS&AED
当直実習(当直医)
4/5
(火)
<セミナー3>
~診療報酬~
<セミナー5>
~薬事法関連~
&薬局見学
医学情報の
探し方
リスクマネージメント
(MRM)
外傷初期診療
当直実習(当直医)
死亡診断書の
書き方・死体検案
放射線科見学・
放射線技師業務
実習
同意書のとり方
4/6
(水)
<セミナー7>
~老人保健福祉
関連~
<セミナー8>
~障害者保健福祉
関連~
CPC 及び
病理検体の
取り扱い
当直実習(当直医)
4/7
(木)
事務関連説明
<セミナー1>
~医療と法律~
診療録の書き方
<セミナー6>
~食中每予防法~
栄養科見学&
当直実習(当直医)
4/8
(金)
4/9
(土)
4/10
(日)
4/11
(月)
研修開始
当直実習(当直医)
日直・当直実習(当直医)
通常当直体制
*ALS の実施予定日は後日、発表します。
15
<セミナー9>
~臓器移植関連~
オリエンテーション内容
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
医療と法律
診療報酬
研修オリエンテーリング
当直体制
リスクマネージメント(MRM)*
診療録の書き方
同意書の取り方
BLS & AED OSCE
死亡診断書の書き方・死亡検案の仕方
医療従事者業務実習
医学情報の探し方
病理検体の取り扱い・CPC(剖検実習)
電子カルテの基本操作
介助・電話対応・マナー・医療面接
紹介状と返事の書き方
院内感染予防対策
外傷初期診療
【関係諸法令についてのセミナー】
1) 医師法、医療法、個人情報保護法、健康増進法
2) 医療保険制度、公費負担制度
3) 診療報酬制度
4) 感染症対策関連
5) 薬事関連(薬事法、麻薬および向精神薬取締法)
6) 食中每予防法
7) 老人保健福祉関連(老人保健法、老人福祉法)
8) 障害者保健福祉関連(身体障害者福祉法、知的障害者福祉法)
9) 臓器移植に関する法律
16
医療と法律
1)
医の倫理」について
 医の倫理綱領:日本医師会編
 医師の職業倫理指針:日本医師会編
2)






3)
「医師法」概説
第 19 条:診療の無拒否権
第 20 条:診断書の発行
第 21 条:異状死について
第 22 条:処方箋の亣付
第 23 条:療養の指導
第 24 条:診療録の記載
「医療法」概説
4)
「個人情報保護法」
 「診療情報の提供等に関する指針」概説
5)
「健康増進法」
 第 25 条:受動喫煙の防止
6)

「保険医療機関及び保険医療養担当規則」概説
社会保険・医療保険関連の法律:健康保険法、国民健康保険法



医療訴訟について
医療事故の民事責任
インフォームド・コンセントの原則
実際の判例に学ぶ







その他の法律について~全体オリエンテーションで講義します~
感染症対策関連:伝染病予防法、結核予防法、予防接種法、性病予防法
母子保健福祉関連:母子保健法、母体保護法
老人保健福祉関連:老人保健法、老人福祉法
障害者保健福祉関連:身体障害者福祉法、心身障害者福祉協会法、
精神薄弱者福祉法
薬事関連:薬事法、麻薬および向精神薬取締法
臓器移植に関する法律
7)
8)
17
診療報酬
1)
診療報酬制度のしくみ
 医科点数表の見方
 最近の診療報酬改定の流れ
 DPC について
2)
医療制度改革
 医療制度改革法の概要
「良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する
法律」
「健康保険法等の一部を改正する法律」
 最近の診療報酬改定の流れ
 一般病床(急性期型)
・療養病床
 地域医療連携
3)
当院のあるべき方向性
18
研修オリエンテーリング
1)



2)
当院の役割 ~市民の安全・安心をを守る公的病院~
急性期医療について
地域医療連携について
災害・救急医療、救急ワークステーション、救急車同乗実習について
研修の心構え
医療の基本は献身と奉仕であり、自己の人間性を磨くことを忘れてはならない。
信頼の第 1 歩はコミュニケーション。挨拶、自己紹介、時間厳守、身だしなみ
に気を配る、丁寧語や敬語を使うなど、社会人としてのマナーが必要。
 知識や技術を磨くだけでおわるのは平凡な医師、求められているのは、科学的
な目を持つ臨床医(Scientific-minded generalists)である。
 何故かと問いかけ、なるほどと学び取り、それならと実践できる研修医になる
のが理想である。


3)
院内カンファレンス、プレゼンテーション
カンファレンスは、医療スタッフと患者情報を共有し、問題を明確化させ、治
療方針の決定や奨励の医学的位置付けを行う手段である。
 プレゼンテーションでは聞き手に説明するという姿勢が大切であり、簡潔で十
分な情報を呈示するためには、事前に十分な準備を行うことが必要である。

4)
院内勉強会、院外研修 ~研修医はもはや学生ではない~
理論と実践は車の両輪、理論に基づく実践と実践に裏づけされた理論が大切で
あり、そのためには Evidence Based Medicine(EBM)を学ばなくてはならない
 自己の知識を深めるためには、自分で新たに問題を発見し、自分で解決法を見出
す姿勢が必要である。
 院内勉強会は勿論のこと、院外で開催される研修医対象の医師会や講演会など
には積極的に出席することが望ましい。
 勉強会(院内・院外研修)の参加状況は研修の一貫として評価される。

5)
研修評価
 地域医療連携各診療科の研修プログラム評価に沿って自己評価して、指導医の
評価をうける。
 毎年2~3回、定期の研修評価・管理委員会が開かるので、それまでに自己の
研修状況を把握して不足部分を補う。
 年度末、卒後臨床研修の終了時に卒後臨床研修委員会が開かれて、研修状況が
最終的に評価される。
 研修修了者には研修認定証が授与される
【記載書類・提出書類】
 各診療科別研修評価一覧表
 必須研修症例レポート
 臨床病理検討会(CPC)レポート
 勉強会(院内・院外研修)レポート
 経験目標チェックリスト
 初期臨床研修到達度総合評価
19
当直体制
【一般目標】
内科系・外科系を問わず、救急患者の初期診療や集中治療、入院患者の全身管理ができる。
【行動目標】
1) 救急外来で頻度の高い症状、緊急を要する患者の病態の観察、基本的臨床検査、
基本的処置・治療などを経験する。
2) 救急患者の身体所見、検査所見に基づいて的確な鑑別診断と基本的治療ができる。
3) 救急・急変患者の要点を把握し、病状や治療経過を患者・家族に説明できる。
4) 異状死の扱いを経験する。
<当直体制>
1) 病院当直・・・・1次救急(再来患者など)
、救急搬送・病棟患者に対応・
2) ICU 当直・・・・ICU 患者に対応
3) SCU 当直・・・・SCU 患者に対応
4) 研修医当直・・・ 病院当直、ICU 当直医、SCU 当直医と共に業務にあたる。
<研修医当直業務>
1) 再来患者または一次救急患者に対しては、まず、問診を含む初療計画を立てたの
ち、当直医の判断を仰き、必ずカルテのチェックを受ける。
2) 救急搬送に際しては、病院当直医と共に診療にあたる。何事も当直医に相談して、
必ずカルテのチェックを受ける。
3) ICU および SCU の患者の急変に対しては、各々の当直医とともに診療にあたる。
何事も当直医に相談して、必ずカルテのチェックを受ける。
4) 緊急手術に際しては、必要に応じて、麻酔・助手などを手伝う。
【学習方法】
1) 病院当直医・ICU 当直医の指導のもとで救急外来・入院患者の診療を行い、入院治
療の必要の有無、経過観察や患者・家族への説明法などを修得する。
2) 翌日、救急入院患者の要点を各診療科部長に報告する。
3) 内科、外科、整形外科、脳卒中センター、ICU の症例カンファレンスに重症患者
をプレゼンテーションし、診断根拠、治療内容、患者・家族への説明、カルテの記
載などの妥当性について指導を受ける。
【評価】
1) 救急患者初療に関する知識、技能、当直態度と報告状況などを各診療科のカンフ
ァレンスで評価し、指導医は適切に研修できるようにフィードバックする。
2) 当直目標が十分修得されているかか否かについて、年に 2~3 回、研修評価委員会
で検討する。
20
リスクマネージメント(MRM)
I. 医療安全管理体制
医療事故が社会問題として提起され、各医療施設での原因分析と再発防止策の重要性が
注目されている。福岡市民病院では医療安全管理委員会を置き、その下部組織として MRM
委員会、患者安全衛生委員会、院内感染対策委員会、輸血療法委員会、救急委員会、手術
部運営委員会を設置し、医療安全活動を行っている。
1)
MRM 委員会
 医療事故(インシデントを含む)防止対策の検討
 医療事故防止マニュアルの作成および改正
 医療事故の分析および再発防止策の検討
 医療事故防止のための啓発、教育、および広報など
2) リスク・マネージャー
 各部門の医療事故防止のための改善策の検討および提言
 医療事故防止マニュアルの徹底状況の点検
 インシデント・レポートの分析および提出の励行など
3) インシデント・アクシデントレポート
病院のシステムや設備に潜在するエラー発生要因の把握と改善のために、インシ
デントを起こした、または目撃した病院職員は、速やかにリスク・マネージャーを
経由して MRM 委員会へインシデント・レポートを提出する。
II. 医療事故防止のための留意点
1) 医療行為は患者の生命に関わる業務であることを認識する。
2) 専門職として日々、知識習得に努めると共に、医療技術の研鑚を積む。
3) チーム医療の一員として、他の医療従事者との連携を徹底する。
4) 患者本位の医療を徹底し、誠実な応対を行い、わかりやすく十分な情報を提供す
る。
5) 自己の健康管理に留意する。
6) 職場の整理・整頓・清潔を心がける。
III.用語の定義
【医療事故】・・・・アクシデント
1) 医療の全過程(医療行為に限らず病院内で起きる全ての事象を含む)において発
生する全ての事故をいう。
2) 医療の過程で、予期しない悪い結果(患者の死亡、生命の危険、病状の悪化等の
身体的被害及び苦痚、不安などの精神的被害等)が生じた状態。
3) 医療従事者に過失がある場合だけでなく、予測不能や回避不可能であった事例、
患者だけでなく医療従事者に不利益を被った事例も含まれる。
【医療過誤】・・・・俗的には医療ミスと同義
1) 医療事故の一類型であり、医療事故のうち医療従事者側等の人的または物的な過
失がある場合をいう。
2) 医療事故のうち、医療従事者が当然払うべき業務上の注意義務を怠ったことによ
り、患者の心身に何らかの不利益を被り被害を生じさせた状態。
3) 当該作為(医療行為等の施行)によるものと不作為によるものがある。
21
【インシデント】・・・・ ヒヤリ・ハット
1) 医療の過程において、患者に実際の被害は及ぼさなかったが、医療事故につなが
りかねなかった状況のこと(ヒヤリとしたり、ハットしたりする事例のこと)
2) 医療従事者の過誤、過失の有無を問わない。
IV. 医療事故の分類基準
Level
傷害の
維持性
傷害の
程度
0
ヒアリ
・ハット
事例
医療事故
事例
1
なし
2
一過性
軽度
3a
一過性
中等度
3b
一過性
高度
4a
永続的
4b
永続的
軽度~
中等度
中等度
~高度
5
死亡
事故の内容
エラーや医薬品・医療用具の不具合が見られたが、当該行為が
患者に実施されなかった。(仮に実施されたならば、何らかの
被害が生じたであろうと予測できる)
患者に実施されたが、結果的に被害が生じなかった。(何らか
の影響を与えた可能性は否定できない)
バイタルサインに変化が生じ、観察強化や検査の必要が生じ
た。(処置や治療は行わなかった)
バイタルサインに変化が生じ、軽微な処置や治療を要した。
(消每、湿布、皮膚の縫合、鎮痚剤の投与など)
バイタルサインに変化が生じ、濃厚な処置や治療を要した。
(人工呼吸器の装着、手術、骨折、入院日数延長など)
永続的な障害や後遺症が残存した。
(有意な機能障害等を伴わない場合)
永続的な障害や後遺症が残存した。
(有意な機能障害等を伴う場合)
当該行為等が原因となって患者が死亡した
22
診療録の書き方
I. 診療録の定義
診療録とは、狭義には医師法で定める医師が患者の診療内容・経過などを記載する文書
を指す。又、広義には診療に関する諸記録を含むものと考えられる。法的には医師法第 24
条において、「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しな
ければならない」と規定されている。
II. 診療録記載における一般的注意事項
1) 記載の原則;診療の都度記載する
① 記載がない場合は、診察を行なわなかったものとみなされる
② インク又はボールペンを用い、鉛筆による記載はしない
③ 日付は忘れずに、正確に記載する
④ 行間を空けない
⑤ 第三者も読みやすいように丁寧に記載する。外国語はできる限り使用しない
⑥ 医学用語は学会用語集に、略語は医学辞典に準拠する。仲間内だけの略語・造
語は使用しない
⑦ 平成 16 年 11 月 1 日より電子カルテに移行しているため、ワープロ、テンプレ
ート、シェーマの各機能を使って、記載する。日付は自動的に付与される
⑧ 必要な書類・写真等は速やかにスキャナーで紙文書取込をおこなう
2) 診療録は、医師の私的なメモでないことを十分認識し、事実を正確かつ客観的に
記載する。
① 医師法で定める記載義務事項
 診療を受けた者の住所、氏名、性別、年齢
 病名及び主要症状
 治療方法(処方及び処置)
 診療の年月日
② 症状・所見・治療計画などは、簡潔で明瞭に記載する。このために POS に沿っ
た記載が望ましい
③ 患者や家族に対する説明内容は正確に記載する。以下は必ず記載する。
 説明者
 説明日時
 相手方及び同席者
 説明内容
 質問と回答
④ 入院患者の退院時には、速やかに退院時要約を作成する(必須事項)
3) 診療録等は公的な記録であり、開示請求の対象であることを認識して記載する
 プライバシーに関することで、臨床的に必要でないものは記載しない
 臨床的に必要でない患者の性格や態度についての意見は記載しない
 他の医療スタッフとのトラブルや非難・批判は記載しない
4) 禁止薬剤に関する記載
診療録内の記載欄に赤字で記載する
5) 指示等の記載
① 指示は判り易く、明確に記載する
② 処方薬剤については用量・用法を正確に記載する
③ 口頭指示を行った場合には、後で必ず指示欄に記載し署名する
23
④ 電子カルテでは署名不要
傷病名の記載
① 病名欄に遅滞なく傷病名を記載する
② 必要に応じて転帰を記載する。転帰不明の場合は中止とする。
7) 診療録は診療報酬請求の根拠となっていることに留意する。請求にあたり、その
算定用件とされている事項を必ず記載する。
(例;指導料や管理料を算定する場合
に、その旨の記載が必須)
8) 署名の励行(→電子カルテでは不要)
診療録等に記載した場合は、その都度、必ず署名する
9) 指導医による記載の確認
① 研修医が記載した場合は、最低週 1 回は指導医が記載内容を確認して適宜補足
修正した後署名を行い、連名で記載したことを明らかにしておく。
② 当院の電子カルテでは、上記指導医の確認を青色で印字し、後日確認しやすい
ようにしておく
10) 記載を訂正する場合等
① 記載の訂正は、訂正する部分に二本線を引き、元の記載が見えるように訂正し、
署名又は捺印する
② 塗りつぶしたり、修正液を用いると改ざんを疑われるおそれがある
③ 電子カルテでは一旦保存すると、修正・削除をしても修正前の内容も含めて全
て保存される。修正・保存により版:01 から版:02 となる。
6)
III.診療録記載における当院内での規則
細則については診療録記載マニュアルが作成されており、医師・看護師共これに準拠す
ることとなっている
24
同意書の取り方
I. インフォームドコンセントとは
II. 検査同意書
1) 当院の検査同意書
2) 放射線科領域の検査同意書
① CT の検査同意書
 造影剤の使用の適応と禁忌
 造影剤の使用上の注意、副作用
② MRI の検査同意書
 磁場、電磁波による副作用に関して
 MRI 造影剤(ガドリニウム製剤、SPIO 製剤)の副作用に関して
③ 血管造影の検査同意書
 造影剤による合併症
 物理的合併症
 治療による合併症
3) 内視鏡の検査同意書
① 大腸内視鏡検査、内視鏡的治療(ポリペクトミー、 EMR、ESD など
② ERCP
4) 肝生検、肝腫瘍生検の同意書
III. 経皮的治療(PEIT、PMCT、RFA などの同意書
IV. 手術同意書
① 術式
② 合併症(心、肺、肝、腎、脳など)
V. 輸血同意書
① 術中出血、術後出血
VI. 生物由来製品使用の同意書
① 止血剤、アルブミン製剤など
VII. 抑制の同意書
25
BLS & AED OSCE
【一般目標】
基礎的心肺蘇生法の習得と院内 AED の種類・設置場所を確認する
【行動目標】
1) 意識の確認
2) 応援(人、物)を呼ぶ
3) 気道確保と呼気吹込み
4) 循環の確認
5) 胸骨圧迫(位置と深さ、リズム)
6) BVM(バック・バルブ・マスク)1 人法、2 人法
7) AED の装着
8) AED の設置場所の確認
9) 医療従事者に BLS+AED の指導ができる
※フィードバックについては ALS 講習時に学ぶこと
【教育担当】
救急委員会 麻酔科 2 年次研修医
26
死亡診断書の書き方・死亡検案の仕方
【一般目標】
死亡診断書の書き方・死亡検案の仕方を習得する。
【行動目標】
1) 死亡診断書が作成できる。
2) 死亡検案ができる。
3) 異状死に適切に対応できる。
【学習方法】
1) 「死亡診断書の書き方」を用いた講義
2) 「死亡検案」CD を用いた講義
3) 「異状死ガイドライン」を用いた講義
4) 実際の「異状死」の対応方法の説明
<救急外来における患者死亡に対する届出の義務>
「異状死」ガイドラインでは、基本的には、病気になり診療をうけつつ、診断されている
その病気で死亡することが「ふつうの死」であり、これ以外は異状死とされています。下
記の場合、該当する警察署(事故発生場所あるいは患者発見場所、不明の場合は 110 番)
に連絡することが必要です。届出の判断に困る場合は、救急委員長あるいは院長に相談し
て下さい。
1)
2)
3)
4)
外因による死亡の全て(疑いを含む)
外因による傷害の続発症、あるいは後遺障害による死亡(疑いを含む)
診療行為に関連した可能性のある予期しない死亡(疑いを含む)
死因が明らかでない死亡
 死体として発見された場合
 一見健康に生活していた人の予期しない急死
 初診患者が受診後ごく短期間で死因となる傷病を確定診断できないまま死亡
した場合
 当院の受診歴があっても、その疾病により死亡したとは診断できない場合
 病死か外因死か不明の場合
※詳細につきましては、救急診療室の「異状死」ガイドラインを御参照ください。
※実務的には、心肺停止状態で救急搬送されたり、心肺蘇生を行った場合には、必ず
届け出るようにお願いします。
27
医療従事者業務実習
【実習目的】
医療は、チームワークで行われおり、医師は中心的役割を担っているが、病院全体の医
療従事者の業務内容を理解しておくことは、大変重要なことである。ここでは、看護部、
検査科、放射線科、薬局、栄養科、医事係において各業務を実習し理解する。
【実習内容】
1) 看護部
副看護部長
 外来、病棟における看護師の業務について体験する。
 採血法を実習する
2) 検査科
検査技師長
 検査科における検査の流れを見学する。
 血液ガス、電解質、CBC 検査、血液型判定を実施する。
 心電図を装着しモニターを判読する。
3) 放射線科
X 線撮影室で放射線科技師の業務を見学する。
放射線技師長
4) 薬局
薬剤部長
 薬事法、麻薬および向精神薬取締法の大要を理解する
 麻薬管理、抗癌剤投与管理の実際を見学する。
 院内製剤、散剤、水薬などの調剤を経験する。
5) 栄養科
管理栄養士
 食中每予防法の大要を理解する。
 約束食事箋と食事のオーダーについて経験する。
 食事の配膳、下膳等の日常業務を見学する。
 患者様(入院・外来)に対する栄養指導を見学する
6) 医事係
医事係長
 薬事法、麻薬および向精神薬取締法の大要を理解する
 医療保険制度の大要を理解する。
 診療報酬制度について学ぶ。
 総合案内、病診連携室の業務を体験する。
28
医学情報の探し方
【一般目標】
EBM を実践するために、それに必要な医学情報を検索できる。
【行動目標】
1) 最新の医学情報を常に得ることができる方法を修得すること。
2) 医学情報の中から問題点の解決法を見つける習慣を身につけること。
【学習方法】
1) 紙媒体の文献(学会誌、商業誌)の使い分けを実習する。
2) インターネット上での情報検索の実際
<参考>・・・・・・・・・・・文献をネット上で検索したい場合に利用してください。
1) 総説で疾患に対する一般的な知識を得たい
 Up To Date (病院契約ネット、医局のインターネット接続パソコン)
 PubMed (下記)の review
 emedicine: http://emedicine.medscape.com/
 General Practice Notebook (GPnotebook):
http://www.gpnotebook.co.uk/homepage.cfm
2)
3)
文献を探したい
 PubMed(もっとも一般的な医学検索ネット
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez?db=pubmed
 PubMed の使い方
(東邦大学)http://www.mnc.toho-u.ac.jp/mmc/pubmed/
(京都大学)http://www.lib.med.kyoto-u.ac.jp/pdf/pubmed20061130.pdf
 医学中央雑誌 WEB(当院の契約はなし)
http://login.jamas.or.jp/
ネット上で論文を読みたい(電子ジャーナル)
Free Online Full-text Articles(英文ジャーナル)
発刊後 12 ヶ月を過ぎた論文の無料ダウンロード
HighWire Press: http://highwire.stanford.edu/lists/freeart.dtl
 Journal@rchive(邦文ジャーナル)
http://www.journalarchive.jst.go.jp/japanese/

29
病理検体の取り扱い・CPC(剖検実習)
I. 標本の病理検査提出について
1) 電子カルテの入力
 電子カルテにて必要事項を入力し申し込みを行い、3階病理検査室に病理申込書と
一緒に検体を提出する。
 申し込み先コード(1:当院 2:九大 3:福大 4:その他)を明記する。
 消化器系腫瘍(食道、胃、大腸、肝胆膵)の切除標本は九州大学2病理学教室に提
出する。この際は電子カルテでの申し込みが可能である。
 脳組織などの特殊標本診断の場合には、外注することもできるが、この際は外注先の
伝票を記入のうえ検体を提出することが必要である。
2) 写真撮影等
 臓器撮影・切り出し・標本作製の過程は病理検査技師が行うが、不明な点があれば、
病理医・主治医とコミュニケーションをとって行う。
 必要に応じて、主治医や担当医は技師に撮影部位や切り出しの部位などの指示を与
える。
3) 病理診断・報告書
 毎週水曜日に九州大学病理より病理医がきて診断を行う。
 術中迅速検査は水曜日の午後に行う。(事前に病理担当者に連絡)
 木曜日までに電子カルテに報告書がスキャンで取り込まれる。
<写真の撮り方>
標本写真は3階の病理検査室にて撮影するが、必ず病理担当技師と一緒に行うこと。
1) カメラの電源を ON にする。
2) 撮影台の電源①②③を ON にする。(スイッチは台の背面)
3) 写真番号を打ち出し、定規を貼る。
(日付とイニシャル 例 060116 KT)
4) 標本の口側を右にし、手前に定規を置き、標本台を 180 度回転し設置する。
5) 標本台をフットスイッチにて上下させ撮影する。
6) カメラ、撮影台の電源を OFF にする。
7) 撮影終了後は必ず標本台をきれいに掃除し、標本を固定してホルマリンに沈める。
8) 電子カルテ上に画像を入力するため、病理申し込み伝票に画像を貼り付けた後、標本
を病理検査室に提出する。
II. 臨床病理カンファレンス(CPC)
【一般目標】
研修医が病理解剖を通じて、臨床経過と病態の関連性を総合的に理解する能力を身につける。
【行動目標】
1) 病理解剖の法的制約・手続きを説明できる。
(想起)
2) ご遺族に対して病理解剖の目的と意義を説明できる。(解釈)
3) ご遺体に対して礼を持って接する。
(態度)
4) 臨床経過とその問題点を適格に説明できる。
(問題解決)
30
5)
6)
病理所見(肉眼・組織像)とその示す意味を説明できる。(問題解決)
症例の報告ができる。
(解釈)
【経験目標】
1) 本院の CPC または九大2病理で実施される病理解剖に参加する。
2) 尐なくとも1例について症例呈示とレポート作成をする。
【評価】
1) CPC または病理解剖に参加した日時、呈示症例とその内容を研修手帳に記載し、九大
第 2 病理の受講証明を受ける。
2) 行動目標について、診療科指定医と病理担当医が評価する。
<実施体制>
1) 病理解剖実施体制
 九州大学第2病理学教室 教授:不在(選考中)准教授:小田義直先生
 助教授:相島慎一先生
2) CPC 実施体制
 主治医(研修医と指導医)と病理担当医(該当診療科医師の参加も可能)
 病理解剖実施全症例について実施
 研修医が臨床医の立場で、臨床経過をまとめて提示し、臨床的問題点を出席者間で
討議する。
 次いで病理医(病理部を選択ローテート中の研修医を含む)が病理解剖所見(肉眼
ならびに組織像)を提示し、それに基づく討議の後に全体をまとめる。
 研修医はこの発表・討議内容全体をまとめてCPCレポートを作成する。 (レポ
ート作成の基準は病理部が定める)
<CPC レポートとは?>
研修医が自ら診断・治療に関与し、臨床的な問題点の解決のためにご遺族から病理解剖の許
諾を得て病理解剖に立ち会い、病理医の指導のもと肉眼および組織所見をまとめ、臨床経過を
含めて症例を統括した報告書のこと。
<病理解剖の手順>
1) 病理解剖依頼(病理解剖に協力していただける場合)
九州大学病理技官室:092-642-6073(平日 8 時 30 分-17 時)
携帯電話の場合:090-4990-8123(土曜日及び祝日 8 時 30 分-15 時)
2) 福岡市民病院より九州大学への遺体搬送依頼
連絡先:
(株)積善社 092-761-6666
3) 主治医は遺体搬送時に九州大学庶務に連絡:092-642-6006
4) 必要書類の準備・・・・書類は全て事務室(管理係)の出退表示板の下にある
① 福岡市民病院への提出書類
 病理解剖に関するご遺族の方々へのお願い(福岡市民病院様式1
 解剖承認願(福岡市民病院様式 2)
 病理解剖承諾書(福岡市民病院様式 3)
 遺族謝礼金
31
② 九州大学医学部病理学(技官室)へ提出書類
 委任状(解剖体祭祀料金 10,000 円)
 病理解剖依頼書(様式第 1 号)
 承諾書(九大様式)
 死亡診断書(写し)
 剖検依頼書
32
電子カルテの基本操作
I. 一般的事項
1) 薬剤処方の出し方
2) 検査指示の出し方
3) 放射線指示の出し方
4) 手術指示の出し方
II. 電子カルテ運用上の基本ルール
1) コンピュータ情報のセキュリティの確保
① 認証番号やパスワード入力により情報へのアクセス制限を実施するが、自己の認証番
号やパスワードを厳重に管理し、これを他者に使用させてはならない。
② 通信回線などを経由した情報漏出や外部からの不正侵入を未然に防ぐため、USB メモ
リーなどの記憶媒体の使用やインターネットなどを利用した外部との接続は禁止す
る。
③ 職員以外の者が立ち入る場所またはその近くで電子カルテ等を利用する際には、モニ
ター画面を通じて患者情報が外部の者の目に触れることのないよう留意する。
2) データバックアップの取り扱い
① コンピュータに格納された診療記録は、機械的な故障などによって情報の滅失・判読
不能状態となることを防ぐために、重要な情報資産について毎日バックアップの措置
を講じる。
② バックアップファイルおよび記録媒体の取り扱い、保管に関しては、本システムを所
管するシステム責任者の管理のもとに厳重に取り扱うものとする。
3) データのコピー利用の禁止
① コンピュータ内の診療記録等の全部または一部を、院外での利用のために他のコンピ
ュータまたは記録媒体等に複写することは原則として禁止する。
② 職務遂行上やむを得ない場合には、所属長の許可、管理のもとに行うことができるが、
その場合、当該複写情報の利用が完了したときは、速やかに記録媒体等から情報を完
全に消去する。
4) データのプリントアウト・廃棄
① コンピュータ等に電磁的に保存された個人情報をプリントアウトした場合に、紙媒体
の診療記録と同等に厳重な取り扱いをしなくてはならない。
② 使用目的を終えたプリントアウト紙片は、裁断、溶解、または焼却処理など、他の者
が判読不可能な状態にして速やかに廃棄しなくてはならない。
33
介助・電話対応・マナー・医療面接
I. 介助、電話対応、マナー
担当医師による講義を行う
II. 医療面接
担当医師による講義を行う。
III. 基本的なマナー
1) 一般社会人としてのマナー
 患者さんの立場を尊重して常識のある態度で接しましょう。
 挨拶をきちんと行いましょう
 自分の名前や立場を明らかにして接しましょう
 丁寧な言葉使いで接しましょう。
 対等な条件で会話ができるように工夫しましょう。
 時間をきちんと守りましょう。
(外来開始時間、患者さんとの面接時間など)
 不愉快な印象を与える服装は避けましょう。
 院内での軽薄な行動は慎みましょう。(廊下や勤務室での騒がしい談笑など)
2) 専門職としてのマナー
 患者さんの病態や心理状態を十分に考慮して接しましょう。
 専門用語や難しい表現は避けて、分かりやすく話しましょう。
 患者さんが緊張せずに和やかに対話ができるような雰囲気を作るように工夫しまし
ょう。
 一方的に叱ったり命令口調で話してはいけません。
 正しいインフォームドコンセントを心がけましょう。
 各種の書類は患者さんの事情をよく考えて期日までに正確に記載しましょう
 (診断書や入院証明書など)
 守秘義務を忘れないこと。
 患者さんや家族の方の尊厳を損なわないようにしましょう。
 他科、他院への紹介の希望は快く応じ、紹介状の記載や資料の貸し出しも拒んでは
いけません。
 患者さんが他の施設にセカンドオピニオンを求めることを希望した場合は快く応じ、
協力しましょう。
 患者さんがこちらの勧めた治療方針に同意しない場合でもその後の管理は全力をつ
くさなくてはなりません。
34
紹介状と返事の書き方
I. 紹介状やお返事の書き方の要点
1) 紹介状は、紹介の目的と診療上必要な患者背景を要領よく記載する。
2) お返事は、紹介を受けた時だけでなく、診断がついた時、手術が決まった時、退院し
た時、不幸にしてお亡くなりになった時など、遅滞なく、随時、ご報告する。
3) 美しい日本語で簡潔かつ具体的に。
4) 略語や俗語の使用は極力さける。
5) きちんとした敬語を用いる。
6) 紹介医を批判したり諭したりするような表現は慎む。
7) 第三者が閲覧する可能性があることを常に意識する。
II. 診療情報提供文書の様式
1) 患者情報:氏名、性別、年齢、生年月日、住所、電話番号
2) 傷病名
3) 紹介目的
4) 既往歴及び家族歴
5) 症状経過および検査結果
6) 治療経過
7) 現在の処方
8) 備考
III. 診療報酬
B009 診療情報提供料(Ⅰ)250 点
35
院内感染予防
I. 標準予防策(スタンダード・プレコーション)とは?
『標準予防策』は、普遍的予防策(ユニバーサルプレコーション)と生体物質隔離予防策(ボデ
ィ・サブスタンス・アイソレーション)の考えをひとつにまとめた予防策である。現在 HBV、
HCV、梅每が検査されているが、感染から一定期問経たないと検出できない病原体や、症状が
出現するまで感染者であることが判別できない病原体は予知できない現状である。標準予防策
とは、すべての患者の血液、体液(汗を除く)は何らかの病原体を持っている可能性があること
を前提にした対策である。標準予防策はあらゆる感染症に対する基本的な感染予防対策である。
1)
適応・・・・以下のものに接触する場合、実施する。
 すべての血液・体液(汗は除く)と、これが付着している可能性があるもの。
 すべての粘膜(口、鼻、眼、膣、消化管、直腸、肛門)
 創傷のある皮膚(手あれや皮膚病変を含む)
<感染源となりうる体液とは?>
 排泄物(糞便、尿)
 分泌物(精液、膣分泌物、膿、創傷からの浸出液、消化液、粘膜からの分泌物、気管
支分泌物、鼻汁、湿性組織、脳脊髄液、胸水、腹水、羊水など)
2)
方法
① 手洗い、手袋の着用、刺傷事故防止
<適応>
 血液、体液に接触する可能性がある場合。
 便器・尿器・廃液バッグの取り扱い、おむつ亣換、経鼻胃管の挿入、気管内吸引、
内視鏡検査などの粘膜面への接触、包帯亣換などの創傷処置、中心静脈カテーテル
留置等の体腔内穿刺時、健常皮膚以外への接触
 一処置一手洗い
 損傷皮膚、粘膜に接触前後
 被覆・閉鎖され表面が湿っていない創傷、無症状の MRSA 保菌者、失禁のない下痢、
尿路感染症
<適応外>
 非接触時:問診のみ、会話のみなど
 健常皮膚のみに接触:検温・血圧測定、清拭、入浴の介助など
② 衣類を汚染しやすい処置時は、ディスポエプロンか場合によってはガウンを着用する。
顔面に飛沫が飛びやすい処置時は、マスクやゴーグルを着用
<適応>
 咳、失禁のある患者に接する時、気管内吸引、広範囲の創傷処置など
 便器、尿器の洗浄処理など
 病原体を拡散させる患者の体位亣換、清拭、シーツ亣換など
③ 過剰な対策の禁止
 病室のホルマリン燥蒸
 消每剤の環境噴霧(床、ベヅド、家具、浴槽など)
 グルタラール(サイデックス、ステリハイド)の環境への使用
36
II. 感染経路別予防策とは?
感染経路別予防策とは、感染性の強い病原体を持っている患者や、そのような病原体に感染
している患者に対して感染症が伝播する経路を絶つ対策である。感染経路別予防策は、接触予
防策、飛沫予防策、空気予防策に分けられ標準予防策に付加して実施することで院内感染防止
の効果が上がる。
1)
接触予防策
皮膚と皮膚等の直接接触や汚染物を介する間接接触による感染症の伝播を防ぐ方法
<適応>
直接、間接接触により伝播される微生物に感染しているか、保菌が疑われる患者
<方法>
① 患者を個室に入室させる。個室がなければ、同じ感染症を持つ患者を同室にしてもよ
いが、感染経路別予防策を確実に行う。
② 患者に接触する時は手袋を着用、退室する時は手袋をはずして消每剤で手洗いをする
③ 血液、体液が飛散する恐れがあればエプロンまたは、ガウンを着用する。
④ 聴診器や血圧計、包亣セヅトなどは患者 1 人専用とする。
2)
飛沫予防策
飛沫感染は感染性患者・キャリアの微生物を含む感染性の飛沫粒子(5μm 以上)が、気
管吸引、気管支鏡などの処置や咳、くしやみ、会話などにより伝播され起こる。飛沫は
空中に浮遊し続けることはないので、特殊な空調と換気は必要ない。
<適応>
感染性飛沫によって伝播される病原体に感染しているか、疑われる患者
<方法>
① 患者を個室に入室させる。不可能なら他の患者や面会者の間に尐なくとも1mの空間
的距離をおく。
② 換気システムは不要、ドアは開けておいてよい。
③ 患者から 1m 以内の距離で医療行為をする時は、マスクを着用する。
④ 患者を移送する時はマスクを着用させる。
3)
空気予防策
空気媒介性飛沫核(微生物を含む飛沫が気化した後の小粒子 5μm 以下)が粉塵粒子と
ともに空気の流れによって広く撒き散らされ、同室内あるいは遠く離れた感受性のある
患者にも定着する。そのため特殊な空調と換気が必要である。
<適応>
空気感染する疫学的に重要な病原体に感染している、あるいは疑われる患者(結核、
水痘、麻疹)。
<方法>
② トイレが設置されている個室に入室させ、ドアを閉じる。
③ 医療従事者靖よび面会者が部屋に入る時は、N95 マスクを着用する。
④ 患者を移送する時は、マスクを着用する (飛沫の拡散を防げばよいので、患者に濾
過マスクは不要である) 。
37
III. 感染対策の手技
1)
手指衛生
医療従事者の手指は、病院感染を引き起こす病原体により汚染されている。そのため手
を介した亣差感染を防止することは、病院感染防止対策上もっとも基本的で重要な対策で
あり、正しい手指衛生の手技を日ごろから練習し習熟しておく必要がある。
<目的>
手指から有害な微生物を取り除くことにより、手指を介した亣差感染から患者を守る
とともに、医療従事者白身を病原微生物から守る。
<分類>
手指衛生は「衛生学的手洗い」「速乾性手指消每」に分けられる。「衛生学的手洗い」
とは流水と抗菌性ハンドウォッシュを用いた手洗いをいう。
「速乾性手指消每」とは手に
存在する微生物の数を減らすため、速乾性消每剤を手の表面に適用することをいう(当
院で一般的に「手洗い」と言えば「衛生学的手洗い」のことである)
。
<手指衛生を行う場面>
① 患者に直接接触する前
② 患者の健常皮膚に接触した後
③ 中心静脈カテーテル挿入時に減菌手袋を装着する前
④ 導尿カテーテル、末梢静脈カテーテルなど手術的手技を要しない侵襲的器具を挿入す
る前
⑤ 血液、体液、排泄物、粘膜、非健常皮膚、創傷疲覆面に触れた後
⑥ 同一患者の汚染部位から清潔部位に移る場合
⑦ 患者が高頻度にふれる環境表面(ベッド柵、オーバーテーブル、床頭台、ナースコー
ル、電気のスイッチ、リネン、寝衣など)に触れた後
⑧ 手袋をはずした後
<基本原則>
 手が目に見えて汚れがない場合・・・・速乾性手指消每
 手に目に見えて汚れがある場合(または細菌、芽胞、ロタウイルス、アデノウイルス
などの付着が予測される場合)
・・・・衛生学的手洗い
<手指衛生における基本動作>
① 半袖あるいは腕まくりをしているか
② 時計、指輪をはずしているか
③ 爪を短く切っているか
④ 石鹸あるいは消每薬が設置してあるか
⑤ ペーパータオルは手元にあるか
<速乾性手指消每の方法>
① アルコールによる殺菌効果と配合消每剤による持続活性が期待でき、非抗菌性および
抗菌性石鹸と流水による手洗いより優れている。また、軟化剤、保湿剤が混入されて
いるため手荒れが尐ない。消每の三要素である温度、時間、濃度を満足させる正しい
方法を実施する。
② エタプラス(約 3m1 以上)を手掌にとる。
③ 薬液を取っていない方の手の爪を薬液に浸す。
④ 薬液を反対の手にこぼさないように移し、反対の手の爪を浸す。
⑤ 両手全体にまんべんなくすばやくのばす。
38
⑥ 多尐熱をもつ位、しっかり擦り合わせる。
⑦ 指先、爪の間に一本ずつきちんと擦り込む。
⑧ 十分乾燥させる。
<衛生学的手洗いの方法>
① 水で水洗いし、付着した有機物を取り除く(有機物は消每薬の作用を減弱させる)。
② 薬用ハンドウォッシュを用いて、尐なくとも 15 秒間手のすべての表面を十分に泡立
て、互いに強くすり合わせる。
③ 手背、指先とくに爪の周囲、指の間、手首および親指の付け根が手洗いのミスを生じ
る可能性が高く、特に注意が必要。
④ その後流水で十分に石鹸、消每剤を取り除きペーパータオルでパッティングするよう
によく拭いて乾燥させる。
⑤ 手首か肘を用いて蛇口を閉める。できない時はペーパータオルで閉める。
2) 手袋
<適応>
血液、体液、粘膜,創傷部への接触が考えられる場合に使用する。
① 採血時
② 出血が予想される注射時
③ 容器内の排泄物を捨てる時
④ 失禁者の清拭時
⑤ 採尿バッグの取り扱い
⑥ 気管内吸引時
⑦ 気管内挿管時
⑧ 創の手当て時
⑨ 救急外来の処置時
⑩ 一般清掃前のこぼれた排泄物、汚物を取り扱う時
<手袋の亣換>
① 使用した手袋は感染性廃棄物として処理する。手袋亣換の目安は以下のとおりである。
② 患者に使用する手袋は患者ごとに亣換する。
③ 同一患者でも異なる部位の処置をする時は亣換する。
④ 湿性の体液が付着あるいはその恐れのある手袋は、その都度亣換する。
⑤ ドアノブ、電話機、コンピューターなどの共有物に触れる場合は手袋をはずす。
⑥ 長時間着用し手に汗をかいたらはずす。
⑦ 小さな穴でもピンホールがある場合は亣換する。
3)
マスク
使い捨てマスクは医療従事者の保護の目的で使用されるが、通常は不要であり過度の
使用は控えるべきである。また、病原体はマスクを通過しうることから過信することは
危険であり、使用したマスクは感染源とみなすべきである。従ってそのマスクをして一
般食堂へいく事などのないようにすべきである。マスクは飛沫予防、空気感染防止に用
いられる。
<飛沫予防>
血液、体液、排泄物などの液体の飛沫が予想される場合は液体不透過性の高いマスク
が必要である。クリーンルームや開放創、広範な火傷患者の処置の際に医療従事者の唾
39
液などが患者に飛沫するのを防ぐ目的で使用される。また、医療従事者白身に呼吸器感
染症状があり、やむを得ず患者に接する場合などが適応となる。
<空気感染予防>
空気感染する結核菌、麻疹、水痘(医療従事者が麻疹、水痘の既往のない場合)の患者
に接する場合には N95 マスクを使用する。その際、呼気と吸気がもれないよう正しく装
着することが重要である。開放性結核患者が移動する場合には患者にサージカルマスク
を着用させる必要がある。
4)
エプロン、ガウン
衣類を汚染しやすいすべての処置の際に医療従事者の制服を患者の血液、体液による
汚染から保護する目的と、逆に医療従事者の制服から患者を保護するために使用する。
上の注意患者と密接に接触した場合は患者毎に亣換する。体液で汚染されたエプロン、
ガウンや感染隔離室で使用されたものは感染性廃棄物として処理する
5)
ゴーグル、フェイスシールドつきマスク
血液、体液などの液性物質の飛沫が予想され顔面の汚染の危険がある時はゴーグル、
フェイスシールドつきマスクを着用し医療従事者を守る必要がある。もし、誤って眼が
汚染された場合は直ちに水道水、生理食塩水で洗浄し、眼科を受診する。できれば使い
捨てゴーグル、フェイスシールドつきマスクが望ましいが、再使用が必要な場合は洗浄
剤と流水で汚れを取り乾燥させておく。
40
外傷初期診療
【一般目標】
外傷初期診療の考え方を理解し、診療方法を習得する。
【行動目標】
外傷患者に対して、JATEC に沿った観察、処置ができる。
【学習方法】
1) 座学による総合的理解
2) 初期臨床研修開始後、救急診療室において診療能力、手技能力の習得
3) メデイカルラリーへの参加により、実践応用
41
ALS (Advanced Life Support)
【一般目標】
救急患者に適切に対応するために、救急症候の諸原因、処置法を再認識し、置かれた状況下
で最も適切な救急処置を行う能力を身に付ける。
【行動目標】
1) BLS(気道確保、心臓マッサージ)が確実にできる。
2) 除細動器の適応疾患、非適応を瞬時に判断し、使用できる(AED を含む)
。
3) 心停止のモニター波形を鑑別できる。
4) 心停止のそれぞれのアルゴリズムにしたがって処置ができる。
5) マスク換気、気管挿管、静脈路確保などが確実に行えて、それを評価できる。
6) 心停止に至った疾患の鑑別診断ができ、それぞれの治療法がわかる。
7) 医療従事者に BLS の指導ができる。
8) DNAR について考慮でき、家族との面談ができる。
9) 院内 ALS 講習会には必ずアシスタントとして参加し、フィードバックする。
【教育担当】
救急委員会 ALS 講習担当委員
42
各領域別研修カリキュラム
43
内科系研修(必修)
【一般目標】
プライマリ・ケアに対応するための内科全般にわたる基本的技能、知識、態度を習得する。
【行動目標】
1) 頻度の高い症状、緊急を要する患者の病態の観察、基本的臨床検査、基本的手技・処
置・治療を経験する。
2) 患者の身体所見、検査所見に基づいた鑑別診断ができる。
3) 頻度の高い疾患において、一般的な治療の流れを患者に説明できる。
4) 内科疾患を適切に診療するために、頻度の高い主要な疾患の病態について理解し、患
者の状態にも配慮した診断および治療ができる。
5) 救急患者を危機的状況から救うために、内科領域に多く見られる症状・病態について
理解し、その場の状況に配慮した基本的対応ができる。
6) 緩和・終末期医療について理解し、患者や家族の状態に配慮した診療ができる。
【学習方法】
内科研修期間 6 ヶ月のうち、1 年次に Basic course として内科全般・感染症・糖尿病・栄養・
代謝系疾患(内科)3ヶ月および画像診断〈放射線科〉1ヶ月、2年次に Advanced course とし
て神経・変性疾患(神経内科)1ヶ月、循環器系疾患〈循環器内科〉1ヶ月をローテートする。
【経験目標】
<基本的臨床検査>・・・・・・・・★印については自ら実施して、結果を解釈できること
 一般尿検査を実施できる
 便検査を実施できる
 血液検査(血算および白血球分画、血液生化学検査、血液免疫血清学的検査)を理解
できる
 細菌学的検査、薬剤感受性検査を理解できる)
 肺機能検査を理解できる
 髄液検査を理解できる
 細胞診、病理組織検査を理解できる
 神経生理学的検査(脳波、筋電図など)を理解できる
★ 血液型判定、亣差適合試験を実施できる
★ 心電図(12 誘導)、負荷心電図を実施できる
★ 動脈血ガス分析を実施できる
<各種画像診断>・・・・・・・・★印については自ら実施して、結果を解釈できること
 単純X線写真の読影ができる
 造影 X 線写真の読影ができる
 内視鏡検査の読影ができる
 X 線 CT 検査の読影ができる
 MRI 検査の読影ができる
★ 超音波検査を実施できる
44
<基本的手技>
 筋肉、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる
 採血法(静脈血、動脈血)を実施できる
 穿刺法(胸腔、腹腔、腰椎)を実施できる
 導尿法を実施できる
 胃管の挿入と管理を実施できる
<基本的治療法>
 療養指導ができる(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む)ができる。
 薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロ
イド薬、解熱剤、麻薬、血液製剤を含む)ができる。
 基本的な輸液ができる。
<症状からの鑑別>
全身倦怠感、不眠、食欲不振、体重減尐/増加、浮腫、リンパ節腫脹、発疹、黄疸、
発熱、頭痚、めまい、失神、痙攣発作、視力障害/視野狭窄、結膜充血、聴覚障害、
鼻出血、嗄声、胸痚、動悸、呼吸困難、咳・痰、嘔気・嘔吐、胸やけ、嚥下困難、腹痚、
下痢/便秘、腰痚、関節痚、歩行障害、四肢のしびれ、血尿、尿失禁、排尿困難、尿量異
常、不安・抑うつ
<主要疾患の経験>
 膵疾患の鑑別診断と治療方針を策定できる
 神経系疾患の鑑別診断と治療方針を策定できる
 脳卒中の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 循環器系疾患(高血圧、心不全)の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 呼吸器系疾患(肺炎・上気道炎・気管支炎)の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 消化器系疾患の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 体液・電解質バランスの鑑別診断と治療方針を策定できる。
 糖尿病・内分泌系疾患の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 感染症の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 加齢と老化の鑑別診断と治療方針を策定できる。
 血液・造血器系疾患の鑑別診断と治療方針を策定できる。
<緊急を要する症状・病態の初期治療の経験>
 心肺停止状態に対して、気道確保、人工呼吸、胸骨圧迫式心マッサージ、静脈確保な
どの蘇生術ができる。
 ショックに対し適切に対応できる。
 意識障害に対し適切に対応できる。
 脳血管障害に対し適切に対応できる。
 急性呼吸不全に対し適切に対応できる。
 急性心不全に対し適切に対応できる。
 急性冠症候群に対し適切に対応できる。
 急性腹症に対し適切に対応できる。
 急性消化管出血に対し適切に対応できる。
45


急性腎不全に対し適切に対応できる。
急性感染症に対し適切に対応できる。
<緩和・終末期医療の経験>
 告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
 緩和・終末期の心理社会面への配慮できる。
 基本的な緩和ケアできる。
 死生観・宗教観などへの配慮できる。
<法律・法規の理解>・・・・・・・・・・・・・オリエンテーション関連セミナーで講義
 感染症対策関連・・・・・・・伝染病予防法、結核予防法、予防接種法、性病予防法
 薬事関連・・・・・・・・・・薬事法、麻薬および向精神薬取締法
 老人保健福祉関連・・・・・・老人保健法、老人福祉法
 障害者保健福祉対策関連・・・身体障害者福祉法、知的障害者福祉法
【評価】
1) 内科系研修の各分野において、各診療科別研修評価一覧表を提出する。
2) 研修責任者(部長)を中心とした指導スタッフにより、必要項目の到達度に関する評
価を行う。
3) 目標に到達していない項目があれば当該科の研修終了時までに経験できるように配慮
する。
4) 研修終了時においても到達していない項目があれば、2 年次の選択コースで不足分を
補うように指導する。
5) 総合評価は、年 2 回の卒後臨床研修評価委員会にておこなう。
<1 年次 Basic course>
I. 内科全般・内分泌・栄養・代謝系・消化器系疾患・・・・・・・・・・・・・・担当:内科
【一般目標】
内科全般・感染症・糖尿病・栄養・代謝系・消化器系疾患の診断と治療に関する知識と技術
を習得する。
【行動目標】
1) 内科一般的疾患および感染症の診断のために必要な検査と治療方針について理解する。
2) 糖尿病の診断のために必要な検査と合併症の評価、重症度に応じた治療方針について
理解する。
3) 甲状腺疾患の診断のために必要な検査と治療方針について理解する。
4) 電解質・代謝異常の成因を理解し、治療方針を立てることができる。
5) 慢性ウイルス性肝炎、肝硬変、肝臓癌の診断のために必要な検査と重症度に応じた治
療方針について理解する。
6) 胆石症をはじめとする胆道系疾患の診断のために必要な検査と治療方針について理解
する。
46
7)
8)
9)
膵炎、膵臓癌の診断と治療方針について理解する。
逆流性食道炎、食道癌、胃十二指腸潰瘍、胃癌の病態、診断方法を理解し、治療方針
を立てることができる。
慢性炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)および大腸癌の診断のための検査と
治療方針を理解する。
【学習方法】
1) 副主治医として入院患者の診療にあたる。
2) 下記表中の検査について、実地研修を行う。
3) 予定のない時間は、病棟業務を行う。
4) 研修医向け講義において、テーマを決めて研修医に講義を行う。
5) 内科医師全員で研修終了1ヶ月前に中間評価を行い、目標に到達していない項目があ
れば内科研修終了時まで経験できるように配慮する。
【内科週間スケジュール】
月
内科抄読会
午前
超音波検査
研修
午後
火
水
木
金
採血
病棟研修
消化管透視
研修
外来診察研修
回診
新患紹介
内視鏡研修
超音波検査
研修
病棟研修
病棟研修
病棟研修
病棟研修
肝カンファレンス
消化器
カンファレンス
<要点>
1) 副主治医として入院患者の診療にあたる。
2) 表中の検査につき、研修を行う。
3) 予定のない時間は、病棟業務を行う。
4) 研修医向け講義ではテーマを決めて研修医に講義を行う。
II. 画像診断・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・担当:放射線科
【一般目標】
1) 目的や病態に応じて適切な画像診断のモダリティが選択でき、基本的な読影ができる。
2) IVR(インターベンショナル・ラジオロジー)の適応、基本的手技が理解できる。
【行動目標】
1) 画像診断のために必要な基本的な解剖を理解できる。
2) 単純 X 線写真の原理が理解できる。
3) 胸部単純 X 線写真,腹部単純 X 線写真の読影ができる。
4) X 線 CT の原理が理解できる。
5) 頻度の高い疾患の X 線 CT 画像の読影ができる。
47
6)
7)
8)
9)
10)
MRI の原理が理解できる。
頻度の高い疾患の MRI 画像の読影ができる。
CT、MRI の造影剤について理解し,副作用に対して対処できる。
超音波検査を実施できる。
血管造影や IVR の適応や基本的手技が理解できる。
【学習方法】
1) 1 ヶ月間,放射線科の業務を体験する。
2) 単純X線写真、CT、MRI 等の読影を行なう。
3) 腹部,頸部などの超音波検査を行なう。
4) 血管造影、IVR を行なう。
5) 各科との合同カンファレンスに参加する。
6) 院外で行なわれている勉強会/研究会に参加する。
【放射線科週間スケジュール】
月
火
脳卒中
脳卒中
カンファレンス
カンファレンス
午前
午後
CT, MRI
単純写真読影
血管造影
IVR
肝臓
カンファレンス
超音波検査
水
脳卒中
カンファレンス
CT, MRI
単純写真読影
血管造影
IVR
木
外科カンファレンス
整形外科
抄読会
超音波検査
金
脳卒中
カンファレンス
CT, MRI
単純写真読影
血管造影
IVR
<2 年次 Advanced course>
III. 循環器系疾患・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・担当:循環器内科
【一般目標】
循環器疾患の診断と治療に関する知識・技術の修得を目標とする。特に不安定狭心症、急性
心筋梗塞、急性心不全、大動脈解離、致死性不整脈などの初期診断を適切に行い、専門医と連
携して治療に当たるのに必要な最低限の知識と技術の修得を目標とする。
【行動目標】
1) 狭心症の診断のために必要な検査と重症度に応じた治療方針について理解する。
2) 心筋梗塞の急性期診断と治療、合併症、および 2 次予防について理解する。
3) 心不全の診断と急性期治療、原因疾患の検索、長期予後の改善に向けた慢性期治療に
ついて理解する。
4) 不整脈心電図の判読と急性期治療、および各種治療法の適応について理解する。
5) 高血圧症、高脂血症、糖尿病などの心血管病のリスクファクターについて理解し治療
法を修得する。
48
6)
先天性心奇形および弁膜症の診断と手術適応について理解する。感染性心内膜炎の診
断と治療を修得する。また、抗凝固療法の適応を理解し投与量の調節法を修得する。
7) 大動脈解離、大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症、肺梗塞、肺高血圧症の診断と治療を修得
する。
【学習方法】
1) 副主治医として入院患者の診療にあたる。
2) 下記表中の検査について、実地研修を行う。
3) 予定のない時間は、病棟業務を行う。
4) 研修医向け講義において、テーマを決めて研修医に講義を行う。
【循環器内科週間スケジュール】
月
火
午前
心臓超音波
心カテ研修
午後
病棟研修
心カテ研修
水
心臓超音波
病棟研修
木
心カテ研修
心カテ研修
金
心臓超音波
病棟研修
IV. 神経・変性疾患・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・担当:神経内科
【一般目標】
神経疾患に対する基本的な知識、手技、考え方、治療法を習得する。特に救急疾患である脳
卒中、意識障害、けいれんなどの初期対応が適切にできるようにする。また神経感染症、炎症
性疾患、変性疾患についても適切な判断ができるように知識を身につける。
【行動目標】
1) 適切な問診と神経学的診察ができる。
2) 問診と診察に基づき疾患の性質と病変部位が推定できる。
3) 頸部血管超音波検査、脳波、筋電図が理解できる。
4) 脳梗塞急性期に必要な検査と画像の読影ができる。特に超急性期血栓溶解に際して事
前の検査が迅速にできる。
5) 脳出血に必要な検査と画像の読影ができる。外科的手術の適応を理解する。
6) 意識障害の鑑別診断、必要な検査ができる。
7) けいれんに対して適切な処置と検査ができる。
8) 神経感染症、炎症性疾患、変性疾患に対して診断と治療を理解し、専門医へコンサル
トできる。
【学習方法】
1) 神経内科 4 週間と救急研修の両者を合わせて急性神経疾患、慢性疾患を学ぶ。
2) 入院患者については副主治医として診療にあたる。
3) 救急患者来院時には、指導医(主治医)とともに対応する。
4) カンファレンスで新規入院患者のプレゼンテーションをおこなう。
5) 1 年 Basic course の救急研修終了時、急性神経疾患に関する中間評価を行う。
6) 2 年次 ABdvanced course の神経内科研修終了1週間前に、目標に達していない項目
があれば講義またはビデオ学習を行う。
49
【神経内科週間スケジュール】
月
火
午前
脳卒中センター
脳卒中センター
カンファレンス
カンファレンス
病棟研修
病棟研修
エコー
エコー
電気生理検査 電気生理検査
午後
病棟研修
病棟研修
神経内科回診
脳卒中センター
抄読会
水
脳卒中センター
カンファレンス
病棟研修
エコー
電気生理検査
病棟研修
50
木
脳卒中センター
カンファレンス
病棟研修
エコー
電気生理検査
病棟研修
神経内科回診
金
脳卒中センター
カンファレンス
病棟研修
エコー
電気生理検査
病棟研修
外科系研修(必修)
【一般目標】
プライマリ・ケアに必要な基本的技能、知識とともに外科的基本的態度を習得する。
【行動目標】
1) 頻度の高い症状や緊急を要する外科系患者の初期治療を経験する。
2) 外科系患者の病態の把握し、必要な臨床検査を計画できる。
3) 身体所見、検査所見に基づいて鑑別診断ができ、適切な治療法を選択できる。
4) 外科的基本手技を遂行できる。
5) 外科診療を行ううえでの必要事項をカルテに記載できる。
【学習方法】
外科研修期間3ヶ月のうち、1 年次に Basic course として外科全般・消化器系・乳腺・
血管・腎不全疾患(外科)3ヶ月、2年次に Advanced course として運動器(筋・骨格)
系疾患(整形外科)1ヶ月、脳神経系疾患(脳神経外内科〉1ヶ月をローテートする。
【経験目標】
<経験すべき診察法・検査・手技>
1) 医療面接
 患者・家族との信頼関係に努める。
 羞恥心を起こさせない様な態度で接することができる。
 外科系疾患特有の症状などの病歴を聴取できる。
 患者・家族へ適切な指示、指導ができる。
2) 基本的な身体診察法
 全身の観察(皮膚や表在リンパ節を含む)ができる。
 胸部(乳房を含む)の診察ができる。
 腹部(直腸診を含む)の診察ができる。
 骨、関節、筋肉の診察ができる。
 神経学的診察ができる。
 頭頚部の診察(鼻腔、口腔、咽頭、喉頭および外耳道・鼓膜の観察、甲状腺の触診
を含む)ができる。
3) 基本的な臨床検査法
 血液型判定、亣差適合試験ができる。
 心電図検査ができ、結果を判断できる。
 動脈血ガス分析がでできる。
 肺機能検査の結果を判断できる。
 内視鏡検査の結果を読影できる。
 超音波検査を実施できる。
 単純 X 線検査の結果を読影できる。
)
 造影 X 線検査の結果を読影できる。
 CT 結果検査の結果を読影できる。
 MRI 結果の結果を読影できる。
 一般尿検査(尿沈査顕微鏡検査を含む)の結果を判断できる。
51
 細菌学的検査(尿)
・薬剤感受性検査(グラム染色など)の結果を判断できる。
 神経生理学的検査の結果を判断できる。
4) 基本的手技
 圧迫止血法を実施できる。
 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
 採血法を実施できる。
 胸腔、腹腔穿刺法を実施できる。
 ドレーン管理を実施できる。
 胃管の挿入、管理を実施できる。
 局所麻酔法を実施できる。
 創部消每とガーゼ亣換を実施できる。
 簡単な切開排膿を実施できる。
 皮膚縫合法、抜糸を実施できる。
 軽度の外傷、熱傷処置を実施できる。
 気管挿管を実施できる。
 除細動を実施できる。
 外科関連領域の基本的手技を実施できる。
 包帯法を実施できる。
 褥瘡の処置を実施できる。
 ギプス処置を実施できる。
 導尿法を実施できる。
5) 基本的治療法
 療養指導(安静度、体位、食事指導など)ができる。
 薬物治療(抗菌剤。ステロイド、解熱剤、麻薬、血液製剤を含む)ができる。
 基本的輸液ができる。
 輸血の効果と副作用、適応を理解して、実施できる。
6) 医療記録
 診療録の作成ができる。
 処方箋、指示書の作成ができる。
 診断書の作成ができる。
 死亡診断書の作成ができる。
 紹介状、返信の作成ができる。
7) 診療計画
 診療計画(診断、治療、患者家族への説明を含む)の作成ができる。
 診療ガイドラインの理解と活用ができる。
 入退院の適応判断ができる。
<経験すべき症状・病態・疾患>
1) 頻度の高い症状
 全身倦怠感
 体重減尐
 浮腫
 リンパ節腫脹
 黄疸
52


















発熱
嗄声
呼吸困難
咳、痰
嘔気、嘔吐
嚥下困難
腹痚
便通異常
歩行障害(間歇破行)
腰痚
四肢のシビレ
関節痚
歩行障害
血尿
排尿障害(尿失禁・排尿困難)
聴覚障害
鼻出血
嗄声
2) 緊急を要する症状、病態
 心肺停止
 ショック
 意識障害
 急性呼吸不全
 急性心不全
 急性腹症(尿路結石による疼痚を含む)
 吐血、下血
 尿閉
3) 経験すべき疾患
<消化器疾患>
 食道、胃、十二指腸疾患(食道癌、食道静脈瘤、胃癌など)
 小腸、大腸疾患(癌、炎症性疾患)
 胆嚢、胆管疾患 (胆嚢癌、胆石症、胆管結石症、胆管炎など)
 肝疾患 (肝硬変、肝癌、転移性肝癌など)
 膵疾患 (膵癌、急性膵炎、膵嚢胞など)
 横隔膜、腹壁、腹膜(ソケイヘルニア、腹壁ヘルニア、腹膜炎など)
<呼吸器疾患>
 肺癌
 自然気胸
<血管・腎不全疾患>
 腹部大動脈瘤
 閉塞性動脈硬化症
 下肢静脈瘤
 腎透析を要する慢性腎不全
53
<筋肉・骨格系 骨折>
 骨粗鬆症
 腰椎椎間板ヘルニア
<腎・尿路疾患>
 泌尿器科的腎・尿路疾患(尿路結石、尿路感染症)
 生殖器疾患(前立腺疾患、勃起障害、精巣腫瘍)
 性器感染症
 加齢と老化:尿失禁
<法規・法律の理解>
臓器移植に関する法律~オリエンテーション関連セミナーで講義~
【評価】
1) 外科系研修の各分野において、各診療科別研修評価一覧表を提出する。
2) 研修責任者(部長)を中心とした指導スタッフにより、必要項目の到達度に関する評
価を行う。
3) 目標に到達していない項目があれば当該科の研修終了時までに経験できるように配慮
する。
4) 研修終了時においても到達していない項目があれば、2 年次の選択コースで不足分を
補うように指導する。
5) 総合評価は、年 2 回の卒後臨床研修評価委員会にておこなう。
<1 年次 Basic course>
I. 外科全般・消化器・乳腺・血管・腎不全疾患
・・・・・・・・・担当:外科
【一般目標】
主要な外科疾患の病態を理解し、患者の状態に配慮した診療技術、態度を修得する。
【行動目標】
1) 頻度の高い疾患や緊急を有する患者について、病態の把握と鑑別診断ができる。
2) 外科患者の病態に応じて適切な処置や治療の方法を選択できる。
3) 外科治療に必要な基本的手技を修得する。
4) 患者や家族に病状・治療方針を説明できる。
5) 癌患者や終末期患者に対して、状態に配慮した態度で対応できる。
【学習方法】
1) 消化管、肝臓、乳腺、血管・腎不全の各グループの術前患者を受け持ち、副
主治医として診療に参加する。
2) 病棟・手術室・ICU で、術前、術中、術後管理に関する基本的姿勢や基本手技、呼吸
管理、血液透析、抗癌剤投与の基礎、インフォームドコンセントの実際を研修する。
3) IVH 挿入、切開排膿、ドレーン管理、CPR などの手技については、受け持ち患者以外
の症例でも指導医のもとで臨機応変に研修する。
54
4)
5)
6)
7)
救急患者来院時には、指導医(主治医)とともに対応する。
消化管・肝疾患手術症例の九大 2 病理合同カンファレンスに参加する。
外科研修終了時に、3 ヶ月の自己総括を行い、カンファレンスでスライドプレゼンテ
ーションする。
3ヶ月の外科研修期間外でも外科抄読会(金)や術前症例カンファレンス(木)
、合同
病理カンファレンスに参加することが望ましい。
【外科週間スケジュール】
月
火
問題症例
肝胆膵・門亢
カンファレンス
症
午前
肺疾患カンファレン
ス
午後
総回診
術後患者観察
手術
手術
病棟研修
肝臓合同
カンファレンス
水
消化管・乳
腺・血管・腎
疾患 カンファレン
ス
木
術前症例
カンファレンス
金
抄読会
学会予行
術後患者観察
手術
術後患者観察
手術
術後患者観察
手術
手術
病棟研修
消化器術前
カンファレンス
気管支鏡研修
その他の検査
手術
病棟研修
消化管合同
病理カンファレンス
(毎月1回)
血液透析研修
消化管内視鏡
研修
その他の検査
病棟研修
<2 年次 Advanced course>
II. 運動器(筋・骨格)系疾患・・・・・・・・・・・・・・・・・・・担当:整形外科
【一般目標】
1 ヶ月間の研修期間の中でプライマリ・ケアに対応するための整形外科的基本知識、技能を
習得する。
【行動目標】
1) 整形外科的初期治療を的確に行うための能力を獲得する。
2) 頻度の高い症状・症候、緊急を要する整形外科疾患を経験する。
3) 患者の身体所見、画像所見、一般検査所見等に基づいた鑑別診断ができる。
4) 病態の把握を行い、適切な処置や治療の方法を選択できる。
5) 整形外科的基本手技を遂行できる。
【学習方法】
1) 研修月の手術予定患者の中から担当患者を疾患ごとに満遍なく割り当てるので、その
副主治医として診療に参加する。
2) 担当患者に関わらず、検査(脊髄造影や電気生理学的検査など)には全て立ち会う。
3) 整形外科救急患者の対応には必ず同行する。入院となった場合には副主治医となる。
55
4)
5)
6)
週に 1 回は病棟回診への帯同と外来研修を行う。但し、原則として手術を優先する。
研修月の間にリハビリテーション部での研修を行う(日時は別途指定)。
1 ヶ月間で効率的に経験目標を達成できるように頑張って下さい。
【整形外科週間スケジュール】
月
火
午前
午後
病棟回診
手術
外来研修
手術
病棟研修
検査見学
病棟回診
手術
外来研修
手術
病棟研修
検査見学
水
病棟回診
手術
外来研修
手術
病棟研修
検査見学
木
金
抄読会
術前カンファレンス
(1 回割り当て) (担当患者呈示)
病棟回診
病棟回診
手術
手術
外来研修
外来研修
手術
手術
病棟研修
病棟研修
検査見学
検査見学
総回診
III. 脳神経系疾患・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・担当:脳神経外科
【一般目標】
プライマリ・ケアに対応するために、脳神経外科疾患に関する基本的知識、態度、技術を習
得する。
【行動目標】
1) ACLS アルゴリズムに基づいた救命処置ができる。
2) JATEC に基づいた外傷初期診療ができる。
3) 切迫する D について理解できる。
4) 神経学的診察ができる。
5) 神経放射線学的検査の内容が理解できる。
6) 脳血管障害の鑑別診断ができる。
7) 脳血管障害の種類に応じた初期治療ができる。
8) 脳腫瘍の鑑別診断ができる。
【学習方法】
1) BLS、ALS
BLS OSCE および院内 ALS にインストラクターとして参加する。
2) カンファレンス出席
ICU/救急部カンファレンスに出席し、受け持ち患者のプレゼンテーションを行う。
脳卒中カンファレンスに出席し、受け持ち患者のプレゼンテーションを行う。
3) 救急診療室実習
救急搬送患者の診察・処置・記録を行う。
4) ICU および病棟実習
受け持ち患者のみならず、他の脳神経外科入院患者の病態把握を行う。
56
5) 脳血管撮影検査実習
脳神経外科患者の全脳血管撮影検査にはいる。
6) 手術実習
脳神経外科患者の全手術にはいる。
【経験すべき基本的手技】
 気管挿管
 人工呼吸器設定
 圧迫止血法
 プライマリサーベイ
 セカンダリサーベイ
 FAST 法
 神経学的検査法
 セルジンガー法
 腰椎穿刺
 中心静脈路確保
 縫合法
 穿頭術
 気管切開術
【脳神経外科週間スケジュール】
月
火
ICU/救急部
ICU/救急部
カンファレンス
カンファレンス
午前
脳卒中
脳卒中
カンファレンス
カンファレンス
回診
回診
ICU・病棟実習 ICU・病棟実習
(救急車搬入時 (救急車搬入時
は救急対応)
は救急対応)
ICU・病棟実習 ICU・病棟実習
午後 (救急車搬入時 (救急車搬入時
は救急対応)
は救急対応)
水
ICU/救急部
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
回診
ICU・病棟実習
(救急車搬入時
は救急対応)
ICU・病棟実習
(救急車搬入時
は救急対応)
抄読会
57
木
ICU/救急部
カンファレンス
脳卒中・リハビリ
カンファレンス
リハビリ回診
ICU・病棟実習
(救急車搬入時
は救急対応)
ICU・病棟実習
(救急車搬入時
は救急対応)
金
ICU/救急部
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
回診
手術実習
手術実習
救急研修(必修)
【一般目標】
プライマリ・ケアに対応するため、救急疾患に関する基本的知識、態度、技術を習得する。
【行動目標】
1) 救急の場で患者のバイタルサインを評価し、全身的、局所的身体所見の把握ができる。
2) ALS アルゴリズムに準じた救急処置ができる。
3) JATEC に準じた外傷患者の初期治療ができる。
4) BLS の指導ができる。
5) プレホスピタル・ケア(病院前救護体制)の実態を理解し、適切な対応ができる。
【学習方法】
主に ICU および救急外来において救急医療に関連する基礎的診療能力を養うが、3 ヶ月の研
修期間内に福岡市消防局を 1 週間ローテートし、救急車同乗実習によって医療におけるプレホ
スピタル・ケアの現状と問題点を把握する。
【経験目標】
<基本的手技・治療法>
 気道確保を実施できる。
 人工呼吸を実施できる。~バックによる用手(徒手)換気を含む~
 バイタルサインを確実に把握できる。
 胸骨圧迫(心マッサージ)を実施できる。
 プライマリーサーベイを実施できる。
 セカンダリーサーベイを実施できる。
 FAST 法による超音波検査ができる。
 圧迫止血法を実施できる。
 包帯法を実施できる。
 採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
 基本的検査(血液型、CBC、血液生化学、血液ガス、尿)を実施できる。
 注射法(皮内、皮下、筋肉、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
 導尿法を実施できる。
 モニタリングが確実にできる。
 気道確保困難症例に対して対応ができる。
 人工呼吸器の設定ができる。
 皮膚縫合を実施できる。
 簡単な切開・排膿を実施できる。
 創部消每とガーゼ亣換を実施できる。
 穿刺法(腰椎)を実施できる。
 穿刺法(胸腔・腹腔)を実施できる。
 尿閉、尿管結石症の初期対応ができる。
<経験できる症状・病態・疾患>
 心肺停止
58






呼吸不全
意識障害
外傷
脳卒中
てんかん
急性腹症
【評価】
1) 研修終了1ヶ月前に、ICU・救急科研修評価一覧表を提出する。
2) 研修責任者(部長)を中心とした指導スタッフにより、必要項目の到達度に関する評
価を行う。
3) 目標に到達していない項目があれば当該科の研修終了時までに経験できるように配慮
する。
4) 研修終了時においても到達していない項目があれば、2 年次の選択コースで不足分を補
うように指導する。
5) 総合評価は、年 2 回の卒後臨床研修評価委員会にておこなう。
I. ICU・救急科
【一般目標】
救急患者の初期診療や集中治療および ICU 入院患者の全身管理ができる。
【行動目標】
1) 救急外来で頻度の高い救急疾患の初期治療ができる。
2) 救急患者の身体所見、検査所見に基づいて的確な鑑別診断と基本的治療ができる。
3) 救急・急変患者の要点を把握し、病状や治療経過を患者・家族に説明できる。
4) 異状死の扱いについて適切に対応できる。
5) 適切な心肺蘇生を実践できる
【学習方法】
1) 救急患者の経過の理解
 救急外来から入院した、重症患者の副主治医となる。
 ICU 入室患者の副主治医となる。
 当直、日直の現場において、当該科指導医とともに救急疾患に対応する。
2) 救急搬送患者の対応について段階的に理解度を深める。
 救急外来、ICU における実地診療
 模擬人形を用いたシミュレーション
 到達度に応じて実際の患者に救急処置を実施。
3) 各種カンファレンスへ出席
 救急 ICU カンファレンス
 脳卒中カンファレンス
 救急症例検討会
59
4)
BLS, ALS への積極的関与
研修開始時のオリエンテーション時期に施行される講習会に参加する。
定期的に開催される院内 ALS では、アシスタントとして参加する。
コメディカルを対象とした BLS 講習会や BLS OSCE の際には、インストラクター
として参加する。
 メデイカルラリーへの参加、訓練



【入院患者に関する業務内容】
1) 日勤帯の救急車の初期対応を最優先とする。
2) 通常勤務時間中に救急入院となった患者の副主治医となる。
● 副主治医となる診療科は、1 年目研修期間のローテートにない循環器科、神経内科、
脳外科、整形外科を中心とする。
● 副主治医となる期間は入院日(第 1 日目)から第 3 日目までとする。以後第 4 日目か
らは担当を離れる。
● 朝夕の経過観察とカルテ記載を行い、主治医のフィードバックをうける。
(退院サマ
リーの記載は本来の主治医の業務とする。)
● 患者数については特に制限しないが、業務量に応じて考慮する。
● 当該科の主治医は研修医に対し適宜指導を行う。業務内容をチェックし、カルテに確
認の記載をする。研修医に業務を任せ放しにしたり、過剰な要求をしないように留意
する。
3) ICU 入室患者についても救急部長とともに毎日回診を行い、経過観察とカルテ記載を
義務付ける。
4) 夜間一泊入院となった患者の状態について、翌朝観察する。その際予定通りの退院が
可能か、入院の継続が必要かの判断を救急部長とともに行う。当該患者が一泊で可能
な場合にはサマリーを作成する。
5) 業務に余裕がある場合には、救急患者の検査、緊急手術の見学、または助手に入るこ
とも可能である。
II. 救急車同乗実習 ~福岡市消防局~
【一般目標】
地域医療におけるプレホスピタル・ケア(病院前救護体制)の現状と問題点を把握するとと
もに、必要となる基本的知識・技術を習得する。
【行動目標】
1) プレホスピタル・ケアの担い手である消防局の救急業務の現状と問題点を理解する。
2) プレホスピタル・ケアにおける救急処置が実施できる。
3) 地域住民に対してプレホスピタル・ケアの重要性を説明し、必要な応急手当等を指導
できる。
【学習方法】
3 ヶ月の救急研修期間のうち1週間、消防署において救急隊員と共に勤務する。
1) 救急車同乗研修
60
2)
3)
消防署において救急隊員と共に勤務し、出動に同乗して救急活動を見学する。
救急処置研修
JPTEC 理論に基づき救急処置の実習を実施するとともに、必要に応じて救急隊員の
救急処置を手伝う。
応急手当及び啓発活動への参加
消防署が実施する地域住民向けの救命講習会等へ参加し、指導等を体験する。
【経験目標】
 救急患者の初期観察
 心肺蘇生法
 創傷等への処置
 救急救命士が行う救急救命処置(除細動,静脈路確保,気管挿管等)
 搬送先病院の選定
 接遇
【救急部週間スケジュール】
午
前
午
後
月
救急 ICU
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
ICU・病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
火
救急 ICU
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
ICU・病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
水
救急 ICU
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
ICU・病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
木
救急 ICU
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
ICU・病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
金
救急 ICU
カンファレンス
脳卒中
カンファレンス
ICU・病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
ICU・
病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
ICU・
病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
ICU・
病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
ICU・
病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
ICU・
病棟実習
救急車搬入時
は救急対応
61
麻酔・蘇生研修(必修)
【一般目標】
1)
周術期における麻酔科の専門的役割を理解し、全身管理、麻酔法の基本的知識、態度
技術を習得する。
2)
急性期および慢性期における疼痚管理を習得する。
【行動目標】
1)
バイタルサイン、全身的、局所的身体所見の把握ができる。
2)
基本的麻酔の実施(モニタリング、静脈路の確保、気道の確保、気管挿管、全身麻酔の
維持)ができる。
3)
除痚を通じた緩和医療を実施できる。
4)
各科エマージェンシーの病態が理解できる。
5)
麻酔科として、術前から術後まで、周術期を通じた管理ができる。
6)
全身的合併症を理解し、管理できる。
7)
ALS アルゴリズムに準じた救急処置ができる。
8)
BLS の指導ができる。
【学習方法】
ICU・救急科とも連携して救急・麻酔に関連する基礎的診療能力を養う。
1) BLS・ALS(麻酔科・救急部合同)
 4 月研修開始時のオリエンテーション時期に ALS を施行する。
 その後院内 ALS 時にはアシスタントとして参加する。
 病棟や関連部所の BLS 講習会にはインストラクターとして参加する。
2) 各科カンファレンス出席(木:外科、金:整形外科)
3) 麻酔実習
 術前回診:問診、診察、麻酔科的特殊チェック事項
 麻酔計画を立てる
 シュミレーションの実施
 実際の患者に対して手技の実施
 フィードバック
 術後回診
4) ミニレクチャー
基礎的な問題に対する解答(毎日 10 分程度)
5) 麻酔科で学んだことについて手術部看護師に向けて 30 分程度の講義をする
62
【麻酔科週間スケジュール】
午前
午後
月
救急 ICU
カンファレンス
麻酔科カンファレンス
ミニレクチャー
麻酔
麻酔
病棟回診
(担当症例の
術前診察・
麻酔法検討)
火
救急 ICU
カンファレンス
麻酔科カンファレンス
ミニレクチャー
麻酔
麻酔
病棟回診
(担当症例の
術前診察・
麻酔法検討)
水
救急 ICU
カンファレンス
麻酔科カンファレンス
ミニレクチャー
麻酔
麻酔
病棟回診
(担当症例の
術前診察・
麻酔法検討)
木
救急 ICU
カンファレンス
外科
術前カンファレンス
麻酔
麻酔
病棟回診
(担当症例の
術前診察・
麻酔法検討)
金
救急 ICU
カンファレンス
整形外科
術前カンファレンス
麻酔
麻酔
病棟回診
(担当症例の
術前診察・
麻酔法検討)
【経験目標】
<基本的手技>
 気道確保を実施できる。
 人工呼吸を実施できる(バックによる徒手換気を含む)
 バイタルサインを確実に把握できる。
 採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
 基本的検査(血液型、CBC、血液生化学、血液ガス、尿)を実施できる。
 注射法(皮内、皮下、筋肉、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
 導尿法を実施できる。
 局所麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔、全身麻酔を実施 維持できる。
 モニタリングが確実にできる。
 気道確保困難症例に対して対応ができる。
 人工呼吸器の設定ができる。
<基本的治療法>
周術期の患者管理ができる。
1) 術前
① 全身的な状態把握、麻酔についての説明、前投薬、合併症のある患者の麻酔計画を
たてる。
2) 術中
① 麻酔薬の作用機序を理解し、手術に応じた麻酔深度を維持することができる。
② 循環環作動薬による血圧の調節ができる。
③ 基本的な輸液治療ができる
3) 術後
① 疼痚管理を含めて呼吸、循環系の安定をはかる。
② 薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、救急医薬品をもちいた薬物治療が
できる。
③ 成分輸血を含む輸血の必要性と副作用を理解し、輸血を実施できる。
④ 除痚の機序を理解し、NSAIDs・麻薬等を用いたペインコントロールができる。
63
【評価】
1) 研修終了 1 ヶ月前に麻酔科研修評価一覧表を提出する。
2) 研修責任者(部長)を中心とした指導スタッフにより、必要項目の到達度に関する評
価を行う。
3) 目標に到達していない項目があれば当該科の研修終了時までに経験できるように配慮
する。
4) 研修終了時においても到達していない項目があれば、2 年次の選択コースで不足分を
補うように指導する。
5) 総合評価は、年 2 回の卒後臨床研修評価委員会にておこなう。
64
地域医療研修(必修)
~ 長崎県壱岐病院 ~
【研修施設の概要】
壱岐市は、福岡県と対馬の中間地点で玄海灘に面し、福岡県博多港から郷ノ浦港まで西北
76km〈高速船で約 1 時間〉
、佐賀県唐津東港から印通寺港まで北 42km の位置にあります。総
面積は 138.5km2 で、島としては全国で 20 番目に大きい島です。長崎県壱岐病院は壱岐医療圏に
おいて唯一の総合的機能を持つ、災害拠点病院としての使命を有する公的認定施設です。質的
医療水準の向上を図り、健康増進から疾病の予防、診断、治療及びリハビリテーションに至る
包括的、継続的、合理的な医療体制の確立を目指し、さらに本地域の中核医療機関として、広
域的視野にたった「高度で温かい包括医療ができる中核的な病院」を目指しています。~壱岐
市 HP より引用~
【一般目標】
離島や地域の疾患体系の違いや特殊事情を把握したうえでに患者を全人的に理解し、患者・
家族と良好な関係を構築して、プライマリ・ケアに関する基本的臨床能力を身につける。
【行動目標】
1) 患者が営む日常生活や居住する離島の特性に即した医療(在宅医療を含む)を理解し、
実践できる
2) 地域医療における病診連携の役割を理解し、実践できる。
3) 離島の社会福祉の状況、生活様式および患者、家族の身体・心理・社会的側面を把握
し、現実的な対応を実践できる
【学習方法】
1) 地域特有の様々な背景をもつ患者を診察する。
2) 訪問診療、救急対応など、地域住民の診療に密着できるような役割を経験する。
3) 毎日の診察内容について、指導医よりフィードバックを受ける。
4) 前半の研修を指導医と共に振り返り、後半の研修をどのように行うか話し合う。
【到達目標】
<患者診療>
1) 地域住民に適切な病歴が聴取できる
2) 小児や老人にも必要な身体診察が正確に行える
3) 地域医療に必要なプライマリ・ケアを実践できる。
4) 患者とその家族の要望や意向をくみ取ることができる
5) 地域の特性を考慮して健康維持に必要な患者教育が行える
<記録の記載>
1) 診療録がきちんと記載できる
2) 的確な診療情報提供書を書ける
<医師としての職業的態度>
1) 患者に対して思いやりをもって接し共感を示すことができる
65
2)
3)
4)
周囲のスタッフと良好なコミュニケーションがとれている
どのような状況下でも冷静な行動がとれる
時間に正確で、信頼できる
<緊急時の対応>
1) 緊急時に指導医に連絡し、必要に応じて患者搬送できる。
2) 緊急時に患者や家族に搬送の必要性を伝えることができる。
3) 患者の受け入れや転院搬送に関する適切な情報亣換ができる。
<知識・学習態度>
1) 十分な医学的知識を有する
2) 自ら積極的に教科書や文献にあたり知識を得ている
3) 何を学ぶべきか認識できている
66
精神科研修(必修)
~福岡県立精神医療センター太宰府病院~
【一般目標】
将来の専門性にかかわらず、医学・医療の社会的ニーズを認識しつつ、日常診療で頻繁に遭
遇する精神科関係の病気や病態に適切に対応できるよう、プライマリーケアの基本的な診療能
力(態度、知識、技能)を身につける。
【行動目標】
1) 1ヶ月研修の目標
 精神保健医療を体験することにより医師としての基本的姿勢・態度の涵養に努める。
 精神障害者のニーズを身体・心理・社会的側面から把握するトレーニングを積む。
そして、患者への治療的介助と支持的精神療法の実際を学ぶ。
 精神障害者および家族へのインフォームドコンセントのプロセスを通じて、患者、
家族、医師間の良好な関係の確立を学ぶ。
 精神障害者への治療的介助を通じてコメディカルスタッフとの協調を学ぶ。
 精神症状を的確に把握し、さらに状態診断から疾病診断へ進めるプロセスを学ぶ。
抑うつ、心気、不安、焦燥、不眠、幻覚、妄想、自殺念慮、自殺企画、健忘、
意識障害(特にせん妄)、失見当識など
 向精神薬(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠剤、抗精神病薬)について基本的事項を学
び、臨床場面で使用する。
 精神保健福祉法の要点を学ぶ。
2)
2 ヶ月研修の目標
1 ヶ月研修では実施できない精神障害者に対する治療・リハビリテーションに対す
る理解を深めるとともに、精神科に特有な領域についても体験する。
 思春期の疾患などライフステージに特有な疾患について学ぶ。
 精神科救急を体験し、救急場面での評価や処置について学ぶ。
 院内の精神科リハビリテーション活動を体験し、チーム医療の必要性を学ぶ。
 精神科デイケア、訪問看護、作業療法等に参加し、チーム医療の実際を体験する。
 地域におけるリハビリテーションの活動に参加し、地域との連携の必要性につい
て理解する。精神保健センター、保健所、作業所、生活支援センターなどの活動
を理解し、あわせて精神障害当事者の地域での生活について学ぶ。
 精神科合併症病棟で実習、あるいは合併症を持つ患者を担当し、精神科疾患に特
有な合併症への対応を体験し、内科医師を含む他科医師との連携について学ぶ。
 臨床検査(脳波、画像診断)、心理検査の実際を学ぶ。

【学習方法】
1) 主治医あるいは副主治医として患者を担当し、治療計画をたてそれに沿った治療を
行い、治療経過について評価する。
2) 講義は必要最小限とし、on job トレーニングを主体とする。
67
<講義>
 精神科診断面接・治療面接
 診断・分類体系
 精神保健福祉法・行動制限・法と倫理
 司法精神医学・医療
 薬物療法・m-ECT
 地域精神医療・精神科リハビリテーション・ディホスピタル
<実習>
 基本的には1週目の月曜日は終日オリエンテーション、月曜日の入退院カンファレン
ス、金曜日の研修医カンファレンス、研修最終週における事例報告と実習の総括討論
 午前中は外来で予診、午後は病棟実習あるいは訪問看護に同伴、精神保健福祉センタ
ーの見学など
【経験目標】
<精神科的面接法と治療の実際>
きちんと説明するだけでは不十分、相手が理解しているか否かを見ながら説明してゆく(観
察と共感)ことは、精神科疾患に対する偏見を払拭するうえも重要である。
1) 精神症状の捉え方の基本を身につける。
① 精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
② デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。
<経験が求められる疾患・病態>
 症状精神病(せん妄)
 痴呆(脳血管性痴呆を含む)(※)
 アルコール依存症
 気分障害(うつ病、躁うつ病)
(※)
 統合失調症、不安障害(パニック症候群)(※)
 身体表現性障害、ストレス関連障害(※※)
※自ら入院患者を受け持つ。※※外来あるいは入院で担当する。
<プライマリケアで出会いそうな疾患・頻度の高い疾患(common disease)>
1) 症状性を含む器質性精神障害
2) 精神作用物質による精神および行動の障害
3) 精神分裂病、分裂病型障害および妄想性障害
4) 気分障害
5) 神経性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害
6) 生理的障害および身体的要素に関連した行動症候群
7) その他
68
小児・周産期研修
~福岡市立こども病院、医療法人愛和会愛和病院、医療法人愛成会東野産婦人科医院~
【一般目標】
周産・小児医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応できるよう、周産・小
児医療の現場を経験する
【行動目標】
1) 周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療が提供できる。
2) 周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる。
3) 虐待について説明できる。
4) 学校、家庭、職場環境に配慮し、地域との連携に参画できる。
5) 母子健康手帳を理解し活用できる。
【学習方法】
外来診療又は受け持ち入院患者で、診療に参加する
<経験が求められる疾患・病態>
1)小児疾患
 小児けいれん性疾患・・・・・※
 小児ウイルス感染症(麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、突発性発疹、インフルエンザ)・・
・・・※
 小児細菌感染症
 小児喘息・・・・・※
 先天性心疾患
2) 妊娠分娩と生殖器疾患
 妊娠分娩(正常妊娠、流産、{月経異常(無月経を含む)、不正性器出血、更年期障害、
外陰・腟・骨盤内感染症、骨盤内腫瘍、乳腺腫瘍}
※自ら経験することが必要
69
小児科研修(選択コース)
~福岡市立こども病院~
【研修目的】
成長と発達という小児の特性を理解し、プライマリー・ケアを中心に日常的にする頻度の高
い病態・疾患、さらに育児に関する諸問題等について十分に研修し、細やかで、かつ包括的な
医療・保健指導が行える知識・技能を身に付ける。
【一般目標】
初期臨床研修プログラムの行動目標の達成に努める。
1) 適切な小児医療を実践するために必要とされる基礎的な知識、技能、態度を習得する。
2) 小児期および小児保健・疾患の特性について学び、小児期特有の親子関係、成長発達
過程にある小児の精神状態の把握に努める。
3) 診療に際しては、発達段階・年齢に応じた対応(信頼関係の構築法、診察法、処方等)
の修得に努める。
【行動目標】
1) 礼節を尊び、自身の健康管理ができる。
2) 患児およびその保護者、医療者(医師、看護師、薬剤師、検査技師、放射線技師、薬
剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなど)との信頼関係、良好な人間関係が確立でき
る。
3) 診療に際しては、問題点を迅速・的確に把握し、指導医との協議に基づき、診療・治
療計画を立案し、その内容を受療者(保護者)に説明できる。
4) 院内感染対策、医療事故防止、およびそれらの発生時に適切に対処することができる。
5) 診療報酬制度、各種の公費負担制度の理解に基づいた診療ができる。
【学習方法】
<指導体制>
① プログラム責任者:福岡市立こども病院研修委員会
(委員長;小児部門担当副院長)
② 指導医
日本小児科学会専門医資格を有する医師が担当し、当院研修委員会で適宜協議して研
修成果の向上に努める。
③ 指導体制の概要
各指導医が上記研修計画に基づき研修医の指導に従事する。
<研修内容>
1) 診療
 外来・病棟研修:一般小児科外来および病棟研修を原則とする。
病棟では担当医チームの一員として入院患児の診療を行う。
 病棟回診・ディスカッション(毎日)、病院カンファレンス(毎月第3火曜)、さ
らに指導医のもと時間外救急外来研修への参加が勧められる。
 専門病棟(循環器、神経、腎、内分泌代謝、新生児など)については見学実習の機
会を設ける。
70
2)
カンファレンス・講義
薬剤使用の基本~小児薬用量、使用法、薬剤の副作用と対処法~
輸液・輸血療法(血小板、アルブミン含む)
乳幼児健診・予防接種
小児救急疾患の対処法~小児の心肺蘇生、頻度の高い病態・疾患(発熱、嘔吐、下
痢、腹痚等)の対処法~
 乳児期疾患~乳児下痢症、湿疹、食物アレルギー~
 感染症~発疹性疾患、その他のウィルス性疾患、肺炎、気管支炎~
 アレルギー疾患~気管支喘息、アトピー性皮膚炎~
 神経疾患~熱性けいれん、てんかん、細菌性髄膜炎~
3) その他
 勤務時間:月~金、午前 8:30~17:30 分を原則とする。
 週に 1 回午後 5 時より 11 時まで当直医とともに時間外外来研修を行う。




【経験目標】
<経験すべき診察法・検査法・基本的手技・薬物療法・記録と管理>
1) 診温察法
 患児および保護者との面接・情報収集に際して、いたずらに不安を与えず、コミュ
ニケーションをとり、診断に必要な情報を的確に聴取できる。
 診察に際しては、身体計測値(頭囲、胸囲、身長、体重など)、バイタルサイン(体、
呼吸数、心拍数、血圧)を得ることができる。
 身体発育、精神発達段階の評価ができる。
 小児とくに乳幼児の理学的所見が取れる。
 頭頚部所見(眼瞼・結膜、外耳道・鼓膜、咽頭・口腔粘膜)、胸部所見(呼吸音・
雑音、心音・心雑音とリズムの聴診)、腹部所見(触診、打診、聴診)、四肢(関
節、筋肉)の所見を得て正確に記載ができる。
2) 臨床検査
 検血(赤血球、白血球・血液像、血小板)、血液型判定、血液亣差適合試験
 尿検査
 血液生化学検査・迅速簡易検査(血糖、電解質、アンモニア、ケトン等)
 血清免疫学的検査(CRP、免疫グロブリン等)
 血液ガス分析
 細菌学的検査・薬剤感受性検査(血液、痰、尿等の検体採取、グラム染色)
 髄液検査
 単純X線検査
 心電図(12 誘導)
 超音波検査、CT 検査、MRI 検査
3) 手技
 検査および治療に際しての基本的な知識と手技を身につける。
 注射法(皮内、点滴、静脈確保)および採血法(静脈血)を実施できる。
 輸液、輸血およびその管理ができる。
 各種モニター(心拍、血圧、パルスオキシメーターなど)を正しく装着できる。
 酸素療法ができる。
 胃管の挿入・管理、胃洗浄ができる。
71
4) 薬物療法
 小児用の薬剤の使用法、小児薬用量等について学ぶ。
 体重別、対表面積別の薬用量を算出し、薬剤の処方ができる。
 体格、年齢、疾患に応じて輸液の適応を判断し、輸液の種類・量を決定できる。
 輸血(成分輸血を含む)による効果と副作用について理解できる。
5) 診療録の記載と管理
 診療録を正確、迅速に記載し、適切に管理できる。
 処方箋、指示録を適切に作成し、管理できる。
 診断書、死亡診断書(検案書)、その他の証明書を適切に作成して、管理できる。
 診療情報提供書、紹介状、その返書を正確、迅速に作成でき、管理できる。
<経験が求められる症状・病態>
1) 頻度の高い小児の症状
 体重増加不良
 発熱
 吐き気・嘔吐
 リンパ節腫脹
 発疹
 多呼吸
 腹痚
 咳嗽・喘鳴
 けいれん
 便性異常(下痢・便秘・血便・白色便など)
2) 緊急を要する病態・疾患
 脱水症:重症度の判定と応急処置ができる。
 喘息発作:重症度判定と応急処置ができる。
 けいれん:鑑別診断ができ、応急処置ができる。
 腹痚:鑑別診断と適切な対応ができる。
 事故:溺水、誤飲、熱傷等
3) 経験すべき疾患
 けいれん性疾患:熱性けいれん、てんかん
 小児ウイルス感染症発疹性疾患:麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、突発性発疹、イン
フルエンザ症
 小児細菌感染症
 小児気管支喘息
 先天性心疾患
※下線の疾患については、外来診療または受け持ち入院患者で自ら経験すること。
4) 必修項目
 小児成育医療の現場(周産期、虐待への対応、学校、家庭、職場環境への
 配慮など)を経験すること。
【評価】
次頁の本院臨床研修評価表により行う。
72
臨床研修評価表
年
研修医氏名:
研修科:
期間:平成
年
月
※総括的評価;(A…優
日~平成
B…良
年
月
C…可
月
日
日
D…不可)を(
)内に記入してください。
1.知識と能力について
自己評価
指導医評価
1)医学に関する基本的な知識の修得
………… [ ]
[ ]
2)患児の問題点を把握し、解決する能力 ………… [ ]
[ ]
3)専門的医療技術の修得 …………………………… [ ]
[ ]
4)患児・家族とのコミュニケ-ション能力 ……… [ ]
[ ]
5)診療録の記載、各種文書、診療総括等の作成 … [ ]
[ ]
6)症例検討会等への積極的参加 …………………… [ ]
[ ]
2.勤務態度について
1)患児・家族への思いやり ………………………… [ ]
[ ]
2)上司、同僚、他の職員との協調性 ……………… [ ]
[ ]
3)看護師等に対する指示の適正
………………… [ ]
[ ]
4)時間・約束の厳守 ………………………………… [ ]
[ ]
5)挨拶・態度・行儀・服装・身だしなみ ………… [ ]
[ ]
6)責任感・誠実性 …………………………………… [ ]
[ ]
7)積極性・行動力・勤勉性 ………………………… [ ]
[ ]
3.性格、その他
1)思考の柔軟性 ……………………………………… [ ]
[ ]
2)慎重さ ……………………………………………… [ ]
[ ]
3)決断力 ……………………………………………… [ ]
[ ]
4)独創性 ……………………………………………… [ ]
[ ]
5)性格分析;自己評価は黒色、指導医は異なる色のペンを使い、〇で囲むか、
記入してください。
協調的・独善的・積極的・消極的・排他的・攻撃的・寛大・意思強固・
意固地・誠実・冷静・温和・その他(
)
4. 生活態度、健康状態、その他(
)
(指導医総合評価…[ A
ト)
B
C
D ]
・臨床医としての適正についてのコメン
評価者氏名:
73
産婦人科研修(選択コース)
~医療法人愛和会愛和病院、医療法人愛成会東野産婦人科医院、
医療法人養真堂産婦人科筑紫クリニック~
【一般目標】
女性特有の生理、病態について学び、産婦人科領域のプライマリ・ケアを理解する。
【行動目標】
1) 女性特有の疾患による救急医療を研修する。
2) 女性特有のプライマリ・ケアを研修する。
3) 妊産褥婦ならびに新生児の医療に必要な基本的知識を研修する。
【学習方法】
1) 副主治医として入院患者の診察にあたる。
2) 分娩、緊急手術、緊急患者には随時立ち会う。
<産科>
1) 外来
 妊婦の検査・診断
 正常妊婦の外来管理
 産科を受診した腹痚、腰痚の患者、急性腹症の患者の管理
2) 病棟
 正常分娩第1期ならびに第 2 期の管理
 正常頭位分娩における児の娩出前後の管理
 正常産褥の管理
 腹式帝王切開術の経験
 流・早産の管理
 産科出血に対する応急処置の理解
 産科を受診した腹痚、腰痚の患者、急性腹症の患者の管理
<婦人科>
1) 外来
 婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案
 婦人科性器感染症の検査・診断・治療計画の立案
 婦人科を受診した腹痚、腰痚の患者、急性腹症の患者の管理
 不妊症・内分泌疾患患者の外来における検査と治療計画の立案
2) 病棟
 婦人科良性腫瘍の手術への第 2 助手としての参加
 婦人科悪性腫瘍の集学的治療の理解
【経験目標】
<経験すべき診察法・検査・手技>
1) 産婦人科診察法
74
① 産婦人科に必要な基本的態度・技能を身につける。
② 視診(一般的視診および膣鏡診)
③ 触診(外診、双合診、内診、妊婦の Leopold 触診法など)
④ 直腸診、膣診
⑤ 新生児の診察(Apgar score、Silverman score その他)
2) 婦人科臨床検査
産婦人科診療に必要な種々の検査を実施あるいは依頼し、その結果を評価する。
妊産褥婦には禁忌である検査法、避けた方が望ましい検査法があることを理解する。
1) 婦人科内分泌検査
基礎体温表の診断 頚管粘液検査 各種ホルモン検査
2) 不妊症検査
基礎体温表の診断
3) 妊娠の診断
免疫学的妊娠反応 超音波検査
4) 感染症の検査
膣トリコモナス感染症検査、膣カンジダ感染症検査
5) 細胞診・病理組織検査
子宮膣部細胞診、子宮内膜細胞診、病理組織生検
6) 内視鏡検査
コルポスコピー
7) 超音波検査
ドップラー法、断層法(経膣的超音波断層法、経腹壁的超音波断層法)
8) 放射線学的検査
骨盤単純×線検査、骨盤計測(マルチウス・グースマン法)、腎盂造影、
骨盤×線 CT 検査、骨盤 MRI 検査
9) 産婦人科薬物療法
薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物療法(抗菌薬、副腎皮質ステロ
イド薬、解熱薬、麻薬を含む)ができる。
<経験すべき症状・病態・疾患>
1) 頻度の高い症状~腹痚・腰痚~
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜炎、子宮傍結合組織炎、子宮留血腫、子宮留膿
腫、月経困難症、子宮付属器炎、卵管留水腫、卵管留膿腫、卵巣子宮内膜症、卵
巣過刺激症候群、排卵痚、骨盤腹膜炎、骨盤子宮内膜症など
2) 緊急を要する症状・病態~急性腹症~
子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、卵巣出血など
3) 経験が求められる疾患・病態
① 産科関連
 妊娠・分娩・産褥ならびに新生児の生理の理解
 妊娠の検査・診断
 正常妊婦の外来管理
 正常分娩第 1 期ならびに第 2 期の管理
 正常頭位分娩における児の娩出前後の管理
 正常産褥の管理
75
 正常新生児の管理
 腹式帝王切開術の経験
 流・早産の管理
 産科出血に対する応急処置法の理解
② 婦人科関連
 骨盤内の解剖の理解
 視床下部・下垂体・卵巣系の内分泌調整系の理解
 婦人科良性腫瘍の診断ならびに治療計画の立案
 婦人科良性腫瘍の手術への第2助手としての参加
 婦人科性器感染症の検査・診断・治療計画の立案
 婦人科悪性腫瘍の早期診断法の理解
 婦人科悪性腫瘍の集学的治療の理解
 不妊症・内分泌疾患患者の外来における検査と治療計画の立案
<母子保健福祉対策関連の法規・法律の理解>
1) 母子保健法
2) 母体保護法
【評価】
1) 経験すべき疾患のレポートを診療科責任者へ提出する。
2) 各研修責任者(部長)を中心として必要項目の到達度について評価を行う。
76
経験すべき項目と必修項目一覧
経験すべき症状・病態・疾患のうち、◎印のものはレポート作成する必要がある。
経験すべき項目
到達条件
○印&◎印は必須項目
(◎印の項目については
レポート作成が必要であ
る)
【検査】
経験すべき診療科
全 内 放
科 科 射
線
科
○ 血液型判定・亣差適合
試験
○ 心電図(12 誘導)
自ら実施
★
自ら実施
★
○ 超音波検査
自ら実施
★
○ 一般尿検査(尿沈査を
含む)
○ 便検査(潜血・虫卵)
診療活用
★
○ 血算・白血球検査
診療活用
★
○ 動脈血ガス分析
診療活用
★
○ 血液生化学(血糖・電
解質・尿素窒素など)
○ 血液免疫血清学〔免疫
細胞・アレルギー検査を含
む)
○ 細菌・薬剤感受性 (検
体採取、グラム染色)
○ 肺機能検査
診療活用
★
○ 髄液検査
診療活用
○ 内視鏡検査
診療活用
○ 単純 X 線検査
診療活用
★
☆
○ X 線 CT 検査
診療活用
★
☆
診療活用
循 外 整 脳 救 麻 地 小 精 婦
環 科 形 神 急 酔 域 児 神 人
器
内 経 部 科 医 科 科 科
内
科 外
療
科
科
☆
☆
☆ ☆
☆
☆
診療活用
診療活用
神
経
内
科
☆
☆
☆
★
診療活用
☆ ☆ ☆
☆
☆
☆
負荷心電図
☆
☆
☆
細胞診、病理組織検査
造影 X 線検査
MRI 検査
核医学検査
☆
神経生理学(脳波、筋
電図など)
【手技】
○ 気道確保
自ら実施
★
☆ ☆
○ 人工呼吸(バックマスクの
徒手換気を含む)
○ 心マッサージ
自ら実施
★
☆ ☆
自ら実施
★
☆
○ 圧迫止血法
自ら実施
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
77
○ 包帯法
自ら実施
☆
○ 注射(皮内・皮下・筋
肉・点滴・静脈確保)
○ 採血(動脈・静脈)
自ら実施
★
☆
自ら実施
★
☆
○ 腰椎穿刺
自ら実施
○ 導尿
自ら実施
○ ドレーン・チューブ管理
自ら実施
☆ ☆ ☆
○ 胃管挿入・管理
自ら実施
☆ ☆ ☆
○ 局所麻酔
自ら実施
☆ ☆ ☆
☆
○ 創部消每、ガーゼ゙亣換
自ら実施
☆ ☆ ☆
☆
○ 切開・排膿
自ら実施
☆ ☆ ☆
☆
○ 皮膚縫合
自ら実施
☆ ☆ ☆
☆
○ 外傷・熱傷処置
自ら実施
☆
○ 気管挿管
自ら実施
☆ ☆
○ 除細動
自ら実施
☆
☆ ☆ ☆
☆
★
☆
☆
☆
☆
☆
胸腔穿刺、腹腔穿刺
【治療法】
中心静脈確保
☆
☆
療養指導(安静度、体
位、食事、入浴、排泄、
環境整備を含む)
薬物療法(抗菌薬、副
腎ステロイド、解熱剤、麻
薬を含む)
輸液療法
☆
☆
輸血、副作用
【記録】
【症状】
☆
○ 診療録の作成
自ら実施
★
○ 処方箋・指示書作成
自ら実施
★
○ 診断書
自ら実施
★
○ 死亡診断書
自ら実施
★
○ CPC レポート作成・呈示
自ら実施
★
○ 紹介状・返信
自ら実施
★
◎ 不眠
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
◎ 浮腫
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
◎ リンパ節腫脹
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 発疹
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 発熱
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
◎ 頭痚
鑑別診断
★
☆ ☆
☆
☆
78
◎ めまい
鑑別診断
★
☆
☆ ☆
☆
◎ 視力障害、視野狭窄
鑑別診断
★
☆
☆ ☆
☆
◎ 結膜充血
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 胸痚
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 動悸
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 呼吸困難
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
◎ 咳・痰
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
◎ 嘔気・嘔吐
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
☆
◎ 腹痚
鑑別診断
★ ☆
☆
☆
☆
◎ 便通異常(下痢、便秘) 鑑別診断
★ ☆
☆ ☆
☆
☆
◎ 腰痚
鑑別診断
★
☆
☆
☆
☆
◎ 四肢しびれ
鑑別診断
★
☆
☆
☆
◎ 血尿
鑑別診断
★
☆
☆
◎ 排尿障害(尿失禁、排
尿困難)
全身倦怠感
鑑別診断
★
☆
☆
○ 心肺停止
治療参加
★
☆
☆ ☆ ☆
○ ショック
治療参加
★
☆
☆ ☆ ☆
○ 意識障害
治療参加
☆
☆
☆
○ 脳血管障害
治療参加
☆
☆
☆ ☆
○ 急性心不全
治療参加
☆
☆
○ 急性冠症候群
治療参加
☆
☆
○ 急性腹症
治療参加
☆
☆
☆ ☆
○ 急性消化管出血
治療参加
☆ ☆
☆
☆ ☆
食欲不振
体重減尐、体重増加
黄疸
失神、けいれん発作
聴力障害
鼻出血
嗄声
胸やけ
嚥下困難
関節痚
歩行障害
尿量異常
不安・抑うつ
【病態】
79
○ 外傷
治療参加
○ 急性中每
治療参加
○ 熱傷
治療参加
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
☆ ☆
急性呼吸不全
☆
☆
☆
☆
☆
急性腎不全
流・早産および満期産
誤飲、誤嚥
精神科領域の救急
【疾患】
血液・造血器
・リンパ網内系
○ 貧血(鉄欠乏性、二次
性)
白血病
診療経験
★
悪性リンパ腫
出血傾向・紫斑(DIC)
神経系
皮膚系
◎ 脳梗塞、脳内出血、く
も膜下出血
痴呆性疾患
担当医
☆
☆
☆
脳・脊髄外傷(頭部外
傷、血腫)
変性疾患(パーキンソン病)
☆
☆
脳炎・髄膜炎
☆
○ 湿疹、接触・アレルギー
性皮膚炎
○ 蕁麻疹
診療経験
★
☆
☆
診療経験
★
☆
☆
○ 皮膚感染症
診療経験
★
☆
☆
薬疹
運動器系
循環器系
○ 骨折
診療経験
☆
○ 脱臼・捻挫・靭帯損傷
診療経験
☆
○ 骨粗鬆症
診療経験
☆
○ 脊柱障害(腰椎椎間板
ヘルニア)
◎ 心不全
診療経験
☆
担当医
☆
◎ 高血圧
担当医
☆
○ 狭心症・心筋梗塞
診療経験
☆
○ 不整脈
診療経験
☆
○ 動脈疾患(動脈硬化
症・大動脈瘤)
心筋症
診療経験
☆ ☆
☆
弁膜症(僧房弁、大動
脈弁)
静脈・リンパ管(深部静
脈血栓症、下肢静脈
瘤、リンパ浮腫)
☆
☆
80
呼吸器系
消化器系
腎・尿路系
◎ 呼吸器感染症(気管支
炎、肺炎)
○ 呼吸不全
担当医
☆
診療経験
☆
○ 閉塞・拘束性疾患(喘 診療経験
息、気管支拡張症)
肺循環障害(肺塞栓、
肺梗塞)
異常呼吸(過換気症候
群)
胸膜、縦隔、横隔膜疾
患(気胸、胸膜炎)
肺癌
☆
◎ 食道・胃・十二指腸(食
道静脈瘤、胃癌、消化
性潰瘍、胃・十二指腸
炎)
○ 小腸・大腸(イレウス、虫
垂炎、痔核・痔瘻)
○ 肝臓(肝炎、肝硬変、
肝癌、肝障害)
○ 腹壁・腹膜(腹膜炎、
急性腹症、ヘルニア)
胆嚢・胆管(胆石、胆
嚢炎、胆管炎)
膵臓(急性・慢性膵炎)
担当医
☆
◎ 腎不全(急性・慢性、
透析)
○ 尿路結石、尿路感染症
担当医
妊娠分娩と
○
生殖器疾患
○
内分泌・
◎
栄養・代謝系
○
糸球体疾患(糸球体腎
炎、ネフローセ症候群゙)
全身疾患による腎障
害(糖尿病性腎症)
妊娠分娩(正常妊娠・
分娩、流産、早産、産
科出血、乳腺炎、産褥)
男性生殖器(前立腺・
勃起障害、精巣腫瘍)
女性生殖器(無月経、
思春期・更年期障害、
外陰・膣・骨盤感染症、
骨盤内腫瘍、乳腺腫
瘍)
糖代謝異常(糖尿病、
低血糖)
高脂血症
☆
診療経験
診療経験
☆
☆
☆ ☆
診療経験
☆
☆
☆
診療経験
☆
☆
☆
診療経験
☆
診療経験
☆
☆
☆
担当医
☆
診療経験
☆
視床下部・下垂体(下
垂体機能障害)
甲状腺(甲状腺機能亢
進・低下症)
副腎不全
眼・視覚系
蛋白・核代謝異常(高
尿酸血漿)
○ 屈折異常〔近視、遠視、 診療経験
乱視〕
☆
81
○ 角結膜炎
診療経験
☆
○ 白内障
診療経験
☆
○ 緑内障
診療経験
☆
耳鼻咽喉
糖尿病、高血圧、動脈
硬化性の眼底変化
○ 中耳炎
診療経験
☆
・口腔系
○ アレルギー性鼻炎
診療経験
☆
急性・慢性副鼻腔炎
精神・神経系
扁桃の急性・慢性炎症
性疾患
外耳道・鼻腔・咽頭・喉
頭・食道の異物
◎ 痴呆(血管性痴呆を含
む)
◎ うつ病
◎ 統合失調症(精神分裂
病)
○ 身体表現性障害、ストレ
ス関連障害
アルコール依存症
感染症
担当医
☆
☆
担当医
☆
☆
担当医
☆
☆
診療経験
☆
☆
不安障害(パニック症候
群)
○ ウイルス感染(インフルエンザ、 診療経験
麻疹、風疹、水痘、ヘ
ルペス)
○ 細菌感染(ブドウ糖、 診療経験
MRSA、A型レンサ球菌、
クラミジア)
○ 結核
診療経験
☆
★ ☆
★ ☆
☆
★ ☆
真菌(カンジダ)
寄生虫
性感染症
免疫・アレルギー
物理・化学因
子による疾
患
○ 慢性関節リウマチ
診療経験
☆
○ アレルギー疾患
診療経験
☆
全身性エリテマトーデスと合
併症
○ 熱傷
診療経験
診療経験
☆
☆
☆
☆
☆
中每(アルコール、薬物)
アナフィラキシー
小児疾患
環境要因(熱中症、寒
冷障害)
○ 小児けいれん性疾患
診療経験
☆ ☆
○ 小児ウイルス感染(麻疹、 診療経験
流行性耳下腺炎、水
痘、突発性発疹、インフ
ルエンザ)
☆ ☆
82
○ 小児喘息
診療経験
☆ ☆
小児細菌感染症
加齢と老化
先天性心疾患
○ 高齢者の栄養摂取障
害
○ 老年症候群(誤嚥、転
倒、失禁、褥創)
診療経験
診療経験
★
☆
診療経験
★
☆
【特定医療
○ 救急医療
現場経験
現場の経験】
○ 予防医療
現場経験
☆
☆
○ 地域医療(へき地・離 現場経験
島診療所、中小病院・
診療所等)
○ 小児・成育医療
現場経験
○ 精神保健・医療
現場経験
○ 臨終の立会い
現場経験
☆
☆
☆
☆
地域保健(保健所、介
護老人保健施設等)
【法律等】
健康保険制
度
診療報酬の請求のし
くみ
公費負担医療制度
法律・法規
医師法
医療法
個人情報保護法
健康増進法
社会保険・医療保険関
係の法律
(健康保険法、国民健
康保険法)
感染症対策関連の法
律
母子保健福祉対策関
連の法律(母子保健
法、母体保護法)
老人保健福祉対策関
連の法律(老人保健
法、老人福祉法)
障害者保健福祉対策
関連の法律(身体障害
者福祉法、知的障害者
福祉法)
薬事関連の法律
(薬事法、麻薬向精神
薬取締法)
臓器の移植に関する
法律
83
臨床研修評価の手順
1.記載書類・提出書類
1) 初期臨床研修の経験目標チェックリスト
2) 各診療科別研修評価一覧表
3) 必須研修症例レポート
4) 臨床病理検討会(CPC)レポート
5) 勉強会(院内・院外研修)レポート
6) 初期臨床研修到達度総合評価
2. 研修評価の手順・要点
1) 各研修ローテーション(内科系・外科系・救急/麻酔・産婦人科など)の終了時、
初期臨床研修の経験目標チェックリストに自己評価し、指導医のサインと確認印
をもらって下さい。
2) 各診療科の研修プログラムに沿って自己評価し、指導医の評価をうけて下さい。
3) レポートの必要な症例は、研修症例レポートに必要事項を記載して下さい。
4) 臨床病理(CPC)検討会、院外講演会・研修会に出席した場合には、臨床病理(CPC)
検討会レポート、院外研修参加レポートに必要事項を記載して下さい。
5) 毎年 2 回(9 月、3 月)
、定期の研修評価委員会が開かれますので、自己の研修状
況を把握して、不足部分を補うことが大切です。研修評価委員会の開催前に、初
期臨床研修の経験目標チェックリスト、各診療科研修評価一覧表、必須研修症例
レポート、臨床病理(CPC)検討会レポート、院外研修参加レポートを提出して下
さい。
6) 年度末、卒後臨床研修の終了時に卒後臨床研修委員会が開かれて、研修状況が最
終的に評価されます。再度、初期臨床研修の経験目標チェックリスト、各診療科
研修プログラム評価、研修症例レポート、臨床病理(CPC)検討会レポート、院外
研修参加レポートを提出して下さい。
7) 研修期間修了前に、初期臨床研修到達度総合評価に沿って自己評価し、委員会評
価をうけてください。
8) 研修修了者には研修認定証が授与されます。
3. 注意事項
1) 上記書類は、卒後臨床研修の終了時まで大切に保管してください。
2) 記載書類・提出書類は配布した研修手帳および医局のコンピュータ(研修医フォ
ルダ)にあります。
84
<参考資料>
医師臨床研修の到達目標~厚生労働省~
【到達目標】
I 行動目標
医療人として必要な基本姿勢・態度
II 経験目標
A 経験すべき診察法・検査・手技
B 経験すべき症状・病態・疾患
C 特定の医療現場の経験
【臨床研修の基本理念】
臨床研修は、医師が、医師としての人格をかん養
し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び
医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般
的な診療において頻繁に関わる負傷又は疾病に適
切に対応できるよう、基本的な診療能力を身に付け
ることのできるものでなければならない。
85
I 行動目標
医療人として必要な基本姿勢・態度
(1)患者-医師関係
患者を全人的に理解し、患者・家族と良好な人間関係を確立するために、
1) 患者、家族のニーズを身体・心理・社会的側面から把握できる
2) 医師、患者・家族がともに納得できる医療を行うためのインフォームド・コンセントが実施できる。
3) 守秘義務を果たし、プライバシーへの配慮ができる。
(2)チーム医療
医療チームの構成員としての役割を理解し、保健・医療・福祉の幅広い職種からなる他のメンバーと協調
するために、
1) 指導医や専門医に適切なタイミングでコンサルテーションができる。
2) 上級及び同僚医師や他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。
3) 同僚及び後輩へ教育的配慮ができる。
4) 患者の転入・転出に当たり、情報を亣換できる。
5) 関係機関や諸団体の担当者とコミュニケーションがとれる。
(3)問題対応能力
患者の問題を把握し、問題対応型の思考を行い、生涯にわたる自己学習の習慣を身に付けるために、
1) 臨床上の疑問点を解決するための情報を収集して評価し、当該患者への適応を判断できる
(EBM =Evidence Based Medicine の実践ができる。)。
2) 自己評価及び第三者による評価を踏まえた問題対応能力の改善ができる。
3) 臨床研究や治験の意義を理解し、研究や学会活動に関心を持つ。
4) 自己管理能力を身に付け、生涯にわたり基本的診療能力の向上に努める。
(4)安全管理
患者及び医療従事者にとって安全な医療を遂行し、安全管理の方策を身に付け、危機管理に参画する
ために、
1) 医療を行う際の安全確認の考え方を理解し、実施できる。
2) 医療事故防止及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動できる。
3) 院内感染対策(Standard Precautions を含む)を理解し、実施できる。
(5)症例呈示
チーム医療の実践と自己の臨床能力向上に不可欠な、症例呈示と意見亣換を行うために、
1) 症例呈示と討論ができる。
2) 臨床症例に関するカンファレンスや学術集会に参加する。
(6)医療の社会性
医療の持つ社会的側面の重要性を理解し、社会に貢献するために、
1) 保健医療法規・制度を理解し、適切に行動できる。
2) 医療保険、公費負担医療を理解し、適切に診療できる。
3) 医の倫理、生命倫理について理解し、適切に行動できる。
4) 医薬品や医療用具による健康被害の発生防止について理解し、適切に行動できる。
II 経験目標
A 経験すべき診察法・検査・手技
(1)医療面接
患者・家族との信頼関係を構築し、診断・治療に必要な情報が得られるような医療面接を実施するため
86
に、
1)
医療面接におけるコミュニケーションの持つ意義を理解し、コミュニケーションスキルを身に付け、
患者の解釈モデル、受診動機、受療行動を把握できる。
2) 患者の病歴(主訴、現病歴、既往歴、家族歴、生活・職業歴、系統的レビュー)の聴取と記録がで
きる。
3) 患者・家族への適切な指示、指導ができる。
(2)基本的な身体診察法
病態の正確な把握ができるよう、全身にわたる身体診察を系統的に実施し、記載するために、
1) 全身の観察(バイタルサインと精神状態の把握、皮膚や表在リンパ節の診察を含む。)ができ、
記載できる。
2) 頭頸部の診察(眼瞼・結膜、眼底、外耳道、鼻腔口腔、咽頭の観察、甲状腺の触診を含む。)が
でき、記載できる。
3) 胸部の診察(乳房の診察を含む。)ができ、記載できる。
4) 腹部の診察(直腸診を含む。)ができ、記載できる。
5) 泌尿・生殖器の診察(産婦人科的診察を含む。)ができ、記載できる。
6) 骨・関節・筋肉系の診察ができ、記載できる。
7) 神経学的診察ができ、記載できる。
8) 小児の診察(生理的所見と病的所見の鑑別を含む。)ができ、記載できる。
9) 精神面の診察ができ、記載できる。
(3)基本的な臨床検査
病態と臨床経過を把握し、医療面接と身体診察から得られた情報をもとに必要な検査を、
A・・・自ら実施し、結果を解釈できる。その他・・・検査の適応が判断でき、結果の解釈ができる。
1)
2)
3)
4)
5)
6)
7)
8)
9)
一般尿検査 (尿沈渣顕微鏡検査を含む。)
便検査(潜血、虫卵)
血算・白血球分画
血液型判定・亣差適合試験・・・・・A
心電図(12 誘導)、負荷心電図・・・・・A
動脈血ガス分析・・・・・A
血液生化学的検査・簡易検査(血糖、電解質、尿素窒素など)
血液免疫血清学的検査(免疫細胞検査、アレルギー検査を含む。)
細菌学的検査・薬剤感受性検査
● 検体の採取(痰、尿、血液など)
● 簡単な細菌学的検査(グラム染色など)
10) 肺機能検査
● スパイロメトリー
11) 髄液検査
12) 細胞診・病理組織検査
13) 内視鏡検査
14) 超音波検査・・・・・A
15) 単純X線検査
16) 造影X線検査
17) X線CT検査
18) MRI 検査
19) 核医学検査
20) 神経生理学的検査(脳波・筋電図など)
87
【必修項目】 下線の検査について経験があること
※「経験」とは受け持ち患者の検査として診療に活用すること
Aの検査での検査で自ら実施する部分については、受け持ち症例でなくてもよい
(4)基本的手技
基本的手技の適応を決定し、実施するために、
1) 気道確保を実施できる。
2) 人工呼吸を実施できる。(バッグマスクによる徒手換気を含む。)
3) 心マッサージを実施できる。
4) 圧迫止血法を実施できる。
5) 包帯法を実施できる。
6) 注射法(皮内、皮下、筋肉、点滴、静脈確保、中心静脈確保)を実施できる。
7) 採血法(静脈血、動脈血)を実施できる。
8) 穿刺法(腰椎)を実施できる。
9) 穿刺法(胸腔、腹腔)を実施できる。
10) 導尿法を実施できる。
11) ドレーン・チューブ類の管理ができる。
12) 胃管の挿入と管理ができる。
13) 局所麻酔法を実施できる。
14) 創部消毒とガーゼ亣換を実施できる。
15) 簡単な切開・排膿を実施できる。
16) 皮膚縫合法を実施できる。
17) 軽度の外傷・熱傷の処置を実施できる。
18) 気管挿管を実施できる。
19) 除細動を実施できる。
【必修項目】 下線の手技を自ら行った経験があること
(5)基本的治療法
基本的治療法の適応を決定し、適切に実施するために、
1) 療養指導(安静度、体位、食事、入浴、排泄、環境整備を含む。)ができる。
2) 薬物の作用、副作用、相互作用について理解し、薬物治療(抗菌薬、副腎皮質ステロイド薬、解
熱薬、麻薬、血液製剤を含む。)ができる。
3) 基本的な輸液ができる。
4) 輸血(成分輸血を含む。)による効果と副作用について理解し、輸血が実施できる。
(6)医療記録
チーム医療や法規との関連で重要な医療記録を適切に作成し、管理するために、
1) 診療録(退院時サマリーを含む)を POS(Problem Oriented System)に従って記載し、管理でき
る。
2) 処方箋、指示箋を作成し、管理できる。
3) 診断書、死亡診断書、死体検案書その他の証明書を作成し、管理できる。
4) CPC(臨床病理検討会)レポートを作成し、症例呈示できる。
5) 紹介状と、紹介状への返信を作成でき、それを管理できる。
88
(7)診療計画
保健・医療・福祉の各側面に配慮しつつ、診療計画を作成し、評価するために、
1) 診療計画(診断、治療、患者・家族への説明を含む。)を作成できる。
2) 診療ガイドラインやクリティカルパスを理解し活用できる。
3) 入退院の適応を判断できる(デイサージャリー症例を含む)。
4) QOL(Quality of Life)を考慮にいれた総合的な管理計画(リハビリテーション、社会復帰、在宅医
療、介護を含む。)へ参画する。
【必修項目】 下記の1)~6)を自ら行った経験があること
診療録の作成
処方箋・指示書の作成2)
診断書の作成
死亡診断書の作成
CPC レポート(剖検報告)の作成、症例呈示
紹介状、返信の作成
B 経験すべき症状・病態・疾患
研修の最大の目的は、患者の呈する症状と身体所見、簡単な検査所見に基づいた鑑別診断、初期治療
を的確に行う能力を獲得することにある。
1 頻度の高い症状
【必修項目】 下線の症状を経験し、レポートを提出する。
※「経験」とは、自ら診療し、鑑別診断を行うこと
1)
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全身倦怠感
不眠
食欲不振
体重減尐、体重増加
浮腫
リンパ節腫脹
発疹
黄疸
発熱
頭痛
めまい
失神
けいれん発作
視力障害、視野狭窄
結膜の充血
聴覚障害
鼻出血
嗄声
胸痛
動悸
呼吸困難
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咳・痰
嘔気・嘔吐
胸やけ
嚥下困難
腹痛
便通異常(下痢、便秘)
腰痛
関節痛
歩行障害
四肢のしびれ
血尿
排尿障害(尿失禁・排尿困難)
尿量異常
不安・抑うつ
2 緊急を要する症状・病態
【必修項目】 下線の病態を経験すること。
※「経験」とは、初期治療に参加すること
1) 心肺停止
2) ショック
3) 意識障害
4) 脳血管障害
5) 急性呼吸不全
6) 急性心不全
7) 急性冠症候群
8) 急性腹症
9) 急性消化管出血
10) 急性腎不全
11) 流・早産及び満期産
12) 急性感染症
13) 外傷
14) 急性中毒
15) 誤飲、誤嚥
16) 熱傷
17) 精神科領域の救急
18)
3 経験が求められる疾患・病態
【必修項目】
A疾患については入院患者を受け持ち、診断、検査、治療方針について症例レポートを提出する
B疾患については、外来診療又は受け持ち入院患者(合併症含む)で、自ら経験する
外科症例(手術を含む。)を1例以上受け持ち、診断、検査、術後管理等について症例
レポートを提出すること
※全疾患(88項目)のうち70%以上を経験することが望ましい
90
(1)血液・造血器・リンパ網内系疾患
1) 貧血(鉄欠乏貧血、二次性貧血)・・・・・B
2) 白血病
3) 悪性リンパ腫
4) 出血傾向・紫斑病(播種性血管内凝固症候群:DIC)
(2)神経系疾患
1) 脳・脊髄血管障害(脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血)・・・・・A
2) 認知症疾患
3) 脳・脊髄外傷(頭部外傷、急性硬膜外・硬膜下血腫)
4) 変性疾患(パーキンソン病)
5) 脳炎・髄膜炎
(3)皮膚系疾患
1) 湿疹・皮膚炎群(接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎)・・・・・B
2) 蕁麻疹・・・・・B
3) 薬疹
4) 皮膚感染症・・・・・B
(4)運動器(筋骨格)系疾患
1) 骨折・・・・・B
2) 関節・靱帯の損傷及び障害・・・・・B
3) 骨粗鬆症・・・・・B
4) 脊柱障害(腰椎椎間板ヘルニア)・・・・・B
(5)循環器系疾患
1) 心不全・・・・・A
2) 狭心症、心筋梗塞・・・・・B
3) 心筋症
4) 不整脈(主要な頻脈性、徐脈性不整脈)・・・・・B
5) 弁膜症(僧帽弁膜症、大動脈弁膜症)
6) 動脈疾患(動脈硬化症、大動脈瘤)・・・・・B
7) 静脈・リンパ管疾患(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
8) 高血圧症(本態性、二次性高血圧症)・・・・・A
(6)呼吸器系疾患
1) 呼吸不全・・・・・B
2) 呼吸器感染症(急性上気道炎、気管支炎、肺炎)・・・・・A
3) 閉塞性・拘束性肺疾患(気管支喘息、気管支拡張症)・・・・・B
4) 肺循環障害(肺塞栓・肺梗塞)
5) 異常呼吸(過換気症候群)
6) 胸膜、縦隔、横隔膜疾患(自然気胸、胸膜炎)
7) 肺癌
(7)消化器系疾患
1) 食道・胃・十二指腸疾患(食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)・・・・・A
2) 小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻)・・・・・B
3) 胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎)
4) 肝疾患(ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害、薬物性肝障
害)・・・・・B
5) 膵臓疾患(急性・慢性膵炎)・・・・・B
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6) 横隔膜・腹壁・腹膜(腹膜炎、急性腹症、ヘルニア)・・・・・B
(8)腎・尿路系(体液・電解質バランスを含む。)疾患
1) 腎不全(急性・慢性腎不全、透析)・・・・・A
2) 原発性糸球体疾患(急性・慢性糸球体腎炎症候群、ネフローゼ症候群
3) 全身性疾患による腎障害(糖尿病性腎症)
4) 泌尿器科的腎・尿路疾患(尿路結石、尿路感染症)・・・・・B
(9)妊娠分娩と生殖器疾患
1) 妊娠分娩(正常妊娠、流産、早産、正常分娩、産科出血、乳腺炎、産褥)・・・・B
2) 女性生殖器及びその関連疾患(月経異常(無月経を含む。)、不正性器出血、更年期障害、 外
陰・腟・骨盤内感染症、骨盤内腫瘍、乳腺腫瘍)
3) 男性生殖器疾患(前立腺疾患、勃起障害、精巣腫瘍)・・・・・B
(10)内分泌・栄養・代謝系疾患
1) 視床下部・下垂体疾患(下垂体機能障害)
2) 甲状腺疾患(甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症)
3) 副腎不全
4) 糖代謝異常(糖尿病、糖尿病の合併症、低血糖)・・・・・A
5) 高脂血症・・・・・B
6) 蛋白及び核酸代謝異常(高尿酸血症)
(11)眼・視覚系疾患
1) 屈折異常(近視、遠視、乱視)・・・・・B
2) 角結膜炎・・・・・B
3) 白内障・・・・・B
4) 緑内障・・・・・B
5) 糖尿病、高血圧・動脈硬化による眼底変化
(12)耳鼻・咽喉・口腔系疾患
1) 中耳炎・・・・・B
2) 急性・慢性副鼻腔炎
3) アレルギー性鼻炎・・・・・B
4) 扁桃の急性・慢性炎症性疾患
5) 外耳道・鼻腔・咽頭・喉頭・食道の代表的な異物
(13)精神・神経系疾患
1) 症状精神病
2) 認知症(血管性認知症を含む。)・・・・・A
3) アルコール依存症
4) 気分障害(うつ病、躁うつ病を含む。・・・・・A
5) 統合失調症(精神分裂病)・・・・・A
6) 不安障害(パニック症候群)
7) 身体表現性障害、ストレス関連障害・・・・・B
(14)感染症
1) ウイルス感染症(インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘、ヘルペス、流行性耳下腺炎)・・・・・B
2) 細菌感染症(ブドウ球菌、MRSA、A群レンサ球菌、クラミジア) ・・・・・B
3) 結核・・・・・B
4) 真菌感染症(カンジダ症)
5) 性感染症
6) 寄生虫疾患
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(15)免疫・アレルギー疾患
1)
全身性エリテマトーデスとその合併
症
2) 慢性関節リウマチ・・・・・B
3) アレルギー疾患・・・・・B
(16)物理・化学的因子による疾患
1) 中毒(アルコール、薬物)
2) アナフィラキシー
3) 環境要因による疾患(熱中症、寒冷による障害)
4) 熱傷・・・・・B
(17)小児疾患
1) 小児けいれん性疾患・・・・・B
2) 小児ウイルス感染症(麻疹、流行性耳下腺炎、水痘、突発性発疹、インフルエンザ)・・・・・B
3) 小児細菌感染症
4) 小児喘息・・・・・B
5) 先天性心疾患
(18)加齢と老化
1) 高齢者の栄養摂取障害・・・・・B
2) 老年症候群(誤嚥、転倒、失禁、褥瘡)・・・・・B
C 特定の医療現場の経験
必修項目にある現場の経験とは各現場における到達目標の項目のうち一つ以上経験すること。
(1)救急医療
生命や機能的予後に係わる緊急を要する病態や疾病、外傷に対して適切な対応をするために
1) バイタルサインの把握ができる。
2) 重症度及び緊急度の把握ができる。
3) ショックの診断と治療ができる。
4) 二次救命処置 (ACLS = Advanced Cardiovascular Life Support、呼吸・循環管理を含む。)がで
き、一次救命処置(BLS = Basic Life Support)を指導できる
5) ※ACLS は、バッグ・バルブ・マスク等を使う心肺蘇生法や除細動、気管挿管、薬剤投与等の一
定のガイドラインに基づく救命処置を含み、BLS には、気道確保、心臓マッサージ、人工呼吸等
機器を使用しない処置が含まれる。
6) 頻度の高い救急疾患の初期治療ができる
7) 専門医への適切なコンサルテーションができる。
8) 大災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握できる。
【必修項目】 救急医療の現場を経験すること。
(2)予防医療
予防医療の理念を理解し、地域や臨床の場での実践に参画するために、
1) 食事・運動・休養・飲酒・禁煙指導とストレスマネージメントができる。
2) 性感染症予防、家族計画を指導できる。
3) 地域・産業・学校保健事業に参画できる。
4) 予防接種を実施できる。
【必修項目】 予防医療の現場を経験すること。
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(3)地域医療
地域医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1) 患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療(在宅医療を含む)について理解し、
実践する。
2) 診療所の役割(病診連携への理解を含む。)について理解し、実践する。
3) へき地・離島医療について理解し、実践する。
【必修項目】 へき地・離島診療所、中小病院・診療所等の地域医療の現場を経験すること
(4)周産・小児・成育医療
周産・小児・成育医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
6) 周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療が提供できる。
7) 周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる。
8) 虐待について説明できる。
9) 学校、家庭、職場環境に配慮し、地域との連携に参画できる。
10) 母子健康手帳を理解し活用できる。
【必修項目】 周産・小児・成育医療の現場を経験すること。
(5)精神保健・医療
精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1) 精神症状の捉え方の基本を身につける。
2) 精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
3) デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。
【必修項目】 精神保健福祉センター、精神科病院等の精神保健・医療の現場を
経験すること
(6)緩和・終末期医療
緩和・終末期医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
1) 心理社会的側面への配慮ができる
2) 基本的な緩和ケア(WHO方式がん疼痛治療法を含む。)ができる。
3) 告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
4) 死生観・宗教観などへの配慮ができる。
【必修項目】 臨終の立ち会いを経験すること。
(7)地域保健
地域保健を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、 保健所、介護老人保健施
設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等の地域保険の現場において、
1) 保健所の役割(地域保健・健康増進への理解を含む。)について理解し、実践する。
2) 社会福祉施設等の役割について理解し、実践する。
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