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2012 年 10 月号
編集:フランス語 TA
(東志保、古賀健太郎)
Le voyage
Le film du mois
フランスの地方都市に行きませんか? (1)ボルドー Bordeaux
パリ、恋人たちの2日間(2007)
はじめまして、今学期から新しくTAを担当します、古賀健太郎(09)といいます。今回か
TAの東志保です。DVDで見られる
ら何回かにわたって、知られざる(?)フランスの地方都市の魅力について皆さんに紹介し
現代フランス映画の中からおすすめ
ていきたいと思っています。第1回はフランス南西部の都市ボルドーです。
の一作を毎月ピックアップします。
今月紹介するのが、パリを舞台とし
たラブコメディの『パリ、恋人たちの
2日間』。題名から、かなり甘い物語
を期待されるのではと思うのですが、
全く違います。ストーリーは、フラン
Miroir d’Eau に映り込ん
ス人女性とアメリカ人男性の恋愛関
だ Place de la Bourse の
係の危機というもので、シビアな主
建物。季節と時間帯によ
題がドタバタ喜劇として扱われてい
っては水面からミストも。
ます。監督・主演ともジュリー・デルピーで、役者および脚本家をつとめた2004年の『ビフ
ォア・サンセット』をパロディ化しているのは明らか。本来、映画のスクリーンが、夢や幻想
ボルドーはパリからTGVで約4時間(飛行機だと約1時間)、ボルドーワインが世界的に
を投影するものだとすれば、『ビフォア・サンセット』が、正統派のロマンチックなパリのイメ
有名な街です。ガロンヌ川の下流域に位置し、古くから貿易で栄えました。ユネスコの世界
ージを映し出しているのに対して、本作はそうしたイメージを攪乱する爆発力で満ちていま
遺産にも認定されています。見どころは、サンタンドレ大聖堂やサンミシェル寺院の塔など
す。主人公が群衆の中に「幸せなカップル」を幻影のように見いだす、物語の終盤のシー
の歴史的建造物などで、半日あればだいたい回れます。特に、川沿いのミロワール・ド
クエンスは印象的。夢と現実の落差というテーマが見事に表現されています。ちなみに無
(Miroir d’Eau)はおすすめ。その名の通り水の鏡になっていて、石造りの重厚な建物が映
秩序で奇人変人ばかり、というパリの描かれ方は誇張された部分もあるけど、かなり当た
り込む光景は見事です。
っている印象。デルピーの実の両親が、アナーキーな父親・母親役で出演しているのも面
そして、何といってもワイン!市内にはワインバーやワイン屋さんが点在していて、ワイ
白い。早口で罵詈雑言ばかりだけど、フランス語も割と聞きやすいのでは?と思います。
ンがところせましと並んでいます。これは個人的な経験則ですが、ボルドーでは1本6ユー
ロ以上するワインであれば外れにあたることはまずありません!日本だと考えられない安
ボルドーをはじめ、南西部は食の宝庫でもあります。フォアグラをはじめとするカモ肉料
さと質の高さにただただ驚きます。そして、ちょっと郊外に出るとそこはもうワイン畑。メドッ
理、アルカションの牡蠣、バイヨンヌの生ハムなど、赤白問わずワインに合う食べ物が沢山
クや、世界遺産として有名なサンテミリオンなど、主要なワイン産地へは遠足感覚で行け
あります。パリからはちょっと離れてますが、美味しい食べ物とワインを堪能したい人にとっ
ます。シャトー見学ツアーの申し込みはボルドーの観光案内所(Office de tourisme)で。
ては足を運ぶ価値大の街です!(次回はアルザス地方のあの街です、お楽しみに!)
Lettre de Bordeaux
みなさん、はじめまして。04 の杉山香織と申します。ICU でフランス語を勉強したのはも
約 1 年のパリ滞在の後、これらの学問をもっと深めようと思い大学院進学を決意しまし
う 10 年以上前になりますが、このエッセイを通して ICU でフランス語を専攻する意味や利
た。修士課程から東京外国語大学で学んでいます。今では、フランス語学習者のスピーキ
点、その後の進路について、自分の経験から一例としてみなさんに提示できればと思いま
ングに興味を残しつつ、対象を音声から語彙に変えて研究を行っています。現在、フランス
す。
のボルドー第三大学で日本語教師を行いつつ、東京外国語大学の博士論文とボルドー第
今回は初回のため、自己紹介がてら、なぜ今フランスで博士課程をすることになってい
るのかのいきさつなどを簡単に説明したいと思います。
三大学の博士論文の 2 つを目下準備中です。
大学院のお話、および第二回、第三回の留学のお話については、また次回!
まず、ICU でフランス語を専攻したのは、むしろ消極的な理由からでした。高校時代から
英語が好きで、英語の言語自体に興味のあった私は、当時の語学科に入学しました。しか
し、さすが ICU。周りは帰国子女がたくさんいる上、自分よりも英語が得意な人たちに気後
れしていました。そこで、2 年時にフランス語を選択し、英語だけではなくフランス語の力も
つけて、周りに太刀打ちできるようになろうと考えるようになりました。他の大学と異なり、
途中から興味の対象が変わっても大学の制度に左右されないのは、ICU の教育システム
のなによりの強みだと思います。
Lettre de Paris
Bonjour! 07 の近藤野里です。春学期は皆さんの TA をやっていたので、ご存じの方もいら
っしゃるかと思います。ところで 10 月からパリ第 8 大学に留学します。大学院を選ぶ際、指
導教官が最も重要なので地方都市も考慮に入れていましたが、日本での指導教官がパリ
の教授を紹介してくれたので、留学先がパリにな
りました。一筋縄ではいかないフランス、留学準
英語とフランス語の力をさらに磨こ
備はなかなか大変です。願書を出して直ぐに、入
うと思い、IES プログラムという ICU の
学許可のお知らせがメールで来たまでは良かっ
海外留学プログラムを使って、パリに
た。入学許可証もすぐに郵送されてくると思いき
留学しました。このプログラム参加者
やフランスの大学が 1 カ月の夏休みに突入してし
のほとんどがアメリカ人であることと、
まい(こうなったらもう大学の事務にメールしても
フランス人の家庭にホームステイがで
梨のつぶて)、夏休み終了をジリジリと待つ羽目
きるということで、英語とフランス語を
に。バカンス恐るべしですね。学生ビザ申請のた
同時に使うことができたからです。フラ
めに、数年前には必要なかった「フランスでの住
ンス語学のみに限定しようと考えたき
っかけは、『調音音声学』の授業との
アルカッションの牡蠣!これからがシーズンです
出会いでした。これは、理論的にどの
(ボルドーから列車で約 30 分)
ように発音するのかを学ぶ授業です。たとえば、どのように口や舌を使えば、フランス語の
音が出せるのかを学びます。いくら現地でフランス語に触れていても、フランス人のような
発音には遠く及ばなかった私にとって、この授業はまさに目から鱗でした。この時から、『フ
ランス語音声学』と『フランス語教育』に興味を持つようになりました。
所」が今回は必要なので、アパート探しも日本か
らすることに。このご時世インターネットでアパー
看板に注目・・・(パリ)
トも探せて、私の場合は運よく1週間ほどで契約できそうな物件が見つかりましたが、実際
に見に行ったアパートではないので不安です。出発1週間前まだビザがおりていませんが、
無事出発できることを祈りつつ、出発最後の準備を終わらせようと思います。
Dans la salle de prof…
毎月、フランス語の先生に直撃取材します!今回は、西川葉澄先生にインタビュー!
Q1.フランス語を始めたきっかけは何ですか?
高校で文法の授業がつまらなすぎて英語が嫌いになったんですが、フランス語は国
籍も年齢も不詳の先生がジャンヌ・モローのようにかっこよく、ついていこうと決めました。
Q2.フランス語圏(フランス、ベルギー、スイス、ケベック etc.)の中でおすすめの場所
は?
パリもいいですが、モンレアル(Montréal)のゆるさは、一回好きになるとハマります!
Q3.好きな食べ物は何ですか?
好きな食べ物は、子羊と鴨です。
フォワグラも好きです。ポテトチップ
スも frites も好きです。
Q4.好きなフランス語の表現を教え
てください
Ça n’a rien à voir (それは何の
関係もない、それはまったく別問題
だ)です。捨てゼリフっぽいかんじが
鴨のハツ(心臓)フリット添え [撮影:古賀@ボルドー]
なんだか好きです(笑)
Q5.最後にフランス語を勉強する皆さんへのメッセージをお願いします。
何でもそうだと思いますが、毎日コツコツ少しづつでも続けるのが上達への近道です。
とはいえ楽しいと思うことをするのがいいようです。時々できなくて悔しい思いをするのも
効きます。
西川先生、インタビューへのご協力ありがとうございました!
次号もお楽しみに!