図書館だより第70号別冊 3 年生までに 読んでおきたい 推薦図書 〈改訂版〉 都城工業高等専門学校 漕ぎ出でよ!読書の大海へ 図書館長 望 月 髙 明 「3年生までに読んでおきたい推薦図書」と銘打ったこの冊子は、他ならぬ都城高専の学生のために作成され たものです。本校の学生のことを最もよく知っている教員が、諸君を対象にして執筆したものです。諸君に本校 在学中に様々なジャンルの書物に触れて、将来の技術者として、更には人間として豊かな人生を歩んでもらいた いという願いを込めて執筆されました。この冊子の特徴の1つは、ここにあります。言わばこの冊子は、人生の 先輩であるところの本校の教員が、本校の学生たちに贈る読書の「羅針盤」なのです。 従前のように、情報の多くを書籍から入手していた頃とは異なって、現在では情報通信技術の飛躍的な発達に 伴って、コンピュータやインターネットが普及を見た結果、情報入手の手段は非常に多様化しています。しかし、 どんなに科学技術が発達しても、人(ここでは勝義には学生を指す)が良質な書物に触れて感動するというこの 単純な体験が、 何ものにも替え難い尊い価値を有していることは否定できません。また、その単純な事実を「情報」 という言葉によって覆うことはできません。その事実を「情報」という言葉によって定義しようとすると、必ず その器からは溢れ出す何ものかがあります。人が良質な書物に触れて感動するということは、それほどまでに固 有の出来事だといわねばなりません。 かいけい 明代の思想家王陽明は、会稽(浙江省)の明媚な風光を取り来たって、「昔から山水の勝地をもって聞こえ、 深林長谷、踏み入るところすべて名勝であり、寒暑晴雨の別なく、いかなる時も快適でない時はなく……」(『伝 ひそ ひもと 習録』中)と形容しています。些か陽明の顰みに倣っていえば、諸君がこの冊子を繙く労を惜しみさえしなけれ ば、諸君の踏み入るところの各処に目を見張るに足る新たな発見があるものと確信しています。もっとも、それ ほど多くを望まずとも、その中から諸君が1冊でも精魂を傾けて読むに値する書物を見出したならば、それはそ れで非常に意味のあることです。ひいては、そのことを通して、その書を推薦してくれた教員のことを今まで以 上に深く理解することにつながります。そして、この冊子を踏み台にして、諸君が自ら主体的に読書に精励する ような日常を送るならば、この冊子の使命は果たされたことになります。 なお、 「推薦図書」は能う限り各2冊を購入し、専用のコーナーを設置して、諸君の閲覧の便に供します。 さあ、皆さん、この「羅針盤」を携えて、読書という大海へ雄雄しく漕ぎ出でようではありませんか。 総 記 1. いちばんやさしいデータベースの本 五十嵐貴之著(技術評論社) 情報社会のただ中にいる私たちは、研究データ/電 話帳/図書館/成績管理など、データベースを利用せ ずに過ごせる日など一日もありません。英語の基本的 な知識同様、データベースの基礎知識もこれからの現 代社会を生きるための必要なスキルです。電気情報工 学科だけでなく、全ての学科の学生に読んでもらえれ ばと思います。 (推薦:一般科目(文) 吉井千周) 2. C言語によるはじめての アルゴリズム入門 河西朝雄著(技術評論社) プログラミング言語は、目的を達成するための道具 で、文法を覚えただけでもだめである。問題はどの ように実現するかである。本書はいろいろなアルゴ リズムが書かれており、入門書としては良いと思われ る。読むというよりは眺めるだけでいいと思う。興味 がわけば、かなりレベルが上がるが『NUMERICAL RECIPES in C』(技術評論社)を勧める。バイブル的 存在である。 (推薦:電気情報工学科 小森雅和) 3. プログラム書法 Brian W. Kernighan, P.J. Plauger 著;木村泉訳 (共立出版) 古い本ですがプログラミングのためのマナーやソー スコードを側面から深く考えるためのとても大切な技 術者倫理(?)が書かれています。プログラムを書く 前に読んで欲しい書籍です。プログラミング言語Cの 開発者が書いた本という意味でも面白いです。 (推薦:電気情報工学科 樋渡幸次) ―― 哲 学 4. 生きがいについて(神谷美恵子著作集) 神谷美恵子著(みすず書房) 著者は精神医学者。自ら「らい園こそ人間の生きが いについて示唆するところが多い環境である」と語っ ているように、本書は著者が精神科医として勤務する 長島愛生園において、ハンセン病患者と交わる中で、 思索されたもの。平易な言葉によって、人間の根源に ある問題が追及されている。 (推薦:一般科目(文) 望月髙明) 5. 老子;荘子(世界の名著;4) 小川環樹責任編集(中央公論社) カオス=究極のリラックスという冥利について書い てあるらしい。とりあえず読んでみては?どのみち分 からないが、時おり考えてみると、ふーんって思うこ とも。つまり、3年生までには読み終わらない。おも しろいものには一生かけなきゃ。訳本でどうぞ。でき れば書き下し文にチャレンジ。 (推薦:一般科目(文) 松﨑賜) 6. 夜と霧(フランクル著作集;1) ヴィクトール・E. フランクル著;霜山徳爾訳(みすず書房) 本書の原題は「強制収容所における一心理学者の体 験」 。著者は精神医学者。人間が生きる上で「希望」 を持つことが大切なことくらい、今日では小学生でも 知っている。しかし、本書は「希望」を持つというこ との極限的な意味、その深淵的な含蓄を、読者に開示 している。翻って希望のない現実がいかに悲惨である かが理解できるはず。 (推薦:一般科目(文) 望月髙明) 7. 知的複眼思考法 (講談社 + アルファ文庫) 外山滋比古著(講談社) 私が学生時代、次から次へと新しい勉強が始まるこ とに対して、どのようにすれば良いか、結局何が良い のかが判らず手探りの状態でした。最近読んだこの本 のおかげで、自ら自信の持って勉強法を作り込んでい くことを楽しんで、且つ正解ばかり追いかけていくの ではなく、多面的に本質を「考える事」の重要性を知っ た。 (推薦:機械工学科 高橋明宏) 究テーマの着想や論文執筆にもヒントを与えてくれ る。 (推薦:機械工学科 白岩寛之) 9. 日本のこころの教育 10. 生きる(加藤諦三文庫) (ちくま文庫;と-1-1) 外山滋比古著(筑摩書房) 「思考の整理とは、いかにうまく忘れるか、である。」 本書は 1986 年の刊行であるが、コンピューターが飛 躍的に発達、普及した現代にこそ読んでおきたい一冊 である。コンピューターにはできない創造的思考の方 法論などが身近な例を挙げながら述べられている。研 加藤諦三著(大和書房) 学生時代で、心が萎えた時に読んだ本の一冊と思 う。加藤諦三さんの生き方(強い精神力)に憧れたが、 憧れただけに終わっている。 (推薦:建築学科 板倉和則) 11. 若者の哲学 (加藤諦三・人間哲学シリーズ;2) 加藤諦三著(読売新聞社) 高校生や大学生の頃に読んだ加藤諦三氏の著書で す。久しぶりに『若者の哲学』を開いて、「現代人の 個性」の項を読み返しましたが、古い本で所蔵無しで すが、感性は在校生の皆さんにも通ずるところがある と思います。氏の著書は数冊あるようです。専門書を 読むのは勿論ですが、平易な哲学の入門書として一読 を勧めます。 (推薦:機械工学科 山中昇) 12. この世でいちばん大事な 「カネ」の話(よりみちパン!セ) 西原理恵子著(ユーメイド) 私たちが生活するこの社会では、どんな人でも「カ ネ」と接点を持たなくてはなりません。どんなきれい 事を言ってもカネから離れて生きることはできません し、だからといって不正に手を染めてしまってもいけ ません。私たちは、「カネ」とどう接して生きていく のか、ぜひ一度考えてみて下さい。 (推薦:一般科目(文) 吉井千周) 13. 考えない練習 8. 思考の整理学 境野勝悟著(致知出版社) 「熱弁二時間。全校高校生七百人が声ひとつ立てず 聞き入った!」と表紙に書かれてあり、興味を引かれ た一冊です。岩手県花巻市私立花巻高校で行われた講 演録で、国際化が著しい今日において、「日本人とは、 なんですか。」の問いに対して、一つの答えを示して くれる本だと思います。 (推薦:電気情報工学科 田中寿) 小池龍之介著(小学館) 私たちは四六時中、考えごとをしています。著者 は、考えるせいで、人の集中力が低下したり、イライ ラしたり、迷ったりしている、いわば、私たちは「思 考病」になっているのでは、と言っています。本書は 五感を研ぎ澄まして実感を強めることより、思考とい うヴァーチャルなものを乗り越える手だてを紹介して います。悩みごとの多い人、おすすめです。 (推薦:物質工学科 山下敏明) ―― 歴 史 14. 日本人はなぜ日本のことを 知らないのか(PHP 新書;755) 15. 伴走者 木村幸治著(JICC 出版局) 元マラソンランナー瀬古利彦さん(現在はテレビで マラソン解説をしています)のコーチ中村清の生涯を 記したノンフィクションです。昔のペースメーカーの ないマラソンで特に勝負強かった瀬古選手とその指導 者中村清に憧れたものでした。 (推薦:一般科目(理) 武田誠司) 16. ワイルド・スワン (講談社文庫;ち- 4 - 1) ユン・チアン著;土屋京子訳(講談社) 日本の満州国支配から終戦を経て中華人民共和国の 成立から文化大革命の終焉までの、著者の祖母、母、 著者自身の三代にわたる物語。特に文化大革命(1966 - 1977)の実態については、その無茶苦茶さと規模 の大きさに驚いた。こんなことが起こりえるとは。 (推薦:一般科目(理) 若生潤一) 17. 知の巨人ドラッカー自伝 (日経ビジネス人文庫 ;503) ピーター・F・ドラッカー著;牧野洋訳・解説 (日本経済新聞出版社) 「マネジメント」の概念を確立したドラッカーの自 伝です。日本経済新聞の「私の履歴書」の連載をもと に出版されました。ドラッカーの自伝は、おそらくこ の本だけです。読んでみると、ドラッカーが 20 世紀 の生き字引(現在は故人です)と言える人生を歩んだ ことがわかります。 (推薦:一般科目(理) 武田誠司) 18.「ご冗談でしょう、ファインマンさん」 社会科学 竹田恒泰著(PHP 研究所) 世界中の国民が知っている自分の国の成り立ちを、 日本人の多くは答えられない。「世界最古の国」の奇 跡を、ベストセラー『日本はなぜ世界でいちばん人気 があるのか』 (PHP 新書)の著者が、強い信念をもっ て語っています。本書は、第Ⅰ部と第Ⅱ部で構成され ています。第Ⅰ部は、日本の国の成り立ちを、第Ⅱ部 では、日本人として持つべき本来の歴史観について書 かれています。 (推薦:機械工学科 豊廣利信) はできない。この本はノーベル賞物理学者リーチャー ド・P・ファインマンによる自伝である。彼の科学へ の強い好奇心と超人振りが垣間見られる。 (推薦:一般科目(理) 若生潤一) リチャード・P. ファインマン著;大貫昌子訳 (岩波書店) 野球のイチロー、サッカーのメッシのようなスー パースター達が学問の世界にもいるが、彼らのスー パープレーはなかなかスポーツのように目にすること 19. 世界がもし 100 人の村だったら (マガジンハウス文庫) 池田香代子 , マガジンハウス編著(マガジンハウス) この世界での人口比を%ではなくタイトルのように 表して、読者が体感しやすい形で格差や多様性を紹介 している。2008 年までの同名のシリーズ著作4冊を 元に1冊にまとめられている。まずは、パラパラめく りだけでも。なお、ないことが直ちに不幸ではないこ とには注意。『日本がもし 100 人の村だったら』もよ かったら。 (推薦:一般科目(理) 中村博文) 20. 医者、用水路を拓く 中村哲著(石風社) アフガンでの医療活動に始まり、ペシャワールの会 を設立し、武力よりも水とパンの重要性を世界に発信 し続ける中村哲医師。干ばつで苦しむアフガンを昔の 緑豊かな大地に変えるためにど素人が用水路をつくる ノンフィクション。人にとって何が大切なのかを教示 してくれる至極の一冊である。 (推薦:一般科目(理) 森茂龍一) 21. 1分で大切なことを伝える技術 (PHP 新書;573) 齋藤孝著(PHP 研究所) 日頃、「言葉で思いを簡潔に伝える」ことの難しさ を感じたことはありますか?発表やプレゼンテーショ ンなどの機会がない限り、あまり考えることはないか もしれません。近い将来必要になってくる「大切なこ とを伝える」能力は才能ではなく、練習で十分に身に 付きます。早目にトレーニングしてみては? (推薦:一般科目(理) 永松幸一) 22. 生き残る判断生き残れない行動 アマンダ・リプリー著;岡真知子訳(光文社) 生命に危機が迫ったとき人はどのような行動をとる のか。本書は大災害やテロの生存者たちの判断と行動 を、生存者たちの証言、災害や事故の専門家ヘのイン タヴュー、火災や航空機事故のシミュレーションに基 づいて明らかにしたものである。安全や防災について 再認識させられる一冊。 (推薦:建築学科 山本剛) 23.「大人」になる方法 小林道雄(講談社) 小林道雄氏は警察や司法の鋭いルポルタージュで知 ―― られている。この本は、それとは異なり、「若い連中」 の分析を行なっている。それが面白く、思い当たるこ とが多い。しかもルポの対象となっている階層や制度 だけを問題にするのではなく、そういう問題をはらむ 階層や制度を再生産する日本社会への批判と問題提起 が主眼になっているところに深みがある。面白いので 機会がありましたら、読んでみてください。 (推薦:機械工学科 永野茂憲) 自然科学 28. 世界でもっとも美しい 10 の科学実験 ロバート・P. クリース著;青木薫訳(日経 BP 社) 原始人と皆さんたち現代人との間にある(はずの)、 科学の発展過程のマイルストーンと言える事柄から、 10 テーマ紹介されている。著者が美しいと感じる理 24. 数学の学び方・教え方 由や雑学も載せている。『もうひとつの「世界で…」』、 (岩波新書;青- 822) 『世界でもっとも美しい 10 の物理方程式』、『世界で もっとも美しい 10 の数学パズル』もよかったら。 遠山啓著(岩波書店) (推薦:一般科目(理) 中村博文) 「2+3」はどこの国でもどんなに時代が変わって も「5」であることは間違いありませんが、その教え 29. 理科年表 方は一通りではなく、様々な方法があります。 東京天文台編纂(丸善) この本は算数・数学をどんな風に考えれば子供達に とって楽しく、わかりやすく、発展性があるかを示し この理科年表は、天文、気象のみならず、物理、化 てくれています。 学、地学、生物のいろんなデータが書かれており、付 (推薦:一般科目(理) 黒木藤夫) 属には数学の公式が書かれている。毎年発行はされて いるが、一刷もっておれば参考書として十分に使うこ 25. ノーベル賞の百年 とができる。値段は 24 年度版が 1470 円とそれほど高 くない。ぜひ一度はじっくりと見てもらいたい。 ウルフ・ラーショーン編 (推薦:一般科目(理) 森寛) 津金-レイニウス・豊子 , 佐藤文隆訳 (ユニバーサル・アカデミー・プレス) ノーベル賞は、アルフレッド・ノーベルの遺言で始 まった制度である。この本では、ノーベルの功績およ び歴代のノーベル賞受賞者の成果をそれぞれに縁のあ る物品の写真などを交えながら紹介している。 現代社会の基盤となった偉大な成果や技術・思想の 象徴であるノーベル賞をこの本 1 冊で十分に味わうこ とができる。 (推薦:物質工学科 高橋利幸) 26. 大学で何を学ぶか (ベスト新書;230) 加藤諦三著(ベストセラーズ) 高校生や大学生の頃に読んだ加藤諦三氏の著書で す。氏の著書は数冊あるようです。専門書を読むのは 勿論ですが、平易な哲学の入門書として一読を勧めま す。 (推薦:機械工学科 山中昇) 27. 東西/南北考 (岩波新書;新赤版 700) 赤坂憲雄著(岩波書店) 日本は「ひとつの日本」なのでしょうか。九州と東 北は同じでしょうか。それぞれの地域文化の類似だけ でなく差異も見ていくと「いくつもの日本」が見えて きます。それを特に文化の面からとらえた本です。同 じ現象を見ていても様々な解釈が可能であることを教 えてくれます。 (推薦:一般科目(文) 田村理恵) 30. サイエンスをとおして生と死を考える 吉成武久著(大学教育出版) 宇宙誕生から現在までの 137 億年を物理学をベース に科学史としてコンパクトにまとめてある。人と宗教 と科学の成り立ち、そして科学の進歩と現代科学への 道のり、最後は生と死についてわかりやすく解説して ある。今この時代に生を受けたものとしての使命感を 改めて認識させてくれる本である。 (推薦:一般科目(理) 森茂龍一) 31. 理科系の作文技術 (中公新書;624) 木下是雄著(中央公論新社) 理工系必読の書といっても過言ではないでしょう。 理工系に必要な報告書、論文等の書き方が丁寧にしっ かりと書かれています。普段、自分たちが授業で提出 しているレポートがどれだけ「おそまつ」なものか思 い知らされます。技術者、研究者を目指す高専生に とって、この本は一生涯役に立つことを約束します。 (推薦:一般科目(理) 鬼塚政一) 32. 論理と集合から始める数学の基礎 嘉田勝著(日本評論社) 数学が苦手な学生が共通して抱える問題は、本人の みに原因があるわけではなく論理的な思考を適切な時 期に訓練しない日本の教育制度に問題がある、という 考えのもと執筆された著者の情熱が凝縮した「数学入 門書」です。 (推薦:一般科目(理) 友安一夫) ―― 33. へんな数式美術館 (知りたいサイエンス;036) 竹内薫著(技術評論社) 一見して難しそうな数式もその意味を理解すると 「なんだそういうことか」という気持ちになったこと は、誰でも一度は経験したことでしょう。簡単な数式 の中に深い意味のあること、難しそうな数式が実は簡 単な内容であることが、この本から解ります。高学年 の学習では、暗記は通用せず、内容を理解する勉強が 大切です。 (推薦:機械工学科 小藪國夫) 34. 数学の考え方(講談社現代新書;15) 矢野健太郎著(講談社) 数学の教科書の説明は、完成した理論を演繹的に解 説する形でなされるが、その背後にある数学の歴史的 発展に関わった人物達の足跡を辿ることも数学の興味 を高める有意義な方法である。その観点で書かれた本 も多く発刊されている。本書もその一つ。50 年近く 前の本であるが、平易な文章で書かれており一読をお 勧めしたい。 (推薦:一般科目(理) 小塚和人) 35. 数学ガール 結城浩著(ソフトバンククリエイティブ) 「もしドラ」の数学バージョン?小学生にもわかる ものから、大学生にも難解な数学問題を高校生の主人 公たちが解き進めていく物語の展開になっている。数 学が大好きな高専生には最適な良書である。日常の単 なる試験のための数学の勉強から離れ、高所から数学 の問題を探求し、解決していく醍醐味を実感できる本 である。 (推薦:建築学科 原田志津男) 36. なるほど虚数 37. イプシロン・デルタ論法完全攻略 原惟行 , 松永秀章著(共立出版) 高専では学ばない数学の中にイプシロン・デルタ 論法があります。イプシロン・デルタ論法は皆さんが 知っている極限を表わす記号 lim(リミット)を論理 記号を用いてより厳密に表わす記法です。本書は論 理記号の使い方から、懇切丁寧に書かれており、数学 の緻密さや美しさを教えてくれる一冊になると思いま す。 (推薦:一般科目(理) 鬼塚政一) 佐藤雅彦 + ユーフラテス編(小学館) 中学、高校、高専で学ぶ曲線の多くは日常生活の 様々な所にひそんでいる。放物線、円、楕円、双曲 線、正弦(sin)曲線、正接(tan)曲線、サイクロイ ド、クロソイド等、これらの曲線が意外な所にひそん でいることを興味深く映像化し、紹介している。2011 年度日本数学会賞出版賞を受賞した良書。 (推薦:一般科目(理) 小塚和人) 39. ケンブリッジの卵 下村裕著(慶應義塾大学出版会) ゆで卵を回転させると立ち上がる現象は多くの人が 知っているが、その理由は、ほとんどの人が知らない であろう。この本では、著者がこの問題に興味を覚え て理論や実験を発展させ、最後には学術雑誌に論文を 発表するに至った泥臭い経緯が生き生きと書かれてい る。未知の現象に対する取り組み方のヒントになるで あろう。 (推薦:電気情報工学科 御園勝秀) 40. 流れのふしぎ (ブルーバックス;B - 1452) 石綿良三 , 根本光正著;日本機械学会編(講談社) 流体工学の理解の第一歩は、身の回りの流れを観察 し、その不思議さや美しさに興味を持つことから始ま る。本書では、まず流体に親しむという狙いから数式 を使わず、簡単な流れを使った遊びによって現象を理 解する。一般向けの易しい記述で読者の興味を引く構 成ではあるが、その本質は 4,5 年で学ぶ流体工学そ のものである。 (推薦:機械工学科 高橋勇二) 41. なっとくする電磁気学 村上雅人著(海鳴社) 電気磁気学、量子力学を勉強する時に、必ず複素数 が出てきます。 「虚数」は実在しない数であるけれど も、数式に用いることで、特に電気や物性などの目に 見えない現象を説明できる不思議な数です。「虚数」 の持つ意味が分かりやすく解説された一冊です。 (推薦:電気情報工学科 田中寿) 38. 日常にひそむ数理曲線 後藤尚久著(講談社) 電気工学を構成する科目の中で最も魅力あるものが 電磁気学でしょう。その魅力は、現象の複雑さとそ れを扱う公理の明瞭さにあります。ここで紹介する 本は数式をほとんど使わずに電磁気現象を解説してい ます。本当の電磁気学の面白さはこの内容を少し超え たところにありますが、先ずはこの本から楽しさを味 わってみませんか。 (推薦:電気情報工学科 野地英樹) 42. 高校数学でわかるマクスウェル方程式 (ブルーバックス;B - 1383) 竹内淳著(講談社) 大学時代に電磁気学を挫折した教員ですが、この本 はすんなり読むことが出来ました。高専の 3 年生まで にならう物理で十分理解することができ、電磁気学の 歴史にも触れることができます。難しい微分積分を解 くことなく簡単に説明していることから、専門書に入 る前の入門書としてお薦めします。 (推薦:物質工学科 藤森崇夫) ―― 43. 宇宙は何でできているのか 48. 分子生物学 (幻冬舎新書;187, む- 2 - 1) 村山斉著(幻冬舎) 2011 年は、東日本大震災と原発事故によって科学 技術のあり方に大きな課題を残した年でした。それと 共に、光速を超える素粒子の観測や、ヒッグス粒子に ついての発表等があり、科学の進展に胸躍らせる一年 でもありました。この本は、このような素粒子と宇宙 の現象とのかかわりをやさしく解説してあり、お勧め の一冊です。 (推薦:電気情報工学科 野地英樹) 44. 超分子の科学(S books) 上野昭彦著(産業図書) クラウンエーテルの登場に端を発した超分子化学の 研究は、多くの芸術的な分子制御システムの報告をも たらした。本書は、分子スケールの世界で思い通りの 機能を発揮する分子を設計する魅力を網羅的に紹介し てくれる書籍である。 (推薦:物質工学科 岡部勇二) 45. 元素図鑑 セオドア・グレイ著;武井摩利訳(創元社) 我々が日常生活で見かける化合物や応用製品の代表 例が美しい写真で紹介されており、科学的な知見に基 づいた解説文はユーモアにあふれ、その元素の発見、 性質、用途などについて意外なエピソードを教えてく れます。物質工学科の低学年時に必ず目を通して欲し い 1 冊です。 (推薦:物質工学科 清山史朗) 46. フロンティア軌道法入門 I.フレミング著;竹内敬人 , 友田修司訳(講談社) フロンティア軌道法とは福井謙一により提案された 有機化学反応の反応性を解釈するための理論です。最 高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)の相 互作用を考えることで、反応機構の解釈や生成物の予 測などに対して妥当な根拠を与えてくれます。有機化 学の機構論に興味のある方に特にお薦めします。 (推薦:物質工学科 岡部勇二) 47. 地球温暖化を考える (岩波新書;新赤版 403) 宇沢弘文著(岩波書店) いま地球温暖化が大きな問題となっている。その地 球温暖化を、著者は二十世紀文明の生み出した病理的 現象ととらえ、その原因と影響を見究め、どうすれば きれいな地球を残すことが可能か、現代人の生き方と その対応策を示している。 (推薦:機械工学科 河野行雄) (ブルーバックス;B - 1674.カラー図解アメリカ版) D.サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳(講談社) この書籍は、MIT(マサチューセッツ工科大学) を含むアメリカの大学で採用されている生物学の教科 書の日本語翻訳版である。アメリカの生物学研究は世 界トップレベルである。高い研究環境で学ぶアメリカ の学生達がどのような内容に触れているのか知ること ができる。 (推薦:物質工学科 高橋利幸) 49. 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書;1891) 福岡伸一著(講談社) 「生物の定義は何か?」ということについて科学的 視点から考察されている。また、歴史的な研究・発見 にまつわる裏話等も紹介されている。通常、このよう な本は専門書に分類されるが、内容がわかりやすく書 かれており、専門以外についても織り交ぜながら書か れてあるため比較的読みやすい本となっている。 (推薦:物質工学科 野口太郎) 50. 細胞生物学 (ブルーバックス;B - 1672. カラー図解アメリカ版) D.サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳(講談社) この書籍は、MIT(マサチューセッツ工科大学) を含むアメリカの大学で採用されている生物学の教科 書の日本語翻訳版である。アメリカの生物学研究は世 界トップレベルである。高い研究環境で学ぶアメリカ の学生達がどのような内容に触れているのか知ること ができる。 (推薦:物質工学科 高橋利幸) 51. 分子遺伝学 (ブルーバックス;B - 1673. カラー図解アメリカ版) D.サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳(講談社) この書籍は、MIT(マサチューセッツ工科大学) を含むアメリカの大学で採用されている生物学の教科 書の日本語翻訳版である。アメリカの生物学研究は世 界トップレベルである。高い研究環境で学ぶアメリカ の学生達がどのような内容に触れているのか知ること ができる。 (推薦:物質工学科 高橋利幸) 技 術 52. 例題で学ぶ工業熱力学 牧野州秀 , 芹澤昭示共著(森北出版) 熱力学に関する専門書は数多く出版されているが、 内容の理解のために図表が有効に活用されている書籍 は少ないように思われる。本書は、端的でわかりやす い図表が数多く掲載されており、熱力学の種々の法則 ―― や現象、各種サイクルを視覚的に理解できるよう工夫 されている。熱力学の授業の予習、復習にも役立つ一 冊である。 (推薦:機械工学科 白岩寛之) (文春新書;374) 上山明博著(文藝春秋) この本は、日本の技術開発史の中で画期的ないくつ かの発明とその発明にいたるエピソードを描いたもの で、たいへん興味深く読んでもらえると思います。開 発者が何に苦心し、どう発想に至ったかという内容 は、特に技術者・研究者を目指す高専生にとって大い に参考になるでしょう。 (推薦:物質工学科 濱田英介) 54. 考える力、やり抜く力私の方法 中村修二著(三笠書房) 20 世紀中には絶対無理と言われた高輝度青色発光 ダイオードの開発に関する本。「不可能」の壁を突破 するノウハウが極端な表現で分かり易く書かれてい る。 (推薦:物質工学科 野口大輔) 宮野晃著(森北出版) この本は、電気・電子工学分野の人が、英語論文を 読んだり書いたりする際に、使用頻度の高い動詞を取 り上げています。1つの動詞に対して、例文を多数取 り上げ分かりやすく解説しているので、英語で発表し たり、インターネットの英語を読んだりする際にも役 立つ本となっています。 (推薦:電気情報工学科 永野孝) 56. 企業のためのやさしくわかる 「生物多様性」 枝廣淳子,小田理一郎著(技術評論社) 生物多様性の理解から生態系やシステム化での捉え 方、 日本や世界での動きや企業での取組例を紹介した、 生物多様性の考え方を理解する良書です。図書館には 古い技術から先端技術について書かれた本があり、情 報の宝庫です。このような技術の中から未来につなが る技術が生まれる。本書は技術の未来につながる本だ と思います。 (推薦:機械工学科 山中昇) 57. 代謝建築論 阪口理 , 須賀好富 , 窪田敏行編著(学芸出版社) 構造力学の基本(静定はり、ラーメン、トラスの部 材力、断面の諸係数、各種応力度)について、絵や写 真付きで丁寧に書かれている。 (推薦:建築学科 板倉和則) 59. 建築構造力学 (新しい建築工学;45) 山田孝一郎 , 松本芳紀共著(森北出版) この本には3年生までに読書(学習)しておきたい 項目として構造力学の基本的なこと(力、構造物、構 造物の応力)や構造解析に関する基本的なこと(静定 ばり、静定ラーメン、静定トラス、静定アーチ)、構 造部材に関すること(応力度と歪度、断面の性能、断 面の応力度)等がまとめられており良書であるためこ れを推薦する。 (推薦:建築学科 後藤勝彦) 60. 外部空間の設計 55. 電気・電子を説明する英語 (推薦:建築学科 中村孝至) 58. テキスト建築構造力学 53. 発明立国ニッポンの肖像 者です。 61. 機械設計・製図の実際 (機械工学;EKK - ex1) 塚田忠夫著(数理工学社) 本書は、低学年の段階ではまだ修得していない内容 を含んでおり、詳細を理解するには低学年では多少困 難であると思われるが、興味深い機械構造物に関し実 際の例をもとに解説されている。将来必要となる設計 製図や機械設計において、さらに興味を持ってもらえ るような内容の一冊である。 (推薦:機械工学科 土井猛志) 62. イラスト・図解ハイブリッドカーの しくみがよくわかる本 菊竹清訓著(彰国社) これは、大学 1 年生時に先生から設計の考え方を示 す本として推薦して頂いた本です。難解な類書が多い 中、 事例が多く文章も平易で、且つ示唆に富みます。今、 再評価される ’ メタボリズム ’ の旗手でもあった菊竹 氏の代表的な著作の一つでもあり読むに意義のある本 だと思います。また故菊竹氏は旧都城市民会館の設計 芦原義信著(彰国社) ハーバード大学卒、元東京大学教授で建築家の芦原 義信氏(文化勲章受章)の著書『Exterior Design In Architecture』の日本語版。「外部空間の設計」の外 部空間は、In Architecture であるから、土木の空間 ではなく、あくまで建築的空間のこと。筆者は屋根の ない建築空間の設計論を展開している。3 年以下でも 読め、空間デザインセンスを養うに適当と思う。 (推薦:建築学科 樋口栄作) 御堀直嗣著(技術評論社) 最近、省エネカーとして、ハイブリットカーがよく 売れている。電池の高性能化や低価格化が実現するま でのつなぎの技術ともいわれるが、エンジンとモータ それぞれの特徴を生かして低燃費を実現している。こ のようなハイブリットカーのしくみや動向をしること ができる。 (推薦:機械工学科 佐藤浅次) ―― 63. 電気回路教本 橋本洋志著;秋月影雄監修(オーム社) 電気回路は目に見えない現象を学ぶ学問の一つで、 分かりづらいと思う学生も多いと思います。この本 は、図を多用し学生がイメージしやすい構成になって います。また、演習問題も丁寧に解法が書かれている ので、自学自習には大変良いと思います。電気回路に 苦手意識を持っている学生は一度読むことをお勧めし ます。 (推薦:電気情報工学科 臼井昇太) 64. 電波とラジオの基礎技術 岩上篤行著(誠文堂新光社) タイトルは一見建築と畑違いのようですが、実は日 射と電波は同じ電磁波でその特性はよく似ています。 そのため有効な日射利用/制御の類推ができます。ま た建築の音環境と電波環境も共に「波」なので同じ公 式が適用できます。本書を読めば建築の知識が増え, 同時に快適にラジオやテレビを視聴できる快適環境が 実現できます。 (推薦:建築学科 小原聡司) 65. 制御工学の考え方 (ブルーバックス;B - 1396) 木村英紀著(講談社) 自動車やロボットのような、人の意のままに動く機 械を造るには、どのような考え方が必要なのでしょう か?その問いを体系的に扱う分野が制御工学です。こ の本では、制御工学の歴史的背景から、その考え方、 実際の応用方法まで易しく説明されています。制御に 興味のある学生にはぜひ読んでもらいたい一冊です。 (推薦:機械工学科 髙木夏樹) 66. パワーエレクトロニクスノート 古橋武著(コロナ社) きめ細かく、かつ効率的に電力を制御する技術は省 エネ機器の実現に必須である。この本では、容易に入 手できる部品で回路を組み、実験で波形を確認し、さ らに理論的な説明もバランスよくなされている。示さ れている回路を実際に組んで測定し、シミュレータの 結果と比較しながら読めば、実践的なパワーエレクト ロニクスの知識を身につけられる。 (推薦:電気情報工学科 御園勝秀) 67. 夢の新素材・機能性高分子 コンタクトレンズから光メモリーまで (ブルーバックス;B - 711) 竹本喜一著(講談社) 化学を学び始めた学生に解りやすく身のまわりの高 分子化合物を紹介したものである。ハードコンタクト レンズ、ソフトコンタクトレンズなどの高分子材料の 話から、種々のモノマーを共重合させる話までイラス トを用いて解説している。 (推薦:物質工学科 福留功博) 芸 術 68. 大事なことはみーんな猫に教わった スージー・ベッカー著;谷川俊太郎訳(飛鳥新社) 誕生日のプレゼントに奥さんからもらったもので す。今は小学館文庫に入っていると思います。猫のい る日常が脱力系のイラストとコメントでつづられてい ます。詩人の谷川俊太郎による翻訳も魅力です。英語 の原書もペーパーバックで出ていますが、辞書なしで も気軽に楽しめます。猫好きの人は読んでなごんでく ださい。 (推薦:一般科目(文) 笹谷浩一郎) 69. おおきな木 シェル・シルヴァスタイン作;村上春樹訳(あすなろ書房) これはある一本の木と少年とのお話です。お互いが 大好きで幸せな 2 人。でも、少年が大人になるにつ れ、木に色んなものを要求し始めます。愛する人にす べてを与え続けること、自分を愛してくれている人か らすべてを受け取り続けることの意味を考えさせる絵 本です。英語版(The Giving Tree)もお勧めです。 (推薦:一般科目(文) 宮沢幸) 言 語 70. 暗号解読 サイモン・シン著;青木薫訳(新潮社) 今日身近になりつつある暗号は、古くから解読との 戦いを続けてきている。世界史に関わる暗号と解読の 人間ドラマを多数載せてあり(授業で雑談は叶わない が)それだけ読んでも面白い。暗号技術の解説もして あり、世界史に関わる暗号の一部は読者自ら解読の追 体験ができる。2分冊の文庫本もある。『暗号戦争』 もよかったら。 (推薦:一般科目(理) 中村博文) 71.Oxford Reading Tree シリーズ Roderick Hunt 他著;Alex Brychta 他絵(Oxford University Press, UK) これはイギリスの小学生向けに書かれた絵本シリー ズで、ステージ1から9まであります。5 人家族と 1 匹の犬を中心とした日常生活が描かれています。ス テージ5からは「魔法のカギ」が現れ、色々な不思議 な世界への冒険が始まります。絵本を読みながら英語 も楽しく学べるのでお勧めです。 (推薦:一般科目(文) 宮沢幸) 72. 読むなら辞書 例えばある英和辞書で eleven の個所には「1 a 11 の、 11 個の。」云々と書いてあって、最後に[OE=(10 と) ―― 1余り;cf. twelve]としてある。これは辞書を引い ていただけは気づかないことで、読むことの楽しみだ。 また、ある国語辞書は「みぎ」を「アナログ時計の 文字盤に向かった時に、一時から五時までの表示の有 る側」と説明してある。これに感動するのは辞書を読 むときだけ。 (推薦:一般科目(文) 藤永伸) 文 学 紫式部著;石田穣二 , 清水好子校注(新潮社) 恋の諸相を描ききった物語。しつこく、どろどろに 美しく……恋について知るにも、やはり一生かかる なぁ。まずは現代語訳で。新潮日本古典集成本は原 文の行間に訳が挿入され、両方に目が届きやすい。読 んで人格形成なんて保証はできない。平安朝は、マニ アックなあなたにこそシンクロする。 (推薦:一般科目(文) 松﨑賜) 74. 四千万歩の男 井上ひさし著(講談社) 谷崎潤一郎著(中央公論社) この本は、私が学生時代に読んで、最も感動した一 冊である。この本を読んで文化とは如何なるものか、 実感できた気がした。我々の生活習慣だけでなく、考 え方や感じ方も、地域の文化に強烈に育まれてきたか を思い知る。同時に違う文化から発生したものとの本 質的な相違点に気がつくようになる。十代後半に読む ことを勧める。 (推薦:建築学科 林田義伸) 79. こころ(新潮文庫;な- 1 - 13) 遠藤周作著(新潮社) 76. 第六大陸(ハヤカワ文庫) 小川一水著(早川書房) 「月面に総合結婚式場を建設し運営する」荒唐無稽 に見えるこのテーマに対して、ゼネコン(総合建設業) の技術者である主人公が、技術的な問題を乗り越えて いく課程を描く。建設技術のみならず、航空宇宙技術 などあらゆる技術を統合して建設に邁進する現場管理 の仕事を読んでほしい。 (推薦:建築学科 中村裕文) 夏目漱石著(新潮社) 私が高校生のとき、教科書で「先生と遺書」の終盤 を学びました。当時の国語の先生の影響もあり、これ を皮切りに夏目漱石の全作品を読破しました。高校生 のとき 2 度、最近 3 度目ですが読む機会に恵まれまし た。この作品に接すれば、「こころ」について考えさ せられる、という「名著」です。 (推薦:一般科目(理) 友安一夫) 80. ふわふわの泉(ファミ通文庫) 高校2年の頃、徹夜して読んだ遠藤周作先生の『沈 黙』という作品です。夜明けにロドリゴが踏み絵を踏 むことになる。 「踏み絵の中の、神の顔が踏むがよい」 と語りかけるこの部分が、もっとも魂を揺さぶられ、 感銘しました。 (推薦:一般科目(文) 﨑山強) 司馬遼太郎著(文藝春秋) これまで何度かテレビドラマ化されたあまりにも有 名な長編時代小説。幕末の激動期を駆け抜けた坂本竜 馬が主人公、授業で習うものを越えた歴史のダイナミ ズムを感じながら、そこで青春を生きる登場人物らに 思いをはせることができる。私にとっては他の司馬遼 太郎作品を読むきっかけとなった一冊である。 (推薦:機械工学科 佐藤浅次) 科学や技術の世界というのが、師匠と弟子のような 芸事で出てくる「守・破・離」の世界に似ていようだ と思った。学生諸君は、今は「守」の段階であるのだ ろうか。どんな偉い学者の主張でも、ほんの少し疑っ てみる事が新しい物事を切り開くきっかけになる。そ れを再確認できた本でした。 (推薦:機械工学科 高橋明宏) 75. 沈黙 78. 陰翳礼讃(中公文庫) 73. 源氏物語(新潮日本古典集成;第 1 回 , 第 13 回 , 第 18 回 , 第 23 回) 77. 竜馬がゆく(文春文庫) 野尻抱介著(エンターブレイン) 2001 年宇宙の旅の著者 SF 作家 A・C・クラークの 軌道エレベーター建設を題材にした名作『楽園の泉』 へのオマージュとして執筆された作品。 偶然発見された新技術の応用とその技術の拡散への 懊悩を含み、それらを乗り越えて宇宙へ至る技術の利 用をまとめた快作。 (推薦:建築学科 中村裕文) 81. 世界の終りと ハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹著(新潮社) 二つの平行した世界で交互に展開していく物語。異 なった世界観を持つそれらの物語は、どのようにつな がっているのか?それぞれの世界で現れる謎、人々と 人外。それらは何を意味するのか?物語の面白さに加 え、独特の文体、登場人物達から語られるユーモアあ ふれる思想も、魅力的です。読むほどに味の出る一冊 です。 (推薦:機械工学科 髙木夏樹) ― 10 ― 82. イギリスはおいしい 林望著(平凡社) 小生は、英国を第二の故郷と思っております。 「英国料理なんて聞いたこともないし、まずいじゃ ないか」と友人たちは皆言います。 たぶん LONDON の街中や高級ホテルしか訪ねたこ とない方でしょう。 「田舎町に行ってごらんなさい。」 「カントリーパブの料理、そして日本でもお馴染み のスコン、Fish&Chips etc.」 英国の食卓には美味しいものがいっぱい溢れていま す。 この本を読めばあなたも、きっと英国を訪ねたいと 思うでしょう。 ああ僕も行きたくなった!格安チ ケットを探そう!!!! (推薦:一般科目(文) 﨑山強) 83. 人間、この非人間的なもの (ちくま文庫) なだいなだ著(筑摩書房) 大変古い本ですが人間について語るとてもユニーク で、昔の若者によく読まれた本です。 人間世界をもう片方の見地から見る事は計算機の世 界にも通じるところがあります。 今の若い人が常識とか正義とか論理とかを、少し立 ち止まって考えるきっかけになればと。 (推薦:電気情報工学科 樋渡幸次) 84. 深夜特急 (新潮文庫;さ- 7 - 5 - 10) 沢木耕太郎著(新潮社) インドのデリーからイギリスのロンドンまでバスだ けを乗り継いで行く旅を記録した旅行記。驚くべき は、筆者がこの文章を発表したのは実際の旅行から 14 ~5年経てからのことで、旅行中写真やメモをほ とんどとっていないことです。若い時期の旅がいかに 心に残るものか思い知らされます。 (推薦:一般科目(文) 西村徳行) 85. 深夜特急 (新潮文庫;さ- 7 - 5 - 10) 沢木耕太郎著(新潮社) 学生の間は時間に非常に余裕があります。その余裕 のある間に、是非海外旅行に出かけて欲しいと思いま す。海外に出ることで外国語を学ぼうという積極的な 意欲や、日本の良いところも見えてくると思います。 この本は、海外に行ってみたくなる本です。何かきっ かけが欲しい学生は是非読んでみてください。 (推薦:電気情報工学科 臼井昇太) などの歴史小説を数多く書かれていますが、全国の街 道を歩かれ風土と人間を見つめる旅をライフワークと して『街道をゆく』シリーズを書き残されました。な かでも学生時代にモンゴル語を学ばれており、本書 は、その学生時代の頃の思い出なども書き述べられて います。若い頃から海外の文化などに興味を持ち、思 考を広げるのによいと思います。 (推薦:一般科目(理) 野町俊文) 87. 加藤周一自選集;9 「日本文化における時間と空間について」 日本の伝統的建築文化も、日本文化の枠組みのなか で発展してきた。その枠組みの1つの、日本文化にお ける時間と空間の概念を理解することは、日本の建築 の特質を深く理解する助けになると思う。 (推薦:建築学科 樋口栄作) 88. ライ麦畑でつかまえて (白水 U ブックス;51) J.D. サリンジャー著;野崎孝訳(白水社) 主人公のホールデンは、16 歳のナイーブな少年で、 ペンシルベニアの高校の寄宿舎を抜け出して、自宅の あるシューヨークへ行く途上、社会の権威や大人の欺 瞞をインチキと断罪し、やりきれない思いを独白して いきます。人物が生き生きと描かれており、小説とし てとても良く出来ていると思います。若いうちに、一 度は読んでいただきたい作品です。 (推薦:校長 三村洋史) 89.The complete tales Beatrix Potter 作(Ferederick Warne) Peter Rabbit の作者である Beatrix Potter の全作品 が収録してあります。読みやすいものから始めてたく さんの英語に触れましょう。CD も売っていると思い ますので、それも聞いてみましょう。 (推薦:一般科目(文) 西村徳行) 90. モモ(岩波少年少女の本;37) ミヒャエル・エンデ作;大島かおり訳(岩波書店) “ 時間とは生きるということ、人のいのちは心をす みかとしている ”(本文中より抜粋)という言葉をど のように感じますか。時間というものを考え、ゆとり のある生活というものを考えてみてください。忙しい 高専の生活だからこそ、時間に追われることなく毎日 を楽しんで生きていくことが必要だと思います。 (推薦:物質工学科 藤森崇夫) 86. モンゴル紀行 加藤周一著;鷲巣力編(岩波書店) (朝日文庫;街道をゆく/司馬遼太郎著) 司馬遼太郎著(朝日新聞出版) 司馬遼太郎先生は『竜馬がゆく』や『国盗り物語』 ― 11 ― 学科別推薦図書リスト ( 校 長 推 薦 ) 番号 書 名 者 名 88 ライ麦畑でつかまえて(白水 U ブックス;51) J.D. サリンジャー , 野崎孝訳 出版社名 白水社 (機械工学科推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 7 知的複眼思考法(講談社 + アルファ文庫) 苅谷剛彦 講談社 8 思考の整理学(ちくま文庫;と- 1- 1) 外山滋比古 筑摩書房 11 若者の哲学(加藤諦三・人間哲学シリーズ;2) 加藤諦三 読売新聞社 14 日本人はなぜ日本のことを知らないのか(PHP 新書;755) 竹田恒泰 PHP 研究所 23 「大人」になる方法 小林道雄 講談社 26 大学で何を学ぶか(ベスト新書;230) 加藤諦三 ベストセラーズ 33 へんな数式美術館(知りたいサイエンス;036) 竹内薫 技術評論社 40 流れのふしぎ(ブルーバックス;B-1452) 石綿良三 , 根本光正著;日本機械学会編 講談社 47 地球温暖化を考える(岩波新書;新赤版 403) 宇沢弘文 岩波書店 52 例題で学ぶ工業熱力学 牧野州秀 , 芹澤昭示共 森北出版 56 企業のためのやさしくわかる「生物多様性」 枝廣淳子,小田理一郎 技術評論社 61 機械設計・製図の実際(機械工学;EKK-ex1) 塚田忠夫 数理工学社 62 イラスト・図解ハイブリッドカーのしくみがよくわかる本 御堀直嗣 技術評論社 65 制御工学の考え方(ブルーバックス;B - 1396) 木村英紀 講談社 74 四千万歩の男 井上ひさし 講談社 77 竜馬がゆく(文春文庫) 司馬遼太郎 文藝春秋 81 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 村上春樹 新潮社 (電気情報工学科推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 2 C 言語によるはじめてのアルゴリズム入門 河西朝雄 技術評論社 3 プログラム書法 BrianW.Kernighan,P.J.Plauger 著;木村泉訳 共立出版 9 日本のこころの教育 境野勝悟 致知出版社 36 なるほど虚数 村上雅人 海鳴社 39 ケンブリッジの卵 下村裕 慶應義塾大学出版会 41 なっとくする電磁気学 後藤尚久 講談社 43 宇宙は何でできているのか(幻冬舎新書;187, む- 2 - 1) 村山斉 幻冬舎 55 電気・電子を説明する英語 宮野晃 森北出版 63 電気回路教本 橋本洋志著;秋月影雄監修 オーム社 66 パワーエレクトロニクスノート 古橋武 コロナ社 67 夢の新素材・機能性高分子コンタクトレンズ から光メモリーまで(ブルーバックス;B -711) 竹本喜一 講談社 83 人間、この非人間的なもの(ちくま文庫) なだいなだ 筑摩書房 85 深夜特急(新潮文庫;さ- 7 - 5 - 10) 沢木耕太郎 新潮社 ― 12 ― (物質工学科推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 13 考えない練習 小池龍之介 小学館 25 ノーベル賞の百年 ウルフ・ラーショーン編 , 津金-レイニウス・豊子 , 佐藤文隆訳 ユニバーサル・アカデミー・プレス 42 高校数学でわかるマクスウェル方程式(ブルーバックス;B-1383) 竹内淳 講談社 44 超分子の科学(Sbooks) 上野昭彦 産業図書 45 元素図鑑 セオドア・グレイ著;武井摩利訳 創元社 46 フロンティア軌道法入門 I. フレミング著;竹内敬人 , 友田修司訳 講談社 48 分子生物学(ブルーバックス;B-1674. カラー図解アメリカ版) D. サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳 講談社 49 生物と無生物のあいだ(講談社現代新書;1891)福岡伸一 講談社 50 細胞生物学(ブルーバックス;B-1672. カラー図解アメリカ版) D. サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳 講談社 51 分子遺伝学(ブルーバックス;B-1673. カラー図解アメリカ版) D. サダヴァ他著;石崎泰樹 , 丸山敬監訳・翻訳 講談社 53 発明立国ニッポンの肖像(文春新書;374) 上山明博 文藝春秋 54 考える力、やり抜く力私の方法 中村修二 三笠書房 90 モモ(岩波少年少女の本;37) ミヒャエル・エンデ作;大島かおり訳 岩波書店 (建築学科推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 10 生きる(加藤諦三文庫) 加藤諦三 大和書房 22 生き残る判断生き残れない行動 アマンダ・リプリー著;岡真知子訳 光文社 35 数学ガール 結城浩 ソフトバンククリエイティブ 57 代謝建築論 菊竹清訓 彰国社 58 テキスト建築構造力学 阪口理 , 須賀好富 , 窪田敏行編 学芸出版社 59 建築構造力学(新しい建築工学;4-5) 山田孝一郎 , 松本芳紀共 森北出版 60 外部空間の設計 芦原義信 彰国社 64 電波とラジオの基礎技術 岩上篤行 誠文堂新光社 76 第六大陸(ハヤカワ文庫) 小川一水 早川書房 78 陰翳礼讃(中公文庫) 谷崎潤一郎 中央公論社 80 ふわふわの泉(ファミ通文庫) 野尻抱介 エンターブレイン 87 加藤周一自選集;9「日本文化における時間と空間について」加藤周一著;鷲巣力編 岩波書店 (一般科目(文)推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 1 いちばんやさしいデータベースの本 五十嵐貴之 技術評論社 4 生きがいについて(神谷美恵子著作集;1) 神谷美恵子 みすず書房 5 老子;荘子(世界の名著;4) 小川環樹責任編集 中央公論社 6 夜と霧(フランクル著作集;1) ヴィクトール・E. フランクル著;霜山徳爾訳 みすず書房 12 この世でいちばん大事な「カネ」の話(よりみちパン!セ)西原理恵子 ユーメイド 27 東西 / 南北考(岩波新書;新赤版 700) 赤坂憲雄 岩波書店 68 大事なことはみーんな猫に教わった スージー・ベッカー著;谷川俊太郎訳 飛鳥新社 69 おおきな木 シェル・シルヴァスタイン作;村上春樹訳 あすなろ書房 ― 13 ― 番号 書 名 者 名 71 Oxford Reading Tree シリーズ 出版社名 RoderickHunt 他著;AlexBrychta 他絵 OxfordUniversityPress,UK 72 読むなら辞書 73 源氏物語(新潮日本古典集成;第 1 回 , 第 13 回 , 第 18 回 , 第 23 回)紫式部;石田穣二 , 清水好子校注 新潮社 75 沈黙 遠藤周作 新潮社 82 イギリスはおいしい 林望 平凡社 84 深夜特急(新潮文庫;さ- 7 - 5 - 10) 沢木耕太郎 新潮社 89 The complete tales Beatrix Potter 作 Ferederick Warne (一般科目(理)推薦) 番号 書 名 者 名 出版社名 15 伴走者 木村幸治 JICC 出版局 16 ワイルド・スワン(講談社文庫;ち- 4 - 1) ユン・チアン著;土屋京子訳 講談社 17 知の巨人ドラッカー自伝(日経ビジネス人文庫;503) ピーター・F・ドラッカー著;牧野洋訳・解説 日本経済新聞出版社 18 「ご冗談でしょう、ファインマンさん」 リチャード・P. ファインマン著;大貫昌子訳 岩波書店 19 世界がもし100人の村だったら(マガジンハウス文庫) 池田香代子 , マガジンハウス編 マガジンハウス 20 医者、用水路を拓く 石風社 中村哲 21 1 分で大切なことを伝える技術(PHP 新書;573)齋藤孝 PHP 研究所 24 数学の学び方・教え方(岩波新書;青- 822) 遠山啓 岩波書店 28 世界でもっとも美しい 10 の科学実験 ロバート・P. クリース著;青木薫訳 日経 BP 社 29 理科年表 東京天文台編纂 丸善 30 サイエンスをとおして生と死を考える 吉成武久 大学教育出版 31 理科系の作文技術(中公新書;624) 木下是雄 中央公論新社 32 論理と集合から始める数学の基礎 嘉田勝 日本評論社 34 数学の考え方(講談社現代新書;15) 矢野健太郎 講談社 37 イプシロン・デルタ論法完全攻略 原惟行 , 松永秀章 共立出版 38 日常にひそむ数理曲線 佐藤雅彦 + ユーフラテス編 小学館 70 暗号解読 サイモン・シン著;青木薫訳 新潮社 79 こころ(新潮文庫;な- 1 - 13) 夏目漱石 新潮社 86 モンゴル紀行(朝日文庫;街道をゆく / 司馬遼太郎著)司馬遼太郎 朝日新聞出版 3年生までに読んでおきたい推薦図書〈改訂版〉 - 図書館だより第 70 号別冊 - 2012 年3月 発行 編集 都城工業高等専門学校 図書館 表紙 韓国・海印寺の八万大蔵経版木 (撮影 図書館長 望月髙明) ― 14 ―
© Copyright 2024 Paperzz