NMRの装置概要 超電導磁石 (H = 9.4 T) 核磁気共鳴分光(I) NMR分光器 磁石 7. ハードウェア 試料 (分子科学研究所) NMRプローブ 飯島隆広 ブロック図 ワークステーション NMR分光器 周辺機器 NMRプローブ プローブ:構成 Spectrometer 構成要素 Pulse Programmer DDS 0±IF DDS IF Duplexer Mixer BPF AM 試料ホルダ Probe 磁石の下 (上)端から 磁場中心ま での距離 Amp /4 Ref Receiver Amp 可変コンデンサ DDS: Direct-digital synthesizer BPF: Band pass filter AM: Amplitude modulation 0: Resonance frequency IF: Intermediate frequency Amp: Amplifier /4: Quarter wave length : Crossed diodes Work Station レジスタンス + V (t ) L dI (t ) , dt V (t ) V0 e jt I (t ) 1 j L または なら V (t ) I (t ) I 0 e jt Im V (t ) V となる(I(0)=0)。従って I Re 90° 遅れる • ゴニオメータ • 多重共振回路 • ロック用回路 • 光ファイバ • マイクロ波共振回路 • 試料管回転装置 • 温度可変装置 • 圧力印加装置 • 勾配磁場印加装置 等々・・・ サンプル・コイル Z0 j 0 1 jXC jC X1 r1 なら X2 Im 1 I 0 e jt jC r2 V 90° 進む M Re Lp Ls 2. キャパシタ CM • 共役なリアクタンスX1とX2のL マッチにより、一般にインピー ダンス変換が可能。 • 損失が大きいためNMRでは ほとんど用いられない。 3. インダクタ I となる(V(0)=0)。従って LC回路のインダクタとして働くととも に、コイルに挿入したサンプルの核 スピンとエネルギーの送受信を行う。 r j L 1. L型マッチング・ネットワーク 1 I (t )dt C 1 V (t ) Z I (t ) jC L r ? コンデンサにおける電流と電圧の関係: V0 e jt V (t ) j L Z I (t ) 容量性リアクタンス: 1 V (t )dt L • 共振回路(LC回路) プローブをシステムのインピーダンスZ0=50にマッチさせる C I (t ) オプショナル 各種つまみやコネクタ インダクタンス: L キャパシタンス: C L コイルにおける電流と電圧の関係: 2. プローブ:インピーダンス・マッチング リアクタンス 抵抗: r 誘導性リアクタンス: jXL( j L) 必須 Fig: 固体NMR用プローブ(右)とその ヘッド部の拡大写真(左).シールド管 は外してある. (プローブ工房社) インピーダンス インピーダンス(Z) = 1. • 2つのキャパシタCTとCMによ りインピーダンス変換が可能。 • 簡便で損失も少ないため NMRで一般に用いられる。 CT 4. 伝送線路 • カップリング・コイルの相互イ ンダクタンスを利用したイン ピーダンス変換が可能。 • NMRでは特殊プローブで用 いられる。 l Z1 ZC Z2 • 伝送線路をインピーダンス変 換に用いることが可能。 • 電磁波の波長の長いNMRで は特殊プローブで用いられる。 1 プローブ:キャパシタによるマッチング プローブ:多重共鳴 CM Z AB r Z AB r j ( XL XC ) Zre = Z0になるのは 1 r j L C C (Q A) / B, 1 C LC 2 1 B r (1 Q 2 ). 0 150 1 1 jC1 . jC2 jL1 Z = 0となる をonとすると 2 2 C2 off 2 2on . L1onoff 0 Z = Z0 1 200 2 250 on 簡略化分岐 0 -500 off 100 200 300 /4線路 (オープン) L1 = 50 nH C1 =12.7 pF C2 =190 pF /4線路 (ショート) Fig: LC回路on/offスイッチの周波数特性. • Offスイッチ。 • Onについては、Z = 0に ならない。 NMRにおける強磁場の有効性 高パワー 1. 感度向上 Low Z 2. ダイオード特性 • 直列LCと同じ作用をし 得る。 • の奇数倍の波長に対 してもonスイッチになる。 • の偶数倍の波長には offスイッチにもなる。 磁石:磁場とNMR Amp 強磁場化 Probe 送信 低パワーの NMR信号 • Onスイッチ。 • Offについては、“浮遊” のLまたはCとなる。 直列LC (MHz) Fig: 並列LCR回路におけるイ ンピーダンスの周波数特性. ケーブルとダイオードだけで構成される 送受信の切り替えスイッチ 高パワーの RFパルス LF HF/LF 500 デュプレクサ 1. 送信・受信で異なるパワー CMLF CTLF 1 . 2 L1off C1 (MHz) Z im Z 0 A. r LF/HF Z = ±∞となる をoffとすると L = 40 nH C = 16 pF r = 1 -1000 その時のZim は の時、キャパシタがインダクタのリアクタンス を補償する。 r 1000 A ( B / Z 0 ) 1, 1 Z Re Im 2000 Q L / r , 従って、 L L rXC 2 r 2 XL( XL XC ) jXC 2 r 2 ( XL XC )2 r ( XL XC )2 Z () B L HF T C1 C B 1 1 1 Z AB r jXL jXC C C2 A 並列LCR回路 L HF CMHF /4 直列LCR回路 A 二重共鳴回路 L1 /4 r C 周波数分岐 キャパシタ2個を使い 1. 実部をZ0 (= 50 )に変換する。 2. 虚部を0 に変換する。 L Z () CT High Z Low Z Amp 2. 分解能向上 強磁場化 +I 低パワー +V -V High Z -I Amp Low Z /4 インピーダンス変換 Zin Z in Zout /4 Z 02 Z out 強磁場化 High Z Amp (Z0: 特性インピーダンス) 3. 二次の核四極相互作用による 線幅の減少(固体NMR) Probe Fig: NMR磁石の強磁場化の 歴史. (文献4) 受信 磁石:強磁場磁石の種類 磁石:超伝導磁石 パルス磁石 (IMS) • 磁場の安定度・均一 度が極めて高い • 磁場強度は<22 T • 超伝導状態であれば 磁場が持続 • NMR用磁石の主流 • 磁場強度は~数百 T • 磁場はマイクロ秒~ミリ秒程 度しか持続しない • NMR用にはほとんど用いら れていない ハイブリッド磁石 液体ヘリウム層 超伝導 コイル 液体窒素層 (第二層) 液体窒素層 (第一層) 磁場 (T) 超伝導磁石 (NIMS) 時間 (s) Fig: 強磁場磁石の特性 の概要図. • 磁場強度は>30 T • 数時間程度は磁場が 持続可能 • 磁場の安定度・均一 度は悪い • これらを補償すれば 高分解能測定も可能 真空層 スーパー・イン シュレータ Fig: 300 MHz NMR用超伝導磁石 の内部.(歴史資料館収蔵資料) • 磁場は液体ヘリウムに浸された超伝導 線材のソレノイドコイルに流れる超伝 導電流によって縦方向に発生。 • 液体ヘリウムは真空層、液体窒素層、 真空層の順に覆われ、外界から熱的 に遮断。 • 磁石の中心にボアと呼ばれる円筒形 空間。 • ボアの径は54 mmまたは89 mm。NMR プローブにはワイドボア有利、磁石作 成にはナロー有利。 • 高い空間均一度(磁場に対して~10-9) • 超伝導シムコイル(ヘリウム層の中)と 室温シムコイル(ボアの中)で調整。 • ドリフト(磁場の減少)にNMRロックで対 応。 • シールドタイプのものは、ヘリウム溜の 最外殻に別途コイルを設け、逆向き電 流を流す。 2 磁石:ハイブリッド磁石 文献 Fig: 水冷銅磁石に 使用するビッター盤. 細い孔に水を流し 冷却する.(NIMS) Fig: ハイブリッド磁石の模式図. (東北大学金材研) • 超伝導磁石と水冷銅磁石を組み合わ せた磁石。 • 水冷銅磁石を用いるため、空間的・時 間的均一度は高くない。 • 大電流(定格出力10 MW級の直流電 源)を流すため、運営コストが高い。 • 高分解能NMR測定を行うには、別途、 不均一性を補償することが必要。 1. J. Mispelter, M. Lupu, A. Briquet, “NMR Probheads for Biophysical and Biomedical Experiments”, Imperial College Press (2006). 2. 日本化学会編, “第5版 実験化学講座8 NMR・ESR”, 丸善 (2006). 3. 荒田洋治, “NMRの書”, 丸善 (2002). 4. 物質・材料研究機構 平成15年委託調査報告書, “強磁場固体NMRの 開発と利用に関する調査報告 -無機・有機先進材料の精密構造・機 能解析-”, 未踏科学技術協会 (2004). 3
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