307

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山本内科
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2015年 10 月1日発行
No.307
078-922-8121
深部静脈血栓症(DVT))について その1
深部静脈血栓症(Deep Venous Thrombosis:以下 DVT)は、深部静脈に血栓(血液のかたまり)が
形成される病気です。血栓は、静脈の損傷や血液の凝固を引き起こす疾患により形成される場合や、
何らかの原因で心臓に戻る血流が遅くなることで形成される場合があります。血栓によって、脚や腕
の腫れが生じることがあります。血管を流れる血液は、一般的には凝固しません。足の筋肉の動きと
静脈は、血液の流れを促進するために圧搾されます。DVT は、特定の状況下、すなわち血液が正常
に循環しなかったり、凝固したりする場合に発生する可能性があります。しなしながら血栓は稀に明
白な理由無しに形成してしまう場合があります。DVT のリスクを増加させる要因をいくつか挙げま
す。①静脈の内側の損傷;手術(特に整形外科や脳神経外科)、転倒、炎症、および薬品は、静脈へ
の傷害を引き起こすリスクを高めます。②動かないこと;運動不足により血流が遅くなります。例え
ば、手術後や病気で長い間寝ている間や、長距離旅行中やその後、骨折してギブスをはめている間な
どです。遅い血液の流れは、血栓を作り易くします。③濃度の高い血液;第 V 因子ライデン変異、
およびプロテイン C およびプロテイン S の欠損などのいくつかの遺伝性疾患によって血液がより容
易に凝固することがあります。家族の中に DVT を患うものがいる場合、遺伝の可能性があるため、
気をつける必要があります。ある種の障害は、例えば抗リン脂質抗体症候群、真性多血症、本態性血
小板血症は後年になって出てくる場合もあります。④薬学治療;妊娠コントロールピルや、ホルモン
代替療法は、エストロゲンが血流を遅くさせるため DVT のリスクを高めます。化学療法のドラッグ
も同様の副作用があります。⑤病状;以下のようなコンディションは、血栓発症のリスクを高めます。
㋐妊娠:妊娠中に、骨盤の下の静脈内の圧力が増し、血液濃度が濃くなります。リスクは、出産後最
長 6 週間継続します。㋑加齢:60 歳以上の人は、DVT の可能性があります。㋒がん:多くの癌は、
血液の凝固を増強する物質を上昇させます。時々 DVT は、癌の診断に先行する場合もあります。㋓
心不全:弱い心臓は、普通の心臓と比べて効果的に血液をポンプすることができません。そして血液
を溜めてしまい、血液が簡単に凝固してしまいま
す。㋔体重過多または肥満:太りすぎの人々は、
骨盤静脈と足に高い圧力を持つため血栓のリスク
を高めます。㋕侵襲的なデバイス:静脈カテーテ
ルを介して液体や薬を受けている患者は、正常な
血液の流れの妨害や、静脈の損傷により、静脈の
表面や深部に血栓ができ易くなります。㋖腎臓疾
患:ネフローゼ症候群、大量のタンパク質が腎臓
から漏れる障害を持つ人は、動脈と静脈内に血栓
を発症する可能性が高くなります。㋗ DVT の既往
症:過去に DVT を患ったことがある人は、将来に
再発する可能性が高くなります。㋘喫煙:喫煙は
血液の循環に影響を与えるため、DVT のリスクを
増加させます。
インフルエンザワクチンの接種について
10月15日よりインフルエンザワクチンの接種が始まります。早めに予約をお願いします。高齢
者も2回接種が望まれます。なお、今シーズンから3価(A型2種類、B型1種類)から、B型株が
1種類追加され、4価(A型2種類、B型2種類)になり、抗原が増量されました。2009年に流
行し、当時「新型インフルエンザ」と呼ばれたブタインフルエンザ(H1N1)も組み込まれていま
す。今回から 4 価ワクチンになったかの理由につきましては、従来まで B 型は山形系統とビクトリ
ア系統のどちらかを一つ選んでいたのですが、最近は混合の流行も多くなり、WHO も 4 価ワクチン
として B 型 2 系統を推奨しているためとのこと。実際、米国では 2013/2014 シーズンからすでに 4 価
ワクチンが製造され、世界の流れも 4 価ワクチンとなってきているようで、それを受けて日本でも 4
価ワクチンの導入となったようです。こうしたことから全国統一的に今回からワクチンが値上がりし
ています。御了承ください。
休診について
10月9日金曜日午後の院長の診察は消化器内視鏡学会に参加のため休診です。森先生の診察とな
ります。御了承ください。なお10月10日土曜日は通常の森先生の診察です。