平成 24 年度 第 3 回スポーツ講座 平成 24 年 6 月 6 日 テーマ「スポーツ障害 大腿・下腿・足」 講師:千田 益生 先生 (岡山大学病院 総合リハビリテーション部 教授) 報告者:岡山大学経済学部1年 西田健吾 内容 今回のスポーツ講座は,大腿・下腿・足のスポーツ障害についてのお話でした。スポーツをする上 で怪我,障害は付き物ですが大腿,下腿,足の障害には多くの種類の障害があります。 初めに大腿部のスポーツ障害からお話しして頂きました。代表的なものに肉離れがあります。これ はスポーツ現場で扱う障害の30%を占め,その半数以上がハムストリングスで起こります。治療に 関しては受傷後すぐには RICE,ストレッチが有効で,痛みが無くなってきたら徐々にランニングな ど弱い負荷のトレーニングを始めて復帰となります。肉離れは再発率が高く予防に努めることが大切 です。予防には練習前のウォームアップ,練習前後のストレッチが有効です。また上り坂を走ってハ ムストリングスを鍛えることも良いそうです。他の障害には大腿四等筋骨化性筋炎,恥骨坐骨結合部 (恥骨下枝)疲労骨折,ガングリオン(腫瘍)による坐骨神経の圧迫等があります。恥骨坐骨結合部 疲労骨折は痛みが出ても X 線写真には異常が映らず,MRI でないと映りません。このように診断を 受けて異常なしだったとしても,気になる痛みにはしっかり MRI を取って調べないと正しい診断が できないことがあります。 次は下腿・足の障害の話でした。下腿の障害としてシンスプリント,下腿コンパートメント症候群, DVT,筋のひきつり,こむら返り,アキレス腱炎,下腿疲労骨折等があります。DVT というのは深 部静脈血栓症のことで,飛行機のフライトで起きるエコノミー症候群はこれのことです。症状として は名前の通り静脈に血栓ができるのですが,血栓が遊離して肺動脈に流入し肺血栓になると死亡する こともあります。治療・予防法として血栓を溶解するためのヘパリン(注射) ,ワルファリン(内服) などがありますが,ストレッチも筋肉,血管を動かすことができ予防効果があります。 足の障害では,足関節捻挫,足底腱膜炎,離断性骨軟骨炎,ジョーンズ骨折等のほかにも多くの障 害の説明をして頂きました。足関節捻挫は重症度で3種類に分類されます。治療は受傷直後(48時 間以内)に RICE 処置を行い,靭帯損傷の認められる場合はギプスをし損傷の程度に合わせて固定期 間をのばします。その後は装具療法で3~6週間で治ります。手術することもありますが,ほとんど の場合は手術しません。また,手術はいろいろな方法がありますが決定的なものはありません。 多くのスポーツ障害には受傷後すぐは RICE(応急処置の4つの処置で安静,冷却,圧迫,挙上の こと)を心がけることが治療法として有効であり,その後の対処を間違えなければ手術せずに復帰す ることも可能な障害もあります。また,手術をしたからといってパフォーマンスがもとに戻らない訳 ではありません。大切なことは痛みがあればすぐに運動を止めることです。痛みは体の防衛反応でち ゃんと聞いてあげなければなりません。また,痛みに対して勝手に何の障害か決めつけることは危険 です。スポーツ障害には多くの種類があるので必ず病院に行って診断を受けることが必要です。 感想 今日の講座を聞くまでは知っているスポーツ障害は数種類でしたが講座では知らない障害が沢山 出てきたし,知っている障害でも原因や正しい予防・治療法を初めて知った物もありました。これか らもスポーツを続けていく上でスポーツ前後のストレ ッチを欠かさず,痛みを感じたら直ぐ運動を中止して RICE,特にアイシングを入念にしようと思いました。 また,痛みが続くなら病院に行き,診断を受けなけれ ばならないし,もしレントゲン写真で異常が無くても MRI を取って原因を判明させて対処しようと思いま した。 最後に,お忙しい中たくさんの資料に詳しい解説で とても内容の濃い講義をしていただきました。千田先 生,本当にありがとうございました。 講義風景
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