山 椿 - 第二東京弁護士会

Yamatsubaki
山 椿
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「君の姿は弁護士の品位を汚
きく貢献をしている。健全な
ゲームやスマホの存在に脅か
している」
お笑いは安寧をもたらし、治
されている。
大先輩の一言だった。情報
安の安定にも影響すると思う。
番組内容に問題があればお
番組で毎週コメンテーターを
しかし、なぜか報道やドラマ
詫びに行く(いつもポロシャ
していたのだが、大先輩から
より低く見られがちだ。そも
ツにジーパンのPが背広を着
指摘されたのはその時の私の
そもお笑いの世界は真剣な舞
ている時は謝罪に行くときで
服装だった。
ある)。そして場合によって
「(画面に)顔出しで法律の
は 放 送 倫 理・ 番 組 向 上 機 構
コメントをしていただけます
(BPO)の冷静且つ客観的な
か。ただ演出の関係でバーテ
判断を受けることになる。
ンダーまたはお客の姿でお話
Pたちは全盛期の半分と言
しいただくことになります」
われる制作費の中でお茶の間
と プ ロ デ ュ ー サ ー(P) か ら
に笑いを届けることに必死だ
伝えられて抵抗がなかったわ
(ちなみに学歴という物差しだ
けではない。ただ「たぶんバ
けで見るならば我々とほとん
ーテンダーではなくお客だろ
ど変わらない)。そして出演者
う」「バーテンダーの格好をし
も含めてみんな必死で番組制
ても深夜(当初は月曜午前1
作に取り組んでいる。その姿
時から放映)だから誰も見な
犬塚 浩(45期)
を見ているから依頼を受けた。
いだろう」と決めつけて(初
●Hiroshi Inuzuka
私は収録後放映前のビデオ
回放映の翌朝同期理事者から
チェックをしている。コメン
「見たよ」との電話あり)、家
台裏の姿を見せないのでふざ
トやテロップ(字幕)の中に
族にも内緒で出演した(後に
けていると誤解されやすい。
誤りや不適切な言葉がないか
倅の友達からばれる)。テレビ
価値観の多様化で笑いの壺
をチェックする。自分が喋っ
局の幹部からも「本業に影響
は見つけにくい。昔はバナナ
ている姿を見ると気持ち悪く
はないのでしょうか?」と心
の皮を踏んで転べば笑っても
なる。インパクトのあるコメ
配されたが、影響があってよ
らえたが、今はチャンネルを
ントは副作用を伴う。放送上
くないのか、影響と関係なく
変えられる。
許容されるかどうかの判断は
よくないのか分からないので
放映の翌日に出演したタレ
常に「表現の自由の制約」の
続けた(後にあまりに蝶ネク
ントのマネージャーから「タ
中でぎりぎりの判断が求めら
タイが似合わないので変えた。
レントの顔で笑いをとるな!
れる。
写真参照)。
テレビ局の工夫で笑いをと
番組は4年目に入った。真
ではなぜ依頼を受けたのか。
れ!」と怒鳴られる。常に視
剣に番組制作に取り組んでい
私はその局のお笑い番組の
聴率がつきまとい、東京では
る限りいつか評価されると思
制作部(バラエティ制作部と
NHK他5つの民放が、減少し
う。「弁護士の品位を汚して
いう)の法律相談を数年間担
たテレビ視聴者を奪い合う。
いないか」という意識がある
当している。お笑いをお茶の
テレビが娯楽の王様と言われ
間は続けていいと思っている。
間に提供することは社会に大
た時代は既に遠い過去であり、
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山椿 花水木
Hanamizuki
花水木
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担に思うこともありますが、
りであると思います。私の何
他の先生方から学ばせていた
気ない一言「使えないですね。
だくことは非常に多く、そこ
大した証拠ではないですか
今年の9月で、弁護士登録
で得た弁護士としての心構
ら。」により、依頼者の方の信
をしてから9年目になりまし
え・知識・人脈等は自分の財
頼を損なってしまったことが
た。弁護士になった当初は、
産となっています。
ありました。一方で、初回の
社会に役立つ仕事をしたいと
振り返ってみますと、依頼
法律相談での言葉がきっかけ
意気込んでいたのですが、い
を受けた当初は八方塞がりで
で受任に至ったこともありま
つの間にか初心を忘れつつあ
出口が見当たらない、正義は
し た。 そ の 方 は、 既 に3人 の
る自分に気が付きました。
こちらにあるのに証拠がない
弁護士に法律相談をされてお
私は、修習後、受験時代に
という案件がいくつもありま
り、どの弁護士でも同じよう
教えていただいた先生の事務
した。そのような案件の依頼
な説明をすると思われたそう
所に約1年勤務させていただ
者の方は、ほぼ善良な方が多
です。私自身、特に変わった
いた後、ご縁があり現在所属
く、何とかしてあげたいと思
説明をした覚えはありません
している個人事務所に勤務さ
い、幾重にも絡まった糸を一
でしたが、後日受任となりま
せていただいております。登
本一本解きほぐすように努力
した。調停が成立した後、そ
録当初より現在に至るまで、
するのですが、時に挫けそう
の方から封書で礼状をいただ
いずれも経験豊富な先生の下
になることもしばしばでした。
きました。そこには、私だけ
で、その先生の企業法務、一
その中で、5年かかって依頼
が「『辛いですね』と言ってく
般民事、家事等様々な分野の
者の方にとってほぼ満足のい
れました。私は、その言葉に
事件処理のやり方を学ばせて
く結果となり解決した案件が
本当に救われました。」と書か
いただきました。依頼者の方
ありました。ご家族で涙を流
れてありました。何気ない言
との面談での私の対応のまず
して喜ばれるのを見て、本当
葉から、依頼者の方は私の心
さを指摘していただいたり、
に弁護士となって良かったと
を読み取るのだと感じました。
起案についても、自分の文章
思うと同時に、私もまた依頼
今後も、今まで以上に困難
が全く形を留めない位修正さ
者の方に支えられていたのだ
な状況を経験すると思います
れたりと自分の力の無さに落
と感じました。よく言われる
が、初心を忘れず、微力なが
ち込むことも多かったのです
ことですが、ひとは「人」と
ら社会のために貢献したいと
が、経験豊富な先生から直接
書きます。弁護士と依頼者の
思っております。
教えていただけたことは、私
方も支え合って、事件解決に
にとってかけがえのない貴重
至るのだと思います。
な機会であったとしみじみ感
また、言葉の大切さ
謝しています。また、委員会
も実感しています。「言
活動等にも当初から参加させ
葉は一度発したら取消
ていただきました。消費者問
しができない。」と事務
題対策委員会には登録1年目
所の先生から折にふれ
より現在まで所属しておりま
教えていただいており
す。委員会の活動は、時に負
ますが、本当にその通
中川 佳代子(61期)
●Kayoko Nakagawa
消費者問題対策委員会消費者法部会の懇親会
にて。後列左から1番目が筆者
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