8 指導の実際(第5学年) 指 ○ 導 の ・・・教師の直接指導 実 際 「底辺×高さ」の公式で平行四辺形の面積が求め わたり 学習の内容・活動 1 られたことを確認する。 ○ 前時の学習を振り 返る。 児童に分かりやすく、しかも短時間で前時の学習 内容を振り返させるため、資料を掲示する。資料は 黒板の左側と右斜め前方に掲示しておき、本時の学 習を進める際のヒントとして活用する。 ○ 面積の求め方が分かった図形、分からない図形を 確認しながら今度は三角形の面積を求められるよう になろうという意欲をもたせる。 2 T :「 今 ま で 学 習 し た 面 積 の 求 め 方 を 使 っ て 三 角 形 の 本時のめあてをつ かむ。 面 積 を 求 め る こ と が で き な い で し ょ う か 。」 C :「 求 め ら れ そ う だ 。」 三 角 形 ABC の 面 積 T :「 高 さ が 外 に あ る 平 行 四 辺 形 の 面 積 の 求 め 方 は 、 の求め方を考えよう 紙 を 切 っ た り は っ た り し な く て も で き た ね 。」 ○ 掲示してある資料に注目するように言葉かけする ことにより既習の学習内容を活用して三角形の面積 を求めることができそうだという見通しをもたせ る。 3 ○ 提示した三角形と同じ大きさの三角形をかいた方 提示された三角形 の面積の求め方を考 眼紙を配布し、作業の手順を確認してから自分たち える。 で主体的に作業を進める。 ・平行四辺形の求積 ○ ていねいに作業を進めるように指示する。 ○ 面積の求め方を1つ考えることができたら、他の 方法で求めることができないかを考えるように指示 し、難しい場合はヒントカードを参考にして考えて も良いことを伝える。 方法の活用 ・正方形の求積方法 の活用 ・幾通りかの求め方 での求積 ○ それぞれの考え方を方眼紙を使いながら黒板で発 4 表する。 自分の求め方を説 明し、面積の求め方 T :「 ど の よ う な 求 め 方 で 三 角 形 の 面 積 を 求 め た か 発 表 を確かめる。 し て く だ さ い 。」 C :「 僕 は 、 同 じ 形 の 三 角 形 を 2 つ 合 わ せ て 平 行 四 辺 形 ・自分の考え方と比 とする。その平行四辺形の面積を半分にすれば三 べながら友達の説 角 形 の 面 積 が 求 め ら れ る と 思 い ま す 。」 明を聞く。 C :「 僕 も 同 じ 考 え 方 で 面 積 を 求 め ま し た 。」 C :「 僕 は 、 三 角 形 の 高 さ が 半 分 の と こ ろ で 切 っ て 、 上 半分の三角形をここに移して平行四辺形にすれば 公 式 を 使 っ て 面 積 が 求 め ら れ る と 思 い ま す 。」 C :「 僕 は 、 も う 1 つ 考 え ま し た 。 正 方 形 に し て 公 式 を 使 っ て 面 積 を 求 め ま し た 。」 T :「 今 ま で 習 っ た 面 積 の 求 め 方 を 使 っ て 三 角 形 の 面 積 を 求 め る こ と が で き そ う で す ね 。」 平行四辺形や正方形 など、今まで学習し た面積の求め方で、 三角形の面積も求め ることができる ○ 黒板に提示された面積の求め方を比べさせること 5 次時は、いろいろ で平行四辺形の場合と同じように面積を求める公式 な求め方から平行四 が 考 え ら れ な い か 投 げ か け 、次 時 へ の 意 欲 を 高 め る 。 辺形のように公式を T :「 平 行 四 辺 形 の 場 合 の よ う に 簡 単 に 面 積 を 求 め る 公 考えることを知り、 式 は 考 え ら れ な い で し ょ う か 。」 C :「 考 え ら れ る と 思 い ま す 。 ど ん な 公 式 に な る か な 。」 次の学習への見通し をもつ。 8 指導の実際(第6学年) 学習の内容・活動 1 直方体や立方体の ・・・教師の直接指導 わたり 指 ○ 体積に関する問題を 導 の 実 際 前時に学習した直方体と立方体の体積を求める公 式を確認し、問題を解くように助言する。 解き、前時の学習内 ○ 縦、横、高さ、の関係についても確認する。 容を確かめる。 ○ 児童に分かりやすく、しかも短時間で前時の学習 内容を振り返させるため、三面黒板の左側と右側に 資料を掲示しておき、本時の学習を進める際のヒン トとして活用する。 ○ プリント1、2、3という順序で問題を解き、順 次答え合わせも行っていくことを事前に確認してお く。 2 本時のめあてをつ ○ かむ。 本時の問題の立体の実物を実際に提示し、どうし たら体積を求められるかを意識させ追求意欲をもた せ る と と も に 、児 童 に 立 体 の イ メ ー ジ を つ か ま せ る 。 でこぼこした立体 T :「 こ の よ う な 形 の 立 体 の 体 積 は ど う や っ て 求 め れ の体積の求め方を 考えよう ば い い で し ょ う 。」 C :「 面 積 の 時 の よ う に 分 け て 考 え れ ば 求 め ら れ そ う だ な 。」 3 立体に線や数字を ○ 書き込み体積の求め 方を考える。 ・縦に立体を切って 2つの直方体に分け 法を考えようとする意欲をもたせる。 C :「 面 積 の 時 も 3 つ の や り 方 で 面 積 を 求 め た よ ね 。」 C :「 縦 に 分 け て 考 え て み よ う 。」 ○ れば求められる。 ・横に立体を切って 3つの求め方があることを知らせ体積を求める方 立体を分けるための線や長さを書き込みながら直 方体の体積の求め方を活用していくように助言する。 ○ 自力で取り組めないでいる児童や新たな方法を考 2つの直方体に分け えられない児童にはヒントコーナーに用意したプリ れば求められる。 ントや分割できる立体を参考にし ・大きな直方体から 実際はない部分をひ いて求められる。 て考えることを助言する。 4 体積の求め方を発 ○ 表しお互いの考え方 を検討する。 それぞれの体積の求め方を全員で見合いながら、 考え方のよさを検討する。 C :「 私 は 、 こ の 立 体 を こ こ で 縦 に 分 け て 2 つ の 直 方 体 の体積を求めてそれを合わせて全部の体積を出し ま し た 。」 C :「 い い で す 。 私 は 、 も う 1 つ 考 え ま し た 。 こ の 立 体 をここで横に分けて2つの直方体の体積を求めて そ れ を 合 わ せ て 全 部 の 体 積 を 出 し ま し た 。」 C :「 も う 1 つ あ る よ ね 。」 C :「 私 が 説 明 し ま す 。 こ こ に 直 方 体 が あ る と 考 え て 大 きな直方体の体積を出します。そこから、さっき 足した部分の体積を引けばこの立体の体積が求め ら れ ま す 。」 ○ 友達の発表を聞いても考え 方が分からない場合や 計算が 違う場合はお互いに教え合い、 納得できるようにする。 C :「 ど れ 、 見 せ て 。 こ こ の 計 算 が 間 違 っ て い る よ 。 だ か ら 足 し た と き に 答 え が 違 っ て く る ん だ よ 。」 C:「 あ っ 、そ う か 。も う 一 度 計 算 を や り 直 し て み よ う 。」 5 体積の求め方を確 ○ 認しまとめる。 今日の学習内容をめあてと照らし合わせて児童の 言葉でまとめていくようにする。 T :「 で こ ぼ こ し た 立 体 の 体 積 も 3 通 り の 方 法 で 求 め る 6 でこぼこした立体 ことができたね。自分たちできちんと確かめられ の体積は今まで習 てすごいですね。では、どのようにまとめたらい った直方体の体積 い で し ょ う か 。」 を合わせたり引い C :「 で こ ぼ こ し た 立 体 の 体 積 は ・ ・ ・ ・ 。」 たりして求めるこ T :「 こ の よ う な ま と め で い い で す か 。」 とができる C :「 い い で す 。」 次時は、本時の復 習のプリントから行 うことを確認する。 ○ 次時の学習にスムーズに取り組むことができるよ うに見通しをもたせる。 9 成果と課題 (1)複式の特性を踏まえた授業展開 ○ 本授業は、5,6年とも「図形」領域に関する内容である。5年生は平面図形の 面積、6年生は立体図形の体積についての学習である。教えるべき内容と考えさせ たい内容のめりはりをもたせ当該学年の学習内容を確実に定着させるために、5年 生の指導過程を基本として6年生の指導過程を考え、「わたり」「ずらし」「ひとり 学び」を計画的に位置づけ授業を展開した。また、どちらの学年の児童に対しても 個別に支援できるような同時間接指導の時間を確保した。 ● 授業案の中では「わたり 」「ずらし 」「ひとり学び」を計画的に位置づけ授業が 展開できるように考えたが、5年生の授業でお互いの考えの発表からまとめの段階 に考えていた以上に時間がかかり、なかなか6年生にわたることができなかった。 児童の実態把握の甘さと教材研究の不十分さが複式の場合は授業に及ぼす影響が大 きいということを痛感した。 (2)充実したひとり学びをさせるための指導の工夫 ○ 教師が直接指導に当たれない場面では、作業の手順を具体的に押さえてから一人 学びに取り組ませた。何をやるのかが明確になったことで進んで学習に取り組むこ とができた。また、プリントの学習の際には、問題の解答だけを用意するのではな く、解き方のヒントやポイントとなる点を書き込んだ解答を用意した。また、活動 に行き詰まった時のためにヒントプリントやヒントコーナーを準備し個人差に応じ て活用するように働きかけた。また、本単元の学習で活用したい既習内容をファイ ルしたものをそれぞれに持たせ、一人学びを助ける手立てとした。その他にも、友 達と話し合って解決のヒントを得る、教科書やノートで既習内容を確認する、など の手立てが自主的に生かせるような支援を意識がけた。 このように一人学びの時間を充実させるためのいろいろな手立てを考え授業に臨 むことができた。 ● ヒントカードやヒントコーナーでの具体物、半具体物の操作活動等、授業の中で 効果的と思われる支援のあり方を工夫することはできたが、その中から児童が何を 選択すればいいのか、また解決後の確かめの場でのヒントコーナーの活用のあり方 など充実した一人学びを深めていくための教師の働きかけが必要である。 (3)算数科の基礎・基本を定着させるための指導の工夫 ○ 図形領域の小学校1年から中学校3年までの系統性を事前に先生方で学習し、大 切な部分を理解することができたのは授業案を考えたり、指導に当たる際に教師自 身が学習内容の見通しをもつという点で大変有効であった。 ○ 指導単元について教師の学習ノートを作成し、気づいたことを書き込み、それを 評価規準表に書き込んでいくという過程を通して両学年の児童一人一人の学習内容 の定着の度合いを知ることができた。直接指導で十分に関わることができない場合 でも習熟の度合いを押さえる手立てとして有効であると思われる。 ● 達成基準を設け児童の定着の度合いを測ることはできたが、さらに児童の実態に 応じた支援方法の工夫を考えていかねばならない。特に達成基準 A に達した児童 への手立てを工夫していく必要がある。
© Copyright 2024 Paperzz