ホームページとSNSの連動による下関の観光情報発信(下関市)

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下関市
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ホームページとSNSの連動による下関の観光情報発信
下関商工会議所は昨年11月から観光情報を発
が複数提案されていることです。コースの提案
信する「旅プラン下関ダービー」事業に取り組
者の個性によって、食べもの、夜景、歴史、乗
んでいますが、さる7月5日、この事業が日本
り物等々、様々な切り口からの旅プラン設定と
商工会議所から「全国商工会議所きらり輝き観
なっています。それぞれ下図のようにルート絵
光振興大賞」の振興賞を受賞しました。
があり、その中のスポットの写真をクリックす
ると、そこを巡っているときの動画等をみるこ
●ホームページによる観光情報発信
とが出来ます(下写真)。これにより、バーチ
下関商工会議所は、ホームページ上に下図の
ャルな感覚で、下関を巡り歩いた際の様子がわ
ような「旅プラン下関ダービー」のページを開
かります。このバーチャルな体験を契機に、実
設しました。これは基本的に、下関の観光情報
際に下関を訪れてみようという意欲を喚起する
を市外に向けて発信するものですが、ユニーク
ことを狙っています。
なところは、単なる観光素材を写真と解説で並
べ立てたようなものではなく、地元の市民らに
よってお勧めの観光スポットを巡る観光コース
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やまぐち経済月報2013.8
●ダービーという仕掛け
●フェイスブック等SNSとの連動
このホームページの名前は「旅プラン下関ダ
さらにこの「旅プラン下関ダービー」は、フ
ービー」と、
「ダービー」という言葉が入って
ェイスブックやツイッターなどのSNS(ソー
います。これは、それぞれの旅プランの中でど
シャル・ネットワーキング・サービス)と連動
れが良かったか人気投票をして、その順位を競
していて、SNS上で、旅プラン下関ダービー
う仕掛けになっているからです。2度のダービ
の最新情報や、ホームページなどでは逐次更新
ーが終わり、現在、第3弾の旅プランを提案中
するのが難しいような下関の最新動向等が次々
です(第3弾は旅プランが一つのため、投票は
とアップされています(下図。SNSユーザー
休止中。なお、第1∼2弾ダービー時の旅プラ
でなくても、ネットで閲覧できます)。
ンも、ホームページ上に掲載されています)。
この人気投票とは別に、当該ホームページで
●SNSとの連動のインパクト
は閲覧者全般からアンケートを取る仕掛け(抽
実は、SNSと連動しているということが、
選による各種特典付き)も組み込まれています。
この観光情報発信事業の最大のミソです。前述
この回答情報を収集・分析することで、どの地
の日本商工会議所からの受賞においても、この
域のどのような人が下関の観光地情報に興味を
点が高く評価されました。というのも、SNS
持っているのかも把握できます。
には「シェア」や「リツイート」などを通じた
情報共有機能があるからです。この旅プラン事
業のSNSを直接見にきているのが主に下関市
民や山口県民であったとしても、その情報は、
共有機能を通じて県外・海外の人たちへと広く
拡散していきます。その中から、下関の観光情
報に関心を持ち、それでは下関に観光に行って
みようかという人が出てきます。
とかく、ホームページによる観光情報の発信
というものは、
「待ち」の発信になりやすいも
のです。いくら立派なホームページを作っても、
それを見にきてもらえなければ、何も始まらな
いからです。ところがこれにSNSがからむと、
情報が向こうからではなくこちらの方からどん
どん拡散していきます。本当の意味での
「発信」
事業となっているのです。
いちど旅プラン下関ダービーを覗きにいって、
新たな形での観光情報発信の仕組みを体験され
てみてはいかがでしょうか。
(宗近 孝憲)
Facebook版の旅プラン下関ダービー(タイムライン)
やまぐち経済月報2013.8
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