2015.7 ワイズスクランブル 洗濯槽の匂いの原因はマイコバクテリウム菌 ライオン、バイオフィルムの存在を確認 ー ワイズスクランブル ー 計で測定すると、悪臭がする洗濯機からは共通して硫黄化合物が検出された。 カビは発生していないのに、ユーザーが「カビくさい」と感じた事例もあった。 次に遺伝子配列をもとに菌の種類を特定する解析方法「次世代シークエンサー 法」を使用。長年使った洗濯槽の裏には、バイオフィルム(菌膜)が付着して いることが知られている。洗濯槽14台に付着したバイオフィルムを次世代 シークエンサー法で解析した結果、すべてのバイオフィルムからマイコバクテ リウム属の菌を検出した。マイコバクテリウム菌は細菌の一種で土や水の中に 見られるが、洗濯槽内のバイオフィルムの存在を突き止めたのは世界初だ。 マイコバクテリウム菌を培養したところ、バイオフィルムを構成する多糖と ともに、硫黄化合物も増えた。そこで洗濯槽の悪臭の主な原因はバイオフィル ムに存在するマイコバクテリウム菌であると結論づけ、3月下旬に開かれた日 本農芸化学会で発表。「最新の遺伝子解析技術を活用したことが、発見につな がった」 (大石真嘉研究開発本部ファブリックケア研究所副主任研究員)。 「洗 濯機メーカーは匂い対策の努力をしていると思う。それでも6ヵ月ほど使って いると菌は発生してしまう」(同)。 「洗濯槽は使っているうちにカビくさくなる」 「洗濯槽の匂(にお)いが衣類に移 る」という感覚を持つ人は多いが、洗濯槽の裏を目で実際に確認するのは難しい。 本当にカビの匂いなのだろうか―。ライオンは衣類用洗剤 「トップハイジア」 の開発、 改良をきっかけに、洗濯槽の匂いの原因を研究した。洗濯槽裏の汚れと匂いの関係 を詳しく研究した事例はこれまでにほとんどないという。 ◆【世界初の発見】 ライオンの研究所による快挙だ。 海外企業の香料でマスキングして臭い・匂い を目立たなくしたりフラワーの香り漂う製品 もあるが、老若男女が喜んでくれるものでもあ るまい。 洗濯槽のバイオフィルムに存在するマイコバクテリウム属の菌 ライオンでは家庭で2~15年間使った洗濯機14台の内部の気体を捕集 し、研究員が官能評価した。その結果、野菜の腐敗臭などに含まれる硫黄化合 物のような匂いが多いことが分かった。さらにガスクロマトグラフ質量分析 16 ライオンから洗濯槽のバイオフイルムを除 去する洗濯洗剤が開発されて発売される事を 心待ちにしたい。 17 ー ワイズスクランブル ー ジメジメした梅雨のお洗濯、憂鬱なのは洗濯槽から広がる嫌な臭い。わたし たちがカビの臭いだと思っていたら、実はこれ、マイコバクテリウム属の菌の 仕業だった。(日刊工業新聞を参照) 2015.7
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