問 次の文章は、グローバル化を進める日本企業で、外国人社員と働く

問
次の文章は、グローバル化を進める日本企業で、外国人社員と働く日本人社員につい
て述べたものです。以下の文章を要約したうえで、グローバル企業で働くためには何が必
要なのか、あなたの考えを述べなさい。(700∼800 字程度)
グローバル化を進める日本企業による外国人社員の採用が目立ってきた。「ユニクロ」
を展開するファーストリテイリングは2012年に1000人以上の外国人を採用する計
画で、楽天やソニーも外国人の採用を増やしていく。自分が勤めている会社で今後、外国
人の部下や同僚が増える可能性も低くはない。言葉のほかに、文化などの違いも超え、円
滑にコミュニケーションをとるコツを経験者に聞いた。
東京・港の高層ビルに拠点を構える日本マイクロソフト(MS)。世界の人材を積極登
用するソフトウエア最大手の日本法人で業務執行役員を務める青島伸治氏は、アメリカ人
の上司、シンガポール人や中国人の同僚、スリランカ人の部下ら、世界中の社員と日々仕
事を進めている。そんな青島氏が外国人同僚・部下とのやり取りで気を留めているのは「立
ち位置を明確にする点」という。青島氏は外資系企業を渡り歩いており、語学は堪能。そ
れでも「外国語で話す際は、ちょっとしたニュアンスの違いなどが通じにくいことがある。
イエスなのかノーなのか、こちらのスタンスを明確にした上で会話を進めた方が誤解が少
ない」と実感している。
一方で「外国人の部下や同僚が、文化・慣習的に大事にしていることに気付いてあげる
のも必要」だ。例えば、青島氏の部下の1人はスリランカ人。今年のイスラム教の断食月
(ラマダン月)が夏場で暑さも厳しい時期だったことを勘案し「初めの数日は家で過ごす
ように指示を出したほか、会議の時間を工夫するなどの配慮をした」という。
「本人との会話や仕事仲間とのやりとりなどを通じて、普段からお互いの『違い』を尊
重できる関係を築く必要がある」。青島氏の米国人上司は、家族に会うために帰国する際
の休暇の予定を「半年も前から部下に教えてくれ、チーム全体が安心して仕事ができるよ
うな環境を整えてくれている」という。
互いに違いを理解しておけば、文化の違いから休日が仕事と重なることなどがあっても、
チームとして支障なくカバーすることはできそうだ。青島氏は、文化、慣習など「違いを
お互いにオープンにすることが、外国人の部下や同僚と円滑に仕事をするコツ」という。
外資系企業の日本進出が相次いだことなどで、今や「上司が外国人」というケースは珍
しくなくなった。今後は、日本企業がグローバル化を進め、世界の人材を積極活用してい
くためにも、「外国人部下」との付き合い方を考えてみる機会が増えそうだ。
出典:田中暁人「外国人部下こう付き合う、文化・習慣…違い超え意思疎通――日本MS、
楽天トラベル。」2011 年 10 月 7 日、日経産業新聞 18 ページ (一部修正)
問
次の文章は、携帯電話の位置情報を使ったサービスについて説明しています。文章を
要約し、位置情報のメリットとデメリットについて自分の意見を述べなさい。(700∼800
字程度)
位置情報サービスをよく利用するという横浜市在住の男性会社員(44)は「いつも持
ち歩くスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)で自分の現在地を登録しています」。
男性会社員が使っているのが友人・知人と情報交換する交流サイト(SNS)米フェイス
ブックの日本語サービス。GPS情報などを基に現在地周辺のお店や施設の一覧を表示す
る。その中から居場所を登録し、住所や地図などの情報を友人らと共有する。「友人がよ
く行く店などがわかるし、いま友人がどこで何をしているかがわかって遊びに誘うのに便
利。初めて訪れた場所で店を探すのにも使えます」。
自分の居場所を知らせる相手は利用者が選べ、それ以外の人に情報は漏れない。フェイ
スブック側は位置登録した利用者の行動範囲や時間も把握でき、特定の時間帯で特定の場
所にいることが多い人に限定した広告を表示することも可能だ。今年6月から位置登録し
た店舗で割引などを受けられるクーポンサービスも日本で始めた。クーポン提供企業は集
客に利用できる。
飲食店の位置情報を友人とスマホで共有するサービス「一緒に食べよう。」を提供する
インフォリーフ代表取締役の古瀬幸広さん(50)は、次のように説明している。「誰が
どこにいるかという情報はネットを通じて実際に人が動くきっかけを作り、お店の集客や
地域の活性化につながります。そこで重要なのが、SNSなどを通じた人と人とのソーシ
ャル(社会的)なつながりです」。
「一緒に食べよう。」はスマホの位置情報と飲食店のデータベースを使い、その住所や
地図と一緒に「いまここで食事中」などといったコメントをフェイスブックやミニブログ
の「ツイッター」に登録できる。位置情報と、SNSなどを通じた友人・知人とのつなが
りが結びつくことで、より多くの人を実際に移動させることができるわけだ。
「これからも様々なサービスが増えそうですね」と質問すると、丸田さんは「課題はあ
ります。一つは、どう収益に結びつけるかまだ試行錯誤の段階なこと。そして、プライバ
シーの問題をどう考えるかも重要でしょう」と答えた。
8月末にある企業が始めたスマホ向けサービス「カレログ」が波紋を広げている。女性
が自分のつき合っている「彼氏」のスマホにアプリをインストールすると、そのスマホの
位置や通話相手の記録が分かってしまうというものだ。プライバシーの侵害だと問題視す
る声も出ている。
出典:宮田佳幸「あなたの居場所、みんなが見ている?――携帯に現在地登録、店探し(エ
コノ探偵団)」2011 年 9 月/17 日、 日経プラスワン 2 ページ(一部修正)
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問
皆さんは、BOP マーケットをご存知ですか?BOP マーケットとは、世界の人口を所得区
分でピラミッドを作った場合、年間所得が3000ドル以下の人たちを指します。日本企
業としては、食品会社のヤクルト社や味の素社、化粧品会社のマンダム社などの会社が、
BOP 層への浸透を図っているといわれています。次の文章を読んで、BOP 層とは何かを理解
し、フランス食品会社のダノン社の取り組みについてまとめた上で、自分の考えを述べな
さい。
(700∼800 字程度)
アジアの最貧国バングラデッシュ。湿地と水田が広がるのどかな村で、保冷箱を抱えた
女性がトタン板でできた質素な家々を回る。保冷箱には仏食品の「ダノン」の文字が見え
る。彼女が売っているのは、ダノンが開発した低価格ヨーグルト「シャクティ」だ。
価格は、日本円で約8円。低所得層の市場で受け入れられる水準で、なおかつ食料事情
の悪さで不足しがちなヨウ素や鉄、亜鉛、ビタミンなどの微量元素を必要量配合してある。
約500人の「シャクティ・レディー」が、一日平均3万4000食を販売する。
ダノンは貧困者向けに無担保少額融資を手がける地元金融機関と協力し、首都ダッカの
北西にヨーグルト工場を建設した。年内には2番目の工場も作る。
設備投資や資材費を抑え自家発電を使う。工夫の限りを尽くして2011年に単年の黒
字を目指す。ダノンがバングラディシュに投じた資金は2000万ユーロ(約26億円)。
投資に見合う利益は期待できないが「食を通して世界の人々の健康に貢献する」
(ダノン)
。
それは従来型の企業の社会貢献活動ではない。ダノンはシャクティを通じて最貧国での
事業ノウハウを獲得し、新興国ビジネスに役立てる。さらに時がたてば最貧国も新興国の
仲間入りをする。ダノン広報部は「人口1億5000万人の大市場に足場を築くことも狙
い」と話す。ダノンはカンボジアで飲料水生産、セネガルでは牛乳生産を手がける。
年間3千ドル(約27万円)未満で暮らす低所得層。ボトム・オブ・ピラミッド(BOP)
と呼ばれる人々は世界に40億人。これまでビジネスの世界では視野の外に置かれた BOP
と向き合い、ビジネスの手法で社会的課題を解決する。
欧州企業を中心にそんな動きが新たな潮流になってきた。インドではオランダのフィリ
ップスが格安のコンロを売り、ケニアではスウェーデンのエリクソンが自然エネルギーを
利用した通信基地局をつくる。
(中略)
金融危機の原因の1つは利益至上主義とされる。
「すべては利益のために」ではなく社会
からの尊敬や働く人々の誇りと利益を共存させる。欧州発の新思想をどう取り込むか。日
本企業の適応力が問われている。
出典:日本経済新聞、2010 年 1 月 3 日(一部修正)
問
次の文章は、解決が求められる社会的課題に取り組むことを事業の使命とする起業家
について書かれたものです。以下のセカンドハーベスト・ジャパンに関する文章を読み、
その取り組みの内容をまとめたうえで、そうした事業活動をどのように評価するか、あな
たの考えを述べなさい。
(700∼800 字程度)
品質に問題がないのに、
「メーカーなどの定める『販売期限』が迫っている。」
「ラベルの
印刷がずれた」
「輸送中にダンボールの外側がつぶれた」といった理由で、引き取り手がつ
かずに廃棄される食品ロスは、農林水産省の推計で年間500万トン∼900万トンにの
ぼる。ざっと1千万の人を1年間養える量だ。飽食ニッポンの象徴でもあるそんな「もっ
たいない」を、食料を必要としている人たちに届け、「ありがとう」に変えるフードバンク
の活動に取り組む。
コメやパン、野菜、菓子、飲料水・・・。08年にセカンドハーベスト・ジャパン(2
HJ)が扱った食品は850トン。日本発のフードバンクとして NPO 法人の認可を得た02
年は30トンほどだったから、長足の進歩だ。現在、定期的に食品を供給している企業は、
東京を中心にメーカーや外食チェーン、スーパーなど約60社、単発の寄付を合わせると、
延べ500社近い企業から食品を集めてきた。
中には配送もしてくれる企業もあるが、多くは2HJ が引き取りに行き、いったん JR 浅草
橋駅に近い倉庫に集めて、再びスタッフやボランティアが運転するトラックやバンで児童
養護施設などの施設、難民や一人暮らしのお年寄り、路上生活者を支援する団体へと運ぶ。
セカンドハーベスト・ジャパン理事長、チャールズ・マクジルトンさんは、「まだまだ満
足には遠い」という。無駄に捨てられている食品は、取扱量の1万倍。一方、経済的な理
由から、安全で栄養のある食べ物を一日3食きちんと取れない人は「少なく見積もっても
75万人」と、ショッキングな数字をはじいてみせる。食べ盛りの子どもを抱え、ギリギ
リの生活をするシングルマザーや、難民認定を申請中で働くことも許されない人たち。「本
当に困っている人は社会の隅で、声を潜めている」
(中略)
「サンタクロースでいるよりイエスのように彼らと同じ痛みを感じたかった」
。97年か
らは隅田川にかかる橋のたもとで15ヶ月間、ブルーシートのテントでホームレスを体験。
冬の晩、見知らぬ人から「毛布、要りますか?」と声をかけられ、初めてわかったことが
あった。屈辱とまでは言わないが、「手を差し伸べられる側」の複雑な心理。「配る側」だ
った自分のどこかに、相手を上からみるような気持ちがあったのではないかと気づかされ
た。
いまではフードバンクの活動を、誰にとっても不可欠で、もっとも身近な食べ物という
「道具」を、あたかもペンや傘、自転車を持ち合わせていない人に「使っていいよ、とい
うのと同じ感覚で供給しているだけ」と言ってのける。
(以下省略)
出典:2009 年 11 月 7 日、朝日新聞(一部修正)