ドイツ労災事故 2010 統計

国際機械安全関連情報
No.11-34/2011.09/Ni-Ka
ドイツ労災事故 2010 統計
企業の数が増えることにより、従業員が増え、そのため、労働時間が増える。そして、それにより、労災事故数も増
加する。そのため、DGUV(ドイツ法的損害保険組合)は、治療・リハビリテーションにより多く支出しなければならない。
DGUV がベルリンで発表した BG(ドイツ職業保険組合)と事故保険組合の経営・会計報告によると、2010 年、ドイツ経
済の回復が反映された一方で、労災事故を被るリスクが若干上昇した。また、労災事故の割合は 1,000 人の正規従
業員当り 24.3 件から 25.8 件に増加しリスクが上昇したが、労災事故数は 2008 年水準(1,000 人の正規従業員当り 26.8
件)以下となった。
DGUV が学生・名誉職の従業者・被雇用者を含む計 7,550 万人に保険を提供した絶対数は、前年比 0.7%増となり、
従事労働時間数は、3.2%増の計591億6,000万時間となった。また、報告義務のある労災事故数は、2010年、7.7%増
の 954,459 件となった。そして、労災事故による死亡数は、前年比 63 件増の 519 件となった。
DGUV 会長 Joachim Breuer 博士によると、経済回復により、必ずしも財政が得られる訳ではなく、より高い労働リズム
により事故リスクが上がる可能性がある。対抗策として、DGUV は、とりわけ全作業工程における労働安全の組み込み
を行うことへの投資を推奨している。また、Breuer 博士によると、中小企業は、健康への費用が増え、長期的に企業経
営上の負担となり得るため、今の時点で、予防方策における無償の労災保険を行うことが推奨される。
労災事故数が増えた理由として、ロジスティック・交通部門において、郵便投函人や新聞配達人も該当し、雪・凍
結期の冬から昨年末で集計されたことも挙げられる。また、冬季での滑り・落下の危険により、通勤時事故は、明らか
増加し 2010 年比 25.4%増の 223,973 件となった。死亡通勤時事故数は、2009 年と比べ 5 件増えた。
職業病
認定された職業病は明らかに増加し、22.1%増となった。Breuer 博士によると、その理由として、管理業務の変更が
挙げられる。つまり、認定された職業病の大部分は皮膚病であり、以前は、効果的に治療された皮膚病は、支払わ
れてはきたが、職業病として認められていなかった。現在改訂されて、認められるようになった。認定された職業病は
起因が確定されるが、職業課題などの認定に対する法的条件が欠けている。しかしながら、該当者は、治療と個別
予防サービスを受けることが出来る。
職業病認定は年金支払いが条件となり、年金は、就業能力の低下などの理由により、最低 20%支払われる。認定
職業病数は、2010 年、前年比 3.8%減で 15,461 件となった。また、6,123 人の被保険者が初めて職業病による年金を受
領した。職業病による死亡数は、前年比 10.2%減の 2,486 人となり、報告義務のある死亡数(2,092 件)の大部分は、主
にアスベストなど無機粉塵に起因している。
リハビリテーションと年金
DGUV は、2010 年、治療費・リハビリテーションに対し、被保険者に前年比 6.5%増の 36 億 7,600 万ユーロを支出した。
また、補償金に 1%増の 56 億 2,800 万ユーロが、予防方策に 9 億 1,100 万ユーロが使用された。
そのため、2010 年、治療・リハビリテーションへの支出増加を背景に、経営上 BG の分担金として、前年比 3 億 5,200
万ユーロ(3%)増の合計約 98 億ユーロを雇用者から調達する必要があり、その結果、2010 年、BG への平均保険料は、
100 ユーロ保険義務代償毎 1.31%から 1.32%へと上昇した。また、政府は、1.3%増の 12 億 3,800 ユーロの分担金を支
払った。
学校での事故保険
学校での事故保険により、171 億 2,300 万人の保育園・幼稚園児童、学生が保障されている。学校での事故保険を
管轄する事故保険組合と地方自治体事故保険組合への報告によると、2010 年、保育園・幼稚園・学校・大学での事
故数は 4.5%増の 1,307,348 件となった。割合としては、1,000 人の学生毎 76.4%(前年:73.3%)の学校での事故となる。
2010 年、学校での死亡事故は、前年比 8 件減の 6 件となった。また、報告義務のある通学時の事故数は、7.8%増の
124,572 件となり、通学時の死亡事故は、2009 年より 5 件増の 50 件となった。
背景:事故の報告義務
3 日以上労働出来ない場合、または、死亡に至った場合、労災事故、通勤・通学時の事故は、一般的な事故保険
では報告義務がある。また、学校・通学時の事故により医療治療が必要となる場合、または、死亡に至った場合、学
校での事故保険は、報告義務が生じる。
出所:DGUV Newsletter (26.07.2011)
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