シェイクスピアの生涯、作品、名言&名セリフ

第94回マイスターネット講演会
――シェイクスピアの生涯、作品、名言&名セリフ――
シェイクスピア生誕450年
2014年6月21日
永田 典子
参考文献
小学館
シェイクスピアは誘う
河合祥一郎著
岩波ジュニア新書
シェイクスピア名言集
小田島雄志著
新日本出版社
シェイクスピアの人間学
小田島雄志著
新日本出版社
シェイクスピアの恋愛学
小田島雄志著
新潮選書
深読みシェイクスピア
松岡和子著
ちくま文庫
「もの」で読む入門シェイクスピア
松岡和子著
新国立劇場 情報センター
日本/ 海外 作家略年譜集
第 94 回マイスターネット講演会
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シェイクスピアの生涯、作品、名言&名セリフ
Ⅰ. シェイクスピア年表
西暦(年齢)
1564
内 容
日本&世界の出来事
父ジョン 母メアリの 3 番目の子供、長男としてストラットフォ
1558 エリザベス 1 世即位
ード アポン エイボンにて誕生(4 月 23 日)
1560 桶狭間の戦い
1565(1)
父親は皮革加工業で成功。町会議員になる。
1567(3)
弟ギルバート誕生(1612逝去 46 歳)
1568(4)
父、町長就任
1569(5)
妹ジョーン誕生(彼女のみシェイクスピアより長生きする)
1571(7)
キングス ニュースクール入学。1579卒業(?)
1572(8)
妹アン誕生(1579逝去 7 歳)
1574(10)
弟リチャード誕生(1613逝去 39 歳)
1573 室町幕府滅亡
1577(13)
一家は経済的に没落。
1575 長篠の合戦
1580(16)
末弟エドモンド誕生。 ランカシャーで教師になった説あり
1582(18)
11 月 27 日、8 歳年上のアン・ハサウェイと結婚(姉さん女
天正少年使節渡欧
房) 今で謂う お目出た婚(?)
本能寺の変(織田信長死去)
スペイン、フィリピンを征服
1583(19)
5 月 長女スザンナ誕生。
1585(21)
2 月双子ハムネットとジュディス誕生。
1587(23)
地方巡業でストラットフォードに来た劇団に入り、妻子を残し
1588 イギリス、スペインの無敵艦隊
たままロンドンに出る。
を破る
1590(26)
ヘンリー6 世執筆(1589~1592)
豊臣秀吉天下統一
1592(28)
リチャード 3 世執筆。
1594(30)
宮内大臣一座に、役者兼座付き作家で参加。
1595(31)
ロミオとジュリエット執筆、上演。女王観劇(?)
1596(32)
息子のハムネット逝去(11 歳)
1597(33)
ヘンリー4 世執筆、上演。
1599(35)
テムズ川南岸にグローブ座が出来、株主となる。
1600(36)
ハムレット執筆。
1601(37)
父逝去。トロイラスとクレシダ執筆。
1604(40)
オセロー上演。リア王執筆。
1606(42)
マクベス執筆。
1607(43)
長女スザンナ、医師ホールと結婚。
1608(44)
初孫エリザベス誕生。劇場閉鎖。
1611(47)
ストラットフォードに帰郷(?) テンペスト上演。
1613(49)
グローブ座炎上。ロンドンで最後の不動産投資。
1616(52)
遺言状執筆、3 月 25 日署名。4 月 23 日逝去。
ヴェニスの商人執筆。
イギリス東インド会社設立。関が原の戦い
1603エリザベス1世死去。
No.1
イギリス、アメリカにジェイムズタウン建設
*
シェイクスピア異人説
シェイクスピアの作品に用いられた語彙や知識の多いことなどから、「大学に行かなかった田舎者であったはずがない」、と言う訳
で様々な別人、異人説が出ました。哲学者のフランシス・ベーコン、オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィァ、ダービー伯、クリストフ
ァー・マーロー、果てはエリザベス女王自身だった、というような説もありました。
Ⅱ.シェイクスピアの作品
①
歴史劇
③
喜劇
⑤
ロマンス劇
1
ヘンリー六世第 1 部
16
間違いの喜劇
31
ぺリクリーズ
2
ヘンリー六世第 2 部
17
じゃじゃ馬ならし
32
シムベリン
3
ヘンリー六世第 3 部
18
ヴェローナの二紳士
33
冬物語
4
リチャード三世
19
恋の骨折り損
34
テンペスト
5
リチャード二世
20
夏の夜の夢
6
ジョン王
21
ヴェニスの商人
35
トロイラスとクレシダ
7
ヘンリー四世第 1 部
22
から騒ぎ
36
終わりよければすべてよし
8
ヘンリー四世第 2 部
23
ウィンザーの陽気な女房たち
37
尺には尺を
9
ヘンリー五世
24
お気に召すまま
10
ヘンリー八世
25
十二夜
②
⑥
問題劇
ローマ史劇
④
悲劇
11
タイタス・アンドロニカス
26
ロミオとジュリエット
38
エドワード三世
12
ジュリアス・シーザー
27
ハムレット
39
サー・トーマス・モア
13
アントニーとクレオパトラ
28
オセロー
40
二人の貴公子
14
コリオレーナス
29
リア王
15
アテネのタイモン
30
マクベス
Ⅲ。シェイクスピア名言, 名セリフ
超有名セリフ
* 尼寺へ行くがいい。Get thee to a nunnery.
* もろきもの、お前の名は女… Frailty, thy name is woman.
* 生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ。 To be or not to be---that is the question. (以上。ハムレット)
* きれいは汚い、汚いは、きれい。 Fair is foul, and foul is fair.
(マクベス)
(ジュリアス・シーザー)
シェイクスピアの英語
thou-thy-thee-thine = you-your-you-yours
art = are
* お前もか、ブルータス! Et tu , Brute!
wert / wast = were
No. 2
1. どんな長い夜でもいつかはきっと明けるのだ。
マクベス 第4幕第3場
The night is long that never finds the day.
どんな荒れ狂う嵐の日にも時間はたつのだ。
マクベス 第 1 幕第 3 場
Time and the hour runs through the roughest day.
* Tomorrow is another day. 明日は明日の風が吹く。(菊田一夫?) 風とともに去りぬ
2.楽しんでやらなきゃ、何事も身に付きはしません。
じゃじゃ馬ならし 第 1 幕第 1 場
No profit grows where is no pleasure ta’en.
3.リア:だれでもいい。教えてくれ。わしは何ものだ? 道化: リアの影法師だい。
Lear: Who is that can tell me who I am?
リア王第 1 幕第 4 場
Fool: Lear’s shadow.
4.悲しみは一人では来ない、必ず連れを伴ってくる。 One sorrow never comes but brings an heir,
その悲しみの跡継ぎとなるような連れを。
That may succeed as his inheritor.
ペリクリ-ズ 第 1 幕第 5 場
…What the declined is,
5.落ち目になった人間は
自分で落ちたと感じるより早く、他人の目の中に
He shall as soon read in the eyes of others
それを読み取る。 トロイラスとクレシダ 第 3 幕第 3 場
6.人はほほえみ、ほほえみ、悪党たりうる。
As feel in his own fall.
ハムレット 第 1 幕第 5 場
One may smile, and smile, and be a villain.
But jealous souls …
7. 嫉妬深い人は…理由があるから嫉妬するのではなく、
嫉妬深いから嫉妬するのですもの。
They are not ever jealous for the cause,
オセロー第 3 幕第 4 場
But jealous for they are jealous.
こいつ(嫉妬)は緑色の目をした怪物で、人の心を餌食
とし、それを弄ぶのです。
It(Jealousy) is a green-eyed monster which
The meat it feeds on.
8. 敵のお蔭でいいめを見、友達のお蔭で悪いめを
The better for my foes, and the worse
見ているところだ。
for my friends.
十二夜 第5幕第1場
*十二夜とは、クリスマスから数えて十二日目、顕現日(神が現れる日)の夜
ないしはその前夜を指す。
9.言葉、言葉、言葉。
ハムレット第2幕第2場
Words, words, words.
言葉、言葉、ただの言葉…心はこもっていない。
Words, words, mere words, no matter
トロイラスとクレシダ
10. 戦争には一番後から、宴会には真っ先かけてだ、
これが腰抜け武士と食いしん坊の守るべき掟だ。
from the heart;
To the latter end of a fray and the beginning of a feast
Fits a dull knight and a keen guest.
* 名誉て何だ?言葉だ。…その名誉ってやつは何だ?空気だ。What is honour? A word….What is that honour?
ヘンリー四世 第4幕第2場/ 第5幕第1場
No.3
Air.
Ⅳ。名場面
1.マクベス 第5幕第5場
魔女に王になるとそそのかされ、妻とともにその道を駆け上ろうとして悪事を重ねるが、「人情の甘い乳が多すぎる」、と
妻に言われていたマクベスは、破滅の道に転げ落ちる。まさに一心同体だった妻の死を知らされた時のセリフです。
To-morrow, and to-morrow, and to-morrow,
明日、また明日、また明日と時は
Creeps in this petty pace from day to day,
小刻みな足取りで1日1日を歩み
To the last syllable of recorded time;
ついには歴史の最後の1瞬にたどり着く、
And all our yesterdays have lighted fools
昨日という日は全て愚かな人間が塵と化す
The way to dusty death. Out, out, brief candle!
死への道を照らしてきた。消えろ、消えろ,束の間の灯火
Life’s but a walking shadow, a poor player,
人生は歩き回る影法師、哀れな役者だ。
That struts and frets his hour upon the stage,
出番のうちはふんぞり返って騒ぎ立てても、
And then is heard no more. It is a tale
その後は何も聞こえず、消えてしまう。
Told by an idiot, full of sound and fury,
大馬鹿者の語る物語だ。響きと怒りはすさまじいが、
Signifying nothing.
意味は何も無い。
2.ロミオとジュリエット 第2幕第2場 有名なバルコニーの場面。有名と言えば余りにも有名なジュリエットのセリフです。
O Romeo, Romeo, wherefore art thou Romeo? ああ,ロミオ、ロミオ、なぜあなたはロミオなの?
Deny thy father and refuse thy name;
お父様と縁を切り、ロミオと言う名をお捨てになって。
Or thou wilt not, be but sworn my love,
それが無理なら、せめて私を愛すると誓って。
And I’ll no longer be a Capulet.
そうすれば私もキャピュレットの名を捨てます。
…………………中略…………..
‘Tis but thy name that is my enemy;
私の敵は、あなたのお名前だけ。
Thou art thyself, though not a Montague.
モンタギューでなくてもあなたはあなた。
What’s Montague? It is not hand nor foot,
モンタギューって何?
Nor arm nor face, nor any other part
腕でも顔でも人のどんな部分でもない。
Belonging to a man. O, be some other name!
ああ、だから別の名前にして。
What’s in a name? That which we call a rose
名前がなんだというの?
By any other word would smell as sweet.
別の名前で呼んでも、甘い香りは変わらない。
3.ハムレット
第5幕第2場
手でも足でもないわ。
バラと呼んでいる花は
オフィーリアの兄のレアティ-ズとの御前試合前、
友人ホレイショーに、
「気が進まないならやめたらどうか」、と言われて。
その必要は無い。前兆など気にしても始まらぬ。
Not a whit, we defy augury: there is a special
Providence in the fall of sparrow. If it be now, ‘tis not
雀1羽落ちるのも神の摂理。来るべきものは
to come; if it be not to come, it will be now; if it be not
いずれ来る、後でなければ今だろう、今でなく
now, yet it will come ---- the readiness is all. Since no man ても、来るものは来る。覚悟が肝要。
owes of aught he leaves, what it’s to leave betimes? Let be. 捨てるべき命について何も分かっていないの
だから、早く捨てたってどうというのか?ままよ。
No.4
4.リア王
第1幕第1場
愛情比べのシーン
リア王は、全てを若い力に委ね、引退して余生を過ごそうとする。親を思う心の最も深い者に最も多く委ね
ようとして、3人の娘、ゴネリル、リーガン、コーデリアに、気持を尋ねる。2人の姉は「言葉では言い尽せ
ない程父親を愛している」と言うが、末っ子のコーデリアは…。
Cordelia.
[Aside]
ああ、哀れなコーデリア!
Then poor Cordelia !
And yet not so; since I’m sure my love’s
でも、哀れなんかじゃないわ、私のお父様への愛は、
More ponderous than my tongue.
言葉では表せないほど深いのですもの。
Lear.
……
Now, our joy,
…………
さて、わが喜びよ。
Although our last and least; to whose young love
一番末の、おちびさん。お前の若き愛を
The vines of France and milk of Burgundy
フランスの葡萄と、ブルゴーニュのミルクが
Strive to be interess’d; what can you say to draw
A third more opulent than your sisters? Speak.
Cordelia.
Nothing, my lord.
競い合っている。姉さん達よりもっと豊かな
三分の一を得るためにどう言うかな?話せ
言うことは何も。
Lear. Nothing!
何もない!
Cordelia. Nothing
何も。
Lear. Nothing will come of nothing. Speak again.
何も無いところから何も出てこぬぞ。言い直せ。
5.テンペスト
第4幕第1場
ミラノ大公プロスペローは、弟とナポリ王の陰謀により娘のミランダと、孤島に追放される。
魔法を身に付け、嵐(the Tempest)を起して、弟やナポリ王たちの乗った船を転覆させる。ナポリ王達一行が
島に上陸する。ナポリ王の息子ファーディナンドとミランダが恋に落ち、物語は大団円。
Our revels now are ended. These our actors
(As I foretold you) were all spirits, and
余興はもうおしまいだ。今の役者たちは、
(前に言ったように)みな精霊だ。
Are melted into air, into thin air,
空気、薄い空気の中に溶け去ってしまった。
And like the baseless fabric of this vision,
そして、空中楼閣とも呼ぶべき今の幻影と同じに、
The cloud-capp’d tow’rs, the gorgeous palaces,
雲を戴く等、豪奢な宮殿、
The solemn temples, the great globe itself,
厳かな寺院、偉大なる地球それ自体
Yea, all which it inherit, shall dissolve,
そう、この大地にあるものは全て、消え去るのだ。
And like this insubstantial pageant faded
そして、今の実体のない見世物が消えたように、
Leave not a rack behind. We are such stuff
あとには雲ひとつ残らない。私たちは
As dreams are made on; and our little life
夢を織り成す糸の様なものだ。そのささやかな人生は、
Is rounded with a sleep.
眠りによって締めくくられる。
No.5