どのようにコーティングするの?

開発部 中西智昭 Series
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どのようにコーティングするの?-3いろいろなコーティング
もちろん、粉体塗装の場合も、各塗装後にオーブンに入れ、熱
フッ素樹脂コーティングは一般的に、二つに大別されます。
によって溶融成膜する必要があります。
一つは薄膜コーティングで、他は厚膜コーティングです。
厚膜のコーティング方法
ここで、薄膜コーティングとは言葉通りに膜厚の薄いコーティン
厚膜コーティングには多量のフッ素樹脂が必要なため、必要
グで、一般的には100μm以下のコーティングを指すことが多いよ
成分の濃度の高い粉体塗料が用いられることが薄膜コーティン
うです。 薄膜コーティングでは、
フッ素樹脂の表面特性を利用
グよりも多くなります。
する目的で使用されます。
もちろん、絶縁性の高いフッ素樹脂粉体塗料でマイナス帯電
たとえば、PTFE樹脂では低摩擦性、摺動性の特徴が顕著で、
しやすく、静電粉体塗装が一般的です。
FEP樹脂では非粘着性、離型性に優れています。
しかし、比重が高いせいも有るのか、塗装一回分の塗着膜厚は
他方が厚膜コーティングで、
ピンホールレスを目的とした膜厚の
20∼50μm程度です。
厚いコーティングとなります。特に、樹脂ライニングの業界では、
これらより、塗着しやすい塗料の場合でも600μmアップの膜厚
250μm以上の膜厚のピンホールレスのコーティングを「ライニン
を得るためには、600÷50=12回(ばらつきを考えると、十数回)
グ」
と称し、耐食性に優れた物というイメージを強調しています。
以上の、静電粉体塗装+焼成を繰り返す必要があります。
この厚膜コーティングには、厚膜施工性の良い2フッ化樹脂、
塗装回数を節約し、
より厚膜コーティングを容易とする、
いろい
ETFE樹脂、及びFEP、PFA樹脂が使用されます。
ろな検討が行われています。
薄膜のコーティング方法
一つが、予熱塗装方法です。
まず、薄膜コーティングの作り方について述べたいと思いま
これは、被塗装物をフッ素樹脂塗料
す。
の融点以上に昇温しておき、
その状態
この時、塗料の形状により大きく二つに大別されます。一つ
で塗装しオーブン内に戻すことによっ
は、液状の塗料で、
フッ素樹脂の粒子をコロイド状態に液中に浮
て、短時間でフッ素樹脂を溶かし、短
かべた物、他の樹脂溶液にフッ素樹脂粉末を混合した物等が上
時間で何度も塗装することによって、
げられます。
施工期間を短縮する方法です。
これらの一般的な塗装方法はエアスプレ
熱容量が大きな被塗装物に対する外面塗装に適しますが、
ー 法で、加圧エアによって霧吹きの原理によっ
被塗装物には大きな熱ストレスが与えられますため、高精度が求
て塗装する方法です。
められる被塗装物には適しません。
また、塗装性の点でタンク等
他には、静電気印加スプレー法、
エアレス
の内面施工には適さない場合が多くあります。
スプレー法、
ディップ
(浸漬)、流し込み法があ
対して、
タンク形状の被塗装物内部に塗料を投入し、
オーブン
ります。 どれも液状の塗料を被塗装面に
内で二軸回転させながら、
タンク内面に厚膜コーティングを塗着
静電粉体塗装法
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回転ライニング
付着させ、液体を乾燥させた上で、
フッ素樹
させる回転ライニング
(ロトライニング)法が有ります。
これは、
タン
脂を熱によって溶融成膜します。
ク形状内部に短時間で、1∼3mmという厚膜が可能な方法で
なお、
エアレススプレーは高い加圧によって霧化させる方法の
す。
しかし、回転させるという施工方法から外面への塗装には
ため、PTFE樹脂に代表される繊維化しやすい塗料を使用する
向きません。
と、繊維化しチップが詰まる問題があります。
また、粉体塗料を界面活性剤等を利用し、濃厚な液状スラリ
他方は粉体塗料で、静電気を印加して塗着させる、静電粉体
ー塗料とし、静電粉体塗装よりも一度に厚く付ける手法がありま
塗装法が一般的です。
す。
この方法は特に静電印加の出来ない電気導通性のある充
この方法は、粉体塗料が塗着した箇所は電気的に中和され、
填材を含んだ塗料についても厚膜塗装出来るメリットがありま
塗料の塗着が抑制されるため、膜厚の均一性が計れます。
す。
しかし、被塗装物の角部・突起箇所では電気力線の集中によ
そして、
どの方法を取っても、塗装後にはオーブン内でフッ素
って厚く塗着し、凹部・穴内は電気力線が入っていかないため
樹脂を溶融させ成膜する必要があり、
これを所定の層構成で、
塗着がほとんど発生しない現象に注意する必要があります。
所定の膜厚仕様まで繰り返して行く必要があります。
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