IMF の概要 国際通貨基金(IMF)は、国際金融の安定性と金融に関する協力の推進に取り組ん でいます。また、国際貿易の促進、高い雇用水準と持続的経済成長の促進、そして 貧困削減の実現に向け尽力しています。IMF は、188 カ国で構成され加盟国政府に 対 して責任を負っています。 「IMF」または「ファンド(Fund)」として知られる国際通貨基金は、1944 年 7 月にニュー ハンプシャー州ブレトンウッズで行われた国際連合の会議にてその設立が提案されました。会 議に出席した 44 カ国は、1930 年代の世界恐慌の原因となった通貨切り下げ競争を繰り返さな いよう、経済協力の枠組みの構築を目指しました。 IMF の責務:IMF が担う第一の責務は国際通貨制度の安定性の確保です。国際通貨制度とは、 世界の国々(そして国民)が相互に取引を行なう上で不可欠な、為替レート制度、及び多国間 決済制度を指します。 サーベイランス:国際通貨制度の安定の維持及び危機の防止に向け、IMF は各国の政策や、 国・地域、そして世界的な経済・金融の状況を、サーベイランス(政策監視)と 呼ばれる正規 のシステムを活用しレビューしています。IMF は 188 の加盟国に対し政策助言を行い、経済の 安定の促進、 経済・金融危機に対する脆弱性の軽減、さらには生活水準の向上の実現に向けた 政策を推奨します。また IMF は、世界的見通しについては世界経済見通し(World Economic Outlook)のなかで、金融市場に関しては国際金融安定性報告書(Global Financial Stability Report)のなかで、そして国家財政の動向は財政モニター(Fiscal Monitor)で定期的に分析を 行っており、また一連の地域経済見通しも発表しています。 金融支援:加盟国が国際収支上の問題を是正するための余地を持つことができるよう、IMF は 加盟国に対し金融支援を行います。当該国の当局は、IMF との密接な協力の下、IMF が金融支 援する調整プログラムの計画立案を行い、これらプログラムの効果的な実施に基づき金融支援 の継続の可否が判断されます。世界危機に対応するために、IMF は融資能力を強化し、2009 年 4 月に金融支援メカニズムの大幅な見直しを承認し、2010 年と 2011 年に更なる改革を採択 しました。こうした改革は、危機予防の強化、システミックな危機の際の伝播の緩和、そして 各種制度を加盟国のパフォーマンスと環境を基に調整することを焦点としていました。第 14 次クォータ一般見直しのもとでのクォータ増額の実現の後、IMF の非譲許的融資制度のもとで の利用限度額が 2016 年のはじめに見直され拡大されました。世界のより貧しい国々への金融 支援を拡大するため、貧困削減・成長トラストを通し低所得国が利用できる譲許的融資の財源 が、2009 年に大幅に拡大されました。一方、IMF 譲許的融資制度の平均的な利用限度額が倍 増になりました。さらに、2015 年にはアクセス基準と利用限度が 50%拡大しました。こうし た融資は、2016 年末まで金利がゼロとなっています。また緊急融資の金利は恒久的にゼロに 設定されています。最後に、IMF の譲許的融資活動を支えるため、約 150 億ドル(110 億ドル SDR)の追加的な融資財源を確保するための取り組みが進められています。 コミュニケーション局 ワシントン D.C. 20431 電話 202-623-7300 ファックス 202-623-6278 URL:http://www.imf.org/external/np/exr/facts/glance.htm 2 技術支援:IMF が行う技術支援や研修は、租税政策や租税管理、支出管理、金融・為替政策、銀 行・金融システムの監督と規制、法的な枠組みや統計などを含む分野で、加盟国による効果的な政 策の立案と政策実施能力の強化を支援します。 SDR:IMF は加盟国の準備資産を補完する手段として、特別引出権 (SDR) と呼ばれる国際 準備資産を配分します。SDR 配分の累積総額は、約 2,040 億 SDR(約 2,830 億米ドル)に達 しています。SDR は加盟国間で任意で通貨と交換することも可能です。 財源:IMF の主な財源は加盟国からのクォータ(出資割当額)であり、クォータは各加盟国の 世界経済における相対的規模を概ね反映しています。最近の第 14 次クォータ一般見直しの実 現により、クォータ財源は総額約 4,670 億 SDR(約 6,500 億米ドル)となっています。さらに、 IMF はクォータ財源を補完するために、一時的に借入することができます。新規借入取極 (NAB)により、1,820 億 SDR(約 2,530 億米ドル)までの補完的な財源を確保することがで き、クォータの主要なバックストップとしての役割を果たします。加盟国はまた、2012 年中ご ろに、IMF 加盟国は、二者間の借入取極により、IMF の財源を増強するとの誓約を明らかにし ました。現在約 2,800 億 SDR(約 3,870 億ドル)が発効しています。 ガバナンス及び組織:IMF は各加盟国政府に対して説明責任を担っています。 IMF 組織の頂点 には総務会があり、一般的に中央銀行や財務省から選ばれた各加盟国を代表する総務 1 人・総 務代理 1 人により構成されます。 総務会は年に 1 度開催され、IMF・世界銀行の年次総会の際 に開かれます。さらにそのうち 24 人は、通常年 2 回開かれる国際通貨金融委員会(IMFC)に 出席します。 IMF の日常業務は、24 カ国により構成され全加盟国を代表する理事会の指揮の下で行われます。 日常業務は IMFC の指針のもと、IMF のスタッフ がサポートします。IMF 専務理事は、IMF ス タッフを統括するとともに理事会の議長を兼任します。またこれを 4 人の副専務理事が補佐し ます。 3 IMF に関する基本情報 加盟国数:188 カ国 本部:ワシントン D.C. 理事会:国もしくは国のグループを代表する理事 24 人 スタッフ:148 カ国より約 2,663 人 クォータ合計:6,500 億米ドル(2016 年 3 月 9 日現在) 公約・合意済み追加財源:6,420 億米ドル 現在の融資取極に基づく合意済融資(2016 年 3 月 10 日現在):1,200 億米ドル、うち融資 未実行残高 1,080 億米ドル(表を参照のこと) 最大借入国(2016 年 2 月 29 日現在での残高):ポルトガル、ギリシャ、ウクライナ、アイル ランド 最大予防的融資(2016 年 3 月 10 日現在での合意額を基準):メキシコ、ポーランド、 コロンビア、モロッコ サーベイランス協議:2013 年-130 協議、2014 年-132 協議、2015 年-124 協議 技術支援:2013 年度-274 人年、2014 年度-285 人年、2015 年度-288 人年 主要責務: 国際的通貨協力の推進 国際貿易の拡大とバランスの取れた成長の促進 為替の安定の促進 多国間決済システム確立の支援 国際収支上の困難に陥っている加盟国への (適切なセーフガードを伴う) 財源提供 この情報は 2016 年 3 月現在のものです。
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