情報経済論 学年末レポート 金曜日 第5時限 望月 宏 先生 学籍番号 名前 E050714C 羽入田 貴治 論題 インターネットが変える情報ネット ワーク社会の未来と経済社会のしくみにつ いて 1 目次 はじめに(このテーマを選んだり理由など) 第一章 第一節 第二節 第三節 インターネットの概要について ネットワークの経済外部性について インターネットが産業組織に与える影響についてなど 第二章 第一節 第二節 インターネットの概要と社会的資本としての重要性 社会整備資本・情報インフラの日米の整備・構想経過 情報インフラの整備について インターネットをめぐる標準化 まとめ 参考文献・参照・その他 2 はじめに インターネットは、アメリカ合衆国の全米各大学、 米国防総省により、専用回線でのコンピューターネ ットワークであるARPANETにその起原を得て いる。学術的、或いは軍事的利用の目的と実験段階、 実用初期段階ではかんがえあられていた。つまりは、 アメリカ、旧ソ連の冷戦が生んだともいわれるもの である。例えば、利用の具体的な方法としては非常 事態の電話線以外の情報伝達資本の主な利用を考え ていたのである。 しかし、何より注目したいのは、その普及のス ピードにある。規格を公開することにより、社会的 に見ても経済的に見てもコストが低く抑えられ、技 術が一般化したことは、言うまでもない。現在に至 っては、商用にその注目が集まるが、見落してはな らないのは経済的、政治的影響ではないかと思う。 ネットワークの社会が与えるインパクトは、産業構 造をも変化させることもでき得る。 3 その、個々のネットワークが作る、コミュニテ ィーがよりグローバルに、より多様性を持って社会 に広がりつつある現在のインターネットをさまざま な角度から経済的視点で捕らえることにより、経済 情報社会の自分なりの考察が得られればよいと思う。 また、企業内でも情報投資が顕著に伸びが著し い現在、インターネットは本当に情報通信産業の中 でその核となり得るのだろうか。その点でインター ネットが標準化を進めていく上で、情報投資が情報 通信産業以外の産業にも波及していくためにどのよ うな政策や経済的な問題を含んでいるのか考える事 ができると思う。 4 第一章インターネットの概要と社 会的資本としての重要性 ここではインターネットの持つ経済的な影響につ いてその成り立ち、社会的資本としての情報産業の 中でインターネットはどのような位置にあるのかを 考えていきたいと思う。 第一節 インターネットの概要について インターネットの起原は1969年のARPA N E T( advanced research project agency network)の実験が最初で、1980年に始まったC Sネット(computer science network)を経て、現在 に発展している。もともとは科学者同士のコミニュ ケーションに使われていた。 そして、コンピューターの技術が飛躍的に発展し たのをきっかけに、様々な形でインターネットは発 展してきた。その理由として、パソコンの普及と、 その簡易性にあると思われる。パソコンの普及は、 5 データを個々に貯えられると言う事と、家庭や企業 のコミニケーションに広がりがあったと言う事だろ うか。簡易性と言う点では、ドメイン(アドレスに よってデータのある場所を簡単に示す事ができる) や電子メールなど、日常性を持った利用方法が現在 までに確立されてきている。 インターネットで利用できる現在の主な内容は、 電子メール、電子掲示板、ファイル転送、リアルタ イムメッセージ交換、映像や音声などの配信までも 含めて、まさにマルチメディアそのもの堕ともいい きれるといえる。それらの技術も技術的に普通のパ ソコンでもできるものだからこそ普及につながって いる。 インターネットはまた世界約140カ国で接続 され、利用者数は4000万から5000万人へと 推移している。そのスピードは目をみはるものがあ り、毎月計算で言うと15から20万人もの接続回 線数を増やしている。 6 接続時間で言うとアメリカでは週10時間程度、 日本では2時間弱である。また、インターネット内 での昨年の広告の売上高は、アメリカでざっと13 00億円、日本では40億円にも満たないだろうと 見られている。そこで考えておかなければいけない 事は、日米の比較だけではなく、その背景にあるコ ストの問題である事は確かである。 7 第二節 ネットワークの経済外部性について インターネットの中には様々な情報がネットワー ク内でいきかいして(流通)いるが、その情報と言 うものは経済社会のなかでどのような影響を及ぼす のか、また、情報のもつネットワークでの経済効果 を考えてみる。 まず、その情報がもつ市場での価値が経済でど のような影響をあたえるかは非常に重要な問題であ る。情報が持つ市場での価値は、その情報を様々な 経済主体が共有する事によってきまる。つまりはネ ットワークにおいてどんな情報を得るかどうかによ ってその価値は決まる。どの経済主体がどのネット ワークに属しているか、現在では経済に限らず様々 な価値を決める判断基準になっている事は言うまで もない。 そこで、インターネットはそのネットワークを 席巻し、産業構造にも影響を与えている。そのイン ターネットが情報価値において不確実なものを確実 8 に換える。ネットワークつまりインターネットは、 その点において最適配分を可能にするか、不可能に するかの判断に最適だと言える。 9 第三節 インターネットが産業組織に与える 影響についてなど 第一次、第二次、第三次産業、それぞれにおい て企業内の情報投資が盛んな現在において、ネット ワークが企業や、産業界に与える影響について考え るのは極めて有効である。 企業内でのネットワークの広がりは、産業組織に どのような影響を与えるのだろうか。又、経済的影 響はどういった形で市場にインパクトをもたらすの か。 まず、技術的な進歩が先決であるが、大事な要素 であるのが、双方向で接続されていると言う事だ。 それによってつながれた企業内の情報のやりとりが スムーズになる事は言うまでもない。 ネットワーキングが企業内の組織編成を変える 事ができ得るのは、ネットワーキングそのものが持 つ組織をよりフラットにするちからがあるからであ る。たとえば、企業内のトップダウンが効率的にな ったり、連絡事項が場所を選ばずどこでもできるな 10 どさまざまである。 11 第二章 社会整備資本・情報イン フラの日米の整備・構想経過 情報投資としてインターネットはどのような経緯で 作られてきたのかを中心に述べていきたいと思う。 又、日米の社会的インフラとしての通信網をどのよ うに整備してきたのかを考え、また標準化を進める のかを考察していきたい。 第一節 情報インフラの整備について NTTは90年に、I SDN(総合デジタル通信網 =Integrated Services Digital network) 事 業 の 延 長線上として2015年までに各家庭に光ファイバ ー 網 を 敷 設 す る F T T H(フ ァ イ バ ー ト ゥ ― ザ ホ ー ム)計画によってマルチメディアを利用した高度情 報 通 信 網 時 代 を 築 く と い っ た V I & P( ビ ジ ュ ア ル・インテリジェント・アンド・パーソナルコミュ ケーション)構想を打ち出した。 12 日本ではあまり注目されなかったことは言うまで もない。 一方、海外、特にアメリカでは大きな衝撃を与え、 日本国内よりもVI&P構想が注目された。特にゴ ア副大統領は、NTTのこの計画には大きなショッ クを受けたといわれている。それは父親が上院議員 時代に、全米に郵便配達網を整備するという目的の ために1950年に国家予算でインターステートハ イウェイを整備したが、目的以外の効果としての自 動車通勤の普及と郊外住宅地の発展、巨大な自動車 産業の創出、そして米国の圧倒的な産業競争力がえ られた。 そのことから、ゴア副大統領は、VI&P構想 を参考にして情報通信時代の通信のハイウェイを建 設し、80年代後半に弱まってしまった米国産業の 競争力を再び強化する構想を持った。91年には通 称HPCC(高性能コンピューティング・通信)法 を打ち出している。 13 I SDN(総合デジタル通信網) の敷設では日本 におくれをとったことになるアメリカだが、アメリ カには普及率の高いケーブルテレビ網や、商業用の 通信網があることが解り、これが情報通信ハイウェ イに利用できることが次第にわかってきたのも確か にある。ゴア副大統領も最初は国家資金で情報通信 ハイウェイを計画していたが、民間企業の反発や、 利害対立の弊害がある状況を考慮してネットワーク の構築は民間主導に任せ、政府は環境整備やその他 の調整にそのちからをはっきすることになった。 93年には「技術イニシアチブ」の発表を行い、 情報基盤整備計画をねりあげた。 そして、国家情報基盤(NII)という一般に知 られている構想にいたる流れとなっている。そこで は、日本の2015年よりも5年早くの計画達成を 年限とする2010年の達成を掲げている。ここで も日本を意識してよりはやくの達成をうたっている のは明白な事である。 14 国家情報基盤(NII)の構想には、アメリカ の経済発展意欲と、その国際的な競争能力の強化に ある。さらに、国家情報基盤(NII)構想をさら に進めて、GII(全地球的情報基盤)構想と言う ものをゴア副大統領は打ち出してもいる。 15 第二節 インターネットをめぐる標準化 デファクトスタンダード(事実上の標準)をめぐ る動きは、インターネットを取り巻く環境の内外で 様々であるが、国際的な経済的影響を中心に考えて みる事にする。標準化はもちろんクリティカルマス にいかに早く達するかが問題となってくる。環境整 備があらゆる経済主体で急務だが、政府が最もその 力を発揮することができるのは明らかである。 アメリカでは現在、インターネットを取り巻く環 境の中で最も注目されているのが、マイクロソフト 社とネットスケープ社のインターネット用の閲覧用 ソフトである。司法の判断にその結果を委ねてはい るが、世界共通の支配的な標準となり得るのは、す べて消費者の判断に任せるべきであるとも考えられ る。 html(インターネット上での記述言語)の 規定は世界的な国際機関によって決められているが、 その技術が一般の消費者に届けられるスピードが以 16 前とはまったく違ってきているのもその抗争の背景 にある。そこで次のような事が考えられるのである。 まず、国際的な枠組みを作る必要があるのは確 かだが、インターネットの目的、利用の両面で民間 の企業がイニシアチブをとっているのは確かである。 その点で、ある一国が規制緩和や具体的な枠組みを 提示するなどすると、他国にも波及する。 しかし、いくら経済的な効果が認められても、日 本国内での絶対的な技術的問題や限界があることは 確かである。たとえばイギリスでは放送業者と通信 業者の垣根がないが、日米両国を始め、先進各国の 中でもそのような国はない。いずれ追随すると思わ れるが、技術的な進歩が国境を越えている現在、そ して未来においては、標準化と言う問題は、政府、 民間両者において経済的行動をよりグローバルにし ていく事は間違いない。 国際競争と言う事に関して言えば、先に延べた ように情報インフラを整備しようと言う点において は日本のほうが早くその構想を打ち出していたにも 17 かかわらず、アメリカに後れをとっている。現在の 状況を考えてみれば、いかに標準化を捉えていくう えでのよいその具体例だと言えるのではないだろう か。 18 まとめ インターネットに関する様々な角度から考察してみ て考えた事、私が考える情報社会の姿を経済的に見 て、インターネットを通してまとめてみたいと思う。 まず、ネットワークの持つ経済的効果は、産業組織、 企業内組織を変え得る力を持っているかは明らかで ある。そこで一般に広まり、ルールが比較的グロー バルになっているインターネットは最適なネットワ ークの一部である。 しかし、日本における経済社会が制度疲労を見せて いるのは、いろいろな例がある。例えば、ISP (I nternet Service Provide r)は現在いろいろな資本が参入しているが、まさ にその企業の体力を必要としている事が参入を決め てからわかるような政策や環境のないようでは国際 競争力はつくはずもない。 いくら情報産業の成長が著しくても政策が必要 不可欠なことは間違いない。 19 私は、やはり政府部門の政策決定にある程度委ね ざるを得ないのが現在の経済社会ではないかと思う。 その点でアメリカのNIIの計画などは良い例であ る。インターネットフォンやテレビとの融合、CA LS(商取引、物流、資金決済)、教育、など様々な 産業に影響を与え、まさにマルチメディアそのもの であるインターネットにはそうした10年、20年 またその先を見据えた政策が迫られているのは近年 にない状況である。 充分な社会的な情報インフラを整備するには、ク リティカルマスを早期に進めるしかない。それはイ ンターネットだけではなく国際的な競争時代に入っ ている通信産業やパソコン産業でも当てはまる事な のは言うまでもない。 日本は技術、特に基礎的な技術が足りないと言わ れているが、そんなことは決してない。例えば、航 空宇宙産業ではアメリカ、ロシアに次ぐ技術、また それ以上のものを持っているのは間違いない。莫大 な資金を使って他国ができない研究を進められるの 20 だ。情報通信産業に関しては現在アメリカが比較優 位を持っているのは明らかだ。自動車産業や電気機 械産業などはかつても同じようにアメリカが比較優 位を持っていた。しかし技術移入を行い技術格差は 縮まり、独自の製品開発をするまでにいたっている。 しかし、情報通信産業も同じようになるとは限らな いのである。情報通信産業においては全く違った技 術開発の方法をアメリカがとっているからである。 比較優位を日本が持つためには長い道程でしかも果 てしなく遠いように思える。そうならないためにも、 情報通信産業のインフラ整備はこれからの生産活動 にとって生産性の向上を必ず重要な役割を果たす。 既存の産業との融合とで生産性や品質向上は達成さ れる。そうしたインフラの整備を基本とした情報通 信産業は経済成長の発展の鍵になっていく。情報通 信産業の発展を促すためにも政策、国家的な長期的 計画が必要なのは間違いない。 しかし、間違いなく21世紀にはいっても国際 的な競争時代は続くが、インターネットだけをとっ 21 ても日本は政策の遅れが目立っているのは否めない。 私が描く情報社会論の要旨は、そうした政策を政 府、企業がどのように取っていくかによってこれか らの経済社会、情報社会が変わっていくものと考え る。 以上 22 参考文献・参照・その他 「インターネット」 村井 純著 岩波新書 199 5年 「マルチメディア」 西垣 通著 岩波新書 199 4年 「情報経済論」 飯沼・大平・増田共著 有斐閣 1 996年 「情報経済入門」 ポラト,M(小松崎監訳) コンピ ューター・エージ社 1982年 「通信白書」 郵政省 1996年 www.mpt.co.jp 郵政省 www.fcc.gov アメリカ連邦放送・通 信委員会 etude.math.hc.keio.ac.j p/semi/srg/index.html 慶応大学 清水教授 www.nri.co.jp 野村総合研究所 23 望月先生へ まず、一年間授業を受けさせていただき、本当に ありがとうございました。しかし、一度授業を休ん でしまい申し訳ありません。 すこし内容が僕には難しかったように思えます が、いろんな視点で情報通信産業を見る事を学べま した。 この論文についてはあまり自信がないので触れな い事にします。でも精一杯書きました。 これからも先生のゼミのホームページはかかさ ず見る事にしたいと思います。何かの機会でメール などを私が書く事がありましたらどうぞ返信メール をください。 本当に一年間ありがとうございました。 E050714c 羽入田 貴治 24
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