松代小学校 学習改善調査協力校 実践内容H27

学習指導改善調査事業
学習指導改善調査
協力校
十日町市立松代小学校の取組
協力校1年目の松代小学校です。以下の内容で今年度の取組を紹介します。
○校内研修計画
○11月に実施した5年生国語「レイチェル=カーソン」の公開授業指導案
○学習指導改善調査の結果分析および課題に向けての実践紹介
平成27年度
松代小学校
校内研修計画
1
基本方針
・ 教育目標、年度の重点目標の達成を目指し、全教育活動を通して、
「進んで表現し、互い
に学び合う子」を育成する。
・ 児童の実態を正確に分析・把握し、より有効な教育活動を展開するために、職員の教科・
領域・経営能力の向上を図る。
・ 職員間の共通理解をもとに、情報交換や協力体制を密にして、教育目標、重点目標の達
成に取り組む。
2
研究主題
「進んで表現し、互いに学び合う子の育成」
3
昨年度の取組から
昨年度は、研究教科を国語に絞り、
「聞き方」
「話し方」
「話し合い」の有効な手立てや課題を
探った。
各教室の前面には、「学習の約束」「話し方」「聞き方」「声の大きさ」の掲示物を貼り、全校
共通の学習スキルが身に付くよう指導にあたった。また、発表の場面を授業や集会、行事でも
増やした。どの学級でも「話し方」
「聞き方」が意識され、自信をもって進んで表現する姿も増
えた。まだ「話し手の方を見て聞く」
「伝えようという気持ちで話す」ということが不十分な面
も見られるが、一定の成果は上がっている。
研究授業では、ペアでの聞き合いやグループでの話し合いにより、学び合いの場が活性化さ
れた。研究授業で有効だった手立てを、普段の授業の中でも継続して取り入れていくとともに、
さらに子どもたちの読解力を高めるために、教材文の読取においてもこうしたスキルを生かし
た意見交換ができ、考えが広がり深まるような学び合いを大切にしていかなければならない。
今年度は、書く場面も大切にし、自分の考えを書いたり振り返りをまとめたりする取組も進め
ていく。また、話し合いの有効な手立てとしてホワイトボードの活用方法を探っていく。
4 目指す子ども像
(1) しっかり聞く子
はきはきと話す子
(2) 自分の考えを明確にし、進んで話し合う子
5 授業改善の方向(授業改善のポイント2015より)
(1)単元を通した「身に付けさせたい力」を明確にする。
(2)単元を貫く課題設定をする。⇒ 本時の課題(めあて)に反映
(3)根拠を明確にした話し合い活動をする。
(4)学びのまとめと振り返りを構想する。
学んだこと(内容理解・技能)
子ども自らの成長・変容の自覚、学び合いの価値感
自己肯定感や次への意欲
教師の振り返り
6
(自己評価)
次の授業改善
研究の方法
(1)授業研究について
・
「聞く」
「話す」
「話し合う」という表現の場面が多く見られる教科であること、全教科の
基盤ともいえる資質を育てる学習内容であることから、研究教科は国語とする。児童の国
語力の向上、教師の指導力の向上を目指し研究を進める。
(2)「学力向上プロジェクト計画」に基づいた内容について
① 表現力の向上
・授業の挨拶や授業中の発言は、明るく大きな声で。「声のものさし」意識を。
・発表の場を可能な限り設ける。(国・音・総など)
・音読練習の継続
・朝会や行事での発表場面を大切にする。
*すべて相手意識を求め、ひとり言にならない。
② 基礎基本の定着
・年間5回の漢字力・算数力テスト(中学校の定期テストに合わせる。)
・テスト範囲を10日前に提示・・・練習時間の確保
・問題の精選や低位の子への支援を
問題範囲を狭くしたり、低位の子どもにテストにほぼ近い内容の練習プリントを特
別に渡し、事前学習を進めたりするなど。
・テスト結果への励まし・・・*記録カードへの記入 励ましシール
③ Web 配信テストの予習復習(水・金朝学習での確実な取組)
毎月のテストだけでなく、単元の学習にも過去問題を積極的に活用する。
④ 「ぐんぐんタイム(補充学習)
1・2年生は、金曜日の朝学習を「ぐんぐんタイム」とし、前学期(前年度)使用
した漢字ドリル・計算ドリルを活用し、進級テストによる意欲づけを試みる。
(3) 家庭学習の習慣形成
① 学年×10分以上の学習時間
② 自主学習への意欲づけ(宿題の出し方・自主学習カード等の工夫)
効果を上げた方法を紹介し合い、共有し合う。(学期に1回)
③ 家庭学習強調週間 (中学校の定期テストに合わせ年間5回)
カードによる点検を行い、学習時間・ゲームやテレビの時間のデータより家庭での様子を
把握する。
(4)授業のユニバーサルデザイン化
① 学習規律 (4月当初の投げかけが大切)
学習の約束
聞く・話すスキル
先生も守る。 授業時間に遅れない、延ばさない。
発言のルールをくずさない。挙手発言・指名発言・自由発言
② 教室掲示への配慮
教室前面に余計な情報を取り除く。
学級目標と「学習の約束」はシンプルにし、前面掲示板に
③ どの子にも分かりやすい工夫
見通しが見えるスケジュール提示
視覚的な手立て
具体的で短い指示など
5
NRT 全国学力調査
県学習改善調査 CRTの結果分析
6
生活科・総合的な学習の時間の計画作成
5月 11日(月)
各学年の計画について検討
7
授業改善 教科を国語とし、物語か説明文単元で、読解力向上に向けて研究授業を公開する。
<資料>「学び合う」姿の共通理解
「互いに学び合う姿」とは、話し手と聞き手が主に言語活動を通じて考えを伝え合い、
働きかけ、その結果互いの考えが深まったり見方が広がったりする姿を目指す。
話し手
・
自分の考えを、言葉や図、表など
を用いて相手に伝わるように表現す
る。
自分の考えの根拠を筋道立てて表
・
現する。
・
たとえや具体例を用いて分かりや
すく表現する。
聞き手
・ 相手の言いたいことを分かろう
として聞く。
・ 分からないことについて聞いた
り、相手の考えを聞き返したりす
る。
・ 相手と自分の考えの相違点や相
手の考えの根拠はどこにあるか
考える。
第5学年国語科学習指導案
平成 27 年 11 月 12 日(木)5限
指導者 教諭 吉川 広美
1
単元名
人の生き方を読もう「レイチェル=カーソン」(7時間)
2
単元の目標
○伝記に関心をもち、レイチェルの生き方について読もうとしたり、自分の考え
を広げるために読書をしたりする。
○レイチェルの考え方や行動を整理しながら、人物像を思い描くことができる。
○レイチェルの生き方について友達と意見を交流したり、選んだ伝記の紹介文を
書いて発表し合ったりすることで、自分の考えを深めることができる。
3
児童の実態と単元について(男子 10 名 女子 16 名
計 26 名)
4 月に宮澤賢治の作品を学習し、賢治の伝記や他の作品に触れた。その際、いろいろな人の
伝記も薦めたところ、伝記シリーズを全巻読み終える子もいるなど、伝記に対する興味関心は
高い。
これまで、叙述に即して読み取る学習を進めたり、話し合い活動で、考えを出し合ったりす
る場を大切にしてきた。しかし、深めるような関わりやまとめる力は十分ではない。
本教材は、地球上のすべての生き物が関わり合う<環境>を守ろうと、訴え続けたレイチェ
ル=カーソンの考え方や生き方が描かれている。環境という身近で、今なら当たり前に取り上
げられる問題も、当時は、誰も重要に思っていなかった。先駆者ともいえる彼女の行動や生き
方、彼女の必死の思いを理解することができる。十日町市の施設<ナカゴグリーンパーク>に
は「レイチェルに捧ぐ」という大地の芸術祭の作品がある。
4
指導の構想
研究主題
進んで表現し、互いに学び合う子の育成
<松代小の目指す子どもの姿>
○しっかり聞く子
はきはき話す子
○自分の考えを明確にし、進んで話し合う子
<授業改善の方向>(授業改善のポイント2015より)
(1) 単元を通した「身につけさせたい力」を明確にする。
(2) 単元を貫く課題設定→(本時の課題(めあて)に反映)
(3) 根拠を明確にした話し合い活動をする。
(4) 学びのまとめと振り返りを構想する。
学んだこと(内容理解・技能)
子ども自らの成長・変容の自覚 学び合いの価値
自己肯定感や次への意欲
(1) 単元を通した「身につけさせたい力」
①本単元では、
「レイチェルの人物像を叙述から読み取る力」を身につけさせる。そのために、
彼女がしたことを年表にまとめ、人物像(性格や考え方、生き方)を読み取る。人物像が分か
る叙述には、彼女の「科学の目」と「文学の心」の二つの側面を考えながら線をひく。
②伝記から自分の生き方を考える読み方ができ、今後も伝記を好んで読む子どもになるよう、単
元を通して並行読書を位置づける。教材文の詳しい読取だけに終始することのないよう、授業
の中でも伝記を読む時間を少しずつ設定する。
(2) 単元を貫く課題設定
単元を通し「レイチェルは、どんな人(人物像)だったのか読み進めよう」という課題を提
示する。そこで、単元の導入に、子どもたちが知っている「ヘレン・ケラー」や「野口英世」
をクイズで紹介する。どんな人かヒントを出しながら答えを考えさせ、
「では、レイチェルは、
どんな人か」とつなげていく。
(3) 根拠を明確にした話し合い活動
ホワイトボードによる班ごとの話し合いにより、どの子も話し合いに参加し、考えを深めら
れるようにする。叙述のどこから人物像を読み解けるか明確にしながら話し合う。意見交換が
スムーズにできるよう、話し合いのてびきを用意する。
(4) 学びのまとめと振り返り
この時間に何をして何がわかったか、できたか、言葉にして取りあげることを大切にする。
5
単元の学習計画 (本時 5/7)
時
間
1
学
習
内
容
ヘレン・ケラーや野口英世の人物クイズをする。
学習計画・学習課題をつかみ、全文を読み感想をもつ。
2
文章構成とレイチェルの二つの側面(科学の目と文学の心)をとらえる。
3・4
レイチェルがしたことを年表にまとめ、人物像や生き方を読み取る。
5(本時) レイチェルの人物像や生き方に対して話し合う。
6
6
自分が選んだ人の伝記を紹介する文を書く。
7
紹介文を発表し合い、いろいろな人の生き方を知り、進んで伝記を読もうとする。
さ
ま
ざ
ま
な
伝
記
を
並
行
読
書
す
る
。
本時の指導
(1)ねらい
レイチェルの人物像や生き方に対して話し合うことにより、自分の考えを深めることができる。
(2)展開の構想
導入では、人物像につながる内容でレイチェルのしたことをクイズ形式で出題し、ミニ
ホワイトボードに全員が答えを書く。どの子も学習に参加でき、理解度を認められる場となる。
次に、レイチェルの人物像や生き方について班で話し合う。子どもたちは、前時までの作業の中で、
人物像や生き方についてまとめている。みんなで出し合い、大きなホワイトボードにまとめる。その
際、どの叙述から分かるか根拠も示しながら、<○○な人>とまとめたり、同じ考えを囲んだりする。
進行のてびきや聞く側のてびきを示し、友達の思いを温かく認め合う場になるよう話合いの心得にも
触れる。
最後に、レイチェルの生き方と自分を照らし合わせ、自分もまねしたい部分や憧れるところなど振
り返りながら書く。生き方を学んだり考えたりできる伝記のよさを確認する。
(3)本時の展開(本時 5/7時間)
○教師の働きかけ
・予想される児童の反応
○レイチェルがしたこと(事実)をクイズ形式で確
導
認する。
◇支援
◆評価
◇どの子も答えられるよう簡単な問題を出し、意
欲を高める。
入 ・各自、ミニホワイトボードに答えを書いて見せる。 ◇答えは、科学と文学の側面に色分けし、視覚的
10 ・科学と文学のどちらの側面か確認する。
分
に分かりやすくする。
◆年表を振り返り進んで答えている。(観察)
レイチェルの人物像や生き方について話し合おう。
○レイチェルは、どんな人だったか班で話し合いま
す。教科書のどの文章から分かるか確認します。
◇話し合いのてびきを用意する。ファシリテータ
ー(進行役)は4分ごとに交代する。
・順番に意見を出し合い、大きなホワイトボードに
まとめる。
◇ホワイトボードの使い方の約束
「自然が大好き」
「本が好き」
「詩から生物学者にな
ろうと決心する」
「女性一人の採用」
「子どものこ
・意見(発散)・・・黒ペン
・分類(収束)見出しをつけたり(○○な人)
、
展
ろからの夢を(作家)実現」
「手紙の依頼を決心
線をひいたり囲んだりする。・・・赤ペン
開
し引き受けた」
「論文を千篇以上読む」
「苦しい時
・話し合いから思うこと(活用)
・・・青ペン
30
に『沈黙の春』完成」
◇意見「○○な人だと思います。それは、△ペー
分
こんな人・・・ どんな心の人か
*心が広くて穏やかな人
*自然を愛した人
優しい人
頭がいい
*決めたことは、最後まで苦しくても貫き通す人
*自分ひとりだけでもがんばる人 努力家
*科学者と文学への二つの夢をかなえた人
ジに~と書いてあるからです」
進行「同じ意見の人はいますか」
「Aさんの意見についてどうですか」
聞き手「いいと思います」「つけたしで・・」
◇進んで話し合えたか、聞けたか、自己評価を促
す。(ミニホワイトボードに◎○△)
○レイチェルの生き方と自分を照らし合わせ感想
をまとめよう。
・自分だけでも粘り強く訴えた。私ならくじける。
◇「レイチェル」
「自分」
「生き方」3つの言葉を
入れて書く。
・環境は大切。私も自然や生き物を大切にしたい。 ◇伝記のよさに触れる。
・レイチェルのおかげで、みんな環境を考えるよう
になった。人に役立つ仕事につきたい。
◆人物像や生き方について進んで話し合ったり、
感想を書いたりしている。
(観察・記述)
・私も自分の好きなことを活かしてみたい。
5 ○筆者は、みんなのためになるよう工夫して書きま
分 した。みんなも、自分が読んだ伝記の人物を友達に
紹介する文を書いてみましょう。
(次時の予告)
学力改善調査結果より
国語
(採点をして感じられたこと)
○文章が結構よく書けている。(4・5年)
○段落分け(1マス下げ)などよくできていた。テスト前に前年度の問題で
指導した効果があったと思われる。(5年)
△問題「メモをもとに」などよく読み書けるとさらによい。(4年)
△「体験を加えて意見を」という問題に対し、体験の意味が分からないのか書
かない子が多い。(5年)
△資料を見て自分の考えを文章化して書く経験をさせないといけない。
(6年)
△1文が長い傾向があり、そのうちに文のねじれが生じている子が多い。(5
年)
△話し言葉と書き言葉の区別がない。
「~じゃないから・・」
「とってもいいと・・」
「~しなきゃいけないから・・」「~しているんだから」(5年)
算数
△問題の意味が分かっていない。読解力・・(4・5年)
△説明する文章で、本人の語彙が乏しい。分かりやすい説明文章を書くスキル
が身についていない。3×4=12をして~して・・・→○○だから3×
4となります。
(4年)
△作図はできても、その手順を説明することができない。(5年)
△求め方や式の説明の仕方について指導しなければならない。(6年)
△ひっかけ問題やいじわる問題に慣れるようにそうした問題にも取り組ませ
る。(6年)
理科
△問題の意味が分かっていない。読解力・・記号で答えるところを○などで書
く子もいた。(4年)
△説明する文章をうまく書けず、意図したことを伝える書きぶりができない。
(4年)
△空気と水を混同している子がいた。(5年)
△きちんとした説明文章になっていない。◎空気の体積が増えたから△空気が
増えたから
理科用語の使い方
(5年)
△資料のグラフの読取による判断でなく、一般知識による回答(札幌は涼しい)
が見られた。(5年)
△記述式の問題で、順序立ててうまく説明できない。(5年)理科的な用語を
正しく使って文章を書く力をつける必要がある。分かっていても誤答にな
ってしまう(6年)
*ポイントを押さえて、まとめる力(まとめて書く力)が求められる。
*算数・理科用語を正しく使う力が求められる。
*問題を自力で読み解く力が求められる。
上記結果分析から「読み取る」
「書く」力をつける実践の一部
1
資料を読んで答えるプリント学習
読売新聞のWeb サイトより「読売ワークシート通信」を無料ダウンロードできるため、それをプ
リントとして印刷し活用している。まだ、試行段階のため、自主的に希望する子どもに対して行っ
ている。一日一枚をルールとして採点後、返却している。問題数が少なく、短時間でプリントに取
り組め、内容も低・中・高学年用、さらに中学生用まであるため、発展学習としても学年を越えて
やる気のある子はぐんぐん取り組める。
2
資料に対して気づきや感想を書かせる授業
算数や社会科では、グラフや表などの資料が使われることが多い。普段の授業や宿題などで、資
料から分かる事や気づき、感想をノートにまとめる時間をとるようにした。
3
採点ポイントを示した作文指導
「文化祭のことを作文に」という宿題など出すことがある。授業ではないが、振り返りも含めて
行事や何かの活動の後に作文を書かせることがある。そこで、ただ「書こう」ではなく、採点ポイ
ントを示し、書かせるようにした。
採点ポイントの例(20点ずつ・・・合計100点)
*作文用紙1枚(400字)最後の行まで必ず書く。
(決まった字数で書く力)
*段落のまとまりを考えて書く(段落が変わる部分は1マス下げる)
*漢字をたくさん使う。
*自分のしたことに対する思いや感想を書く。
(自分の気持ちを伝えたいと感じさせる文章を工夫)
*言葉を工夫する。
子どもたちは、作文に点数をつけられる方が、はっきりと評価されたようで喜ぶ。学習指導改善
調査の国語の採点でも、作文では、まず、指定した分量が書かれていないだけで0点となる。こう
した積み重ねで、子ども自身、上手な作文の目指す方向が見えてくるように思われる。
す の し 高 る と 考 思
る 工 い 学 。 を え い
。 夫 言 年
入 た 感
を 葉 ら
れ こ じ
総
合
点
点
く
使
う
。
「
」
を
正
し
句
点
、
句
読
点
漢
字
を
使
う
。
る け 段
。 を 落
す 分
書 行 最
く ま 後
。
で の