ジャパン・クオータリー 2015 年第 1 四半期

不動産リサーチレポート
ジャパン・クオータリー
2015 年第 1 四半期
2015 年 1 月
ドイツ証券株式会社
金融商品取引業者
関東財務局長(金商)第 117 号
(加入協会:日本証券業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、一般社団法人
金融先物取引業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会)
本書面は、特定の商品やサービスの勧誘・提供を行う目的で作成されたものではありませ
ん。本書面に掲載されている投資手法や商品・サービスにつきましては、所定の手数料や
諸経費などをご負担いただく場合があります。また、各投資手法、商品・サービスには、
市場や経済動向もしくは価格の変動などにより、元本を割り込むなどの損失が生じるお
それがあります。商品・サービスの購入などにつきましては、説明書・目論見書などを良
くお読みいただいた上で、ご検討下さい。
本書面はドイツ証券株式会社の協力のもと Deutsche Asset & Wealth Management が作
成しており、日本国内ではドイツ証券株式会社がこれを配布しております。本書記載の
商品・サービスについては、日本国内ではドイツ証券株式会社がお問い合わせの窓口と
なりますので、ご質問などございましたらドイツ証券株式会社の担当者までご連絡願い
ます。
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
目
小夫
(オブ) 孝一郎
次
まとめ .................................................................................................... 1
ディレクター
アジア太平洋リサーチヘッド
経済・金融・投資家動向 ......................................................................... 2
マクロ経済情勢 ......................................................................... 2
胡
敏軒(フー・ミンシェン)
アソシエイト
不動産投資市場・価格 .............................................................. 4
J-REIT ..................................................................................... 8
不動産ファンダメンタルズ ..................................................................... 10
オフィス ................................................................................... 10
商業施設 ................................................................................ 13
住 宅 ..................................................................................... 14
物流施設 ................................................................................ 15
バックナンバー .................................................................................... 16
免責事項 ............................................................................................. 17
グローバル・リサーチ・チーム ............................................................... 18
旧 RREEF(リーフ)のブランド名変更について
ドイツ銀行グループは 2013 年にこれまでの資産運用部門とプライベート・ウェルス
部門を統合し、Deutsche Asset & Wealth Management(ドイチェ・アセット&ウェル
ス・マネジメント)としてブランドを一本化し、ロゴも専用のプラチナ色を用いたも
のに変更しました。なお、日本においてサービス提供を行う現地法人は引き続き、ド
イツ証券株式会社不動産投資銀行部で変更ありません。
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
まとめ
第 1 章の「経済・金融・投資家動向」では国内マクロ経済動向や不動産投資市場、キャップレート、
投資リターンなどについて直近の動向と今後の見通しを分析している。2014 年第 3 四半期の実
質 GDP は個人消費の回復が遅れたほか、円安にもかかわらず輸出が伸び悩んだことから前
年同期比-1.2%の下落となった。これらを受け政府は消費増税の予定を 2017 年 4 月まで 1 年
半延期した。2015 年は企業の設備投資にもう一段の回復が見込まれるほか、回復が遅れてい
る個人消費の動向が注目される。
低金利を始めとする良好な融資環境のもと、2014 年 12 月までの 12 ヶ月間の不動産取引額は
前年同期比約 5%増と好調で、キャップレートも引き続き低下傾向にある。ただキャップレートが
タイトな中で投資利回りを確保するのは難しく、今後売買高は高水準ながらも概ね横ばいで推移
するものとみられる。取得主別にみると国内系や外資ファンドの勢いが引き続き増す傾向にある
一方、J-REIT による取得は 3 割程度に留まった。
第 2 章の「不動産ファンダメンタルズ」では、オフィス・商業施設・住宅・物流施設それぞれのセク
ターにおける市場ファンダメンタルズの動向について短期予測も交えつつ概観している。
東京都心を中心にオフィスの賃貸相場は上昇基調が鮮明となってきている。東京都心のオフィ
スビルの募集賃料は全ての規模で前年同期比増加が続いており、今後一層の回復が期待され
る。また大阪や名古屋などの各都市でも空室率は軒並み改善している。商業売上は消費増税
の影響により落ち込んでいるものの、訪日外国人による消費―いわゆるインバウンド消費―の
増加や消費増税の延期が好感視され、今年は回復基調に戻ることが期待される。物流施設の
賃料は東京、大阪いずれにおいても上昇しており、良好な需給環境を背景に賃貸相場の底堅さ
が伺える。首都圏のマンション市場では都心部のタワーマンションを中心に引き続き価格が高値
圏で推移しているが、郊外部を中心に一次取得層の需要が低迷しており、供給戸数は 4 四半期
連続で前年割れとなった。2015 年前半には都心部の大型物件が供給されることで販売戸数は
やや持ち直すとみられる一方、郊外部では引き続き苦戦が予想される。
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1
経済・金融・投資家動向
マクロ経済情勢
2014 年第 3 四半期の実質 GDP は個人消費の回復が遅れたほか、円安にもかかわらず輸出
が伸び悩んだことから前年同期比-1.2%の下落となった。これを受け政府も次回の消費増税の
予定を 1 年半先延ばし 2017 年 4 月とした。2014 年通期でみれば成長率は 1%弱になったもの
と予想される。2015 年は企業の設備投資にもう一段の回復が見込まれるほか、回復が遅れて
いる個人消費の動向が注目される。
図表 1: 実質 GDP 成長率の推移
Q1
Q2
Q3
日経平均(前年同期比、右軸)
Q4
(前年同期比)
(年成長率、実質)
60%
6%
ドイツ証券予想
4%
40%
2%
20%
0%
0%
-20%
-2%
-4%
-6%
-40%
2014.04
消費増税
2011.03
東日本大震災
2000.12
1997.04 消費増税
ITバブル崩壊
1997.07 アジア通貨危機
-60%
2008.09
リーマンショック
-8%
-80%
-100%
2018F
2017F
2016F
2015E
2014
2013
2011
2012
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
-10%
E:ドイツ証券推定値(文中全ての図表同様)、F:ドイツ証券予想値(文中全ての図表同様、詳細については末尾の免責事項を参照)
出典: 内閣府、Bloomberg、ドイツ証券の資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
日銀短観による 2014 年 12 月の業況判断指数 DI(国内大企業・全産業ベース、黄線)は 9 月
から 1 ポイント増の 14 にとどまり、増税後の回復がもたついていることが裏付けられた。ただ金
融緩和や円安の影響もあって、DI の絶対水準は過去 6 年では高いレベルにあり、業績自体は
比較的堅調といえる。景気動向指数先行 CI(青線)も 2014 年 11 月時点では増税後の回復が
遅れていることがうかがえる。このようななか、政府は 12 月の景気基調判断を緩やかな回復基
調が続いていると据え置いた。
図表 2: 景気動向指数(先行指数)と日銀短観
景気動向指数 先行CI (左軸)
(2010年=100)
日銀短観 大企業DI (右軸)
126
DI業況判断指数:
50
('良い' - '悪い', % ポイント) 先行き
113
25
100
0
-25
74
-50
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
87
出典: 日本銀行、内閣府の資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
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2
2014 年第 4 四半期は日銀による追加緩和を受けて円安が進み、これを好感して株式市場も堅
調に推移した。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)による運用方針の見直しも材料視さ
れ、日経平均は 2014 年 12 月、約 7 年ぶりに一時 18,000 円台をつけた。もっとも原油安やギ
リシャ危機、各国でのテロ行為など先行きに不透明感が強くなっているだけに、足元では円を買
い直す動きもみられ、株式相場は再び弱含んでいる。
図表 3: 日経平均と円相場
日経平均(左軸)
円相場(右軸)
¥20,000
¥120
¥15,000
¥100
¥10,000
¥80
2008.09
リーマンショック
2011.10
円相場史上最高値(75円台)
2015.01
2014.07
2014.01
2013.07
2013.01
2012.07
2012.01
2011.07
2011.01
2010.07
2010.01
2009.07
2009.01
2008.07
2008.01
2007.07
2007.01
2006.07
2006.01
2005.07
¥60
2005.01
¥5,000
出典: Bloomberg の資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
10 年物国債の利回りは 2015 年 1 月に一時 0.2%となるなど過去最低の水準にある。今後
2015 年末まで 0.7%を下回って推移し、2016 年頃に 0.8%台へ上昇するものと予想されている。
一時 1%を上回っていた消費者物価指数(コア CPI)も原油安の影響で軟調に推移しており、
2014 年第 4 四半期は 0.8%程度と、日銀が目標としている 2%の目標からはやや遠のいている。
今後は輸入価格の上昇などの影響を受けるものの、2017 年頃でも実質 1.0%(消費税引上げ
の影響を除いた実質ベース)程度に落ち着くとみられている。
図表 4: 短期金利と消費者物価指数推移
無担保コール翌日物金利
(%)
消費者物価指数
10年国債
3
消費増税
影響含む
2
1
0
-1
ドイツ証券予想
-2
2018F
2017F
2016F
2015E
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2001
2000
-3
E:ドイツ証券推定値、F:ドイツ証券予想値
出典: Bloomberg、ドイツ証券の資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
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3
不動産投資市場・価格
金融機関による不動産ファイナンスの状況は引き続き良好である。日銀短観によると金融機関
の不動産・大企業向け貸出態度 DI(黄線)は前期比 2 ポイント増の 25 と、2014 年 12 月まで
15 四半期連続でプラスとなった。不動産業の設備投資向け新規融資額は 2014 年 9 月は前年
同期比ほぼ横ばいと伸びてはいないが、引き続き潤沢な融資が行われている。
図表 5: 不動産向け新規融資の増減と金融機関の貸出指標の推移
不動産業の設備投資向け新規融資増減 (前年同期比、左軸)
貸出態度DI 全産業・大企業 (右軸)
貸出態度DI 不動産・大企業 (右軸)
20%
20
0%
0
-20
-40%
-40
2008.03
2008.06
2008.09
2008.12
2009.03
2009.06
2009.09
2009.12
2010.03
2010.06
2010.09
2010.12
2011.03
2011.06
2011.09
2011.12
2012.03
2012.06
2012.09
2012.12
2013.03
2013.06
2013.09
2013.12
2014.03
2014.06
2014.09
2014.12
-20%
出典: 日本銀行の資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
2014 年第 4 四半期は国内系や J-REIT に加えて、円安の影響で外資系ファンドなどによる物
件売買が活況だった。2014 年 12 月期までの 12 ヶ月間の不動産売買高は約 4.9 兆円と前年
同期比で約 5%伸び、とくに大型取引が増加している。不動産向け融資環境は引き続き良好な
ことから今後も活発な売買が期待されるが、利回り水準が下がっているだけに、売買高は高水
準ながらも概ね横ばいで推移するものとみられる。
図表 6: 収益不動産売買高と金融機関の不動産向け貸出指標の推移
(兆円)
売買高 (12ヶ月合計、左軸)
6ヶ月前の貸出態度DI(不動産-大企業)
36
5
24
4
12
3
0
2
-12
1
-24
0
-36
2000.09
2001.03
2001.09
2002.03
2002.09
2003.03
2003.09
2004.03
2004.09
2005.03
2005.09
2006.03
2006.09
2007.03
2007.09
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
2014.12E
6
E:ドイツ証券推定値
出典: 日本銀行、都市未来研究所、Real Capital Analytics のデータをもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
図表 7 の左図はセクター別のキャップレートを示している。実勢価格を織り込んだ TMAX キャッ
プレートは 2014 年 9 月期に 4.94%と約 7 年ぶりの低水準となったほか、東京オフィスの鑑定
キャップレートも速報ベースで 3.87%のと過去最低の水準となった。大阪オフィスの鑑定キャッ
プレートはおおむね横ばいとなっており、東京との差は鑑定ベースでは一時的に広がった。
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4
一方、東京のオフィスビル実取引における平均イールド・スプレッド(国債金利とキャップレートの
差)は B クラスビルの取引が多いこともあって 440bps と引き続き世界的に高い水準を維持して
おり、スプレッドが 250bps 程度のニューヨークやロンドン、100bps 強の香港など他の都市とは
対照的となっている。国際的な業界団体による各投資家調査でもアジアの投資先として東京がト
ップにランクされており1、キャップレートはタイトに推移することが見込まれる。
図表 7:鑑定キャップレートと世界主要市場のオフィス・イールドスプレッド
鑑定キャップレート
東京オフィス(鑑定)
東京マンション(鑑定)
TMAX(実勢ベース)
オフィス取引イールドスプレッド
大阪オフィス(鑑定)
大阪マンション(鑑定)
東京
香港
ニューヨーク
シンガポール
ロンドン
シドニー
6%
7.0%
速報値
5%
6.0%
4%
5.5%
3%
5.0%
2%
4.5%
1%
4.0%
0%
3.5%
-1%
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
6.5%
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 14
2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014
注: データは将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
出典: 不動産証券化協会、Real Capital Analytics、TMAXのデータをもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
不動産価格の先行指標となる東証 REIT 指数は 2014 年第 4 四半期に前期比 14%増となった。
東京都心部 A クラスビルの床単価2を査定した大和不動産鑑定「オフィスプライス・インデックス」
(黄線)もこれに遅行しつつ連動しており、2014 年 9 月の床単価は 723 万円/坪と前年同期比で
約 19%の伸びとなった。2008 年のピーク時よりは依然として 4 割近く低い水準にあるだけに、
現在の投資環境などを鑑みれば今後のプライス・インデックスは一段の上昇が見込まれる。
図表 8: 不動産価格の推移
(万円/坪)
Aクラスビル坪単価 (左軸)
1,200 J‐REIT指数 (右軸)
2,400 2008年9月
リーマンショック
1,600 400 800 Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
800 2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
出典: 大和不動産鑑定、BloombergのデータをもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
1
ULI の『Emerging Trend in Asia Pacific 2015』、ANREV の『Investment Intention Survey 2015』いずれにおいても東京
がアジアの中の投資先としてトップにランクされ、大阪など地方都市にも人気が波及している。
2
賃貸可能床単価(NRA)ベース、物件価格をビルの賃貸可能床面積で割ったもの。
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5
直近の主な不動産取引は以下の通りで、J-REIT のみならず外資系ファンドやデベロッパーによ
る取引も目立った。最も高額だったのはブラックストーンによる GE の賃貸住宅ポートフォリオ取
得(推定 2,000 億円、計 204 棟)、次いでみずほフィナンシャルグループによる旧日本興業銀行
(現みずほ銀)本店の買戻し(1,590 億円)であった。キャップレートでみるとオフィスビルで 4%台
前半の取引が目立った。
ブラックストーン以外でもローンスター、イデラキャピタル、エリオットマネジメント、M&G リアルエ
ステートなど、円安などを背景に外資系ファンドによる物件取得が拡大しており、対象地域も東
京から地方に拡大しつつある。2014 年通年でみると、外資系による取得額は前年比で倍以上
の約 1 兆円となったと推定される。
図表 9: 2014 年第 4 四半期以降に取引・発表された主な国内不動産取引
種別
物件名称 ( 取得割合%)
旧日本興業銀行本店ビル
取引
年月
取得主
-
千代田
0.84
5.2%
東京ほか
銀座MTRビル
240
0.62
-
中央
アーバンネット池袋ビルなど計3物件
220
0.54
5.4%
東京
15年1月 プレミア投資法人
日立ソリューションズタワーB
190
0.47
-
品川
14年12月 ローンスター(米)
推400
0.40
14年11月 みずほフィナンシャルグループ
15年1月 日本リート不動産投資法人
14年10月 野村不動産
-
品川
14年12月 イデラ・キャピタル(中)
-
品川
14年10月 エリオット(米)
推170
0.69
-
台東
中外東京海上ビルなど計5物件
148
0.30
6.5%
愛知ほか
コンセプト青山/神泉プレイス
146
1.99
4.1%
渋谷
三田MTビル
130
0.62
-
港
台和上野ビルなど計4物件
91
0.55
5.4%
東京ほか
ラクアス東新宿
85
0.85
4.1%
新宿
14年7月 大和証券オフィス投資法人
千葉ポートスクエア
36
-
-
千葉
14年12月 オキシリー(シンガポール)
大阪のビル2物件
36
-
-
大阪
14年10月 タクラル(シンガポール)
GEO八丁堀
36
-
-
中央
14年8月 グリーンオーク(米)
紀和TB材木町ビル
-
-
-
大阪
14年7月 モルガン・スタンレー(米)
住友生命仙台ビル
-
-
-
宮城
14年10月 ゴールドマン・サックス(米)
15年1月 ヒューリック
14年11月 ケネディクス・オフィス投資法人
15年3月 大和証券オフィス投資法人
14年12月 森トラスト
14年12月 平和不動産リート投資法人
-
-
-
豊島
353
0.16
5.1%
京都ほか
15年1月 イオンリート投資法人
あすみが丘ブランニューモールなど計2物件
-
-
-
千葉ほか
14年11月 ラサール・インベストメント(米)
鈎取ショッピングセンター
-
-
-
宮城
116
0.35
5.2%
江東ほか
14年11月 ユナイテッド・アーバン投資法人
イオンモールKYOTOなど計2物件
第1/第2MT有明センタービルなど計3物件
日本GEの住宅ポートフォリオ
14年9月 ゴールドマン・サックス(米)
14年5月 ローンスター(米)
推2,000
-
-
東京ほか
14年11月 ブラック・ストーン(米)
賃貸マンション11物件
236
0.80
4.9%
東京ほか
15年1月 ケネディクス・レジデンシャル投資法人
賃貸マンション12物件
235
0.58
4.8%
東京
賃貸マンション5物件
160
1.19
4.9%
東京ほか
15年2月 コンフォリア・レジデンシャル投資法人
14年10月 積水ハウス・SI 投資法人
都内のマンション3物件
107
-
-
東京
賃貸マンション13物件
102
0.38
6.4%
福岡ほか
14年12月 アドバンス・レジデンス投資法人
賃貸マンション9物件
65
0.49
5.2%
東京ほか
14年12月 アドバンス・レジデンス投資法人
-
-
-
新宿
14年11月 機関投資家(台湾)
推500
-
-
東京ほか
14年10月 三井住友銀行など
老人ホーム7物件
80
-
-
東京ほか
14年12月 フォートレス(米)
ベストウェスタン新宿アスティナホテル東京
80
-
-
新宿
14年10月 アスコットREIT(シンガポール)
ホテルマイステイズ浅草橋/蒲田
58
-
5.7%
東京
14年12月 CDLホスピタリティ・トラスト(シンガポー
別府亀の井ホテル
40
-
-
大分
14年10月 フォートレス(米)
アビタシオン浄水
35
0.56
5.8%
福岡
14年12月 パークウェイ・ライフ・リート(シンガポール)
ベストウェスタンホテルニューシティ弘前
21
-
-
青森
14年9月 フォートレス(米)
コンフォートホテル前橋/北見/黒崎
-
-
-
群馬ほか
14年11月 フォートレス(米)
アジールコート新宿
ヘルスケア施設22物件
ホテル/
ヘルスケア
場所
2.15
池袋デュープレックスB's
住宅
キャッフ ゚
レート
768
ウインズ浅草ビルなど計2棟
物流
(百万円/㎡)
1,590
品川シーサイドサウスタワー
商業
単価
(億円)
芝公園三丁目ビルなど計31物件
品川シーサイドパークタワー
オフィス
取得額
ホテルマイステイズ浜松町/福岡天神
14年11月 クレボ(台湾)
-
-
-
東京ほか
14年8月 フォートレス(米)
汐留ビルディングなど計3物件
410
1.74
4.1%
東京ほか
14年11月 アクティビア・プロパティーズ投資法人
ポートフォリオ 板橋本町ビルなど計16物件
開発用地
344
0.40
5.1%
東京ほか
14年10月 日本リート不動産投資法人
恵比寿グリーングラスなど計11物件
267
1.46
4.2%
東京ほか
14年12月 いちご不動産投資法人
六本木5丁目の土地
100
0.77
-
港
旧大阪総合センター跡地
95
0.41
-
大阪
14年9月 BOATRACE振興会
14年10月 阪神電鉄
注: 取得主が黄色の部分は J-REIT による取得、グレーの部分は外資系による取得を示したものです。個別の物件や企業名はあくまでも参考として記載したもので、
その企業の株式や証券等の売買を推奨するものではありません。取得額は推定値を含みます。一部の取引は完了しておらず、優先交渉権が与えられただけのもの
も含みます。
出典: 日経不動産マーケット情報、各社資料のデータをもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
6
2014 年 12 月末までの過去 12 ヶ月間の収益不動産取引額3を都市別にまとめると図表 10 の
通りで、東京の取引額は約 371 億ドルとドルベースで前年比約 32%増加した。東京はニューヨ
ーク、ロンドンに次いで引き続き世界第 3 位となっており、アジア太平洋地域では依然として最
大の取引額となった。この間 J-REIT による取得は 3 割強、外資勢による取得は約 2 割程度と
みられる。大阪では主軸のオフィスビルの取引が低調だが、商業施設、物流施設やホテルの不
動産取引は活況でアジア太平洋地域ではソウル、シンガポールなどに次ぐ第 8 位となった。
図表 10: 世界の都市別収益不動産売買取引額ランキング (過去 12 ヶ月)
オフィス
ニューヨーク
ロンドン
東 京
ロサンゼルス
サンフランシスコ
パリ
シカゴ
ワシントンDC
香 港
シドニー
メルボルン
上 海
ソウル
シンガポール
大 阪
北 京
台 北
広 州
商業施設
賃貸マンション
ホテル
外資系
その他国内系
J-REIT
物流施設
~
~
0
10
20
30
40
(十億ドル)
60
50
注: 開発用地を除く
出典: Real Capital Analytics のデータをもとに Deutsche Asset & Wealth Management 作成
実物不動産インデックスによるトータルリターン4は 2009 年後半から上昇、2010 年からプラスで
推移しており、2014 年 9 月は前年同期比 1.8 ポイント増の年 7.0%(速報値、図表 11 左図)と
改善した。セクター別にみると回復が遅れていたオフィスのリターンも 2014 年 9 月は同 1.8 ポイ
ント増の 5.5%、物流施設、商業施設、住宅等はいずれも同時期 7%-8%台で推移した。
図表 11: 実物不動産投資の年間トータルリターン推移 (レバレッジ前)
年間トータルリターン
15%
インカムリターン
速報
商業
住宅
物流
15%
10%
10%
5%
5%
0%
0%
-5%
-5%
-10%
-10%
-15%
-15%
2003
2005
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
オフィス
速報
2003
2005
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
トータルリターン
キャピタルリターン
セクター別総合リターン
注: データは将来の傾向、数値等を保証もしくは示唆するものではありません。
出典: IPDジャパン(左表)、不動産証券化協会(右表)のデータをもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
3
4
ここでは持ち家の取引や開発用地の売買は、キャッシュフローを生まない取引のため含めていない。
投資家が投資のベンチマークとして利用する収益指標で、賃料収入による運用利回りと鑑定評価に基づ
くキャピタル・ゲインを加えたレバレッジ前の収益率。「総合収益率」と同義。
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
7
J-REIT
東証 REIT 指数は日銀の追加緩和があった 2014 年 10 月末以降日経平均とともに急騰し、足
元では株式市場が一時的に調整局面を迎えたなかでも REIT 指数は 1,900 ポイント台と堅調に
推移している(左図)。不動産市況の回復期待に加え、長期金利の一段の低下や円安・株高の
流れを受けて堅調に推移しており、金利先高観の影響で上値が重い他国の REIT 市場と比べ
ても伸びが大きかった。
図表 12: REIT インデックス(短期推移と長期国際比較)
東証 REIT 指数と日経平均比較(5 年)
REIT 指数の国際比較(10 年)
J-REIT
A-REIT (豪州)
(円)
20,000
2,000
US-REIT
S-REIT (シンガポール)
400
1,800
18,000
350
1,600
16,000
300
J-REITインデックス (左軸)
250
1,400
14,000
1,200
12,000
200
150
日経平均 (右軸)
10,000
1,000
100
(2009年3月 = 100)
2014.12
2013.12
2012.12
2011.12
2010.12
2009.12
2008.12
2007.12
2006.12
2004.12
2015.01
2014.07
2014.01
2013.07
2013.01
2012.07
2012.01
2011.07
2011.01
2010.07
2010.01
2005.12
50
8,000
800
注: 参照インデックスは東証リート・インデックス、 FTSE NAREIT All Equity REITS Index (US-REIT), S&P/ASX 200 A-REIT Index (豪州REIT), FTSE ST REIT
Index (シンガポールREIT)
出典: Bloombergの資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
2014 年 11 月の J-REIT 平均分配金利回りは前期比 18bps 減の 3.13%(オフィス型 REIT に
限れば 2.90%)となった。この間長期金利も下落しているが、国債利回りとの差(スプレッド)は
283bps(オフィス型 REIT に限れば 245bps)と僅かに縮まった。分配金・配当スプレッドは USREIT、UK-REIT ともに 150bps 程度となっており、利回りで有利な J-REIT へ投資家からの資
金が流れ込み易い構図となっている。
図表 13: J-REIT 分配金利回り
オフィスREIT
J-REIT
10年国債
8%
6%
4%
2%
スプレッド
2014.12
2014.06
2013.12
2013.06
2012.12
2012.06
2011.12
2011.06
2010.12
2010.06
2009.12
2009.06
2008.12
2008.06
2007.12
2007.06
2006.12
2006.06
2005.12
2005.06
2004.12
2004.06
2003.12
2003.06
2002.12
0%
出典: 三井住友トラスト基礎研究所、Bloombergの資料をもとに Deutsche Asset & Wealth Management作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
8
J-REIT による資金調達も前年ほどの勢いはないが依然として活発で、2014 年 7 月-12 月期の
6 ヶ月間では積水ハウスリートなど 3 銘柄の新規上場とケネディクス・オフィス投資法人など 17
銘柄の公募増資が公表された。同期間の J-REIT による資金調達額は計 4,777 億円超(うち
IPO・増資が 4,081 億円超)、物件取得額は計 8,073 億円になったと見込まれる。2014 年通年
の取得額は 1.6 兆円と、過去最高となった前年からは 2 割減ったものの年後半は勢いが盛り返
した。2015 年 2 月にはケネディクスグループ 3 本目となるケネディクス商業リートの新規上場が
予定されており、J-REIT の上場銘柄数は過去最多の 50 銘柄となる見込みである。
図表 14: J-REIT の資金調達と物件取得額
直近の主要増資一覧
(兆円)
(億円)
J- REIT銘柄
1.0
投資法人債
第三者割当増資
公募増資
IPO
J-REIT物件取得額
(純増額)
0.5
時期
増資額
ユナイテッド・アーバン
2014年11月
228
ケネディクス・オフィス
2014年11月
295
アクティビア・プロパティーズ
2014年11月
223
ヒューリックリート
2014年10月
186
6-12月
2,302
合計
3,234
その他増資合計
新規上場のREIT
J- REIT銘柄
時期
ケネディクス商業リート(予定)
2001.09
2002.03
2002.09
2003.03
2003.09
2004.03
2004.09
2005.03
2005.09
2006.03
2006.09
2007.03
2007.09
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
2014.12
0.0
増資額
2015年2月
400
積水ハウス・リート
2014年12月
693
トーセイ・リート
2014年11月
93
日本ヘルスケア
2014年11月
61
合計
847
上場予定のREIT :
新生銀行/ケネディクスなど6社(ヘルスケア)、リスト(総合)
三井住友銀行/NEC(ヘルスケア)、サムティ(住宅)
注: 増資額は上限額。個別の物件や企業名はあくまでも参考として記載したもので、その企業の株式や証券等の売買を推奨するものではありません。
出典: 不動産証券化協会、Real Capital Analytics、各社資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
図表 15 は国内収益不動産の取引額(自己居住用住宅などを除く)及びそのうち J-REIT の物件
取得額・売却額をそれぞれ示している。2014 年 7 月-12 月期の 6 ヶ月間の不動産取引額は約
2.4 兆円、このうち J-REIT の占める割合は長期平均である 3 割強程度に落ち着いた。キャップ
レートの低下及び外資系ファンドやデベロッパー等との競合が激しく、J-REIT に以前ほどの勢い
はみられなくなってきたといえるが、足元の REIT 指数の上昇で勢いが盛り返す兆しもある。
図表 15: 収益不動産取引額の推移と J-REIT の取得割合
(兆円)
4
3
取得 その他法人
取得 J-REIT
売却 J-REIT
80%
全体の売買額に占める
J-REITの取得割合 (右軸)
60%
2
40%
1
20%
0
0%
-1
2000.09
2001.03
2001.09
2002.03
2002.09
2003.03
2003.09
2004.03
2004.09
2005.03
2005.09
2006.03
2006.09
2007.03
2007.09
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
2014.12
-20%
出典: 不動産証券化協会、都市未来研究所、Real Capital Analyticsの資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
9
不動産ファンダメンタルズ
オフィス
過去 2 年間、東京都区部における新規オフィスビルの供給は少なかったこと、また企業業績は
比較的安定していることから、東京都心 5 区5のオフィスビルの空室率は順調に低下している。
2014 年 12 月末時点の空室率は 5.47%、前年同月比 1.87 ポイントの低下と 2009 年 1 月以
来の低水準となった。都心 5 区のいずれにおいても順調に空室消化が進んでおり、特に新規供
給が少ない渋谷区では空室率が 3%台へと下がっている。2015 年の供給は昨年よりは増える
もののほぼ平年並みの水準となるだけに市場全体へのインパクトはそれほど大きくないものと
思われる。今後も空室率の改善傾向は続くものの、改善のペースはスローダウンしていくとみら
れる。
図表 16: 都心 5 区の平均空室率と新築ビルの空室率の推移
その他ビル(左軸)
Aクラスビル(左軸)
(百万m2)
平均空室率(右軸)
(%)
ドイツ証券予想
主な 竣工ビル一覧 (2014年以降)
ビル名
階数
大崎ウィズタワー
室町古河三井ビル
室町ちばぎん三井ビル
京橋トラストタワー
横浜アイマークプレイス
大手町タワー
西新橋スクエア
虎ノ門ヒルズ森タワー
飯田橋グラン・ブルーム
日生丸の内ガーデンタワー
豊洲フォレシア
2014/1
2014/2
2014/2
2014/2
2014/3
2014/4
2014/4
2014/5
2014/6
2014/8
2014/8
24
22
17
21
14
38
22
52
30
22
16
58,411
62,470
29,120
52,471
97,400
198,000
55,373
244,360
124,000
55,800
101,376
品川シーズンテラス
東京日本橋タワー
大崎ブライトタワー
大崎ブライトコア
二子玉川ライズ II-a
鉄鋼ビル
大手町1-1計画A棟
2015/ 2
2015/ 3
32
35
31
20
30
26
22
128,000
133,102
92,200
44,600
86,900
110,000
108,000
2015/ 4
2015/10
2015/11
18F
17F
16F
14
15F
13
12
11
2016年以降
延床㎡
竣工
2015/ 4
10
09
08
07
06
05
04
03
02
0
01
0.0
99
00
2
98
0.4
97
4
96
0.8
95
6
94
1.2
93
8
92
1.6
91
10
90
2.0
(オフィス部)
ビル名
大手町一丁目第3地区A棟
紀尾井町計画
新宿駅新南口ビル
六本木再開発プロジェクト
銀座六丁目計画
京橋二丁目西地区再開発
大手町1-1計画B棟
赤坂一丁目再開発
浜松町二丁目計画A-3
〃 B棟
TGMM芝浦計画A棟
〃 B棟
虎ノ門四丁目プロジェクト
大手町二丁目再開発A棟
〃 B棟
渋谷駅 南街区
〃 道玄坂街区
〃 駅街区 東棟
〃 桜丘口再開発A棟
竣工
階数
2016
2016
2016
2016
2016
2016
2016
2017
31
36
33
40
13
32
29
37
42
26
31
36
40
35
33
33
18
46
36
2017
2017
2019
2018
2018
2018
2019
2020
2020
延床㎡
(オフィス部)
計205,000
110,000
111,000
201,800
147,900
119,500
147,000
175,000
計270,000
99,000
135,000
145,000
185,000
199,000
150,000
117,500
58,900
107,000
174,800
出典: 三鬼商事、森ビル、JLL(上段)及び三幸エステート、各社資料(下段)をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
5
千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区を指す。
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
10
2014 年 12 月の東京都心 3 区6の基準階面積別オフィス空室率も、いずれのクラスにおいても
改善傾向にある。大規模ビル(基準階面積 200 坪以上)の空室率は前年同期比 1.5 ポイント改
善し 4.1%となったほか、基準階面積 50-100 坪クラスのビルで同 1.6 ポイント改善し 7.8%とな
るなど小型ビルでも回復がみられた。これに伴い 2014 年 9 月のフリーレント平均付与月数も
3.5 ヶ月と前年同期比 0.4 ヶ月改善した。
図表 17: 東京都心 3 区の基準階面積別オフィス空室率の推移
15%
基準階 100~200坪のビル
平均
フリーレント月数(右軸) (ヶ月)
8
10%
6
5%
4
0%
2
-5%
0
1996.12
1997.06
1997.12
1998.06
1998.12
1999.06
1999.12
2000.06
2000.12
2001.06
2001.12
2002.06
2002.12
2003.06
2003.12
2004.06
2004.12
2005.06
2005.12
2006.06
2006.12
2007.06
2007.12
2008.06
2008.12
2009.06
2009.12
2010.06
2010.12
2011.06
2011.12
2012.06
2012.12
2013.06
2013.12
2014.06
2014.12
基準階 50~100坪のビル
基準階 200坪以上のビル
出典: ザイマックス不動産総合研究所、三幸エステートの資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
過去のデータをみると東京都心のオフィスビルでは空室率と賃料上昇幅に相関(正確には逆相
関)関係がみられる。2014 年 12 月の都心 3 区の基準階 200 坪以上のオフィス空室率は 4.2%
と自然空室率の 5%を割っており、賃料交渉はオーナー側が有利な情勢になりつつある。つれて
成約賃料は 3 期の移動平均で前期比 1.5%増となっており、賃貸市場は今後年末にかけて回
復傾向が鮮明になると見込まれる。
図表 18: 東京都心 3 区のオフィス空室率と成約賃料の推移 (基準階 200 坪以上)
成約賃料増加率 (前期比、3期移動平均)
空室率 (右軸)
1%
8%
回復
4%
3%
0%
5%
-4%
7%
-8%
9%
2014.12
2013.12
2012.12
2011.12
2010.12
2009.12
2008.12
2007.12
2006.12
2005.12
2004.12
2003.12
2002.12
2001.12
2000.12
1999.12
1998.12
1997.12
-12%
1996.12
:賃料が増加に転じた時点
11%
出典: ニッセイ基礎研究所、三幸エステートの資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
6
千代田区、中央区、港区を指す。
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
11
東京都心部のビルは引き続き賃料の上昇基調が続いており、2014 年第 4 四半期のベンチマー
クとなる基準階 100 坪以上のビルの募集賃料は前年同月比で 4.6%増と前期の 3.5%からさら
に伸び率が拡大した。空室率の低下が顕著となってきているため、今後もしばらく回復基調が続
くものと予想される。
図表 19: 東京都心 5 区の基準階面積別オフィス募集賃料の推移
ドイツ証券予想
(円/坪/月)
50,000
丸の内・大手町地区にある
基準階200坪以上のビル
40,000
Aクラスビル
30,000
新築ビル (基準階100坪以上)
20,000
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008.03
2008.06
2008.09
2008.12
2009.03
2009.06
2009.09
2009.12
2010.03
2010.06
2010.09
2010.12
2011.03
2011.06
2011.09
2011.12
2012.03
2012.06
2012.09
2012.12
2013.03
2013.06
2013.09
2013.12
2014.03
2014.06
2014.09
2014.12
2015.12F
10,000
ベンチマーク
基準階100坪以上のビル
F:ドイツ証券予想値
出典: 三幸エステート、ニッセイ基礎研究所の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
国内主要都市のオフィス空室率は新規ビルの大型供給がなかったため引き続き改善傾向にあ
り、いずれの都市においても 2014 年 12 月の空室率は 8%以下に落ち着いた。大阪の空室率
は梅田などのエリアで順調に空室消化が進んだ結果、前年同期比 1.9 ポイント改善の 7.9%と
2013 年の大量供給以前の水準に戻った。今年は名古屋駅前での大型供給が予定されており、
現在回復基調にある需給動向が一旦緩む可能性がある。
図表 20: 国内主要都市のオフィス空室率の推移
札幌
(%)
16
福岡
名古屋
大阪
東京
12
8
主な竣工ビル一覧 (2013年以降)
ビル名
ダイビル本館(大阪・中之島)
グランフロント大阪 タワーA
グランフロント大阪 タワーB/C
富士フィルム名古屋ビル
NTT東日本仙台青葉通ビル
名古屋東京海上日動ビル
あべのハルカス(大阪)
札幌三井JPビル
竣工
階数
2013/2
2013/4
2013/4
2013/4
2013/5
2013/6
2014/3
2014/8
22
38
38/33
14
14
15
60
20
2014.12
2014.06
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
2005
2004
2003
2002
2000
2001
1999
1998
0
1997
4
2015年以降
延床㎡
(オフィス部)
48,153
187,800
295,100
21,637
33,742
10,854
306,000
68,000
ビル名
新ダイビル(大阪)
大名古屋ビルヂング
JPタワー名古屋
JRゲートタワー(名古屋)
中之島フェスティバルタワー・ウエスト
グローバルゲート・ウエスト(名古屋)
グローバルゲート・イースト(名古屋)
梅田3丁目計画(大阪)
竣工
階数
2015/3
2015/10
2015/11
2017
2017
31
34
40
46
41
36
17
40
2017
2019
延床㎡
(オフィス部)
76,000
146,000
179,000
260,000
150,000
計157,000
217,000
出典: 三鬼商事(上段)、三幸エステート(下段)の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
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商業施設
2014 年第 3 四半期の賃料は各エリアで回復に転じた。表参道で前年同期比 6.9%、新宿で
9.0%、渋谷で 18.7%の上昇となったほか、銀座では平均賃料が弱含んだものの 1 階の店舗賃
料は同 10.9%の増加となった。円安やビザの発給要件の緩和を受け、2014 年の訪日外国人数
は大きく伸び、これまで最高だった一昨年の記録をさらに 3 割上回る 1,340 万人に達したとみら
れる。2014 年 10 月から免税対象が拡大したことで訪日外国人による消費―いわゆるインバウ
ンド消費―が今後一層増加することが期待される。
図表 21: 東京都心と大阪の主要商業地の商業施設の平均募集賃料の推移
銀座
渋谷
(円/坪/月)
50,000
表参道
心斎橋(大阪)
新宿
(参) 東京都心5区オフィス
40,000
30,000
20,000
2014.09
2014.06
2014.03
2013.09
2013.12
2013.06
2013.03
2012.12
2012.09
2012.06
2012.03
2011.12
2011.06
2011.09
2011.03
2010.12
2010.09
2010.06
2010.03
2009.12
2009.09
2009.06
2008.12
2009.03
2008.09
2008.06
2008.03
10,000
注: オフィス賃料は東京都心5区の基準階面積100坪以上の平均(図表17のベンチマーク)
出典: アトラクターズ・ラボ、日経不動産マーケット情報、三鬼商事の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
2014 年の消費増税以降、個人消費は依然として回復力が弱く、ショッピングセンター、チェーン
ストア、コンビニでは第 4 四半期の売上高が前年同期比-0.4%、-1.5%、-1.3%と、何れもやや減
少した。都心部の百貨店などでは訪日外国人による底上げ効果があったものの、高級品の売れ
ゆきは全国ベースでみれば出遅れており百貨店売上も前年同期比で 1.6%減(既存店ベース、
以下同)となった。
図表 22: 形態別小売販売額の前年同期比推移 (%)
ショッピングセンター
百貨店
チェーンストア
コンビニ
(全て既存店ベース)
10%
5%
0%
-5%
-10%
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008.03
2008.06
2008.09
2008.12
2009.03
2009.06
2009.09
2009.12
2010.03
2010.06
2010.09
2010.12
2011.03
2011.06
2011.09
2011.12
2012.03
2012.06
2012.09
2012.12
2013.03
2013.06
2013.09
2013.12
2014.03
2014.06
2014.09
2014.12
-15%
出典: 日本ショッピングセンター協会、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会、日本フランチャイズチェーン協会の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth
Management作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
13
住宅
2014 年第 4 四半期の首都圏分譲マンションの平均販売価格は前年同期比 6.2%減の 4,973
万円となったが、都心沿岸部のタワーマンションなどは引き続き人気が高く、平均価格は過去
20 年間でみれば依然最高値圏にある。一方、供給戸数は前年同期比 5.4%減の 15,851 戸と
4 四半期連続で前年割れとなり、とくに郊外部において需要が落ち込んでいる。ただ駆け込み需
要の反動減は徐々に終息に向かっているとみられ、減少幅は低下している。
契約率は同 7.5 ポイント減の 70.4%と、好不調の目安とされる 70%をかろうじて上回る水準で、
郊外に住む一次取得層が価格の上昇を受け住宅取得を回避している構図が読み取れる。2015
年前半には都心大型物件が供給されることで販売戸数はやや持ち直すとみられる一方、郊外
部では引き続き苦戦が予想される。
図表 23: 首都圏新築分譲マンションの平均価格と販売戸数増加率の推移
平均販売価格
(万円)
販売戸数増加率(前年同期比)
(%)
40%
4,500
0%
4,000
-40%
3,500
-80%
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
Q1
Q2
Q3
Q4
5,000
96 98 00 02 04 06 07
08
09
10
11
12
13
14
出典: 不動産経済研究所の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
東京 23 区の賃貸マンション市場では 2013 年後半より新規供給が増加しており、2014 年 10
月は空室率が 10.9%と前年比 0.8 ポイント高まった。ただ都心部を中心にマンションの賃貸需
要は依然として堅調で、2014 年 11 月の都心 5 区の募集賃料は前年同月比 3.4%増と 12 ヶ月
連続の上昇、23 区賃料指数も同 0.7%増と 4 ヶ月連続の上昇となった。
図表 24: 東京のマンション賃料と空室率の推移
(指数)
(円/坪)
23区賃料指数(左軸)
(%)
5区募集賃料(左軸)
11
112
15,500
109
15,000
10
106
14,500
9
103
14,000
8
100
13,500
7
2014.10
2014.07
2014.04
2014.01
2013.10
2013.07
2013.04
2013.01
2012.10
2012.07
2012.04
2012.01
2011.10
2011.07
2011.04
2011.01
2010.10
2010.07
2010.04
2010.01
2009.09
2008.12
2008.03
2007.06
2006.09
2005.12
2005.03
23区空室率 (右軸)
出典: タス(データ提供アットホーム)<23区空室率>、リーシング・マネジメント・コンサルティング<5区募集賃料>、リクルートIPDジャパン<23区賃料指数>の資料をもと
にDeutsche Asset & Wealth Management作成
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
14
東京の高級賃貸マンションの空室率は 2014 年第 4 四半期は前期比 0.6 ポイント減の 7.5%と
改善している。募集賃料は 2012-13 年頃にすでに底打ちしており、足元では前年同期比 10.8%
増と、賃料が反転したオフィスビルと並行する格好で上昇カーブを描いている。
図表 25: 東京都心 3 区における高級賃貸住宅賃料と空室率の推移
オフィス賃料
(円/坪、月)
高級賃貸住宅賃料
高級賃貸住宅空室率 (右軸)
(%)
22,000
11
19,000
9
16,000
7
13,000
5
10,000
3
2008.03
2008.06
2008.09
2008.12
2009.03
2009.06
2009.09
2009.12
2010.03
2010.06
2010.09
2010.12
2011.03
2011.06
2011.09
2011.12
2012.03
2012.06
2012.09
2012.12
2013.03
2013.06
2013.09
2013.12
2014.03
2014.06
2014.09
2014.12
13
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
25,000
出典: ケン不動産投資顧問、三鬼商事の資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
物流施設
3PL 業者の拡大に加え、電子商取引に対応するため流通業者が高機能の物流施設に入居す
る傾向も目立つことから都市部周辺にある物流施設の需給環境は引き続き安定している。東京
圏における 2014 年第 3 四半期の空室率は前期比ほぼ横這いの 4.3%、大阪圏では 0.9%と極
めて逼迫した状況にある。このため平均賃料も堅調に推移しており東京圏で前年同期比 2.6%
の上昇、大阪圏では同 5.6%の上昇となった。2015 年の後半以降は高水準な供給が予定され
ているため、空室率は東京、大阪いずれにおいても一旦上昇するとみられるが、市況の大きな
崩れはないものと予想されている。物流施設はオフィスビルなどより投資利回りが高く、国内系・
外資系双方の投資家にとって引き続き魅力的な投資対象となっている。
図表 26: 賃貸物流施設の空室率及び募集賃料推移
マルチテナント型物流施設の空室率推移
東京圏
大阪圏
20%
大型物流施設の募集賃料推移
(円/坪、月)
4,800
予想 (一五不動産)
予想 (一五不動産)
15%
4,200
10%
3,600
5%
3,000
大阪圏 賃料
2,400
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
2015.06F
2016.06F
2008.03
2008.09
2009.03
2009.09
2010.03
2010.09
2011.03
2011.09
2012.03
2012.09
2013.03
2013.09
2014.03
2014.09
2015.06F
2016.06F
0%
東京圏 賃料
F:予想値(一五不動産)
注: 延床面積10,000m2以上のマルチテナント型賃貸物流施設、募集面積1,000m2以上の賃貸物流施設が調査対象
出典: 一五不動産情報サービスの資料をもとにDeutsche Asset & Wealth Management作成
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特集のテ ーマ
第2四半期
08年6月
賃料データの謎を読み解く
第3四半期
08年9月
クレジット・クランチ
3
第4四半期
08年12月
復活するか、J-REIT市場
4
第1四半期
09年3月
東京の魅力度を測る
第2四半期
09年7月
日本の住宅市場
6
第3四半期
09年10月
歴史は繰り返す?「2003年問題」当時と現在の比較
7
第4四半期
10年1月
ビルの価格指標に「取引単価」を
8
第1四半期
10年4月
なぜ不動産投資が必要か(ポートフォリオ理論からの説明)
第2四半期
10年7月
安全志向が強い国内投資家と資本市場
10
第3四半期
10年10月
四半期アップデート
11
第4四半期
11年1月
拡大するクロスボーダー取引と取り残される日本
12
第1四半期
11年4月
東日本大震災と日本の不動産市場への影響
第2四半期
11年7月
地価データの本当の使い方
14
第3四半期
11年10月
四半期アップデート
15
第1四半期
12年1月
J-REITの今後の10年
第2四半期
12年4月
四半期アップデート
17
第3四半期
12年7月
四半期アップデート
18
第4四半期
12年10月
内向き志向の強い日本の不動産市場
19
第1四半期
13年1月
住宅ローン減税は需要を喚起できるか?
第2四半期
13年4月
四半期アップデート
21
第3四半期
13年7月
急速に変革が進むアジア太平洋地域の物流不動産
22
第4四半期
13年10月
四半期アップデート
23
第1四半期
14年1月
クロスボーダー投資と日本市場の課題
第2四半期
14年4月
四半期アップデート
25
第3四半期
14年7月
四半期アップデート
26
第4四半期
14年10月
四半期アップデート
第1四半期
15年1月
四半期アップデート
1
2
2008年
5
2009年
9
2010年
13
2011年
16
2012年
20
2013年
24
2014年
27
2015年
DEUTSCHE ASSET & WEALTH MANAGEMENT ジャパン・クオータリー 2015年第1四半期 | 2015年1月
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