啓示と聖書と釈義の問題について”

An Introduction to
“福音主義神学における
啓示と聖書と釈義の問題について”
-エリクソン著『キリスト教神学』と宇田進著『総説 福音主義神学』をめぐって-
ペンテコステ神学研究会第四回夏季集中講座
2005.8.8-9 尼崎高原ロッジにて
一宮基督教研究所
安黒 務
テーマについて★
1.
幾つかの限定用語
1.
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2.
福音主義神学
エリクソン著『キリスト教神学』
宇田進著『総説 福音主義神学』
An Introduction to
限定の理由
1.
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4.
5.
J.D.G.Dunn「小さな頭脳では、専門領域すら…」
M.J.エリクソン「情報の爆発の時代」
ペールマン「森林の道案内」
宇田進「神学入門の必要性」-組織神学入門
C.P.ワグナー「学者の賜物と教師の賜物の相違」
プログラム
1.
2.
3.
4.
今日の福音主義神学の「基礎」の問題
「聖書の批評学的研究」の福音主義神学の
視点からの評価
福音主義神学と「バルト神学」の啓示理解
の相克
「ポストモダン時代」における福音主義神学
神学研究全体における
「福音主義神学の基礎」の確認
1.
聖書学部門
1.
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4.
「聖書言語」の学び
旧新約聖書の「緒論」
「聖書史」
「釈義」
「聖書神学」
「聖書学研究方法」における注意点
歴史神学部門
組織神学部門
実践神学部門
「組織神学」構築における
福音主義神学の「基礎」の確認
キリスト教と啓示
1.
1.
啓示の中心性
啓示と聖書
2.
1.
2.
啓示は聖書を生む
「命題的啓示」と聖書
聖書の霊感と権威
3.
1.
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7.
8.
聖書論への基本的アプローチ-聖書の「自己証言」
霊感とは
十全霊感
言語霊感
有機的同流
聖書は神のことばである
聖書の無謬性・無誤性
聖霊の内的証明
聖書と教会
4.
1.
2.
教会における聖書の不可思議な沈黙
聖書と教会の正しい関係
福音主義神学の源流と歴史的遺産の確認
1.
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8.
重要な三つの要素
使徒的キリスト教と福音派
古代教会の正統信仰と福音派
宗教改革の三大原理と福音派
近世における四つの流れとアルミニウス主義
プロテスタント教会の信条と17世紀の正統主義
敬虔主義の遺産と自由教会の伝統
近代のリベラリズムと福音派
1.
今日の福音主義神学の「基礎」の問題
2.近代のリベラリズムと福音派★
啓蒙思潮
自由主義(リベラリズム)
福音主義同盟
20世紀における新しい発端-K.バルト
現代の「神学的アナーキー」と福音派
1.
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5.
1.
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4.
5.
神は不可知論と抽象の霧のかなたに
「拠り所がこわされたら」詩篇11:3
「他者のための生き方」
「社会変動の人間化」
ヒュマニズムの倫理と「新道徳」
三点の確認
6.
1.
2.
3.
神の無謬の言葉の喪失→キリストの像の喪失
鋭い時代感覚と高度の学問性→「情況性」が決定因
「寛大な」考え方・あり方→「弱体な教会」を結実させる
1.
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„
今日の福音主義神学の「基礎」の問題
3.近代神学の認識論的基礎に関する弁証学的考察★
序:近代神学の概念
自由と自然:理論的自然的認識から区別さ
れた道徳的宗教的真理
宗教体験:認識と道徳から区別された体験
としての宗教的真理
新しい歴史の概念:自然科学的真理と区別
された、内的生起的出来事としての宗教的
真理
結語
エリクソンによる「福音主義神学の方法論」の提示
第1部 神を研究すること
1.
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6.
7.
神学とは何か
神学と哲学
神学の方法
神学と聖書の批評的研究
キリスト教のメッセージの今日化
神学とその言語
ポストモダンと神学
2005/8/12
9
第1章 神学とは何か
概略
1.
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3.
宗教の本質
神学の定義
神学の組織図における組織神学の位置づけ
1.
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7.
組織神学と聖書神学
組織神学と歴史神学
組織神学と哲学的神学
神学の必要性
神学の出発点
学としての神学
なぜ聖書なのか
第2章 神学と哲学
概略
1.
2.
神学と哲学との関係についての諸類型
20世紀の哲学
1.
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5.
3.
プラグマティズム
実存主義
分析哲学
プロセス哲学
脱構築
神学による哲学の活用
第3章 神学の方法
概略
今日の神学の状況
神学研究の過程
1.
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10.
3.
聖書の資料の収集
聖書の資料の統合
聖書の教えの意味の分析
歴史における取り扱いの検討調査
他文化のもつ視点の検討
教理の本質の見きわめ
聖書以外の資料からの光
教理の今日的な表現
解釈における中心的モチーフの展開
主題の層別化
神学的言明の権威の度合い
第4章 神学と聖書の批評的研究
概略
序論
様式史批評
„
1.
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編集史批評
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1.
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5.
背景
原理
様式史批評の評価
様式史批評への批判
研究の展開と特質
編集史批評への批判
編集史批評の評価
構造批評
読み手応答批評
批評学的方法を評価するためのガイドライン
第5章 キリスト教のメッセージを
今日化すること:概略
時代遅れへの挑戦★
キリスト教における永続性の領域
1.
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1.
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5.
制度・組織
神のみわざ
経験
教理
生活様式
神学を今日化する二つのアプローチ★
3.
1.
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改変者
翻訳者
永続性の基準
4.
1.
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6.
諸文化を超えた恒常性★
普遍性を示す環境・状況
基盤として認められた永続的要素
本質的なものとみなされた経験との確固とした結びつき
漸進的啓示の中での最終的位置を占めていること★
結び★
第6章 神学とその言語
概略
1.
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3.
神学的言語と検証的分析:無意味であると
いう非難
神学的言語と機能的分析
無意味であるという非難に対する答え
1.
2.
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4.
4.
人格的言語としての神学的言語
神学的言語と終末論的検証
形而上学的綜合としての神学的言語
洞察とコミットメントの手段としての神学的言語
言語行為論
第7章 ポストモダンと神学
概略
1.
ポストモダニズムを定義する
1.
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4.
2.
3.
プレモダニズム
モダニズム
モダニズムに対する不満
急進的ポストモダニズム
ポストモダン神学の諸類型
ポストモダン時代に神学すること
1.
2.
急進的ポストモダニズムに対する批判
建設的なポストモダン神学の諸原理
エリクソンによる「福音主義神学の啓示論」の提示
第二部 神を知ること
神の普遍的啓示
神の特別啓示
1.
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1.
2.
3.
啓示の保存:霊感
神の言葉の信頼性:無誤性
神の言葉の力:権威
3章 神の普遍的啓示★
1.
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5.
啓示の性質
一般啓示の様式
一般啓示の現実と有効性
一般啓示と人間の責任
一般啓示の意味合い
第4章 神の特別啓示
1.
2.
特別啓示の定義と必要性
特別啓示の様式
1.
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3.
特別啓示の方法
1.
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4.
5.
特別啓示の人格的性質
特別啓示の人間的性質
特別啓示の類比的性質
歴史的出来事
神の語りかけ
受肉
特別啓示:命題的か人格的か?
啓示としての聖書
第5章 啓示の保存:霊感
1.
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6.
霊感の定義
霊感の事実
霊感の諸理論
霊感の範囲
霊感の強度
霊感についてのひとつのモデル
第6章 神のことばの信頼性:
無誤性
1.
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5.
無誤性についての多様な概念
無誤性の重要性
無誤性と事象
無誤性を定義する
付随的問題
第7章 神の言葉の力:権威
1.
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5.
宗教的権威
聖霊の内的働き
権威の客観的そして主観的要素
聖書と理性
歴史的そして規範的権威あるもの
2.「聖書の批評学的研究」の福音主義神学の視点からの評価
新約神学
1.
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5.
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7.
新約神学とは
新約神学の歴史的流れ
ステンダール“Biblical Theology, Contemporary”
現代における諸傾向
G.Vosの継承
G.E.Ladd“A Theology of the New
Testament”
将来の課題
2.「聖書の批評学的研究」の福音主義神学の視点からの評価
1.『新約聖書と批評学』G.E.ラッド★
„
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„
„
序論
聖書が神の言葉であるとは
批評とは何か
結論
2.「聖書の批評学的研究」の福音主義神学の視点からの評価
第4章 神学と聖書の批評的研究
概略
序論
様式史批評
„
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編集史批評
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1.
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5.
背景
原理
様式史批評の評価
様式史批評への批判
研究の展開と特質
編集史批評への批判
編集史批評の評価
構造批評
読み手応答批評
批評学的方法を評価するためのガイドライン
序論
プレモダンからモダンへの移行期:批評学的方法
歴史編纂-歴史的批評
聖書の各巻に適用-モーセ五書「文書資料説」
1.
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1.
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4.
聖書全体をふるいにかけて真偽の判断の必要
4.
1.
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7.
8.
5.
6.
J,E,D,Pの異なった文書資料
モーセ時代以降に構成
歴史的説明に不正確さ
後代に属する部分と初期に属する部分
本文批評(textual criticism)
文献批評(literary-source criticism)
様式史批評(form criticism)
編集史批評(redaction criticism)
歴史的批評(historical criticism)
比較宗教批評(comparative-religions criticism)
構造批評(structural criticism)
読み手応答批評(reader-response criticism)
聖書の内容と歴史的現実の関係に関する問い
批評学における方法論-選択的に検討
第1節 様式史批評
①背景
1.
2.
一番最初に記されたのがマルコ
文書の背後に口伝の伝承(oral traditions)
第1節 様式史批評
②原理
1.
2.
3.
イエスの物語と言葉
自己完結的資料群-文学様式により分類
分類後、階層ごとに分けられる
1.
2.
3.
4.
口伝のたどる一般的な過程や道筋
大学新聞の四コマ漫画
福音書資料についての幾つかの結論
初代教会における「生活の座」の確定
1.
2.
ルドルフ・ブルトマン
「史的イエスの新しい探求」
第1節 様式史批評
③様式史批評の評価
„
1.
様式史批評の果たした肯定的な貢献
イエスの行為・言葉と付き従う信仰者の不可分性
の指摘
„
2.
3.
4.
信仰に重要でないものは描き出さず
福音書は信仰者の”集団”により作成されたとの
指摘
組み込まれた資料、選択、直面していた状況から
の学びの指摘
諸前提が聖書記者の視点に反しない場合、確証
する助けとなる
第1節 様式史批評
④様式史批評への批判
様式史批評の前提・適用…多くの問題
「記者は歴史にさほどの関心なし」との前提
„
1.
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2.
「記者は信頼性に欠ける人物」との仮定
2.
1.
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„
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7.
„
幾つかの前提-さらに検討を要する
伝承の組込・創作-「生活の座」により説明できると仮定
4.
6.
真実性に高い価値を置く人々・記憶力の強靭さ
「反復における復元」「記憶の連鎖」
様式を階層化する試み-失敗に終わる傾向
3.
5.
歴史において働かれる神の世界
目撃者の数が減り始めていた
教会に不利な事柄が記述-記者の誠実さ
「独自性」が真正性の基準と仮定
「聖書が霊感されたものである」との可能性なしと仮定
「目撃者が記録した」ことは無視されている
様式史批評:資料の歴史性を評価する能力は低い
第2節 編集史批評
①研究の展開と特質
様式史批評・伝承批評・編集史批評の関係
様式史批評と編集史批評
ボルンカム、コンツェルマン、マルクセン
ルカ福音書:歴史的関心・著述家の模範
三つの生活の座
1.
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1.
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イエスが最初に語り、行動した状況
初代教会が宣教活動において直面した状況
福音書の働きと目的における状況
枠組み・伝承の様式・記者の立場や視点に焦点
「記者はイエスの言葉・行動に関心もたず」との仮定
個々の資料の非真正ではなく、その真正性
より急進的な編集史批評学者たちは…
ウィリアム・ウォーカー:編集資料を伝統的資料から区別する段階の一
覧表
第2節 編集史批評
②編集史批評への批判
1.
2.
3.
4.
5.
「記者は神学的目的・方法をもつ人々」との
仮定
「特定の聴衆・特定の問題を念頭に語られ
ている」との仮定
言語や文体という基準がもつ効力は多様
「編集句からのみ判断される」と仮定
福音書の状況や目的を調べることに限定さ
れる
第2節 編集史批評
③編集史批評の評価
真正性の基準がより理にかなうなら
広義と狭義の意味
限定された範囲で使用する
1.
2.
3.
1.
2.
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6.
7.
8.
聖書本文の真実性を実証する助けとなる
記者の強調した特定の事柄を判断する助けとなる
共観福音書の問題を解決する助けとなる
受け取った資料のコンテクスチャリゼーションの洞察を得
る
記者たちの働きには解釈が含まれる
「彼自身の言葉」ではなく「彼自身の声」
アラム語で語られ、ギリシャ語に翻訳された
保守的な理解と懐疑的な理解とを区別する方法
第3節 構造批評
新しい方向転換の兆し
言語学者ソシュールと人類学者レヴィ=ストロース
文芸評論家マーレー・クリーガー
「聖書神学運動」の崩壊
方法論:根本的に自然主義
共時的・垂直的に見る
釈義学者の方法論的前提:その文化に属する
ラング(言語体系)とパロール(発話行為)
1.
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1.
2.
3.
著者の具体的な状況-「発音の構造」
「文化的構造」「文化的諸規定」による制約
「深層構造」-著者あるいは話し手に自らを押し付ける制約
深層構造:物語構造と神話的構造
構造主義の短所:アンソニー・シセルトン
9.
10.
1.
2.
3.
初期、ある程度の客観主義が存在
結果の有益さ等についての疑問
思想にあまりにも多くの修正
第4節 読み手応答批評
テキストと読者相互間を重視するアプローチ
ポストモダンの批評学は:バーネット
スタンレー・フィッシュ:最も急進的
このアプローチの主観性
客観化が行われる要素
フィッシュほど先に進んではいない
ファウル:意味についての議論をあきらめる
ポーター:方法論の活用に欠陥がある
テキストの中に意味を置く→読者の中に位置づける
1.
2.
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1.
2.
3.
4.
意味の問題はすべてのテキストに適用される
言語に対する規定的なアプローチという誤り
主観主義につきまとう傾向は解決されず
物語哲学以上ものではない
第5節 批評学的方法を
評価するためのガイドライン★
1.
2.
3.
4.
5.
6.
„
„
反超自然的な意味をもつ前提に警戒
循環論法の存在を見つける必要
根拠のない推測に対する警戒
恣意性や主観性に気づく必要
信仰と理性は対照的関係という前提に警戒
確実性より蓋然性である
聖書批評学はその成果において否定的である必
要はない
聖書の十全な権威と一致した前提を基盤とするな
ら、聖書の意味の上にさらなる光をもたらす有用
な手段となりうる
2005/8/12
36
参考資料
„
„
„
三つのパラダイム
聖書解釈の歴史
聖書の研究シリーズ
3. 福音主義神学とバルトの啓示理解の相克★
„
『近代のリベラリズムと福音派』
„
„
„
„
„
啓蒙思潮
自由主義
福音主義同盟
20世紀における〝新しい発端〟-K.バルト
現代の「神学的アナーキー」と福音派
„
カール・バルトの「神の言葉」と日本の教会
„
バルトにおける「神の言葉」
„ 問題点-「神秘的弁証法」を中心に
『日本のプロテスタント主流派教会と福音主義』
„
3. 福音主義神学とバルトの啓示理解の相克★
『現代神学』宇田進講義ノートより
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
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9.
10.
序論
現代神学の背景
福音派の課題
近代理性の問題
近代思想史におけるカントの位置
カントの認識論
トレルチの歴史的方法
ガダマーの新解釈学
バルトの聖書観
バルトの霊感論
3. 福音主義神学とバルトの啓示理解の相克★
『バルト神学』宇田進講義ノートより
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
バルト研究-書籍リスト
近代神学史におけるバルト
日本におけるバルト神学の導入
日本における神学の発展史
福音派におけるバルト
バルトの聖書論の根本命題
バルトの「霊感」理解
バルトにおける「神の言葉」
キリスト教の規範の問題-根本的拠点的問題
「神的な、啓示されてある姿」ではなく、神の啓示についての証言
1.
2.
1.
2.
聖書-神の啓示と不可分な関係、啓示認識に不可欠
聖書-啓示と同一ではなく、区別される
啓示-神の自由における行為、出来事、ハプニング
聖書-堕落した被造物を媒介に成立、世的制約性、人間性
3.
4.
1.
2.
3.
4.
古代の世界像と人間理解
独自な歴史の扱い方-史実的歴史と物語・口碑・伝説を区別せず
宗教神学的な矛盾・交錯の存在
イスラエル的精神の産物
聖書の実相の解明
5.
1.
2.
歴史的文献的批評の適用
人間的・可謬な宗教的証言文書
福音派の言語霊感説について
6.
1.
2.
ひとつの誤解、魔術的機械的物化
聖書と神の言葉-間接的同一性の立場
1.
聖書の人間的な言葉を通して-神ご自身が語られることを-聞き取る信仰の出来事につ
おいて-聖書は神の言葉と「なる」
問題点-「神秘的弁証法」を中心に
バルトの神の言葉概念-二重の問題
1.
1.
2.
神の言葉の〝認知・認識〟の問題
〝具体的な存在〟の問題
弁証法について
2.
1.
神秘化された形態において-流行に
1.
2.
3.
2.
田辺元の発言
1.
2.
3.
3.
現存するものを聖化するように見えた
両立しがたい矛盾-神秘的・超越的な神のうちで簡単に解決
神と人との間にひとつの深淵-絶対の矛盾を神秘的弁証法によって合一
天皇制中心の軍国主義支配機構と人民の自由-絶対の対立と矛盾
彼の発言の底に-「この不自由を自由と考えよ」のメッセージ
逆説的性格-神秘のうちで一挙に解決しようとする非合理
詭弁に転化した弁証法
1.
2.
3.
4.
対立の統一がどんな発展の内面的理解と結びついているか
対立の交互浸透、質的変化の過程、転化の仕方、二重性をもつ過渡的中間形態-明らか
にされないまま
無媒介なる対立の直接的飛躍的統一、神秘と不合理への逃避の現実
ヘーゲル哲学の秘密=神学(フォイエルバッハの指摘)
3. 福音主義神学とバルトの啓示理解の相克
福音派の最近の傾向
分離主義的ファンダメンタリズム
穏健ファンダメンタリズム
ポスト・ファンダメンタリスト的福音主義
告白主義的福音主義
進歩的福音主義
1.
2.
3.
4.
5.
1.
2.
3.
4.
5.
6.
青年福音主義者、福音派版社会的福音
新しい中道-福音派内の急進派・エキュメニカル派内の福音的な流れ
6.
7.
1.
2.
3.
4.
8.
聖書の無謬性理解の再構成
聖化の強調
ディスペンセーション主義の悲観的歴史観、未来主義的黙示終末論、社会倫理の欠如の是正
社会・政治・経済における倫理の重視
エキュメニカル派との対話、他宗教との対話
諸科学とのより深い交流
バルトとその傾倒の神学を再評価しようとする動き
神学方法論
聖書論
宣教論
カリスマ運動
『日本のプロテスタント主流派教会と福音主義』
参考資料
日本のキリスト教の特殊性
1.
1.
2.
3.
教派についての理解-消極性
法的秩序-乏しさ
福音主義的・聖書主義的態度
欧米における福音主義運動からの海外宣教会
2.
1.
実践的な生活態度
日本基督教団における福音主義
3.
1.
2.
日本基督教会、日本組合教会、日本メソジスト教会を中心として成立した日本基督
教団
バルトを中心とする弁証法的神学の線
主流派における福音主義理解の方向と土俵
4.
1.
明治から大正の前半期の代表-植村正久
1.
2.
3.
2.
贖罪論
聖書観
無教会的、非信条主義的体質
大正から昭和にかけての代表者-高倉徳太郎
1.
2.
リベラルないし進歩的福音主義
弁証法神学の台頭-〝バルト以前のバルト〟たるフォーサイスに深く傾倒
日本の教会と神学における「ドイツ捕囚」の問題
参考資料
育ての親「アメリカ」蔑視-ドイツから学ぼう
1.
1.
2.
3.
4.
5.
プロシア憲法-帝国憲法-政府の方針転換
帝国憲法-天皇制-権威主義的ドイツ
官学教員-ヨーロッパ留学-学問研究の輸入
対米観の悪化の傾向
官尊民卑の風潮の強化-アメリカ蔑視
教会内
2.
1.
2.
反教会・反宣教師-無教会の広がり
軍国主義的傾向の強化-ドイツ神学への傾倒
20世紀の日本のプロテスタント神学-バルトを中心とする弁証法神学により、規定されている神学
3.
1.
2.
3.
4.
5.
6.
簡易信条的、意思的情緒的タイプ→
簡易信条的、意思的情緒的タイプ→知的側面
啓蒙主義の洗礼を受けて登場した神学
聖書を神のことばとして受け取る「間接的同一性」
教会の宣教に奉仕する学として
伝統にしばられない神学の提供
日本の思想界・哲学研究の世界からも注目
日本の教会における変化
4.
1.
2.
3.
4.
宗教改革の核心をなす福音主義の理解における〝
宗教改革の核心をなす福音主義の理解における〝転換〟
転換〟
知的深まり・神学的なエリート性の増加
一般的な人々との接点の喪失
宣教のスピリット・信仰のエネルギーの著しい後退・喪失
参考資料
総説 現代神学
„
„
カール・バルトの『ローマ書』と弁証法神学運
動
弁証法神学運動の分裂とバルトの『教会教義
学』
4.「ポストモダン時代」における福音主義神学
「モダン」の〝発展〟と〝ゆらぎ〟
1.
2.
19世紀-啓蒙思想の発展と応用の時代
20世紀-「モダン」の継続的発展と〝メタゆ
らぎ〟
1.
2.
〝円熟する時代〟?
「ポスト・モダン」の台頭-四種の解釈
„
合理主義と非合理主義との弁証法的緊張と解決な
き闘争?
4.「ポストモダン時代」における福音主義神学
„
『ポストモダンと神学』
ポトモダニズムを定義する
„ ポストモダン神学の諸類型
„ ポストモダン時代に神学すること
„
第1節 ポストモダニズムを定義する
序-1
„
„
„
神学において
どの程度ポストモダン的?
モダン、コンテンポラリーの意味
第1節 ポストモダニズムを定義する
序-2
1.
2.
近年-「モダン」という言葉の意味-変化
トーマス・オーデンの定義
第1節 ポストモダニズムを定義する
①プレモダニズム★
1.
2.
3.
4.
宇宙は合理的なものである
目的論的
歴史も秩序立ったパターンに
形而上学的概念・認識的概念が関係してい
た
第1節 ポストモダニズムを定義する
②モダニズム★
1.
2.
3.
4.
5.
6.
アプローチの一致点と相違点
近代思想-合理性・確実性の強調
インマヌエル・カント
ベーコンの思想・ニュートンの思想
ランドル『近代知性の形成過程』
あらゆる事柄を覆い尽くす説明を探求
第1節 ポストモダニズムを定義する
③モダニズムに対する不満★
1.
2.
アレン:モダン全体の崩壊の四領域
1.
「自己充足的な宇宙」の問題
„
合意事項に重大な疑い
2.
道徳と社会の基盤を見出すことに失敗
3.
進歩への楽観主義の喪失
4.
知識は中立的なもの
オーデン:モダニティの四つのモチーフ
1.
2.
3.
4.
自立的個人主義
自己陶酔的快楽主義
自然主義的還元主義
絶対的ドグマティズム
第1節 ポストモダニズムを定義する
④急進的ポストモダニズム
„
1.
2.
3.
4.
合理性の基本事項のいくつかを拒
否しつつ、さらに急進的に
「脱構築」
ネオ・プラグマティズム
新しい歴史主義
モダニティの極端な拡張
第2節 ポストモダンの諸類型
„
„
グリフィン:便宜的なカテゴリー
1. 「脱構築あるいは排除的ポストモダン神学」
2. 「建設的あるいは改訂的ポストモダン神学」
3. 「解放論的ポストモダン神学」
4. 「保守的あるいは再構成的ポストモダン神学」
相違点-翻訳者と改変者の間の相違に対応
第3節 ポストモダン時代に神学すること
序
1.
2.
3.
ポストモダン時代への移行の事
実
真剣にポスチモダンの見方に
備える
ポストモダンの精神構造
第3節 ポストモダン時代に神学すること
①急進的ポストモダニズムに対する批判
1.
2.
3.
4.
5.
6.
極端なポストモダニズムの信念には抵抗
中心的問題のひとつ-一貫性をもって主張
を維持することの難しさ
脱構築を唱導しつつ、脱構築主義者である
ことは難しい
デリダのサールへのレスポンス
脱構築が採用しない論理を前提に
合理主義が制限したので、ポストモダンは
合理主義を拒否
第3節 ポストモダン時代に神学すること
②建設的なポストモダン神学の諸原理★
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
五人の目の見えない人たちと象
相対主義、多元主義、主観主義
外見上の主観性を扱う一つの試み
ある程度の謙遜が神学を保持する
福音の文化脈化にかかわる
共同体の訴え-客観性を保証しない
神学が未信者に提示される
啓示の様式-聴衆が知覚できる特徴を考える
ポスト・モダニズムの挑戦とキリスト教神学の脱構築
参考資料
「知の革新」としての「ポスト・モダン」?
「テクストの外には何もない」-〝ロゴス中心主義〟の拒
否
1.
2.
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
フッサール
ソシュール
〝テクスト解釈〟はいかに
「脱-神の言葉の神学」
〝アウグスティヌスと救済史の終焉〟
過去と現在の〝橋渡し〟-「歴史的パラダイム」、「文学的
パラダイム」、「文化的パラダイム」
「物語神学」
〝読み手による創作〟?
まとめ
„
An Introduction to
“福音主義神学における
啓示と聖書と釈義の問題について”
-エリクソン著『
-エリクソン著『キリスト教神学』
キリスト教神学』と宇田進著『
と宇田進著『総説 福音主義神学』
福音主義神学』をめぐって-
1.
2.
3.
4.
今日の福音主義神学の「基礎」の問題
「聖書の批評学的研究」の福音主義神学の視
点からの評価
福音主義神学と「バルト神学」の啓示理解の相
克
「ポストモダン時代」における福音主義神学