公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報 【パーティー用室内花火-メタアルデヒド含有】Ver.1.01 公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報 パーティー用室内花火-メタアルデヒド含有 1.概要 パーティーメイク用品。引火性のメタアルデヒドに炎色反応を示すヨウ素、 リチウム、銅などを添加したトローチ状または錠剤様の商品。炎に各種の色を 着け、小さな火花が飛散する卓上花火といえる。 2.毒性 主成分のメタアルデヒドとして: ヒト経口最小致死量 小児 3g、成人 24g (メタアルデヒド約 80%含有製品として小児 4 個、成人 30 個) ヒト経口推定中毒量 約 5~50mg/kg(小児 0.05~0.5g、成人 0.3~3g) (参考)ヨウ素:成人経口致死量 約 2g リチウム(炭酸リチウム):ラット経口 LD50 525 mg/kg 銅(硫酸銅):ラット経口 LD50 300 mg/kg 3.症状 発症までに数時間潜伏することあり 小児:消化器系 :悪心、嘔吐、下痢、失禁 中枢神経系:発熱、強直性痙攣、昏睡、光反射消失 循環器系 :血圧低下、頻脈 その他 :呼吸抑制、発疹、チアノーゼ、両腕痛、 腱反射消失、短期記憶喪失 成人:悪心、嘔吐、口腔・気管支分泌増加、痙攣、発熱、昏睡、 記憶喪失、ときに肺水腫 4.処置 催吐禁忌(痙攣誘発のおそれあり) 胃洗浄、吸着剤・下剤投与。症状により呼吸・循環管理 対症療法:痙攣:ジアゼパム 0.1 mg/kg (緩徐静注) 臨床検査項目:肝・腎機能、尿中・血中電解質、 神経学的諸検査(痛覚、光反射その他) 5.確認事項 1)商品名、成分:現物の商品名および成分・組成を確認 2)摂取量:1 個か 2 個かできるだけ正確に 3)患者の状態:年齢、体重、症状など。とくに誤飲後の経過時間は潜伏時 間推定上必須 6.情報提供時の要点 1)嘔吐などの消化器症状がみられる場合には、直ちに受診を指示 2)症状がみられなくとも、推定中毒量に近い摂取量と思われる場合には、 潜伏時間を考慮して、直ちに受診を指示 1/2 copyright © 2009 公益財団法人 日本中毒情報センター All Rights Reserved. 公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報 【パーティー用室内花火-メタアルデヒド含有】Ver.1.01 7.体内動態 全般にメタアルデヒドの体内動態は未解明 吸収:消化管から直接吸収されるとも、また胃酸で徐々にアセトアルデ ヒドとなって吸収されるともいわれている 代謝:アセトアルデヒドへの分解速度はアセトアルデヒドの酢酸などへ の酸化速度を越える。ときに血中にエタノールが現れることあり 8.治療上の注意点 1)5 歳以下の幼児の誤飲事故が大部分(約 80%)であるが、ほとんど無症状 か軽症で、48 時間内に回復(1)。しかし、ときには発熱、痙攣などの重 症でも数時間の潜伏時間があるので、初期治療を見逃す危険性あり。 とくに意図的摂取例では注意 2)抗痙攣薬の使用:フェノバルビタール、フェニトインは筋攣縮や痙攣に 著効を示さず、アセトアルデヒド(メタアルデヒドの毒性分解物)代謝 酵素を阻害する。ジアゼパム静注により、呼吸・循環器系の抑制をおこ す可能性あり(1) 10.参考文献 (1)Booze TF et al:Vet. Hum. Toxicol.,27:11~19,1985 (2)Poisindex(1989) (3)Handbook of Poisoning (1987) 11.作成日 19900215 Ver.1.00 20081130 Ver.1.01 ID M70032_0101_2 新規作成 部分改訂 2/2 copyright © 2009 公益財団法人 日本中毒情報センター All Rights Reserved.
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