絵の具 - 日本中毒情報センター

公益財団法人 日本中毒情報センター 保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
【絵の具】Ver.1.00
公益財団法人 日本中毒情報センター
保健師・薬剤師・看護師向け中毒情報
絵の具
1.概要
水性絵の具と油性絵の具がある。水性絵の具は成分として顔料 4~36%、体質顔
料(タルクなど)5~30%、糊剤(アラビアゴム、グリセリン)15~36%、添加剤 1%
以下、水 27~48%を含有する。油性絵の具は顔料 15~70%、体質顔料(タルクなど)
2~30%、展色剤(パラフィン、植物油など)20~60%、添加剤を含有する。また、
水性絵の具のうち専門家用や固形のものおよび油性絵の具の顔料には、鉛、亜鉛、
カドミウム、水銀などの重金属を含有しているものがある。
2.毒性
絵の具の急性の摂取による平均的な中毒量は約 5mL/kg(1)
顔料:ヒト経口推定致死量 10g/kg 以上 (2)
体質顔料:ヒト経口推定致死量 15g/kg 以上
展色剤:ヒト経口推定致死量 0.5~5g/kg
糊剤:ほとんど無毒
大量服用では重金属中毒(鉛、亜鉛、カドミウム、水銀、コバルト、
ひ素、クロム)が生じる
3.症状
一般的に水性絵の具では急性中毒を起こさず。大量(5mL/kg 以上)の服用では、
嘔気、嘔吐、下痢などの可能性あり(1)
油性絵の具では、まれに、顔料による重金属中毒を生ずるかもしれない。
この場合は、個々の物質による中毒症状を考慮(1)
4.処置
家庭で可能な処置
催吐(ただし、乳幼児の場合、吐物を気管内に吸い込むことがあり、要注意)
医療機関での処置(1)(3)
一般的な中毒に対する処置
対症療法
血中、尿中の重金属濃度の測定
拮抗剤:顔料による重金属中毒に対しては、CaEDTA や BAL などのキレート剤
の投与
5.確認事項
1)種類:専門家用または固形水性絵の具ではないか。油性ではないかなどの
確認。(専門家使用の水性絵の具、水性の固形絵の具や油性絵の具
では、顔料に重金属を含有している可能性大)
2)摂取量:筆をなめたのか、容器のチューブから飲んだのか
3)患者の状態:嘔吐、下痢、その他変化の有無
6.情報提供時の要点
1)水性や油性で重金属非含有のものは、きわめて大量(5mL/kg 以上)で
ない限り経過観察し、嘔吐や下痢などを生じたときに受診を指示
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2)油性で重金属含有のものは、重金属中毒の危険性があるなら受診を指示
7.参考文献
(1)Poisindex(1988)
(2)急性中毒情報ファイル(1988)
(3)救急中毒マニュアル(1986)
8.作成日
19900215 Ver.1.00
ID M70029_0100_2
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