ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP) グラント受賞者のノーベル賞受賞について ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)のグラント受賞者が 2006 年度 ノーベル化学賞を受賞しました。 1.ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)について ヒューマン・フロンティア・サイエンス・プログラム(HFSP)は、1987(昭和62)年のベ ネチアサミットにおいて我が国中曽根総理(当時)が提唱した生体の複雑な機能の解明を 目的とする国際共同研究助成プログラムであり、日本・米国・フランス・ドイツ・EU・英 国・スイス・カナダ・イタリア・オーストラリア・韓国・ニュージーランドの計12か国に より運営されています。1990年の助成開始以来、HFSPグラント受賞者でノーベル 賞を受賞した研究者はこれにより12人となりました。 2.受賞者について ロジャー・コーンバーグ博士(アメリカ スタンフォード大学医学部教授) 『真核生物における転写の分子的基盤に関する研究』 2000 年度 HFSPグラント受賞『転写制御メディエーター』 1997 年度 HFSPグラント受賞『転写、DNA 修復、細胞周期制御、ヒト疾患における RNA ポリメラーゼ転写因子ⅡH の役割』 1993 年度 HFSPグラント受賞『蛋白質結晶のエピタキシャル成長を利用した 転写複合体の X 線構造決定への応用』 1990 年度 HFSPグラント受賞『真核生物遺伝子制御機構の構造とそのメカニズム』 * なお、当該研究グラントは深沢俊夫博士(代表者) 、半田宏博士の 2 名の日本人研究者が 共同研究者として受賞している。 参考 <過去にHFSPグラント受賞後ノーベル賞を受賞した研究者> ① バック博士(アメリカ) :2004 年度生理学・医学賞 『嗅覚受容体及び嗅覚情報処理の発見に対して』 95 年度研究グラント 『化学的感覚:嗅覚と味覚の受容における分子メカニズム』 ② ハーシェコ博士(イスラエル) :2004 年度化学賞 『ユビキチンによるタンパク質分解機構の発見』 98 年度研究グラント 『G1期の細胞周期進行の調節における Skp1 と Cullins の役割』 ③ アグレ博士(アメリカ):2003 年度化学賞 『生体細胞膜に存在する物質の通り道の研究』 00 年度研究グラント 『MIP水チャネルファミリーに属するアクアポリンや溶質トランスポー ターの構造と機能と制御』 ④ サルストン博士(イギリス):2002 年度生理学・医学賞 『器官発生と、プログラムされた細胞死の遺伝制御』 91 年度研究グラント 『遺伝子シークエンスの同定によるCエレガンス・ホメオボックスと核ホ ルモン受容体の解析』 ⑤ ハント博士(イギリス) :2001 年度生理学・医学賞 『細胞周期の主要な制御因子の発見』 97 年度研究グラント 『遺伝情報の M-1 発現』 ⑥ ナース博士(イギリス):2001 年度生理学・医学賞 『細胞周期の主要な制御因子の発見』 93 年度研究グラント 『分裂酵母と動物におけるG1展開を制御する新奇要素』 ⑦ チュー博士(アメリカ):1997 年度物理学賞 『レーザー光による原子の冷却とトラップの方法の開発』 93 年度研究グラント 『光学ピンセットを用いた単一分子メカニクス』 ⑧ プルジナー博士(アメリカ):1997 年度生理学・医学賞 『プリオン 新しい感染症の生物学的な原理』 94 年度研究グラント 『遺伝子組み込みと遺伝子ターゲッティングにより研究されているプリオンタ ンパク質の機能とコンフォメーション』 ⑨ ウォーカー博士(イギリス):1997 年度化学賞 『アデノシン三リン酸の合成の基礎をなす酵素メカニズムの解明』 96 年度研究グラント 『F1F0-ATP 分解酵素の F0 膜埋め込み部分の構造と機能の解析』 ⑩ ツィンケルナゲル博士(スイス) : 1996 年度生理学・医学賞 『免疫システムによるウィルス感染細胞の認識方法の発見』 93 年度研究グラント 『ジーンターゲッティングによる感染に対する免疫反応の分析』 ⑪ ニュスラインフォルハルト博士(ドイツ) : 1995 年度生理学・医学賞 『初期胚発生における遺伝的制御に関する発見』 93 年度研究グラント 『ゼブラフィッシュ初期胚の研究のための遺伝的変異の挿入』 <ノーベル賞受賞後 HFSP グラントを受賞した研究者> ① クレブス博士(アメリカ) :1992 年度生理学・医学賞 『生体制御機構としての蛋白質リン酸化の逆反応の発見』 94 年度研究グラント 『細胞シグナルにおけるチロシンリン酸化酵素の研究』 ② 利根川博士(日本) :1987 年度生理学・医学賞 『多様な抗体を生成する遺伝的原理の解明』 90 年度研究グラント 『正常型及び変異型 T 細胞の分化と機能におけるαβ及びγδT 細胞の役 割の研究のための T 細胞受容体遺伝子への変異導入』 ③ クルーグ博士(イギリス) :1982 年度化学賞 『結晶学的電子分光法の開発と核酸・蛋白質複合体の立体構造の解明』 90 年度研究グラント 『核酸結合蛋白質の構造研究及びその核酸との相互作業』 ④ フーベル博士(アメリカ) :1981 年度生理学・医学賞 『脳皮質視覚野における情報処理に関する研究』 94 年度研究グラント 『視覚皮質における活性パターンと側性連結の関係』 ⑤ コーンバーグ博士(アメリカ) :1959 年度生理学・医学賞 『RNA 及び DNA の合成に関する研究』 91 年度研究グラント 『変異型及び野生型酵素システムによる染色体複製の忠実度』
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