①生活水の確保と衛生上の注意(PDF)

生活水の確保と衛生上の注意
震災などの災害時に最低限の生活を営むには、飲料水、手洗い・洗面水、調理水、食器
洗浄水、風呂・シャワーの洗体水、洗濯水、便器洗浄水などの生活水が欠かせません。こ
れらの生活水を重要度と清浄度からランキングすると、次のようになります。
①飲料水
②手洗い・洗面水、調理水、食器洗浄水
③洗体水、洗濯水
④便器洗浄水
一方、災害時の水の供給状況は次のようなステージに大別されます。
A:水道が断水した場合
B:水道は断水していないが、住宅の給水設備がダウンした場合
C:水道の断水や給水設備のダウンが予想される場合
これらのステージ別に、生活水の確保と衛生上の注意を述べます。
A:水道が断水した場合
給水車も来なく、まったく水供給のすべがない場合は、河川や井戸水を利用するしかあ
りません。
水道水以外の水を飲料水に用いる場合は、煮沸消毒するのが基本となります。
[井戸水]は、煮沸すれば、衛生的に問題はありません。
[河川水]は、活性炭などで濾過して煮沸すれば、飲むことができます。活性炭がなけ
れば、炭が代用できます。なお、市販されているポータブルな簡易浄水器があれば、
これを用いて飲むことができます。
[雨水]ですが、もし雨が降ってきたら、縦樋の下部末端にバケツなどの容器を設置し
て雨を貯留して下さい。ただし、初期の雨水は屋根などの汚れを含んでいますので、
降り始めてから 10 分ぐらい過ぎてからの雨水を利用して下さい。雨水は、一般に井戸
水より清浄ですが、やはり煮沸することを勧めます。
手洗い・洗面水、調理水や食器洗浄水は、布を重ねて濾紙の代わりとし、ろ過して汚れ
を除いてから利用して下さい。洗眼など、高い清浄性が必要な場合は、煮沸した水を用い
て下さい。
洗体水は、貯留容器の上澄みを用いてください。タオルなどを浸して、できるだけ少量
の水で済ませるようにします。洗濯水は、洗う物により清浄性が異なります。肌着などは、
洗体水と同質の水を使うことになります。
便器洗浄水は、いずれの水でも、そのまま利用できます。
B:水道は断水していないが、住宅の給水設備がダウンした場合
水道には、各所に非常時給水設備が設けられていますので、これを利用することができ
ます。最寄りの水道局に問い合わせて下さい。
C:水道の断水や給水設備のダウンが予想される場合
生命維持に必要な水量は、1人1日当たり 1.3~1.5ℓといわれています。飲料水と調理水
の合計がこの水量に相当します。飲料水に限れば、約 1ℓが必要となります。これに調理、
手洗い洗面などを勘案し、1人1日当たり2ℓを最小目安として、一週間分ぐらいを備蓄し
ておくのが望ましいでしょう。水の備蓄は、ペットボトルやポリ容器のほか、ビニール袋
を代用することもできます。なお、ポリ容器は、給水車が来た場合、貯水容器として非常
にに有用ですので、備えておくことを勧めます。
住宅には浴槽があります。満水にすると、200ℓを超える水量が貯留できます。この浴槽
貯水は、十分に貯水槽の代わりとなります。しかし、飲料水に利用する場合は、必ず煮沸
して下さい。
なお、ポータブルな簡易浄水器が市販されているので、これを用意しておくのもよいで
しょう。