コラボママ救 「新型インフルエンザの対処法」質疑応答集

2009 年 10 月 19 日開催
コラボママ救 「新型インフルエンザの対処法」質疑応答集
【Q】 小学校や保育園に通う兄弟がいる環境で、就学前の乳幼児を守るためにどうすれば良いか?
【A】 家族間では意外とうつらないような印象をもっている。マスク・手洗い・うがいを徹底することが大切。
発症者をできるだけ隔離する。他者との接触を完全になくすこと(社会からの完全隔離)は不可能なので、
防ぎきることは無理。
【Q】 季節性インフルの対応について知りたい。また、季節性・新型の予防接種を受けるタイミングについて
アドバイスをお願いしたい。
【A】 季節性の予防接種との間隔については、主治医の判断によっては同時に打ってもよい。新型ワクチン
の入荷時期や量は不明なので、先に季節性を受けるのも一案。
新型と季節性、2種類のインフルエンザが流行るということは、単純な計算で考えると、脳炎などの合併症を
引き起こす頻度・危険性が2倍以上になるということ。これまでもシーズン初めにA型にかかり、シーズンの
終わりにB型にかかるということを経験されたこともあるだろうが、今年は新型を含めて3種類あると理解し
てほしい。
予防接種を受けてもインフルエンザにかかったということをよく聞くが、予防接種は重症化を防ぐものだ。罹
患した場合にウイルスが体内に深く入ること(重症化)を防御することを期待できる。また、タミフルを服用す
れば脳症が防げるという証拠はない。それよりも、手洗い、うがい、咳エチケットなどで、かからないように努
力し、重症化の確立を減らすために予防接種をすることが大切。
【Q】 現在授乳中だが、母親が新型インフルエンザになったらどうすればいいのか?
【A】 インフルエンザのお母さんからのおっぱいを介して赤ちゃんにインフルエンザが感染することはないが、
母親の咳や鼻水などを介して赤ちゃんがウイルスにさらされることが問題。タミフル服用時の授乳には一定
の基準(下記枠内)があるので、授乳しないほうがいい時期があるということを知っておいてほしい。
いずれにしても強い症状があるときは極力接触を避けるようにしたほうがよい。
一定の基準(目安) ∼分娩施設内の取り決め∼
インフルエンザを発症した母親が直接授乳や児のケアを行うためには次の3条件が揃っていることが必要。
満たされない場合は搾乳した母乳を健康な第三者が児に与えるように。
1) タミフルまたはリレンザを2日以上服用していること
2) 平熱となっていること
3) 咳や鼻水がほとんどないこと
(追加情報)
妊娠中のお母さんに新型インフルエンザが発症した場合、タミフルがお腹の赤ちゃんに影響することはほぼ
否定されている。主治医と相談する(リレンザ吸入選択も含め)ことを推奨。
また、妊娠中の新型インフルエンザワクチンの接種についても妊娠のどの時期にしても構わないという見解
がでている。(日本産婦人科学会より)
【Q】 1歳7か月の幼児の面倒を見ることが多いのだが、どのようなことに注意をすべきか?
【A】 症状がある人には近づかない。近づかせない。集団の中に入れないことも一つの手であるが、子ども
の成長や発達に影響を及ぼしかねないので、咳エチケットなど周囲の人、特に家族が予防対策をすること
が大切。普段から子どもの状態を注意し、怪しい症状が見られたら、守る会のチャートなどを参考に、これま
で同様、的確な判断をしてもらいたい。そうすることだけで充分な対策になる。
【Q】 既往症のない健康な子どもが新型インフルエンザで亡くなったとの報道があったが、他に情報があれ
ば教えてもらいたい。
【A】 合併症の危険性のある子どもについては、予防的にタミフルを処方する動きも出てきている。乳幼児
は本来「ハイリスク」で、脳症や脳炎になりやすいもの。健康な子どもに関しては、どのような子が重症化す
るかについては全く分からない。新型インフルエンザによる死者は 19 人ほどだが、いつもの季節性インフル
エンザの死者は(高齢者が多いのだが)年間 1000 人以上。インフルエンザが「きっかけ」となり死亡するケー
スを含めると年間 15000 人ほどが亡くなっている。毎年 50 人から 300 人が脳症にかかり、そのうちの 30%
が命を落としている。新型インフルエンザについてはまだ検証されていないが、毎年の季節性インフルエン
ザについてもそれくらいなのだということを知っておいて欲しい。(ただいつもの季節性よりも若い人の死亡
者数の割合が高い傾向)
【Q】 インフルエンザ検査が陰性なのに予防的にタミフルを投与されることがあるようだ。陰性でタミフルを
予防的に服用し、その後、実際に感染したとき、タミフルが有効な期間はどれくらいか?また、連続してタミ
フルを服用した場合、過剰投与にはならないのか?
【A】 タミフルを長期間服用するのは問題で、3∼4日服用して効果がなければ、他の薬(リレンザ等)に変
更したほうがよいかもしれない。
タミフルの予防投与については本来(季節性インフルエンザ)、濃厚接触したハイリスクの人に処方されるも
のである。世界的にも健康な場合はタミフルを投与しない流れになっている。ただ、新型についてはまだま
だ検証できていない部分も多くあり、状況により主治医の判断で予防投与してもいいと言われている。
タミフルの主な副作用としては嘔吐・下痢(消化器症状)などがある。タミフルを処方されて得られる効果より、
副作用の方が大きい場合は服用を中止したほうがよい。主治医や処方した薬局に相談するように。
連続投与については、以前タミフルを飲んでいて再びインフルエンザにかかった場合、重複しないよう薬剤
投与歴を確認してもらうべき。2∼3日間ほど服用して、その効果がどれくらいあるかを見極めるべき。
タミフル耐性(タミフルが効かないこと)が考えられる時や、重い副作用の場合は、別の薬を処方されること
になる。いずれにしても症状が改善しない場合は再診し、他の病気の有無(細菌感染症合併など)を血液検
査などで確認してもらうことが大切。
タミフルの連続投与については予防投与例で6週間以内であれば、大きな副作用は認められていないとの
こと。予防投与しているのに新型インフルエンザに罹患した場合(タミフル予防投与が無効だった場合)はお
薬変更(リレンザ投与など)を考えた方がよいかもしれない。
【Q】 柏原病院小児科は医師が増えたのだから時間外も診察して欲しい。#8000 はかかりにくいし、消防署
に問合せをすると遠方の二次病院を案内される。子育て中の者にとって、不安は依然として大きい。そのあ
たりのことを伺いたい。
【A】 電話相談の際に自分の名前や連絡先を伝えると、相談スタッフから折り返し状態確認の電話を受けた
りすることも可能。不安なら再度電話してもらうのが良い。相談スタッフも内容を(時間経過や相談者の不安
度を含めて)総合的に判断してアドバイスすると思う。また丹波市では平日 20∼22 時に日赤病院で丹波市
医師会による「平日夜間応急診療室」が開設されている。時間外の患者の7∼8割がその時間帯に集中し
ている。応急診療室に問合せをして受診することも可能かと思う。
柏原病院小児科が5名となったことで、診療時間の延長等を望む声が聞かれるようになった。しかし、かつ
ては丹波圏域(丹波市・篠山市)に7∼8名いた小児科医が現在(篠山も合わせて)6名に回復したというこ
と。柏原病院小児科が5人に増えたからといっても、それ(診療体制・体力)は全盛期に戻ったわけではな
い。
丹波に残すべき小児医療は何か?軽症患者をいつでも診られる病院なのか?それとも、入院や緊急を要
するような重症患者に対応する機能を持った病院なのか?あたま数が増えたからといって、後先考えず、
重症患者さんも診て、24時間365日の外来診療体制を敷くことは、今の人数だけで考えれば可能かもしれ
ないが、永続性は保証できない。
開業医にとっても、この地域に、いざという時に安心して重症患者を送ることができ、入院できる二次病院が
必要だと思う。柏原病院小児科としては、その機能を死守したいと考えている。一般住民には不便・不安を
抱かせているだろうが、どうか理解していただきたい。開業医の診療時間「以外」の一次診療まで全て柏原
病院で…というのは現時点では不可能。医師が重症患者の搬送のため不在のこともあるし、柏原病院内に
いても、院内の重症患者さんの対応で新たな外来患者さんの対応がタイムリーにできないこともある。そん
な場合に備えて、当院小児科は他地域の小児輪番病院の情報も含め常時入手し案内できるようにしてい
る。
(追加)ただし、他地域の小児輪番病院の医師も充足しているわけではないので、他地域の小児救急医療
資源も守る姿勢が不可欠である。時間外の不要不急の受診が無いように、電話相談や丹波圏域内の応
急・休日施設の対応も充実し、昔のようにせめて小児救急医療だけでも…出来るだけ丹波圏域内での完結
を目指したい。
【Q】 電話した際の看護師の対応で、冷たくあしらわれるなどして、余計不安になることもある。
【A】 自分の専門外の患者さんの対応について(医者でも)判断に迷うことも確かにあり、(受け入れてあげ
たい思いはありながら)看護師は(小児二次医療体制を守るために)事務的な電話対応にならざるを得ない
のかもしれない。現場での衝突は患児にとっても不利益以外の何者でもない。本来そのようなエネルギーを
そんな場所でお互いに消費すべきではない。 【先の質問に対する解答も参照のこと】
大切なことは・・・
今回のような現場(看護師や患者さん)の意見をタイムリーに取り入れ、解析・解決策を考え、救急現場にフ
ィードバックできることが重要だと思う。しかし、そのような機会・話し合いは極めて少ない。いずれにしても、
一つの地域、一つの病院、一つの診療科で完結できる問題でもないので、広い意味での地域連携も強固に
すべきだと思っている。
電話対応についても、今後少しでも患者さんの不安を解消できるように考えていきたい。
【Q】 小児用の市販薬を服用する場合があるがインフルエンザに対しても同様に使っていいのか?
また、坐薬を直腸まで入れると言われた、その確認法を教えてほしい。
【A】 直腸までというのは、坐薬が吸い込まれるような感触があればOK。
発熱時の薬はアセトアミノフェンがおすすめ。大人用のアスピリンやボルタレンはインフルエンザや水ぼうそ
うの際に使用するとライ症候群(脳症・肝炎)を引き起こす可能性がある。柏原病院小児科はアセトアミノフ
ェンを処方するが、開業医や薬局で処方される場合「子どもに使ってよいか」確認することが大切。間違った
薬を服用すると重篤な合併症を引き起こす可能性がある。坐薬の成分などを日頃から確認しておくことが必
要だ。成分が分からないときは、開業医に尋ねたり、丹波市薬剤師会の「夜間おくすり電話相談(平日 21∼
23 時)」の利用もおすすめ。#8000 でも問い合わせ可能だと思う。
【Q】 1歳までの子どもの予防接種の注意点を教えてほしい。
【A】 新型2回、季節性2回の接種を勧める。インフルの予防接種は不活ワクチン(「生ワクチン」ではない)
ので一週間あければよい。2回の接種の間隔があきすぎてしまっても、2回接種するほうがよい。免疫がで
きるまでに2週間かかる。季節性は生後6ヶ月からOK。新型は1歳から接種可能。保育園に通わせている
場合などはインフルエンザだけでなく、麻疹やおたふく、ヒブワクチンなどについても積極的に接種すること
をおすすめする。
新しい情報が入り、舌の根も乾かぬうちに
「以前の情報が間違っている」といった訂正が
いつ入ってもおかしくない状況です。
常に新型インフルエンザ情報に注意をしておいてください。
厚生労働省のホームページ
http://www.mhlw.go.jp