第3章 公会計と関連分野の理論的変遷と 地方公

第 3章 公 会 計 と 関 連 分 野 の 理 論 的 変 遷 と
地方公会計改革の視座
兼村 高文(明治大学)
はじめに
各 国 の 公 会 計 改 革 は す で に 1990 年 代 か ら 欧 米 先 進 諸 国 に 加 え て 新 興 国 の 一
部でも実施されているのに比して、わが国では地方自治体を含めていまだ制度
改革に至っていない。この要因としては、政治レベルはもとより一般にもそれ
ほど公会計改革の必要性が認識されていないことがあげられよう。公会計改革
のメリットは直接的な実感がともなわないため政治課題としても取り上げにく
い。しかし政策決定のための財務情報の重要性はだれもが認識しているところ
であり、このことを理論と制度から各国の状況も参考にしながら説得的に理解
を促していく必要がある。
本稿では、公会計が機能する領域と関連学問を整理し、公会計改革が議論さ
れてきた理論的背景の変遷を主に財政の側面から概観したうえで、地方公会計
改革の今後の視点について検討してみたい。
1
公会計の機能する領域と関連学問
1.1 公 共 部 門 の 領 域 と 関 連 学 問
公 共 部 門 の 会 計 す な わ ち 公 会 計 ( public sector accounting, governmental and
nonprofit accounting) が 今 日 ほ ど 学 会 や 政 府 、 実 務 家 等 で 広 く 論 じ ら れ た こ と
は な い 。公 会 計 の 問 題 は 19 世 紀 に も 英 米 の 地 方 政 府 に 関 し て 議 論 さ れ た こ と は
あるが、一部を除いて公会計改革が実践されることはなかった。今日議論され
て い る 公 会 計 は 、欧 米 を 中 心 に 1980 年 頃 よ り 公 共 部 門 に 経 営 学 の 考 え 方 が 取 り
入 れ ら れ て 行 財 政 改 革 が 進 め ら れ る な か で 、 新 公 共 経 営 ( New Public
Management:NPM)と し て ま と め ら れ た 実 践 的 公 共 経 営 と と も に 論 じ ら れ て き
た 。わ が 国 で も 1990 年 頃 よ り 会 計 学 の 1 分 野 と し て 公 会 計 研 究 が 始 め ら れ 、そ
の後、関連分野を含めて公会計改革の議論が実際問題として進められている。
研究対象としての公会計論は、民間部門を研究対象とする会計学の 1 分野で
あ る が 、 そ の 対 象 と す る 領 域 は 公 共 部 門 で あ り 、 両 部 門 は 図 表 3-1.に 表 し た よ
うに、財の特性と供給主体で対照的である。とくに財の特性では、公共部門は
“市場の失敗”ゆえに必要とされるため価格が市場で成立せずそれゆえ政府に
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よ る 民 主 的 決 定 が 必 然 と な る と い う 、民 間 部 門 と は 決 定 的 に 異 な る 特 性 が あ る 。
た だ し 、NPM に よ り 政 府 の 民 営 化 や 規 制 緩 和 が 進 め ら れ て き た こ と で 、か つ て
は(純)公共財に区分されていたものが準公共財になるものもあり、民間財と
の混合的な特性を持つものも多くなった。また公共部門における公会計の議論
は 、 供 給 主 体 で み る と 一 般 政 府 ( SNA に お け る General Government) が 議 論 の
中 心 で あ る 。 公 的 企 業 ( Public Corporation) は 特 殊 性 を 持 つ も の も あ る が 企 業
会計かそれに近い制度がすでに適用されている。学問領域については、財政学
(地方財政論を含む)に最も関連し、行政学や政治学、経営学、経済学などと
多 少 な り と も 関 連 し て い る 1。財 政 学 は 、政 府 の 経 済 活 動 を 経 済 理 論 で 分 析 す る
学問であり、その中心である予算論において公会計は有用な会計情報を提供す
る 役 割 を 担 っ て い る 。ま た 最 近 で は 公 共 部 門 の 市 場 化・効 率 化 を 進 め る な か で 、
公共サービスの業績測定に評価論が関わり精緻な会計情報が求められている。
図 表 3-1.
公会計の領域
≪民間部門≫
【財の特性】
≪公共部門≫
排除性
非排除性
競合性
非競合性
‖
‖
民間財
準公共財
一般財サービス
交 通 ,教 育 ,通 信 等
価格成立
純公共財
警 察 ,司 法 ,国 防 等
非価格(市場の失敗)
↓
↓
市場で価格決定=最適配分
【供給主体】
営利企業
民主的決定=公平配分
非営利団体、
公営企業
政府
(一般会計、特別会計)
第 3 セクター
【学問領域】
経済学
財政学
会計学
公会計論
経営学
公共経営論
目的に応じ
た会計情
報
評価論
行政学
035
の提供
1.2 公 会 計 論 と 財 政 学
関連学問のうちとくに公会計論と関連がある財政学との関わりをみよう。財
政学の主な教科書を渉猟して公会計の文字を探すと、目次から公会計の章ない
し節を見つけるのは難しい。それでも数は少ないが公会計に関して論じている
何点かを見つけることができる。1つには、戦後財政学者で大家の 1 人である
井 藤 半 彌 の『 財 政 学 』が あ る 。初 版 は 1949 年 で あ る が 、1970 年 の 13 訂 版 で は
第 1 章に「会計制度」のタイトルがある。ここでは一般会計と特別会計の会計
区 分 に 続 い て「 官 庁 会 計 と 企 業 会 計 」の 節 で 官 庁 会 計 の 再 編 成 の 必 要 性 を 論 じ 、
その改革案の 1 つとして次節で「複式予算」について解説している。北欧では
す で に 1920 年 代 か ら 複 式 予 算 を 実 施 し て い る こ と を 述 べ て そ の 重 要 性 を 指 摘
している。また 2 つには、地方財政論の教科書であるが戦後の地方財政論を確
立 し て き た 1 人 で あ る 佐 藤 進 の『 地 方 財 政 総 論 』に お い て 、第 2 部 の 第 1 章「 地
方財務と予算」で地方財務会計について述べている。ここでは臨時行政調査会
(第一臨調)でも取り上げられた事業別予算が主に議論されているが、第一臨
調では複式簿記の導入も検討され、会計学者を含めて戦後本格的に財務会計の
あり方を議論した場面であった。3 つには、同じく地方財政論の立場から伊東
弘 文 の『 入 門 地 方 財 政 』で 第 13 章「 地 域 政 策 」の 第 1 節「 国 民 経 済 計 算 と 地 方
政府」において、国民経済計算との関係で発生主義を論じている。財政学で発
生主義は国民経済計算における固定資本減耗などで登場する。さらに研究書を
漁 る と 、加 藤 芳 太 郎 の『 日 本 の 財 政 改 革 』( 1982)お よ び『 自 治 体 の 予 算 改 革 』
( 1982) で 主 に 予 算 論 と 行 政 管 理 論 の 視 点 か ら 第 一 臨 調 の 議 論 に も 論 究 し な が
ら、公会計と関連して予算改革を論じている。最近の実務的な解説書では、赤
井 伸 郎 ・ 鷲 見 英 司 ・ 吉 田 有 里 の 『 バ ラ ン ス シ ー ト で 見 る 日 本 の 財 政 』 ( 2001)
で公会計の財務書類を政策評価のツールとして活用する方途について解説して
いる。
つ ぎ に 財 政 関 係 の 学 会 で 公 会 計 を 探 す と 、 日 本 財 政 学 会 で 1990 年 代 後 半 に
公会計のセッションが設けられて何人かの財政学者が財政学の視点から論じた
こ と が あ っ た 。 1998 年 第 55 回 大 会 で は 、 イ ギ リ ス の 資 源 会 計 予 算 や わ が 国 の
先進自治体で取り組まれていた発生主義財務情報の開示についてその有用性に
つ い て 肯 定 的 な 報 告 が あ っ た 。ま た 財 政 法 学 会 で も 1988 年 に 開 か れ た 全 国 大 会
のシンポジウムで「地方自治と財務会計制度」をテーマに財政法の視点から公
会計の課題等について討論が行われた。同学会誌である財政法叢書第 5 巻『地
方自治と財務会計制度』(学陽書房)では、地方公会計の基本問題や地方自治
と地方財務会計などについてここでも公会計の重要性を指摘する研究論文が掲
載された。ただ残念ながら、最近の財政関係の文献や学会では公会計の問題は
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あまり取り上げられていない。
財 政 学 で は こ れ ま で 公 会 計 に 関 す る 問 題 は 、NPM の 議 論 と と も に 官 庁 会 計 を
企業会計(複式簿記・発生主義)へ移行することで会計データの質が改善し、
予算過程をとおして財政の効率性・効果性が高まり政府の説明責任も向上する
こ と を 論 じ て き た 。マ ク ロ 経 済 統 計 の 分 野 で は 、国 連 が 1968 年 に 国 民 経 済 計 算
体系にそれまでの産業連関表や資金循環勘定に発生主義で作成される国民貸借
対照表を経済勘定として統合しフローとストックの両面から分析が可能となっ
た 。 政 府 の 財 政 制 度 は 欧 米 で は 1980 年 代 か ら 90 年 代 に か け て 発 生 主 義 が 導 入
さ れ た 。 わ が 国 で は い ま だ 発 生 主 義 の 制 度 的 な 導 入 は 実 現 し て い な い が 、 1990
年代後半に財政状況が厳しくなるなかで社会資本の効率的な整備等が求められ
た こ と な ど で 政 府 が 動 い た 。1998 年 当 時 の 建 設 省 は 会 計 学 者 と 経 済 財 政 学 者 を
メンバーとする「社会資本と企業会計的手法に関する研究会」を立ち上げて、
欧米で公会計に導入され始めた企業会計方式について検討行った報告書をまと
め た 2。 そ の 後 、 財 務 省 も 公 会 計 の 問 題 を 財 政 制 度 等 審 議 会 で 取 り 上 げ 、 2002
年に同審議会に公会計小委員会を設置して議論が行われ、財務省主計局に公会
計 室 が 設 け ら れ て 、 国 の 財 務 諸 表 が 2002 年 度 決 算 か ら 公 表 さ れ る よ う に な り 、
現 在 に 至 っ て い る 。ま た 総 務 省 も 2001 年 の「 地 方 公 共 団 体 の 総 合 的 な 財 政 分 析
に関する調査研究会報告書」で貸借対照表と行政コスト計算書の作成マニュア
ルを公表して、企業会計的決算書の作成を促してきた。
1.3 公 会 計 論 と 評 価 論
行 政 活 動 の 評 価 ( 業 績 測 定 : performance measurement) に つ い て そ の 歴 史 を
振 り 返 る と 、20 世 紀 の 前 半 に 遡 れ る 。1938 年 に Simon and Ridley に よ っ て 著 さ
れ た『 Measuring Municipal Actions
-A Survey of Suggested Criteria for Appraising
Administration』( 訳 書 は 本 田 弘 ( 1999)『 行 政 評 価 の 基 準 ― 自 治 体 活 動 の 測 定
―』)は、アメリカで初めて行政活動の成果について業務の十分性と効率性の
視 点 か ら 測 定 技 術 に つ い て 本 格 的 に 研 究 し た も の で 、図 書 館 や 消 防 、公 共 事 業 、
社会福祉等について測定方法等を論じていた。例えば、公共事業は、原価計算
技術の開発、予算編成のための道路体系の分析、高速道路建設経費の割り当て
技術の開発などについて論じられていた。ここでの公会計との関わりは、予算
編 成 と の 関 係 で 健 全 な 会 計 が 議 論 さ れ て い た 。こ れ は 1913 年 に ニ ュ ー ヨ ー ク 市
調査局が「都市会計ハンドブック」を公表し、複式簿記・予算(経常予算・資
本予算)の導入を試みるなど公会計の近代化が検討されていたことなどがあっ
た。
行 政 活 動( 公 共 サ ー ビ ス )の 業 績 測 定 が 再 び 広 く 注 目 さ れ た の は 、1970 年 代
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後 半 か ら NPM の 行 財 政 改 革 が 始 め ら れ て か ら で あ る 。次 節 で も 述 べ る よ う に 、
NPM の 理 論 的 根 拠 は 市 場 主 義 の 経 済 理 論 で あ り 、こ れ は 旧 来 の 行 政・政 治 主 導
に よ る 行 政 管 理 ( Old Public Administration: OPA) の 統 治 体 制 を 市 場 原 理 主 義
主導による行政経営の体制へと転換させた。これとともに、行政経営の議論で
必須となる公共部門の評価論が盛大となり、行政評価や政策評価、事務事業評
価 な ど を タ イ ト ル に し た 研 究 書 や 著 書 が 2000 年 前 後 に 多 数 登 場 し た 3。
公会計論と評価論の関係を見ると、財政学と同じ文脈で論じられてきた。す
なわち、公会計制度を官庁会計から企業会計へ移行することで会計情報の質を
改善しもって評価の信頼性を高めるものである。ここでは企業会計に加えて公
共 経 営 の よ り 専 門 的 な 手 法 も 活 用 さ れ て い る 。例 え ば 、活 動 基 準 原 価 計 算( ABC)
は活動部門別(組織)のコスト情報が得られ部門ごとの業績測定に役立ってき
た 。 ま た 新 た な 業 績 管 理 手 法 と し て 注 目 さ れ た バ ラ ン ス ス コ ア カ ー ド ( BSC)
は財務的業績評価のみならず非財務的業績についても評価が行われ民間部門の
評 価 技 術 が 公 共 サ ー ビ ス の 業 績 評 価 に 活 用 さ れ て き た 。実 際 に BSC は 札 幌 市 や
名古屋市、神戸市、福岡県などの自治体で試みられてきた。
しかし公共部門の評価には、公会計の問題から限界もある。公会計論は研究
が始められてから今日まで半世紀も経ていないが、その間に政府の公共部門と
民間部門における位置づけは大きく変わってきた。すなわち、政府はガバメン
ト(権威的統治主体)からガバナンス(共治的統治主体)へと変容してきた。
また公会計の企業会計化はこれまで無批判に受け入れてきたが、最近、その有
効 性 に 疑 問 を 呈 す る 論 文 も 散 見 さ れ る 4。公 会 計 論 も 会 計 主 体 の 公 共 部 門 で の 在
り様に応じて原理・原則やそこから導かれる制度もたえず検討を加えざるを得
ない。評価論のみならず財政学もこうした公会計を取り巻く動向とともに論じ
る必要がある。
2
公会計改革の理論的パラダイムシフト
2.1 積 極 的 財 政 政 策 ( 大 き な 政 府 ) か ら
新自由主義的財政政策(小さな政府)へ
か つ て の 西 側 先 進 工 業 国 に お い て 大 戦 後 に “ 黄 金 の 60 年 代 ” を 経 験 し た 後 、
1970 年 代 に 入 る と 2 つ の シ ョ ッ ク( い わ ゆ る ド ル ・ シ ョ ッ ク と オ イ ル ・ シ ョ ッ
ク)で良好であった経済のファンダメンタルズが大きく崩れて、スタグネーシ
ョンと名付けられた状況に陥った。それまでの積極財政政策はもはや有効需要
を創出できないことを体験し、根本的な政策転換をせざるを得ない状況に追い
やられた。積極財政を説くケインズ主義は、古典派経済学やマネタリズムある
いは合理的期待仮説などから攻撃を受けてその威信を失い、市場信頼により傾
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倒した新自由主義ないし新保守主義としてまとめられた理論が登場し経済政策
の主流理論が交代した。政府支出の非効率を訴えた新自由主義は、政府のリス
ト ラ を 民 間 の 経 営 実 践 に 倣 っ て 改 革 を 推 し 進 め た 。 こ れ は 新 公 共 経 営 ( New
Public Management: NPM) と 名 付 け ら れ て 、 そ の 後 の 行 財 政 改 革 の 理 論 的 支 柱
となったことは周知のことである。
1980 年 代 か ら の 主 流 の 政 策 は 、 70 年 代 前 半 ま で 経 済 成 長 と と も に 膨 れ て き
た政府の規模を市場原理に基づいてダウンサイズジングへと改革することが共
通 の 認 識 と な っ て き た 。NPM に 基 づ く 改 革 は 今 日 も 基 本 的 に は 変 わ ら な い 。し
かし、市場原理主義をどの程度まで改革の梃にするかは各国政府によって異な
っ て い る 。と く に 20 世 紀 末 に 近 づ く 頃 に な る と 、東 欧 革 命 を 成 功 さ せ た 新 た な
市民社会が形成されて官民共治のガバナンスが意識され始めた。共治のガバナ
ンスは、官民のみならず中央政府と地方政府の共治も地方分権化の進展ととも
に 浸 透 し て き た 。NPM に よ る 基 本 的 改 革 方 向 は 今 日 も 変 わ ら な い に し て も 、効
率と成果で進められてきた行財政改革の方向は、政府は公共のガバナンスのな
かで改めて民とともに共冶の民主的主体であることが議論され、次に述べるよ
うな公共ガバナンス論が論じられるようになった。
2.2 新 公 共 経 営 論 ( NPM) か ら 新 公 共 ガ バ ナ ン ス 論 ( NPG) へ
NPM は い ま や New で は な い が 、 新 公 共 経 営 の 考 え 方 は 、 1980 年 頃 か ら 英 米
などアングロ・サクソン諸国を中心に新古典派的思想をベースにした行政実務
のなかから生じてきたものである。新公共経営論は、実践が先行するなかで英
国 の 行 政 学 者 Hood( 1991) が New Public Management と 名 付 け た も の で あ る 。
NPM は わ が 国 で も 1990 年 代 に 多 く の 解 説 書 が 出 版 さ れ 書 店 に 並 ん だ 5。行 財 政
改 革 の 議 論 で NPM に 言 及 し な い も の は ほ と ん ど な い 状 況 で あ っ た 。
NPM の 骨 子 を Hood の 論 文 か ら ま と め る と 、 ① 公 共 部 門 に お け る 個 々 の 専 門
的マネジメント、②業績の明確な基準と測定、③アウトプットによる統制の重
視、④公共部門における事業単位への分割、⑤公共部門の競争重視、⑥民間部
門の実践的マネジメントの重視、⑦資源利用において規律と倹約の重視、であ
る 6。す な わ ち 、公 共 部 門 を 市 場 化 す る こ と に よ り 、政 府 の ス リ ム 化 、効 率 化 を
進め、成果志向のマネジメントを確立するものである。市場化は公共部門のあ
らゆる分野で取り入れられ、政策までもが市場との対比で検討された。これは
各国の行財政改革の基本的考え方となり、“小さな政府”への改革を推し進め
る論拠ともなった。わが国では小泉構造改革がまさにこの考えに基づいたもの
であった。
NPM の ア イ デ ア の 1 つ は 合 理 的 経 済 人 ( homo economicus) を 前 提 と し た 新
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制度派経済学である。ゲーム理論に登場するプレーヤーは利己的であり合理的
な行動をとるが、実際には人間は利他的でもあるし非合理的でもある。経済合
理 性 か ら 説 得 的 に NPM に よ る 行 財 政 改 革 の 正 当 性 を 政 府 は 説 明 し て き た が 、
成 長 が 鈍 化 し て 高 齢 化 に 向 か う 社 会 に NPM の 改 革 は 厳 し い も の が あ っ た 。 結
果として経済格差を拡大させたとの批判は妥当なものと受け止められた。さら
に官民共治のガバナンスが広まるにしたがって、民主的決定の重要性が再認識
さ れ 始 め た 。NPM の 行 財 政 改 革 は 、公 共 部 門 の 特 性 で あ る 民 主 性 が と き に 経 済
合理性により否定されたからでもあった。
欧 州 の 現 場 で は 1990 年 代 後 半 に な る と 、 NPM の 考 え 方 は 否 定 は さ れ な い も
の の 後 退 し て き た 。英 国 で ブ レ ア 政 権 が 誕 生 し た 1997 年 に は 、公 共 サ ー ビ ス は
効率性を論じながらもクオリティの問題にウエイトを置くようになり、“ベス
ト ・ バ リ ュ ー( Best Value)”の 政 策 が 打 ち 出 さ れ た 7 。こ の 背 景 に は NPM の 改
革に対する反発があったが、レフト(左派)に大きく振れることはなかった。
ブレア―政権は従来の社会民主主義路線でもない“第三の道”を提唱し、中道
的な道に舵を切った。こうした英国の保守から中道へのシフトは、行政学を中
心 と し た 学 界 で も 議 論 が 盛 ん と な り 、 NPM は 新 た な 方 向 へ の 展 開 が は じ ま っ
た 。た だ こ こ で 留 意 す べ き こ と は 、NPM は 主 に ア ン グ ロ・サ ク ソ ン 諸 国 を 中 心
とした議論であったことである。したがって他の欧州大陸などではパラダイム
シ フ ト と い う よ う な 明 確 な 動 き は 見 ら れ な か っ た と こ ろ も あ る 。 ま た NPM は
理 論 的 に は 不 完 全 で あ り 、か つ て の 官 僚 体 制 OPA の 亜 流 に す ぎ な い と の 指 摘 も
あ る 8。
行政学は公共部門の民主性により軸足をおいた新たな公共のガバナンス論
と し て 、 New Public Governance な い し は New Public Service を 民 主 的 合 理 性 を
も と に 論 じ 始 め た 。 早 く は Osborne and Gaebler( 1993) そ し て Pierre and Peters
( 2000) や 宮 川 公 男 ・ 山 本 清 ( 2002) な ど が 議 論 し た 。 NPM か ら NPG の シ フ
ト を 行 政 学 者 の Denhald & Denhald( 2007)が 整 理 し た 区 分 に 従 っ て 特 徴 を み よ
う( 図 表 3-2.)。NPM 以 前 は 旧 来 の 行 政 管 理( Old Public Administration: OPA)
としてまとめているが、ここでは権威主義的な中央政府による統治であり、政
府 は 有 権 者・納 税 者 と の 関 係 で 支 持 さ れ て い た 。NPM が 行 政 管 理 に 画 期 的 な 変
革 を も た ら し た の は 、public administration を public management と し て 特 徴 づ け
て そ れ を 実 践 し た と こ ろ で あ る 。management は そ れ ま で 民 間 の 理 論 で あ っ た が
経営的観念と技術を行政管理に持ち込んだことで変革をもたらしてきた。ただ
ここでは経済合理性による概念規定が色濃く出ている。公益の概念は個人の総
計であり、公共の受益者は有権者が顧客として概念規定された。
こ れ に 対 し て NPG は 、 基 本 的 理 論 は 経 済 理 論 に 代 わ っ て 民 主 主 義 論 と な り 、
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NPM が 前 提 と し て い た 合 理 的 経 済 人 で あ る 顧 客 は 多 面 的 な 合 理 性 を 持 っ た 市
民 に 変 わ る 。 政 府 の 役 割 も 管 理 者 と し て の 調 整 役 ( enabler) か ら 市 民 と と も に
奉 仕 者 ( serving) に な る 。 さ ら に 公 共 サ ー ビ ス は 市 民 と 協 働 で 生 産 す る た め 公
務員の責任は市民と共同責任を担うことになる。政府は市民と協働のガバナン
スのもとで社会へ奉仕する存在として位置づけられるのである。経営志向の強
い NPM の 改 革 に 代 わ っ て 、 NPG は 民 主 的 合 意 が 目 指 す 方 向 で あ る 。
ここでわが国の公会計改革を推し進めている理論的背景はどの辺にあるか
探 っ て み よ う 。OPA の 現 場 を 映 し 出 し た 映 画 に 黒 澤 明 監 督 の「 生 き る 」が あ る 。
かつての役所の様子が映し出されている。お上気取りで横柄でやる気のない職
員 、住 民 が 苦 情 を 訴 え て も た ら い 回 し に さ れ 、結 局 は 泣 き 寝 入 り を 強 い ら れ る 。
こ の 様 子 は 、い ま は ど こ の 役 所 で も 見 か け な い 。NPM の 改 革 が 様 子 を 一 変 さ せ
たといっても過言ではなかろう。公共経営の考え方の浸透は目を見張るものが
あ る 。 英 国 で さ え も 1990 年 代 に は 市 民 憲 章 ( Citizen Charter) を 制 定 し て 公 共
サ ー ビ ス の 改 善 に 努 め た 。 PDCA サ イ ク ル は 評 価 制 度 と と も に 政 府 の 予 算 編 成
や計画策定に取り入れられてきた。公会計改革はここで必然であることは論を
待たない。公共経営志向の改革の動きは程度の差はあれ、継続されるものと思
わ れ る 。で は NPG へ の シ フ ト は ど う か 。地 方 レ ベ ル で は 自 治 意 識 の 高 ま り と と
もに市民参加の機会が増えてきた。協働のガバナンスという言葉も徐々に市民
に浸透している。しかし実際に協働のスペースは広がりを見せていない。市民
の多くは顧客の意識が強く、積極的な協働はそれほど進んでいない。わが国は
NPM の 改 革 が し ば ら く 続 き そ う で あ る 。
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図 表 3-2.
OPA, NPM, NPG の 概 要
行政管理(OPA)
新公共経営(NPM)
新公共ガバナンス(NPG)
民主主義論、実証的,解釈的,批
主たる理論的で認識論 政治理 論、 社会 的で 政治 的な 経済理 論、 実証 主義 的な 社会
判論的,ポストモダンなど多様
的な基礎
論調で強調
科学に基づき精緻化して対応
なアプローチ
人間行動の合理性と関
概略的合理性、行政マン
連モデル
戦略的 合理 性、 多面 的試 行の
技術的 で経 済合 理性 、“ 経済
合 理 性 ( 政 治 的, 経 済 的 , 組 織
人”、利己主義の意思決定者
的)
公益の概念
個人の利益の総計で表明
各分配利益の結果
顧客
市民
政治的定義と法の規定
公務員は誰に責任を負
納税者、有権者
うか?
政府の役割
漕ぎ手 (政 治的 に決 めた 目的 舵取り 手( 市場 で媒 介と して 奉仕者 (市 民や グル ープ 等と
に従って計画し執行)
行動)
の交渉と利害調整)
政策目的の達成メカニ 既存の 政府 機関 によ る行 政プ 民間,NPOによる新たな執行プ 公共,非営利,民間機関の合意に
ズム
ログラム
ログラム
よる連合の形成
階層的 な行 政官 が民 主的 に選 市場主 導に よる 私益 の総 計が 多様な公務員が法規,地域の価
アカウンタビリティへ
ばれた 政治 家の リー ダー に責 多くの市民(顧客)が求めた成果 値,政治的規範,専門的基準,公益
のアプローチ
任を負う
となること
に仕える義務
行政の裁量
行政権限の範囲内
前提とする行政機構
トップダウンの行政機構
広範で ある が制 約が あり 責任
が求められる
政府機 関の 主導 によ る分 権的 内外の 指導 者に よる 協調 的構
な機構
造
事業目的に応じて広範囲
前提とする公務員と行 負担と給付,市民サービスの提 企業家精神,小さな政府志向の
公共サービス,社会への貢献
政官の動機
供
思想
出所:Denhardt,R.B. and J.V.Denhardt(2007)p.28-29より作成。
3
地方公会計改革の視座
3.1 地 方 財 政 の 現 状 と 課 題
地方財政の危機と騒がれた夕張市の破綻騒動からすでに 8 年が経過し、個々
の 自 治 体 財 政 は 改 善 し た よ う に み え る 。2008 年 度 か ら 施 行 さ れ た「 地 方 公 共 団
体 の 財 政 に 関 す る 健 全 化 法 」( 以 下 、健 全 化 法 )に よ る 早 期 健 全 化 基 準 以 上( イ
エ ロ ー カ ー ド )の 自 治 体 の 数 を み る と 、2013 年 度 決 算 か ら 夕 張 市( 財 政 再 生 団
体)を除くと“ゼロ”である(なお、公営企業会計で資金不足比率が経営健全
化 基 準 以 上 は 2014 年 度 で 13 会 計 ) 。 ま た 財 務 省 が 地 方 自 治 体 の 財 政 状 況 に つ
いて、財政融資資金の貸し手としての立場から債務償還の確実性を確認するた
め 2005 年 度 よ り 決 算 統 計( 地 方 財 政 状 況 調 査 表 )を 利 用 し て 全 自 治 体 の 財 務 状
況 把 握 を 行 っ て い る 9。こ こ で は 地 方 自 治 体 の“ 債 務 償 還 能 力 ”と“ 資 金 繰 り 状
況”という観点から財務状況の把握を財務省が開発した「行政キャッシュフロ
ー計算書」をもとに財務指標を算定してその結果を地方自治体に診断表として
交付し、また必要と認められる場合にはヒアリングを行い財務健全化のアドバ
042
イスや財政悪化団体に対する事前警鐘を行っているが、その結果をみても一部
の指標は良化を示しとくに問題は指摘されていない。すなわち、これら国の基
準で判断すれば、地方財政は夕張市を除いてすべて健全であるということであ
る。
し か し 、2014 年 9 月 に 千 葉 県 富 津 市 長 が“ 財 政 危 機 宣 言 ”と も 受 け 止 め ら れ
る 財 政 収 支 見 通 し を 公 表 し た 。そ の 内 容 は 、現 状 の 財 政 運 営 を 続 け る な ら 2015
年 度 決 算 で 財 政 調 整 基 金 が 底 を つ き 2018 年 度 に は 実 質 収 支 が 赤 字 と な っ て 夕
張市と同じ財政再生団体に陥る可能性があるというものであった。リーマンシ
ョックから徐々に回復し地方財政も改善が進んでいると思われたが、富裕団体
でも厳しい状況にあることが報道された。
実態はどうなのであろうか。健全化法は 5 つのセンサー(4 つの健全化判断
比率と資金収比比率)で財政状態を毎年健診しているが、その結果は健全であ
るという。しかしこのセンサーは、赤字(実質収支)と公債負担について診た
ものである。財務省の指標も公債償還に関するものである。公共投資は国の政
策で国・地方ともに抑制されてきた。さらに健全化法の施行で財政運営はセン
サーを意識し投資を控えてきた。そのため公債負担は下がり続け、すべての自
治体で健全化が達成されてきた。実際に地方財政の実質公債費比率をみると、
2005 年 度 か ら 2014 年 度 に か け て 14.9% か ら 10.4% ま で 実 に 4.5% ポ イ ン ト も 低
下している。
以上のことから、富津市の財政危機は、健全化法ではカヴァーできない要因
で生じたことは容易に推測できる。健全化法等のセンサーでは捉えられない負
担が地方財政で発生しているということである。そこで経費構造の変化をみよ
う。性質別歳出のうち義務的経費である人件費、扶助費、公債費の構成割合を
2005 年 度 か ら 2014 年 度 に か け て み る と 、人 件 費 は 27.9% か ら 22.9% に 減 少 し 、
扶 助 費 は 8.5% か ら 13.1% に 増 加 し 、 公 債 費 は 15.4% か ら 13.5% に 減 少 し て い
る。それぞれ政策を反映した増減であるが、扶助費の増加が大きいのは周知の
とおり、少子高齢化が進むにつれて児童福祉や高齢者福祉などの社会保障関係
費が膨らんできたことに加え、高齢者の生活保護受給者が増加しているためで
ある。
地方自治体に課せられた社会保障関連サービスは、国とともに選別主義的サ
ービスから普遍主義的サービスへ、そして貧困対策から幅広い生活支援サービ
スへと変わってきた。地方自治体の役割は、これらの法定受託事務は等しく住
民にサービスを提供しなければならない。しかし小規模自治体ではこれらのサ
ービスを提供することで自身が貧困に陥りかねない状況にある。とくに過疎自
治体では、少子高齢化の影響が大きく地域社会の老化とシュリンクが都市に比
043
べ て 速 い ス ピ ー ド で 進 ん で い る 。 町 村 財 政 の 困 難 性 ( difficulties) は 年 々 厳 し
くなっていることは決算統計でも明らかである。この困難性はすぐに危機
( crisis)に は な ら な い が 、何 ら か の 対 策 を 講 じ て い か な け れ ば 危 機 は 確 実 に や
ってくる。
3.2
地方公会計の役割と改革の視座
今後とも地方自治体が担う社会保障関連サービスは、財政状況がどうであろ
うとも法令により事務処理が義務付けられたものに加え、住民の求めに応じて
付加的サービスも提供していかなければならない。財政の窮状を理由にそれら
の義務的サービスの削減・廃止は法的にも政治的にも許されない。国全体では
交付税措置等で財源手当てをしてくれるかもしれないが、財政力の弱い自治体
ではいわゆる“共助”や“自助”に委ねざるをえない状況になることも十分に
考えられる。
自治体の財政状況を住民に理解してもらい協力を得るためには、財政の基本
情報である予算決算の数値が意味していることを理解してもらうことが必要で
ある。とくに財政運営の結果を映し出す決算の理解は、同時に予算(政策)の
枠(限度)を認識することになり極めて重要である。
現在、自治体で作成されている決算は 3 つある。①条例により定められた会
計別の予算に対応した歳入歳出決算書等、②法律で求められている地方財政状
況調査による調査表(決算統計)、③総務省が任意で要請している財務書類。
①は自治体の条例で定めた予算決算であり、予算は議会で議決され行政に執行
が義務付けられる実質的な手続きであり、決算は予算対比として議会で認定さ
れる。住民には広報誌等で予算とともに決算の概要等が公表されている。②は
地方財政白書等国の統計作成のためにまとめられる決算であり、国と地方との
財政調整や財政分析等に用いられる財政指標が算定され主に行政内部で利用さ
れ住民向けではない。③は公会計改革とともに作成が求められてきた決算書で
ある。バランスシートを含む財務書類はフロー情報に加えストック情報が明ら
かになり、企業会計的な決算情報が得られ住民に対して政府の説明責任が果さ
れ透明性が向上すると説明されてきた。
地方自治体はこれら 3 つもの決算を作成しているにも関わらず、相互に有機
的な関連性は少なく、また住民にも分かりづらいといった声が聞かれる。とく
に③の財務書類については、かねてより公会計改革でその重要性が議論されて
きたところであり、このことは会計学では論をまたないし財政学でもその有用
性は肯定的に論じられてきた。実際に総務省もバランスシート等の作成マニュ
アルや研究会の報告書等を公表し整備を促してきた。しかし総務省の公表開始
044
か ら 15 年 が 経 過 す る な か で 、 複 数 の 公 会 計 モ デ ル が 提 示 さ れ る な ど 失 策 も あ
り、自治体の財務書類は迷走し活用されてきたとは言い難い状況にある。
そこで今後、統一的なモデルで作成される財務書類が有効に活用されるため
の筆者なりの視座を 2 点あげておきたい。
1 つは、住民向けには財務書類そのものを理解してもらうのではなく、財務
書類の会計情報を財政指標等の具体的な数値で表して活用することである。企
業で公表される財務諸表が有用であるのは、投資家等利害関係者の専門家向け
だからである。これに対して自治体で公表される財務書類の利用者は住民であ
って専門家ではない。財務諸表という専門家向けの会計情報を住民という一般
人にとって有用な会計情報とするためには、“わかりやすい財務諸表”の作成
に努めるのではなく、発生主義会計情報がどう財政の健全性、持続性、自立性
などに寄与するかという視点から考えることが必要である。例えば、インフラ
等の公共施設の老朽化に伴って公共施設のマネジメントが進められている。そ
こでは老朽化比率など財務書類からの財政指標が用いられている。またセグメ
ント別の発生主義会計情報は企業との比較考量に有用である。こうした活用方
途を示すことで、住民にとって有用性が高まるのではないか。会計という言語
は一般には難解であるので、報告された会計情報を財政に適用できるよう加工
することで有用となる。
2 つは、総務省が統一的なモデルとして提示したのであるから、自治体の政
策担当者が専門家として財務書類を活用することである。財政担当者をはじめ
政策立案に関わる行財政の専門家は同時に会計の専門家としても知識をもって
活用を図っていかなければならない。すでに決算統計については習熟している
のであるから、財務書類 4 表と決算統計を相互に活用することで有用性は高ま
るはずである。財務書類の議論はこれまで、財務会計の視点からその様式や内
容についての議論が多かったように思われるが、すでに欧米で財務書類の作成
が 行 わ れ て い る と こ ろ で は 管 理 会 計 と し て の 活 用 が 論 じ ら れ て い る 10。 た だ そ
のためには担当者の会計知識の習得は必須であるが、これができない限り財務
書類は作り続けても永遠に無用の長物に終わってしまう。
注
1 関連学問の概要。経済学:合理的個人を前提(新古典派)に資源の効率的
配分を解明するもので予算・業績管理等において新厚生経済学(効用分析)、
新制度派経済学などによるアプローチと関連し契約理論、代理人理論(エージ
ェンシー理論)にも関わる。経営学:組織体(企業、政府等)の機能と構造の
045
法 則 を 明 ら か に し 経 営 の 実 践 的 技 法 を 追 求 も の で 経 営 管 理 論 、組 織 論 等 と 関 連 。
行政学:行政管理、官僚制、行政組織における意思決定、ガバナンス、地方自
治などを研究。政治学:政治を対象とし人間集団、国家間の権力、対立する利
害の調整などを研究。評価論:政策等の改善のため成果等に照らして評価。
2 建 設 政 策 研 究 セ ン タ ー ( 1998) 。
http://www.mlit.go.jp/pri/houkoku/gaiyou/H09_4.html
3 例 え ば 、上 山 信 一( 1998)『「 行 政 評 価 」の 時 代 』NTT 出 版 、山 谷 清 志( 1997)
『 政 策 評 価 の 理 論 と そ の 展 開 』 晃 洋 書 房 、 三 重 地 方 自 治 研 究 会 ( 1997) 「 「 事
務事業評価」の検証―三重県の行政改革を問う」など。
4 例 え ば 、 Lapslay, I., R. Mussari and G. Paulsson (2009), On the Adoption
of Accrual Accounting in the Public Sector: A Self-Evident and Problematic
Reform, European Accounting Review, 18(4), pp. 719-723.、 Wynne, A. (2008),
Accrual Accounting for the Public Sector- A Fad That Has Had Its Day?
International Journal on Governmental Financial Management, Vol. VII,
No.2, pp. 117-132.な ど 。
5 比 較 的 初 期 の 解 説 書 と し て は 、大 住( 1999)、山 本 清( 2003)な ど が あ る 。
6 Hood(1991)p4。
7 ブ レ ア 首 相 は 1998 年 7 月 に 公 表 し た 『 現 代 の 地 方 政 府 ~ 住 民 と と も に
( Modern local government: in touch with the people) 』 と 題 し た 白 書 の 中
でベスト・バリューの基本的な政策を明らかにしている。
8 NPM の 地 域 的 、論 理 的 限 定 に つ い て は Osbone(2010)が 諸 説 を ま と め て い る 。
9 詳 細 は 財 務 省 の HP「 地 方 公 共 団 体 の 財 政 状 況 把 握 」に お い て 公 表 さ れ て い
る。
10 例 え ば 理 論 的 な 議 論 で は あ る が 、 Warren, K. (2012) Developing a
government’ s balance sheet – does it improve performance? Public Money
& Management, January 2012. Pina, V., Torres, L. and Yetano, A. (2009)
Accrual Accounting in EU Local Governments: One Method, Several
Approaches, European Accounting Review, Vol. 18, No. 4.
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046
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