第 第12 12 国際化社会と警察活動 国際化社会と警察活動 ⑴ 全国における来日外国人犯罪の傾向 近年の来日外国人(我が国にいる外国人から定着居住者、在日米軍関係者及び在留資格不明 の者を除いた者)犯罪の検挙件数・人員は、警察、入国管理局等における各種取組などにより 年々減少傾向にあり、平成27年中は全国で1万4,267件1万42人を検挙しましたが、前年に比べ 948件647人の減少となりました。国籍・地域別の検挙件数・人員は中国が最多ですが、刑法犯 に限っては、ベトナムが中国を超えており、2国が全検挙件数・人員の約半数を占めています。 また、旅券や在留カード等の身分証明書の偽造事犯、犯罪等で得た資金を不法に移動する ための地下銀行事犯、日本での在留資格を不法に得るための偽装結婚事犯などの犯罪インフラ 事犯には、永住者等の日本に定着する外国人や日本人が深く関わっており、外国人の不法入国、 不法滞在等の各種犯罪を助長している状況があります。 ⑵ 北海道における来日外国人犯罪の傾向 北海道における来日外国人犯罪の検挙も平成13年をピークとして減少傾向にあり、平成26年 には一旦増加しましたが、平成27年は再び減少しました。前年に比べ検挙件数は21件減少の85 件、検挙人員も20人減少の76人であり、これまで多くを占めていた窃盗犯や入管法違反での検 挙件数・人員が減少した一方、労働力不足の工事現場や加工場等における組織的な不法就労事 犯の検挙が増えています。検挙人員を国籍別にみますと中国が検挙人員全体の約半数を占めて いますが、これまで多かったロシアは、ロシア船舶の入港数減少の影響により、平成26年には 検挙に占める割合が4割弱でしたが、平成27年には2割弱にまで減少しています。 表示文字列 道内における来日外国人犯罪状況(過去5年) 108 23年 91 検挙件数 68 24年 67 検挙人員 67 25年 70 106 26年 96 85 27年 76 0 ⑶ 20 40 60 80 100 120 不法入国・不法滞在者対策 平成27年中の道内における来日外国人の出入国管理及び難民認定法違反の検挙は、21件20人 で、そのうち不法入国事犯での検挙はなく、不法滞在での検挙は11件11人となっています。 - 69 - 近年は、不法滞在の定着又は来日外国人が犯罪を繰り返して行うことを助長する基盤となる 様々な犯罪インフラが出現しています。これを踏まえ、北海道警察では、引き続き不法入国 ・不法滞在者対策とともに、これら犯罪インフラ事犯の対策強化を行っていきます。 ⑷ 来日外国人犯罪の検挙事例 平成27年中の来日外国人による犯罪として、次の事件等を検挙しました。 《事例》 中国人らによる大型商業施設等建設現場における組織的な不法就労事件 平成27年1月、中国人による旭川市内大型商業施設建設現場における不法就労容疑情報を入 手し捜査を開始、「技能(調理師)」の在留資格で稼働する資格外活動違反被疑者を特定し、居 住先、稼働先等関係場所に対する一斉捜索を実施、同違反で中国人男性5人を検挙するととも に、同人らの居住先に潜んでいた中国人不法残留被疑者1人を検挙、さらに、証拠品精査、関 係者供述等により、日本人男性2人、中国人男性1人及び法人2社を不法就労助長で検挙しました。 (旭川中央署、旭川方面本部警備課、組織犯罪対策課、外事課) (1) 外国人に対する広報等 北海道警察ホームページでは、「英語サイト」を開設し、外国人の皆さんへ情報提供をして います。 北海道警察ホームページアドレス (2) http://www.police.pref.hokkaido.lg.jp/ 国際捜査官・通訳官等の育成 北海道警察本部通訳センターには、英語、ロシア語、中国語、韓国語などに堪能な警察官 等が配置されており、各警察署から要請を受けて通訳・翻訳業務を行っています。 また、取扱いの多い警察署には、語学が堪能な警察官・職員を配置し、取調べの際の通訳 等に当たらせています。 北海道警察では、平成27年にも警察学校や民間語学学校において外国語研修を実施したり、 東京の国際警察センターに多くの職員を研修のため入所させるなど、語学に通じた国際感覚 豊かな捜査官・通訳官の育成に努めています。 (3) 行政機関等との連携 北海道警察では、平穏で安全な地域社会づくりを図るため、不法滞在、不法就労問題など で関係行政機関や関係団体との連携を図っています。 今後も、各関係機関と地域が一丸となって、来日外国人の防犯対策や来日外国人による 犯罪の根絶を目指し、皆さんが安心して外国人の方と共存して生活できる環境づくりを推進 していきます。 - 70 -
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