乳房X線撮影装置の精度維持管理向上に関する研究

別紙様 式 3
平成 19年 度 博 士 前期課程学位論文要 旨
学位 論 文題 名 ( 注: 学位論文題名が欧文の場合は和訳をつけること)
平LttX線 撮影装置 の精度維持 管理向上に関す る研究
学位 の種類 : 修 士 ( 放射線学)
人間健康科学研 究科 人 間健康科学専攻
氏 名 :末永 光 人
( 指導教員名 : 小 倉 泉
学 修番号 0 6 8 9 7 6 0 6
)
乳 がん の患者数 は世界的 に増 加傾 向にあ り、日本 にお いて も生活環境 、食 生活 の欧 米化に伴 っ
て、
年 々そ の罹患率 も確実 に増 加 してい る。最近 では 2 0 ∼2 5 人 に 1 人 が乳 がんに なる とい われ 、
へ の 関 心 も高 ま り、またマ ンモ グラフ ィ撮影 も普及 し始 めて い るっ我 が 国 では 2 0 0 0 年か
がん
乳
ら 5 0 才 以上 の 女性 を対象 と したマ ンモ グラフ ィ検診 が始ま った。現在 は対象年齢 が 4 0 才 以 上 と
され 、検診 の 対象範囲 が拡大 された。 また 、2 0 0 7 年 6 月 に厚生労働省 か ら、 がん対策推進基本
計画が発表 され た。それ に伴 い各施設では質 の 高 い画像を安定 して撮影す る こ とが求め られてお
り、乳房 X 線 撮影装置 に対す る 日々の精度管理や 品質管理 が重要 とな ってい る。以前 は フ ィルム
に よる撮影 が一 般的であ ったが 、最近では C R ( c o m p u t e d r a d i o g r a p h yど
)の
な デ ィジタル シ ステ
ム を採用す る施設 が増 加 している。
そ こで 、今回 C R を 対象 とした精度管理 と品 質管理 の研 究を行 った。C R シ ステ ムは 、線 量に対
す る広 い 直線性 を持 ち、安定 した画 像が 得 られ る とい う優れた特長 があ る。そ こで 、記録媒体 と
して使用 して い るイ メー ジングプ レー ト ( i m a g i n g p t t a t e t IXP線
) がに対 し優れ た線 量計 であ
ると考 え られ る。本研究 では I P を 用 い て得 られ るデ ィジ タル 値を使 っ て、乳房 X 線 撮影装置 の
ついて提 案 した もの である。 H V L は X
管理 に芝、
要 な半価層 ( h a l f v a l u e t t a y e r : H V L )測定に
の
線撮影に伴 う被 ば く線量を考 える上で重要 な指 標 となるため、簡便な精度維持 管理方法につい て
検討 した。
ガイ ドライ ンにお いて H V L 損1 定の 実施頻度 は 1 年 毎 とされてお り、日常的 にX 線 出力の変動 が
あ つた と して も確認で きない場合 もある。そ こで 、日常的な品質管理 としてア ル ミステ ップ を撮
影 して H V L の 測定を行 うこ とは有用 と考 える。 日常 の管理 として 、H V L の 変化 は管電圧 の変化が
わか り、 デ ィジタル 値 の変化は管電流時間積 の変 化 がわかる。
ガイ ドライ ンに 従 つて測定を行 うと約 1 時 間必要 となる。本研 究では 、簡便 な精度維持管理方
法 の検討 を行 い 、次 の事 が明 らかに な った。
①乳房 X 線 撮影装置 の H V L をアル ミステ ップ で演1 定す る ことがで きた。今回提案す るアル ミステ
ップで の H V L の 測 定では、約 1 0 分 間 の 時 間 が あれば H V L の 評価 が可能 であ る。 アル ミステ ップ
の製作費用は約 1 0 0 0 円で あ り、低廉 ・短時 間 で 、かつ簡便に H V L の 測定 が 可能 と考 える。
② 今回 の研 究では I P を線量計 の代用 として用 い たため、C R 装 置 のみに限 らず X 線 フ ィル ム を用
い る装置 で も測 症が 可能 となる。 注意点 と して は、I P の 特性 であるフェー デ ィン グが問題 とな
る。フェー デ ィン グは読取 りまで の時間 と温 度 に影響 され るため、正確 に測 定す るには読取 りま
での時間 を考慮す る必要 があ る。
③今後導 入 され る と思われ る C N R の 測定にお い て 、H V L の評価 と同時に A / B 値 を X 線 出力 の変動
評価 ( 管電圧 , 管 電流時間積) が 可能 であ る。 この方法は撮影台 の 上に P ヽ
M A と アル ミニ ウム を
設置 して撮影 をす るだけなの で、5 分 間程度 の 短時 間 で簡便 に演1 定が 可能である。 ただ し、正確
に H V しを測定す るにはガイ ドライ ンに従 う必要が ある。
今回は乳房 X 線 撮影装置 のみ対象 と して研 究 を行 ったが 、今後、デ ィジ タル 値 を利用 した X 線
装置 の簡便な精度維持 管理法 を検討 した い と考 えて い る。