小学校 1年2組 「道徳」 「ともだちのよいところ」 指導者 1 主として2(3)信頼・友情 新潟大学教育学部附属長岡小学校 青木 利恵子 子どもと主題 1学期の「道徳」の授業では,ランドセルカバーを自分でつけられないという場面で自分のこ とを自分でできない子どもの気持ちに「共感的理解」をして解決策を考え,手伝ってもらうのか 自 分 で が ん ば る の か に つ い て 考 え た 。自 分 で や り た い と い う 気 持 ち を「 発 見 的 理 解 」す る 過 程 で , ピアノや自転車などは,どうやってできるようになったのか自分の経験を想起した。自分の経験 と比べながら問題状況を考え,よりよく自分らしい解決策を考え直していくことができた子ども たちである。 本主題では,リレー遊びをしている時,自分が楽しく遊びたいために友だちを仲間から外して しまうという場面を取り上げる。友だちとしてどう行動することがよいのか,仲間に入れない友 だちの状況に共感したり,その友だちの気持ちに気づいたりすることで,周りの子どもの取るべ き行動を明らかにしていく。友だちとしてよりよいかかわり方を考えることで,自分も友だちと 仲よく遊んだり助け合ったりしようと意欲を高める姿が期待できると考えた。 本主題の中核となる学習内容を「仲よく遊び助け合いながら,自分の友だちを大切にしようと 意欲を高めること」とした。 「 道 徳 」 で は ,「『 共 感 的 理 解 』 と 『 発 見 的 理 解 』 か ら 自 分 も 他 も 共 に 大 切 に し よ う と す る 価 値 観 を 創 り あ げ る 子 ど も 」 を 目 指 し て い る 。 各 学 期 に 「 主 と し て 自 分 自 身 に 関 す る こ と 」「 主 と して他の人とのかかわりに関すること」を重点主題として設定し,自分と他とのかかわりの両面 から自分の価値観への見方を深めていく。 2 子どもに期待する生きて働く力をはぐくむ学び 向上心をもってよりよい自分であろうと考える子どもや自分の考えをしっかりともちはっきり と他に伝えようとする子どもなどがいる。 本 主 題 で は , リ レ ー 遊 び を し て い る 時 「 仲 間 に 入 れ て 。」 と 言 う 友 だ ち と そ れ を 拒 否 す る 仲 間 の場面で,仲間に入れてもらえない友だちの状況に共感をする。すると,みんなで仲よく遊ぶこ と が 大 事 で あ る こ と に 気 づ き 「 仲 間 に 入 れ て あ げ よ う 。」 と 問 題 解 決 策 を 考 え 「 共 感 的 理 解 」 を 深める姿が期待できる。 次に,仲間に入れてあげるけれど自分から離れてしまう友だちの気持ちを考え,それを見て友 だちとしてどうしたらよいかを考えていく。すると,しょんぼりしている友だちの状況から,自 分ができることは仲よく遊ぶことだけでなく,助け合ったり励まし合ったりすることであること を「発見的理解」する。自分が友だちを応援したり,優しい言葉をかけたりした経験を想起し, 「友だちとは仲よく遊ぶもの」から「友だちとは仲よく遊ぶだけでなく,助け合うもの」と価値 観を更新していくことが期待できる。そして,自分の経験とつなげて考え,優しい言葉をかけた り走っている時に応援したりするなどと問題解決策を再構成する。友だちのよさについて見方を 深め,普段の生活においても自分の友だちを大切にしていきたいと意欲を高める姿を期待した。 3 主題の目標 仲間はずれをしないように友だちとしてのよりよい行動の仕方を検討する中で,友だちと仲よ く遊ぶことや助け合うことが大切であることに気づき,自分の友だちを大切にしようと意欲を高 めることができる。 4 思考力の評価法 ○ワークシートの記述から,最初の問題解決策と一番最後の振り返りでの問題解決策を比較し, 考え方の変容を評価する。 ○「共感的理解」と「発見的理解」での問題解決策がどのような理由からくるものなのかを子ど もの発言・つぶやき・記述から評価していく。 -1- 5 主題の追求構想 (全2時間 〈観察対象児〉 〈観察対象児〉 向上心をもって,よりよい自分で あろうと考える子 本時2/2) 自分の考えをしっかりともち, はっきりと他に伝える子 ① 〈教師の働きかけ〉 〈問題場面の概略〉 ○問題場面を提示し, みんなでなかよくリレー遊びをしていました。そこへ,ゆうとさん が 「 入 れ て 。」 と 言 っ て き ま し た 。「 ゆ う と さ ん は 足 が 遅 い か ら だ め 。」 ゆうとさんの状況 を考える場の設定 とみんなは言いました。 ゆうとさんが,かわいそう。 仲間に入れてあげないなんて いじわるだな。 ◎ ゆ う と さ ん の た め に ,友 だ ち と し て ど う し て あ げ る こ と が よ い の か な 。 仲間に入れない子どもの気持ち ゆうとさんは,足が遅いかも ○役割演技を通して, は負けてしまうから,入れたくな しれないけれど,仲間に入れな 周りの子どもたち い と い う こ と だ ね 。 どう し た ら い いなんてかわいそうだよ。 の具体的な行動を いかな。 考える ↓ ↓ 友だちを仲間はずれにしては,い けないと思う。 ゆうとさんの気持ちを考えた ら,みんなで仲よく遊ぶことが 大事だと思う。 ・どうすることがよいか自分の考えをまとめよう。 仲間はずれはいけないよ。だから,仲間に入れてあげようよ ○問題の解決策を考 える場の設定 「 み ん な で 仲 よ く 遊 ぼ う よ 。」 と な っ て , ゆ う と さ ん を 仲 間 に 入 れ て,みんなでリレー遊びをしました。でもやっぱりゆうとさんが入っ たチームは負けてしまいました。ゆうとさんのチームの子どもたちは ・資料の分割提示 お も し ろ く あ り ま せ ん 。「 ぼ く , や め る 。」 と ゆ う と さ ん は し ょ ん ぼ りして向こうに行ってしまいました。 本 せっかくみんなで仲よく遊ぼう 仲間に入れてあげたのにゆうと ○しょんぼりして向 としたのに。どうしたらゆうとさ さんは向こうにいってしまった。 こうに行くゆうと 時 んも楽しく遊べるのかな。 どうすればいいのかな。 ② さんの気持ちを発 表する活動の組織 ◎ しょんぼりしているゆうとさんに,友だちとしてどうしてあげるこ とがよいのだろう。 ゆうとさんはかわいそうだな。 ○しょんぼりしてい 仲間に入れるだけではだめなの るゆうとさんのた でも仲間に入 れてあげる他にでき かな。ゆうとさんのために何がし めに,どうするこ ることなんてあるのかな? とがよかったのか てあげられるだろう。 ↓ 仲よくリレー遊びをするために ↓ 仲間に入れた後,どうするかが 話し合う活動の組 織 は助け合うこ とも必要だね。一生 大事なんだね。縄跳びを跳んでい ・自分の経験にひき 懸命走ってい る友だちの側を走っ る時にぼくたちが応援してあげた つけて考えられる てあげたよう にゆうとさんに優し ように,ゆうとさんが走っている ようにカードを提 い言葉をかけてあげるといいね。 示する 時はみんなで応援しようよ。 ・学習を振り返って思ったことをまとめよう。 友だちだったら,仲よく遊ぶだけじゃなくて,助け合うことも大事 だね。ぼくも,友だちのことを助けてあげたいな。 ○振り返りを書く場 の設定 -2-
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