2016.09.15 ニ ッ セ ン ケ ン 分 室 「 思 い つ き ラ ボ 」 No .72 “地震予知” と “地震予測” の違いが 分かりますか?・・・ 9 月 1 日 が防 災 の日 と定 められているので 9 月 度 をまるまる防 災 月 間 としているところが多 く この時 期 には避 難 訓 練 や行 動 訓 練 がよく実 施 されます。熊 本 地 震 が 4 月 14 日 と 16 日 に震 度 7 を記 録 して 5 か月 が経 過 したにもかかわらず 8 月 31 日 に震 度 5 弱 を記 録 してしまいました。6 月 12 日 にも震 度 5 弱 を記 録 しているのですが このときは過 去 の事 例 から推 測 して 2 か月 ほどの地 震 活 動 期 間 が続 く可 能 性 もあると報 道 されていたので今 回 も過 去 の地 震 と似 たような経 過 と思 っていたのですが 5 ヶ月 経 っても まだ終 息 の気 配 が感 じられないのはちょっと気 になります。 9 月 12 日 に韓 国 でマグニチュード 5.1 と 5.8 の地 震 が 発 生 したとニュースが流 れてきました。 ほとんど地 震 のな い国 な のですがマ グニチュード 5.8 は 韓 国 観 測 史 上 最 大 規 模 とのことでしたが それでも最 大 となるとこちらも気 になります。 地 震 の話 題 となると“南 海 トラフ地 震 ”との関 連 性 が取 り上 げられることが多 いのですが 防 災 月 間 という ことで今 一 度 “南 海 トラフ地 震 ”について整 理 しておきたいと思 います。まず“トラフ”とは海 底 深 くにある溝 の地 形 のことで 学 術 的 には 6,000m 以 下 のも のをトラフ 6,000m 以 上 のものをトレンチ(海 溝 )と区 分 されているとのことです。南 海 トラフは四 国 の南 側 に位 置 する深 さ 4,000m ほどの溝 地 形 の場 所 のことで 東 側 は駿 河 湾 くらいまでつながっているとのことです。この地 域 の活 動 が活 発 で大 規 模 な地 震 発 生 帯 と なっています。東 から“東 海 地 震 ” “東 南 海 地 震 ” “南 海 地 震 ”の 3 つの地 震 が連 動 して発 生 する確 率 が高 く その周 期 は 100 年 から 200 年 の間 で過 去 に繰 り返 されていることが分 かっています。その確 立 が高 くなっていることで災 害 意 識 も強 くなり 南 海 トラフ地 震 との関 連 性 が取 り上 げられることが多 くなって います。 ちょっと話 が逸 れますが“地 震 予 知 ”と“地 震 予 測 ”には違 いがあ ります。2011 年 3 月 11 日 の東 日 本 大 震 災 の翌 年 に“地 震 予 知 ”と“地 震 予 測 ”の定 義 が地 震 学 会 から発 表 されました。それに よると地 震 予 測 は「地 震 の発 生 時 間 」「地 震 の発 生 場 所 」「地 震 の大 きさ」を地 震 発 生 前 に推 定 することであり 地 震 予 知 とは地 震 予 測 の中 でも特 に確 度 が高 く警 報 につながるものとなっていま す。予 測 や予 知 や予 報 それに根 拠 のない予 言 まで地 震 に関 し てはいろいろな情 報 が流 れていてほとんどの情 報 に信 頼 性 を感 じ なくなってしまっていたので 大 震 災 以 降 に的 確 な情 報 が提 供 で きるようにと区 分 するようになりました。要 は確 率 から推 測 できるも のは“予 測 ”でその中 でも短 期 的 な確 率 が高 いと予 測 できるもの のみ“予 知 ”と呼 ぶことになっているのです。 地震予測 「地 震 の発 生 時 間 」「地 震 の発 生 場 所 」「地 震 の大 きさ」を 地 震 発 生 前 に推 定 すること 地震予知 地 震 予 測 の中 でも特 に確 度 が高 く警 報 につながるもの 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp 2016.09.15 万 全 な準 備 を あらためて区 分 すると現 在 国 内 で短 期 予 知 が可 能 なのは「東 海 地 震 」のみとなっています。東 海 地 震 が 起 きると“東 南 海 地 震 ”“南 海 地 震 ”と連 動 する確 率 も高 いので 南 海 トラフ地 震 が近 いうちに起 こっても 不 思 議 ではないという状 況 になっているのです。それゆえにどこかで地 震 が発 生 すると南 海 トラフ地 震 との 関 連 性 が取 りざたされてしまうのです。東 海 地 震 の確 率 が高 いと言 われるのは 前 回 の発 生 が 1854 年 12 月 23 日 安 政 東 海 地 震 (マグニチュード 8.4)と 150 年 以 上 を経 過 していることにあります。ちなみに 東 南 海 地 震 の前 回 は 1944 年 12 月 7 日 が 1946 年 12 月 21 日 昭 和 東 南 海 地 震 (マグニチュード 7.9)で南 海 地 震 の前 回 昭 和 南 海 地 震 (マグニチュード 8.0)となっています。過 去 にこの 3 つの地 震 が 連 動 して同 時 に発 生 している記 録 が残 されていて いずれもマグニチュード 8.0 前 後 と推 測 されています。 これらの数 字 をみると南 海 トラフ地 震 が巨 大 地 震 と呼 ばれるのも理 解 できます。国 や自 治 体 が防 災 対 策 をどれだけ講 じたとしても発 生 を防 ぐことはできないので 発 生 時 にどう避 難 するかだけを考 えておかなけ ればならないということです。準 備 しすぎということはありませんので心 しておきましょう。 ついでに地 震 が起 きたときに気 象 庁 が発 表 する緊 急 地 震 速 報 の“予 報 と警 報 ”に ついても説 明 しておき ます。気 象 庁 の説 明 では 緊急地震速報とは地震の揺れの警報・予報です。緊急地震速報は地震の発生 直後に、震源に近い地震計でとらえた観測データを素早く解析して、震源や 地震の規模(マグニチュード)を推定し、これに基づいて各地での主要動の 到達時刻や震度を予想し、可能な限り素早く知らせるものです。 となっています。文 章 にでてくる“主 要 動 ”とは大 きな揺 れのことです。予 報 は震 度 の目 安 として 震 度 3 以 上 のもので 警 報 は震 度 5 弱 以 上 のものでさらに震 度 6 弱 以 上 のものに対 して特 別 警 報 と取 り決 め されています。発 生 時 間 や震 央 地 名 やマグニチュードなどの情 報 を加 えて テレビやラジオの放 送 に流 さ れます。特 別 警 報 も 2013 年 8 月 30 日 から運 用 が始 まったもので 緊 急 時 の避 難 につなげるものとして 取 り入 れられました。警 報 だけだと非 常 性 が伝 わりにくくなったからとの判 断 からで とにかく特 別 警 報 が 発 表 されたらとにかく避 難 をすべきという状 況 になっているということを頭 にいれておいてください。 原 稿 担 当 :竹 中 直 (チョク) 一般財団法人ニッセンケン品質評価センター 〒111-0051 東京都台東区蔵前 2-16-11 (本部) TEL: 03-3861-2341 FAX: 03-3861-4280 WEB: www.nissenken.or.jp
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