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ご 挨 拶
この度、日本放射線腫瘍学会小線源治療部会 第 18 回学術大会を平成 28 年 5 月 27 日
(金)∼ 28 日(土)にホテルエルセラーン大阪にて開催することとなりました。
Brachytherapy の線量集中の利点は明らかですが、近年の高精度外部照射の進歩により
4 次元的な照射精度への関心が高まり、逆に brachytherapy の長所が見直されています。
すなわち、inter-/intra-fraction の生理的移動やセットアップエラーのマージンが原則的に
不要な brachytherapy は、PTV = CTV で照射できる完全な 4 次元原体性を備えているこ
とが再認識されました。短期間の治療で医療経済面でも優れる brachytherapy は、今後ま
すます重要になると考えられます。
諸先輩のご努力により、日本から優れた brachytherapy の研究結果が報告されてきまし
た。しかしながら、世界の先導役はやはり欧米となっている感は否めません。日本あるい
はアジアからの情報発信や、広く認められる研究方法を意識していく必要があると考えま
す。このような現状から、今回のテーマを「日本 Brachytherapy の国際化と多施設研究に
向けて」とさせていただきました。海外からの参加者も交えて、日本 brachytherapy の将
来に向けて議論したいと思います。また、継続課題である 3D-IGBT の標準化や、安全・快適・
効率的な brachytherapy について全職種で情報共有したいと考えています。
会場は JR 大阪駅から徒歩 10 分のエレガントなホテルです。すぐ東側は大阪を代表す
る歓楽街・北新地で、西側には堂島ロール発祥のパティスリーやお洒落な西梅田地区があ
ります。都会のオアシスで brachytherapy について存分に語り会う機会となればと思いま
す。是非みなさまのご参加をお待ちしております。
日本放射線腫瘍学会小線源治療部会
第 18 回学術大会 当番世話人 吉岡
1
靖生
ご 案 内
平成28年5月27日(金)
学術大会、幹事会、懇親会、機器展示
平成27年5月28日(土) 学術大会、機器展示
会 期:平成28年5月27日(金)∼ 28日(土)
会 場:ホテルエルセラーン大阪 エルセラーンホール
〒530-0003 大阪府大阪市北区堂島1丁目5番25号
TEL:06-6347-1484 HP:http://htl-el-osaka.com/
当番世話人:吉岡靖生(大阪大学大学院医学系研究科 放射線治療学)
1.学術プログラム概要
●特別講演
『小線源治療に係わる医療安全と医療費の問題点』
平成28年5月28日(土) 13:00 ∼ 13:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:小川和彦(大阪大学大学院医学系研究科 放射線治療学講座)
演者:西村哲夫(静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療センター)
●特別報告
『小線源におけるUncertaintiesの研究計画の提案』
平成28年5月28日(土)
11:35 ∼ 11:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:土器屋卓志(杏雲堂病院)
演者:若月 優 (自治医科大学附属病院 放射線科)
●シンポジウム1
『子宮頸癌に対する3D-IGBT その実践』
平成28年5月27日(金) 13:00 ∼ 14:30 第1会場(エルセラーンホール)
座長:加藤眞吾(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
座長:若月 優(自治医科大学附属病院 放射線科)
1.「3D-IGBTに関する基調報告」
演者:野田真永(群馬大学大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学分野)
2.「3D-IGBTにおける有害事象の変化」
演者:礒橋文明(大阪大学医学部附属病院 オンコロジーセンター)
3.「がん研有明病院における子宮頸癌小線源治療の方法、成績及びその変遷」
演者:室伏景子(がん研有明病院 放射線治療部)
4.「進行子宮頸がんに対する組織内照射の治療成績」
演者:村上直也(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
5.「照射野内再発症例に対する組織内照射」
演者:沼尻晴子(筑波大学附属病院 放射線腫瘍科)
2
●シンポジウム2 (English session)
『Status of prostate brachytherapy in Japan and in the World』
平成28年5月27日(金) 16:00 ∼ 17:30 第1会場(エルセラーンホール)
Chair:Dr. Jun Itami(National Cancer Center)
1.「European status. Results of Patterns of care for Brachytherapy in Europe (PCBE)」
Speaker:Prof. Ferran Guedea(Catalan Institute of Oncology, Barcelona, Spain)
2.「Prostate Brachytherapy Utilization in the United States: Recent Declines and
Corrective Strategies」
Speaker:Dr. Peter F. Orio, III(Dana-Farber/Brigham and Women s Cancer Center)
3.「Outcomes of Asian patients with localised prostate cancer treated with combined
intensity modulated radiation therapy and high dose rate brachytherapy ‒ a single
institution experience」
Speaker:Dr. Keith Lim(National University Hospital, Singapore)
4.「 Current Status of Prostate Brachytherapy in Japan」
Speaker:Dr. Atsunori Yorozu(Tokyo Medical Center)
●シンポジウム3
『Brachytherapyの多施設研究の状況』
平成28年5月28日(土) 10:00 ∼ 11:30 第1会場(エルセラーンホール)
座長:平塚純一(川崎医科大学 放射線科(治療)
)
座長:宇野 隆(千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学)
1.「前立腺LDR小線源療法の多施設共同研究」
演者:斉藤史郎(国立病院機構東京医療センター 泌尿器科)
2.「前立腺癌HDRにおける多施設研究と今後の課題」
演者:石山博條(北里大学医学部 放射線科学(放射線腫瘍学))
3.「子宮頸癌腔内照射:2D治療計画から3D治療計画の移行期における多施設臨床試験
デザイン上の問題点」
演者:戸板孝文(琉球大学大学院医学研究科 放射線診断治療学講座)
4.「子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の多施設共同研究」
演者:大野達也(群馬大学 放射線科)
5.「Brachytherapy多施設研究:頭頸部・乳腺」
演者:吉村亮一(東京医科歯科大学 腫瘍放射線治療学分野)
3
●シンポジウム4
『安全で正確なBrachytherapyへの取り組み』
平成28年5月28日(土) 14:00 ∼ 15:30 第1会場(エルセラーンホール)
座長:平田秀紀(聖マリア病院 放射線治療科)
座長:小泉雅彦(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻)
1.「婦人科腫瘍腔内照射における鎮痛鎮静の重要性と課題」
演者:辻野佳世子(兵庫県立がんセンター 放射線治療科)
2.「腔内照射時の看護」
演者:森 貴子(自治医科大学附属病院 がん放射線療法看護認定看護師)
3.「被ばく線量低減を含めてどのように線源位置を確認するべきか?」
演者:川村慎二(帝京大学 福岡医療技術学部)
4.「モデルベース型線量計算アルゴリズムによる不均質補正を考慮した線量分布の変化と
評価」
演者:花田剛士(慶應義塾大学医学部 放射線科学教室(治療)
)
5.「線量処方の不確かさ」
演者:岡本裕之(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
●教育講演1
『密封小線源治療を支援する新たなテクノロジー』
平成28年5月27日(金) 11:00 ∼ 11:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:茶谷正史(大阪労災病院 放射線治療科)
演者:生島仁史(徳島大学大学院医歯薬学研究部 放射線治療学分野)
●教育講演2
『腔内、ハイブリッド、組織内の棲み分け』
平成28年5月27日(金) 14:50 ∼ 15:40 第1会場(エルセラーンホール)
座長:能勢隆之(日本医科大学 多摩永山病院)
演者:吉田 謙(大阪医科大学 放射線医学教室)
●教育講演3
『小線源治療物理と品質管理』
平成28年5月28日(土) 9:00 ∼ 9:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:隅田伊織(大阪大学 放射線治療学講座)
演者:熊
祐(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
●ランチョンセミナー 1
『Recent Aspect and Future Prospect for Localized Prostate Cancer Treatment in US』
平成28年5月27日(金) 12:00 ∼ 12:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:萬 篤憲(東京医療センター 放射線科)
演者:Dr. Peter F. Orio, III(Dana-Farber/Brigham and Women s Cancer Center)
共催:株式会社メディコン
4
●ランチョンセミナー 2
『MultiSource(マルチソース)
を用いたIGBTの初期経験』
平成28年5月27日(金) 12:00 ∼ 12:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
座長:戸板孝文(琉球大学医学部附属病院)
演者:栗山健吾(山梨大学医学部附属病院)
共催:ユーロメディテック株式会社
●ランチョンセミナー 3
『Evolution of BT: From LDR to HDR』
平成28年5月28日(土) 12:00 ∼ 12:50 第1会場(エルセラーンホール)
座長:伊丹 純(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
演者:Professor Ferran Guedea(Catalan Institute of Oncology, Barcelona, Spain)
共催:株式会社千代田テクノル、エレクタ株式会社
●ランチョンセミナー 4
『前立腺癌小線源治療を極める』
平成28年5月28日(土) 12:00 ∼ 12:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
座長:斉藤史郎(東京医療センター 放射線科)
演者:岡本圭生(滋賀医科大学 前立腺癌小線源治療学講座)
座長:田中宣道(奈良県立医科大学 泌尿器科)
共催:日本メジフィジックス株式会社
●一般演題
平成28年5月27日(金)
一般演題1 前立腺LDR 13:10 ∼ 13:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:戸矢和仁(国際医療福祉大学三田病院 放射線治療科)
一般演題2 前立腺HDR、その他 14:00 ∼ 14:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:青木 学(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座)
一般演題3 口腔、気管支 15:00 ∼ 15:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:大賀才路(九州大学病院 放射線科)
一般演題4 子宮1 16:00 ∼ 16:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:沼尻晴子(筑波大学附属病院 放射線腫瘍科)
平成28年5月28日(土)
一般演題5 子宮2 9:00 ∼ 9:50 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:角 美奈子(がん研有明病院 放射線治療部)
一般演題6 物理 10:00 ∼ 11:00 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:高橋 豊(大阪大学 放射線治療学講座)
一般演題7 乳腺 14:00 ∼ 15:00 第2会場(ルメード・シェラディ)
一般演題1 座長:加賀美芳和(昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門)
5
●機器展示 平成28年5月27日(金)
11:00 ∼ 17:30 会場 エルシェラ
●機器展示 平成28年5月28日(土)
9:00 ∼ 15:30 会場 エルシェラ
●懇 親 会 平成28年5月27日(金)
18:00 ∼ 会場 スカイアトリウム A,B,C
●幹 事 会 平成28年5月27日(金)
9:30 ∼ 10:30 会場 スカイアトリウム A,B
●JASTRO理事会 平成28年5月28日(土)
14:00 ∼ 17:00 会場 スカイアトリウム A,B
2.学会参加者へ
参加手続きについて
区分
「入金確認」通知メールを印刷していただき当
事前参加 日、事前参加受付までご持参ください。参加
登録の方 登録証およびプログラム・抄録集とお引き換
えいたします。
会員
非会員
7,000円
9,000円
懇親会
JASTRO会員・
JASTRO非会員
当日登録
の方
当日参加受付にてご登録ください。参加費と
引き換えに参加登録証およびプログラム・抄
録集とお引替えいたします
ともに 5,000 円
8,000円 10,000円
※当日登録の方はクレジットカードでのお支払いは出来ません。
・開場時間
5月 27日(金)10:00
5月 28日(土)08:30
・参加受付時間
5月 27日(金)10:00
5月 28日(土)08:30
・クローク開設期間
5 月 27 日(金)10:00 ∼ 18:30
5 月 28 日(土)08:30 ∼ 16:30
・データ受付期間
5 月 27 日(金)10:00 ∼ 17:30
5 月 28 日(土)08:30 ∼ 15:30
3.座長の先生へ
・セッション開始 30 分前までに参加受付にて受付を済ませ、ご担当のセッション開始
15 分前までに講演会場右前方次座長席までお越しください。
・プログラムの時間通りの進行にご協力ください。
6
4.演者の先生へ
・発表方法は、パソコンによる発表のみとなります。
・演題は、各10分(口演7分、質疑応答3分)
でお願いいたします。
・セッション開始30分前までにPC受付にて受付確認を済ませ、同時に PC チェッ
クを行ってください。当該受付には、担当のオペレーターが待機しております。
・演者の先生には、必ず PC 受付にてご発表データを確認していただきます。当日修正の必
要な先生はお早めに修正作業をお願い致します。お一人の修正時間は5分以内です。
・万が一の為にバックアップメディアのご準備もお願い致します。
・発表データは、PowerPoint 2010、または2013で作成したものを、USB フラッシュ
メモリーにてお持ちください。Macintosh での発表データについては、ご自身のパソコン
本体をお持ち込みください。
・次の場合には、ご自身のパソコン本体をお持ちください。
1)Macintosh でのデータ作成、特殊なフォントを使用
2)データ流出が不安な場合
3)ファイルリンクによる発表演題形式
・RGB コネクタの形状は Dsub ‐15pins です。Macintosh 等の一部のパソコンでは、モニタ
出力端子が異なる場合があります。
このような機器をご使用の先生は、
必ず専用アダプター
のご準備をお願い致します。
・チェックが終わりましたら、ご発表のセッション開始10分前までに講演会場左前方次演
者席にて発表時間をお待ちください。
・利益相反の開示方法についてはホームページを参照してください。
7
会場周辺図
阪急電鉄
阪急梅田
JR 大阪
新御堂筋
下
地
線
町
谷
鉄
梅田
梅田出入口
線
海道
JR 東 環状線
阪
JR 大
阪神梅田
東梅田
西梅田
鉄
電
神
駅前第1ビル 駅前第2ビル
阪
出入橋入口
国道 2 号線
北新地
堂島
アバンザ エルセラーンホール
■
ホテル エルセラーン大阪 5F
地下鉄御堂筋線
地下鉄四つ橋線
JR 東西線
駅前第3ビル
■
堂島入口
阪神高速環状線
堂島川
桜橋交差点
京阪中之島線
渡辺橋
■大阪市役所
大阪駅前第 1 ビル
桜橋
ボウル
中之島入口
京阪電鉄
ELSEREINE HALL エルセラーンホール
近鉄堂島
ビル
(ホテル エルセラーン大阪 5F)
北新地
堂島地下街
御堂筋
土佐堀川
西線
JR 東
四つ橋筋
肥後橋
淀屋橋
堂島アバンザ
エルセラーンホール
C84 出入口
ホテル エルセラーン大阪 5F
TEL.06-6347-1484 FAX.06-6347-1485
堂島プラザビル
http://htl-el-osaka.com
紀陽ビル
〒 530-0003 大阪市北区堂島 1-5-25
交通案内
・JR 東西線「北新地駅」より徒歩 5 分
・JR「大阪駅」より徒歩 10 分
・地下鉄四つ橋線「西梅田駅」より徒歩 5 分
・地下鉄谷町線「東梅田駅」より徒歩 8 分
ドージマ地下センター C84 出入口
8
四つ橋筋
HOTEL ELSEREINE OSAKA ホテル エルセラーン大阪
堂島グランドビル
会場案内図
15 階
61+.'6
61+.'6
スカイアトリウム
A
B
C
䵊
(
(
5階
PC受付
クローク
61+.'6
記名台
61+.'6
61+.'6
䵊
(
$(
受付
䵊
(
(
第1会場
(エルセラーンホール)
61+.'6
本部
61+.'6
本部
3階
61+.'6
61+.'6
企業展示
1 2
3
4
5
6
7
③ メディコン
企業展示会場
䵊
(
①② シーメンスヘルスケア
④ バリアンメディカルシステムズ
(エルシェラ)
(
⑤ ユーロメディテック
⑥ 日本メジフィジックス
⑦ 千代田テクノル
第2会場
(ルメード・シェラディ)
9
プログラム
5月 27 日(金)
09: 30 ∼ 10: 30 幹事会
10: 50 ∼ 11: 00 開会式
当番世話人:吉岡靖生(大阪大学大学院医学系研究科 放射線治療学)
11: 00 ∼ 11: 50 教育講演1 第1会場(エルセラーンホール)
座 長:茶谷正史(大阪労災病院 放射線治療科)
1.密封小線源治療を支援する新たなテクノロジー
生島仁史(徳島大学大学院医歯薬学研究部 放射線治療学分野)
12: 00 ∼ 12: 50 ランチョンセミナー1 第1会場(エルセラーンホール)
座 長:萬 篤憲(東京医療センター 放射線科)
Recent Aspect and Future Prospect for Localized Prostate Cancer Treatment in US
Dr. Peter F. Orio, III(Dana-Farber/Brigham and Women s Cancer Center)
共催:株式会社メディコン
12: 00 ∼ 12: 50 ランチョンセミナー2 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:戸板孝文(琉球大学医学部附属病院)
MultiSource(マルチソース)を用いたIGBTの初期経験
栗山健吾(山梨大学医学部附属病院)
共催:ユーロメディテック株式会社
13: 00 ∼ 14: 30 シンポジウム1 第1会場(エルセラーンホール)
子宮頸癌に対する3D-IGBT その実践 座 長:加藤眞吾(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
若月 優(自治医科大学附属病院 放射線科) 1.3D-IGBTに関する基調報告
野田真永(群馬大学大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学分野)
2.3D-IGBTにおける有害事象の変化
礒橋文明(大阪大学医学部附属病院 オンコロジーセンター)
10
3.がん研有明病院における子宮頸癌小線源治療の方法、成績及びその変遷
室伏景子(がん研有明病院 放射線治療部)
4.進行子宮頸がんに対する組織内照射の治療成績
村上直也(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
5.照射野内再発症例に対する組織内照射
沼尻晴子(筑波大学附属病院 放射線腫瘍科)
13: 10 ∼ 13: 50 一般演題1 前立腺LDR 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:戸矢和仁(国際医療福祉大学三田病院 放射線治療科)
1.ready linkを用いた前立腺癌小線源治療のdose volume histogram
鶴貝雄一郎(東京警察病院 放射線科・大船中央病院 放射線治療センター)
2.前立腺小線源治療の術後計算に及ぼす前立腺体積の影響:JPOPS Cohort study
青木 学(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座)
3.限局性前立腺癌に対するI-125シード線源永久挿入療法後の局所再発の検討
公田龍一(国立病院機構東京医療センター 放射線科)
4.ブラキセラピー後の局所再発に対する前立腺凍結療法の初期経験
三木健太(東京慈恵会医科大学 泌尿器科)
14: 00 ∼ 14: 50 一般演題2 第2会場(ルメード・シェラディ)
前立腺HDR、その他
座 長:青木 学(東京慈恵会医科大学 放射線医学講座)
5.前立腺がんに対する高線量率組織内照射療法の治療成績
牧野壮壱(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
6.前立腺癌に対する外照射を併用した高線量率組織内照射療法の多施設共同遡及的観察研究
石山 博條(北里大学医学部 放射線科学(放射線腫瘍学)
)
7.当院におけるホルモン再燃前立腺癌に対する外照射を併用した高線量率組織内照射療法の
治療成績
小西 圭(川崎医科大学 放射線医学(治療)
)
8.当院における前立腺癌術後吻合部再発に対する外照射併用尿道腔内照射の成績
神谷伸彦(川崎医科大学附属病院 放射線科(治療)
)
9.体表から容易にアプローチできる転移病巣に対する緩和治療の意義としてのHDR
稲葉 浩二(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
11
14: 50 ∼ 15: 40 教育講演2 第1会場(エルセラーンホール)
座 長:能勢隆之(日本医科大学 多摩永山病院)
2.腔内、ハイブリッド、組織内の棲み分け
吉田 謙(大阪医科大学 放射線医学教室)
15:00 ∼ 15:50 一般演題3 口腔、気管支 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:大賀才路(九州大学病院 放射線科)
10.口腔癌に対する高線量率モールド照射の初期経験
木元拓也(京都府立医科大学 放射線科)
11.進行舌癌に対する動注化学放射線治療 + 画像誘導組織内照射boostの経験
増井浩二(京都府立医科大学 放射線診断治療学講座)
12.舌背部舌癌に対する高線量率組織内照射の治療経験
柿本直也(大阪大学大学院歯学研究科 歯科放射線学教室)
13.可動部舌癌に対する高線量率組織内照射法の検討
秋山広徳(大阪歯科大学 歯科放射線学講座)
14.根治的気管支腔内照射の治療成績の検討
野本由人(三重大学医学部附属病院 放射線治療科)
16: 00 ∼ 17: 30 シンポジウム2 第1会場(エルセラーンホール)
Status of prostate brachytherapy in Japan and in the World 座 長:Dr. Jun Itami(National Cancer Center)
1.European status. Results of Patterns of care for Brachytherapy in Europe (PCBE)
Professor. Ferran Guedea(Catalan Institute of Oncology, Barcelona, Spain)
2.Prostate Brachytherapy Utilization in the United States: Recent Declines and Corrective
Strategies
Dr. Peter F. Orio, III(Dana-Farber/Brigham and Women s Cancer Center)
3.Outcomes of Asian patients with localised prostate cancer treated with combined
intensity modulated radiation therapy and high dose rate brachytherapy ‒ a single
institution experience
Dr. Keith Lim(National University Hospital, Singapore)
4.Current Status of Prostate Brachytherapy in Japan
Dr. Atsunori Yorozu(Tokyo Medical Center)
12
16: 00 ∼ 16: 50 一般演題4 子宮1 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:沼尻晴子(筑波大学附属病院 放射線腫瘍科)
15.婦人科腫瘍に対する腔内・組織内照射の際の直腸膣間膜へのヒアルロン酸ナトリウム散布
の初期経験
柏原大朗(国立がん研究センター中央病院)
16.子宮頸癌照射野内局所再発における高線量率組織内照射を用いた再照射に関する検討
梅澤 玲(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
17.子宮体癌に対する根治的放射線治療の遡及的検討
宮澤一成(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
18.高線量率密封小線源治療時の線源確認におけるCT位置決め画像の有用性の検討
高橋太郎(がん研究会有明病院 放射線治療部)
19.タンデム、オボイドを用いた三次元小線源治療計画におけるA点線量左右差の検討
松木清倫(滋賀県立成人病センター 放射線治療科)
18:00 ∼ 懇親会(スカイアトリウム A,B,C)
13
5月 28 日(土)
09: 00 ∼ 9: 50 教育講演3 第1会場(エルセラーンホール)
座 長:隅田伊織(大阪大学 放射線治療学講座)
3.小線源治療物理と品質管理
熊
祐(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
09: 00 ∼ 9: 50 一般演題5 子宮2 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:角 美奈子(がん研有明病院 放射線治療部)
20.子宮頸癌に対するCT/MRI-based画像誘導3次元腔内照射の初期治療経験
兼安祐子(福山医療センター 放射線治療科)
21.MRI/CT based image-guided adaptive brachytherapy の初期経験
伊井憲子(三重大学医学部附属病院 放射線治療科)
22.子宮頸癌に対するMRIを用いた画像誘導腔内照射におけるA点処方planとoptimized plan
の比較
吉田賢史(神戸大学医学部 放射線腫瘍科)
23.子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の治療成績
岡 祥平(埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科)
24.MRI based IGBTにおける3D撮像法と2D T2 Fast Spin Echo法のコントラスト比較
渡辺未歩(千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学)
10: 00 ∼ 11: 30 シンポジウム3 第1会場(エルセラーンホール)
Brachytherapyの多施設研究の状況 座 長:平塚純一(川崎医科大学 放射線科(治療)
)
宇野 隆(千葉大学大学院医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学)
1.前立腺LDR小線源療法の多施設共同研究
斉藤史郎(国立病院機構東京医療センター 泌尿器科)
2.前立腺癌HDRにおける多施設研究と今後の課題
石山博條(北里大学医学部 放射線科学(放射線腫瘍学))
3.子宮頸癌腔内照射:2D治療計画から3D治療計画の移行期における多施設臨床試験デザイン上
の問題点
戸板孝文(琉球大学大学院医学研究科 放射線診断治療学講座)
14
4.子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の多施設共同研究
大野達也(群馬大学 放射線科)
5.Brachytherapy多施設研究:頭頸部・乳腺
吉村亮一(東京医科歯科大学 腫瘍放射線治療学分野)
10: 00 ∼ 11: 00 一般演題6 物理 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:高橋 豊(大阪大学 放射線治療学講座)
25.線形ボルツマン輸送方程式を用いたアルゴリズムにおけるチタン製アプリケータを用いた
不均質補正の検討
本田弘文(愛媛大学医学部附属病院 放射線部)
26.MRI-base IGBTにおいて画像の幾何学的ひずみによって生じる線量誤差の基礎検討
阿部幸直(千葉大学医学部付属病院 放射線部)
27.子宮腔内照射中におけるX線撮影を用いたin-vivo本線源停止位置確認の初期経験
岡 善隆(福島県立医科大学附属病院 放射線部)
28.高線量率腔内照射におけるX線透視装置を用いた線源位置確認の有用性について
茶谷正史(大阪労災病院 放射線治療科)
29.密封小線源用水吸収線量測定用ファントム使用経験の報告
北村 望(がん研究会有明病院 放射線治療部)
30.三次元検出器を用いたCo60の空間線量測定
大江 歩(自治医科大学附属病院 中央放射線部)
11: 35 ∼ 11: 50 特別報告 第1会場(エルセラーンホール)
小線源におけるUncertaintiesの研究計画の提案
座 長:土器屋卓志(杏雲堂病院)
1.小線源におけるUncertaintiesの研究計画の提案
若月 優(自治医科大学附属病院 放射線科)
15
12: 00 ∼ 12: 50 ランチョンセミナー3 第1会場(エルセラーンホール)
座 長::伊丹 純(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
Evolution of BT: From LDR to HDR
Prof. Ferran Guedea(Catalan Institute of Oncology, Barcelona, Spain)
共催:株式会社千代田テクノル、エレクタ株式会社
12: 00 ∼ 12: 50 ランチョンセミナー4 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長::斉藤史郎(東京医療センター 放射線科)
前立腺癌小線源治療を極める
岡本圭生(滋賀医科大学 前立腺癌小線源治療学講座)
田中宣道(奈良県立医科大学 泌尿器科)
共催:日本メジフィジックス株式会社
13: 00 ∼ 13: 50 特別講演 第1会場(エルセラーンホール)
小線源治療に係わる医療安全と医療費の問題点
座 長:小川和彦(大阪大学大学院医学系研究科 放射線治療学講座)
1.小線源治療に係わる医療安全と医療費の問題点
西村哲夫(静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療センター)
14: 00 ∼ 15: 30 シンポジウム4 第1会場(エルセラーンホール)
安全で正確なBrachytherapyへの取り組み 座 長:平田秀紀(聖マリア病院 放射線治療科)
小泉雅彦(大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻)
1.婦人科腫瘍腔内照射における鎮痛鎮静の重要性と課題
辻野佳世子(兵庫県立がんセンター 放射線治療科)
2.腔内照射時の看護
森 貴子(自治医科大学附属病院 がん放射線療法看護認定看護師)
3.被ばく線量低減を含めてどのように線源位置を確認するべきか?
川村慎二(帝京大学 福岡医療技術学部)
16
4.モデルベース型線量計算アルゴリズムによる不均質補正を考慮した線量分布の変化と評価
花田剛士(慶應義塾大学医学部 放射線科学教室(治療)
)
5.線量処方の不確かさ
岡本裕之(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
14: 00 ∼ 15: 00 一般演題7 乳腺 第2会場(ルメード・シェラディ)
座 長:加賀美芳和(昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門)
31.SAVIアプリケーターを用いた加速乳房部分照射に必要な胸壁厚の検討
野武亮一(東京医科歯科大学医学部付属病院 放射線部)
32.SAVIを用いた加速部分乳房照射における線量分布の検討
新城秀典(昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門)
33.SAVIにおけるレトロスペクティブ線量評価の効率化に向けた検討
宮浦和徳(昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門)
34.SAVI (Strut Adjusted Volume Implant) による乳癌術後小線源治療
高橋加奈(国立がん研究センター中央病院 放射線治療科)
35.SAVIを用いた乳癌小線源治療の3施設比較
戸田一真(東京医科歯科大学 腫瘍放射線治療学分野)
36.組織内照射によるAPBI多施設共同試験:臨床結果の経時的変化(中央55 ヶ月, 最短42 ヶ月)
余田栄作(川崎医科大学)
14:00 ∼ 17: 00 JASTRO理事会(スカイアトリウム A,B)
17
日 程 表
5 月 27 日(金)
第 1 会場(5 階)
エルセラーンホール
第 2 会場(3 階)
ルメード・シェラディ
9:00
展示会場(3 階) 本部(5 階) スカイアトリウム(15 階)
エルシェラ
楽屋
A
B
C
搬入
本部
9:30 ∼ 10:30
幹事会
10:00
11:00 11:00 ∼ 11:50 教育講演 1 密封小線源治療を支援する新たなテクノロジー
座長:茶谷正史
演者:生島仁史
12:00 12:00 ∼ 12:50 ランチョンセミナー 1
Recent Aspect and Future Prospect for Localized Prostate
Cancer Treatment in US
座長:萬 篤憲
演者:Dr. Peter F. Orio, III
共催:株式会社メディコン
講師控室
ランチョン 1
講師控室
ランチョン 2
12:00 ∼ 12:50 機器展示
ランチョンセミナー 2
MultiSource(マルチソース)を用いた IGBT の初期経験
座長:戸板孝文
演者:栗山健吾
共催:ユーロメディテック株式会社
13:00 13:00 ∼ 14:30 13:10 ∼ 13:50 シンポジウム 1
一般演題 1 前立腺 LDR 全4題
子宮頸癌に対する 3D-IGBT その実践
座長:戸矢和仁
座長:加藤眞吾、若月 優
演者:野田真永、礒橋文明、室伏景子、村上直也、沼尻晴子
14:00
15:00
14:00 ∼ 14:50 一般演題 2 前立腺 HDR、その他 全5題
座長:青木 学
14:50 ∼ 15:40 教育講演 2 腔内、ハイブリッド、組織内の棲み分け
座長:能勢隆之
演者:吉田 謙
15:00 ∼ 15:50 一般演題 3 口腔、気管支 全5題
座長:大賀才路
16:00 ∼ 16:50 16:00 16:00 ∼ 17:30 一般演題 4 子宮1 全5題
シンポジウム 2
Status of prostate brachytherapy in Japan and in the World 座長:沼尻晴子
Chair:Dr. Jun Itami
Speaker:Prof. Ferran Guedea,Dr. Peter F. Orio, III ,
17:00
Dr. Keith Lim,Dr. Atsunori Yorozu
18:00
18:00 ∼ 20:00
懇親会・記念写真撮影
5 月 28 日(土)
第 1 会場(5 階)
エルセラーンホール
9:00 9:00 ∼ 9:50 教育講演 3 小線源治療物理と品質管理
座長:隅田伊織
演者:熊崎 祐
第 2 会場(3 階)
ルメード・シェラディ
9:00 ∼ 9:50 一般演題 5 子宮2 全5題
座長:角美奈子
10:00 ∼ 11:00 10:00 10:00 ∼ 11:30 一般演題 6 物理 全6題
シンポジウム 3
座長:高橋 豊
Brachytherapy の多施設研究の状況
座長:平塚純一、宇野 隆
演者:斉藤史郎、石山博條、戸板孝文、大野達也、吉村亮一
11:00
11:35 ∼ 11:50
特別報告 小線源における Uncertainties の研究計画の提案
座長:土器屋卓志
演者:若月 優
12:00 12:00 ∼ 12:50 ランチョンセミナー 3
Evolution of BT: From LDR to HDR
座長:伊丹 純
演者:Prof. Ferran Guedea
共催:株式会社千代田テクノル、エレクタ株式会社
展示会場(3 階) 本部(5 階) スカイアトリウム(15 階)
エルシェラ
楽屋
A
B
C
機器展示
本部
講師控室
ランチョン 3
12:00 ∼ 12:50 ランチョンセミナー 4
前立腺癌小線源治療を極める
座長:斉藤史郎
演者:岡本圭生、田中宣道
共催:日本メジフィジックス株式会社
13:00 13:00 ∼ 13:50
特別講演 小線源治療に係わる医療安全と医療費の問題点
座長:小川和彦
演者:西村哲夫
14:00 ∼ 15:00 14:00 14:00 ∼ 15:30 一般演題 7 乳腺 全6題
シンポジウム 4
座長:加賀美芳和
安全で正確な Brachytherapy への取り組み
座長:平田秀紀、小泉雅彦
演者:辻野佳世子、森 貴子、川村慎二、花田剛士、岡本裕之
15:00
16:00
18
14:00 ∼ 17:00
JASTRO 理事会
講師控室
ランチョン 4
抄録
特別講演
シンポジウム
教育講演
一般演題
19
特別講演
E1. 小線源治療に係わる医療安全と医療費の問題点
西村哲夫
静岡県立静岡がんセンター 放射線・陽子線治療センター
かつて小線源治療の成否は術者の技術と経験に大きく依存していた。しかし現在治療のプロセスは複雑化し、直
観に頼る時代から、機器に大きく依存する時代になった。
1991年にHDRイリジウムラルスが、国内に導入され、小線源治療の変革のきっかけとなった。しかし1992年の
米国の死亡事故は小線源治療が人体に与える影響の深刻さを改めて自覚させられるものであった。その後わが国で
も1998年に起こった線源交換に伴う職員の被曝事故がきっかけになり、安全取り扱い講習会が定期的に開催され
てきた。
また2003年に前立腺がんのシード治療が始まり、線源の取扱いや診療の質の確保のために治療開始施設に対し
て、講習会の出席を義務付けることや、ガイドラインの作成、実技の講習会などの様々な取り組みが行われた。
しかし2013年に判明したオボイドアプリケータの過誤照射事故は、再度我々に医療安全対策の課題が突き付け
られるものとなった。
さてかつて放射線治療は医療費が安くて、患者負担の少ないよい治療だとの認識の時代があった。ちなみに
1985年では診療報酬は腔内照射700点で放射線治療管理料も算定されなかった。その後関係者の尽力もあり診療
報酬の改定が行われ、2006年の前立腺シード治療の保険収載や2010年の高線量率イリジウム腔内照射の診療報酬
点数が3千点から1万点に上がった。
国民医療費40兆円の内、放射線治療に係わる医療費は1000億円を超すと算定されているが、このうち小線源治
療の医療費は約30億円に留まっていると推定される。これらの診療報酬が医療機関における必要な機器の購入、人
員配置の原資となる。しかし試算したところ1万点となった腔内照射にしても、イリジウム線源交換の費用相当分
の年間20名の患者数でも尚黒字収支には達していないと推定される。
特定機能病院では承認要件が改定されるなど、今わが国では医療安全についての体制強化が求められている。今
後新技術として画像誘導小線源治療の導入が進んでいく中、更に複雑な仕組みの中で小線源治療が実施されていく。
この中にシステムエラーの介在するリスクが高まる可能性がある。これらに対して適切な人員配置を含む安全の体
制が必要である。医療安全の視点から、診療報酬は尚改善を求める余地があると考えられる。米国で使われる慣用
句「Safety is not free」
はこの問題をよく表している。
20
シンポジウム
5月27日(金)13: 00 ∼ 14: 30
シンポジウム1 子宮頸癌に対する3D-IGBT その実践
座長 加藤眞吾 埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科
若月 優 自治医科大学附属病院 放射線科 S1-1. 3D-IGBTに関する基調報告
野田真永、村田和俊、吉本由哉、大野達也、中野隆史
群馬大学大学院医学系研究科 病態腫瘍制御学講座腫瘍放射線学分野
本邦での子宮頸癌に対する放射線療法の治療成績は早期症例では手術療法に匹敵し、手術非適応となる局所進行期症例でも約半数の患者
が5年生存することが示されている。子宮頸癌の局所制御において、線量集中性に優れた腔内照射などの小線源治療の果たす役割は大きい。
従来から腔内照射では、正側2方向のX線写真を用いて、A点などの画一的な基準点に対する線量処方を行う2次元治療計画に基づき施行さ
れてきた。
これに対し、MRIやCTなどを用いた3次元治療計画に基づき小線源治療を施行するのが3次元画像誘導小線源治療(3D-IGBT)である。アプ
リケータ装着状態でのCT画像を用いて治療計画を行うと、子宮の外輪郭の同定および膀胱、直腸/S状結腸、小腸などの子宮周囲の臓器の
描出が可能となる。これにより子宮局所への適切な線量投与および子宮周囲臓器に対する不要な線量投与の軽減が可能となる。その結果、
従来の画一的なA点線量処方による2次元小線源治療と比べ、局所制御率の向上ならびに晩期障害予防を期待できる。さらに、小線源治療
時に内診所見やMRI所見を加えることで、腫瘍輪郭同定が容易になり、症例固有の腫瘍進展に応じた3次元小線源治療計画作成が可能となる。
また、従来はタンデム・オボイドのみによる定型的な腔内照射では腫瘍への線量投与が不十分となることが予測される不整形巨大腫瘍症
例などに対しては、組織内照射が施行可能施設においては考慮されていた。このような症例に、腔内照射と組織内照射という異種の小線源
治療を組み合わせた組織内照射併用小線源治療(ハイブリッド小線源治療)の適応を考慮する施設も増えてきた。同治療は腔内照射におけ
るアプリケータ挿入の簡便性と組織内照射における線量分布の良好性の両者を合わせ持つことが特徴である。
本シンポジウムでは、本邦でも導入施設数が増加している3D-IGBTについて、文献報告による治療成績を中心にその現状について概説す
る。
S1-2. 3D-IGBTにおける有害事象の変化
礒橋文明
大阪大学医学部附属病院 オンコロジーセンター
子宮頸癌に対する3D-IGBTは本邦においても急速に普及しつつある。本年度より保険収載されることになった。
2D治療と比較して、特に大きな腫瘍の局所制御率の改善と子宮周囲の有害事象軽減が期待されている。当院でも
2012年よりCTを用いた3D-IGBTを開始している。当院ではHR-CTVのD90を6 Gy以上、膀胱・直腸のD2ccを7 Gy
未満を目標に3D-IGBT を施行している。2014年までに治療した64人を解析したところ、HR-CTVのD90に対する
EQD2の中央値が72.4 Gy (56.4 ‒ 100.5 Gy)、直腸のD2ccに対するEQD2中央値が60.9 Gy(41.5 ‒ 83.3 Gy)
であっ
た。経過観察期間中央値24 ヵ月で局所再発5名(8%)、11人(17%)にグレード1の直腸出血を認めた。直腸出血を
含むグレード2以上の有害事象は認めなかった。経過観察期間は短いが、3D-IGBTにより局所制御率の改善と有害
事象の軽減が達成できると考えられる。今回のシンポジウムではこの3D-IGBTで治療した症例と、過去に2D治療し
た症例を有害事象発生という観点から比較を試みる。特に、① 直腸出血の軽減(割合・重篤度)、② 直腸出血以外
の重篤な有害事象の軽減、③ 有害事象を低減させるための適切なパラメータの設定について議論する。
21
3. がん研有明病院における子宮頸癌小線源治療の方法、成績及びその変遷
室伏景子、原田亜里咲、大久保裕史、熊井康子、浅利崇生、加藤大基、利安隆史、小塚拓洋、
角 美奈子、小口正彦
がん研有明病院 放射線治療部
当院では2016年2月より、小線源治療室内にCT装置が導入され、全症例に対する3D-IGBTが可能となった。それ以
前は、別室に設置された外照射計画用CTを用いたため、machine timeの問題で選択的に3D-IGBTを施行してきた。今
回われわれは、2009年7月から2015年9月までに子宮頸癌に対し根治的放射線治療を施行したIb2期以上の217例の小
線源治療法及びその成績を時代的変遷とともに報告する。
放射線治療は30-40 Gyの全骨盤照射後に、腔内照射18-24 Gy/3-4回または組織内照射24-30 Gy/4-5回を行った。原
発巣の偏在性、膣壁進展及び子宮体部進展の状況を鑑みて、組織内照射を含めた3D-IGBTの適応を決定した。小線源治
療は、2010年7月から組織内照射を再開、2011年4月から小線源治療前のMRI撮影及び、初回腔内照射時のCT撮影を
開始した。2012年5月からは、直腸などの正常臓器の線量を考慮した照射線量の調整、2013年1月からはHR-CTVの線
量担保のためにA点線量の増加を開始した。Weight調整や線量増加を行った場合は、3回目の腔内照射時に再度CT撮影
を行った。組織内照射併用腔内照射は2013年9月に開始した。これら以外にも腫瘍の形状に沿って、小線源治療では
届かない部位へのIMRT boostや子宮体部浸潤が高度な症例に対するRotte式アプリケータの使用などを行ってきた。
年齢中央値56歳。FIGO Ib/II/III/IVA期は11/99/97/10例、腫瘍径中央値は50mm。扁平上皮癌/腺扁平上皮癌/腺癌は、
180/20/17例。観察期間中央値は39.7カ月。照射後のCR率は94%、観察期間中に局所残存及び再発を21例に認めた。
3年局所制御率は89.3%、そのうち組織内照射再開前までの腔内照射例では89.9%、標準線量例では88.0%、照射線量
増加例では92.8%であった。APCを2回施行及びGrade 3の直腸出血を6例、2例に認めた。しかし、直腸線量を考慮し
た腔内照射を開始してからは、1例ずつに認めるのみであった。
さらに、小線源治療の変遷とともに組織型、腫瘍径別の成績に関しても解析を進めていく予定である。
S1-4. 進行子宮頸がんに対する組織内照射の治療成績
村上直也、土田圭祐、柏原大朗、小林和馬、原田 堅、梅澤 玲、高橋加奈、稲葉浩二、
伊藤芳紀、井垣 浩、伊丹 純
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
目的:当院では2008年より画像誘導小線源治療を開始した。子宮頸がんの根治例には基本的に腔内照射を、2010
年より側方進展の強い場合に組織内照射併用腔内照射(HBT, hybrid brachytherapy)を、5 mm以上の厚みを有す腟
進展やHBTでもカバー困難な著しい側方進展や巨大腫瘍に対し組織内照射を適応している。
方法:全例で外照射を併用した。75歳以下かつ十分な臓器機能が保たれる場合、weekly CDDP (40mg/m2)を併用
した。組織内照射は全身麻酔と硬膜外麻酔の併用あるいは仙骨麻酔と鎮静下に行った。HR-CTVに6 Gyを1日2回、
照射間隔は6時間以上とした。
結果:2008年12月から2014年10月に根治的放射線治療を行った子宮頸がん患者は209人、うち142人が腔内照射、
42人がHBT、25人が組織内照射で治療された。組織内照射で治療された25人中、初診時に傍大動脈リンパ節以外
の遠隔転移を有した5人を除外した20人を研究対象とした。観察期間の中央値は25か月(15.9 43.1か月)、年齢の
中央値は62歳(42-82歳)
、FIGO病期は3A/3B/4A/4Bそれぞれ2例/10例/1例/7例、組織型はScc/Non-Sccそれぞれ
16例/4例、初診時腫瘍サイズ中央値は7 cm(4-14 cm)であった。化学放射線治療は17例、HR-CTV D90中央値は
EQD2換算(α/β=10 Gy)で74.2 Gy(60.4-88.5 Gy)であった。2年局所制御割合、無増悪生存割合、全生存割合は
それぞれ80.5%、38.9%、72.4%であった。再発は12例に認め、骨盤内再発/傍大動脈リンパ節再発/遠隔転移はそ
れぞれ2例/5例/8例(重複あり)であった。Grade3、Grade2の晩期有害事象をそれぞれ2例、10例に認めた。
結論:進行子宮頸がんにより良好な局所制御が得られた。
22
S1-5. 照射野内再発症例に対する組織内照射
沼尻晴子1)、加沼玲子1)、宮内大悟1)、室伏景子2)、水本斉志1)、大西かよ子1)、福光延吉1)、
粟飯原輝人1)、石川 仁1)、奥村敏之1)、坪井康次1)、櫻井英幸1)
筑波大学附属病院 放射線腫瘍科1)、がん研究会有明病院 放射線治療科2、)
婦人科再発腫瘍は、疼痛・出血などの症状だけでなく排泄機能に影響を及ぼす可能性もあり、QOL維持の観点か
ら根治的・姑息的な治療を望まれることが多いが、その治療にはしばしば難渋する。再発治療として放射線治療を
検討する際は、再照射もしくは術後でリスク臓器が近接するなどで腫瘍に根治線量を投与することが困難で、治療
選択肢は一般に乏しいとされる。
当院ではこのような症例に十分な説明のうえで組織内照射を行っており、本発表では、特に照射野内再発症例の
治療と、治療後経過について紹介する。
2015年度の当部会で発表したとおり、当院では2008年9月から2013年2月まで33例に対して照射野内再発の組
織内照射を施行している。その後の観察期間中央値20.7カ月(3.0-59.3か月)で、観察期間内で局所制御が維持され
ていたのは16例であった。晩期有害事象はGr2以下の直腸出血を7例認めたが、Gr3以上の直腸出血は認めなかった。
そのほか直腸膣瘻を4例に認め、そのうち2例に人工肛門造設が必要であった。膀胱膣瘻を5例に認め、そのうち1
例で尿路変更術が必要であった(以上室伏ら、2015年小線源部会発表)
。
以上のように、再照射と言えども晩期有害事象は必発というわけではなく、局所制御を得てQOLが改善している
症例も多い。それを踏まえて当院での実際の診療について紹介し、比較的良好に経過している症例・有害事象や非
制御で難渋している症例について数例紹介することで、治療に際する注意点などにも触れたい。
5月28日(金)16: 00 ∼ 17: 30
シンポジウム2 Status of prostate brachytherapy in Japan and in the World
Chair Jun Itami National Cancer Center
S1-1. Status of BT in Europe & its evolution
F. Guedea, C. Gutierrez, J. Pera, E. Martinez & S. Comas
Catalan Institute of Oncology (ICO). Barcelona. Spain.
Introduction: The practice of radiotherapy has never been more complex. The technological leap from the linear accelerators of the 1950s to today's
powerful machines has been nothing less than astounding, and advances have continued apace in the past decade as computers have become
ever more sophisticated. The result is that we are now able to deliver high-dose radiotherapy with remarkable precision using External Beam
Radiotherapy (EBRT) or Brachytherapy with High Dose rate (HDR-BT).
New technologies in HDR-BT: This technique offers numerous advantages including the ability to deliver highly conformal doses while sparing
surrounding healthy tissue, minimal adverse effects, excellent survival, and high quality of life post-treatment. Compared to EBRT, BT has the added
advantages of reduced treatment times, less acute toxicity, and fewer concerns over issues such a treatment setup uncertainty and organ motion.
Status of BT in Europe: Brachytherapy with HDR is widely used as a primary treatment in many locations. It will presented in this conference the
evolution of BT in Europe during a period of 5 years. This data will be compared with data of BT in USA.
New technologies in EBRT: One of the most exciting developments is the emergence of Stereotactic Body Radiotherapy (SBRT) which was originally
designed for the curative treatment of peripheral, small volume, medically-inoperable stage I NSCLC. In summary, SBRT consists in he accurate
delivery of highly conformal, high-dose radiation therapy to limited-volume targets in the body with High dose per fraction (> 7-10 Gy), single or
few fractions (1-5) in 1-1.5 wks, highly precise image-guided radiation delivery, and rapid dose fall-off gradients encompassing target. Surprisingly,
this definition is also the definition of HDR-BT.
Conclusion: HDR-BT and SBRT are complementary treatments, similar in definition, with excellent results through dose escalation while reducing
treatment-related morbidity. The available evidence suggests that certain treatments may offer improved tumor control (e.g., HDR BT for
Gynecology, SBRT for lung cancer, prostate BT), less toxicity (e.g., IMRT for H&N, I-125 prostate BT) and shortened treatment courses (e.g.,APBI,
Hypofractionation). All of these benefits may decrease the indirect costs of cancer care, including factors related to lost time and productivity.
23
S1-2. Prostate Brachytherapy Utilization in the United States: Recent Declines and Corrective
Strategies
Peter F. Orio, III
Dana-Farber/Brigham and Women s Cancer Center
Prostate brachytherapy remains one of the most effective and economically responsible treatment options for
prostate cancer. Despite its numerous advantages, prostate brachytherapy s utilization in the United States has
experienced a steady decline over the last decade. Factors associated with prostate brachytherapy s decreased
utilization will be explored, including public health policy and disparities of reimbursement, competing modalities
of treatment, training difficulties as well as corrective actions which are being taken to help reverse this negative
trend. Patient selection for prostate brachytherapy will be reviewed in the context of recent randomized data which
may increase utilization in both the intermediate and high risk setting. In addition, the socioeconomic cost of
biochemical failure will be discussed in terms of psychological, physical and financial costs to patients.
S1-3. Outcomes of Asian patients with localised prostate cancer treated with combined
intensity modulated radiation therapy and high dose rate brachytherapy ‒ a single
institution experience
Keith Lim
National University Hospital, Singapore
Purpose: Prostate cancer is on the rise in South-East Asia. This study aims to assess the feasibility and safety of implementing the American Brachytherapy Society (ABS)
task group recommendations for High Dose Rate Brachytherapy (HDR) which would allow a reduction in treatment time and radiation proctitis. Combined external
beam radiotherapy (EBRT) and high-dose rate (HDR) brachytherapy boost has demonstrated minimal toxicities and excellent disease control rate in observational and
randomized studies with predominantly Caucasian patients. We present the outcomes of patients treated at National University Hospital, Singapore.
Methods and Materials: From June 2009 to December 2013, 66 patients with localised prostate cancer received combined EBRT delivered via intensity modulated
radiotherapy (IMRT) technique followed by HDR brachytherapy boost. Patient records were retrieved using hospital database and analyzed. Outcomes evaluated
included 2 year biochemical recurrence free survival (according to Phoenix definition) and overall survival. Treatment toxicities were retrospectively scored by
Common Terminology Criteria for Adverse Events, version 4.0.
Results: The median age was 70 years (range 57 to 79 years). 5% (3/66) had low risk disease; 21% (14/66) had intermediate risk and 74% (49/66) had high risk
disease according to D amico risk stratification. All patients received IMRT to a total dose of 45Gy in 25 fractions to the whole pelvis and HDR brachytherapy
boost in one or two fractions. 54, 10 and 2 patients received a HDR brachytherapy boost of 21Gy in 2 fractions, 19Gy in 2 fractions and 15Gy in a single fraction
respectively. All patients met the planning criteria including V100prostate >90%, V75bladder/rectum <1 cm3, V125urethra < 1cm3 (adapted from RTOG 0815).
Mean V100GTV, V75rectum, V75bladder and V125urethra were 93.55%, 0.40cm3, 0.87cm3 and 0.28cm3 respectively. After median follow up of 42 months (range
13 to 64 months), 9% (6/66) developed biochemical failure, of which 4 had distant metastasis. 5% (3/66) developed grade 3 genitourinary toxicity (urethral stricture
and/or cystitis) and none developed grade 3 radiation proctitis. 2 years actuarial PSA control is 91.8%. 2 year cancer specific and overall survival is 100%.
Conclusion: Our outcomes are comparable to internationally published data. Patients who desire a shorter treatment course can consider this suitable treatment
option which is well tolerated and offers good disease control.
24
S1-4. Current Status of Prostate Brachytherapy in Japan
Atsunori Yorozu, Ryuichi Kota, Kazuhito Toya, Shiro Saito*
Radiation Oncology & Urology*, Tokyo Medical Center, Japan
Japan has a unique history for prostate radiotherapy. Yoshioka initiated HDR monotherapy in 1995. Then,
Hiratsuka started HDR combined with EBRT in 1997. Then, IMRT began, and finally permanent I-125 implant
brachytherapy (LDR). The technology has evolved in a different way from western countries. Last year, 4,000 cases
were treated with brachytherapy in Japan.
Three large trials of brachytherapy are running. The first was Nationwide Japanese Prostate Cancer Outcome Study
of Permanent Iodine-125 Seed Implantation (J-POPS), that enrolled 7,000 men between 2005 and 2010, 40% of
all cases in Japan. Seed and Hormone for Intermediate-risk Prostate Cancer (SHIP0804) is a phase III, multicenter,
randomized, controlled study that will investigate the impact of adjuvant ADT following neoadjuvant ADT and
seed implants. The study enrolled 420 patients between 2008 and 2011. The third one, Tri-Modality therapy with
I-125 brachytherapy, external beam radiation therapy, and short- or long-term hormone therapy for high-risk
localized prostate cancer (TRIP): study protocol for a phase III, multicenter, randomized, controlled trial enrolled
340 patients between 2009 and 2013. Trials of HDR: a multi-institutional prospective study of HDR combined with
EBRT finished, and a salvage HDR study for local recurrence after EBRT is ongoing now.
5月28日(土)10: 00 ∼ 11: 30
シンポジウム3 Brachytherapyの多施設研究の状況
座長 平塚純一 川崎医科大学放射線科(治療) 宇野 隆 千葉大学大学院 医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学
S1-1. 前立腺LDR小線源療法の多施設共同研究
斉藤史郎
国立病院機構東京医療センター 泌尿器科
前立腺癌に対するヨウ素125シード線源永久挿入密封小線源療法(シード治療)は日本では2003年に開始され、この13年間に
118施設において約35,000例の治療が行われた。治療の開始と同時に「前立腺癌密封小線源永久挿入治療研究会」が立ち上がり、
その研究会を中心に今までJ-POPS、SHIP、TRIPの3つの多施設共同研究が行われている。
J-POPSは日本におけるシード治療に関する前向きコホート研究であり、国内の全症例登録を目指して2005年7月から症例登録
が始まった。この大規模なデータベースから導かれるアウトカムは日本のシード治療の実態を表すものとなる。この研究のもう
一つの目的は施設毎のデータを全体と比較することにより、治療レベルの向上を図ることにある。登録は2010年末まで行われ、
それまでに治療を行った106施設のうち76施設が参加し7,348例が登録された。これはその時点での全国の症例数の40%に相当
する。
SHIPは中間リスク症例に対してホルモン療法を併用したシード治療単独での治療効果をみるものであり、ホルモン療法の期間
3 ヶ月と9 ヶ月での無作為2群比較になっている。2008年4月から3年間に421例が登録され、今年が5年目となり中間解析の時期
をむかえている。TRIPは高リスク症例に対するシード治療と外照射とホルモン療法の3者併用療法の効果をみるものであり、ホ
ルモン療法の期間6 ヶ月と30 ヶ月での無作為2群比較になっている。2010年10月から2年間に340例が登録され、現在経過観察
中である。高リスク症例は外照射治療においては長期のホルモン療法による治療効果の向上が確認されているが、シード治療の
ような高い線量の治療においても同様であるかを検閲する興味深い研究となっている。
これらの研究から見いだされるデータは今後のシード治療にとって重要な意味合いがあり、世界に発信されるものと考えてい
る。
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S1-2. 前立腺癌HDRにおける多施設研究と今後の課題
石山博條
北里大学医学部 放射線科学(放射線腫瘍学)
本邦における前立腺癌高線量率組織内照射(HDR)は約20年の歴史を持ち、研究活動も活発に行われてきた。放射
線生物学的に有利な一回大線量を安全に投与する技術的蓄積がある唯一の方法であり、将来の前立腺癌放射線治療
の中心的役割を担いうる。
しかし施設数が限られている事や線量や分割回数、内分泌療法のスケジュールなどにバリエーションが大きい事な
どから、その有効性・安全性の評価は単施設からの報告に限られ標準化がほとんど進んでいないのが現状である。
第一の課題として全国規模のデータを集積し、本邦における前立腺HDRの現状を把握する目的で昨年より小線源部
会、日本放射線腫瘍学研究機構(JROSG)
、日本医療研究開発機構革新的がん医療実用化研究事業伊丹班共同で前立
腺癌に対するHDR(monotherapyおよび外照射併用)の多施設共同遡及的研究を進めてきた。HDR導入施設の大半
からデータを収集することができ、本邦における前立腺HDRの現状を報告できると思われる。
第二の課題として、多施設共同の前向き試験の必要性があげられる。これまで本邦で行われた前立腺HDRに関す
る多施設共同試験は非常に限られており、報告があるのは主に安全性を評価した第II相試験(2012年)のみである。
進行中の試験としてHDRによるサルベージ療法があるが、その他に前向き試験は行われていない。
本シンポジウムでは多施設共同遡及的研究の結果の概要を発表するとともに、本邦の多施設研究の第一歩として報
告された第II相試験や現在進行中のサルベージHDRを踏まえ、今後の多施設研究について考察したい。
S1-3. 子宮頸癌腔内照射:2D治療計画から3D治療計画の移行期における多施設臨床試験デザイン上の
問題点
戸板孝文
琉球大学大学院医学研究科 放射線診断治療学講座
子宮頸癌の腔内照射は従来のA点処方を標準とした2次元治療計画(2D-ICBT)から、CT/MRIにより定義されたHRCTVに線量を処方する3次元治療計画(3D-IGBT)へ急速にシフトしつつある。これまで国内で実施された根治的放
射線治療(化学放射線療法)の臨床試験では、2D-ICBTのみが適用されてきた。近年3D-IGBTの臨床的有用性を示す
報告が集積し、今年4月からは保険収載の治療になった。このような状況で、我が国で今後計画される子宮頸癌の
臨床試験においては、3D-IGBTを試験治療にとりいれることはもはや不可欠と考えられる。2D-ICBTでは規定すべ
きパラメータも単純で限定したものであり、臨床試験におけるQA/QCは比較的容易であった。しかし、3D-IGBTで
はHR-CTVの囲い込みをはじめ、治療精度とばらつきをいかに管理するか、マニュアルやより具体的なQA/QCプロ
グラムの整備を早急に詰める必要がある。現在海外で実施中の試験の多くでは、2D-ICBTと3D-IGBTの両者がプロ
トコル治療として混在して許容されている。これらの試験では子宮頸部腫瘍への合計処方線量をA点線量とHR-CTV
のD90線量の両者で共通に規定しているが、治療結果(特に局所制御割合)の解釈が適正に行えるかどうか疑問があ
る。腔内照射に組織内照射を追加するHybrid-IGBTは、通常のIGBTではカバーできない不整形腫瘍例において大変
有望な治療法である。この適用を認めるかどうかも次の懸案事項である。子宮頸癌に対する臨床試験の多くは、根
治的CCRTにおける化学療法の種類や方法の違いを比較検討するものである。臨床試験結果の解釈を困難にさせな
いよう、臨床試験のデザインに十分な検討が必要と考える。
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S1-4. 子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の多施設共同研究
大野達也
群馬大学 放射線科
子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の良好な治療成績は、これまで単施設からの報告に限られていた。今
後レベルの高いエビデンスを発信するためには、多施設共同前向き研究は欠かせない。近年計画された、あるい
は既に登録中の臨床試験について紹介する。EMBRACE IIは、ウィーン医科大学を含むGEC-ESTROメンバーを中心
に主導され、後向き観察研究のretro EMBRACEや前向き臨床研究のEMBRACEの続編となる前向き臨床研究である。
HR-CTVのD90には85GyEQD2超の線量投与が目標であり、同時に、膀胱、直腸、S状結腸などの線量制約と遵守す
べき優先度が示されている。腫瘍とリスク臓器に対する線量コンプライアンスと局所制御、膀胱・直腸・腟等にお
けるGr2以上の有害事象がエンドポイントになっている。MRI画像による治療計画で、外部照射はIMRT+IGRTとなっ
ている。アジアでは、日本政府が主導するForum for Nuclear Cooperation in Asia (FNCA)の放射線治療プロジェク
トにおいて、これまでの過去3つの多施設共同臨床試験の結果に基づき、発展途上国を含む11か国による3次元画
像誘導小線源治療の臨床試験が計画されている。患者数が多く、CT画像が治療計画の中心であるアジア諸国の実情
に即したエビデンスの構築が期待される。EMBRACE試験との比較において、これまで国内では外部照射に中央遮
蔽が用いられていることやMRI画像の治療計画への導入困難な施設が多いことが指摘されてきた。我々が行ってい
る局所進行子宮頸癌に対する多施設共同前向き観察研究は、従来から行われている本邦の代表的治療スケジュール
を基盤とするプロトコールである。また、腔内照射+組織内照射のハイブリッド照射の前向き臨床研究プロトコー
ル
(伊丹班)
についても紹介する。
S1-5. Brachytherapy多施設研究:頭頸部・乳腺
吉村亮一
東京医科歯科大学 腫瘍放射線治療学分野
乳癌温存術後の放射線治療を小線源治療で加速部分照射として行うのに比較的簡便なアプリケータのStrut
Adjusted Volume Implant (SAVI)が日本でも使用可能となった。現在、このSAVIを用いた小線源治療の多施設共同
研究を計画している。RALS症例数が伸び悩む今日この頃、患者数の多い乳癌に小線源治療の灯火を向け、それも
難しい技術なく行えることは朗報と言えなくもないが、それだけに安全な使用の提唱が必要であろう。今回計画し
ている多施設共同研究は治療成績の評価を主目的としているが、安全な使用方法の確立とその普及にもあると考え
ている。
頭頸部癌、特に口腔癌の小線源治療の施行施設は著しく少ない。しかし、高齢化と個人の多岐な思考から、手術
ができない、あるいは手術を拒否する患者は少なくない。我々の施設にも電話での問い合わせが多いが、実際には
診察しなければ適応の判断もできず、しかし遠方から来院されて適応がないと判断せざる終えない時は心苦しさの
みが募る。低線量率線源、高線量率線源含めて、多施設共同研究を行うのも良いが、低線量率線源の治療そのもの
は歴史もあり、治療成績も評価されている。今後はより新しい技術や治療方法、計算ソフトなどの研究・開発を進
めなければならない。しかし、国内で施行可能な施設のネットワークを作り、インターネット上で仮想「口腔癌小
線源治療センター」を設立するなど、国内の小線源治療を希望する患者が自宅から一番近い病院を検索し受診でき
るようなシステムを作ることが先かもしれない。
27
5月28日(土)14: 00 ∼ 15: 30
シンポジウム4 安全で正確なBrachytherapyへの取り組み
座長 平田秀紀 聖マリア病院 放射線治療科 小泉雅彦 大阪大学大学院医学系研究科 保健学専攻
S1-1. 婦人科腫瘍腔内照射における鎮痛鎮静の重要性と課題
辻野佳世子、窪田 光、川口弘毅、松本葉子、太田陽介、副島俊典
兵庫県立がんセンター 放射線治療科
腔内照射は婦人科腫瘍特に子宮頸癌に対する根治的放射線治療に必須であるが、この普及を阻む要因のひとつに患者の疼痛・
苦痛を伴う治療であることがある。欧米・アジアを含めた国際調査では、全身麻酔・脊椎麻酔・意識下経静脈鎮静などの充分な
鎮痛鎮静下に腔内照射が行われている。しかし本邦では慣習的に鎮痛鎮静なしや坐薬程度の軽度の前処置のみで施行されてきた。
近年のインターネットによる患者からの情報発信や、厚労科研がん臨床研究石倉班で行った患者調査の結果などからも十分な患
者満足が得られていない現状が示されている。同研究班で行なった全国放射線腫瘍医対象調査では、近年鎮痛鎮静を行う施設が
増加傾向だがまだ少ないこと、強めの経静脈的鎮痛鎮静以上を実施している施設で担当医も十分な鎮痛鎮静を得られていると感
じていることが示された。鎮痛鎮静の必要性を感じていても、人員不足や安全性の不安のため導入できないとの意見も多かった。
当院では麻酔科の協力下に2008年から希望患者に全身麻酔(全麻)による鎮痛鎮静を行っている。tandem+ovoid A点処方の腔
内照射施行例を全麻施行群69症例218回と非施行群111症例408回で比較すると、全麻群の方が使用ovoidサイズがより大きく、
A点線量の左右差がより小さく、ICRU直腸点線量・膀胱点線量のA点線量に対する比率がより小さかった。全麻下鎮痛鎮静により
患者の安楽のみならず、アプリケーションの改善も得られることが示唆された。晩期有害事象を評価できた152例では、直腸G2
以上の2年累積発生率は全麻施行67例で1.5%、非施行85例で9.1%、膀胱G2以上はそれぞれ0%、6.2%と全麻施行例で少ない傾
向であった。
現在画像誘導小線源治療(IGBT)の導入が進んでおり、治療成績の向上が期待される反面治療時間の延長や組織内照射併用など
侵襲的要素の追加もあり、患者の苦痛軽減はIGBTの普及のためにも重要である。一方経静脈以上の鎮痛鎮静を行うことは常に呼
吸抑制など重篤な偶発症のリスクを伴い、実施体制を整え安全な鎮痛鎮静の導入が必要である。
S1-2. 腔内照射時の看護
森 貴子
自治医科大学附属病院 がん放射線療法看護認定看護師
子宮頸癌の根治的放射線治療では、外部照射と腔内照射の併用が必須である。腔内照射は腫瘍に集中した高線量
の照射ができるため治療効果が高く、近年の3次元画像誘導小線源治療の進歩によって、正常組織の線量低減と腫
瘍へ高線量、高精度の照射が可能となってきている。しかし、腔内照射は外部照射と異なり痛みを伴う治療である
ため、患者に強い恐怖心を抱かせることがある。また、腔内照射を受けた他の患者からの事前情報により過度の恐
怖心を抱き、治療への拒否反応を示す場合もある。
子宮頸癌腔内照射における鎮痛鎮静法についての全国調査や患者満足度調査の結果から、鎮痛鎮静の重要性が認
識され、近年経静脈鎮痛鎮静以上の方法を用いている施設は増加している。しかしながら依然として患者満足度が
高いとは言えない状況であることも明らかとなっている。疼痛や治療中の恐怖心の程度は鎮痛鎮静薬の強度との関
連性をみとめているため適切な薬剤調整は重要であるものの、薬剤での調整のみでは不十分であり、治療に対して
の抵抗感や治療中の姿勢、治療計画中の待機時間の不安への対応、治療スタッフを含めた治療環境についてなども
体制を整えていく必要がある。
看護師の役割としては、外部照射時からの継続した関わりの中で情報提供を行い、不安の軽減を図るとともに、
苦痛なく腔内照射も完遂するためのサポートを行っていく必要がある。また、治療時は、医師、技師、看護師多職
種で患者に関わることになる。入院患者であれば病棟スタッフとの連携も必要であり、治療部看護師は、患者の視
点での苦痛を把握し対応するとともにチーム内の調整役としての役割もある。
シンポジウムでは、苦痛なく安全な腔内照射実施に向けた方法について、当院での実践を踏まえ、多職種で情報
共有をしていきたい。
28
S1-3. 被ばく線量低減を含めてどのように線源位置を確認するべきか?
川村慎二
帝京大学 福岡医療技術学部
平成26年12月に日本医療機能評価機構から放射線治療の照射部位間違いに関連した事例が報告された。平成16
年10月から平成26年12月の期間に報告された内部照射に関連する報告は6件であり、発生した治療過程は「線源の
留置及び確認」が5件であった。これらの事故事例から、
事故事例からも線源配置に関するQAの重要性が示唆された。
平成27年9月には、厚生労働省医政局長通知(医政発0930第6号)が出され、放射線照射中の密封線源の位置
を確認する場合においても、エックス線 装置の使用を認められることとなった。これにともない、治療中に透視
装置を用いて線源位置を確認するQAを実施する施設が増加するものと考える。しかし、一方、治療実施中の透視
確認は患者被ばく線量の増加という新たな問題が発生することになる。
治療中の線源位置確認の方法として、透視撮影装置を用いた方法、3次元治療計画用CT装置を用いた方法、およ
びピンホールカメラ等の線源位置確認器具を用いた方法が考えられる。今回、それぞれの方法における、線源位置
確認用の画像収集とその特徴、および被ばく線量などを含む問題点・課題について報告する。透視による線源位置
確認ではフラットパネル検出器による透視画像では線源を確認することができたが、I.I.を用いた透視画像では線源
位置を確認することができなかった。CT装置では位置決め画像による線源描出は可能であったが、線源座標の精度
には問題が認められた。CT画像では線源によるアーチファクトの影響は認められるものの、金属アーチファクト低
減対策を実施することで線源描出は可能となった。ピンホールカメラはX線による追加被ばくはないものの、現時
点ではリアルタイムに線源位置を確認できないことが課題である。それぞれの利点欠点を理解し、臨床運用するこ
とが望まれる。
S1-4. モデルベース型線量計算アルゴリズムによる不均質補正を考慮した線量分布の変化と評価
花田剛士
慶應義塾大学医学部 放射線科学教室(治療)
近年,密封小線源治療の線量計算にモデルベース型線量計算アルゴリズム(MBDCAs)が,より高精度な線量計算
のアルゴリズムとして治療計画装置に導入されはじめ,外部放射線治療の線量計算で行われているような不均質物
質に対する適切な補正が可能になった.これは,様々な撮像技術から取得した医用画像を利用し,三次元体系の情
報を組み込んだ画像誘導密封小線源治療が促進され,線量投与するまでのデリバリー幇助型による高精度化が進ん
でいる中,その恩恵として,腫瘍に投与する線量の増加や正常組織に対する線量の低減を可能にし,密封小線源治
療の治療技術が新たな世代へと移行している昨今には,必要不可欠な技術発展である.しかし,従来の線量計算式
(TG-43U1計算式)では組み込まれなかった光子輸送の物理事象により,腫瘍に投与する処方線量や周囲の正常組織
への線量計算に臨床上無視できない計算誤差が生じる可能性がある.
現在,密封小線源治療の線量計算にMBDCAsを搭載した治療計画装置もある。しかし,治療計画や線量計算の状
況によっては,TG-43U1計算式による線量計算値との相違が大きくなるため,臨床導入や運用の際には十二分の注
意が必要となってくる。本講演では,放射線治療を安全に行い患者に投与される線量の精度を担保するため,計算
結果がどのように導き出されたものか,大要を知っておく事が望ましい事を考え,今後のために,MBDCAsによる
線量計算のアルゴリズムや特徴を理解する必要性を促し,簡単にMBDCAsの理論の概要を辿り,TG-43U1計算式の
よる線量分布の相違点や計算された(吸収)線量の評価法の注意点などを述べていきたい.
29
S1-5. 線量処方の不確かさ
岡本裕之、脇田明尚、中村哲志、西岡史絵、飯島康太郎、相川亜子、鈴木祐也、加藤 融、
阿部容久、伊丹 純
国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
本報告では,小線源治療の線量処方の不確かさについて述べる.はじめに,誤差と不確かさは明確に区別される.
誤差は,真の値が既知のときの測定値との差である.一方,多くの状況で真の値を知ることは不可能に近い.その
ため,真の値を基準とせず,測定値のばらつきやかたよりから,真の値が存在する一定の区間を推定し,測定値の
信頼性を評価する.この指標が不確かさとなる.小線源治療においても,投与された真の線量を知ることはできな
い.近年,GEC-ESTRO・AAPMは,文献調査を通して空気カーマ強度,治療計画,不均質の線量的影響,照射精度
(線源の機械的駆動精度),intra-/inter- fractionごとの不確かさを推定し,最終的な投与線量の不確かさを包括的に
まとめた(Kirisits C, Radiother Oncol, 2014)
.
線源の強さを表す空気カーマ強度にも不確かさが存在する.この不確かさは2次元, 3次元の双方の治療計画で影
響を及ぼす.線量計算に必要なデータは,水中に置かれた単一線源の線量分布をもとに構築されている.データは
テーブル形式となっており,補間により任意の位置の線量を導出している.この補間時に不確かさが生じる. 不
均質の影響は,近年モデルベースの線量計算アルゴリズムが開発され,特殊な条件下(皮膚表面,金属アプリケータ,
空気層など)で従来の計算と乖離が見られる.より正しい線量が計算できれば臨床データとの関連性を正確に表せ
る.線源の機械的駆動精度は,停留時間,停留位置の両方に影響を及ぼす.線源近傍を治療域に使用する場合には
この影響は増大する.アプリケータの固定精度の向上はintra-fractionの影響を抑えられる.一連の治療で一回の治
療計画より,治療ごとで治療計画を行うことによって,inter-fractionの影響を抑えられる.そのためには治療計画
装置の操作性の向上やカテーテルのずれ精度が評価できるツールの開発が求められる.ユーザは,上記不確かさを
把握し,最終的な投与線量における不確かさの低減に努める必要がある.
30
教育講演
E1. 密封小線源治療を支援する新たなテクノロジー
生島仁史
徳島大学大学院医歯薬学研究部 放射線治療学分野
American Brachytherapy Societyの2014年サーベイでは、子宮頸癌の密封小線源治療において95%の施設がCTに
よるIGBTを行っており、MRI使用も2007年の2%から34%に増加している。本邦では2012年の時点で84%の施設
がX線写真を使用しており、CTは15%にすぎなかった。しかし、2016年2月に行った我々の調査結果では、RALS
設置160施設のうち34 施設(21%)が同室CTを導入しており、CT使用は増加している。さらに、同室にCTを設置す
ることが不可能な施設に対しては、既存のCT室への搬送を支援するため、支脚器や免荷機能を有する専用搬送シ
ステムが開発されている。また、Cone beam CTが撮影できる透視装置は、適切な条件設定や前処置に加え、金属
アーチファクト除去ソフトウェアの追加により濃度分解能の低さを補うことで3次元治療計画に利用できる。この
場合、アプリケータ挿入後、体位を変えず撮像できる利点がある。ソフト面でIGBT普及への寄与が期待されるもの
にimage registration機能を有する放射線治療計画支援装置がある。現在本邦で市販されているIR装置は6機種あり、
2016年2月時点で140施設に導入されている。IR装置はMRIやPETに基づくターゲット設定を支援するだけでなく、
外部放射線治療と合算した統合線量評価も行える。また2機種では物理線量の加算だけではなくEQD2を用いた生物
学的線量の加算評価が可能であり、さらに1機種は125-I永久挿入療法にも対応している。従来できなかった外部照
射との統合線量評価は、密封小線源治療計画の適正化に寄与することが期待される。
IGBT普及にはハード・ソフト両面からの技術支援が必要である。本講演では、新たなテクノロジーを概説し、今
後本邦で密封小線源治療の均霑化・効率化を進める方法について提案したい。
E2. 腔内、ハイブリッド、組織内の棲み分け
吉田 謙
大阪医科大学 放射線医学教室
子宮頸癌に対する小線源治療に画像誘導が導入され、嬉しい悩みではあるがいくつかの問題が起こっていること
が予測される。そのうちの一つがモダリティーの選択である。今まで3Dの情報がなかったため、腔内照射を選ぶ
ことに抵抗がなかった小線源腫瘍医も、3Dの線量分布を見て絶句する方がいらっしゃるのではないか。また、組
織内照射を行ってきた小線源腫瘍医も、Pötterらの腔内組織内照射(本邦ではハイブリッドと一般的に言われてい
る)の治療成績を見て、組織内照射がオーバートリートメントになっている可能性を考え始めた方もいらっしゃる
のではないか。今回、2年前より小線源治療部会で既に報告しているが、モデル実験を用いた結果から考えられる
モダリティーの選択法について報告する。
また、そもそも「ハイブリッド」とは何なのか。腔内照射の何と、組織内照射の何がミックスされているからハイ
ブリットと呼べるのか。その定義は少なくとも本邦においてはっきりしたものはない。例えば、APBIについては、
MammoSiteアプリケータのシンプルさと再現性、Multicatheter組織内照射のカスタマイズと線量のフレキシビリ
ティーをミックスしたものをSAVIなどのハイブリッドアプリケータと呼んでいる。子宮頸癌の場合は、APBIと異
なり連日か週1回か等の分割スケジュールの問題もあるため、少し複雑になる。今回、便宜上「腔内照射アプリケー
タに加えて外来通院も可能な程度の麻酔で数本(シンプル?)の組織内刺入を併用し、画像誘導で治療計画(カスタ
マイズ?)を立て、かつ、連日ではない分割スケジュールで照射したもの」をハイブリッド照射とみなして、当院で
の初期経験を報告する。
31
E3. 小線源治療物理と品質管理
熊 祐、平井隆太
埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科
小線源治療は外部照射よりもエネルギーが小さい
(Ir-192: 380 keV, I-125: 28 keV)
放射線源を腫瘍内/近傍に設置
し体内から近接照射するため、距離の逆2乗則の影響が大きく腫瘍に限局した比較的急峻な線量分布を得ることが
可能である。空間線量分布がよいために1回大線量小分割の治療が可能であり抗腫瘍効果が大きい利点がある。使
用する放射線源はラジオアイソト−プ(RadioIsotope:RI)であり、不安定な原子核が放射線を放出しながら安定な状
態へと壊変していき、小線源治療はこの放射線を治療に利用するものである。小線源治療での線量分布を決定する
主なパラメータは線源強度、線源停止時間と線源位置であるため、適切な線源強度測定、治療計画での最適化、線
源位置の担保が重要となる。線源強度測定に関しては、国内の国家標準の整備が進み、I-125だけでなくIr-192に
対する線量計の校正定数としてICRU Report 72における1mにおける空気カーマ率が与えられるようになった。密
封小線源の線源強度はメーカーのCertificationから得られるが、ユーザー自身が適切な線源強度測定を行うことに
より線量を担保する必要がある。また、線源位置に関して、小線源治療は臓器の動きの影響をあまり受けずに標的
に対して正確に照射可能であるため照射位置精度の不確かさは小さいが、線源自体の停止位置を保証しなければ、
誤った治療となってしまう。こちらも最低限ユーザーが保証すべきことである。治療計画では線量計算、最適化手
法を理解した上で使用すべきものであり、今後は不均質補正を行う新しい線量計算アルゴリズムにも対応していか
なければならない。本講演では現在の小線源治療に必要な小線源治療物理と品質管理ついて述べる。
32
一般演題
5月27日(金)13: 10 ∼ 13: 50
一般演題1 前立腺LDR
座長 戸矢和仁 国際医療福祉大学三田病院 放射線治療科
S1-1. ready linkを用いた前立腺癌小線源治療のdose volume histogram
鶴貝雄一郎1)、松島 常2)
東京警察病院 放射線科・大船中央病院 放射線治療センター 1)、東京警察病院 泌尿器科2)
目的:当院では2013年2月より全例ready link®(メディコン社)で小線源治療を施行している。2014年の小線源治
療部会においてready link使用 32例でのDVHを調査し、術中プラン法に劣らないことを報告した。今回、導入から
3年が経過したためready linkを用いた小線源治療でのDVHを評価した。
方法:2009年9月から2016年1月の間に同一の放射線腫瘍医が担当した280例(loose seed群143例、ready link群
137例)を対象とした。小線源治療単独例(処方線量145Gy)と外照射併用例(処方線量110Gy)を合わせて評価する
ため前立腺D90と尿道D30は処方線量を100%とした%換算でDVHを比較した。
結果:loose seed群とready link群でポストプランの各パラメーターの中央値(25%, 75%タイル)はそれぞれ前立
腺D90:118%(109, 127) vs 116% (108, 123), p=0.17、V100:96.3% (93.8, 97.9) vs 96.2% (93.6, 98.1), p=0.67、
V150:69.1% (58.6, 77.7) vs 61.8% (53.1, 69.0), p<0.001、尿道D30:145% (133, 157) vs 136% (123, 147),p<0.001、
直腸V100:0.38cc (0.14, 0.91) vs 0.22cc(0.05, 0.48), p<0.001と、前立腺D90と前立腺V100に有意差はなかったが、
前立腺V150、尿道D30、直腸V100はready link群で有意に低かった。
結語: loose seed群に比べてready link群のDVHは劣らず、術前プラン法でも問題なかった。発表時には手術時間の
比較も含めて報告する。
2. 前立腺小線源治療の術後計算に及ぼす前立腺体積の影響:JPOPS Cohort study
青木 学1)、萬 篤憲2)、大橋俊夫3)、片山敬久4)、土器屋卓志5)、中村和正6)、斉藤史郎2)、
古賀寛史7)、伊藤一人8)、田中宣道9)、仲野正博10)、沖原宏治11)、山中栄壽12)、
小島伸介13)、山城浩一13)、菊池 隆13)、福島雅典13)
東京慈恵会医科大学 放射線医学講座1)、国立病院機構東京医療センター 放射線科2)
慶応義塾大学 放射線科3)、岡山大学 放射線科4)、杏雲堂病院 放射線科5)
浜松医科大学 放射線腫瘍学講座6)、原三信病院 泌尿器科7)、群馬大学 泌尿器科8)
奈良県立医科大学 泌尿器科9)、岐阜大学 泌尿器科10)、京都府立医科大学 泌尿器科11)
黒沢病院 泌尿器科12)、TRI13)
目的:前向きに登録されたJ-POPS大規模レジストリデータを用い,前立腺体積の術後計算に及ぼす影響を検討した.
対象と方法: 対象は2005年7月∼ 2007年6月にJ-POPSに登録された患者2,339人のうち、2,316人(小線源治療単独例LDR;1,773例,外部照射併用
例Comb;543人).前立腺体積V(mL)はLDRおよびCombを5グループ(V<15,15≦V<25,25≦V<35,35≦V<45,45≦V)に層別化して解析した.
体 積 の 内 訳 はV<15(LDR / Comb;99 / 56人),15≦V<25(LDR / Comb;681 / 239人),25≦V<35(LDR / Comb;715 / 201人),35≦
V<45(LDR / Comb; 232 / 37人),45≦V(LDR / Comb;35 / 9人)であった.術後計算パラメーターはD90,V100,V150,U-D5,U-D90,
R-100.それぞれの前立腺体積グループにおける術後計算パラメーターを解析し,体積グループ間における調整P値を算出し前立腺体積との関係を解
析した.
結果:小線源単独においては15≦V<25,25≦V<35,35≦V<45で術後計算パラメーターの値が良好であった. D90では,V<15 vs. 15≦V<25,
V<15 vs. 25≦V<35,V<15 vs. 35≦V<45の調整P値はそれぞれ,P=0.0059,<0.001,<0.001となりいずれも有意差を認めた.一方外部照射併用に
おいては,前立腺体積とD90やV150との間に有意な関係は認めなかった.尿道線量(U-D5,U-D90)及び直腸線量(R-100)に関しては,概ね前立腺
体積との関係は乏しかった.
結論:小線源治療単独においては,前立腺体積が15mL未満や45mL以上の場合には治療のqualityが低下する可能性がある.
33
3. 限局性前立腺癌に対するI-125シード線源永久挿入療法後の局所再発の検討
公田龍一1)、萬 篤憲1)、高川佳明1)、白石 悠3)、戸矢和仁4)、中村 憲2)、矢木康人2)、
西山 徹2)、斉藤史郎2)
国立病院機構東京医療センター 放射線科1)、国立病院機構東京医療センター 泌尿器科2)
慶應義塾大学 医学部 放射線治療科3)、国際医療福祉大学三田病院 放射線治療科4)
【目的】生化学再発に占める局所再発の頻度を経会陰的マッピング生検により病理学的に決定し、局所再発に寄与する因子
を探索する
【材料と方法】2003年から2011年までに当院でI-125シード線源永久挿入単独療法を施行された985例を後方視的に解析し、
再発形式を調査した。I-125シード線源永久挿入単独療法の処方線量は145Gyで、線源挿入後1 ヶ月に線量評価用CTを撮像
し線量評価を行った。生化学再発はPhoenixの定義(PSA nadir + 2ng/mL)に従って判定を行った。生化学再発と判定された
場合は全身CT、骨シンチ、PET-CTを施行し、局所再発は経会陰的マッピング生検により病理学的に判定した。
【結果】985例のNCCIリスク分類の内訳は低リスク群597名、中リスク群384名、高リスク群4名であった。384例(39%)で
術前短期補助内分泌療法が施行された。生検コア数は最小値8、最大値50、中央値で38本であった。経過観察期間中央値7
年において985例中41例(4.2%)で生化学再発を認め、その内34例(83%)で経会陰的マッピング生検が実施された。34例中
19例が陽性、15例は陰性であった。再発部位の内訳は前立腺局所のみ:15例、精嚢:2例、前立腺と骨盤リンパ節:2例であった。
シード線源永久挿入から生化学再発までの期間は中央値で4年、シード線源永久挿入から最終生検までの期間は中央値5年
(2.4-11年)、経会陰的マッピング生検実施時PSA値は中央値で3.3ng/mLであった。PSA倍加時間は中央値10 ヶ月(2-27 ヶ
月)であった。治療前の陽性コア率は経会陰的マッピング生検陽性群34%に対して陰性群が22%(p=0.042)であった。前立
腺D90の中央値は経会陰的マッピング生検陽性群が169Gy、生検陰性群が188Gy(p<0.01)であった。
【結論】テンプレート生検により985例中19例(1.9%)の局所再発が確認された。全生化学再発に対する局所再発の割合は
46%であった。前立腺D90と陽性コア率は生化学再発における局所再発の予測因子となり得た。一方で生化学再発の約1/3
に相当する12例では再発部位を同定できず、これらの再発形式を同定するにはさらなる経過観察期間が必要と思われる。
4. ブラキセラピー後の局所再発に対する前立腺凍結療法の初期経験
三木健太1)、木村章嗣1)、頴川 晋1)、堤 由希2)、青木 学2)
東京慈恵会医科大学 泌尿器科1)、東京慈恵会医科大学 放射線科2)
【目的】放射線治療後局所再発した前立腺癌2例に対し救済凍結療法を行ったので、その初期経験を報告する。尚、
前立腺癌に対する凍結療法は現時点では保険診療の範囲内ではないので、院内の倫理委員会に申請し、院内の先
進医療として、治療している。【症例1】74歳。H16年小線源治療(PSA13.8 2/8本 GS3+3=6)
。4年後にPSA0.51
(最低値)まで下降するもその後上昇、H26 年にPSA3.02 ng/mL。MRIで再発を疑い、経会陰生検で、2/22本
にGS4+3=7を 認 め たH27年10月 に 救 済 凍 結 治 療 を 行 っ た。
【 症 例2】81歳。H16年 小 線 源 治 療(PSA7.9 1/6本
GS3+3=6)
。3年後にPSA0.78まで下降するもその後再上昇し、H23年救済小線源治療。1年後にPSA0.22まで下降
するもその後再々上昇し、PSA3.63の時点でMRIを行い、同じく経会陰生検3/24本にGS4+5=9を認めた。H27年11
月に本治療を行った。【方法】全麻下、切石位。経直腸超音波で前立腺を描出し、テンプレートを通して経会陰的に
凍結用の17G針と温度センサー針をそれぞれ2-3 ヶ所穿刺した。温暖水還流の尿道カテーテルも挿入した後、超音
波画面でリアルタイムにアイスボールをモニターしながらアルゴンガスで凍結し、自然解凍。さらに同ガスで2回
目の凍結、最後にヘリウムガスで積極解凍を行った。各針で2サイクルの凍結を行った。凍結は前立腺の病変部を
中心に局所的に行った。治療後はすべての針を抜去し、カテーテルを通常のフォーリーに入れ替え終了した。翌々
日にカテーテルを抜去し退院した。
34
5月27日(金)14: 00 ∼ 14: 50
一般演題2 前立腺HDR、その他
座長 青木 学 東京慈恵会医科大学 放射線医学講座
S1-5. 前立腺がんに対する高線量率組織内照射療法の治療成績
牧野壮壱1)、鈴木賢次郎2)、安水洋太2)、平井隆太1)、熊崎 祐1)、岡崎祥平1)、宮沢一成1)、
小山政史2)、加藤真吾1)
埼玉医科大学 国際医療センター 放射線腫瘍科1)
埼玉医科大学 国際医療センター 泌尿器腫瘍科2)
【目的】中・高リスク前立腺癌に対する外部照射併用高線量率組織内照射の治療成績を遡及的に解析し、安全性と有
効性を評価した。
【対象と方法】2007年6月から2013年12月に限局性前立腺癌と診断され外部照射併用高線量率組織内照射を施行さ
れた316症例を対象とした。年齢は50歳∼ 86歳(中央値71歳)
。D Amicoリスク分類で中リスク群は141例、高リ
スク群は175例であった。放射線治療は、原則として前立腺および近位精嚢に対して39 Gy/13回/2.5週の外部照射
を行い、1 ∼ 2週以内に術中計画法にて192Irによる18 Gy/2回/日の高線量率組織内照射を行った。内分泌療法は
原則として放射線治療前の3 ∼ 6か月間に行った。下部尿路及び直腸の遅発性有害事象をCTCAE ver.4.0を用いて
評価し、累積発生率を検討した。有効性は生化学的無再発生存率で評価した。
【結果】観察期間の中央値は60.1か月(6.0か月∼ 103.4か月)であった。照射後3 ヶ月以降から5年までのG2以上の
晩期有害事象発生率は下部尿路で14.2%、直腸で3.2%であった。G3の晩期有害事象発生率は下部尿路で3.2%、直
腸では存在しなかった。G4以上の有害事象の発生例はなかった。5年生化学的無再発生存率は中リスク群 95.7%。
高リスク群で 78.1%であった(p=0.00)
。
【結論】本治療における直腸の遅発性有害事象は他の治療方法と比較して低く、下部尿路に関しても許容範囲内で
あった。治療成績も他の治療方法と比較しても良好と考えられた。
S1-6. 前立腺癌に対する外照射を併用した高線量率組織内照射療法の多施設共同遡及的観察研究
石山博條1)、神谷伸彦2)、河村英将3)、加藤眞吾4)、青木 学5)、刈谷真爾6)、海津元樹7)、
吉田 謙8)、橋本弥一郎9)、野田泰孝10)、Keith Lim11)、川瀬貴嗣12)、髙橋健夫13)、稲葉浩二14)、
伊丹 純14)、平塚純一2)、中村和正15)、早川和重1)
北里大学医学部 放射線科学(放射線腫瘍学)1)、川崎医科大学 放射線科(治療)2)
群馬大学大学院腫瘍放射線学3)、埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科4)
東京慈恵医科大学 放射線医学講座5)、高知大学医学部附属病院 放射線部6)
新潟大学医歯学総合病院 放射線治療科7)、大阪医科大学 放射線医学教室8)
東京女子医科大学 放射線腫瘍科9)、和歌山県立医科大学 放射線医学教室10)
National University Cancer Institute, Singapore11)、国立国際医療研究センター病院 放射線治療科12)
埼玉医科大学総合医療センター 放射線腫瘍科13)、国立がん研究センター中央病院 放射線治療科14)
浜松医科大学医学部 放射線腫瘍学講座15)
目的:前立腺癌に対する外照射を併用した高線量率組織内照射療法(HDR)の治療成績について全国規模の調査報告を行う。
対象・方法:日本およびシンガポールの14施設にて外照射併用HDRで治療された限局性前立腺癌患者3,174例を対象とした。生化学的非再発生存率(bDFS)、臨床的非
再発生存率(cDFS), 全生存率(OS)および有害事象発生率について検討した。生化学的再発はPhoenixの定義を用いた。多変量解析を用いて各々の危険因子を解析した。
結果:経過観察期間中央値は67 ヶ月(1-205 ヶ月)であった。年齢中央値は70歳(47-96歳)、低リスク139例、中間リスク933例、高リスク1858例、超高リスク243例、
不明1例であった。bDFSは5年87.3%、10年72.9%であった。cDFSは5年92.1%、10年81.8%、OSは5年95.9%、10年86.3%であった。
bDFSの予後悪化因子として高リスクカテゴリー、アジュバント内分泌療法(Adj.ADT)省略、照射直前PSA高値、生物学的等価線量(BED)低値が示された。同様にcDFS
では高リスクカテゴリー、Adj.ADT省略、高齢、OSでは高リスクカテゴリー、Adj.ADT省略、高齢が示された(いずれもp<0.01)。
晩期有害事象の累積発生頻度は尿道グレード2以上が5年18.2%、10年28.8%。グレード3以上は5年5.4%、10年11.3%であった。直腸グレード2以上は5年3.2%、10
年4.1%、グレード3以上は5年0.4%、10年0.5%であった。
危険因子として尿道グレード2以上はAdj.ADT省略、直腸グレード2以上は治療前PSA高値、Adj.ADT省略が示された。
結論:日本およびシンガポールにおける外照射併用HDRの成績を報告した。本方法の有効性と安全性が示された。当日はさらに詳細な解析結果を報告す
35
7. 当院におけるホルモン再燃前立腺癌に対する外照射を併用した高線量率組織内照射療法の
治療成績
小西 圭、神谷伸彦、釋舍竜司、余田栄作、平塚純一
川崎医科大学 放射線医学(治療)
1997年から2013年の間に当院にて外照射を併用した高線量率組織内照射療法を実施したホルモン再燃前立腺癌患
者のうち、2年以上経過観察を行った41症例について治療成績の検討を行った。
当科紹介時の年齢中央値は74歳(61-82)であった。T因子の内訳はT4:T3:T2:T1=4:23:13:1、診断時N1およびM1の
症例はそれぞれ3例および1例であった。iPSAの中央値は22.8(4.1-1990)でグリソンスコアの中央値は7(4-10)であっ
た。LHRHアゴニスト単独14例、ビカルタミド単独1例およびMAB26例によるホルモン療法後の再燃例で、ホルモ
ン療法期間の中央値は30 ヶ月(3-72)であった。RT56Gy後LHRHアゴニスト61 ヶ月後の1例とRRP後MAB36 ヶ月後
の1例が含まれる。放射線治療は16.5-26Gy/2-4fx.のHDR-BTと36.8-45Gy/13-25fx.の局所ないし小骨盤領域への外
照射を併用した。観察期間の中央値は49 ヶ月(14-152)で、5年全生存率は62.1%、5年疾患特異的生存率は67.4%で
あった(原病死13例)。40例で当院RT後にPSA低下を認め、PSA再々発までの期間の中央値は41症例中25例で17 ヶ
月(2-69)であった。またN1およびM1症例を除いた37症例でのPSA無再発生存率は3年、5年でそれぞれ79.5%、
53.5%であった。
8. 当院における前立腺癌術後吻合部再発に対する外照射併用尿道腔内照射の成績
神谷伸彦、小西 圭、釋舎竜司、余田栄作、平塚純一
川崎医科大学 放射線科(治療)
前立腺全摘後の吻合部再発に対し当院で施行した外照射併用尿道腔内照射(以下RT)の治療成績について報告する。
対象は当院で前立腺全摘術(RP)を受け、2002年1月∼ 2009年月に照射された12例である。病理で尿道吻合部断
端の陽性を10例に認め、うち1例が術後RTを施行された。9例はPSA followされ、後に救済治療としてRTを施行し
た。2例は断端陰性であったが、後に吻合部再発と診断された。年齢は中央値67.5歳、観察期間は中央値11年(4.314.0)
、iPSA 4.2-44 ng/ml、GS 7:8 = 9:3、pT 2a:2b:3a = 2:4:6、いずれも腺癌でpN0だった。RPからRT
開始までの期間は中央値386.5日(74-2090)
、RT開始前のPSA値は中央値0.165 ng/ml(0.09-0.78)だった。腔内
照射は尿道粘膜下3mmを処方点とし線量は13Gy/2F-24Gy/4F、外照射は30Gy/15F-44/22Fだった。死亡は1例(他
病死)のみであった。術後再発のRT後の再々発の定義はない。今回、RT後に再々発と診断されホルモン療法が開始
された症例は4例あった。それぞれ臨床的に判断されており、再発の基準としたPSA値も規定されていなかった。2
例がPSA <1.0でホルモン療法が開始されていた。非再発と判断された症例の中にはPSA<1で推移している症例も少
なくない。そのため、PSA 1.0ng/mlを今回の再発基準とした場合、PSA<1.0でホルモン療法が開始された2例を除
いた10例では、3例がPSA>1.0となりうち2例がその後もPSA上昇しホルモン療法を要した。PSA 1.0を再発の基準
とした場合では、5年 90%、10年 78.8%となる。症例数は少ないが、PSA<1.0で推移する症例が多かった。有害事
象は、急性期で尿道炎や頻尿を認める程度であり、G3以上は認めなかった。晩期ではGrade 3の尿道狭窄と膀胱タ
ンポナーデを各1例認めたが繰り返すことはなかった。尿道吻合部再発に対する尿道腔内照射は安全に行うことが
でき、治療選択の一つとしてその有効性が期待できる。
36
S1-9. 体表から容易にアプローチできる転移病巣に対する緩和治療の意義としてのHDR
稲葉浩二、土田圭祐、柏原大朗、小林和馬、原田 堅、梅澤 玲、高橋加奈、村上直也、
伊藤芳紀、井垣 浩、伊丹 純
国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院 放射線治療科
目的:体表から容易にアプローチできる転移病巣が出る状況では、多くの場合、緩和的に外部照射にて緩和線量の投与が行われるが、緩和線量では病変の縮小
が見込めることは少なく、いずれ病変が増大して再度症状を引き起こすことが臨床ではしばしば経験される。当院での体表から容易にアプローチできる転移病
巣に対してHDRを施行した症例について検討してその意義を探る。
方法:当院で体表から容易にアプローチできる転移病巣に対するHDRを施行した症例をretrospectiveに検討した。対象症例は5例であった。
結果:① 59歳男性、頬部皮下の転移したepithelioid hemangioendotheliomaで大きさ18 mm×12 mm、5Frプラスチックニードルを3本用いて、HDRを6 Gy×9
frで施行。
② 62歳男性、食道がんの腋窩リンパ節転移で大きさ46 mm×36 mmと27 mm×25 mmの2病変を5Frプラスチックニードル6本と3本で12 Gy×1 frでHDR施行。
引き続いて外部照射を37.5 Gy×15 frで施行した。
③ 70歳男性、oligodendrogliomaの腹壁転移で大きさ49 mm×41 mmで1.5 mm径の金属針1本で20 Gy×1 frのHDRを施行。
④ 74歳女性、膀胱がんの腹壁転移の大きさ36 mm×20 mmで5Frプラスチックニードル8本を用いて6 Gy×6 frでHDRを施行。引き続いて20 Gy×10 frの外部
照射を施行した。
⑤ 79歳女性、頭頸部がんの腋窩リンパ節転移で大きさ32 mm×26 mmであった。5Frプラスチックニードル6本を用いて15 Gy×1 frのHDRを施行した。
2例に局所のCRが得られ、3例はSDであった。重篤な有害事象は生じなかった。
考察:体表から容易にアプローチできる転移病巣に対して緩和照射3 Gy×10 fr程度の外部照射が施行されることが多いが、病変の縮小が得らえることは少なく、
時間の経過とともに病変の増大と症状の再出現が起こることが多い。本治療法の利点は、1点目はHDRを用いることで短期間で照射が終了することである。2
点目は高線量の投与が可能なことによりCRに持ち込むことも可能であることである。
結論:容易にアプローチできる部位には緩和照射であってもHDRを用いることのメリットは大きいと考えられた。
5月27日(金)15: 00 ∼ 15: 50
一般演題3 口腔、気管支
座長 大賀才路 九州大学病院 放射線科
10. 口腔癌に対する高線量率モールド照射の初期経験
木元拓也1)、増井浩二1)、鈴木 弦1)、内藤昌幸2)、金村成智2)、山崎秀哉1)、山田 惠1)
京都府立医科大学 放射線科1)、京都府立医科大学 歯科2)
【背景・目的】
当院では口腔内モールド照射を行う際に、歯科に協力をお願いし、各症例に合わせたカスタマイズモールドを作成し、
照射後のフォローも共同で行っている。当院での高線量率モールド照射の初期経験について報告する。
【対象・方法】
対象は2015年7月∼ 2016年3月に治療した3症例(硬口蓋癌2例いずれもT2N0M0、口腔底癌1例 T2N1M0)。
歯科診察後、数日∼ 1週間程度で試作の型が作成され、調整を含め1 ∼ 2週間後でモールドが完成し、照射を開始できた。
カスタマイズモールドにはFlexible tube Blind-end (ELEKTA社)を5-7mm間隔で配置した。使用したチューブ本数は3-10
本であった。
モールド照射の線量分割としては48-54Gy / 8-9回で、照射は1日1回を連日(土日を除く)行った。2例において外部照
射を併用し、1例では組織内照射を併用した。
【結果】
全症例において安全かつ簡便に治療を完遂できた。一次効果はいずれもCRであった。
また有害事象として、全例にGrade2の口腔粘膜炎を認めた。特に、硬口蓋癌の2例においては経口摂取に問題が生じたが、
モールド作成と同様、歯科にてプロテクターを作成し、粘膜炎部を保護することで経口摂取が継続して可能であった。
【結論】
カスタマイズモールドを使用することで簡便に照射が可能であった。
モールド作成および照射後の有害事象のケアに関して歯科との協力は重要であると考える。
37
11. 進行舌癌に対する動注化学放射線治療 + 画像誘導組織内照射boostの経験
増井浩二1)、古妻理之2)、吉田 謙4)、秋山広徳5)、有家 巧3)、田中英一2)
京都府立医科大学 放射線診断治療学講座1)、国立病院機構大阪医療センター 放射線治療科2)
国立病院機構大阪医療センター 口腔外科3)、大阪医科大学 放射線治療科4)
大阪歯科大学 歯科放射線学講座5)
【背景・目的】
進行舌癌の治療戦略としては手術が標準治療だが、患者に高度な侵襲と機能低下をもたらしてしまうことが問題と
なる。また化学放射線治療も選択肢として上げられるが、局所再発が多いことが知られている。そこで局所制御の
向上を目的として、動注化学放射線治療およびboost照射として画像誘導組織内照射を行った。
【対象・方法】
症例は60代女性。徐々に増悪する数年来の齲歯と舌の接触による疼痛を主訴に来院され、精査にて進行舌癌
(cT4aN0M0 SqCC)
と診断された。手術困難と判断され、動注化学放射線治療の方針となった。
動注は浅側頭動脈からの逆行性カテーテル留置により行い、薬剤はCDDP+TXTを使用した。外部照射は原発巣およ
び予防領域に対して40Gy/20fr を施行した。動注化学放射線治療終了から2週間後に、残存する原発巣に対してア
プリケータ留置を行い、組織内照射を開始した。組織内照射は42Gy/7fr を1日2回、照射間隔を6時間以上開けて
施行した。
【結果】
治療後20 ヶ月を経過した現在も局所CRを維持しているが、経過中にGrade3以上の有害事象(粘膜炎・骨髄炎など)
が出現した。
当症例の治療経過を画像とともに供覧しつつ粘膜炎など副作用の推移や特徴について解説する。
12. 舌背部舌癌に対する高線量率組織内照射の治療経験
柿本直也1,2)、村上秀明1,2)、岩本悠里1)、辻本友美1)、島本博彰1)、大久保裕史2)、小田倫生2)、
鈴木 修3)、礒橋文明2)、吉岡靖生2)、小川和彦2)
大阪大学大学院歯学研究科歯科放射線学教室1)
大阪大学大学院医学系研究科放射線治療学講座2)
大阪大学大学院医学系研究科重粒子線治療学講座3)
舌癌に対する高線量率組織内照射では、顎下部から口腔へのアプリケータの挿入を主として行ってきた。今回、
舌背部に薄く広範に存在する舌癌に対し、舌背に平行に、舌尖から有郭乳頭方向へアプリケータを挿入する方法で
組織内照射を行い、良好な経過を得ている症例について報告する。
患者は50歳男性。舌背部舌癌に対するセカンドオピニオン目的で来院した。約4年前に舌および口唇の多発性ア
フタならびに白色病変を主訴に近医を受診し、病理組織検査にてnonspecific inflammatory changeの診断を得たが、
白色病変に著変なく経過観察された。その後、再度病理組織検査を施行するも悪性所見は得られなかった。約半年
前に再度病理組織検査を施行し、Oral epithelial dysplasiaと診断され、切除を勧められるも経過観察され、2 ヶ月
前の病理組織検査にてSquamous cell carcinomaの診断を得た。同病院にて手術予定もセカンドオピニオンを希望さ
れ来院した。初診時、舌背部に大きさ50×35×3㎜の舌背部全面にわたる白色病変を認め、全体にやや硬結を触れ
た。後方は有郭乳頭には達しなかった。頸部リンパ節に腫瘍性腫大を触知せず、PET検査にて遠隔転移も認めなかっ
たためcT3N0M0と診断された。顎下部からの刺入ではアプリケータの本数が20本以上となり両側顎下部からのア
プローチが必要となり、疼痛や浮腫のコントロールが困難と考えられたため、舌尖から有郭乳頭方向へのアプリケー
タ刺入を行った。照射線量は60Gy/10frとした。照射領域から障害発生部位として上顎骨と口蓋粘膜が考えられた
ため、口蓋部に鉛入りスペーサを照射時に装着した。治療後1年4 ヶ月が経過したが、腫瘍再発は認められず、頸
部リンパ節転移も認めない。また、味覚もほぼ回復し、発語に問題無く、社会復帰している。
38
13. 可動部舌癌に対する高線量率組織内照射法の検討
秋山広徳1)、吉田 謙2)、古妻理之3)、増井浩二4)、山崎秀哉4)、田中英一3)、有家 巧5)、
蒲生祥子1)、清水谷公成1)
大阪歯科大学 歯科放射線学講座1)、大阪医科大学 放射線治療科2)
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 放射線治療科3)
京都府立医科大学大学院放射線診断治療学講座4)
独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 口腔外科5)
【目的】可動部舌癌に対する高線量率組織内照射の治療成績を検討し,有効性を確認する.
【対象】新鮮例は39例で年齢中央値は65歳.T1:T2:T3:T4=3:19:15:2,N0:N1:N2b=31:5:3,厚みは-9mm:
10-19mm:20mm-=13:15:11.組織内照射単独33例(48-54 Gy),外照射併用6例(20-42 Gy + 外照射40-70 Gy),経過
観察期間は中央値32 ヶ月であった.術後再発・術後断端陽性は9例で年齢中央値68歳.再発例(6例)はT1:T2:T3:T4=3:
1:1:1,N0:N1=5:1,術後断端陽性例(3例)はT2:T3=1:2,N0:N2a=2:1,厚みは-9mm:10-19mm:20mm-=5:1:
3.組織内照射単独7例(45-54 Gy),外照射併用2例(18-36 Gy +外照射39.6-46 Gy),経過観察期間は中央値42 ヶ月であった.
【方法】原則全身麻酔下でテンプレート,舌浮腫予防柵を併用し超音波ガイド下でアプリケータを刺入後,2次元もしくは3次
元治療計画を行った.顎骨線量軽減のため鉛ブロックを使用した.
【 結 果】 新 鮮 例N0例 は3年 局 所 制 御 率T1:T2:T3=100%:83%:89%, 厚 み 別 で は-9mm:10-19mm:20mm-=88%:
83%:71%,であった.3年全生存率T1:T2:T3=67%:72%:53%,-9mm:10-19mm:20mm-=83%:67%:38%N+例
は3年全生存率0%であった.
再 発 例 の3年 局 所 制 御 率 は-9mm:10-19mm:20mm-=67%:100%:100%3年 全 生 存 率 は-9mm:10-19mm:20mm-=
100%:0%:67%であった.断端陽性例は全例9年以上無再発生存を認めた.
【結論】N0新鮮例のみならず、再発や断端陽性例に対しても有効であることが示唆された。N+新鮮例は極めて成績不良であっ
た.
14. 根治的気管支腔内照射の治療成績の検討
野本由人1)、伊井憲子1)、高田彰憲1)、豊増 泰1)、川村智子1)、渡邊祐衣1)、村嶋秀市2)、
山下恭史2)、落合 悟2)、佐久間 肇3)
三重大学 医学部附属病院 放射線治療科1)、厚生連松阪中央病院 放射線科2)
三重大学 大学院 放射線医学講座3)
【目的】肺門部早期癌、および術後肺癌に対し、根治的気管支腔内照射を行った症例の治療成績および有害事象につ
いて検討する。
【対象と方法】対象は2005年11月から2014年9月までに気管支腔内照射を行った15症例で、年齢の中央値は71才、
男性14人、女性1人である。組織型は扁平上皮癌11例、腺癌2例、大細胞癌1例、腺様嚢胞癌1例であった。腫瘍の
占拠部位は、気管1例、主気管支4例、葉支5例、区域支5例であった。15例中13例はroentgenographically occult
endobronchial cancerで、残りの2例は術後症例で切除断端陽性例であった。いずれの症例もCTにて気管支壁外へ
の腫瘍進展がなく、またリンパ節転移がないことを確認している。治療法は、外照射40Gy/20fr施行後、気管支腔
内照射18Gy/3fr/3weeksを基本とした。腔内照射はmicro Selectron HDRを使用し、全例で気管支腔内照射用アプリ
ケータを使用した。線量評価点は気管支粘膜表面とし、症例毎に気管支径に応じた設定を行った。
【結果】観察期間の中央値は28か月(11 100か月)であった。2年全生存率は78%で無増悪生存率は72%であっ
た。観察期間中、照射領域の局所再発症例はみられなかった。13例のroentgenographically occult endobronchial
cancerの2年全生存率は90%、2年無増悪生存率は75%であった。有害事象はGrade 2の放射線肺臓炎を2例(13%)
に認めたが、気道出血、気管支狭窄等の晩期有害事象はみられなかった。
【考察】アプリケータを用いた根治的気管支腔内照射は、線量評価点を気管支粘膜表面に設定することで、有害事象
を低減し安全に施行可能と考えられた。
39
5月27日(金)16: 00 ∼ 16: 50
一般演題4 子宮1
座長 沼尻晴子 筑波大学附属病院 放射線腫瘍科
15. 婦人科腫瘍に対する腔内・組織内照射の際の直腸膣間膜へのヒアルロン酸ナトリウム散布の
有効性
柏原大朗、土田圭祐、小林和馬、梅澤 玲、村上直也、原田 堅、高橋加奈、稲葉浩二、
伊藤芳紀、井垣 浩、伊丹 純
国立がん研究センター中央病院 放射線治療科
【目的】当科では婦人科腫瘍に対して腔内・組織内照射を行っている。外照射・腔内・組織内照射後の再発腫瘍に対し
て救済組織内照射を行うこともあり、その際にはOARとして直腸線量が問題となってくる。当科では、直腸線量を下
げるための方法として直腸膣間膜にヒアルロン酸ナトリウムを散布することによってHR-CTVと直腸との間に距離を
取って直腸線量を低減するという手法を取り入れており、治療成績について後方視的に解析を行ったので報告する。
【対象と方法】2013年7月から2016年3月までに、子宮頸癌・子宮体癌に対して腔内・組織内照射を行う際に直腸膣
間膜にヒアルロン酸ナトリウム散布を施行した15症例である。
原疾患は子宮頸癌が11例、子宮体癌が4例であった。病理は扁平上皮癌が7例、腺癌が6例、2例が腺扁平上皮癌であった。
腔内・組織内照射にてタンデム・オボイド・アプリケータを挿入した後、経直腸超音波を参考にしながら、経会陰的
に直腸膣間膜にヒアルロン酸ナトリウムを散布した。
4症例(計8回)においてヒアルロン酸ナトリウム注入前後で治療計画CTを撮影し、ヒアルロン酸ナトリウム注入によ
る直腸線量の比較・検討を行った。
【結果】全症例にてスベニール挿入による明らかな有害事象は認めなかった。
解析を行った全症例にて1回線量は600cGyであり、直腸線量はヒアルロン酸ナトリウム注入前が平均443.86cGy、注
入後が357.03cGyであり、t検定にて2群間に有意差を認めた(p<0.001)。
【結論】婦人科腫瘍に対する腔内・組織内照射の際には直腸線量低減のために直腸膣間膜へのヒアルロン酸ナトリウム
散布が有効であった。
16. 子宮頸癌照射野内局所再発における高線量率組織内照射を用いた再照射に関する検討
梅澤 玲、村上直也、土田圭祐、柏原大朗、小林和馬、原田 堅、高橋加奈、稲葉浩二、
伊藤芳紀、井垣 浩、伊丹 純
国立がん研究センター中央病院 放射線治療科 【目的】子宮頸癌照射野内局所再発に対する高線量組織内照射(HDR)を用いた再照射の治療成績を後方視的に解析し
たので報告する。
【対象と方法】2008年-2015年までに上記症例に対してHDRを施行した18例を対象とした。根治的放射線治療後再
発による再照射が4例、術後再発による再照射が14例であった。13例はHDR単独、5例は外照射とHDRの併用で再
照射が施行された。全症例、再照射中に化学療法併用は施行されていない。再照射時の年齢は34-85歳(中央値57
歳)
。HR-CTV D90はEQD2換算(α/β=10)で、48.6-82.5Gy(中央値62.6Gy)
。再照射までの期間は3.1-53.6 ヶ月
(中央値14.9 ヶ月)
。奏効率、局所制御率(LC)、全生存率(OS)を算出して、治療成績に影響を及ぼす因子を検討した。
晩期有害事象の有無も検討した。
【結果】観察期間の中央値は17.1 ヶ月。全症例でHDRにより縮小を認め、HR-CTV D90が65Gy以上の症例は8例中
7例、65Gy未満の症例は10例中5例がCRであった。2年LCは49.2%、2年OSは63.5%であった。有意差はなかった
が、HR-CTV D90が65Gy以上と65Gy未満の2年LCはそれぞれ、83.3%、50%であった(p=0.20)。最大径40mm以上、
Hb12.5g/dlの症例はLCで有意差を認めた。OSに関しては有意な因子は認めなかった。Grade4、Grade3、Grade2の
晩期有害事象はそれぞれ2例、1例、2例認めた。
【結論】子宮頸癌再発に対する組織内照射を用いた再照射は有用であるが、晩期有害事象を考慮しながら、慎重に至
適線量を決める必要がある。
40
17. 子宮体癌に対する根治的放射線治療の遡及的検討
宮澤一成、岡崎祥平、平井隆太、牧野壮壱、熊崎 祐、鹿間直人、加藤真吾
埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科
【背景】
子宮体癌に対しては高齢や合併症などにより手術不能、または切除不能な進行例に対して放射線治療が考慮されるが、放射
線治療の治療成績に関しての報告は少ない。
【目的】
手術困難な子宮体癌患者に対する根治的放射線治療の成績について遡及的に検討した。
【対象と方法】
2007年から2015年に手術困難な子宮体癌に対して放射線治療を行い、半年以上経過観察が可能であった11例を対象とした。
年齢中央値77歳(67―82歳)、手術困難な理由は高齢、合併症(腎不全、心疾患、脳梗塞など)、切除不能、手術拒否などであっ
た。病期別にはStage IAが3例、IB 4例、II 1例、IIIC 3例であった。
放射線治療は外部照射と腔内照射を併用した。腔内照射はシリンダー 1本またはRotte Y型アプリケーター 2本を用いて行った。
外部照射の線量中央値は45 Gy(30―55 Gy)、高線量率腔内照射はCTによる3次元治療計画を原則として行い、子宮全体を
CTVとして1回線量6 Gyで総線量中央値は18 Gy(12―30 Gy)であった。治療成績として全生存率、無病生存率を評価した。
【結果】
経過観察期間中央値は24 ヶ月(9―104 ヶ月)で、再発を3例(局所再発2例、遠隔転移1例)で認めた。局所再発をした2例と
もT3、IIIC期であった。2年全生存率、無病生存率はそれぞれ77%、72%であった。Grade 3以上の有害事象は認めなかった。
【結語】
手術困難であっても、比較的早期の症例では良好な局所制御が得られる可能性があることが示唆された。
18. 高線量率密封小線源治療時の線源確認におけるCT位置決め画像の有用性の検討
髙橋太郎1)、北村 望1)、室伏景子2)
公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療部1)
公益財団法人がん研究会有明病院 放射線治療科2)
【目的】高線量率密封小線源治療は優れた線量集中性により腫瘍に大線量が投与できる。そのため、より正確かつ安全な治療が
求められる。
平成27年9月30日に医政発0930第6号通達より医療安全のために「照射中の密封線源の位置を確認するためのエックス線装置
の使用」が認められることとなった。線源位置確認法としては透視装置等を用いた方法が報告されているが、当院で更新した
透視装置では性能の問題で線源を確認することができない。そのため今回我々は照射中の線源確認にCT装置を使用することを
考え位置決め画像が有用か検討した。
【方法】CT装置にはSOMATOM Definition AS OPEN (SERMENS社製)を使用し検出器は64列である。線源は192-Ir(V2r)、照射装
置にはマイクロセレクトロンHDR-V3(Nucletron社製)、婦人科アプリケータFletcher Williamson Applicator Set・Fletcher CT/
MRI Applicator Set(各Nucletron社製)を用いた。それぞれのアプリケータを当院で代表的に使用しているタンデム長6cm、オボ
イド S間隔30 mm(以下6S)に組み付けた。線源強度370 GBq時におけるマンチェスター法に準じた治療計画を作成した。停留
18点最短停留時間は18秒であった。一回の照射で全停留点の撮影が可能か確認した。また、位置決め画像を印刷しそれぞれ
のアプリケータセットで18点、計36点について小線源治療経験者7名それぞれに識別出来た箇所に印を書き線源確認できたか
判定した。
【結果】
一度の照射で全停留点の撮影が可能であった。線源確認は全36停留点で100%可能であった。
【結論】タンデムオボイド6Sを用いたマンチェスター法に準じた治療計画においてはCT位置決め画像は線源確認に有用である。
41
19. タンデム、オボイドを用いた三次元小線源治療計画におけるA点線量左右差の検討
松木清倫1)、西谷拓也2)、久米大智2)、藤田綾佳2)、山本裕之2)、番野仁司2)、岩崎甚衛2)、
山田茂樹2)、中嶋 綾1)、山内智香子1,2)
滋賀県立成人病センター 放射線治療科1)、放射線治療部2)
【目的】
当センターにおける子宮頸がん密封小線源治療は、タンデム、オボイドアプリケータを挿入した状態でCTを
撮影し、Oncentra (Nucletron) を用いて治療計画を立案している。計画作成時は両アプリケータの内腔位置を手動
で同定し、停留点の位置を決める。また外子宮口を原点とし、原点から 2 cm 頭側にあるタンデムアプリケータ内
腔を通る座標系(アプリケータ座標系)を手動にて導入し、側方 2 cm、頭側 2 cm に位置する左右 A 点を作成して
いる。アプリケータの角度は固定されているため、左右 A 点線量が同一であることが望ましいが、これまでの治療
計画から左右 A 点線量が 5% を超える場合が、63 例中 9 例あることが判明した。この線量差は停留点と A 点との
幾何学的な配置に起因すると思われるため、治療計画データを遡及的に解析し、原因を追求した。
【対象と方法】線源形状がv2rへ変更された 2014 年 4 月から 2015 年 12 月までに実施した 13 名 63 プランを対
象とした。解析にはOncentra から出力したDICOM-RT に記録された計画情報を使用した。アプリケータ座標系の
原点から停留点までの距離(原点位置ずれ)、および停留点先端からアプリケータ座標軸までの距離(先端位置ずれ)
を計算し、それぞれが A 点線量差にどの程度寄与するかを、重回帰分析にて解析した。またそれら距離を修正した
プランを作成し、A点線量差が改善されるかを検証した。
【結果】重回帰分析により p 値 が 0.05 以下となったのは、原点位置ずれと先端位置ずれの X 方向であり、いず
れも相関係数0.4以上の相関がみられた。位置ずれを修正したプランにおいては、A点線量差は2%以下となった。
【結論】治療計画作成時にA点線量の左右差を低減するためには、画像を拡大するなどして、停留点に対するアプ
リケータ座標系の原点と軸の傾きのずれを最小にするべきである。
5月28日(土)9: 00 ∼ 9: 50
一般演題5 子宮2
座長 角 美奈子 がん研有明病院 放射線治療部
20. 子宮頸癌に対するCT/MRI-based画像誘導3次元腔内照射の初期治療経験
兼安祐子、中川富夫
福山医療センター 放射線治療科
【目的】
当院でのMRIを参照した子宮頸癌画像誘導3次元腔内照射(IGBT)の治療を報告する.
【方法】2014年6月よりIGBTを開始した.2015年12月からは1回目の腔内照射時のみMRIを撮像した.患者搬送システ
ムZephyrTMを用いてCT室に移動,CT上のコンツーリング中にMRIを撮像し,治療計画の参考にした。コンツーリン
グはCTのみで, MRIは,当初1.5テスラ,3Dを用いたが,その後,画像の質が良好な3テスラ,2D-Axialを用いた.2016年3月
までの根治照射は20例で,うち2015年12月以降の4例(Ib/IIb;1/3)を対象とした.全骨盤30-40GyでCSを入れ,総線量
50Gy,残存リンパ節には6-10Gyブーストした.腔内照射はA点6Gy/fとした.A点とHR-CTV D90線量はBEDに変換,外部
照射との合計線量で総BEDとした. 同時併用化学療法はw−TCを施行した.
【結果】組織型はSCC;4,平均年齢は52歳(42-65),最大腫瘍径は47-67(平均56)mm,総治療期間41-58(平均47)日であっ
た. 内診所見と腔内照射直前/腔内1回目のMRIをもとに腫瘍の形状に合わせて最適化した. RALS1回あたりのA点平
均線量は6.1Gy,B点1.8Gyであった. 4例のA点/HR-CTVの平均総BEDはそれぞれ76.2Gy10,86.5 Gy10,RALS1回あたり
のHR-CTV D90の平均値は7.3Gy,膀胱/直腸/S状結腸のD2cc平均値は5.8Gy,3.5Gy,4.4Gy, ICRU38評価点は膀胱3.0Gy,
直腸3.4Gy, 直腸線量計計算値(最大)3.4Gy,実測2.5Gyであり,全例CRを得た.
【結論】MRIを参照したIGBTにより局所制御率の更なる向上と晩期有害事象の低減を検討することで子宮頸癌放射
線治療の治療成績の改善が期待できる.
42
21. MRI/CT based image-guided adaptive brachytherapyの初期経験
伊井憲子1)、川村智子1)、高瀬英子2)、磯嶋志保2)、山尾覚一2)、渡邊祐衣1)、豊増 泰1)、
高田彰憲1)、山下恭史1)、野本由人1)
三重大学 医学部附属病院 放射線治療科1)、三重大学医学部附属病院 中央放射線部2)
背景:当院では子宮頸がんの腔内照射においてA点処方で照射し照射後の線量評価を行ってきた。2015年6月より
子宮頸癌の根治照射に対してIGABTを開始した。その初期経験を報告する。
対象と方法:2015年6月から16年3月にIGABTを施行した15例(SCC14例、Adc1例)を対象とした。年齢の中央値
は62歳(43-86歳)
、FIGO分類はⅠBが2例、ⅡBが4例、ⅢBが5例、ⅣAが2例、ⅣBが2例であった。1回目または
2回目の手技でMRIとCTを撮像し、残りの手技ではCTを毎回撮像し、全手技においてIGABTを行った。治療計画は
HR-CTV D90≧100%、膀胱のD2cc<120%、直腸・S状結腸・小腸のD2cc<100%、を基準とした。その結果で得ら
れたparameterと一次効果について検討した。
結果:外照射は、中央遮蔽なしの全骨盤の中央値は32.4Gy(30.6-50.4Gy)、全骨盤は全例50.4Gy/28fr、2例に
parametrial boostsとして5.4Gy/3frと10Gy/5frを照射した。腔内照射は、A点処方は5例、最適化されたのは10例
であった。最適化が必要とされたのはHR-CTVによるものは2例、OARによるものは7例、両者は1例であった。中
央遮蔽なしの全骨盤照射と小線源治療の合算線量のGTV、HR-CVのD98の平均値は72.1Gy、62.4Gy、D90の平均値
は79.1Gy、68.3Gy。膀胱、直腸、S状結腸、小腸のD2ccの平均値は73.7Gy、62.7Gy、55.4Gy、60.5Gy。一次効果
はCRが13例、PRが2例であった。
結論:IGABTの初期経験を報告した。2/3の症例で最適化が必要となり、
その大半はOARの線量制約によるものであっ
た。
22. 子宮頸癌に対するMRIを用いた画像誘導腔内照射におけるA点処方planとoptimized planの比較。
吉田賢史1)、西川 遼1)、宮脇大輔1)、松尾佳朗1)、赤坂浩亮1)、表田真弓2)、京谷勉輔2)、
蝦名康彦3)、山田秀人3)、高橋 哲4)、佐々木良平1)
神戸大学医学部 放射線腫瘍科1)、
神戸大学病院放射線部2)、 神戸大学医学部 産科婦人科3)
神戸大学医学部 放射線科4)
目的:子宮頸癌に対するMRIを用いた画像誘導小線源治療 (image guided adaptive brachytherapy; IGABT)において、
基本となるA点処方planと、実際に照射時に用いたoptimized planの線量の比較を行う。
対象・方法:当院においてMRIガイドのIGABTが開始された2014年10月以降に根治症例で、全ての腔内照射におい
てMRI治療計画が行われた症例。組織内照射が併用された症例は除外した。High risk clinical target volume (HRCTV)
D90及びリスク臓器 (OAR) D2ccについて両planを比較した。
結果:症例数は29例。HRCTV D90の平均値はA点plan、optimized planでそれぞれ84.7、76.8Gy (p<0.001)であった。OAR
(膀胱/ 直腸)のD2ccはそれぞれ88.4 / 77.1Gy、63.0 / 57.9Gyであった (p<0.001、0.001)。初回HRCTVの平均値
は33.8mlであり、同値が30ml以下の症例群(n=17)ではHRCTV D90及びOAR D2ccはそれぞれ96.4 / 79.6、99.1
/ 78.0Gy、63.9 / 54.5Gyであった (p<0.001、<0.001、<0.001)。また、30ml以上の症例群(n=30ml)ではHRCTV
D90及びOAR D2ccはそれぞれ73.5 / 73.1Gy、76.3 / 73.6 Gy、62.0 /61.9Gyでありいずれも有意差はなかった。
結論:初回HRCTVが30ml以下の症例群ではoptimizeにより80Gy前後のHRCTV D90を維持しつつ、OAR、特に膀
胱線量の低減化が可能となっていた。しかし、30ml以上の症例群ではoptimizeを行っても両プランに差はなく、
HRCTV D90の増加にはより積極的な組織内照射を考慮すべきと考えられた。
43
23. 子宮頸癌に対する3次元画像誘導小線源治療の治療成績
岡
祥平、宮澤一成、熊
祐、平井隆太、牧野壮壱、鹿間直人、加藤眞吾
埼玉医科大学国際医療センター 放射線腫瘍科
【目的】3次元画像誘導小線源治療を行った子宮頸癌の治療成績を遡及的に検討した。
【対象と方法】2013年6月から2014年5月に根治的放射線治療を施行し、2年以上経過観察した子宮頸部扁平上皮
癌34例を対象とした。年齢は43歳から85歳、FIGO臨床病期はIB期2例、IIB期15例、IIIB期16例、IVA期1例であっ
た。最大腫瘍径は1.0 cm ∼ 8.5 cm(中央値4.8 cm)であった。治療法別にみると化学放射線治療25例、放射線単
独治療9例であった。放射線治療は外部照射と小線源治療の組み合わせで行い、外部照射は全骨盤照射19.8 Gy ∼
40 Gy後に中央遮蔽を挿入し、総線量39.6 ∼ 50.4 Gyを照射した。小線源治療は腔内照射ないし腔内+組織内照射を
週1回ずつ3 ∼ 5回施行した。治療計画はCT画像を用いた3次元治療計画とし、HR-CTV D90が原則として1回6 Gy
以上となるように立案した。また直腸と膀胱の線量制約は、総線量で直腸D2ccが75 GyEQD2未満、膀胱D2ccが80
GyEQD2未満とした。治療成績は2年全生存率、2年局所無再発生存率、および直腸と膀胱の遅発性有害事象で評価
した。
【結果】病期別の2年全生存率はI・II期で100%、IIIB期で94.1%、IVA期で0%であった。局所再発はIIIB期の2例に認
められた。腫瘍径別での2年局所無再発生存率は4.0 cm以下で100%、4.1 ∼ 6.0 cmで94.1%、6.0 cm超で86%であっ
た。遅発性有害事象は直腸で9例(うちGrade 1 ∼ 2が8例、Grade 4が1例)、膀胱で1例(Grade 1)
に認められた。
【結語】3次元画像誘導小線源治療により良好な局所制御効果が得られた。
24. MRI based IGBTにおける3D撮像法と2D T2 Fast Spin Echo法のコントラスト比較
渡辺未歩1)、岩井祐磨2)、東ヶ崎厳太郎2)、金澤亜希2)、黒川茉梨絵2)、原田倫太郎2)、
小林裕樹1)、宇野 隆1)
千葉大学大学院 医学研究院 画像診断・放射線腫瘍学1)
千葉大学医学部附属病院 放射線科2)
【目的】3D撮像法と2D T2WI Fast spin echo法(FSE)
においてコントラスト比(contrast ratio: CR)を比較する。
【対象と方法】
子宮頸部,
筋層,
内膜,
腫瘍を模した1.5 TにおけるT1/T2値を持つファントムを作成した.
ファントム撮像はSigna 1.5
T(General Electric Medical System), Ingenia 1.5 T (Philips Healthcare) およびMAGNETOM Avanto 1.5 T (Siemens)を
用いた.臨床画像は千葉大学でMRI based Image guided brachytherapy (IGBT)を行い,IGBT時点で腫瘍が画像上明
らかであった中から2例と撮像中の体動が多かった1例の合計3例で測定した.
FSEはスライス厚3 mmの軸位像.3D MRIは矢状断方向収集後,1.4 mmスライス厚の軸位像を再構成した.CRおよ
びコントラスト・ノイズ比(contrast to noise ratio: CNR)を算出するために,子宮頸部,筋層,腫瘍,脂肪の各部
位の信号を測定した.
【結果】
ファントムでは子宮頚部に対するCRは3D MRIで中央値0.20 (0.058 - 0.36),T2 FSEで0.20 (0.062 - 0.35)と,3D
MRIは2Dとほぼ同等のコントラストであった.CNRは3D MRIで中央値51.6 (11.5 - 126.3),
T2 FSEで中央値26.4 (8.3
- 52.7)と3D MRIは2D FSEと比較して有意に高かった.臨床画像ではCRは3D MRIで中央値0.301 (0.15 ‒ 0.57),T2
FSEで中央値0.372 (0.168 ‒ 0.677)であった.
【結論】MRI based IGBTにおいてコントラストを撮像法別に比較した.3D MRIのコントラストはFESに比べ従来劣
ると言われているが、ほぼ同等であった.
44
5月28日(土)10: 00 ∼ 11: 00
一般演題6 物理
座長 高橋 豊 大阪大学 放射線治療学講座
25. 線形ボルツマン輸送方程式を用いたアルゴリズムにおけるチタン製アプリケータを用いた
不均質補正の検討
本田弘文1)、石井香明1)、山本竜次1)、越智誉司2)、田口千藏2)、神
宇都義浩3)
博充2)、望月輝一2)、
愛媛大学医学部附属病院 放射線部1)、愛媛大学医学部附属病院 放射線治療科2)
徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 ライフシステム部門&フロンティア研究センター 3)
目的:子宮頚がんの画像誘導小線源治療においてチタン製アプリケータに対応するSolid Applicator(治療計画装置
に登録されているアプリケータのモデル)を用いた線量計算とチタン製アプリケータの吸収について検討する。
方法:治療計画装置上でAcurosBTによる不均質補正においてアプリケータに既定値のチタンの物理密度を適用し
た場合,Solid Applicatorをそのまま使用した場合,CT画像上のチタン製アプリケータの物理密度を水に置換して
Solid Applicatorを用いた場合のA点線量を比較した。また,チタン製アプリケータの吸収を電離箱線量計と固体ファ
ントムを用いて測定した。
結果:AcurosBTによる不均質補正はTG-43水等価の計算方法と比較してSolid Applicatorを用いず既定値のチタンの
物理密度を適用した場合はRA(5.645Gy −5.791%)LA(5.803Gy −4.493%),Solid Applicatorを用いてアプリケータ
密度を水に置換しない場合はRA(5.912Gy −1.335%)LA(6.197Gy −0.848%),Solid Applicatorを用いてアプリケー
タ密度を水に置換した場合はRA(5.949Gy −0.718%)LA(6.217Gy −0.528%)であった。電離箱線量計を用いたチタ
ン製アプリケータの吸収率は0.700%であった。
まとめ:AcurosBTにおいてアプリケータに既定値のチタンの物理密度を適用した場合の線量計算値の低下はCT画
像の空間分解能のため実際のアプリケータより厚みを過大評価するためにアプリケータの吸収値が大きくなったと
考えられる。CT画像上のアプリケータ密度を水に置換してSolid Applicatorを用いることによりAcurosBTを用いた
不均質補正の計算はTG-43の水等価の計算方法とほぼ等しくなった。
26. MRI-base IGBTにおいて画像の幾何学的ひずみによって生じる線量誤差の基礎検討
阿部幸直1)、樺島 徹1)、池田洋平1)、松本浩史1)、渡辺未歩2)、黒川正行1)、桝田喜正1)、
宇野 隆2)
千葉大学医学部附属病院 放射線部1)、千葉大学大学院 医学研究院 放射線医学2)
【目的】本研究は,MRI-base IGBTにおいて当院で使用している撮像法に関し,画像の幾何学的ひずみがどの程度生
じているかファントムを用いて計測を行い、幾何学的ひずみにより生じる線量誤差を評価することを目的とする。
【方法】GE社製MRI装置SignaHDxt1.5TにてMRI性能評価ファントムJMR型を2D-T2強調画像(アキシャル収集)およ
び3D-T2強調画像(アキシャル収集、サジタル収集、コロナール収集)で撮像した。3D-T2強調画像はMPRでアキシャ
ル画像を作成した。幾何学的ひずみはファントム中心から20 mm,40 mm,60 mm,80 mmの位置のピンで計測を行
い、左右方向および腹背方向に分けて評価した。本研究においては幾何学的ひずみ(mm)=真の距離(mm)−画像よ
り計測した距離(mm)とする。治療計画装置Oncentra Brachyにて空間内に線源を1つ配置し、線源中心から側方へ
20 mm,40 mmの位置にて幾何学的ひずみによる線量誤差を評価した。本研究では線量誤差(%)=(真の線量−ひ
ずみによりずれた位置での線量)/真の線量×100とする。
【結果】左右方向のピンの位置はファントム中心から離れるほど真の位置より内側へシフトする傾向がみられ、中心
か ら20mmで −0.5mm ∼ −1.0mm,40mmで −1.0mm ∼ −1.5mm,60mmで −1.5mm ∼ −2.0mm,80mmで −
2.0mm ∼ 3.0mm程度のひずみが認められた。腹背方向のピンの位置は真の位置に近い傾向がみられたが、3D-T2
強調画像のコロナール収集では逆の傾向であった。幾何学的ひずみは位相エンコード方向に対して強くでる傾向が
あった。
ひずみによる線量誤差はファントム左右方向で距離によらず5% ∼ 10%の線量低下が認められた。
【結論】MRI-base IGBTで使用している撮像法に関する幾何学的ひずみはファントムの中心から離れるほど大きく
なった。幾何学的ひずみにより生じる線量誤差は−5% ∼−10%であった。
45
27. 子宮腔内照射中におけるX線撮影を用いたin-vivo本線源停止位置確認の初期経験
岡 善隆1)、田巻倫明2)、長澤陽介1)、矢部重徳1)、原田正紘1)、内沼良人1)、山田絵里佳1)、
高野基信1)、佐藤孝則1)、中島 大2)、海老潤子2)、佐藤久志1,2)、鈴木義行1,2)
福島県立医科大学附属病院 放射線部1)、福島県立医科大学医学部 放射線腫瘍学講座2)
【目的】
小線源治療において線源位置の相違による過誤照射は重大な事故となり得る。2015年9月の法令改正により、
小線源照射中にX線装置の使用が可能になった。以後当院では、安全管理の一環として、子宮腔内照射中のX線撮
影で本線源位置を確認し記録している。今回、子宮腔内照射中のX線撮影を用いてイリジウム本線源停止位置をinvivoで確認した初期経験を報告し、実際の治療の精度管理への応用についても検討する。
【方法】子宮腔内照射で、通常の2次元治療計画に使用しているX線シミュレーション装置(Simulix EVOLUTION:
Nucletron)を使用して照射中のX線撮影を行った。その際、標準体型の撮影条件は110kV、63mAsとし平面X線検
出器を使用した。子宮腔内照射治療計画には架台角度0°、45°、 270°で模擬線源挿入時の3画像を使用し、子宮腔
内照射中のX線撮影は、架台角度45°でイリジウム線源が最も遠位に停留する時点に行った。各アプリケータの先
端から模擬線源中心及び本線源中心までの距離を治療計画装置(Oncentra Ver.4.3:Elekta)上で計測し、模擬線源
の1cm間隔から算出した距離補正を施し比較した。
【結果】子宮腔内照射中のX線画像取得は、画像調整が必要であるものの、治療計画X線撮影と同等の撮影条件で可
能であり、イリジウム線源は明瞭に可視化できた。また、その撮影は簡便で通常の治療業務に支障をきたさず、子
宮腔内照射中に本線源の停留位置を確認することが可能であった。各アプリケータの模擬線源と本線源の距離の相
違は、0.16±0.53 mm(n=51、平均値±SD)
であった。
【結語】子宮腔内照射中のX線撮影は、実際の治療における線源停留位置の記録を可能にし、線源停止位置の誤認に
よる小線源治療の過誤照射を検知することに有用である。今後、臨床を想定した簡便な精度管理用ファントムの開
発及び、更に有用で客観的な精度管理の手法の構築を検討したい。
28. 高線量率腔内照射におけるX線透視装置を用いた線源位置確認の有用性について
茶谷正史1)、今井裕樹1)、坪井和生1)、藤原貫太1)、八木正之1)、立本里香1)、田中義人2)
大阪労災病院 放射線治療科1)、和泉市立病院放射線科2)
目的:Image Intensifier(II)とFlat Panel Detector(FPD)を用い、高線量率腔内照射におけるX線透視装置を用いた
治療中の線源位置確認の有用性につき検討する
方法:治療装置はエレクタ社製(旧Nucletron社)のmicroSelectron HDRとOncetral Brachytherapyで、透視装置は島
津社製のII方式(150B-10)と直接変換方式FPD(UD150G-40)である。プラスチックチューブ及び金属性のタンデ
ム管内にIr線源挿入中の線源の確認可能なMix-DPの厚みを比較検討した。
結果:①プラスチックチューブの場合、II方式ではMix-DPの厚みは 23cm、直接変換方式FPDでは27cmまでIr線源
の観察が可能であったが、タンデム管ではそれぞれ15cm、25cmであった。②AP方向の透視ではオボイド線源の
先端位置の同定は困難な場合があるが、線源がオボイド内に挿入されていることは確認可能であった。
結論:高線量率腔内照射での治療中の線源位置の確認は誤照射防止に有用であるが、これまでは法的な規制のため
禁止されていた。しかし、昨年9月より医療法施行規則の一部改正により照射中のX線透視が認められるようになっ
た。小線源治療の安全な実施のためには、治療中の実線源の確認は必須事項とすることを期待したい。
46
29. 密封小線源用水吸収線量測定用ファントム使用経験の報告
北村 望、中島 大、佐藤智春
がん研究会有明病院 放射線治療部
背景 目的
当院では従来、クオリタ社製のサンドイッチ法固定治具を使用しiba社製IDF-5(以下IDF-5)をファーマ形電離箱PTW社
30013(以下PTW30013)と比較校正を行っていた。2016年1月に密封小線源用水吸収線量測定用ファントム(クオリタ社製、
以下水ファントム)を導入したので、その使用開始検討について報告する。
方法
水ファントムのCT画像を使用し、PTW30013の幾何学的中心に処方線量0.78 Gy投与する治療計画(PlanTG43)を作成した。治
療計画にはOncentra brachy version4.5を使用し、計算方法はTG43U1とした。IDF-5は従来の固定治具を用いて空中にて比較
校正を行った。従来の固定治具と同等に測定ができるか確認するため、水ファントムに水を入れない状態でPlanTG43を照射し、
水吸収線量を算出した(Din air)。また、Din airとIDF-5の測定値(Da_idf)を比較した。次に、水ファントムにてPlanTG43を照射し、得
られた電離量から水吸収線量(DTG43)を算出した。DTG43とIDF-5の測定結果(Dw_idf)を比較した。
結果
Din airは0.76 Gyであった。そのときのDa_idfは0.73Gyであった。DTG43は0.74Gyとなり、そのときのDw_idfは0.72Gyであった。
考察 結論
水ファントムでの空中の測定結果でDin airとDa_idfは3.9%の差がみられた。水中の測定でのDTG43とDw_idfでは、2.8%の差がみられた。
校正条件と線源からの距離、PMMAの有無、校正時の係数に含まれる不確かさにより、PTW30013による結果とIDF-5の測定
値に差が生じたと考える。また、どちらの線量計も投与線量より低い値を示したことから、水ファントムを用いた水中での比
較校正には、検討が必要と考える。
30. 三次元検出器を用いたCo60の空間線量測定
大江 歩1)、根本幹央1)、盛満寛乃1)、中根義典1)、森 貴子1)、若月 優2)
自治医科大学附属病院 中央放射線部、自治医科大学附属病院 放射線科2)
[目的]
近年、半導体検出器の多列化により三次元線量測定が可能となっている。当院では、Co60から25MVまでのエネルギーが測定可
能なArcCHECK(SunNuclear)で、IMRT等の線量測定をしている。外照射と比べ小線源治療では、空間的な出力測定を検証する
事が難しく、ポイント測定による検証方法が一般的である。本研究はArcCHECKを用いて小線源の空間線量を実測し、その出力
等方性について検証した。
[方法]
ArcCHECKは半導体検出器であり、線質と線量率依存性を考慮する必要がある。この因子は素子毎の感度補正をするArray
Calibration(以下、A.C.)で行われる。外照射を前提とした測定器である為、A.C.データ取得は実効エネルギーが最も近いと思われる、
直線加速器による4MVのX線で代用した。次に空間線量測定のため内部に空洞電離箱用インサートを配置し、そこにプラスチッ
クアプリケータを介して線源を挿入した。治療計画装置HDR-Plusで計算して、停留時間30秒から5分までの出力線量を測定した。
[結果]
ArcCHECKでの線量測定は可能であり、線源-検出器間距離に応じた線量分布が取得可能であった。しかし測定値はリアルタイム
にA.C.の影響を受け、ある角度方向では50%程度低下し一定のゆらぎが確認された。測定データからA.C.データを除外すると、
測定誤差は±0.5%以下となった。
[結論]
ArcCHECK内部に小線源を挿入した出力測定は可能であった。しかし外照射が前提である為、出力等方性の確認には問題が残った。
小線源測定に特化したA.C.機能を用意する事で、簡便に出力等方性やQAを行える事が示唆された。
47
5月28日(土)14: 00 ∼ 15: 00
一般演題7 乳腺
座長 加賀美芳和 昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門
31. SAVIアプリケーターを用いた加速乳房部分照射に必要な胸壁厚の検討
野武亮一1)、笹森浩司1)、久馬幸重1)、清水麻美1)、村上峻洋1)、吉村亮一2)
東京医科歯科大学 医学部付属病院 放射線部1)
東京医科歯科大学 医歯学総合研究科腫瘍放射線治療学2)
【背景】SAVIアプリケーターを用いたRALS(Remote After Loading System)による加速乳房部分照射(APBI)は限局された体積に効率よく線
量を集中することが可能であり、短期間で治療が完遂できる。現在のところ、危険臓器(OAR)に対する線量制約は欧米人のデータに基づい
ている。日本人は欧米人に比して乳房が小さいためこの線量制約を満たすように治療計画が可能かどうかの報告が少ない。
【目的】SAVIアプリケーターを用いたRALSによるAPBIにおいて、OARの線量制約を満たす胸壁の厚さを検討する。
【方法・使用機器】SAVIアプリケーターを挿入した乳房ファントムをCT(Light Speed, GE)にてスライス厚1.25 mmで撮像し、RTP (Oncentra
MasterPlan 3.1, Elekta) にて治療計画を作成した。この時、PTV_Eval をSAVIの周囲 10 mmからSAVIアプリケーター内部空洞・胸壁・皮膚
+2 mmを除いた体積とした。OARとしてSkin及びChest wallを作成した。OARはSAVIアプリケーターから1 0mm, 5 mm, 3 mm, 2 mmと距離
を変えて作成した。最適化はIPSAを用いて行い、Graphicalに微調整した。線量制約はPTV_Eval V90%≧90%, V150%≦50cc, V200%≦20cc
Skin D0.1cc≦100% Chest wall D0.1cc≦100%とし、OARの制約を優先しPTVの制約を満たせなくなる距離について検討を行った。
【結果】SAVIアプリケーターからSkin, Chest wall の両者が3 mm以上離れている条件ではPTV_Eval V90%≧90% を満たしつつ、OARの線量
制約も達成できた。両者の距離が2 mmになるとOARの制約を満たすためにPTV_Evalの線量制約が満たせなくなった。SAVIアプリケーター
からChest wallまでの距離が3 mm以上あればSkinまでの距離が2 mmであってもPTV_Evalの線量制約を満たすことが可能であった。
【考察】結果より、SAVIアプリケーターを用いたRALSによるAPBIではSAVIアプリケーターからChest wallまでの距離を3 mm以上、Skinまで
の距離を2 mm以上取ることができればPTV_Evalに十分な線量を投与することができると考えられる。日本人では乳房が小さく十分に距離
を取ることができない症例も想定される。十分に距離が取ることができない症例では病巣に必要な線量を投与することができない可能性が
示唆された。
32. SAVIを用いた加速部分乳房照射における線量分布の検討
新城秀典1)、宮浦和徳1)、新谷暁史1)、小林 玲1)、加藤正子1)、岡部尚行1)、小澤由季子1)、
村上幸三1)、桑山隆志3)、中村清吾3)、広田由子4)、後閑武彦2)、加賀美芳和1)
昭和大学放射線医学講座 放射線治療学部門1)、昭和大学放射線医学講座 放射線診断学部門2)
昭和大学外科学講座 乳腺外科学部門3)、昭和大学臨床病理診断学講座4)
【背景・目的】当院では2014年3月からSAVI(Strut Adjusted Volume Implant)を用いた乳房温存術後の加速部分乳房照射
(APBI)を開始し、2016年3月末まで25症例の治療を行った。施行した症例における標的臓器、危険臓器の線量を、線量
体積ヒストグラム(DVH)を用いて解析、分析を行ったので報告する。
【方法】2014年3月から2016年3月にかけて、SAVIによるAPBIを施行した25症例の初回治療計画時の関心領域DVHが対象。
評価する関心領域は、「標的臓器」:SAVIカテーテルに10mmの三次元マージンを加え、皮膚側から2mm、胸壁から0mm
をスペアし、SAVIカターテルを除いた構造物=PTV_EVAL、「危険臓器」:皮膚=SKIN、胸壁=CHEST WALLである。評価項
目は、
「PTV_EVAL」で①V90%(%)、②V150%(ml)、③V200%(ml)の値、
「SKIN」、
「CHEST WALL」はそれぞれD1ccの値で、
線量目標達成の可否で評価を行った。線量目標は「PTV_EVAL」でV90%≧90%、V150%≦50ml、V200%≦20ml、「SKIN」
「CHEST WALL」D1cc≦110%とした。
治療計画装置はコンツール作業、線量計算(インバースプランIPSA)ともにOncentra® Brachyを使用した。
【結果】対照25症例中、線量制約を守れなかったのは5例であった。満たせなかった内訳は、PTV_EVAL V90≧90%、
V200%≦20mlがそれぞれ1例(88%)、3例(21.3-24.8ml)、CHEST WALL D1cc≦110%が1例(117.5%)であった。PTV_
EVAL V150%≦50ml、SKIN D1cc≦110%の制約は全ての症例で達成可能であった。計画時にPTV_EVAL V90≧90%、
CHEST WALL D1cc≦110%が達成できなかった症例はその後のプラン修正で達成可能であった。
【結論】殆どの症例で線量制約を達成することが可能であったが、PTV_EVAL V200%≦20mlの線量制約の達成が一部の症
例で困難な場合があることが分かった。
48
33. SAVITMにおけるレトロスペクティブ線量評価の効率化に向けた検討
宮浦和徳1)、新城秀典2)、村上幸三1)、尾崎道雄4)、久保 聡4)、小林 玲1)、新谷暁史1)、
岡部尚行1)、加藤正子1)、小澤由季子1)、小日向美華2)、師田まどか3)、加賀美芳和1)
昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門1)、昭和大学藤が丘病院 放射線治療科2)
昭和大学江東豊洲病院 放射線治療科3)、昭和大学病院 放射線室4)
【背景・目的】SAVITMを用いた加速乳房部分照射(APBI)は、アプリケータが体内で変位することが少ないため、基
本的に治療計画は初回のみ行い、その後はCT撮像(CT_verify)によりアプリケータの変位がないことを確認し、照射
を行うことが可能である。当院では、照射後にCT_verifyからレトロスペクティブに線量評価を実施しているが、毎
回のコンツール作業の負担は大きい。そこで、レトロスペクティブ線量評価の際に非剛体レジストレーション(DIR)
を利用することで、コンツールの効率化について検討を行ったので報告する。
【方法】2014年11月より、SAVITMによるAPBIを施行した20症例に対して、CT_verifyにストラクチャーを入力(Strct_
retro)し、レトロスペクティブ線量評価を行った。次に、VelocityTMを用いてCT_verifyに対して治療計画時のCTと
ストラクチャーをDIRし、Strct_retroとDIRしたストラクチャー (Strct_DIR)の体積、およびDSCを算出し類似度の比
較を行った。さらに、それぞれのストラクチャーで線量パラメータの比較を行った。
【結果・考察】
Strct_retro とStrct_DIR の体積は概ね5%で一致する結果となった。DSCは、PTVで0.9以上と類似度の高い結果が得
られた。また、線量パラメータの比較では、PTVで概ね3%以内で一致した。ただし、ストラクチャーの定義を逸脱
する変形が生じる場合もあり、Strct_DIRの目視による確認と修正は必要であると考えられる。
【結論】SAVITMのレトロスペクティブ線量評価において、Strct_retro とStrct_DIRは類似度が高く、DIRを行うこと
により、有意義なコンツール支援が行え、レトロスペクティブ線量評価の効率化が図れると示唆される。
34. SAVI (Strut Adjusted Volume Implant) による乳癌術後小線源治療
高橋加奈、岡本裕之、土田圭祐、柏原大朗、小林和馬、原田 堅、梅澤 玲、稲葉浩二、
村上直也、井垣 浩、伊藤芳紀、伊丹 純
国立研究開発法人国立がん研究センター 中央病院 放射線治療科
【目的】国立がん研究センター中央病院では、2014年からSAVIによる乳房温存術後加速乳房部分照射(APBI)を開
始し、現在までに5例施行した。今回その治療内容と短期経過について報告する。【方法・結果】2014年9月から
2016年2月に5人の乳房温存術後症例に対して、臨床研究に同意を得た上で治療を行った。年齢は53-84歳、腫瘍
径が0.7-2cmであった。乳房部分切除し迅速病理診断での断端陰性・リンパ節転移陰性を確認後、術中にSAVIスペー
サーを挿入した。術後約1週間で永久標本による病理診断で断端陰性・リンパ節転移陰性を確認し、SAVIスペーサー
をアプリケータに入れ替えた。入れ替え後約24時間で治療計画用CTを撮影し、Oncentra Brachyで治療計画を作成、
計画翌日から、マイクロセレクトロンHDRで34Gy/10fr.、1日2回、5日間の治療を施行した。毎回の治療前に目視
でのアプリケータ位置確認、CT撮影と正側スカウト画像撮影を行い、アプリケータの抜けや回転、形状の変化など
がないかを確認して照射を行った。治療開始前、治療開始後にアプリケータの移動や変形により再計画を要した症
例はなかった。SAVI留置中は全症例で感染予防目的に抗生剤を使用した。全例が予定された治療を完遂し、手術期
間を含めての入院期間は20-22日であった。急性期有害事象として全例にG1の皮膚炎が見られた。また、1例でG3
の感染を認め、退院後に再入院し、切開排膿と抗生剤投与が行われた。同患者では感染の治療後もG3の疼痛が継
続的に認められている。
【結語】症例数が少ないがG3の感染と疼痛を経験し、さらなる経過観察と症例の集積、他施設との情報共有が必要
と考える。
49
35. SAVIを用いた乳癌小線源治療の3施設比較
戸田一真1)、吉村亮一1)、中川惠子1)、笹森浩司2)、野武亮一2)、新城秀典3)、宮浦和徳3)、
加賀美芳和3)、久保 聡4)、高橋加奈5)、岡本裕之5)、伊丹 純5)
東京医科歯科大学腫瘍放射線治療学分野1)、東京医科歯科大学医学部附属病院 放射線部2)
昭和大学医学部 放射線医学講座放射線治療学部門3)、昭和大学病院 放射線室4)
国立がん研究センター中央病院 放射線治療科5)
【目的】国内でSAVIによる乳癌温存術後の小線源治療を施行している3施設:昭和大学病院(SU)、国立がん研究セン
ター中央病院(NCCH)、東京医科歯科大学医学部附属病院(TMDU) の治療手順や手技について比較し、安全に施行す
るための課題を抽出する。
【方法】3施設のSAVIを用いた小線源治療の実情を調査し比較する。
【結果】3施設の実情を項目に沿ってSU/ NCCH/ TMDUの順に列挙する。①2016年3月までの施行症例数 25/ 5/ 3、
②SAVI留置法について:術中スペーサー留置法施行数 21/ 5/ 0;術後挿入法施行数 4/ 0/ 3、③使用したSAVIサイズ:
6-1mini 18/ 1/ 1;6-1 6/ 3/ 2;8-1 1/ 1/ 0;10-1 0/ 0/ 0、④手術からSAVIアプリケータ挿入までの平均期間 5
日/ 7.8日/ 19日、⑤使用固定具 アームサポート&Vac-Lock/ アームサポート/ アームサポート&Vac-Lock、⑥アプ
リケータ挿入からCT撮影までの平均期間 1日/ 0.8日/ 1日、⑦照射期間中のアプリケータのずれの確認方法につい
て、CTスキャノ&皮膚-ハンドル距離/ CTスキャノ&皮膚-ハンドル距離&皮膚-アプリケータ間マーカー / CTスキャ
ノ&皮膚-ハンドル距離&皮膚-アプリケータ間マーカー、⑧アプリケータがずれて対応を要した症例数 5/ 0/ 1、⑨
治療計画で線量制約が守れなかった症例数 1/ 0/ 0、⑩患者一人あたり放射線治療に係わる医療者の数 6/ 9/ 9。
【結論】各施設の実情に沿った治療手順で、線量制約を遵守することができる。しかし課題として①治療期間中の
SAVIアプリケータのずれへの対応、②人件費も含めた費用対効果、が考えられた。
36. 組織内照射によるAPBI多施設共同試験:臨床結果の経時的変化(中央55 ヶ月, 最短42 ヶ月)
余田栄作1)、築山 巌2)、 旭 修司2)、鹿間直人3)、佐伯俊昭3)、松村泰成4)、中川志乃4)、
立入誠司5)、森口喜生5)、吉田 謙6)、古妻理之7)、増田慎三7)、中島一毅8)、大谷侑輝9)、
能勢隆之10)、小口正彦11)、土器屋卓志12)
川崎医科大学 1)、会津中央病院2)、埼玉医科大学国際医療センター 3)、九州医療センター 4)
京都市立病院5)、大阪医科大学6)、大阪医療センター 7)、川崎医科大学附属川崎病院8)
市立貝塚病院9)、日本医科大学多摩永山病院10)、がん研有明病院11)、杏雲堂病院12)
厚労省がん研究助成金土器屋班→同小口班→継続小口班APBIグループでは、組織内照射を用いた加速乳房部分照射
法の前向き多施設共同臨床試験(UMIN000001677)を2009年1月から実施した(参加8施設、実施6施設)。2011年
12月に登録終了し、経過観察継続中である。
(目的) 2015年9月30日時点(中央55 ヶ月,1260-2063日)までのSecondary endpoints(有害事象発現割合、局所制御
率、整容性)
について、全症例のデータが固定できた42 ヶ月時点までの経過を報告する。
(方法) 35歳以上、3cm以下pN0M0、断端陰性、ホルモンレセプタ陽性の女性乳癌に対し、組織内照射(HDR,
36Gy/6fr/3日)
を用いたAPBIを施行した。臨床結果はCase Report Formを用いてCTCAE v3.0で前向きに集計した。
(成績)再発は、乳房内、領域リンパ節、遠隔転移とも認めていない。収集した12項目の有害反応のうち、7項目は
G1以下しか認めなかった。G2以上のグレードを認めたのは5項目であった。急性有害事象:1 ヶ月→3 ヶ月時の各
時点で、皮膚炎(G2, 7%→0%)。遅発性有害反応:12 ヶ月→24 ヶ月→42 ヶ月で、骨折(G2, 2%→0%→0%)、軟部組
織壊死(G2, 0%→2%→0%)、線維化(G2, 4%→G2+G3, 11%→G2+G3, 11%)、疼痛(G2, 0%→2%→0%)であった。整容
性(医師評価)
はExcellent/Goodが、刺入前→12 ヶ月→24 ヶ月→42 ヶ月で、100%→93%→85%→74%であった。
(結論) 42 ヶ月まで再発は認めていない。これまでの組織内照射によるAPBIの文献と比べ、軟部組織壊死や色素沈
着/脱失、毛細管拡張は軽度であった。整容性は30 ヶ月まで悪化したが、以降安定している。
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MEMO
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協賛企業
日本放射線腫瘍学会小線源治療部会第18回学術大会は以下の多くの企業より多大なご協
力をいただきました。
ここに慎んで感謝申し上げます。
アストラゼネカ株式会社
化研生薬株式会社
シーメンスヘルスケア株式会社
セティ・メディカルラボ株式会社
有限会社タイセイメディカル
株式会社千代田テクノル
東芝メディカルシステムズ株式会社
東洋メディック株式会社
日本アキュレイ株式会社
日本メジフィジックス株式会社
株式会社バリアンメディカルシステムズ
株式会社メディコン
ユーロメディテック株式会社
横河医療ソリューションズ株式会社
(50音順)
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Liver: 1 VISICOIL 0.35mm x 1cm
Pancreas: 2 VISICOIL 0.50mm x 1cm
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マイクロセレクトロン HDR-V3
microSelectron® HDR-V3
R e m o te a f te r l o a d i n g p l a t f o r m
医療機器承認番号 22400BZX00030000
マイクロセレクトロン HDR-V3 は、
Nucletron アフターローディングシリーズの最新の製品です。
少数の治療チャンネル(婦人科領域、直腸、食道、気管支、乳房、皮膚)を用いた
従来型治療から、多数の治療チャンネルを必要とする複雑な治療まで
フレキシブルな対応が可能です。
6チャンネル
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U R L : http://www.c-technol.co.jp
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〒100-0004 東京都千代田区大手町2-2-1 新大手町ビル7階 TEL:03-6265-1526/FAX:03-3272-6166/www.accuray.co.jp
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TEL:06-4800-3060 FAX:06-4800-3061
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