同志社大学技術・企業・国際競争力研究センター・京都大学上海センター・上海社会科学院部門経済研究所 共催シンポジウム 自動車の技術革新と都市交通政策 自動車は、その利便性の反面、交通事故、環境汚染、交通混雑等の問題が20世紀後半から顕在化し、未だ抜本的な解決には 至っていない。こうした問題に対して、近年、革新的な技術として注目を集めているのが、EV/PHV等の動力系技術と、走行技 術としてのITS (Intelligent Transport Systems)である。本シンポジウムでは、この2つの技術革新の成果を如何に今後の都市 交通に活かしていくのか、日本そして中国について議論する。 日 時:2010年1月22日(金) 会 場:同志社大学 寒梅館 2階 参加費:無 14:30~19:00 (終了後レセプション) KMB211教室 料 ≪プログラム≫ 開会挨拶:三好 博昭 (同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センター ディレクター) 前半:14時30分-16時00分 1)温暖化問題と自動車メーカの取り組み-環境関連技術の最前線- 大野 栄嗣 (トヨタ自動車株式会社 CSR・環境部担当部長) 2)中国における新エネルギー自動車の現状と政策 孫 林 (上海社会科学院部門経済研究所副研究員) 3)上海知能交通システムの発展と世界博覧会における応用 朱 昊 (上海市総合交通規画研究所知能交通中心主任) 後半:16時15分-17時45分 1)効率的な道路交通のための料金政策 文 世一 (京都大学大学院経済学研究科教授) 2)安全ITS技術とその普及のための政策 紀伊 雅敦 (香川大学工学部安全システム建設工学科准教授) 三好 博昭 (同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターディレクター) 3)今後の自動車交通の用途別すみ分けの最適化について 千田 二郎 (同志社大学理工学部エネルギー機械工学科教授) 討論:17時45分ー18時45分 閉会挨拶:塩地 洋 (京都大学大学院経済学研究科教授) レセプション:19時- 寒梅館1階 アマーク・ド・パラディ 総合司会:鈴木 不二一(同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センター アシスタントディレクター) 【主 催】 同志社大学技術・企業・国際競争力研究センター 京都大学上海センター 上海社会科学院部門経済研究所 【お問合せ先】 同志社大学 技術・企業・国際競争力研究センター (ITEC) 〒602-8580 京都市上京区今出川烏丸東入 寒梅館3階 (担当:鈴木・田中) TEL: 075-251-3779 FAX: 075-251-3139 Email: [email protected] ※ 本シンポジウムは科研費(21310099)の助成を受けたものである. 【 前 講 師 プ ロ フ ィ ー ル ・ 講 演 要 旨 】 半 1)温暖化問題と自動車メーカの取り組み-環境関連技術の最前線- 大野 栄嗣(おおの えいし) トヨタ自動車株式会社 CSR・環境部担当部長 1949年早稲田大学大学院修士課程終了後、トヨタ自動車㈱に入社。東富士研究所にてエンジンの研究開発に従 事。5年間の米国駐在を経て、再度東富士研究所に戻る。1995年、技術管理部において業務改革やエコプロ ジェクトを担当。1999年、FP(Future Project)部部長として、自動運転研究、飛行機開発、ロボット開 発、バイオテクノロジー研究などを指揮。2003年より現職。 *講演要旨 : 自動車業界は、地球温暖化問題に対処するため燃費の向上に取り組んでいるが、現在はまだ従来型燃費向上技 術が主流である。今後は、従来技術以上に次世代車が重要になると予想される。トヨタを例に、ハイブリッド 車、電気自動車、燃料電池車などの次世代車の特徴や課題を紹介する。また、現状の開発状況を踏まえた上で、 これらの次世代車が将来どのように普及していくかを展望する。 2)中国における新エネルギー自動車の現状と政策 孫 林(Sun Lin ) 上海社会科学院部門経済研究所副研究員 博士(国際開発:名古屋大学) 長年、計算可能な一般均衡(CGE)モデルによる中国の地域経済,環境関連政策の数量分析活動に従事し 2002年より上海社会科学院部門経済研究所助理研究員(講師)、2004年より現職。2008年より同志社大学 総合政策研究科客員教授。 近年、中国自動車エネルギー・環境関連の政策研究に従事。主著(共著)に『自動車環境政策のモデル分析―地 球温暖化対策としての環境車普及促進政策』(文真堂)等。 *講演要旨 : 近年、中国では、自動車市場の急成長に伴い、エネルギー・環境問題が問題化しつつある。従来型自動車の省 エネ、低排出ガスを促進する政策が継続的に打ち出される一方、石油に頼らない新エネルギー自動車の開発・商 用化と、それに対する政府の支援が活発化している。講演では、中国における自動車メーカの行動と政府の政策 を紹介するとともに、今後の中国における新エネルギー自動車に対する政策の方向性を展望する。 3)上海知能交通システムの発展と世界博覧会における応用 朱 昊(Zhu Hao) 上海市総合交通規画研究所知能交通中心主任、主任エコノミスト 修士(交通運送:上海鉄道学院) 長年、中国都市交通企画、方案及び政策提言の活動に従事し、2007年より現職。中国知能交通標準化委員会技 術委員、上海市交通運輸協会委員。 近年“万博専線バス公共信号優先研究”,“交通総合信息平台決策応用研究”,“交通総合平台重点技術研究”, “総合交通策支持フレームワーク研究”,“上海知能交通系統標準フレームワーク体系研究”などのプロジェクト の研究に従事し、数多く論文を発表している。 *講演要旨 : 経済の成長に伴い、上海市の交通流は急速に拡大している。近年、上海市政府は交通状況の改善を図るため に、2010年世界博覧会の開催を機に、ITS技術を積極的に導入している。講演では、上海市のITS技術応用の流 れと世界博覧会を円滑に運営させることを目的にしたITS関連施策を説明するとともに、今後の上海市における ITS技術の応用と発展を展望する。 2 後 半 1)効率的な道路交通のための料金政策 文 世一(むん せいる) 京都大学大学院経済学研究科教授 工学博士および博士(経済学) 専門は、都市経済学、交通経済学。現在の主要な研究テーマは、「交通混雑の分析と政策」「地方政府による公共 サービスの供給」「交通インフラストラクチャの投資と運営」など。 1989年東北大学応用情報学研究センター助手,1993年東北大学大学院情報科学研究科助教授,1999年京都大学大学 院経済学研究科助教授を経て、2006年より現職。 主著に、『都市経済学の基礎』(共著、有斐閣)、『交通混雑の理論と政策―時間・都市空間・ネットワーク』(東 洋経済新報社)等。 *講演要旨 : 効率的な道路交通を達成するためには、社会的限界費用にもとづいて道路料金を決定すればよい。そこで、まずは 社会的限界費用とは何かについて説明し、それを実現するための手段である、ロードプライシングについて述べる。 ロードプライシングは、ITS、ETCなどの技術革新によって実現可能性が高まっている。講演では、諸外国の事例など を紹介しながら、日本での導入可能性について論じる。 2)安全ITS技術とその普及のための政策 紀伊 雅敦(きい まさのぶ) 香川大学工学部安全システム建設工学科准教授 同志社大学総合政策科学研究科嘱託講師 博士(土木工学:東京工業大学) 米国デラウエア大学客員研究員、財)運輸政策研究機構 運輸政策研究所研究員、財)日本自動車研究所研究員、財) 地球環境産業技術研究機構研究員を経て、2009年より現職。 中央官庁や公益法人の行う自動車関連技術の評価、並びに地球環境問題に関する数多くの委託研究に従事。自動車技 術や交通現象、都市問題に関する深い知見をベースにしながら、統計解析手法、経済学的手法等を駆使して、技術政 策、交通政策、環境政策の分析、評価を専門とする。 主著(共著)に『都市のクオリティ・ストック―緑地・建物・交通と土地利用戦略―』(鹿島出版会)、『環境対応 進化する自動車技術』(日刊工業新聞社)等。 三好 博昭(みよし ひろあき) 同志社大学大学院総合政策科学研究科教授、技術・企業・国際競争力研究センター・ディレクター 博士(国際公共政策:大阪大学) 民間シンクタンクの主任研究員として、長年、調査研究活動、政策提言活動に従事し、2003年より同志社大学研究 開発推進機構専任フェロー(教授)、2008年より現職。 同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターディレクターを兼任し、自動車ITSをはじめとする新技術の厚生経済 学的研究に従事。主著に『自動車の技術革新と経済厚生』(白桃書房)、『地球環境世紀の自動車税制』(勁草書 房)等。 *講演要旨 : 安全分野のITSとしては、追突速度低減システムや車線維持制御システム等、自動車単体でシステムが完結する「自 立検知型運転支援システム」が、すでに高級車で実用化されている。しかし、今後、交通事故を抜本的に減らしてい くためには、ドライバーから見えにくいあるいは見えない事象に対応する、路車間通信、車々間通信、歩車通信のITS の普及が不可欠といわれている。講演では、これら3つのシステムの経済学的特質を分析した上で、市場普及のため の政策を提言する。 3 3)今後の自動車交通の用途別すみ分けの最適化について 千田 二郎(せんだ じろう) 同志社大学理工学部エネルギー機械工学科教授 博士(機械工学:同志社大学) ヤンマーディーゼル㈱技術研究所主任、同志社大学工学部機械系学科助教授、ウイスコンシン州立大学客員助教授等 を経て現職。同志社大学エネルギー変換研究センター長(2003.6-2008.3)、同総合情報センター長(2004.42007.3)。自動車技術会フェロー、日本機械学会フェロー、JSAE フェローエンジニア(エンジン燃焼、研究)。 専門分野は、噴霧工学,燃焼工学,内燃機関,熱流体工学,光学計測,キャビテーション工学。エンジン内燃焼シス テムと燃料設計の両方から低公害車の実現をはかるための研究を数多く発表している。 *講演要旨 : 近年、ガソリンエンジンの高効率化、ディーゼルエンジンの低公害化さらにHV・EVなどのエコカーの市場導入 が活発化している。この観点から、本講演では下記の内容に関して概論的な解説を行う。 ①自動車と環境問題 ②自動車用パワーユニットの開発の現状 ③LCAから見た今後のパワーユニットの方向性 ④ホロニック・エネルギー・パスの観点からの各種自動車の用途別最適化のすみ分け 4
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