光センシング技術部会 講演要旨 開催日:平成23年6月22日(水) <2011-1 ①> テーマ:「裸眼立体ディスプレイの立体視域と 3D クロストーク」 講演者:結城昭正 氏(三菱電機(株) 先端技術総合研究所 先端機能デバイス技術部 LCD 技術グループ 専任) 裸眼立体ディスプレイは、複数の異なる視差画像を表示する画素の光線を、レンズやバリアを用 いてそれぞれ異なる地点に集光し、立体視可能な空間(立体視域)を形成する方式である。このた め、ユーザの観察位置によってはディスプレイ設計者の意図しない画像を観察者が見る可能性もあ る。上記に鑑み、ISO/TC 159国内対策委員会において、裸眼立体ディスプレイの評価方法として、 2種類の視域、即ち、立体ディスプレイの表示に起因する視覚疲労が許容レベルである視域QBVS (Qualified Binocular Viewing Space)と、立体表示に起因する視覚疲労が許容レベルである視域 QSVS (Qualified Stereoscopic Viewing Space)に分けて定義し、それぞれの広さを計測することが 提案されていることを紹介した。 この QBVS と QSVS のそれぞれの境界を決める重要な物理的要因の一つとして、3D クロスト ーク(3D Crosstalk )がある。講演では、3D クロストークは単にゴースト像の発生により画質 を低下させるだけでなく、左右の目の見る画像の中のゴースト画像の組合せによっては、見づらく させる場合があるとの主観評価結果を示した。そして、左右の画像のゴーストと本来の画像との組 み合わせにより誘引される奥行き感が複数発生し、混乱を生じさせるために見づらくなるとの機構 があることを紹介した。
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