ドイツ連邦食料・農業省プレス公告 Bundesministerium für Ernährung und Landwirtschaft NO 35 NO35 2016・9・2 1 イギリスのEU-離脱後の共通農業政策の役割 ーEU・非公式農業大臣会議ー 今後のEUにおける共通農業政策(GAP)は、どのような役割を与えられる のか?この課題は、2016 年 9 月 2 日フランスの Chambord における、EU・非 公式農業大臣会議の中心に据えられている。フランスの管轄部長 Stephane Le Foll も招かれた。気象変動、動物ー環境そして資源保護と再生可能な原料に対 する需要と価格変動といったようなテーマは、ヨーロッパ全体の農業経営を、 大きな挑戦の前に立たせている。 これには、イギリスの EU 離脱ー国民投票の結果、間接的、直接的問題が、 新しく加わった。GAPは、EUの将来のために重要な政策領域である。 ド イツ連邦農業大臣シュミットは、フランスにおける農業大臣会議に関連して、 今まさに明確に約束した。ヨーロッパにおける農業が、人々に高品質でかつ適 切な価格で食料を提供することに、貢献しなければならない。同時にこのこと は、GAPが家族経営で特徴付けし、地域全体にわたって持続的な農業が、農 村地域の背骨として維持されることを可能にする。 ”さらに農村における人口移動に、対応しなければならない。つまり、我々 は若い人々と家族のために、永続的展望を切り開くことによって貢献できる” と、シュミットが意見を述べた。このため、GAPは農業経営が将来の挑戦を、 可能な限り非官僚主義的に克服することを、可能にする。EU -レベルでの法 的に規定された有利条件の約 50%が、今日農業ー食料業に関係している。シ ュミット大臣の見解によれば、緊急のそして徹底した簡素化が必要であるとし ている。 -1- まさに我々は、EU とGAPの社会的な受入れを回復するために、生じた藪を 刈り取りしなければならない。”この見解は、我々が共同でイギリス国民の EU 離脱投票から、引き出すべき教訓に挙げられる”と、シュミットが述べた。 共通農業政策(GAP)のキーワード 2013 年に EU-農業大臣、EU-議会そして EU-委員会は、共通農業政策に関し て、次の期間を 2020 年まで合意している。EU の農業経営で合計 4,600 万の就 業の場が、ヨーロッパ農業ー食料業の分野に依拠している。 フランスにおけるEU・非公式農業大臣会議に係るシュミット大臣の談話 フランスの農業大臣の招きで20EU-農業大臣が、ヨーロッパの農業分野 ないし GAP の今後の役割について、イギリスのEU離脱の潜在的な影響につ いて会談を行った。これに関して連邦農業大臣シュミットは説明した: ”私は,ヨーロッパ統合の分野において,ドイツーフランスの軸の基本的な 役割を、明確に際立たせることについて、私のフランスの同僚大臣である Le Foll に感謝する。農業政策は、将来においても当面する挑戦を、克服すること ができるヨーロッパプロジェクトの不可欠な構成要素である。さらにGAPは、 将来においても財源を適切に提供しなければならない。我々は、GAPの再国 内化またはこれの解消の考え方について、明確に拒否する。 我々は、GAPの公的な存在を維持するために、著しい簡素化が必要とみて いる。 GAPは、今後グローバル化、ヨーロッパと国内そして社会的な挑戦 にも、適切に反応できるという状況になければならない。その際、中心点は: 食料の確保、気象変動並びにヨーロッパにおける人口変動を背景に、若い人々 と家族のために農村地域の将来展望を、土地との結びつきで保持することであ る。 牛乳危機に陥りやすいこともまた、明らかに改善されねばならない。共同で の目的は、価値創造チェーンの中で生産者の位置がさらに強化され、そして今 後農業者の市場危機の回避である。我々は、このテーマを 9 月 11 日~ 13 日の 非公式会議でさらに議論する。” -2- 2 バイオ経済の国内政治戦略を積極的に評価 ーバイオ経済前進報告を閣議決定ー 連邦閣議は、「国内政治戦略 バイオ経済前進報告書」を決定した。この報告 書は、強化されたバイオを基礎とした経済(バイオ経済)の道での成果を証明 している。この成果は示している:これはさらに前に、進まねばならない。国 内政治戦略バイオ経済に係る閣議決定の後、3年後にこの前進報告書が提出さ れた。 連邦農業省の所管のもとに、複数の省にわたる作業グループ(IMAG)が、 実践状況を評価する。それは、前向きな全体評価となる。 ◎ ドイツは、経済が持続的なバイオ経済の方向に具体化するための良い道に いる。国内政治戦略 バイオ経済の目的と考え方は、連邦所管省の政策の 中に取り入れられる。 ◎ 多くの奨励プログラムの構想、国際的な協定、国内・国外専門会議並びに 数多くの国内、国際的な所管政策は、政治戦略の目的に合致する。 ◎ これは、戦略の中の 70 以上の実践リストもまた、いわゆる個別政策に反 映される。これは、前進報告に加わる(個別政策バイオ経済)。 ◎ それにも拘わらず、将来のための挑戦:バイオ経済は、さらに一貫して 持続的に具体化されねばならない。それは、経済と市民の日常生活にと って、重要でなければならない。前提条件は、バイオを基礎とした産物 を生産し、そして利用するための企業と消費者の受容である。 バイオ経済の分野における連邦農業省の個別政策の選択 再生可能原料奨励プログラム 再生可能な原料の研究と普及が奨励される。これは 2015 年 5 月以来、連邦農 業省の奨励プログラムの核である。同時に工業国ドイツと農村地域のために、 新しいチャンスと展望を切り開くものである。このプログラムの目的は、革新 的で国際的に競争力のある、バイオを基礎とした新しい方法とテクノロジーに よるところの、産物生産を支援することである。バイオを基礎とした経済の持 続性を改善し、そして社会的な期待を考慮した構想もまた、支援されることが できる。 -3- 革新的な木材製品の分野における奨励と科学的な知見の伝達 連邦農業省は、広葉樹材の原料利用ー将来を指向した木材利用のための挑 戦会議を開催した。 ◎ 複数階建ての木造建築が成功:11 階建てまでのプロジェクトでもって、ド イツにおいて現実化の段階 ◎ エネルギーとしての木材利用は、可能な限り原料として役立つ燃焼技術の さらなる普及と環境汚染物質放出の削減 ◎ 環境汚染物質の少ない木材原料を、特に建築業のために投入(例えば木材 ー複合型原料、軽量建築方式の板、接着剤化学など) 飢餓と栄養不足との闘いのためのFAOの二国間信託基金 各国は持続的なバイオ経済戦略を、どのように発展させるのか? そのため、 FAO は自らの加盟国に将来的なアドバイスをすべきである。 その際、ドイツ 連邦農業省は、二国間信託基金の分野において FAO を支援する。そのために、 必要な専門家を配置する。最初の計画において、既に存在する国内バイオ経済 構想ープログラム戦略を評価する。 これは、必要とする農業経済的、生態系的そして社会的要素が、持続的なバ イオ経済の中に含まれていることの分析を、発展させるために有効である。引 き続き第2計画において、バイオ経済のためのマニュアルの策定を計画してい る。このことでFAOー加盟国は、バイオ経済の可能性を評価し、そして地域 的な適応、国内のバイオ経済戦略ー構想を発展させ、そして実践できるように する。 土壌研究と土壌肥沃性の向上 ドイツ連邦農業省は、土壌研究を強化する。その目的は、高価値な食料、飼 料そして再生可能な原料のための基盤としての土壌肥沃性を、改良ないし維持 することである。同時に環境リスクを、減少することである。個別の観点では、 土壌圧縮損傷とエロージョン防止並びに腐植の蓄積確保、土壌の状況変化と監 視、施肥効果の向上が挙げられる(土壌流出被害の防止、栄養素の固定)。 バイオ経済のモニタリングの構築 戦略的に決定的なことは、適切なデータ基盤を必要とすることである。この ため、バイオ経済モニタリングを構築し発展させるために、2016 年に 3 年間 のパイロット段階をスタートさせた。このことは、全体的、専門的そして制度 的な実践に関しての大きな計画である。そのため、3つの省からの省内作業グ ループは、共同でバイオ経済のための作業を行っている。 -4- 連邦農業省は、生物に由来する原料からの電気に対するモニタリングの領域 に集中している。つまりバイオマスの様々な種類、バイオ副産物と残物が生産 され、そして残るところの問題についても。連邦農業省は、国民経済的指数を 分析する際に、そして特に研究と革新の領域を考慮する。連邦研究省は、バイ オ経済の生物的循環、エコシステム、気象そして研究、社会的普及の研究を奨 励する。 連邦農業省のさらなるプロジェクトと奨励プログラム これは、新しい科学技術の知見を基礎に革新的で、国際的に競争力のある産 物、手法そして実践の発展の「革新奨励のためのプログラム」である。連邦農 業省は、イニシアチブ「ゴミ箱には良すぎる」もまた、食料の投げ捨てを防止 し、家畜の飼育においては飼育条件の最適化、さらにEUレベルでの共通漁業 政策の改革において、再生可能な作物原料のように、魚類原料の責任ある取り 扱いを誘導する。このこともバイオ経済の政策である。 背景:政治戦略 バイオ経済 連邦政府は政治戦略 バイオ経済でもって、石油でなく再生可能な資源を増や す,原料節約的な経済への転換を支援する。連邦閣議は、2013 年 6 月 17 日に 「国内政治戦略 バイオ経済」を決定した。この戦略は、バイオを基礎とした 経済への道で、戦略的な政策と手法、行動を含んでいる。目的は持続的経済の 領域で、ドイツにおけるバイオ経済の価値創造ー就業の可能性を、活用するこ とである。これは、食料の確保並びに環境の保護、気象とバイオの多様性と結 びついた、再生可能な原料の生産と拡大に有効である。バイオ経済は、工業ー エネルギー政策、農業―林業そして漁業政策、気象ー環境政策並びに研究ー普 及政策のような、様々な専門政策に係っている。 戦略実践のために連邦農業省所管のもとで、連邦政府は外務省、教育・研究省、 経済共同・発展省、環境・自然保護・建築・原子炉安全省,交通・デジタルイ ンフラ構造省、経済・科学省,連邦首相官房が参画して、政府内作業グループ (IMAG)を設置した。このグループは、共同でドイツにおけるバイオ経済の 実践水準についての、進捗報告書を策定する。これは、政策としてすでに計画 された政治戦略 バイオ経済の点検システムである。 2016・9・4 青森中央学院大学 中川 一徹 -5- 訳
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