いじめ・自殺防止のための要望書 文部科学大臣・馳 浩殿 我が国の自殺者の数は、3万人を下回っておりますが、若者の自殺は年々 増加し、若年層の虐待問題は、7万件を超え過去最高となっており、不登校は 12万人を数えています。また、若い世代で死因のトップが自殺なのは、先進7 カ国のなかでは日本だけです。欧米等では普通に行われており、我が国では 行われていない「うつ・自殺予防と心の健康のための教育」を、国として、是非 進めていただきたくお願い申し上げます。 平成26年(2014年)にNPO法人再チャレンジ東京が実施した「いじめ・自殺 撲滅作文コンクール」では、いじめの実態が赤裸々に語られました。その中の 優秀作品を一冊の本にまとめ「いじめストップ読本」として出版し、大きな反響 をいただきました。平成27年(2015年)には東京都内を中心に 「命を守る」特 別授業 と称し、コンクールの優秀作品 『天使がくれた飴ちゃん』 の作者であ る上野万里子さん自身が学校の現場に赴き、本人の言葉で綴る朗読と、うつ 予防効果の高い絵本 『カーくんと森のなかまたち』 、さらにはミュージシャン の「HELP」の演奏をセットで活用した読み聞かせの道徳授業を行い、話に涙 する子、心から理解してくれる子、被害者として、または加害者または傍観者と して子どもたち自身の出来事に照らし、そこから心新たにしてくれる子など、こ ちらもまた大変な反響をいただきました。荒んだ子どもたちの気持ちを立て直 すには極めて有効な方策であると確信した次第です。 また、2月13日に行った杉並区立八成小学校の「道徳地区公開講座」の授業 では、はじめにどんな人でもいじめられる可能性があることを、スライドを使っ て示し、その後、子どもたちにアンケートを取ると、「いじめられる側も悪い」と いう答えがかなり多く見られました。その後、3歳からいじめに会い、ミュージシ ャンとなって、詩を書き、「飛べない小鳥―いじめという籠の中で」の歌を玉貴 さんが歌い、さらに「いじめ・自殺撲滅作文コンクール」で最優秀賞に輝いた上 野百合子さんの、「天使がくれた飴ちゃん」の実体験の朗読を聞いて、子ども たちの反応を聞くと、「いじめられる側も悪い」という側にいた生徒の9割が「い じめる側が100%悪い」に変わっていました。この変化は特別授業を行った、 どの学校でも見られ「いじめは絶対よくない」や「傍観者でなく、やめさせる側 に回る」といった声が聴かれ、校長先生や、教育委員会からも「こんなに効果 がある授業ははじめてです。多くの学校でやってほしい」との声をいただいて います。 近年、いじめを受けた子どもたちはPTSD、加害児童は発達障害などとされ、 医療(主に精神科医療)的介入でこうした問題を解決しようという傾向が見受け られますが、実際は、 一向に効果を表しません。一方で、私たちの「いじめ ストップ読本」や「命を守る」特別授業、さらには、うつ・発達障害の解決本とし て発行した「こころの健康手帳」には即効性もあり、かつ極めて高いレベルで 解決をもたらしております。 つきましては、次の事項について、特段のご配慮を賜りたくお願い申し上げま す。 記 1、児童生徒のいじめ・自殺予防に効果がある教材として、いじめの体験談 「いじめストップ読本」と、発達障害児を薬漬けから守り、将来の可能性を 引き出すための「こころの健康手帳」 を文部科学省の取り組みとして予算 化すること。 2、これまで都の助成金で行ってきた東京中心の「命を守る」特別授業を、全国 規模で行ってゆきたいので、これを文部科学省として支援してほしい。 平成28年2月19日 NPO法人 再チャレンジ東京 いじめ・自殺防止国民運動本部 理事長 宇田川 雄弘 事務局長 平林 朋紀
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