ON THE SPOT

ON THE SPOT
現場から
●ダンス
第 1 回日本ダンス医科
学研究会
スの重要性も話した。
ボディワークスコンディショニング
次に、2 つ目の基調講演は、平石
では、「呼吸」「センタリング」「安
英一氏(永寿総合病院整形外科)に
定性」「無駄をなくす」の 4 つに重
よる「バレエによる足関節・足部の
点をおき指導をしていると話した。
2010年 1 月30日、国立スポーツ
障害」。整形外科医から見たバレエ
最後に、学術報告で水村真由美准
科学センターにて第一回日本ダンス
ダンサーの障害についてMRIやレン
教授(お茶の水女子大学大学院)に
医科学研究会(JADM)が行われた。
トゲン写真を用い、自身の診察、研
よ る 「 国 際 ダ ン ス 医 学 会 に 学 ぶ 」。
本研究会は、日本におけるダンス医
究結果から経験を話した。とくに、
水村准教授は、国際ダンス医科学会
科学についての基調講演とパネルデ
実際来院するダンサーは10代が多
の歴史、学会内容の説明後、日本特
ィスカッションが開催され、会場に
く、ダンサーへのケアとしては、運
有のダンサーを巡る環境の問題点と
は、現役ダンサーをはじめ、学生、
動・動作の制限を一番大事にしたほ
して、ダンサーの経済状態、トレー
ダンス指導者、整形外科医など70
うがよいと説いた。
ニング・栄養・休養に対する誤解な
名以上が集まった。
さらに実践報告では、橋本佳子氏、
ど、多くの問題も挙げられていると
まず、お茶の水女子大学学生によ
ダレン・ヒンドリー氏(ボディワー
説明した。今後、日本ダンス医科学
る躍動感あふれるダンスパフォーマ
クス主宰・コンディショニング研究
会を通して意見交換できる場をつく
ンスから始まり、会場も釘付けであ
家)による「実践を通じたダンス医
り、日本のダンスを巡る医科学への
った。
科学への提言――ダンサーからボデ
活性化、ネットワークの構築をし、
現場とリンクさせたいと話した。
最初の基調講演は、蘆田ひろみ氏
ィコンディショニングインストラク
(有馬医院医院長)による「ダンサ
ターへの経験を通じて」。ダレン・
パネルディスカッションでは、水
ーの抱える健康問題」。クラシック
ヒンドリー氏は、日本にきて、日本
村准教授がコーディネーターを務め、
バレエの歴史・文化・習慣や歩行運
人はダンスについてどのように勉強
パネリスト 4 人と聴衆との間で、実
動学、ダンサーの外反母趾の問題、
しているのかなどの驚いた点や疑問
際に行っているトレーニングやリハ
そして大半の障害の原因にオーバー
点を話した。また、橋本氏は、日頃
ビリ、ボディコンディショニング、
ユースがあげられると報告された。
のダンサーの身体の管理、舞台に立
今後のダンス医科学の展望など、さ
その中でも、ケガを負ったダンサー
つ際によい状態に調整することの重
まざまなテーマで意見が交わされた。
に、メンタル面に配慮したアドバイ
要性を映像も交えて話した。さらに、
学生、指導者、整形外科医などが集まったダンス医科学研究会
6 Training Journal May 2010
今回のダンス医科学研究会は、日
会場とパネリストの間で意見交換が行われた
現場から
本人ダンサーのケガの状況、健康、
い、何が日本に金メダルをもたらし
●アスレティックトレーニング
トレーニングの重要性を参加者の中
たかを考えた。当初は日本のマスコ
で共通理解を持つことができ、充実
ミはメダルすら期待していなかった。
WATS10周年記念イベ
した研究会であった。今後も、ダン
危機感を抱いた米田氏は“目標は金
サーとダンス医科学のさらなる発展、
メダル”と公言し、自分たちに敢え
そして、現場と研究をつなぐ、大切
てプレッシャーをかけた。そして合
心に運営されているサークル
な研究会である。
宿時にチームメイトに「どうすれば
「WASEDA Athletic Training Society
金メダルを取れるかな?」とさりげ
(WATS)」が今年度設立10周年を迎
なく質問を投げかけ、徐々に気持ち
え、去る 2 月28日に早稲田大学早
●メンタルトレーニング
を盛り上げていき、やがてチームの
稲田キャンパスにて、WATS10周年
ストレスに負けない心を
共通目標を“団体戦金メダル”とす
記念イベントが開催された。
(安川貴子・日本体育大学大学院)
去る 2 月23日、(株)アイディア
るまでのプロセスが本人の言葉で語
ント
早稲田大学の学生トレーナーを中
WATSとは、「早稲田大学内外へ
のアスレティックトレーニングを普
られた。
ヒューマンサポートサービス(東京
後輩のチームメイトにも決して上
及」を理念とし、勉強委員会、イベ
都渋谷区)にて、心理カウンセラー
から押さえつけるのではなく、ゲー
ント委員会、広報委員会の 3 つの委
の浮世満理子先生による特別セミナ
ム感覚で本人の自発性を引き出し、
員会と委員会に所属をしない一般会
ー「チームの元気をつくるモチベー
ストレスへの耐性をもつくりだした。
員により構成されているサークルで
ションアップ――ストレスに負けな
個性の強い負けず嫌い集団を率いて
ある。勉強委員会では、学生トレー
いこころとモチベーションアップ」
金メダルを獲得したその背景には、
ナーのスキルや知識を向上するため
が開催された。
米田氏の絶妙なリーダーシップがあ
の定例勉強会や、スポーツサークル
ったのである。
に所属する学生に向けスポーツ現場
メンタルトレーナーとしてトップ
で実践できる知識や技術を伝える活
アスリートたちの内面に接している
ケガに直面しても決して悲壮にな
浮世氏。自己紹介でなぜ自分が心理
ることなく、できることを日々行い、
動をしている。イベント委員会では、
カウンセリングの道に入ったかを語
目標に近づけていったという米田氏
学内スポーツイベントへの救護スタ
り、メンタルの重要性を強調した。
は、体操クラブ設立に向け、メンタ
ッフの派遣、高校生向けへのワーク
その後、アテネオリンピック男子
ルの重要性をより一層感じていると
ショップ、講演会の開催を行ってい
いう。
る。広報委員会では、WATSの活動
体操団体で金メダルを獲得したとき
のリーダーで、現在は同社で「トッ
日本にも本格的なメンタルの時代
プメンタルトレーニング」という自
が到来したことを感じさせるセミナ
身の講座を持つ米田功氏を講師に迎
ーだった。
え、当時の思い出を振り返ってもら
10周年を迎えた学生トレーナー組織WATSによる記念イベント
(松崎辰彦)
を宣伝するHPやブログの運営、機
関紙の作成を行っている。
イベントの冒頭ではWATSの活動
してきた10年間が紹介され、また
卒業生と学生が公開ディスカッションを行った
Training Journal May 2010 7
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各委員会の委員長から今年度の活動
勉強する環境が整い、非常に情報を
備国際大学名誉教授)による講演が
報告が行われた。
仕入れやすくなりました。しかしそ
行われた。スポーツ科学という概念
次に行われた公開ディスカッショ
の弊害で今の学生は頭でっかちにな
が日本に導入された東京オリンピッ
ンでは、「経験を未来へつなげる」
り失敗を恐れすぎているように感じ
ク当時の選手強化の様子など豊富な
というテーマについて、早稲田大学
ます。ぜひ失敗を恐れずに『崖を見
経験を話された。
を卒業した
ないで飛ぶ』くらいの意気込みで積
一般公開された基調講演は、上松
極的に行動をしてください」と学生
大輔先生(新潟経営大学競技スポー
へメッセージを送った。
ツマネイジメント学科)の司会によ
小松良平氏(2006年度卒)、飯田
悠佳子氏(2004年度卒)、井畑善夫
氏 ( 2 0 0 6 年 度 卒 )、 本 庄 悠 一 氏
WATSは今後も活動を続け、学生
り行われた。テーマを「スポーツパ
(2008年度卒)、そして現在早稲田
の力でアスレティックトレーニング
フォーマンス稲門会の発足によせて
大学に在学している國次聡史氏( 3
の普及に貢献していくことを大いに
―― スポーツ選手を取り巻く環境の
年生)、北野雄大氏( 1 年生)によ
期待したい。
変遷」と題し、会長の鹿倉二郎先生
って話し合われた。
(九十歩和己・早稲田大学)
学生から挙げられた「学生時代に
(順天堂大学スポーツ健康科学部)
が、アスレティックトレーナーとス
経験をしてよかったことは何か」と
●スポーツ医科学
トレングス&コンディショニングコ
いう質問に対して、卒業生の 4 名は
スポーツパフォーマンス
稲門会発足
ーチを中心にその変遷を示された。
口を揃えてスポーツ現場でのトレー
ナー活動を挙げた。教科書での勉強
これらのスポーツ選手を支えるスタ
ッフの存在はますます重要になって
だけではなく、実際にトレーナー活
去る 2 月28日、早稲田大学(東
おり、近年、トップアスリートに対
動をする中で問題に直面し、自ら主
京都新宿区)にて、スポーツパフォ
しては「チーム○○」と呼ばれるサ
体的に考え行動を起こし問題を解決
ーマンス稲門会発足記念シンポジウ
ポートスタッフチームが結成されて
していく経験が重要であると語った。
ムが行われた。
いる。今後、このようなパーソナル
公開ディスカッションの最後にはト
スポーツパフォーマンス稲門会は、
なサポートに加えて、学校スポーツ
レーナーに大切なものを各氏に語っ
早稲田大学卒業生を中心に設立され、
においても専任のサポートスタッフ
てもらい、締めくくりとなった。
その運営理念の一つとしてスポーツ
が雇用されることが期待される。そ
イベントの最後に、サークルの会
パフォーマンス領域に関わる業態の
のため、スポーツパフォーマンス稲
長である中村千秋氏(早稲田大学ス
認知、職業としての地位確立につな
門会においても、社会に対してスポ
ポーツ科学学術院准教授)が自らの
がる活動を掲げている。
ーツを支える人材の充実について発
経験を語り、「昔と違い、現在は大
会員を対象に行われた総会では窪
学でアスレティックトレーニングを
田登先生(早稲田大学名誉教授、吉
スポーツパフォーマンス稲門会発足記念シンポジウムで
講演する鹿倉氏
8 Training Journal May 2010
信することを期待したいと述べられ
た。
「職域のカベを破る」をテーマに行われたシンポジウム
現場から
続いて行われたシンポジウムでは
「職域のカベを破る」をテーマに、
長瀬エリカ先生(早稲田大学非常勤
講師)、大木学先生(トライ・ワー
クス、帝京大学ラグビー部アスレチ
ッ ク ト レ ー ナ ー )、 村 上 貴 弘 先 生
(バイタイルストレングス代表取締
役)がそれぞれの立場から発表され
た。まず、長瀬先生はサポートスタ
ッフの連携には共通の知識・技術が
不可欠であること、また、それぞれ
の専門性を理解することが重要だと
述べられた。次に、大木先生は自身
が所属するチームの組織図を示し、
大きな組織が機能するためには責任
高校野球選手を例にプログラミングなどの技法を提示
の所在が明確になることが大切だと
された。そして、村上先生は職域の
「カベ」は決してネガティブな側面
だけでなく、専門職として知識・技
方、メンタルトレーニングを実践し
われ、フロアからは選手との関わり
ている方など65名が参加した。
方やトレーナーとしての心構えにつ
初日は安藤花恵氏
(九州国際大学)
いて、実践を踏まえた指摘やアドバ
術を深めるためには大切であること
が、演劇俳優の感性とスポーツに必
イスなどが行われた。最後に修了証
を述べられた。最後に、コーディネ
要な感性に共通する点を整理しなが
が授与され、実践的メンタルトレー
ーターの広瀬統一先生
(早稲田大学)
ら、3 つの視点「選手の視点、コー
ニングの研修を終えた。
とシンポジストが登壇し、ディスカ
チ自身の視点、第三者の視点」をバ
ッションが行われた。サポートスタ
ランスよく認識するよう提言された。
ッフ個々の立場は違うが、選手がベ
続いて土屋裕睦氏
(大阪体育大学)
ストパフォーマンスを発揮できるよ
が、国内外で積み上げられたメンタ
う支援することが共通の役割であり、
ルトレーニングの理論を整理しなが
それに対して障害となるような「カ
ら、個人からチーム支援まで必要な
ベ」を取り除くためにスタッフ間で
報告文献や方法論を紹介された。
常にコミュニケーションを取ること
総会後には全国でメンタルトレー
が必要であると締めくくった。
ニングを実践している参加者がポス
(村田祐樹・早稲田大学大学院)
ター発表を行い、盛んな質疑が繰り
広げられた。
●メンタルトレーニング
第 4 回日本メンタルト
レーニングフォーラム
3月 5 日、6 日、九州大学筑紫キ
2 日目は鈴木壯氏(岐阜大学)が
面接の方法について研修を行った。
(井上光成・NPOスポーツGEAR)
●スポーツ心理学
第23回九州スポーツ心
理学会
3 月 6 日午後より、九州大学筑紫
キャンパスにおいて、「第23回九州
スポーツ心理学会」が開催され、
「チームワークとパフォーマンス」
をメインテーマにさまざまな発表が
行われた。
まず山口裕幸氏(九州大学)によ
心理サポート担当者はまずサポート
って、「チームワーク育成への心理
の構造を設定し、クライアントの話
学的アプローチ」と題する基調講演
に傾聴しながら共感と理解を深め、
が行われた。チームコンピテンシー
ャンパスにて「第 4 回日本メンタル
続いて技法の提示を行いながら担当
(やりとげる力)
、チームレジリエン
トレーニングフォーラム」が開催さ
者の役割を縮小していく過程が詳細
ス(回復力、タフネス)をキーワー
れた。本フォーラムは日本スポーツ
に説明された。
ドに、強いチームの心理的能力を分
メンタルトレーニング指導士会が主
続いて九州大学大学院生らによる
催するもので、スポーツメンタルト
高校女子バレーボール部に対する心
レーニング指導士や資格取得を志す
理的サポートについて事例検討が行
析しながらチームワーク強化のアプ
ローチ法を提案された。
続いて「チームビルディングの理
Training Journal May 2010 9
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福祉大学)は動機づけ面接法の紹介
と実践、森司朗氏(鹿屋体育大学)
が子どもの遊びが運動の継続に寄与
する論拠を提示された。
午後にはポスター発表が行われ、
26の研究テーマに対して参加者と
対面による質疑が繰り広げられた。
(井上光成・NPOスポーツGEAR)
●学生トレーナー
第13回学生トレーナー
の集い
チームビルディング理論をテーマにシンポジウム
去る 3 月 9 日、10日の両日にわ
論と実践」をテーマに、現場で心理
が紹介された。
たって、第13回学生トレーナーの
サポートを実践している若手研究者
7 日は学生企画「スポーツ文化の
が発表を行った。集団効力感獲得の
現場への応用――スポーツマンガを
奈川県平塚市)にて開催された。
可能性、チームパフォーマンス予測
上手に使おう」という異色の発表が
600名近くの学生トレーナーが参加
モデルの作成状況、指導者の行動が
行われ、フロアからはマンガを利用
し、オブザーバーも40名を超える
チームに及ぼす影響といったテーマ
して効果を認めた体験談や、マンガ
大変な盛況を見せ、学生に関しては
について質疑が行われた。
の可能性と限界について盛んな議論
人数規制が設けられるほどであった。
が交わされた。
今回のテーマは『Action』というこ
ワークショップでは蓑内豊氏(北
集いが東海大学湘南キャンパス(神
星学園大学)らが高校ラグビー部と
続いて「運動行動のアドヒアラン
とで、今、学生が取るべき行動は何
高校山岳部に対するチームづくりの
スの高め方―― 理論・モデルと実
なのかを考え、実際に行動していこ
事例報告を発表、意識したチームづ
践」と題して、能力を向上させる基
う。という意味が込められている。
くりの成果と意図しないチームワー
盤となる運動継続に着目、外発的動
最初に行われた基調講演では、高
ク向上の効果についてフロアと対話
機づけと内発的動機づけの関連を含
妻容一氏(東海大学)が『サポート
が繰り広げられた。フォーラムでは
めて研究発表が行われた。橋本公雄
スタッフのメンタルトレーニング』
ジュニア選手とのやりとりを分析し
氏(九州大学)が運動継続化のモデ
という内容で講演した。近所でペア
ながら選手を上達へ導く方法論など
ル作成状況を、堤俊彦氏(近畿医療
を組んでの実習を交えながら、表情
学生トレーナーの集いで行われた「グループワーク」の様子。
話し合った意見をもとに模造紙にまとめていった
10 Training Journal May 2010
学生トレーナーの集い、2 日目のパネルディスカッション。全国から
600人を超える学生が集まった
現場から
順天堂整形外科スポーツフォーラムより。世界と戦うために、
選手の立場から大畑氏が講演
監督の立場から、清宮氏が講演。
や挨拶といったコミュニケーション
れ、それぞれの立場からさまざまな
●スポーツ医科学
スキルの重要性や、目標設定やイメ
答えを述べた。質疑応答では、社長
ージトレーニング、プラス思考とい
としての鈴木氏に対し、どういった
った心理的スキルの要素などについ
人材を求めているかといった質問や、
順天堂整形外科スポーツ
フォーラム
て話した。
学生時代にいろいろと足を運び勉強
2010年 3 月22日、順天堂大学有
午後からは、別会場でグループワ
したという大石氏に対し、今から何
山記念館にて第 2 回順天堂整形外科
ークが行われた。TMM(トレーニ
を勉強しておけばいいのかといった
スポーツフォーラムが開催された。
ング、メンタルトレーニング、メデ
質問が挙がった。最後に 3 氏から学
今回はラグビーをテーマに、現場
ィカル)の 3 部門に事前の調査によ
り振り分けられ、その中で同系統の
生へのメッセージとして、鈴木氏は、
に携わるスタッフがそれぞれの立場
「未来は明るい。トレーナーという
から現状や対策などが発表された。
競技で10名弱のグループをつくり、
職域を考え直し、何でもやってみた
ドクターらは、コンタクトスポー
ディスカッションが行われた。環境
らいい」と述べ、大石氏は「試練上
ツで多く発生する外傷を、実際の映
や立場の異なる学生達それぞれの話
等。基礎を大切にして、ニーズを先
像で示し、治療に関しては、診断や
に真剣な眼差しで耳を傾け、各々の
読みできるトレーナーに」と述べ、
手術方法、復帰基準などが語られた。
思いや考えをぶつけ合った。とても
鈴木氏は「勝ちに対して貪欲に。肩
国立スポーツ科学センターの奥脇透
新鮮で、白熱した議論が繰り広げら
書きやユニフォームを脱いだときに
医師は、肉ばなれの診断を、損傷し
れた。
こそ、個人としての価値が問われる、
ている組織で重症度を分類し、MRI
勘違いしない」と述べた。
診断の必要性、復帰時期、重傷例に
2 日目にはパネルディスカッショ
ンが行われた。有賀誠司氏(東海大
余談ではあるが、1 日目の夜は非
関しては手術の有無を判断している
学)をコーディネーター、鈴木岳氏
常に悪天候で、ホテルへの移動の際
と語った。脊椎専門の坂根正孝医師
(R-body project代表取締役)、大石
は予想外の苦労を強いられた。しか
は、ラグビー選手の頸椎手術後の復
益代氏(日本ソフトボール協会ナシ
しクロージングで山本利春氏(国際
帰例を紹介、また生命に関わる部分
ョナルチームトレーナー)、小山孟
武道大学)も述べたように、そんな
であるが故の禁忌基準を示しながら、
志氏(日立サンロッカーズS&Cコー
大雨の中、案内役として同行してく
リスクが高いまま競技を続けている
チ)の 3 氏をパネリストとして、
れた東海大学の学生スタッフの方々
選手のプレーを心配する心情が伝わ
のおかげで安全を守ることができた。
ってきた。
『Action自分が今できること将来の
ためにやるべきこと』をテーマに話
この場を借りて、感謝と敬意を表し
外傷予防をテーマとしたシンポジ
し合った。3 氏には、これまでの道
たい。次回は帝京平成大学池袋キャ
ウムでは、トレーナー、コンディシ
のり、現在の仕事について、この仕
ンパスにて開催される予定である。
ョニングコーチ、理学療法士、ドク
事の将来といった質問が投げかけら
(神林秀彰・筑波大学)
ターがそれぞれの取り組みを発表。
Training Journal May 2010 11
ON THE SPOT
現場から
トレーナーの大石徹氏は、「選手自
アライメントやコアマッスルをチェ
選手やチームをサポートすることに
身を最高のトレーナー、コーチにす
ックし、ケガを予防するような動作、
力を注いでいるスタッフらの活動も
る」ことをミッションに、その時期
コンタクトポジションがとれるよう
ラグビー界を支えていることがわか
に必要な水分補給や食事、疲労回復
TRYしていると述べた。
り、今後もこのような研究、活動報
告の会を重ねていくことに意義を感
対策、コンディショニングやトレー
特別講演ではジャパントップリー
ニングに関する情報をメールで配信
グCOOの稲垣純一氏がチームスポ
してチーム内の共通理解事項とし、
ーツ、そして企業チームとしてのラ
また選手自身にもセルフチェックを
グビーを、その存在意義について、
に清宮氏の会場を引き込んでいくパ
させることによって、選手自身に選
そして持つべき精神、心構えについ
フォーマンスもみられ、和やかな雰
手として必要なことを気づかせ、身
て熱く語った。ラグビーに関わる人、
囲気の中、閉会となった。
体づくりに取り組むチームづくりを
ひとりひとりの行動が、今後の日本
してきた。
のラグビーの発展、さらには2019
その結果、リハビリの進行は効率
年に迎える日本でのW杯を素晴らし
があがり、施術回数に関しては 6 年
いものにしていくのだと想像させら
で約半数に減少したことが、それを
れた。また、選手、監督それぞれの
証明している。
立場からは大畑大介選手、清宮克幸
理学療法士の山本和宏氏は、運動
氏が迎えられ講演いただいた。2 氏
をStability&Mobilityと捉え、四股や
ともにチームのスタッフに支えられ
ランジ、ボクシングのパンチ動作な
ているということを実感されており、
どを通して、関節の安定性や可動性、
前述した報告からもわかるように、
12 Training Journal May 2010
じた。
最後は会場からの質疑応答ととも
(大槻清馨)
on the spot 欄では、学会やセミナー
などへ参加していただいた様子を執筆
していただいたり、最近の話題をニュ
ース記事としてお届けしています。下
記のメールアドレスへ情報提供をお願
いします。
[email protected]