ON THE SPOT

ON THE SPOT
現場から
●フィットネス
身のデータと比較しながら個々人へ
はなかなか難しいのも現実だろう。
企業からの取り組み
の簡単なアドバイスもさせていただ
だからこそ、こうした貴重な機会を
いています。全体的に外回りの方が
企業として提供・体験してもらうこ
1 月19日より 3 日間、都内大手企
多いこともあるのでしょうが、メタ
とは、社員としてだけでなく一人の
業にてインピーダンス型測定器
ボの要注意者が少ないのはいいです
社会人としてのよりよいフィットネ
ね」とのこと。
ス・ライフへの意識づけにもつなが
会が実施された。昨年も実施された
また、社員同士でお互いに測定結
るのではないだろうか。問題のブレ
この測定会だが、今年はそれに加え
果を見せ合ったり、同時配布される
イクスルーのきっかけは、こうした
てビデオゲーム型ゴルフシミュレー
カロリー消費と目安運動時間などの
身近なところから取り組まれている
ターを使ってのドラコン/ニアピン
資料を手にしながら「何かトレーニ
のかもしれない、と感じることので
コンテストなども合わせて開催、気
ングしてるの?」「ゴルフのシミュ
きた測定会であった。
になるメタボリックシンドロームの
レーション、何ヤードだった?」な
予防・改善はもちろん、健康増進へ
どと談笑する姿が頻繁にみられたの
のさらなる意識向上を社員全体で図
も印象的で、その風景はフィジカル
ることができるような内容で好評を
測定日のアスリートやフィットネス
●スポーツ医学
博していた模様。
クラブでの常連同士の会話を彷彿と
取材当日も多忙な業務の合間を縫
させるものであった。
って、多くのビジネスマン・ビジネ
一般企業に勤める人々にとって
スポーツメディスン
フォーラム
スウーマンたちが途切れることなく
は、専門機関やフィットネスクラブ
2011年 2 月 6 日、第 2 回スポーツ
会場を訪れ、看護師や測定員のアド
などを訪れない限りはこうした簡単
メディスンフォーラムが開催され
バイスに熱心に耳を傾けていた。測
な測定結果でさえなかなか触れるこ
た。昨年の第 1 回は早稲田大学、今
定を担当した都築岳郎氏(有限会社
とのできないものである。また、常
回は世話人松本秀男氏(慶応義塾大
クラブクリエイト)によれば「リピ
日頃から目にしやすい食事面は気を
学医学部スポーツ医学総合センタ
ーターの方が多いので、昨年のご自
つけやすくとも、運動の習慣化など
ー)のもと慶応義塾協生館での開催
「Boca X2」を用いての体組成測定
(伊藤謙治・エフ・フィットネスサ
ポート)
であった。
午前中のドーピングをテーマとし
たシンポジウムでは、2011年の変
更事項や生物学的パスポートとして
の血液パスポートの説明などを含
め、ドーピング防止活動が推進され
ている一方で増加し続けるドーピン
グに対しての研究や取り組みについ
ての講演があり、質疑応答が行われ
た。
高橋周氏(気仙沼市立病院整形外
科)は運動器エコーの有用性、活用
法について語られた。従来の画像診
断法のように静止状態ではなく動き
測定会が、健康への意識を高めるきっかけに
6 Training Journal April 2011
を評価することができ、しかもドプ
現場から
ラ法を用いて内部の血流状態を評価
したり、組織の硬さを診断できる機
種もあり、短時間に無侵襲での診断
が可能である。また、MRIやCTと比
較しても装置自体がコンパクトで安
価である。これらの内容も含め、少
年野球大会での野球肘の早期発見を
目的とした実際のスポーツ現場での
活用例などを例に挙げ、最後に機器
を使ってデモンストレーションしな
がらの説明が加えられた。今後の活
用増加が期待される内容であった。
また「パワープレート(三次元振
動プレート)」を用いた加速度トレ
ーニングについて、中田研氏(大阪
スポーツメディスンフォーラムより
大学整形外科)が自身の研究から、
通して情報を共有しあうことで、新
とした実験で、運動刺激によって
筋力増強、筋柔軟性向上に加え、動
たな研究、交流が行なわれることが
MCTのタンパク量の変化および乳
的バランス能力向上にも効果がある
望まれる。 (大槻清馨)
酸濃度の変化、ミトコンドリアでの
ことを示した。サッカー日本代表チ
代謝について考察を加えた。実験手
ームではリカバリーを目的にも使用
●スポーツ科学
法として、エレクトロポレーション
されている、ということが会場の福
第 7 回乳酸研究会
という電気によって遺伝子を細胞内
術院)から紹介された。
去る 2 月 5 日、東京大学駒場キャ
山形高司氏(浦和大学)は運動時
シンポジウム 2 ではパフォーマン
ンパスにて乳酸研究会が開催され
の負荷強度の把握を痛みや感染の危
ス向上に関して、吉田雅司氏(マー
た。第7回目の開催となった今回は
険を伴わない非侵襲的な測定で把握
レ接骨院)は、股関節や肩甲胸郭関
乳酸トランスポーター MCTの乳酸
するための「尿中乳酸測定の試み」
節などの動くべきところを動かし
代謝における役割、尿中乳酸測定の
について発表。高強度の運動と持久
て、過剰に動くべきではない腰椎な
試み、メタボリックシンドローム対
的な運動において尿中乳酸濃度と血
どの動きを最小限におさえる、そう
策の現場における話、競泳日本代表
中乳酸濃度との相関と、簡易な尿中
することで身体に負担をかけず障害
チームのトレーニングにおける乳酸
乳酸濃度測定器開発への期待が込め
のリスクを減らし、効率のよいパワ
の捉え方、そして血中乳酸濃度の応
られた発表が行われた。
ー発揮でパフォーマンスを向上させ
用に関する発表が行われた。
関西医科大学の木村穣氏からは昨
ると説明した上で、ワークショップ
最初に吉田祐子
で実際のトレーニング方法を実技解
氏(カナダGuelph
説した。また跡見友章氏と中村崇氏
大学)は、細胞膜
の理学療法士からは、運動療法を行
を乳酸が通過する
なうにあたっての評価の仕方、実際
際に必要となる
の流れについて、現場での話が語ら
MCT( モ ノ カ ル
れた。
ボン酸トランスポ
スポーツメディスンに関わるさま
ー タ ー)、 そ し て
ざまな分野の方々による講演が一日
2 種類のMCTの果
を通して行われたわけだが、来場者
たす役割の違いに
も同じく資格や関わり方がさまざま
ついて解説。さら
であるはずである。このような会を
に、マウスを対象 全体討論にて。会場からの質問にパネリストが答える
林徹氏(早稲田大学スポーツ科学学
に導入する方法も紹介された。
Training Journal April 2011 7
現場から
今話題となっている未病状態である
向けた 4 か月のトレーニングと、毎
との共通点と相違点について語られ
「メタボリックシンドローム減量時
月行われた乳酸カーブテストの評価
た。そしてマラソンだけでなくほと
の体組成、代謝機能評価」について
とフィードバックについて中心に語
んどの種目において後半での加速が
発表。メタボリックシンドロームと
られた。トレーニング成果が堅実に
困難で、事実上減速をいかに食い止
認められる84名の対象者に対する 6
表れている場合だけでなく、ネガテ
めるかが課題であるということ、そ
か月の食事指導・カウンセリング・
ィブな測定結果を競技成績に悪影響
のためには乳酸をエネルギーとして
持久的運動とレジスタンストレーニ
を及ぼさないように配慮してフィー
どれだけ使うことができるかが大切
ングの結果の減量(除脂肪量を維持
ドバックいる様子は、木村氏が話し
であること、そして“乳酸が疲労物
した脂肪減少)とインスリン抵抗性
た運動を継続させるためのカウンセ
質である”
“乳酸をいかに除去でき
が改善。食事の改善と運動の継続、
リングの話とともに、スポーツ科学
るか”などの乳酸にかけられた冤罪
そして継続させるためのセルフモニ
がスポーツのための科学であるため
をなくしていくことの重要性を再認
タリングへの誘導の大切さが語られ
には無機的なデータの羅列で終わる
識させられた。
た。
のではなく、相手に伝えるコーチン
最後は全員による全体討論が活発
岩原文彦氏(国立スポーツ科学セ
グ能力も不可欠であることを印象づ
に行われ、現在メタボリックシンド
ンター)による「競泳トレーニング
けた。
ロームの基準となっている男性腹囲
における乳酸のとらえ方」では“チ
八田秀雄氏(東京大学)による「血
85cm以上という基準が改定される
ーム北島”に代表される競泳日本代
中乳酸の応用」ではマラソンとハー
可能性が高いことに多くの男性陣が
表選手たちへの現場の活動が紹介さ
フマラソンにおける実際のレース展
胸を撫で下ろして会は幕を閉じた。
れた。年間 2 回に設定された最重要
開を例に、実験室でのトレッドミル
大会の 1 つ、4 月の全日本選手権に
走など一定負荷の環境下でのデータ
8 Training Journal April 2011
(渡邉秀幹・BADMINTON Faun)