受賞理由 一反 ワ一 rrr J ら ′r一 コンピュータによる音声認識・理解 にお ける先駆的貢献 と リーダーシップ 大川 賞受賞者 古井 貞熙 現 職 東京 工 業大学 名誉教授 ーダー教育院および大学情報活用センター 特任教授 グローバ〃リ 学 位 工 学博士 (東 京大学 1978年 ) 生 年 月 日 1945年 9月 9日 略 歴 1968年 1970年 東京大学 工 学部 計数工 学科 卒業 東京大学 大学 院 工 学系研 究科 計数 工 学専攻 修士課程修了 1970年 日本電信電話公社 電気通信研究所 研究員 1978年 ∼ 1979年 米 国ベル研究所 客員研究員 1986年 日本電信電話公社 基礎研究所 第四研究室長 1989年 NTTヒ ューマンインターフェース研究所 音声情報研 究部長 1991年 NTTヒ ューマンインターフェース研究所 古井特別研 究室長 1997年 東京工業大学 大学院 情報理工学研究科 計算 工 学専攻 教授 2007年 東京工業大学 大学院 情報理工学研究科長 2009年 東京 工 業大学 附属 図書館長、 アーカイブ推進機構 長 2011年 東京 工 業大学 名誉教授 、 特命教授 2012年 東京 工 業大学 名誉教授 、 特任教授 その他、 IEEE、 ASA(Acoustical Society of America)、 ISCA(International Speech Communication Association)、 電子情報通信学会 フェロー ISCA、 APSIPA(Asia― Pacnc Signal and mrmaion Processing AssociatiOn)、 日本音響学会会長 日本学術会議連携会 員 主 な 受 賞 歴 1985年 、1987年 日本音響学会 佐藤論文賞 1988年 、1993年 、 2003年 電子情報通信学会 論文賞 1989年 科学技術庁長官 賞 (研 究功績者表彰 ) 1989年 IEEE Acoustics,Speech and Signal Processing Society Senior Award(論 文賞) 1991年 電子情報通 信学会 著述賞 1993年 IEEE Signal Processing Society E)istinguished Lecturer 20034F 2006笙 F 2006笙 F 2006年 2008笙 F 2009年 2010年 2012年 電子情報通信 学会 業績賞 文部科学大臣表彰 (科 学技術賞・研究部門) IEEE Signal Processing Society Award 紫綬褒章 電子情報通 信学会 功績賞 ISCA Medal fOr Scientinc Achievement IEEE」 almes L.Flanagan Speech and Audio PrOcesslng Award 日本放送協会 放送文化 賞 主 な 業 績 古井 貞熙博士 は、 永年 にわたって、国際的 レベ ルで、 音声情報 処理、 特 に コンピュー タによる話 し言葉音声認識・理解の研究 に 従事 し、 その基本技術 を提案 して、 技術 の進展に貢献するとともに、 多数 の研究者 を育成 してこられました。 主要研究成果 として、 音声 の動的特徴が、 人の音声知覚に重要 な役割 を果 た してい ることを明 らかにする とともに、 音声 スペ ク トルの動的特徴 として、ケプス トラム (cepstrllm)時 系列 か ら 博士 回帰係 数 (「 動 的 ケ プス トラム」)を 求 め 、 瞬時 お よび動 的 ケ プス トラム を組 み 合 わせ て 用 い る音 声 認 識 方 法 を提 案 しま した 。 この方法 に よ り、 認識性 能 の大幅 な向上 (単 語音声認識 にお い て 誤認識 が ほぼ半減 )に 貢献 しま した。この方法 は現在 の世界 中 の ほ とん どの音声認識 シス テム (製 品 )で 用 い られて い ます。また、 話 者 に よる声 の 違 い や 背 景 雑 音 に よる音 声 変 動 が、音 声 認 識 性能 の低下 の重要 な原 因 の一つで ある ことに着 目す る とともに、 人 間 の聴 覚が極 め て高 い適応力 を持 つ こ とを実験 的 に確 認 し、 その能 力 を コンピュー タで 実現 す るための 、 種 々の適応化基本 技術 を提案 しま した。 動 的ケプス トラムは、 近年世 界 的 に研 究 されて い るHMM(隠 れ マ ル コ フモ デル)を パ ラメ ー タ生 成 に用 い る音声合成法 にお い て も、キ ー となるパ ラメ ー タと して用 い られて い ます 。 さ らに、原稿 を読 み上 げ た 音 声 を対 象 と して 行 われ て い た 音声 認 識・理解 研 究 の 問題 点 に立 脚 して、自然 な話 し言 葉 音 声 認識技術 を開発 す る研 究 の重 要性 に着 日 し、そ の新 たな展 開 の ため 、総括 責任 者 と して 科 学技 術 振 興 調 整 費 に よる「話 し言 葉 工 学 の構築」プロジェク トを推進 しま した。そ の 中で、 700万 語 か ら なる世 界最大 か つ最高精度 の話 し言 葉音声 デ ー タベ ー スで あ る 「 日本 語 話 し言 葉 コーパ ス (CSJ)」 を構 築 す る と と もに、これ に 基 づ く音 素 モ デル 、 言語 モ デ ル、 音声認識方法 を開発 しま した。 これ によ り、それ まで極 めて困難 で あ った話 し言葉音声 に対す る 認 識 精 度 を大 幅 に 向上 させ ま した。また、音 声 認 識 結 果 か ら、 単語 の持 つ 情報量 、 信頼 度、 文法 的・意味 的正 しさに よ り重 要文 を抽 出 し、さ らに各 文 を 自動 的 に圧 縮 す る 自動 要約 法 を提 案 しま した。 csJは 標準 的 な音声 コーパ スの一つ と して、国内外 の 研究者・技術者 によって、 多様 な音声認識・理解 システムにお ける 音響 モ デルや言語 モ デルの作成 に広 く使 われてお り、 CSJを 用 いた 研 究論文が これ まで に1,Ooo件 以上発 表 されて い ます c また、 21世 紀 COEプ ロ グラム「大規模知識資源 の体系化 と活 用 基盤構築」の拠点 リー ダとして、 電子化 された大規模 コンテ ンツの 構築 と活用 に関す る文理融合研 究 の推進 に貢献 し、 多 くの 成果 を 上 げ ま した。 応用面 で は、 2大 学 と4企 業 の 共 同 に よる経 済産業省 の プ ロ ジエク ト 「音声認識基盤技術の開発」の リーダを務 め、 WFST重 み 付 き有限状態 トランスデューサ)に よる高性能でフレキシブルな 音声認識デ コーダ(エ ンジン)「 T3デ コ_ダ 」を開発するなど多数 の 成果 を上げました。 T3デ コ_ダ は、オープ ンソース化 され、 国内外 の多 くの研究機関で使われ始 めています。 NHKの 放送音声の 自動 字幕化 にも貢献 してい ます。 以上の業績 によ り、 博士 は、 紫綬褒章、 文部科学大臣表彰、日本 放送協会放送文化賞や、 音声情報処理 に関す る国際的 に最高 の 賞 で あるIscA Medalお よびEEE Flanagan Awardを 含 め、国内外 か ら数 々の賞 を受賞 してい ます。さらに、 複数 の 国際学会、国内 学会 の会長、 理事、 編集長 などを務 め、国際的な学術活動 に貢献 してい ます。 また、 NTT研 究所 お よび東京 工 業大学 にお い て、約30か 国 の 外国人を含む、 多数の国内外 の研究者や学生を育成 し、 その多 くが その後、 音声 を含 むマルチメデ ィア情報処理 の教育者、 研究者、 技術者 として、国際的に活躍 してい ます。 合 わせ て、これ まで約 40か 国 を訪 問 して、 技術 講演、 講義、 技術指導、 共 同研究 な どを IEEEお よ びIscAの Distinguished Lecturerに も 行 っ て お り、 選 ばれてい ます。 博士 の著書「Digital specch processing,synthesis, and recognition、 2001年 、 Marcel Dekker出 版」は、 若手研究者 の音声 情報処理分野へ の導入書 として、国際的な評価 を得 てい ます。 このように博士 は、 我が国のみ ならず 国際的に、コンピュー タ による音声認識・理解の研究における先駆的貢献をするとともに、 リー ダー シップを発揮 して、 学術的に顕著な貢献 をされました。 ここに、 大川賞を贈呈 しその功績 をたたえる ものであ ります。
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