これで いいのか いいのか 小中学校教員のこころと身体がボロボロに 富山県教育研究所は研究機関誌『研究所報』 第 17 号(2 月 25 日付)で「教育活動に関する 実態調査」を発表しています。この調査は、昨年 11 月に富山市教組・高岡市教組の協力を得て実 施され、富山・高岡両市の小学校教員 349 人・ 中学校教員 184 人(うち、男性教員が 150 人、 女性教員が 383 人)が回答しています。調査に よって本県の小・中学校教員の長時間・過密労 働の実態が浮き彫りになっています。その驚く べき実態をいくつかお知らせしましょう。 あまりにも苛酷な長時間勤務と休日出勤 多くの教員は 7 時半ころに出勤しています。 ところが、毎日の退勤時刻は小学校教員の 49%、 中学校教員の 52%が午後 7 時、小学校教員の 32%、中学校教員の 36%が午後 8 時となって おり、小学校教員の 3%、中学校教員の 4%は 午後 9 時となっています。こうした勤務実態が 続けば、家族生活は壊れていくでしょう。さら に、これに「持ち帰り仕事」が加わっています。 1 ヵ月あたりの土・日の出勤日数は、「4∼6 日」が小学校教員の 9%、中学校教員の 47%に 達し、「7∼8 日」が中学校教員の 11%となっ ています。普通の月は土・日は 8∼9 日しかあ りません。中学校教員の半数以上が、休日の半 分以上を奪われているのです。「7∼8 日」も出 勤しているというのは、まる 1 ヵ月休日がない ということです。 とくに多い中学校教員の場合、 その最大の理由は部活動の指導や付添にあると 答えています(富山市教組の調査による)。し かも、超過勤務の回復措置はいっさい行われて おらず、 年休はほとんど取れないのが実態です。 小学校教員が最も負担を感じているのは「持 ち込み行事・地域行事・作品募集」で 44%の多 数を占めています。中学校教員では「部活動」 に負担を感じている教員が 40%と突出してい ます。また、小学校教員・中学校教員とも約 3 分の 1(小学校教員の 34%・中学校教員の 27%) が「教員評価・数値目標」に負担を感じている といっています。 睡眠は6時間未満、半数以上が体調不良 1 日の平均睡眠時間は小学校教員の 56%、中 学校教員の 72%が 6 時間未満です。疲労が「い つも残る」小学校教員 22%、中学校教員 22%、 「よく翌朝まで残る」小学校教員 36%、中学校 教員 38%となっており、健康状態については小 学校教員の 55%、中学校教員の 58%が「非常 に不調・やや不調」と訴えています。 ですから、小学校教員の 38%、中学校教員で は 27%(30 歳代教員では 27%、40 歳代教員で は 39%)とびっくりするほど多くの早期退職希 望者がいます。そして、その理由としては「忙 しすぎて身がもたない」がほとんどです。 民主的協議がない学校、指示・命令の教育 また、学校の運営の実態や教員の協力・共同 に関する設問では、とくに中学校で職員会議が 「本来の姿」(教員同士の協議・合意・民主主義 の機能)を果たしていない状況が広がっていま す。加えて、校長が「教員の権利を尊重しない、 教員の共同の教育活動を大切にしない、指導 力・指導性が不足している、協調性がなく教員 の声に耳を傾けない、公平・公正でない」とい う声が多くあります。自主性を尊重しながら人 格の完成を目的とする教育活動の現場において 「上からの命令」 や指示が横行しているようです。 こうして今、小中学校の教育、最も大切な基礎 教育が荒廃してきていると訴えています。 教員にもっとゆとりを与えよう 「いま、 小中学校教員のこころと身体がボロボ ロになっています。それも大きな理由の一つと して、小中学校教育は文字通り破綻の淵に佇(た たず)んでいます。子どもたちを健やかに育て る教育をよみがえらせるには、まず何よりも、 教員に大きなゆとりが与えられなければならな い」と同研究所は訴え、そのために、教育行政 当局が緊急に実行すべきこととして、以下の 4 つの提言を行っています。 ①学級定数を、すべての小学校・中学校で 30 人以内とする。 ②教員の本務は 15 時間以内の授業のみとする。 ③教員の研修は自由とする。 ④数値目標による教員評価、学校評価は廃止す る。 【G】
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