役員賞与の会計処理はどうなる?

分野
財務・会計
役員賞与の会計処理はどうなる?
Q
役 員 賞 与 の 会 計 処 理 方 法 に つ い て 教 え て く だ さ い。
A
従来、取締役や 監査役に対 する役 員 報 酬 は発 生 時に費用と し て 処理し 、役員
賞 与 は 利 益 処 分 に よ る 未 処 分 利 益 の 減 少 と し て 処 理 す る の が一 般 的 で し た 。
し か し 、平 成 15 年 4 月 の 改 正 商 法 施 行に よ り 、委 員 会 等 設 置 会 社 に お い て は
取 締 役 や 執 行 役 に 対 し て 利 益 処 分 に よ る 金 銭 分 配が で き な く な り 、 報 酬 委 員 会
が 決 定 す る 役 員 報 酬 は す べ て発 生 時 に 費 用 処 理 す る こ と に な り ま し た 。 ま た 、
監査役設置会社 においては 、業績連動型報酬で 内容的には 役員賞与に 相当する
金額についても 発生時に費用処理することになりました。
平 成 18 年 5 月 に 施 行 さ れ た 会 社 法 で は 、「 役 員 報 酬 ・ 役 員 賞 与 等 の 職 務 執 行
の対 価 と し て 株 式 会 社 から 受 ける 財 産 上の 利 益は 、 株主総会決議 により 定め
る 。」こ と と さ れ( 定 款 で そ の 金 額 や 算 定 方 法 等 が 定 め ら れ て い る 場 合 を 除 く )、
役員報酬と役員賞与は同一 の手続きにより支給 されることになります 。
ま た 会 社 法 で は 、 株 主 総 会 の 決 議 事 項と さ れ て い た 利 益 処 分に 関 す る 規 定 が
存在しないため 、従来の剰 余 金 か ら の役員賞与 の支給が可 能か否かが 明らかに
されておらず、 役員賞与を 費用処理 とすべきか 、剰余金の 減少とすべきかを明
示 す る 必 要 が 生 じ ま し た 。 そ こ で 、 平 成 17 年 1 1 月 に 企 業 会 計 基 準 委 員 会 よ り
『 役 員 賞 与 に 関 す る 会 計 基 準 』が 発 表 さ れ 、
「役員賞与は発 生した会計期間の費
用 と し て 処 理 す る 。」こ と と さ れ ま し た 。役 員 賞 与 は 、職 務 執 行 の 対 価 と し て 支
給され費用処理 される業績連動型の 役員報酬と 同様の性格 を有しているため、
費 用 処 理 す る の が適 当 で あ る と い う 考 え に よ る も の で す 。
こ れ に よ り 、 従 来 の 剰 余 金 の 減 少 と い う 会 計 処 理は 認 め ら れ な い こ と に な り
ました。
( 注 )平 成 18 年 度 税 制 改 正 に よ り 、税 務 上 、役 員 報 酬 ・役 員 賞 与・役 員 退 職 給
与 は 一 括 し て 「 役 員 給 与 」 と し て 取 り 扱 わ れ る こ と に な り 、 平 成 18 年
4 月 1 日 以 後 に 開 始 す る 事 業 年 度 に お い て 支 給 す る 役 員 給 与の 損 金 算 入
の範囲について改正 が行われました。
こ れ に よ り、従 来 の 役 員 賞 与 は 、法 人 税 法 に 定 め る「 事 前 確 定 届 出 給 与 」
「利益連動給与」に 該当する場 合に限り 、損金算入 が認められます。