南極物語 Eight Below 南極物語 昭和 33 年、南極第一次越冬隊は 15 匹のカラフト犬と共に厳冬の南極にいた。 しかし、第二次越冬隊中止の命令が出された。15 匹の犬たちを南極に置き去りに せざるを得なかった。厳冬の南極を生き抜いた 2 匹の犬・タロとジロの生還物語 (www.city.wakkanai.hokkaido.jp/main/gaiyo/tarojiro/index.htm)は当時の人々に感動 を与えた。この実話を基に 1983 年には映画化され、大ヒットとなったのが南極 物語である。今回の南極物語はディズニー製作によるリメイク版であるが、 原題は Eight Below( 華氏 8 度以下 ) となる。この映画に関心をを持ったのは主役 がハスキー犬であることである(正確には、8 匹のハスキー犬と 2 匹のマラミュート) 。映画自身は大変美しいが、 犬達の演技は恣意的(人間的)であり、違和感を覚えた。ハスキーはこんなに賢く(人間的で)はない。我が犬もこ んなに賢ければ素晴らしいと思った。内容はどうあれ、出演のリーダ犬 Maya は太郎(上図左端の左)に、Shadow は力(上図右端)にそっくりである。これだけで大満足である。親ばか、否「犬バカ」である。 あらすじ 主人公のジェリーは探検家でガイド役を務める。同時に ハスキー犬の飼育担当で犬ぞりを扱う。映画の始まりは、 冬の間近、宇宙地質学者ディビス博士がこの地に隕石の調査にやって来る。案内役はジェリーで、犬ぞりで調査に出 発。ところが急激なブリザードの来襲で、直に基地に戻る必要が発生。帰路 博士が氷の裂け目に落ちるが、犬に救助 され無事帰還できる。一方、基地でもブリザードから避難するため、この地を離れなくてはならない。飛行機には犬 達を乗せる余裕が無く、8 匹の犬を基地に残すことになる。ジェリーは「絶対戻ってくる」と犬達に約束するのだが、 次の春まで越冬は中止となる。その後のストリーはジェリーが、犬を迎えに行くための関係者への説得と行動である。 観賞後記 内容的には、南極の自然の厳しさあるいは極限での生命力の凄まじさが表現されていない、との批評がある。 私は上述の通り犬が走り回る映像に満足。 感心したのは、パイロット(恋人役)の犬を連れ戻すとの約束でジェリーは犬を置き去りにする。しかし、嵐は激し く、各部隊の避難が優先され、犬を連れ戻しに戻れなかった。そのことでジェリーとパイロットの仲が気まずくなる。 パイロットはジェリーに謝罪するのだが、ジェリーは「約束を信じた自分に非がある」と言う。欧米人の個人主義の 強さを感じた。また、地質学者ディビス博士は隕石の発見で時の人となる。ジェリーは博士に対し、犬の救出に予算 確保を依頼する。この背景には、命を救ったのは犬達であろうとの期待と非難が込められる。 しかし、博士はその要請を拒絶する。このことについては後日 ジェリーは博士に謝罪するし、博士は別途予算捻出を 考え出す。私どもはともすれば情緒的、ウェット的になりがちな民族であるが、この論理的考え方を改めて考えさせ られた。社会風潮がグローバル・スタンダードにある中、日本人的思考も捨てざるを得ないのかもしれない。 但し、どちらが正しいか、有効であるのかは分から ない。なお、ストリー的にはウォルトデズニー風で あり、上述の批評通り甘いものである。深刻・悲壮 的な日本版南極物語との対比よりも日米間の相違が 見られると感じた。 以上 2006.08.28
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