第1学年「いきもの大すき」活動案 1.単元の目標 ○身近な生き物に関心をもち、積極的にかかわろうとする。 ○生き物との触れ合いを通して、いのちのあたたかさに気づき、大切にしようとする。 2.本単元について (1)設定の理由 この時期の子どもたちは、身のまわりのさまざまな出来事を日々新鮮に受け止めながら過ごしていて、 他とかかわり合うことの楽しさを感じている。しかし、その世界は自分中心であり、自分以外の相手もま た意思のある生きている存在なんだということを十分に理解してはいない。人間だけではなく、動植物の ようにいのちを直接感じられるものと、触れ合う経験を多くさせることが必要だと感じている。 1年生の子どもたちは、動植物に深く興味・関心をもっている。1学期は毎日水やりをし、一生懸命あ さがおを育てた。栽培活動を通して、「きれいな花が咲いて嬉しいな。」「つるが伸びて自分の背の高さ より大きくなった。」「いろいろなはなのいろがある。」「花がさいたあとはどうなってたねができるの かな。」など植物のいのちへの不思議を感じることができた。また遠足で井の頭自然文化園に出かけ、い ろいろな動植物を観察し好きなところをたくさん見つけた。 そこで本活動では、まずモルモットを見たり触ったりすることを通して「育ててみたい、世話をしてみ たい」という気持ちを持たせたい。モルモットを継続して飼育し、それがいのちを持っていることに気づ くとともに気持ちが通じる経験をし、大切にする態度を育てていきたいと考える。そのため、動物との触 れ合いの体験の場を多く設定し、身体全体を使って相手とかかわることができるようにしたい。抱いてみ たときのあたたかさや柔らかさ、心臓の鼓動を直に感じることができ、かけがえのないいのちを持つ生き 物であることを実感させたい。さらに、動物という言葉の通じない相手の世話をしたり長期的にかかわっ たりすることで、相手の動きを見つめたり思いを感じたりして、言葉は通じなくても気持ちは通じること を感じ、友達同士でも相手の気持ちを思いやろうとすることのできる子に育てたい。そして、自分たちも モルモットと同じようにかけがえのないいのちを持ついきものであることに気づき、自分自身を大切に思 う気持ち、友達といることの心地よさにも気づかせたい。 (2)授業作りの視点と具体的な手立て ①豊かな体験をする。 手だて…身近な動植物と触れ合う機会を多く設定する。 ・井の頭自然文化園の遠足で、さまざまな動植物と触れ合う。 ・あさがおを自分の鉢で丁寧に栽培する。 ・学校にいるウサギ、モルモットに触れ合う機会を設定し、生き物のあたたかさを感じる体験をさせる。 ・学級で身近な昆虫を飼育する。 ②いのちのあたたかさに気づき大切にしようとしている。 手だて…生き物の世話をしたり触れ合ったりする機会を設定する。 いろいろな生き物に触れる経験をさせる。気がついたことを朝の会や帰りの会の話題にして、生き物たち も自分たちの仲間、一員であることを意識づけたり、生き物に対する思いを共有できるようにする。 手だて…道徳や国語の生き物を主人公にした教材を通して、体験したことやその時の感情を深化できるよ うにする。生き物を主人公にした教材を意図的に取り上げ、自分たちが体験したことと重ね合わせて考え させ、登場人物の気持ちを思いやり、自分の感情を深められるようにする。 ③気持ちが通じる体験をする。 手だて…モルモットと向き合う場を設定する。 自分の考えを話したり友達の考えを聞いたりして、気持ちを共有する場を持つ。 自分にできるかかわり方でモルモットの世話をする機会を多く設定する。世話をしているときだけでなく、 帰りの会などでも、うまくいった情報を教え合い、うまくいかないことがあったら、解決できるような意 見を出し合って、モルモットの気持ちに近づけるように経験を共有する。気持ちが通じた経験を伝えるこ とを大切にし、モルモットと気持ちが通じたうれしさを友達にも広げて、一人一人がその子なりに体験で きるようにしたい。友達とも経験を共有することで、気持ちが通じる体験をさせ、わかり合える心地よさ を感じさせたい。 ④ゲストティーチャーの話を聞く。 手だて…飼育している方・獣医さんなどからモルモットについての話を聞く場を設ける。 ゲストティーチャーからモルモットについての話を聞いたり、世話をしていくうちに疑問に思ったことを ゲストティーチャーに相談することで、自分たちがよいと思って世話をしていることの科学的な裏付けを 知り、自信をもってお世話できるようにする。さらに子どもたちが気がつかなかったことについても適切 なアドバイスをしていただく。 3.子どもの実態 対象児童の、生き物のいのちに対する意識を調査するため、以下のようなアンケートを行った。 ①. あなたの家で、生き物を飼っていますか。または飼ったことがありますか。 はい 30名 いいえ 7名 ②.1で飼っている(いた)と答えた人に。どんなお世話をしていますか(いましたか)。 えさやり 22名 そうじ 7名 散歩 1名 ③.飼っている(いた)生き物はなんですか。 金魚・熱帯魚 18名 カブトムシ・クワガタ イヌ 4名 ハムスター ヤドカリ 2名 ネコ ドジョウ 1名 カマキリ モルモット 1名 14名 3名 2名 1名 ザリガニ メダカ イモリ サンショウウオ 5名 2名 1名 1名 ④.モルモットをだっこできますか。 はい 34名 いいえ 3名 この結果から、クラスの半数以上が生き物を飼った経験があり、日常的に接している(いた)という ことがわかった。しかしながらその生き物の種類は、昆虫や魚類など、短命であったり、体温や鼓動を 肌で感じられない生き物が多い。そこでこの活動では、3頭のモルモットとの長期にわたるふれあいや 世話を通し、いのちのあたたかさに気づかせたい。また、モルモットを抱っこできない児童もいるので、 教師からの安心できるような言葉かけや、モルモットのかわいいところを見つける活動などから、少し ずつ慣れさせ、愛情をもって接することができるように働きかけていきたい。 本年度は、クラスに獣毛アレルギーをもつ児童がいる。家庭と連絡を密にし、よりよい対応を考え、 学習に参加できるように準備していきたい。 (配慮の例) *換気を十分にする。 *写真整理等の記録係にするなど、モルモットに直接触れず離れた場所でも学習に参加で きるようにする。 *マスクや手袋を使用し、アレルギー反応が出ないよう配慮する。 ※MIの視点から 担任の観察によれば、この集団は身体・運動の知性が高いように思う。学習や生活全般に前向きに取 り組む。休み時間は仲良く校庭の芝生で遊んでいる。 1対1の話し合い活動では、話すことに慣れていない子もいるので、話す聞くの「あいうえお」意識 させ、友だちの意見を聞いたり、自分の意見を話せるような対人の知性を高めていきたい。 4.指導・評価計画(40時間扱い) 教 科 学習活動 ★コミュニケーション力育成の場面 ・支援 ☆評価 すきなもの、おしえて(4時間) 国 ○友達と好きなものを教え合う。(★) 語 ・教師が活動のモデルを示し、やり方 を理解できるようにする。 ☆友達の好きなものを興味をもって 聞こうとしている。 いきものとなかよしになろう(16時間) 生 ○モルモットを見たり触ったりすることで「育ててみたい、・モルモットに興味をもたせ、お世話 活 世話してみたい」という気持ちをもつ。 をしたい気持ちになるようにする。 ・どんな感じだったか、どんな気持ちだったかなどを発表 し合う。(★) ○2年生に教えてもらいたいことを話し合う。(★) お世話(掃除・えさ)の仕方 ・お世話をするためには2年生に聞か ないとわからないことがたくさんあ ることに気づくようにする。 ☆聞きたいことが見つかったか。 ○2年生からモルモットのお世話のしかたを習う。 ・自分たちの聞きたいことだけでなく ・2年生の話を聞く。わからないことを質問する。 もっと知らなくてはいけないことが 親子関係、雌雄、年齢、好きな食べ物、食べさせてはい あることに気づくようにする。 けない物。 ☆わかったことがまとめられたか。 名前の由来(上級生からも聞く。) ○モルモットが死んでしまったときの話を上級生から聞 ・死んでしまうというとこがどんなに く。 悲しいことか、生きていることがどん なにすばらしいことかを子どもどう しの伝え合いから学ぶようにする。 ・いのちを大切に育てるという目的意 識をもてるようにする。 ○モルモットのお世話をする。 ☆飼育をして感じたことやその日の ・住まいや食餌や排泄の世話をする。 様子などを帰りの会などで発表し、関 ・モルモットの世話のしかたを知る。 心を深め共感できたか。 ○心臓の音を聞いてみる。 ・聴診器を使ってモルモットの心臓を音を聞いてみる。人 間の心拍数や他の動物の心拍数も紹介する。 ・自分もモルモットと同じように心臓 が動いていることを感じるようにす る。 ○飼育員、獣医師から話を聞く。 ・飼育の方法を裏付けてもらったり正 ・飼育員、獣医師の話を聞く。質問する。 しい知識を教えていただいたりする。 適切な接し方 適量の水やえさ ☆関心をもって話を聞いているか。 掃除・温度などの管理 繁殖管理 けがや病気の対応 ○モルモットのために何かしてあげることを考える。し ・モルモットに愛着がもてるように声 てあげたいことを話し合う。(★) をかける。 ☆モルモットによりかかわろうとし ているか。 ○ペアリングをする。 ・いのちの誕生について考えるように する。 ものがたりのいきものと出会おう(17時間) 国 ○「ずーっとずっとだいすきだよ」の物語を読んで、ぼくの ・物語の登場人物の心情に同化して考 語 エルフに対する気持ちを想像する。 ・ぼくの気持ちを話し合う。(★) えられるようにし、人間、生き物に対 する愛着を知らせる。 ☆ぼくの気持ちを深めることができ たか。 ○動物の出てくる本を読む。 ・心情が豊かになるようにする。 「てぶくろ」 「はなをくんくん」 「わすれられないおくりもの」 ☆登場人物の気持ちに共感している 「どろんこハリー」「おやすみなさいフランシス」「100 か。 万回生きたねこ」「うさぎのユック」「ビロードのうさ ぎ」など ・お話の感想を発表し合う。(★) ○「大きなかぶ」などのおはなしの劇をする。 ・登場人物の心情に同化して考えられ るようにする。 道 ○いのちを大切にする心をもつ。 ・自分たちの体験と結びつけて心情を 徳 深め、いのちの大切さに気づくように 「からすとはと」「あひるのがあこ」 資料を読んで、人物の心情を想像し、いのちを大切にす する。 る心をもつ。 生 活 なかよしのいきものを紹介しよう(3時間) ○飼育して感じたことを話し合う。 ・動物のためにしてきただけでなく、 どんなことがわかったか作文に書く。 動物からももらっているものがある モルモットの様子を絵に表す。 ことに気づくようにする。物語と出会 ってさらに豊かな気持ちになってい ることを感じるようにする。 ☆自分の思いを表現しているか。 ○モルモットとのかかわりから学んだことをみんなに知ら・動物のいのちとともに自分たちのい せよう。(★) のちの大切さ、仲間といる心地よさを ふり返るようにする。 ☆モルモットがかけがえのない存在 になり、学級への所属意識が高まって いるか。
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